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JP2008271973A - ヒトインシュリン様成長因子iの製造方法 - Google Patents

ヒトインシュリン様成長因子iの製造方法 Download PDF

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JP2008271973A JP2008118066A JP2008118066A JP2008271973A JP 2008271973 A JP2008271973 A JP 2008271973A JP 2008118066 A JP2008118066 A JP 2008118066A JP 2008118066 A JP2008118066 A JP 2008118066A JP 2008271973 A JP2008271973 A JP 2008271973A
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Abstract

【課題】hIGF−Iを高い純度と収率で製造する方法を提供すること。
【解決手段】ヒトインシュリン様成長因子Iの製造方法であって、該製造方法が、
(A) ヒトインシュリン様成長因子I生産菌の培養液のpHを培養終了後に8以上に調整する工程;
(B) 工程(A)で得られた培養液を放置する工程;および
(C) 工程(B)で得られた培養液から該生産菌を除去する工程;
を含む、修飾を受けたヒトインシュリン様成長因子Iを除去する工程を含むことを特徴とする前記製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトインシュリン様成長因子I(以下、hIGF−Iと称す)の製造方法に関する。詳しくは、hIGF−I生産菌の培養液を所定条件下で放置することにより、高い純度と収率でhIGF−Iを得ることができる、hIGF−Iの製造方法に関する。
hIGF−Iは,天然に存在する公知のポリペプチド化合物であり(非特許文献1,2)、細胞増殖活性を有する(非特許文献3)。
hIGF−Iは、それ自身医薬として使用可能であり、医薬として使用するための開発が進められている(例えば非特許文献4,5,6)。hIGF−Iはまた、細胞増殖活性を有することから、抗体医薬品などバイオ医薬品を生産するにあたり、該医薬品の有効成分となるタンパク質を生産する細胞の培地用添加剤としても使用できる。バイオ医薬品の生産量は近年急増していることから、hIGF−Iも大量の需要が見込まれている。
このような背景のもと,組換えDNA法により形質転換された微生物(以下,組換え微生物と称す)を培養してhIGF−Iを生産し、精製する方法が種々報告されている。例えば特許文献1では組換え大腸菌,特許文献2では組換え酵母が用いられている。
これらの方法では,組換え大腸菌又は組換え酵母を培養してhIGF−Iを生産し、精製するが、hIGF−Iの培養過程および/または精製過程で,目的とするhIGF−I以外に,大腸菌又は酵母が本来産生する色素やタンパク質等も生じるし、hIGF−Iとは異なる一次構造を有する異性体も生じる。
この異性体は,分子内に形成される3対のジスルフィド結合の組み合わせが天然型のhIGF−Iとは異なるため,misfolded hIGF−Iと呼ばれ、物理的性質のみならず生物学的性質も天然型のhIGF−Iとは異なることが知られている(非特許文献7)。そのため,該異性体は天然型のhIGF−Iと分離し除去する必要がある。その方法としては、該異性体を天然型のhIGF−Iに異性化する方法や、該異性体を分離除去する方法(例えば特許文献3,4)が報告されている。
hIGF−Iの産業的利用を考えるに,大量のhIGF−Iを安価に製造する方法を開発することが切望される。
本件出願人は、これまでに、ヒト上皮細胞増殖因子の生産宿主として組換えコリネ型細菌を使用すると、組換えコリネ型細菌が培養液中で本来産生するタンパク質の量は,他の組換え微生物が培養液中で本来産生するタンパク質の量に比べて少ないことを発見している(特許文献5)。
米国特許第6,331,414号明細書 米国特許第5,324,639号明細書 米国特許第7,071,313号明細書 米国特許第5,231,178号明細書 特開2002-291476号公報 Rinderknecht, E. et al., The amino acid sequence of human insulin-like growth factor I and its structural homology with proinsulin. J Biol Chem, 1978. 253(8): p. 2769-76. Iwai, M. et al., Direct identification of disulfide bond linkages in human insulin-like growth factor I (IGF-I) by chemical synthesis. J Biochem (Tokyo), 1989. 106(6): p. 949-51. Humbel, R.E., Insulin-like growth factors I and II. Eur J Biochem, 1990. 190(3): p. 445-62. Savage, M.O. et al., Therapeutic applications of the insulin-like growth factors. Growth Horm IGF Res, 2004. 14(4): p. 301-8. Gasparini, L. et al., Potential roles of insulin and IGF-1 in Alzheimer's disease. Trends Neurosci, 2003. 26(8): p. 404-6. Ren, J. et al., Insulin-like growth factor I as a cardiac hormone: physiological and pathophysiological implications in heart disease. J Mol Cell Cardiol, 1999. 31(11): p. 2049-61. Sato, A. et al., Three-dimensional solution structure of a disulfide bond isomer of the human insulin-like growth factor-I. J Pept Res, 2000. 56(4): p. 218-30.
hIGF−Iを分泌生産するに当たり、菌体が本来産生するタンパク質は不純物に相当するため、該タンパク質の量はできるだけ少ない方が望ましいところ、本発明者は、組換えコリネ型細菌を用いれば、コリネ型細菌が本来産生するタンパク質の量を少なく抑えつつhIGF−Iを得ることができると考え、組換えコリネ型細菌を培養してhIGF−Iを生産させ,その培養液からhIGF−Iを得ることを試みた。その結果、コリネ型細菌が本来産生するタンパク質の量を低く抑えることができることを確認したものの、組換えコリネ型細菌の培養液中に、hIGF−Iの分子量とは異なる分子量を有する、修飾を受けたhIGF−I(modified hIGF−I、以下mhIGF−Iと称す)が存在することが新たにわかった。mhIGF−Iは、天然に存在するか否かが未だ明らかになっていない。また、本発明者によると、hIGF−Iとは異なる物理的性質を有することが判明した。
そこで、本発明は、hIGF−Iを高い純度と収率で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果,驚くべきことに,培養終了後の培養液のpHをアルカリ性にして放置することにより,mhIGF−Iの量が減少する一方で,hIGF−Iが増加することを見出した。すなわち、本発明は、第一の態様として、ヒトインシュリン様成長因子Iの製造方法であって、該製造方法が、
(A) ヒトインシュリン様成長因子I生産菌の培養液のpHを培養終了後に8以上に調整する工程;
(B) 工程(A)で得られた培養液を放置する工程;および
(C) 工程(B)で得られた培養液から該菌体を除去する工程;
を含む、ヒトインシュリン様成長因子Iから、修飾を受けたヒトインシュリン様成長因子Iを除去する工程を含むことを特徴とする前記製造方法を提供する。
本発明者はまた、培養終了後、培養液から菌体を除き、その培養液のpHを弱酸性からアルカリ性にして放置することにより、mhIGF−Iの量が減少する一方で,hIGF−Iが増加することを見出した。従って、本発明は、第二の態様として、ヒトインシュリン様成長因子Iの製造方法であって、該製造方法が、
(a) ヒトインシュリン様成長因子I生産菌の培養液から該菌体を除去する工程;
(b) 工程(a)で得られた培養液のpHを5以上に調整する工程;および
(c) 工程(b)で得られた培養液を放置する工程;
を含む、ヒトインシュリン様成長因子Iを含む培養液から、修飾を受けたヒトインシュリン様成長因子Iを除去する工程を含むことを特徴とする前記製造方法を提供する。
本発明はまた、ヒトインシュリン様成長因子Iの製造方法であって、該製造方法が、
(A) ヒトインシュリン様成長因子Iを生産するコリネ型細菌の培養液のpHを培養終了後に8以上に調整する工程;
(B) 工程(A)で得られた培養液を放置する工程;および
(C) 工程(B)で得られた培養液から該菌体を除去する工程;
を含み、かつ、上記(A)および(B)の工程に有機溶媒が存在しないことを特徴とする、前記製造方法を提供する。
本発明により、hIGF−Iを高い純度と収率で製造することができる。本発明の方法によれば、hIGF−Iの製造に際し、mhIGF−Iを分離・除去するための煩雑な精製工程を省くことができるため、高純度のhIGF−Iを簡便にかつ安価に製造することができる。本発明の方法によれば、培養終了後の培養液の処理条件を適切に選ぶことにより,mhIGF−I除去目的のクロマトグラフィー精製操作を施さなくても、該クロマトグラフィー精製操作を施したのと同程度の量のmhIGF−Iを除去することができる。
本発明において用いるヒトインシュリン様成長因子I生産菌の宿主菌としては、特許文献5に示されるコリネ型細菌、例えばCorynebacterium glutamicum(以下、C.glutamicumと称す)ATCC13869等があげられる。
本発明において用いるヒトインシュリン様成長因子I生産菌としては、ヒトインシュリン様成長因子Iを生産するように組換えた組換えコリネ型細菌が好ましく、組換えコリネ型細菌としては、組換えCorynebacterium glutamicumが好ましい。
これらの菌は通常用いられる方法および条件に従って培養することができる。例えば、炭素源、窒素源、無機イオンを含有する通常の培地で培養することができる。さらに高い増殖を得るために、ビタミン、アミノ酸等の有機微量栄養素を必要に応じて添加することもできる。炭素源としてはグルコースおよびシュークロースのような炭水化物、酢酸のような有機酸、アルコール類、その他を使用することができる。窒素源としては、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩、その他が使用できる。無機イオンとしては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、カリウムイオン、鉄イオン等を必要に応じて適宜使用する。培養はpH5.0〜8.5、温度15℃〜37℃の適切な範囲にて好気的条件下で行い、1〜7日間程度培養する。このような条件下で培養することにより、目的タンパク質、すなわちhIGF−Iは菌体内で多量に生産され効率よく菌体外に分泌される。培養液中には目的とするhIGF−Iのほか、hIGF−Iの分子量とは異なる分子量を有する副生物mhIGF−Iも含まれる。
なお、mhIGF−Iは、逆相高速液体クロマトグラフィーによる分析(カラムはYMC−Pack C8 OC30S05−1046WT,粒子径5μm,ポアサイズ30nm,内径4.6mm,高さ100mm(株式会社ワイエムシィ),流速は1mL/min。溶出には,溶離液A:0.1%TFA水溶液,溶離液B:0.1%TFAと80%アセトニトリルを含有する水溶液を用い,0−5minで32%溶離液B−34%溶離液B(溶離液Aと溶離液Bの%合計が100%、以下同じ)の直線濃度勾配,5−16minで34%溶離液B−39%溶離液Bの直線濃度勾配,16−17minで39%溶離液B−100%溶離液Bの直線濃度勾配をかけた後,必要に応じて洗浄)に供すと、hIGF−Iより遅れて溶出される。mhIGF−Iの分子量は、hIGF−Iの分子量よりも70だけ大きく,mhIGF−IのN末端はブロックされている。hIGF−IとmhIGF−Iそれぞれから調製したアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドのモノアイソトピックイオン同士の精密質量差は70.04である。また、mhIGF−Iから調製したアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドのタンデム質量分析では、mhIGF−IのN末端グリシンのアミノ基に修飾が起こっていると推定される衝突誘起解離イオンが検出される。
本発明の第一の態様について説明する。
本発明の(A)工程において、培養終了後に、すなわち培養液への通気を停止した後に培養液のpHを8以上、好ましくはpH9以上、より好ましくはpH9〜10に調整する。pHの調整には、アンモニアガスやアンモニア水(例えば28質量%)、水酸化ナトリウム水溶液(例えば1mol/L)等を用いることができる。
本発明の(B)工程において、pHを8以上に調整した培養液を放置する。放置するときの培養液の温度は、−10℃〜50℃、好ましくは10℃〜40℃、より好ましくは20℃〜25℃であるのが好ましい。放置時間は2時間以上、好ましくは4時間以上、更に好ましくは12時間以上であるのが好ましい。これより短い時間でもmhIGF−Iの量が減少し、代わりにhIGF−Iの量が増加するが、より長い時間放置することにより、より多量のhIGF−Iを回収することができる。菌体は、培養を終了してもなお活動を続けるため、培養液中の溶存物質が消費されたり代謝産物が蓄積されたりすることにより、培養液のpHは時間が経過するにつれて変動する。そのため、放置する工程の間、培養液のpHの値が8以上、好ましくは9以上に維持されるよう、放置する工程の間、pHの調整を続けるのが好ましい。
hIGF−I生産菌の培養液にはもとよりhIGF−Iが含まれているが、本発明により、培養液のpHを8以上に調整し、かつ放置することにより、放置前の培養液に含まれているmhIGF−Iの量よりも、放置後の培養液に含まれているmhIGF−Iの量の方が少なくなる。対応して、放置前の培養液に含まれているhIGF−Iの量よりも、放置後の培養液に含まれているhIGF−Iの量の方が多くなる。mhIGF−Iの減少量に比してhIGF−Iの増加量の方が多くなることがあるが、これは、いかなる理論にも拘束されるものではないが、放置している間に、菌体内および/または菌体表面に存在するhIGF−Iが培養液中に移行することによっても、あるいは、培養液中に存在するhIGF−Iの異性体(misfolded hIGF−I)がhIGF−Iに異性化されることによっても、hIGF−Iの量が増加するためと考えられる。
逆相高速液体クロマトグラフィー(以下、逆相HPLCと称す)による純度測定では、例えば、培養終了時には、hIGF−Iの量に対して約20%のmhIGF−Iが含まれているが、25℃、16時間の放置後には1%未満となる。
従って、本発明の方法によれば、培養終了後の培養液の処理条件を適切に選ぶことにより,mhIGF−I除去目的のクロマトグラフィー精製操作を施さなくても、該クロマトグラフィー精製操作を施したのと同程度の量のmhIGF−Iを除去することができ、精製操作が大幅に簡略化される。
本発明の(C)工程において、放置した培養液からhIGF−I生産菌を除去する。除去手段としては、濾過分離、遠心分離等があげられる。
本発明の(C)工程の後に、(C)工程で得られたhIGF−I溶液をさらに精製し、mhIGF−I以外の不純物も除くことができる。精製する手段としては、例えば、塩析、エタノール沈殿、限外濾過、ゲル濾過クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニーティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等の既知の適切な方法、またはこれらを組み合わせることにより分離精製することができ、高い純度のhIGF−Iを得ることができる。
工程(A)の前に、工程(A)の後であって工程(B)の前に、又は工程(A)中に、さらに前記培養液に有機溶媒を添加してもよい(工程(D))。例えば工程(A)の前と工程(A)中とに二回以上に分けて添加してもよい。
既述のとおり、一般的に培養終了後に培養液のpHは変動する。実験室スケールにおいては,遠心操作などにより速やかに,例えば数分で菌体を除くことが可能であり,菌体の活動によるpH変動を最低限に抑えることができる。しかしながら,商業生産スケールにおいては,除菌操作に長時間,例えば数時間を要するため,この間に培養液のpHが変動することがある。本発明において、有機溶媒を添加することにより、pH8以上に調整した培養液のpHを、培養液を放置している間、調整した値に維持できる。有機溶媒としては、エタノール等を用いることができる。有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、およびアセトニトリルからなる群から選ばれるのが好ましい。これにより、有機溶媒を加えた以降の工程および必要に応じて本発明の方法に続いて行っても良い精製工程のpH管理が容易になる。
有機溶媒の添加量としては、培養液の全体積に対して1/4以上が好ましく、1/4〜1/3がより好ましい。
本発明の第二の態様について説明する。
本発明の工程(a)において、hIGF−I生産菌を培養液から除去する。除去手段としては、濾過分離、遠心分離等があげられる。培養終了後、望ましくは培養終了直後に該生産菌を培養液から除去することにより、菌体の活動によって生じる培養液のpHの変動を防止することができる。これにより、本工程(a)以降および必要に応じて本発明の方法に続いて行っても良い精製工程のpH管理が容易になる。
本発明の工程(b)において、該生産菌を除いた後の培養液のpHを5以上に調整する。培養終了直後の培養液のpHは培養開始前に設定した値又は培養中の値であるが、除菌後の培養液のpHは、除菌に要した時間に応じて変動する。除菌後の培養液のpHが5未満の場合、第一の態様に関して記載したアンモニアガスやアンモニア水(例えば28質量%)、水酸化ナトリウム水溶液(例えば1mol/L)等を用いて、培養液のpHを5以上、好ましくはpH6以上、より好ましくはpH6〜10に調整する。
本発明の(c)工程において、pHを5以上に調整した培養液を放置する。放置することにより、培養液に含まれるmhIGF−Iの量が減少する一方、hIGF−Iの量が増加する。放置時間および放置温度は、第一の態様に記載したのと同じである。放置時間は2時間以上、好ましくは4時間以上、更に好ましくは12時間以上であるのが好ましい。これより短い時間でもmhIGF−Iの量が減少し、代わりにhIGF−Iの量が増加するが、より長い時間放置することにより、より多量のhIGF−Iを回収することができる。
hIGF−I生産菌の培養液にはもとよりhIGF−Iが含まれているが、本発明により、hIGF−I生産菌を除いた培養液のpHを5以上に調整し、かつ放置することにより、放置前の培養液に含まれているmhIGF−Iの量よりも、放置後の培養液に含まれているmhIGF−Iの量の方が少なくなる。対応して、放置前の培養液に含まれているhIGF−Iの量よりも、放置後の培養液に含まれているhIGF−Iの量の方が多くなる。mhIGF−Iの減少量に比してhIGF−Iの増加量の方が多くなることがあるが、これは、いかなる理論にも拘束されるものではないが、放置している間に、培養液中に存在するhIGF−Iの異性体(misfolded hIGF−I)がhIGF−Iに異性化されることよっても、hIGF−Iの量が増加するためと考えられる。
逆相HPLCによる純度測定では、例えば、培養終了時には、hIGF−Iの量に対して約20%のmhIGF−Iが含まれているが、25℃、20時間の放置後には1%未満となる。
従って、本発明の方法によれば、培養終了後の培養液の処理条件を適切に選ぶことにより,mhIGF−I除去目的のクロマトグラフィー精製操作を施さなくても、該クロマトグラフィー精製操作を施したのと同程度の量のmhIGF−Iを除去することができ、精製操作が大幅に簡略化される。
本発明の(c)工程の後に、(c)工程で得られたhIGF−I溶液をさらに精製し、mhIGF−I以外の不純物も除くことができる。精製手段は第一の態様に記載したのと同じである。
工程(a)の前に、又は工程(a)中に、さらに前記培養液に有機溶媒を添加してもよい(工程(d))。有機溶媒を添加することにより、工程(a)を開始する際、または工程(a)中の培養液のpHをその値に維持できる。有機溶媒としては、エタノール等を用いることができる。有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、およびアセトニトリルからなる群から選ばれるのが好ましい。有機溶媒を添加することにより、菌体の活動によって生じる培養液のpHの変動を防止することができる。これにより、有機溶媒を加えた以降の工程および必要に応じて本発明の方法に続いて行っても良い精製工程のpH管理が容易になる。
有機溶媒の添加量としては、培養液の全体積に対して1/4以上が好ましく、1/4〜1/3がより好ましい。
hIGF−IおよびmhIGF−Iの各種分析に際し、
・逆相HPLCによる含量決定、純度決定、および分取、
・N末端配列分析装置によるN末端配列決定、
・各種質量分析計による分子質量決定、
・タンデム質量分析による構造情報の取得
・細胞増殖活性を指標とする生物活性の測定、
・タンパク質分解酵素による限定分解、還元CM化
は,いずれもこの分野で通常行われている常套手段を用いて実施できる。
以下、本発明を実施例および比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[参考例]:Corynebacterium ammoniagenes ATCC6872の細胞表層タンパク質のシグナル配列、およびhIGF−Iをコードする配列を有する融合遺伝子を用いたhIGF−Iの分泌生産
(1)「hIGF−I遺伝子の構築」
hIGF−Iのアミノ酸配列は既に決定されている(J Biol Chem, 1978. 253(8): p. 2769-76)ので、このアミノ酸配列をコードするような塩基配列を構築した。構築した塩基配列を参考にして配列番号1〜6に示したプライマーを合成し、配列番号1〜6に示したプライマー自身を鋳型としてPCR反応を行った。その後、このPCR反応産物DNAを鋳型とし、配列番号7と配列番号8に示したプライマーを用いて再度PCR反応を行った。配列番号8に示したプライマーは、プラスミドへ挿入するために必要な制限酵素XbaIの認識配列を含んでいる。
PCR反応の結果、アガロースゲル電気泳動により約0.2kbの増幅断片を検出した。この断片をEASY TRAP Ver.2(宝酒造社製)を用いてアガロースゲルから回収した。回収したDNAをDNA Clean−UP system(Promega社製)により精製し、特開平9−070291号公報記載のpVC7のSmaI部位に挿入することによって、pVCIGFmを得た。ダイターミネーターサイクルシークエンシングキット(PEアプライドバイオシステムズ社製)とDNAシークエンサー377A(PEアプライドバイオシステムズ社製)を用いて挿入断片の塩基配列の決定を行い、予想通りの遺伝子が構築されていることを確認した。

配列番号1:5'-GGCCCTGAAACTCTGTGTGGTGCCGAACTGGTGGATGCCTTGCAGTTTGT-3'
配列番号2:5'-TTGTTAAAATAGAAGCCGCGATCGCCGCACACAAACTGCAAGGCATCCAC-3'
配列番号3:5'-CGCGGCTTCTATTTTAACAAACCAACCGGTTACGGTTCCAGCTCCCGCCG-3'
配列番号4:5'-CACTCATCGACGATTCCGGTTTGTGGAGCGCGGCGGGAGCTGGAACCGTA-3'
配列番号5:5'-ACCGGAATCGTCGATGAGTGCTGTTTCCGCAGCTGCGACCTCCGCCGCCT-3'
配列番号6:5'-GCCTCTAGATCATGCGGATTTTGCGGGCTTCAGGGGTGCGCAGTACATCTCCAGGCGGCGGAGGTCGCAGCT-3'
配列番号7:5'-GGCCCTGAAACTCTGTGTGG-3'
配列番号8:5'-GCCTCTAGATCATGCGGATTTTGCGGGCT-3'
(2)「C.glutamicum ATCC13869の細胞表層蛋白質遺伝子(cspB)のプロモーター、およびCorynebacterium ammoniagenes ATCC6872の細胞表層タンパク質のシグナル配列を有するhIGF−I遺伝子の構築」
C.glutamicum ATCC13869の細胞表層蛋白質遺伝子(cspB)のプロモーター、およびCorynebacterium ammoniagenes(以下、C.ammoniagenesと称す) ATCC6872の細胞表層タンパク質のシグナル配列を有するプロトランスグルタミナーゼの融合遺伝子は既に構築されて、pPSPTG1としてプラスミド上にクローン化されている(Kikuchi, Y. et al., Secretion of active-form Streptoverticillium mobaraense transglutaminase by Corynebacterium glutamicum: processing of the pro-transglutaminase by a cosecreted subtilisin-Like protease from Streptomyces albogriseolus. Appl Environ Microbiol, 2003. 69(1): p. 358-66.)。
C.glutamicum ATCC13869の細胞表層蛋白質遺伝子(cspB)の配列を参考にして配列番号9と配列番号10に示したプライマーを合成し、pPSPTG1を鋳型としPCR反応を行った。配列番号10に示したプライマーはhIGF−I遺伝子との融合遺伝子を構築するために、hIGF−IのN末端側のアミノ酸をコードする配列を含んでいる。

配列番号9:5'-GGCGGTACCCAAATTCCTGTGAATTAGCTG-3'
配列番号10:5'-CCACACAGAGTTTCAGGGCCTGCCGTTGCCACAGGTGCGG-3'
一方、参考例(1)の配列番号7と配列番号8のプライマーを用い、hIGF−I遺伝子の配列を含んでいる参考例(1)で構築したプラスミドpVCIGFからhIGF−Iをコードする領域をPCR法にて増幅した。
次に、増幅させたC.glutamicum ATCC13869の細胞表層蛋白質遺伝子(cspB)のプロモーター、およびC.ammoniagenes ATCC6872の細胞表層タンパク質のシグナル配列をコードする領域のPCR反応液1μLと、やはり増幅させたhIGF−Iの遺伝子領域のPCR反応液1μLを混ぜて鋳型とし、配列番号9と配列番号8を用いてクロスオーバーPCRを行い、C.glutamicum ATCC13869の細胞表層蛋白質遺伝子(cspB)のプロモーター、およびC.ammoniagenes ATCC6872の細胞表層タンパク質のシグナル配列をコードする領域に接続されたhIGF−Iの融合遺伝子を増幅させた。アガロースゲル電気泳動により約0.9kbの増幅断片を検出した。この断片をEASY TRAP Ver.2(宝酒造社製)を用いてアガロースゲルから回収した。回収したDNAを制限酵素KpnIとXbaI(宝酒造社製)により切断し、DNA Clean−UP system(Promega社製)により精製し、特開平9−322774記載のプラスミドpPK4(カナマイシン耐性遺伝子を含む)のKpnI−XbaI部位に挿入することによって、pPSIGFmを得た。ダイターミネーターサイクルシークエンシングキット(PEアプライドバイオシステムズ社製)とDNAシークエンサー377A(PEアプライドバイオシステムズ社製)を用いて挿入断片の塩基配列の決定を行い、予想通りの融合遺伝子が構築されていることを確認した。
(3)「hIGF−I生産株の作製」
(2)で作製したhIGF−I発現プラスミドpPSIGFmを用いてC.glutamicum AJ12036(FERM BP−734)(WO/2002/081694明細書)をエレクトロポレーション法により形質転換し、カナマイシン耐性株を取得した。
[実施例1]
(1)「組換えコリネ型細菌の培養液の調製」
25mg/Lのカナマイシンを含むCM2G寒天培地(酵母エキストラクト 10g、トリプトン 10g、グルコース 5g、NaCl 5g、寒天 15g、水で1Lにする)で30℃で一晩生育した(3)で作製したhIGF−I生産株を、25mg/Lのカナマイシンを含むCM2G液体培地(酵母エキストラクト 10g、トリプトン 10g、グルコース 5g、NaCl 5g、水で1Lにする)の20mLを含む500mL容の坂口フラスコに接種し、30℃で一晩培養した。これをシードとして用いた。メイン培養として、25mg/Lのカナマイシンを含むMMTG液体培地(グルコース 120g、CaCl2 2g、MgSO4・7H2O 3g、MnSO4・4H2O 0.03g、FeSO4・7H2O 0.03g、(NH42SO4 3g、KH2PO4 1.5g、チアミン塩酸塩 450μg、ビオチン 450μg、DL−メチオニン 0.15g、pH6.7、水で1Lにする)を1L容量のジャーファーメンターに300mL張り込み、シード量は5%(15mL)とし、アンモニアガスを添加してpH6.7に維持しながら、30℃、3日間、通気攪拌培養を行なった。
(2)「培養終了後の培養液のpH調整と放置」
培養終了後、25℃まで冷却した培養液の温度を一定に保ちつつ、穏やかに攪拌を続けながら,培養液の1/4体積のエタノールを該培養液に添加した。エタノール添加後の培養液のpHは6.8であった。pHの測定は、校正したガラス電極を用いて25℃で実施した(以下全て同じ)。エタノール添加終了直後に、培養液を複数に分割し,10質量%酢酸または10質量%アンモニア水を用いて培養液のpHを約9.0,約8.0,約6.8,約6.1,約5.2に調整した。なお、pH約6.8,約6.1,約5.2は比較例である。pHを調整した後,培養液を穏やかに攪拌しながら25℃で約17時間放置した。陰性対照として、培養終了後の培養液の一部を別に取り、穏やかに攪拌しながら25℃で約17時間放置した。
エタノール添加後にpHを調整した培養液のpHは、約17時間放置した後も、調整時の値が維持されていることが確認された。一方、陰性対照では、約17時間放置した後の培養液のpHは約5.6であり、変動していることが確認された。
(3)「培養液からの菌体の除去」
各培養液をマイクロチューブに移し、小型遠心機を用いて15,000回転、10分間遠心し、菌体を分離した。得られた遠心上清を、細孔径0.2μmの除菌フィルターでろ過し、得られたろ液を菌体除去済み培養液とした。
(4)「hIGF−Iの純度および収率の評価」
菌体除去済み培養液中のhIGF−Iの純度および収率は、逆相HPLCにより評価した。結果を図1中、“a”から“g”に示す。図1中、“a”は、培養終了後であって、エタノール添加前の培養液から調製した菌体除去済み培養液のクロマトグラムを、“b”は,培養終了後にエタノールを添加せず、pH調整も行わずに放置した培養液から調製した菌体除去済み培養液のクロマトグラムを、“c”、“d”、“e”、“f”、“g”はエタノール添加後にpHをそれぞれ約9.0,約8.0,約6.8,約6.1,約5.2に調整して放置した培養液から調製した菌体除去済み培養液のクロマトグラムを示す。なお、図1中、保持時間11.7分付近に現れているピークはhIGF−Iのピークであり、保持時間12.2分付近に、hIGF−Iのピークの右肩に現れている小さなピークはmhIGF−Iのピークである。“a”より、培養終了時にmhIGF−Iが副生物として発生していることがわかる。“b”より、pHを調整しなかった培養液において、hIGF−Iが減少し、mhIGF−Iが増加していることがわかる。“c”、“d”、“e”、“f”、“g”を比較すると、mhIGF−Iの量はpHに依存して変化し,pH8以上では減少することがわかる。“a”から“g”のクロマトグラムを比較すると、hIGF−Iのピーク高さが最も高く、かつmhIGF−Iのピーク高さが最も低いのは、pHを9に調整して放置した培養液であることがわかる。“a”のクロマトグラムから決定されたhIGF−Iの量(培養終了直後のhIGF−Iの量)を100%とすると、“a”のクロマトグラムから決定されたmhIGF−Iの量(培養終了直後のmhIGF−Iの量)、“c”のクロマトグラムから決定されたhIGF−Iの量(放置後のhIGF−Iの量)、および“c”のクロマトグラムから決定されたmhIGF−Iの量(放置後のmhIGF−Iの量)は、それぞれ20%、140%、0%であった。
なお、逆相HPLCに使用したカラムはYMC−Pack C8 OC30S05−1046WT,粒子径5μm,ポアサイズ30nm,内径4.6mm,高さ100mm(株式会社ワイエムシィ),流速は1mL/minとした。溶出には,溶離液A:0.1%TFA水溶液,溶離液B:0.1%TFA及び80%アセトニトリルを含有する水溶液を用い,0−5minで32%溶離液B−34%溶離液Bの直線濃度勾配,5−16minで34%溶離液B−39%溶離液Bの直線濃度勾配,16−17minで39%溶離液B−100%溶離液Bの直線濃度勾配をかけた後,必要に応じて洗浄した。実施例2も同様である。
[試験例]
「hIGF−IおよびmhIGF−Iの構造および物性の確認」
図1中“a”を示した菌体除去済み培養液を得たのと同様にして得られた菌体除去済み培養液を逆相HPLCに供し、保持時間11.7分付近に現れているピーク、および、このピークの右肩の保持時間12.2分付近に現れているピークをそれぞれ分取した。本分取操作を複数回行い、以下の分析操作を実施するに十分な量のhIGF−IサンプルおよびmhIGF−Iサンプルを得た。続いて、得られたサンプルをそれぞれ濃縮乾固した後、hIGF−Iサンプルについては、質量分析、N末端アミノ酸配列分析、生物活性測定に、mhIGF−Iサンプルについては、質量分析、N末端アミノ酸配列分析に供した。その結果、hIGF−Iサンプルについては、質量分析、N末端アミノ酸配列分析、生物活性測定全てにおいて、比較サンプルとして測定した市販hIGF−I(PEPROTECH,INC. Human IGF−I Cat.#100−11)と同等と判断される分析値を得た。mhIGF−Iは、質量分析の結果、hIGF−Iよりも70だけ大きい分子量を有しており、また、N末端アミノ酸配列分析の結果、N末端がブロックされていることがわかった。なお、質量分析は、ブルカー・ダルトニクス株式会社 エレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析計micrOTOFを、N末端アミノ酸配列分析は、株式会社島津製作所 全自動タンパク質一次構造分析装置PPSQ−21Aを用いて実施した。生物活性は、MCF−7細胞(ATCC#HTB−22)を用いて、Cancer Research, 1988. 48: p. 4083-92に示される方法を参考にして、細胞増殖活性を指標に決定した。
次に、濃縮乾固したmhIGF−Iサンプルを用いて、タンパク質分解酵素Asp−N(Roche Diagnostics GmbH、Endoproteinase Asp−N、Cat.No. 11420488001)による限定分解、続いて還元CM化反応を行い、得られたペプチド混合物をキャピラリー液体クロマトグラフィータンデム質量分析に供した。その結果、hIGF−Iのアミノ酸配列上、アミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドの分子量よりも70だけ大きい分子量を有するペプチド由来のイオンが検出された。さらに、このイオンを親イオンとする衝突誘起解離イオンを解析した結果、hIGF−Iのアミノ酸配列上、アミノ酸残基番号1番から3番からなるペプチドの分子量よりも70だけ大きい分子量を有するペプチド由来のイオンが検出された。以上より、mhIGF−Iは、N末端が修飾されたhIGF−Iであって、hIGF−Iよりも70だけ大きい分子量を有する分子種であることがわかった。なお、キャピラリー液体クロマトグラフィータンデム質量分析はサーモサイエンティフィック社 イオントラップ型質量分析計LCQを用いて実施した。
さらに、同様に濃縮乾固したhIGF−IサンプルおよびmhIGF−Iサンプルを用いて、Asp−Nによる限定分解、続いて還元CM化反応を行って得られたそれぞれのペプチド混合物を逆相HPLCに供し、hIGF−Iから得られるアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドおよびmhIGF−Iから得られるアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドをそれぞれ分取した。これら2種のペプチドをそれぞれ濃縮乾固した後2%の酢酸を含む50%メタノール水溶液に溶解し、hIGF−I由来N末端ペプチド溶液、mhIGF−I由来N末端ペプチド溶液とした。これらを混合し、高分解能質量分析に供したところ、モノアイソトピックイオンのm/z値として約1147および約1217の二つの分子種の存在が確認され、それらの精密な質量差は70.04であった。なお、逆相HPLCに使用したカラムはSunFire(TM) C18,粒子径5μm,内径4.6mm,高さ150mm(日本ウォーターズ株式会社),流速は1mL/minとした。溶出には,溶離液A:0.1%TFA水溶液,溶離液B:0.1%TFA及び80%アセトニトリルを含有する水溶液を用い,0−5minは0%溶離液B,5−6minで0%溶離液B−15%溶離液Bの直線濃度勾配,6−36minで15%溶離液B−45%溶離液Bの直線濃度勾配をかけた後,必要に応じて洗浄した。本条件で,hIGF−Iから得られるアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドおよびmhIGF−Iから得られるアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドは、それぞれ保持時間25分付近および26分付近に溶出する。高分解能質量分析はブルカーダルトニクス社 フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計APEX−II 70eを用いて実施した。
また、上記hIGF−I由来N末端ペプチド溶液およびmhIGF−I由来N末端ペプチド溶液をそれぞれマトリックス支援レーザ脱離イオン化タンデム飛行時間型質量分析計に供し、m/z値それぞれ約1147および約1217のイオンを親イオンとする衝突誘起解離イオンを比較したところ、約1217のイオンを親イオンとした場合にのみ、m/z値が約100のイオンが見出された。hIGF−Iから得られるアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドから、衝突誘起解離によって生じるN末端グリシン由来のa1イオンの質量は30である。これに70を加えた値が100となるため、このm/z値が約100のイオンは、mhIGF−Iから得られるアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドから衝突誘起解離によって生じたa1イオンと考えられ,mhIGF−Iから得られるアミノ酸残基番号1番から11番までからなるペプチドでは,N末端グリシンのアミノ基に70の質量増加が起こっているものと推定された。なお、マトリックス支援レーザ脱離イオン化タンデム飛行時間型質量分析は、島津製作所 AXIMA−TOF2を用いて実施し、マトリックスにはα−cyano−4−hydroxycinnamic acidを用いた。
[実施例2]
「培養終了後にhIGF−I生産菌を除去して放置した時のmIGF−Iの量の変化」
図1中“a”を示した菌体除去済み培養液を、25℃で約20時間放置した。放置開始時の培養液のpHは6.4であり、放置終了時にpHの変化は見られなかった。
放置終了後に、この菌体除去済み培養液中のhIGF−Iの純度および収率を、逆相HPLCにより評価した。結果を図1、“h”に示す。本条件により、mhIGF−Iが減少し、hIGF−Iが増加していることがわかる。“a”のクロマトグラムから決定されたhIGF−Iの量を100%とすると、“h”のクロマトグラムから決定されたhIGF−Iの量(放置後のhIGF−Iの量)、および“h”のクロマトグラムから決定されたmhIGF−Iの量(放置後のmhIGF−Iの量)は、それぞれ120%、0%であった。
本発明の方法により得られるhIGF−Iは、バイオ医薬品の有効成分となるタンパク質を生産する細胞、例えばCHO細胞の培地添加剤として使用できる。
実施例1及び2の逆相HPLCのクロマトグラムを示す。 “a”から“g”は実施例1の逆相HPLCのクロマトグラムである。“a”は、培養終了後であって、エタノール添加前の培養液から調製した菌体除去済み培養液のクロマトグラムを、“b”は,培養終了後にエタノールを添加せず、pH調整も行わずに放置した培養液から調製した菌体除去済み培養液のクロマトグラムを、“c”、“d”、“e”、“f”、“g”はエタノール添加後にpHをそれぞれ約9.0,約8.0,約6.8,約6.1,約5.2に調整して放置した培養液から調製した菌体除去済み培養液のクロマトグラムを示す。 “h”は実施例2の逆相HPLCのクロマトグラムである。すなわち、培養終了後の培養液から調製した菌体除去済み培養液を放置した後に、該培養液を逆相HPLCに供して得られたクロマトグラムを示す。

Claims (15)

  1. ヒトインシュリン様成長因子Iの製造方法であって、該製造方法が、
    (A) ヒトインシュリン様成長因子I生産菌の培養液のpHを培養終了後に8以上に調整する工程;
    (B) 工程(A)で得られた培養液を放置する工程;および
    (C) 工程(B)で得られた培養液から該生産菌を除去する工程;
    を含む、ヒトインシュリン様成長因子Iから、修飾を受けたヒトインシュリン様成長因子Iを除去する工程を含むことを特徴とする前記製造方法。
  2. 前記生産菌が、組換えコリネ型細菌である請求項1記載の製造方法。
  3. 前記組換えコリネ型細菌が、組換えCorynebacterium glutamicumである請求項2記載の製造方法。
  4. 工程(A)の前に、工程(A)の後であって工程(B)の前に、又は工程(A)中に、前記培養液に有機溶媒を添加する工程(D)を更に含む、請求項1〜3いずれか1項記載の製造方法。
  5. 前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、およびアセトニトリルからなる群から選ばれる請求項4記載の製造方法。
  6. 工程(B)において、前記培養液を2時間以上放置する、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 工程(B)において、前記培養液を−10〜50℃の温度において放置する、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. ヒトインシュリン様成長因子Iの製造方法であって、該製造方法が、
    (a) ヒトインシュリン様成長因子I生産菌の培養液から該生産菌を除去する工程;
    (b) 工程(a)で得られた培養液のpHを5以上に調整する工程;および
    (c) 工程(b)で得られた培養液を放置する工程;
    を含む、ヒトインシュリン様成長因子Iを含む培養液から、修飾を受けたヒトインシュリン様成長因子Iを除去する工程を含むことを特徴とする前記製造方法。
  9. 前記生産菌が、組換えコリネ型細菌である請求項8記載の製造方法。
  10. 前記組換えコリネ型細菌が、組換えCorynebacterium glutamicumである請求項9記載の製造方法。
  11. 工程(a)の前に、又は工程(a)中に、前記培養液に有機溶媒を添加する工程(d)を更に含む、請求項8〜10のいずれか1項記載の製造方法。
  12. 前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、およびアセトニトリルからなる群から選ばれる請求項11記載の製造方法。
  13. 工程(c)において、前記培養液を2時間以上放置する、請求項8〜12のいずれか1項記載の製造方法。
  14. 工程(c)において、前記培養液を−10〜50℃の温度において放置する、請求項8〜13のいずれか1項記載の製造方法。
  15. ヒトインシュリン様成長因子Iの製造方法であって、該製造方法が、
    (A) ヒトインシュリン様成長因子Iを生産するコリネ型細菌の培養液のpHを培養終了後に8以上に調整する工程;
    (B) 工程(A)で得られた培養液を放置する工程;および
    (C) 工程(B)で得られた培養液から該菌体を除去する工程;
    を含み、かつ、上記(A)および(B)の工程に有機溶媒が存在しないことを特徴とする、前記製造方法。
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