JP2008274328A - 伸びフランジ加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Mass%で、C≦0.015%、Si≦0.15%、Mn≦0.3%、P≦0.04%、S≦0.005%、Al≦0.08%、N≦0.015%、Cr:20.5〜23.5%、Cu:0.3〜0.7%、Ni≦0.5%、Ti:0.2〜0.4%、Nb≦0.015%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、球状のTiSが10個以上局在している部分がなく、かつフェライト粒のアスペクト比(圧延方向の平均粒径/板厚方向の平均粒径)が2以下であることを特徴とする伸びフランジ加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
【選択図】なし
Description
i) 一般の冷延鋼板では、伸びフランジ加工性は、フェライト粒界に沿って展伸したMnSを低減することで向上するが、フェライト系ステンレス鋼板のような高耐食性ステンレス鋼板ではこうしたMnSの析出が少ないにもかかわらず伸びフランジ加工性が劣る。
ii) 伸びフランジ加工の割れは、球状のTiSが10個以上集団で局在している部分より発生している。
iii) 伸びフランジ加工の割れは、フェライト粒のアスペクト比(圧延方向の平均粒径/板厚方向の平均粒径)が2を超えると、板面に平行に発生しやすくなる。
C≦0.015%
CはCrと結合して固溶Crを減じるため、耐食性を劣化させる。また、Cr炭化物は塑性変形時に割れの起点となることから、伸びフランジ加工性も劣化させる。このため、C量は0.015%以下とする。
Siは固溶強化元素であり、鋼を硬質低延性化する。このため、Si量は0.15%以下とする。
Mnは耐食性を劣化させることから、その含有量を0.3%以下とする。
Pは鋼を顕著に固溶強化して加工性を劣化させるとともに、粒界に偏析して粒界の脆性破壊を助長する。このため、P量は0.04%以下とする。
Sは球状のTiSを形成するが、従来の知見では球状のTiSは伸びフランジ加工性を劣化させないと考えられていた。しかし、上記ii)で説明したように、球状のTiSが10個以上集団で局在するような場合は、一般の冷延鋼板で認められる展伸したMnSと同様な作用をして、伸びフランジ加工性を劣化させる。こうした球状のTiSが集団で局在することを防ぐためには、少なくともS量を0.005%以下とする必要がある。
Alは脱酸剤であり、鋼の清浄度を向上させるには、その量を0.02%以上とすることが望ましい。しかし、Al量が0.08%を超えるとAlNとして析出し、粒成長を阻害して圧延方向に展伸したアスペクト比の大きいフェライト粒が生成して伸びフランジ加工性が劣化する。このため、Al量は0.08%以下、好ましくは0.05%以下とする。
Nは、C同様、Crと結合して固溶Crを減じるため、耐食性を劣化させる。また、Cr窒化物は塑性変形時に割れの起点となることから、伸びフランジ加工性も劣化させる。このため、N量は0.015%以下とする。
Crは鋼板表面に不動態皮膜を形成し、耐食性を向上させる元素である。以下に述べるCuと同時に含有されることで優れた耐食性が得られるが、それにはCr量を20.5%以上とする必要がある。また、Cr量が23.5%を超えると、Crによる再結晶の遅延が顕著となり、フェライト粒が圧延方向に伸びやすくなって伸びフランジ加工性が劣化する。したがって、Cr量は23.5%以下とする。
Cuは、Cr量が20.5%以上の場合、耐食性を向上させる働きがあるため、その量を0.3%以上とする。また、Cu量が0.7%を超えると、CuSが析出しやすくなって伸びフランジ加工性が劣化する。したがって、Cu量は0.7%以下、好ましくは0.5%以下とする。
Niは耐食性を向上させる元素であるが、多量に含有されると鋼を硬質化して延性劣化の原因となる。したがって、Ni量は0.5%以下とする。
Tiは、N、C、Sと結合して窒化物、炭化物、硫化物を形成する。Ti量が0.2%未満では、これらの元素を析出物として固定できず、結果としてCr炭化物が形成されて耐食性が劣化する。このため、Ti量は0.2%以上とする。また、Ti量が0.4%を超えると、TiNやTiSの核生成が促進されて微細析出するようになり、鋼が硬質低延性化してしまう。これにともない伸びフランジ加工性も劣化する。このため、Ti量は0.4%以下とする。
Nbは、CおよびNを析出物として固定するが、同時に再結晶も抑制するため、フェライト粒が圧延方向に伸びやすくなって伸びフランジ加工性が劣化する。このため、Nb量は0.015%以下とする。
TiSが10個以上一ヶ所に局在している場合は、フェライト粒界に局在するため、フェライト粒界にフィルム状に並んで存在する。このフェライト粒界にフィルム状に並んだTiSは、伸びフランジ加工時に亀裂の起点となり、伸びフランジ加工性を劣化させる。したがって、TiSが10個以上局在している部分が存在しないようにする必要がある。
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、フェライト粒と析出物で構成されている。フェライト粒が圧延方向に展伸して圧延方向の平均粒径と板厚方向の平均粒径の比、すなわちアスペクト比が2を超えると析出物、特にTiSが板面に平行に並びやすくなり、また、塑性変形時の応力が板面に平行なフェライト粒界に集中するようになることから、板面に平行なフェライト粒界に存在する析出物、特にTiSを起点に破壊が起こりやすくなる。このため、伸びフランジ加工性が劣化するので、フェライト粒のアスペクト比は2以下にする必要がある。
熱間圧延に先立つ加熱温度:1000℃以上
熱間圧延に先立つ鋼(スラブ)の加熱温度が1000℃を下回ると圧延組織が熱延鋼板に残留し、冷間圧延、再結晶焼鈍後のフェライト粒が圧延方向に展伸しやすくなるので、伸びフランジ加工性が劣化する。したがって、加熱温度は1000℃以上とする。
仕上温度が800℃を下回ると圧延荷重が高くなり、ロールが肌荒れする。このロールの肌荒れは鋼板に転写され、鋼板表面を粗くする。そのため、鋼板表面の凸部にあるCrが優先して酸化され、鋼板の耐食性を劣化させる。したがって、仕上温度は800℃以上、好ましくは850℃以上とする。
巻取温度は熱延鋼板中の析出物制御に重要である。巻取温度が400℃を下回るとTiCが析出せず、続く熱延鋼板の焼鈍時にフェライト粒界にTiCが析出してフェライト粒が展伸しやすくなるので、伸びフランジ加工性が劣化する。また、巻取温度が600℃を超えると、熱延鋼板のフェライト粒が粗大化して、冷間圧延、再結晶焼鈍後の結晶粒が粗大混粒化しやすくなり、伸びフランジ加工性が劣化する。したがって、巻取温度は400〜600℃とする。
焼鈍温度が900℃を下回ると熱間圧延時に発達した圧延方向に伸びたフェライト組織が破壊されないため、冷間圧延、再結晶焼鈍後のフェライト粒も圧延方向に展伸しやすくなるので、伸びフランジ加工性が劣化する。したがって、焼鈍温度は900℃以上とする。一方、900℃以上での均熱時間が100秒を超えると一度析出していた析出物が再溶解してその後の冷間圧延、再結晶焼鈍時に再析出し、フェライト粒を展伸させるとともに、フェライト粒界に析出物を集団で形成させるので、伸びフランジ加工性が劣化する。したがって、均熱時間は100秒以下とする。
再結晶焼鈍の焼鈍温度が850℃未満だと圧延方向に展伸した冷間圧延組織が残留しやすくなるので、伸びフランジ加工性が劣化する。また、再結晶が不十分なため、伸びも極端に低下する。このため、再結晶焼鈍の焼鈍温度は850℃以上とする。
TiSの析出状態:鋼板面から板厚方向に研削し、板厚中心部より抽出レプリカ法で析出物を採取し、透過型電子顕微鏡で10視野観察して、TiSの個数を数えた。TiSが10個以上局在していたものが観察された場合は、TiSの数を示し、10個未満の場合は、すべて0とした。
フェライト粒のアスペクト比:圧延方向に平行な板厚断面の板厚中央部を研磨し、王水でエッチング後、フェライト粒を観察し、圧延方向と板厚方向の平均粒径を求め、次の式で定義されるアスペクト比を算出した。
アスペクト比=(圧延方向の平均粒径)/ (板厚方向の平均粒径)
ここで、平均粒径は切断法で求めた。実際の長さ500μmとなる線を組織写真上で板厚方向に5本、圧延方向に5本引き、この線分と粒界の交点の数を数えた。板厚方向に引いた線分の総長をその線分と粒界との交点の数で割ることにより、粒界で切断された線分の平均長さを算出し、板厚方向の平均粒径とした。同様にして、圧延方向の平均粒径を求めた。
機械的性質:圧延方向に平行にJIS 13号B引張試験片を採取し、引張試験を行って、引張強度TSと全伸びElを求めた。また、100mm角に切り出した試料の中央に10mmφの穴を打ち抜き、この穴を、頂角60°の円錐ポンチで打ち抜きバリの反対側より押し広げた。そして、目視で割れの発生を確認できた時点の穴径dを測定し、次の式で定義される穴広げ率で伸びフランジ加工性を評価した。
穴広げ率=[(d-10)/10]×100 (%)
耐食性:複合サイクル試験(CCT)で評価した。すなわち、35℃の5%NaCl水溶液の噴霧を2時間、湿度30%、60℃で乾燥を4時間、湿度95%、50℃で湿潤を2時間を1サイクルとし、これを15サイクル行った。そして、錆の発生を目視で評価し、錆の発生が認められたものを×とした。
Claims (2)
- Mass%で、C≦0.015%、Si≦0.15%、Mn≦0.3%、P≦0.04%、S≦0.005%、Al≦0.08%、N≦0.015%、Cr:20.5〜23.5%、Cu:0.3〜0.7%、Ni≦0.5%、Ti:0.2〜0.4%、Nb≦0.015%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、球状のTiSが10個以上局在している部分がなく、かつフェライト粒のアスペクト比(圧延方向の平均粒径/板厚方向の平均粒径)が2以下であることを特徴とする伸びフランジ加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
- 請求項1に記載の組成を有する鋼を、1000℃以上の加熱温度に加熱し、800℃以上の仕上温度で熱間圧延し、400〜600℃の巻取温度で巻取り後、900℃以上で100秒以下の焼鈍を行い、酸洗し、冷間圧延後、850℃以上で再結晶焼鈍することを特徴とする伸びフランジ加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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| JP2007116844A JP2008274328A (ja) | 2007-04-26 | 2007-04-26 | 伸びフランジ加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|---|
| JP2009068034A (ja) * | 2007-09-11 | 2009-04-02 | Jfe Steel Kk | 伸びフランジ加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
| WO2014087648A1 (ja) * | 2012-12-07 | 2014-06-12 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼板 |
| JP2015137375A (ja) * | 2014-01-21 | 2015-07-30 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス冷延鋼板およびその製造方法 |
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