《画像形成装置例》
図8は本発明に係る定着装置を搭載可能な画像形成装置の一例の構成模型図である。この画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザービームプリンタである。
本実施例1に示す画像形成装置は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)101を備えている。感光ドラム101は、画像形成装置の筐体を構成する画像形成装置本体Mによって回転自在に支持され、駆動手段(不図示)により矢印R1方向に所定のプロセススピードで回転駆動される。感光ドラム101の周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電ローラ(帯電装置)102、露光手段103、現像装置104、転写ローラ(転写装置)105、クリーニング装置106が配設されている。また、装置本体Mの下部には、転写紙、OHPシート等の記録媒体としての記録材11を収納した給送カセット107が配置されており、記録材11の搬送経路に沿って上流側から順に、給送ローラ108、搬送ローラ109、トップセンサ110、搬送ガイド111、加熱定着装置100、排紙センサ112、搬送ローラ113、排出ローラ114、排出トレイ115が配置されている。
駆動手段により矢印R1方向に回転駆動された感光ドラム101は、帯電ローラ102によって所定の極性、所定の電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム101は、その表面に対しレーザー光学系等の露光手段103によって画像情報に基づいた画像露光Lがなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置104によって現像される。現像装置104は、現像ローラ104aを有しており、この現像ローラ104aに現像バイアスを印加して感光ドラム101上の静電潜像にトナーを付着させトナー画像として現像(顕像化)する。トナー画像は、転写ローラ105によって紙等の記録材11に転写される。
記録材11は、給送カセット107に収納されており、給送ローラ108によって給送され、搬送ローラ108によって搬送され、トップセンサ110を介して、感光ドラム101と転写ローラ105との間の転写ニップ部に搬送される。このとき記録材11は、トップセンサ110によって先端が検知され、感光ドラム101上のトナー像と同期がとられる。転写ローラ105には、転写バイアスが印加され、これにより、感光ドラム101上のトナー像が記録材11上の所定の位置に転写される。
転写によって表面に未定着トナー画像を担持した記録材11は、搬送ガイド111に沿って定着装置100に搬送され、ここで未定着トナー画像が加熱、加圧されて記録材11上に定着される。
トナー画像定着後の記録材11は、搬送ローラ113によって搬送され、排出ローラ114によって装置本体Mの上面の排出トレイ115上に排出される。
トナー画像転写後に感光ドラム101表面に残る残留トナーはクリーニング装置106のクリーニングブレード106aによって除去される。これによって感光ドラム101は次の画像形成に供される。
《定着装置100》
図1は定着装置100の一例の横断側面模型図である。図2は定着装置100の縦断側面模型図である。図3は定着装置100を記録材導入側から見た外観図である。この定着装置100は定着回転体を外部から加熱する外部加熱方式の定着装置である。
本実施例1に示す定着装置100は、定着回転体(定着部材)としての定着ローラ1と、バックアップ部材としての加圧ローラ6と、加熱手段としての加熱ヒータ12と、を有する。
定着ローラ1は、芯金2と、この芯金2の外周に設けられた断熱弾性層としての低熱伝導性の弾性層3と、この弾性層3の外側に設けられた第1の層としての高熱伝導性の弾性層4と、この弾性層4の外側に設けられた第2の層としてのフッ素樹脂層5、とを有する。この定着ローラ21は、芯金2の両端部が装置フレーム(不図示)の側板対に回転自在に保持されている。
加圧ローラ6は、芯金7と、この芯金7の外周に設けられた弾性層8と、この弾性層8の外側に設けられた離型層9と、を有する。この加圧ローラ6は、定着ローラ1の下方において定着ローラ1と並列に配置され、芯金7の両端部が装置フレームの側板対に回転自在に保持されている。この加圧ローラ6に対し定着ローラ1を芯金7の両端部で加圧機構(加圧手段)により加圧することによって、定着ローラ1の外周面(表面)を加圧ローラ6の外周面(表面)に加圧状態に接触させている。これによって加圧ローラ6表面と定着ローラ1表面間に未定着のトナー像tの定着に必要な所定幅のニップ部(定着ニップ部)23を形成している。
《定着ローラ1》
定着ローラ1の外径は約20mmである。定着ローラ1は、直径13mmのステンレス製の芯金2の外側に、厚みおよそ3mmの低熱伝導性シリコーンゴムで形成された断熱弾性層3を有する。その弾性層3の外側に、厚さ80μmの高熱伝導性シリコーンゴムからなる高熱伝導性の弾性層4を有する。そしてその弾性層4の外側に、厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層5を有する。
a)低熱伝導性の弾性層
低熱伝導性の弾性層3はシリコーンゴム組成物であり、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部に平均粒子径が500μm以下の中空フィラーを0.1〜200重量部配合してなるシリコーンゴム組成物を加熱硬化して形成される。ここで、中空フィラーとしては、硬化物内に気体部分を持つことでスポンジゴムのように熱伝導率を低下させるもので、マイクロバルーン材等があり、このような材料としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーンなど、いかなるものでもかまわない。無機系マイクロバルーンの具体例を以下に挙げるが、無機系マイクロバルーンこれらに限定されない。シラスバルーンとしては、イヂチ化成(株)製のウインライト、三機工業(株)製のサンキライトなどである。ガラスバルーンとしては、日本板硝子(株)製のカルーン、旭ガラス(株)製のセルスター、3M(株)製のグラスバブルズフィラーなどである。シリカバルーンとしては、旭硝子(株)製のQ−CELなどである。フライアッシュバルーンとしては、PFAMARKETING(株)製のCEROSPHERESなどである。アルミナバルーンとしては、昭和電工(株)製のBWなどである。ジルコニアバルーンとしては、ZIRCOA(株)製のHOLLOW ZIRCONIUM SPHEESなどである。カーボンバルーンとしては、呉羽化学(株)製クレカスフェアなどである。これらの中では、中空フィラー自体が弾性を有するものが好適である。すなわち、熱可塑性樹脂製中空バルーン、特に塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合物或いはこれらのうち、2種以上の共重合物などからなるものが好適である。さらには、熱膨張マイクロバルーン材として、松本油脂製薬株式会社の松本マイクロスフェア−Fシリーズ、エクスパンセル社のエクスパンセルシリーズ等などを挙げることができる。熱膨張マイクロバルーンの場合には、未膨張の樹脂マイクロカプセルは通常その直径が約1〜50μmであり、これを適切な加熱温度で膨張させ直径が約10〜500μm程度のほぼ真球に近い球体とすることができる。
また、中空フィラーの強度を持たせるため等の理由で、表面に無機フィラー等を付着させたものでもよい。この場合、シリコーンゴム組成物内で十分な熱伝導性の低下を行うには、中空フィラーの真比重が0.01〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5である。但し、熱膨張マイクロバルーンを用いる場合には、未膨張時のマイクロバルーンの真比重は0.5〜1.4程度が好ましい。真比重が小さすぎると配合・取り扱いが難しいばかりか、中空フィラーの耐圧強度が不十分で成形時に破壊してしまい、軽量化、熱伝導率の低下ができなくなってしまう。また、比重が大きすぎると、中空フィラーの殻の厚さが大きく、熱伝導性の低下が十分とはならない場合が生じる。
また、中空フィラーの平均粒子径は、500μm以下、好ましくは300μm以下である。平均粒子径が大きすぎると成形時の射出圧力により中空フィラーが破壊されてしまい、熱伝導率が高くなってしまったり、ロール成形後の表面の粗さが大きくなってしまうなどの問題が生じる。中空フィラーの平均粒子径の下限は特に制限されないが、通常、10μm、特に20μmである。なお、ここでの平均粒子径は、通常、レーザー光回折法による重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
上記中空フィラーの配合量は、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部に対し0.1〜200重量部であり、好ましくは0.2〜150重量部、より好ましくは0.5〜100重量部である。この場合、中空フィラーの熱定着ロール用シリコーンゴム組成物中での含有量が体積比で10〜80%、特に15〜75%となるように配合することが好ましい。体積割合が少なすぎると熱伝導率の低下が不十分で、また多すぎると成形、配合が難しいだけでなく成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまうおそれがある。また、熱膨張マイクロバルーンを未膨張でオルガノポリシロキサン組成物に混入させる場合には、マイクロバルーンが熱膨張することを考慮してオルガノポリシロキサン組成物100重量部に対して未膨張のマイクロバルーンを0.1〜10重量部程度混入、加熱硬化させることで断熱性の良好な断熱層を形成できる。
一方、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物としては、シリコーンゴム層を形成する公知の組成の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を使用することができ、有機過酸化物硬化型のものでも付加反応硬化型のものでもよい。また、このオルガノポリシロキサン組成物の構造は基本的には直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状構造、環状構造などであってもよい。分子量については、特に限定なく、粘度の低い液状のものから、粘度の高い生ゴム状のものまで使用できる。硬化してゴム状弾性体になるためには、25℃での粘度が、100センチポイズ以上であり、通常100〜1,000,000、特に500〜100,000であることが好ましい。
上記熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、その他の成分として、必要に応じて、シリカ微粒子、炭酸カルシウムのような充填剤、補強剤となるシリコーン系のレジン、カーボンブラック、導電性亜鉛華、金属粉等の導電剤を配合することは任意とされる。
また、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、酸化鉄、酸化セリウムのような耐熱剤を配合することも任意とされる。また、ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤、接着性付与剤、チクソ性付与剤、連泡化剤としてのトリエチレングリコール等を配合することも任意とされる。
ここで、本実施例1のシリコーンゴム組成物は、その硬化物(シリコーンゴム)の熱伝導度が0.15W/mK以下、好ましくは0.13W/mK以下であることが望ましく、かかる熱伝導度を達成するように配合組成を調整することが好ましい。熱伝導度が0.15W/mKより高いと、本発明の目的を達成し得ない。
定着ローラ1の熱容量が大きく、熱伝導率が少しでも大きいと、外表面から受ける熱を吸収しやすく、表面温度が上昇しにくくなる。できるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質のほうが定着ローラ1に適しており、本実施例1のように気泡を内部に含むゴムを使用することが望ましい。本実施例1で使用したシリコーン製バルーンゴムの熱伝導率は0.12W/mKであり、通常のソリッドゴムと比較して半分以下の熱伝導率を示す。
バルーンゴムの熱伝導率は表面熱伝導率計(商品名:QTM−500、京都電子(株)製)により測定した。すなわち、定着ローラ1の断熱シリコーンゴム層の表面にセンサープローブ(型式:PD−11、京都電子(株)製)を接触させて断熱シリコーンゴム層の熱伝導率を測定した。
上記断熱シリコーンゴム層の厚さは特に制限されないが、有効な断熱性を有し、かつ熱容量が大きくなりすぎず、小径の定着ローラ1を構成するためには、2.0〜5.0mm、好ましくは2.5〜4.0mmとすることが好ましい。
また、断熱層を形成するシリコーンゴム組成物として、従来より広く使用されているスポンジ状シリコーンゴム層を挙げることができる。これはシリコーンゴムを発泡処理した弾性層であり、本実施例1でも使用することは可能である。該発泡シリコーンゴムは、熱分解型発泡剤を添加する方法や硬化時に副生する水素ガスを発泡剤として発泡体を成形する方法などがある。ところが、熱分解型発泡剤を添加する方法は、その分解ガスの毒性や臭いが問題とされており、また硬化触媒に白金触媒を使用するものでは発泡剤による硬化阻害が問題とされていた。さらに、硬化時に副生する水素ガスを利用する方法においては、水素ガスの爆発性、未硬化物の保存時の取り扱いに注意を要するなどの問題があった。しかも、射出成形のような金型内で発泡させる成形においては、微小かつ均一なセルを有する発泡シリコーンゴムを得ることが難しいという問題があった。微小かつ均一なセルの形成が困難なため、発泡シリコーンゴム中のセル径は不均一に成形されやすく、セルの壁厚も不均一で強度のバラツキが大きかった。このことから、小さな曲率半径で定着ローラ1に加圧力をかけ続けると強度の弱いセル壁が破れ、破泡に至ることが確認されている。また、発泡シリコーンゴムでは、耐久性と断熱性を両立することが困難になっていた。すなわち不均一な発泡径の発泡シリコーンゴムの場合には、断熱性を増すために発泡倍率を上げると弾性層を構成するセル壁がさらに薄くなり、耐久によって破泡がさらに起こりやすくなるという不具合が生じやすくなってしまう。
よって、本実施例1において発泡シリコーンゴムを定着ローラ或いは定着ベルトの断熱層として使用する場合には、画像形成装置の速度や加熱定着装置の寿命がある程度の範囲でのみ使用可能となる。以上のことから、定着ローラ1に使用する断熱層の材料としては、画像形成装置の高速化、加熱定着装置の長寿命化という観点から次のものが適している。すなわち、前述したマイクロバルーン等のバルーンや吸水性ポリマーが含有されたオルガノポリシロキサンを主成分とする液状シリコーン組成物が適している。
b)高熱伝導性の弾性層
高熱伝導性の弾性層4はソリッド(発泡されていない中実)のシリコーンゴムからなり、熱伝導率を上げるために高熱伝導性の粒子を添加している。フィラーとして使用される材質としては、結晶性シリカ、アルミナ、窒化アルミ、炭化シリコン等に代表されるセラミックスのような、無機系の材料が一般的であり、本実施例1では窒化アルミ粒子を用いている。これらのようなセラミックス材料の熱伝導率は状態により大きく変化するが、窒化アルミは、理論的には300W/mK以上の熱伝導率を有する材料であり、大きな熱伝導率改善が期待できる。無論、これらの材料はいずれも10W/mK以上の熱伝導率を有しており、充分にゴムや樹脂材料よりも高い熱伝導性を有している。一般的には熱伝導性改善の目的のために使用されるフィラーである。どれを用いても、本発明の目的を達成することが可能である。また、これら以外にも熱伝導フィラーは存在するため、上記4つのフィラーに限定されることは無い。
添加量はソリッドシリコーンゴム層4に対して、30容量%である。熱伝導フィラーの作動原理からすると、添加量は多ければ多いほど、熱伝導率改善効果が大きくなるが、熱伝導率以外のゴムに要求される特性を損なう可能性がある。経験的に本発明者らは30容量%程度がゴム特性を失わずに層形成できる限界と考えており、本実施例1でもその値を採用している。窒化アルミの平均粒径は30μmのものを使用した。
ソリッドシリコーンゴム層4の厚みも厚いほど蓄熱効果が得られるが、熱容量も増えるため、厚すぎるとかえって定着効率を損ねることとなる。また、この層の厚みは記録材11の搬送速度によっても変化させることが望ましい。これは搬送速度によって熱のやり取りが行われる層の厚みが異なってくるからである。本発明者らが計算した結果によれば、搬送速度が遅い場合には定着ローラの表面からより深い部分までに存在する熱が定着に寄与するが、搬送速度が速くなるに従い、より表面から浅い部分の熱のみが定着に寄与するようになることがわかっている。すなわち搬送速度が速い場合には蓄熱層としてのソリッドシリコーンゴム層は薄いもので十分であり、もし必要以上に厚い層を設けると、熱容量が増大し、内部への熱の拡散を許してしまい、効率を損ねることになるのである。現行のLBP(レーザービームプリンタ)においては、記録材11の紙搬送速度は、遅いものでおおよそ50mm/sec、速いもので300〜400mm/sec程度である。この速度から予測されるソリッドシリコーンゴム層4の厚みはおおよそ50μm〜200μmの範囲に含まれる。後述する本実施例1における記録材搬送速度は311mm/secであり、この速度での最適な厚みが計算によると80μmなのである。
c)フッ素樹脂層
フッ素樹脂層5は熱伝導フィラーとしてSiC(炭化シリコン)をフッ素樹脂層5に対して30容量%程度添加し、熱伝導率を高めている。SiCの熱伝導率は理論値で270W/mKであり、フッ素樹脂層5の熱伝導率を大きく改善できる。SiCの平均粒径は1μmのものを使用した。
d)熱伝導フィラーのサイズ、及び形状
上述したように、定着ローラ1の径方向において内側にあるソリッドシリコーンゴム層4と外側にあるフッ素樹脂層5のうち、ソリッドシリコーンゴム層4に含まれる熱伝導フィラーの平均粒径がフッ素樹脂層5に含まれる熱伝導フィラーの平均粒径よりも大きい。
ソリッドシリコーンゴム層4は、シリコーンゴムなどの材料からなる弾性体であり、外部加熱手段12からの熱を蓄熱し、ニップ部23に至るまで熱を保持し、ニップ部23では記録材11への熱の拡散を行うものである。フッ素樹脂層5は、フッ素樹脂を主材料とする離型層であり、記録材11上の未定着トナー画像10が定着ローラ1表面へ転移するのを防ぐ役割を担う。
ところで、上記の2つの層4,5は、熱源からの熱を受け取る、及び、記録材11へ熱を供給する、というプロセスの際に、熱の移動速度を上げるために、熱伝導フィラーを添加することで、熱伝導性を高めなくてはならない。熱伝導率を改善するためには、熱伝導フィラーの添加量および粒径を考慮する必要がある。熱伝導フィラーの添加量を多くすればするほど、熱伝導率は改善されるが、母材である弾性体の特性への影響も現れてくる。すなわち、熱伝導を改善するために、添加量を増やすと、例えば弾性体に求められる柔軟性が損なわれてしまう。また、多すぎれば弾性体自体を形成することが困難になる可能性もある。このような観点から、熱伝導フィラーの添加量は制限されてしまう。
一方、熱伝導フィラーの粒径も母材の熱伝導率改善に寄与する要因である。例えば、同じ容量添加率でも、フィラーの粒径が大きいと、フィラー同士の接触による熱の伝達経路(以後、熱パスと記述する)を作りやすい。すなわち、熱伝導率がより大きく改善される。これを図4を用いて説明する。
図4において、(a)は蓄熱層95に小粒径フィラー96を添加したときの概略図である。フィラー96についてどれくらいが小径であるという閾値は無いが、仮に蓄熱層が100μmの厚みを持つとするとき、フィラー96は13μm程度であるとする。フィラー同士の接触があり、熱パスが形成されているものの、フィラー自体が小径であり、パス自体は細いものが形成されている。また、小径であるために、所々で熱パスが途切れたりもする。
(b)は蓄熱層97に大粒径フィラー98を添加したときの概略図である。フィラーの体積含有率は同図(a)のものとあわせてある。フィラー98の直径はフィラー96の約4倍である、50μmである。
フィラーのサイズが大きくなると、フィラー同士が接触する確率がほぼ100%に近くなってくる。フィラーのサイズが大きいために、熱パスの幅も太く、蓄熱層97の断熱弾性体99側から離型層100側まで、途切れることの無い、太い熱パスが安定的に形成される。
内側にある弾性体(蓄熱層97)では、この思想に基づき、粒径の大きなフィラーを添加することで、熱パスを増やし、大きく熱伝導率を上げることができる。熱の受け渡しスピードを高めることができ、より熱効率の高い定着ローラを形成することが可能となる。
外側にある離型層100にも高い熱伝導率が求められるが、その一方で、離型性も求められる。粒径の大きなフィラーを用いると、そのフィラーの凹凸がそのまま離型層の表面に現れてしまい、離型性を損ねてしまう。また、離型層の厚みよりも大きな粒径のフィラーを用いれば、そのフィラーが離型層の表面に露出してしまい、離型性を大きく損ねる。そこで、表面性に影響を与えないような、小さい粒径のフィラーを用いることでこれらの表面性の問題を解決することができる。
図5は離型層101にフィラーを添加したときの概略図である。
図5において、(a)は離型層101に離型層101の厚みよりも大きな粒径を持つフィラー102を添加したときの様子を示している。離型層101の膜厚は30μmで、フィラーの大きさは50μmとしている。膜厚よりも大きなフィラーが混入されれば、離型層101に含まれきれずに、表面にフィラーが露出してしまう。この露出したフィラーを基点に、定着ローラ1にトナーが付着し、オフセットやローラ汚れ、巻きつきジャムなどの問題を引き起こしてしまう。また、フィラーが大きすぎると、離型層101自体を形成することが出来なくなる可能性もある。
(b)は離型層101に添加するフィラー粒径を離型層101の厚みと同じである30μmとしたときである。フィラー103を内包しようとすれば、離型層101の表面は荒れてしまい、所々では内包しきれずにフィラーが露出する可能性もある。熱伝導はかなり改善されると思われるが、トナーに対する離型性は依然、低い。
(c)にはサイズを半分の15μmとしたフィラー104を添加したときの概略図を示している。フィラーサイズが小さくなったものの、熱パスは形成されていて、熱伝導は良好であると考える。しかし、良好な離型性を保つ表面性は損なわれている可能性がある。
(d)にはフィラーサイズを1μmとしたときの様子を示している。熱パスは少ないものの、良好な表面性が得られ、未定着トナー画像への離型性も高いものと考えられる。
従って、未定着トナー画像の離型に直接関係しない蓄熱層97の熱伝導率を粒径の大きなフィラーを添加し、未定着トナー画像の離型に関係する離型層101には粒径の小さいフィラーを添加することで、離型性と熱伝導性のバランスが取れた層とすることができる。これによって、離型性と高熱伝導性の双方を兼ね備えた定着ローラ1を実現することが可能となり、ひいては熱効率の高い外部加熱方式の定着装置を提供することが可能となる。
次に、フィラーの形状について述べる。本実施例1に用いられるフィラーの形状は特に限定されない。フィラー全般では、球または板状であることが多く、その中でも球状が多い。一般に、熱パスの形成には板状などの、アスペクト比の高いフィラーを用いるのが有効とされているが、成形後に異方性があったり、フィラーそのものに物性のばらつきがあったりする。また、本実施例1に用いた窒化アルミはそのサブミクロン〜数十ミクロンの粒径範囲において、球形として形成することが難しく、本実施例1では球形度の低い無定形のフィラーを用いている。
次に、定着ローラ1の製造方法に関して述べる。
図6は定着ローラ1の製造方法の一例の説明図である。
第一工程では、円筒状金型の内面に樹脂材料を塗装して、樹脂層を形成する。具体的には、(a)に示すように、フッ素樹脂紛体を静電塗装により塗装し、焼成して、円筒状金型25の内面に、フッ素樹脂層5を形成した。
第二工程では円筒状金型25の内面に形成されたフッ素樹脂層5の上に、ソリッドシリコーンゴム層4を形成する。(b)に示すように、フッ素樹脂層5の上に、ソリッドシリコーンゴム材料を塗布し、所望の温度において加熱処理し、ソリッドシリコーンゴム層4を得た。
(c)は第三工程である。第三工程では円筒状金型25の中空内にステンレス製芯金2を挿入する。芯金2の外周面(表面)には接着剤を塗布しておき、円筒状金型25と芯金2の軸芯を合わせる。
(d)は第四工程である。第四工程では芯金2とソリッドシリコーンゴム層4の間に、バルーンゴム材料を注入し、加硫して低熱伝導の弾性層3を形成する。
以上のような製法によれば、フッ素樹脂層5の材料である、フッ素樹脂紛体へのフィラー紛体を変更することで、様々なフッ素樹脂層5を形成することができ、フィラー添加のフッ素樹脂層5を形成するのに好適である。
《加圧ローラ6》
加圧ローラ6はステンレス製の芯金7の外側に厚みおよそ3mm、外径約20mmのシリコーンゴムで形成された弾性層8を、さらにその外側に厚さ30μmのフッ素樹脂からなる離型層9を設けた構成から成る。
加圧ローラ6に用いられる弾性層8の材質としても、できるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質が望ましい。そのため、本実施例1では定着ローラ1に用いられている弾性層3と全く同様の材質で加圧ローラ6の弾性層8を形成した。
定着ローラ1と加圧ローラ6は互いに軸方向に並列になるように配列され、総圧294N(30kgf)で圧接されている。このとき定着ローラ1表面と加圧ローラ6表面間にはニップ部Nが形成される。本実施例1におけるニップ23の幅はおよそ8mmであった。
定着ローラ1は芯金2端部に設けられた駆動ギアG(図3)が駆動系Mにより回転駆動されることによって矢印の時計方向に回転駆動される(図1)。その定着ローラ1の回転力はニップ部23を通じて加圧ローラ6に伝達される。これにより加圧ローラ6は定着ローラ1の回転に伴い矢印の反時計方向に従動回転する。そしてその加圧ローラ6はニップ部23に未定着トナー像10を担持した記録材11が導入されたときに定着ローラ1と協同して記録材11を挟持搬送する。本実施例1では記録材11の搬送速度は311mm/secとしている。
《加熱手段12》
本実施例1において加熱手段12は定着ローラ1を外側から加熱する外部加熱手段であり、従来公知のフィルム加熱方式のセラミックヒーターユニットの一部を使用している。
すなわち、この外部加熱手段12は、加熱体としてのセラミックヒーター13と、ヒーター13を支持する支持体としての横断面樋型形状のステー14と、そのステー14に外嵌されたステンレスからなる薄肉円筒形状のフィルム15(可撓性部材)と、を有する。ステー14は底部に設けられた溝部によってヒーター13を支持している。
本実施例1に示すヒーター13は裏面発熱タイプのヒーターであり、後述のように主として窒化アルミからなる基板面を加熱面としている。したがって、基板面が定着ローラ1の内周面(内面)と接するように構成するため、ステー14と接着される面はAg/Pd通電発熱抵抗層17およびガラスからなる保護層20が塗布されている面である。
図7の(a)はヒーター13の裏面側の平面図、(b)は(a)においてA−A線にて示されるヒーター13の断面をB側から見た拡大断面図である。
ヒーター13は、細長い窒化アルミ製の基板16を有する。その基板16は長手方向長さ285mm、長手方向と直交する短手方向長さ(幅)8.75mmである。基板16の裏面(ステー14側の面)には、基板16の長手方向に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)等の通電発熱抵抗層17がスクリーン印刷により厚み10μm程度、長手方向長さ225mm、幅376mm程度の細帯状で折り返したパターンで塗布されている。その抵抗層17は基板16の長手方向中央を基準として対称となるように基板16の裏面(ステー14側の面)に塗布してある。この抵抗層17の長手方向長さはニップ部23における記録材の搬送領域(図3)と対応している。基板16の一方の長手方向端部付近には3.7mm×3.7mmの大きさのAg/Pt電極18が2つ形成されている。そして抵抗層17と電極18が電極18と同じ材料でなる導電層19aにより接続されている。また抵抗層17は基板16の長手方向他端部付近において電極18と同じ材料でなる導電層19bにより接続されている。そして基板16上の抵抗層17は厚み50μmのガラスからなる保護層20により被覆され保護されている。また、基板16の表面(フィルム15側の面)には厚み12μmのガラスからなる摺動保護層21が塗布されている。
フィルム15は厚み25μmのステンレス基材の上に8μmのフッ素コートが施された直径18mmの無端フィルムである。
上記の外部加熱手段12をヒーター13側を定着ローラ1に対して軸方向に並行になるように配列し、ステー14の長手方向両端部を装置フレームの側板対に設けられた加圧機構(加圧手段)により総圧98N(10kgf)で定着ローラ1側に加圧している。これにより、フィルム15を挟んでヒーター13を定着ローラ1表面に加圧し、フィルム15の外周面(表面)と定着ローラ1表面間に所定幅の加熱ニップ部24を形成している。本実施例1における加熱ニップ部24の幅はおよそ5.5mmであった。
定着ローラ1が回転駆動されると、その定着ローラ1の回転力は加熱ニップ部24を通じてフィルム15に伝達される。これによりフィルム15は定着ローラ1の回転に伴い矢印の反時計方向に従動回転する。
《定着装置100の加熱定着動作》
定着ローラ1が回転駆動され、この定着ローラ1の回転に伴い加圧ローラ6と外部加熱手段12のフィルム15が従動回転すると、制御手段としての制御回路51が給電手段としての給電回路51をオンする(図7(a))。これによりヒーター13の抵抗層17に給電回路51から通電がなされて抵抗層17が発熱し、その熱によって定着ローラ1表面が加熱される。定着ローラ1の回転方向において加熱ニップ部24とニップ部23との間に定着ローラ1表面と近接又は接触して設けられたNTCサーミスタなどの温度検知手段22(図1)により定着ローラ1表面の温度を検知し、その検知信号S1を制御回路51が取り込む。制御回路51は、温度検知手段22からの検知信号S1に基づいて定着ローラ1の表面温度が所定の温度(目標温度)に維持されるようにヒーター13の抵抗層17への通電量を制御する。これにより定着ローラ1の表面温度は所定の温度に温調される。ニップ部には未定着トナー画像10を担持した記録材11が導入され、その記録材11はニップ部23で定着ローラ1と加圧ローラ6により挟持搬送される。その搬送過程において記録材11上のトナー画像10に定着ローラ1の熱とニップ部23の圧力を付与することによりトナー画像10を記録材11上に加熱定着する。ニップ部23を出た記録材11は搬送ローラ113に搬送される。
《フッ素樹脂層5に含まれるフィラー平均粒径の影響》
本実施例1の定着装置の構成にて、定着強度の測定およびオフセットのテストを行った。定着強度とは未定着トナー画像を定着装置で定着し、定着されたトナー画像がどれだけの力で記録材上に定着しているかを表し、濃度低下率(単位:%)をもって表される。次に濃度低下率の測定方法を述べる。
未定着トナー画像(以下、未定着画像と記す)は、黒およびハーフトーン(灰色)の5mm角の画像が記録材としてのレターサイズ用紙の上に9ヶ所配されたものを用いる。
未定着画像のハーフトーンパターンは画素密度600dpiを3×3のマトリックスで形成し、これを1ドット1スペースで千鳥状に形成したパターンである。
定着装置により定着されたトナー画像(以下、定着されたトナー画像を画像と記す)のハーフトーンの濃度を濃度測定器(マクベス社製)にて測定後、専用の擦り試験機で画像を擦り、擦り後のハーフトーンの濃度を再び測定し、濃度の低下率を計算する。
擦り試験機は、静電気により用紙(記録材)を固定する台の上に、用紙上に9ヶ所配された5mm角の黒およびハーフトーンパターンに合わせて200gの金属製の重りをのせる構造となっている。用紙と重りの間にはシルボンC紙(小津産業社製)が挟まれている。用紙を固定する台は紙の長手方向に往復運動できるようになっており、このとき画像はシルボンC紙に擦られて欠落する。本例では5往復させて画像を擦った。
この濃度の低下率はレターサイズ用紙上の9ヶ所のハーフトーン画像全てに関して計算し、平均値を算出し、その条件での定着強度をあらわす指標とする。今回の測定では室温23℃、湿度50%に保たれた実験室内で記録材としては坪量90gのラフ紙(Fox River Paper社製 フォックスリバーボンド)における濃度低下率が10%となるように各定着方式におけるプロセス条件を定めた。
上記環境において濃度低下率10%であれば、通常、指で強く擦っても紙からトナーが落ちないレベルであり、十分に実用に耐えうる水準にある。したがって、以下、坪量90gのラフ紙(Fox River Paper社製 フォックスリバーボンド)における濃度低下率が10%となる定着ローラ温度を、定着温度と表現する。
また、オフセットのテストは定着強度の測定と兼ねて行った。オフセットとは、用紙上の未定着トナーが定着ローラに転移し、定着ローラが一周したあと、その転移トナーが再び用紙上に転移された画像不良のことをいう。オフセットは、低温時の定着不良時に生じるもの、定着ローラの帯電による静電的なもの、および定着ローラ1の温度が高すぎるときに生じる高温オフセットに大別できる。
定着強度を測定するのに使う黒およびハーフトーンの5mm角パターンがもしオフセットすれば、定着ローラの直径が20mmであるため、その画像の約60mm後方の用紙上にオフセットによる画像不良が現れるはずである。
以上を念頭に置き、検討を行った結果を詳述する。
まず、定着温度であるが、170℃であった。本実施例1の定着装置では、定着ローラ1と、それを外部からフィルム15を介して加熱するヒーター13には、温度差が生じる。これは、主にヒーター13と定着ローラ1との間に介在させたフィルム15の接触熱抵抗によるものであるが、本発明者らの検討においてはおおよそ70deg〜80deg程度であった。この値はヒーター13の構成や、ヒーター圧、記録材の搬送速度などにも影響を受けるため、必ずしもこの値に縛られるものではない。本実施例1においては、定着ローラ1が170℃で温調されているときのヒータ温度は240℃であった。
本実施例1においては、ヒーター13の基板16裏面に、制御系の故障時等に生じるヒーター暴走に備え、ヒーター13の温度が一定以上になったときにスイッチをオフする、サーモスイッチ(不図示)が当接されている。このサーモスイッチの作動温度は種々存在するが、本実施例1で用いたサーモスイッチの作動温度は260℃である。
また、ニップ部に大サイズの記録材を連続して通過させた後に小サイズの記録材を通過させた場合、定着ローラ1、及びヒーター13の長手方向において小サイズの記録材が通過しない領域(非通紙領域)と対応する領域が昇温してしまう。この昇温が280℃〜300℃にまで到達すれば、例えばヒーター13を支持するステー14の材料(液晶ポリマー)が変形してしまったり、破断してしまったりする可能性がでてくる。また、ヒーター13に限らず、定着ローラ1の表面に用いられているフッ素樹脂層5も200℃以上の高温になれば、軟化し、耐久性を落とすこととなる。
これらの温度は定着ローラ1の温調温度によって大きく影響を受ける。マージンをみて考えると、定着ローラ1の表面温度を170℃〜175℃以下、ヒータ裏面温度を240℃〜245℃以下に抑えることが望ましい。従って、本実施例1における定着温度は、使用に耐え得る温度内に入っている。
次に、オフセットについて述べる。本実施例1では種々、定着ローラ1の表面温度を変化させて検討を行ったが、定着ローラ1の表面温度170℃においてはオフセットは発生しなかった。そこから定着ローラ1の表面温度を下げていったところ、150℃で軽微なオフセットが発生し、140℃でレベルの悪いオフセットが発生した。しかし、実際に使用する170℃付近の温度でオフセットが発生しなかったため、オフセットレベルも良好であるといえる。
次に、フッ素樹脂層5に含まれるフィラー平均粒径による影響を調べた。フッ素樹脂層5に添加するフィラーの平均粒径を変化させ、そのときの定着温度とオフセットレベルを比較した(表1)。ソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラーの平均粒径は30μmで一定とした。比較例1〜比較例4の定着装置は、フッ素樹脂層5に含まれるフィラーの平均粒径が本実施例1の定着装置100のそれと異なる点を除いて、本実施例の定着装置100と同じ構成としてある。
比較例1として、定着ローラ1のフッ素樹脂層5に含まれるフィラーの平均粒径を10μmとした。そのときの定着温度は160℃となり、表層に含まれるフィラーのサイズが増大したことにより、定着温度が下がることが確認された。このときのヒータ温度は230℃に低減され、より、定着に有利な温度となった。しかし、この160℃において軽微なオフセットが発生した。これはサイズの大きなフィラーが混入されたことで、表面が荒れ、トナーに対する離型性が下がってしまったからである。このオフセットは170℃に温度を上げると発生しなくなった。しかしこのときの濃度低下率は5%を切るレベルであり、オフセットを防止するために、過剰な定着強度を得なくてはならない構成となってしまった。
次に、比較例2として、フッ素樹脂層5に含まれるフィラーの平均粒径を5μmとした。そのときの定着温度は165℃であった。このときにオフセットは発生しなかった。定着ローラの表面温度を種々変化させてオフセットレベルを確認したところ、160℃で軽微なオフセットが発生し始め、155℃でレベルの悪いオフセットが発生した。濃度低下率が10%となる温度でオフセットが発生しないものの、そこから少し下がった温度でオフセットが発生するという、マージンが少ない状況となった。
次に、比較例3として、フッ素樹脂層5に含まれるフィラーの平均粒径を0.1μmとした。そのときの定着温度は175℃であった。フッ素樹脂層5に含まれるフィラーの平均粒径が小さいために、定着温度が実施例1と比較して5deg上昇したが、ヒーター温度が245℃であり、実用の範囲内に含まれている。また、オフセットは発生しなかった。温度を変化させていくと、150℃で軽微なオフセットが発生した。
次に、比較例4として、フッ素樹脂層5に含まれるフィラーの平均粒径を0.05μmとした。そのときの定着温度は180℃であった。フッ素樹脂層5に含まれるフィラーの平均粒径が小さいために、定着温度は実施例1および比較例のなかで一番高くなった。このときのヒーター温度は253℃となり、ヒーター温度としても高くなってしまった。オフセットは発生しなかった。
以上の結果を表1にまとめる。
ソリッドシリコーンゴム層4のフィラー平均粒径30μm一定で考えると、フッ素樹脂層5のフィラー平均粒径は0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmの範囲が望ましい。フッ素樹脂層5のフィラー平均粒径が0.01〜10μmよりも大きい粒径だと、フッ素樹脂層5の表面性が損なわれ、オフセットが発生し始める。逆に、それよりも小さい粒径だと、熱伝導率が不足し、定着温度が上がってしまう。非通紙部昇温などを考えると、実用できない定着温度となってしまう。
また、この粒径は、現在、電子写真技術を用いているLBPや複写機に用いられているトナーの粒径よりも小さいものである。つまり、このフィラーサイズ以下にすることで、トナーに対する表面の荒れを抑えることができ、良好な離型性を得ることができるのである。
《ソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラー平均粒径の影響》
次に、ソリッドシリコーンゴム層4に含まれる熱伝導フィラーの平均粒径による影響を調べた。ソリッドシリコーンゴム層4に添加するフィラーの平均粒径を変化させ、そのときの定着強度とオフセットレベルを比較した(表2)。フッ素樹脂層5に含まれるフィラーの平均粒径は1μmで一定とした。定着強度とオフセットの定義についてはフッ素樹脂層5に含まれるフィラー平均粒径の影響の項で述べたので、今回は述べない。比較例5〜比較例9の定着装置は、ソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラーの平均粒径が本実施例1の定着装置100のそれと異なる点を除いて、本実施例1の定着装置100と同じ構成としてある。
実施例1としては、ソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラーの平均粒径は30μmとした。このときの定着温度は170℃であり、オフセットは発生しなかった。
次に、比較例5として、定着ローラ1のソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラーの平均粒径を80μmとした。このときの定着温度は160℃であった。ヒータ温度は230℃まで下がり、実用の温度範囲に充分入るものであった。しかし、160℃ではオフセットが発生した。フッ素樹脂層5に含まれるフィラーのサイズは小さく、フッ素樹脂層5自体の表面性は悪くない条件であるはずだが、ソリッドシリコーンゴム層4の表面性が悪く、その影響により、定着ローラ1の表面性が損なわれてしまった。温度を上げてゆくとオフセットが改善されたが、オフセットが発生しなくなる温度は185℃であり、ヒーター温度が260℃を超えてしまった。
次に、比較例6として、ソリッドシリコーンゴム層4に添加するフィラーの平均粒径を60μmとした。このときの定着温度は165℃であった。ヒーター温度は235℃で、低い温度に保つことができた。しかし、165℃ではオフセットが発生した。フィラーサイズが大きいことでソリッドシリコーンゴム層4の表面性が悪くなり、フッ素樹脂層5の表面もその影響を受けてしまった。温度を上げてゆくとオフセットが改善された。オフセットが発生しなくなる温度は180℃であり、実用にはもう少し低い定着ローラ1表面温度が望ましい。
次に、比較例7として、ソリッドシリコーンゴム層4に添加するフィラーの平均粒径を10μmとした。このときの定着温度は175℃であった。ヒーター温度は245℃で、実用できる温度範囲内に含まれている。175℃ではオフセットも発生しなかった。オフセットが発生する温度は150℃であり、マージンも充分にある。ソリッドシリコーンゴム層4に添加するフィラーサイズが小さくなったために、定着温度は上がったものの、表面の荒れが抑えられ、オフセットレベルが大幅に改善された。
次に、比較例8として、ソリッドシリコーンゴム層4に添加するフィラーの平均粒径を1μmとした。このときの定着温度は185℃であった。ヒーター温度は260℃で、高い温度となった。185℃ではオフセットは発生しなかった。ソリッドシリコーンゴム層4及びフッ素樹脂層5に含まれるフィラー平均粒径が小さいため、オフセットには有利になったが、定着温度が上がってしまい、実用の温度範囲を越えてしまった。
次に、比較例9として、ソリッドシリコーンゴム層4に添加するフィラーの平均粒径を0.5μmとした。このときの定着温度は190℃となり、ヒーター温度は270℃を越えた。オフセットは発生しなかったが、現在用いているサーモスイッチの作動温度を越えてしまい、実用することのできない温度となった。
以上の結果を表2にまとめる。
ソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラーの平均粒径は1〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲が望ましい。すなわち、ソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラーの平均粒径は上限がオフセットで決定され、本実施例1のように311mm/secという記録材搬送速度、80μmという厚みでは60μm以下であることが必要となる。下限は熱伝導性によって決定され、10μm以上が実用範囲の温度で定着させることができるフィラーサイズである。
《実施例1における考察》
以上、実施例1で述べたことをまとめると、フッ素樹脂層5に含まれるフィラー平均粒径は0.1μm〜5μm程度が、定着温度、オフセットの観点から望ましい。ソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラーのサイズは、同様の理由により、10μm〜60μm程度が適当である。
フィラーサイズの関係で言えば、ソリッドシリコーンゴム層4に使用するフィラーのサイズよりも、フッ素樹脂層5に用いるフィラーサイズは小さい。さらには、フッ素樹脂層5に用いるフィラーサイズはトナーのサイズよりも小さい。
ソリッドシリコーンゴム層4は加熱ニップ部24においてヒーター13から受け取った熱を蓄熱し、ニップ部23内で記録材11上へと拡散させる役割を担う。その熱の受け渡しにはやはり大きなフィラーで熱パスをたくさん作り、どんどん熱を輸送するというメカニズムが求められるのである。それに対し、フッ素樹脂層5は高い熱伝導率を得るために大きいサイズのフィラーを使った方が定着温度自体を下げることは可能だが、オフセットが悪化してしまう。そのオフセットを改善するために温度を上げると、結局、定着ローラ1の表面温度が上がってしまい、実用的ではない温度になってしまう可能性もある。それよりも、サイズの小さいフィラーで、定着温度は大きく改善できなくても、オフセットしない表面性を実現した方が、定着ローラ1の表面温度自体は下げることができるということを示唆している。
上記のフィラーの平均粒径は、その含まれる層の厚みにも影響を受けるため、必ずしも上記の値から外れても良いが、多くのLBPにおいて、離型層であるフッ素樹脂層5の厚みは10〜30μm程度の厚みを有することから、本実施例1で検討してきた、0.1μm〜5μmという値は大きくは外れない。
定着装置の他の例を説明する。
《定着装置》
図9は本実施例2の定着装置100の一例の横断側面模型図である。
本実施例2に示す定着装置100は、定着ローラ26を除いて実施例1で述べた構成と同じであるため、定着ローラ26以外の構成については再度の説明を省略する。
《定着ローラ26》
定着ローラ26の外径は約20mmである。定着ローラ26は、直径13mmのステンレス製の芯金27の外側に、厚みおよそ3mmの低熱伝導性シリコーンゴムで形成された断熱弾性層28を有する。その弾性層28の外側に、厚さ80μmの高熱伝導性シリコーンゴムからなる高熱伝導性の弾性層29を有する。そしてその弾性層29の外側に、厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層30を有する。
低熱伝導性の弾性層28はシリコーンゴムを発泡して形成されたスポンジゴム、あるいはシリコーンゴム内に中空フィラーを分散させて断熱効果を高めたバルーンゴムなどから成る。定着ローラ26の熱容量が大きく、熱伝導率が少しでも大きいと、外表面から受ける熱を吸収しやすく、表面温度が上昇しにくくなる。できるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質のほうが定着ローラに適しており、本実施例2のように気泡を内部に含むゴムを使用することが望ましい。本実施例2で使用したシリコーン製バルーンゴムの熱伝導率は0.12W/mKであり、通常のソリッドゴムと比較して半分以下の熱伝導率を示す。
高熱伝導性の弾性層29はソリッド(発泡されていない中実)のシリコーンゴムからなり、熱伝導率を上げるために高熱伝導性の粒子を添加している。フィラーとして使用される材質としては、アルミナ、窒化アルミ、石英、炭化シリコン等に代表されるセラミックスのような、無機系の材料が一般的であり、本実施例2では窒化アルミ粒子を用いている。これらのようなセラミックス材料の熱伝導率は状態により大きく変化するが、窒化アルミは、理論的には300W/mK以上の熱伝導率を有する材料であり、大きな熱伝導率改善が期待できる。無論、これらの材料はいずれも10W/mK以上の熱伝導率を有しており、充分にゴムや樹脂材料よりも高い熱伝導性を有している。一般的には熱伝導性改善の目的のために使用されるフィラーである。どれを用いても、本発明の目的を達成することが可能である。また、これら以外にも熱伝導フィラーは存在するため、上記4つのフィラーに限定されることは無い。
添加量はソリッドシリコーンゴム層29に対して、30容量%である。熱伝導フィラーの作動原理からすると、添加量は多ければ多いほど、熱伝導率改善効果が大きくなるが、熱伝導率以外のゴムに要求される特性を損なう可能性がある。経験的に本発明者らは30容量%程度がゴム特性を失わずに層形成できる限界と考えており、本実施例2でもその値を採用している。窒化アルミの平均粒径は30μmのものを使用した。
フッ素樹脂層30は熱伝導フィラーとしてSiC(炭化シリコン)をフッ素樹脂層に対して30容量%程度添加し、熱伝導率を高めている。SiCの熱伝導率は理論値で270W/mKであり、フッ素樹脂層30の熱伝導率を大きく改善できる。SiCの平均粒径は1μmのものを使用した。
本実施例2におけるフッ素樹脂層30はあらかじめチューブ状に成形したものを後述する弾性ローラ44に被せるという手法で形成した。詳しい製造方法を図10を用いて説明する。
ステンレス製芯金27上に、バルーンゴムからなる弾性層28及びソリッドシリコーンゴム層29を形成し、弾性ローラ44を作製する((a))。バルーンゴムからなる弾性体層28を形成するには、不図示の円筒状金型の中空内にステンレス製芯金27を挿入する。芯金27の外周面(表面)には接着剤を塗布しておき、円筒状金型と芯金27の軸芯を合わせる。芯金27と金型の間に、バルーンゴム材料を注入し、加硫してバルーンゴムからなる弾性層28を形成する。ソリッドシリコーンゴム層はそのバルーンゴム層の上に、材料をスプレーや、ディッピングのような方法で、塗布し、加硫を行い、形成する。
一方、フッ素樹脂チューブ45((b))は、その内壁面にエッチング処理を行っておく。これは表面が不活性で、他材料との接着が困難なフッ素樹脂の表面を荒らすことで、活性化させ、接着が容易になるようにするものである。エッチングの方法は種々有り、スパッタリングやレーザー照射のように、物理的に荒らすものや、液体アンモニウムや、ナトリウムナフタレンのような液体に含浸してエッチングを行う化学的なものがある。
このようにエッチングされたフッ素樹脂チューブ45の内面に、接着用のプライマを塗布する。そしてフッ素樹脂チューブ45に弾性ローラ44を挿入し、加熱してフッ素樹脂チューブ45と弾性ローラ44を接着させ一体化させる((b))。
このようにして作製される定着ローラ26の特徴としては、特に、フッ素樹脂層30の形成が容易であるということが挙げられる。あらかじめ弾性ローラ44を作成し、その上に後からフッ素樹脂チューブ45を被せるという形成方法は、現在多くのローラメーカで行われており、量産に向いた形成方法である。
本実施例2では種々のサイズのフィラーを混入したフッ素樹脂パレットを押し出しにより成形し、20μmの厚みのフィラー添加されたフッ素樹脂チューブを形成した。
以上の構成の定着装置100において、実施例1と同じ条件にて、定着強度とオフセットのテストを行った。
まず、定着温度であるが、170℃であった。本実施例2の定着装置では、定着ローラ26と、それを外部からフィルム15を介して加熱するヒーター13には、温度差が生じる。これは、主にヒーター13と定着ローラ26との間に介在させたフィルム15の接触熱抵抗によるものであるが、本発明者らの検討においてはおおよそ70deg〜80deg程度であった。この値はヒーター13の構成や、ヒーター圧、記録材の搬送速度などにも影響を受けるため、必ずしもこの値に縛られるものではない。本実施例2においては、定着ローラ26が170℃で温調されているときのヒータ温度は240℃であった。
次に、オフセットについて述べる。本実施例2では種々、定着ローラ26の表面温度を変化させて検討を行ったが、定着ローラ26の表面温度170℃においてはオフセットは発生しなかった。そこから定着ローラ26の表面温度を下げていったところ、150℃で軽微なオフセットが発生し、140℃でレベルの悪いオフセットが発生した。しかし、実際に使用する175℃付近の温度でオフセットが発生しなかったため、オフセットレベルも良好であるといえる。
《フッ素樹脂層30に含まれるフィラー平均粒径の影響》
次に、フッ素樹脂層30に含まれるフィラー平均粒径による影響を調べた。フッ素樹脂層30に添加するフィラーの平均粒径を変化させ、そのときの定着温度とオフセットレベルを比較した(表3)。ソリッドシリコーンゴム層4に含まれるフィラーの平均粒径は30μmで一定とした。比較例10〜比較例13の定着装置は、フッ素樹脂層30に含まれるフィラーの平均粒径が本実施例2の定着装置100のそれと異なる点を除いて、本実施例2の定着装置100と同じ構成としてある。
比較例10として、フッ素樹脂層30に含まれるフィラーの平均粒径を10μmとした。そのときの定着温度は160℃となり、表層に含まれるフィラーのサイズが増大したことにより、定着温度が下がることが確認された。このときのヒータ温度は230℃に低減され、より、定着に有利な温度となった。しかし、この160℃において軽微なオフセットが発生した。これはサイズの大きなフィラーが混入されたことで、表面が荒れ、トナーに対する離型性が下がってしまったからである。このオフセットは170℃に温度を上げると発生しなくなった。しかしこのときの濃度低下率は5%を切るレベルであり、オフセットを防止するために、過剰な定着強度を得なくてはならない構成となってしまった。
次に、比較例11として、フッ素樹脂層30に含まれるフィラーの平均粒径を5μmとした。そのときの定着温度は165℃であった。このときにオフセットは発生しなかった。定着ローラの表面温度を種々変化させてオフセットレベルを確認したところ、155℃で軽微なオフセットが発生し始め、150℃でレベルの悪いオフセットが発生した。濃度低下率が10%となる温度でオフセットが発生しないものの、そこから少し下がった温度でオフセットが発生するという、マージンが少ない状況となった。
次に、比較例12として、フッ素樹脂層30に含まれるフィラーの平均粒径を0.1μmとした。そのときの定着温度は175℃であった。フッ素樹脂層30に含まれるフィラーの平均粒径が小さいために、定着温度が実施例2と比較して5deg上昇したが、ヒーター温度が245℃であり、実用の範囲内に含まれている。また、オフセットは発生しなかった。温度を変化させていくと、150℃で軽微なオフセットが発生した。
次に、比較例13として、フッ素樹脂層30に含まれるフィラーの平均粒径を0.05μmとした。そのときの定着温度は180℃であった。フッ素樹脂層30に含まれるフィラーの平均粒径が小さいために、定着温度は実施例1および比較例のなかで一番高くなった。このときのヒーター温度は253℃となり、ヒーター温度としても高くなってしまった。オフセットは発生しなかった。
以上の結果を表3にまとめる。
ソリッドゴム層29のフィラー平均粒径30μm一定で考えると、フッ素樹脂層30のフィラー平均粒径は0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmの範囲が望ましい。フッ素樹脂層5のフィラー平均粒径が0.01〜10μmよりも大きい粒径だと、フッ素樹脂層30の表面性が損なわれ、オフセットが発生し始める。逆に、それよりも小さい粒径だと、熱伝導率が不足し、定着温度が上がってしまう。非通紙部昇温などを考えると、実用できない定着温度となってしまう。
本実施例2のように、フッ素樹脂チューブ45を形成し、そのフッ素樹脂チューブ45を後から弾性ローラ44に被せるという形成方法でも、実施例1とほぼ同様の傾向を観察することができた。
《ソリッドシリコーンゴム層29に含まれるフィラー平均粒径の影響》
次に、ソリッドシリコーンゴム層29に含まれる熱伝導フィラーの平均粒径による影響を調べた。ソリッドシリコーンゴム層29に添加するフィラーの平均粒径を変化させ、そのときの定着強度とオフセットレベルを比較した(表4)。フッ素樹脂層に含まれるフィラーの平均粒径は1μmで一定とした。定着強度とオフセットの定義についてはフッ素樹脂に含まれるフィラー平均粒径の影響の項で述べたので、今回は述べない。比較例14〜比較例18の定着装置は、ソリッドシリコーンゴム層29に含まれるフィラーの平均粒径が本実施例2の定着装置100のそれと異なる点を除いて、本実施例2の定着装置100と同じ構成としてある。
実施例2としては、ソリッドシリコーンゴム層29に添加するフィラーの平均粒径を30μmとした。このときの定着温度は170℃であり、オフセットは発生しなかった。
次に、比較例14として、ソリッドシリコーンゴム層29に添加するフィラーの平均粒径を80μmとした。このときの定着温度は160℃であった。ヒーター温度は230℃まで下がり、実用の温度範囲に充分入るものであった。しかし、160℃ではオフセットが発生した。フッ素樹脂層30に含まれるフィラーのサイズは小さく、フッ素樹脂層30自体の表面性は悪くない条件であるはずだが、ソリッドシリコーンゴム層29の表面性が悪く、その影響により、定着ローラ2の表面性が損なわれてしまった。温度を上げてゆくとオフセットが改善されたが、オフセットが発生しなくなる温度は185℃であり、ヒーター温度が260℃を超えてしまった。
次に、比較例15として、ソリッドシリコーンゴム層29に添加するフィラーの平均粒径を60μmとした。このときの定着温度は165℃であった。ヒーター温度は235℃で、低い温度に保つことができた。しかし、165℃ではオフセットが発生した。フィラーサイズが大きいことでソリッドシリコーンゴム層29の表面性が悪くなり、フッ素樹脂層30の表面もその影響を受けてしまった。温度を上げてゆくとオフセットが改善された。オフセットが発生しなくなる温度は180℃であり、実用にはもう少し低い定着ローラ26表面温度が望ましい。
次に、比較例16として、ソリッドシリコーンゴム層29に添加するフィラーの平均粒径を10μmとした。このときの定着温度は175℃であった。ヒーター温度は245℃で、実用できる温度範囲内に含まれている。175℃ではオフセットも発生しなかった。オフセットが発生する温度は150℃であり、マージンも充分にある。ソリッドシリコーンゴム層29に添加するフィラーサイズが小さくなったために、定着温度は上がったものの、表面の荒れが抑えられ、オフセットレベルが大幅に改善された。
次に、比較例17として、ソリッドシリコーンゴム層29に添加するフィラーの平均粒径を1μmとした。このときの定着温度は185℃であった。ヒーター温度は260℃で、高い温度となった。185℃ではオフセットは発生しなかった。ソリッドシリコーンゴム層29及びフッ素樹脂層30に含まれるフィラー平均粒径が小さいため、オフセットには有利になったが、定着温度が上がってしまい、実用の温度範囲を越えてしまった。
次に比較例18として、ソリッドシリコーンゴム層29に添加するフィラーの平均粒径を0.5μmとした。このときの定着温度は190℃となり、ヒータ温度は270℃を越えた。オフセットは発生しなかったが、現在用いているサーモスイッチの作動温度を越えてしまい、実用することのできない温度となった。
以上の結果を表2にまとめる。
ソリッドシリコーンゴム層29に含まれるフィラーの平均粒径は1〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲が望ましい。すなわち、ソリッドシリコーンゴム層29に含まれるフィラーの平均粒径は上限がオフセットで決定され、本実施例2のように311mm/secという記録材搬送速度、80μmという厚みでは60μm以下であることが必要となる。下限は熱伝導性によって決定され、10μm以上が実用範囲の温度で定着させることができるフィラーサイズである。
本実施例2のように、フッ素樹脂チューブ45を形成し、そのフッ素樹脂チューブ45を後から弾性ローラ44に被せるという形成方法でも、実施例1とほぼ同様の傾向を観察することができた。
《実施例2における考察》
以上、実施例2で述べたことをまとめると、フッ素樹脂層30に含まれるフィラー平均粒径は0.1μm〜5μm程度が、定着温度、オフセットの観点から望ましい。ソリッドシリコーンゴム層29に含まれるフィラーのサイズは、同様の理由により、10μm〜60μm程度が適当である。
フィラーサイズの関係で言えば、ソリッドシリコーンゴム層29に使用するフィラーのサイズよりも、フッ素樹脂層30に用いるフィラーサイズは小さい。さらには、フッ素樹脂層30に用いるフィラーサイズはトナーのサイズよりも小さい。
実施例1と同様に、ソリッドシリコーンゴム層29に大きなフィラーで熱パスを多数作り、熱の輸送速度を高めることが、定着効率に大きく寄与する。また、フッ素樹脂層30においては、表面性とのバランスをとるため、小さなフィラーを添加する必要がある。
上記のフィラーの平均粒径は、その含まれる層の厚みにも影響を受けるため、必ずしも上記の値から外れても良いが、多くのLBPにおいて、離型層であるフッ素樹脂層30の厚みは10〜30μm程度の厚みを有することから、本実施例1で検討してきた、0.1μm〜5μmという値は大きくは外れない。
また、フッ素樹脂チューブ45を形成し、そのフッ素樹脂チューブ45を後から弾性ローラ44に被せるという形成方法においても定着ローラ26を形成できることがわかった。
以上、型内に静電塗装する形成方法や、チューブ45を弾性ローラ44に後被せする方法などで、実施例1、2のような定着ローラ1,26を形成できる。そして、ソリッドシリコーンゴム層4,29のような蓄熱層には大きなフィラーを使用し、熱効率を高め、離型層であるフッ素樹脂層5,30には表面性と熱伝導率のバランスをとるために小さなフィラーを添加することで、高速にも対応できる表面加熱方式の定着装置100を形成することが可能となるのである。
1,26:定着ローラ、3:低熱伝導性弾性層、4:高熱伝導性弾性層、5:離型層、6:加圧ローラ、10:未定着トナー画像、11:記録材、12:外部加熱手段、23:ニップ部、24:加熱ニップ部