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JP2008263928A - 磯根設置用浚渫土ブロック - Google Patents

磯根設置用浚渫土ブロック Download PDF

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JP2008263928A JP2007115080A JP2007115080A JP2008263928A JP 2008263928 A JP2008263928 A JP 2008263928A JP 2007115080 A JP2007115080 A JP 2007115080A JP 2007115080 A JP2007115080 A JP 2007115080A JP 2008263928 A JP2008263928 A JP 2008263928A
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大蔵 今井
Hamood Ahmed Dabwan Ahmed
ハムウッド アハメド ダブワン アハメド
Tadaya Kato
忠哉 加藤
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Abstract

【課題】充分な強度を有し、且つ低コストで製造し得ると共に、海藻類等に対する栄養の供給源となり得る磯根設置用浚渫土ブロックを提供すること。
【解決手段】少なくとも粗骨材と細骨材とをセメントに配合して得られるセメント組成物に、更に水を加えて、目的とする形状に成形し、固化せしめてなる磯根設置用浚渫土ブロックにおいて、かかる細骨材の少なくとも一部として、浚渫土に対して製紙スラッジ焼却灰を主成分とする凝集固化剤を混合して、反応・形成されたフロックを、脱水して得られる浚渫土固形物を用いて、目的とする磯根設置用浚渫土ブロックを形成した。
【選択図】なし

Description

本発明は、磯根設置用浚渫土ブロックに係り、特に、充分な強度を有し、且つ低コストで製造し得ると共に、海藻類等に対する栄養の供給源となり得る磯根設置用浚渫土ブロックに関するものである。
近年、アラメやカジメ等の海藻類で構成される海中林の、所謂磯焼け現象による消失の問題が、深刻化して来ている。そのような海中林(藻場)は、ヒラメ、メバル等の魚類やアワビ、サザエ等の貝類等の魚介類の棲家としての役割を果たしており、かかる藻場の消失は、そのような海中林を棲家とする魚介類の生活場所、更にはそれを餌として集まる魚介類の餌場を奪い、ひいては魚場の消失をも引き起こすこととなるからである。
かかる状況下、藻場や魚場の回復乃至は造成が強く望まれて来ており、そのための技術として、種々の藻礁や魚礁が提案されて来ている。例えば、特許文献1には、コンクリート、天然産及び人工の岩石等からなる多孔質材料及びこの多孔質材料に組み込まれた窒素肥料、燐酸肥料等の海藻の栄養素供給源からなる海藻養殖用ブロックで形成される藻礁が提案されており、かかる藻礁によれば、海藻の生育に必要な栄養素を、生育に充分で且つ富栄養化を惹起しない程度の濃度で長期間安定して供給することが出来るとされている。また、特許文献2には、連通した微細孔の多いセラミックス炭とセメントと粗骨材と水との混合物の水和硬化物多孔質成形体よりなる増殖礁・藻礁用ブロックが提案されており、かかる増殖礁・藻礁用ブロックによれば、セラミックス炭が海水中の窒素やリンの化合物を吸収し、微生物の活動によりそれらが栄養分とされて、海藻類に供給されると共に、セラミックス炭に含まれるミネラルが溶出することにより、海藻類の成長が促進されるとされている。
しかしながら、上記した従来の技術にあっては、ブロックの形成が煩雑であったり、またその構成材料も高価なものであったりするところから、製作コストが高く、そのため、そのようなブロックからなる藻礁乃至は魚礁を用いて、大規模な藻場や魚場の造成を行なうことは、コスト的に困難であるという問題を有するものであった。
ところで、従来から、閉鎖性の内湾や港湾にあっては、周辺からの負荷や魚介類養殖業等による負荷に伴ない、海底に多量の有機物が沈降し、堆積していることは、よく知られている。そして、そのような堆積物、所謂「ヘドロ」は、高含水率であることに加えて、高い有機物含有量を有するものであるところから、それによる海域の汚染が重大な問題となって来ている。このため、底質改善対策が急務とされ、全国各地において、浚渫事業が展開されて来ているのであるが、それにより、そのような浚渫事業によって陸上に揚上された大量の浚渫土の処理の問題が、新たに発生して来ている。
かかる状況下、そのような浚渫土を有効利用するための技術の一つとして、浚渫土から構造材料としてのブロックを形成する技術が、種々提案されている。そして、このような浚渫土からなるブロックを用いて藻礁や魚礁を構成することにより、浚渫土の有効利用(処理)を図ると共に、そこに含まれる有機物を海藻類等の栄養源として利用し得る藻礁や魚礁が有利に得られると考えられるのであるが、これまでに提案されて来ている浚渫土を利用したブロックにあっては、それぞれ、以下のような問題を有し、何れも、そのまま藻礁用乃至は魚礁用のブロックとして採用することが出来ないものであったのである。
すなわち、例えば、非特許文献1においては、海底ヘドロの固形化利用技術として、養殖海域の海底に堆積したヘドロを、通常のコンクリート並の配合量のセメントで固化して形成したブロックが提案されているのであるが、かかるブロックにあっては、その圧縮強度が、同じセメント量を用いた普通コンクリートのものと比較して、かなり小さくなるという問題を有しており、そのようなブロックを用いて形成された藻礁や魚礁を、藻場や魚場の造成のために海底に設置した場合には、海中において、ブロックの崩壊・分散の恐れのあるものであった。
また、非特許文献2においては、湖底泥の活用策として、有機凝集剤を加えてフィルタープレスで含水比100%前後に脱水したヘドロを、ロータリーキルンで焼成し、煉瓦やタイル等の定型建材とすることが提案され、更に非特許文献3においては、湖沼底泥の有用化として、自然排水圧密過程を経ることにより含水比が調整された浚渫泥土を、圧縮式土練機を用いて整形し、天日乾燥した後、バーナー式焼成釜で焼成して煉瓦とすることが、提案されている。また更に、非特許文献4においては、ブロック・タイル原材料へのヘドロ利用法として、フィルタ・プレスにより脱水されたヘドロを、レンガ屑や石屑及び粘土と共に混練り・成形し、乾燥した後、ローラハースキルンにて焼成して、ブロックやタイルとすることが提案され、加えて、特許文献3においては、人工軽量骨材として、フライアッシュ100重量部とヘドロ20〜40乾燥重量部とカキ殻粉砕物3〜5重量部とバインダーとの混合焼成物から、目的とする人工軽量骨材を得ることが、提案されている。しかしながら、これらの浚渫土を利用したブロックにあっては、何れも、強度発現のために、焼成等の高エネルギーを要する工程を経ることが必要であって、それにより、得られるブロックの強度は充分に高くなるものの、製造コストが高騰するという問題を有するものであったのである。
特開平5−308871号公報 特開2005−151824号公報 特開2000−143309号公報 「工業技術センター研究成果」1995年、p.36〜37 「第47回農業土木学会中国四国支部講演会講演要旨」1992年、p.80〜82 「月刊土木技術」1994年9月、p.104〜109 「電力中央研究所報告:U01062」、2002年
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、充分な強度を有し、且つ低コストで製造し得ると共に、海藻類等に対する栄養の供給源となり得る磯根設置用浚渫土ブロックを提供することにある。
すなわち、本発明は、少なくとも粗骨材と細骨材とをセメントに配合して得られるセメント組成物に、更に水を加えて、目的とする形状に成形し、固化せしめてなる磯根設置用浚渫土ブロックにして、前記細骨材の少なくとも一部として、浚渫土に対して製紙スラッジ焼却灰を主成分とする凝集固化剤を混合して、反応・形成されたフロックを、脱水して得られる浚渫土固形物を用いたことを特徴とする磯根設置用浚渫土ブロックを、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックの望ましい態様の一つによれば、前記添加される水(W)と前記セメント(C)との比(W/C)は、0.4〜1.3の範囲内に調整され、また、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックの他の望ましい態様の一つによれば、前記セメント組成物は、重量比にて、25〜65%の粗骨材、15〜35%の細骨材及び15〜45%のセメントから構成される。
このように、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックにあっては、浚渫事業によって大量に発生する浚渫土をその構成材料として利用するものであるところから、かかるブロックの製作が、有利に低コストで行なわれ得ると共に、そのような浚渫土が、特定の浚渫土固形物とされて、それが、ブロックの構成材料の一部として用いられるものであるところから、藻礁や魚礁として磯根に設置された際に、崩壊・分散せしめられることのない、充分大きな強度を有するブロックとすることが出来るのである。
また、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックは、窒素やリン等の有機栄養分を多く含む浚渫土を、その構成材料の一部としているところから、藻礁や魚礁として磯根に設置した際に、そこに着生する海藻類等の栄養の供給源となり得て、以て、かかるブロックを用いた藻場や魚場の回復乃至は造成を有利に行ない得る特徴を有している。
しかも、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックにあっては、そのブロックの形成が、焼成等の高エネルギーを必要とする工程を何等経ることなく、低エネルギーな製造工程にて行なわれるものであるところから、その製作コストを有利に低く抑えることが可能となるのである。
ところで、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックを得るに際しては、先ず、セメントに対して、少なくとも粗骨材と細骨材とを配合して、セメント組成物を調製することとなるのであるが、そこにおいて、セメントとしては、特に限定されるものではなく、従来から公知のものの中から、目的に応じたものが適宜に選択されて、使用されることとなる。そのようなセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメントやアルミナセメント等を例示することが出来る。
また、上記セメントに対して配合せしめる前記粗骨材とは、5mm篩いに質量で85%以上とどまる骨材であって、本発明においては、そのような粗骨材として、従来からコンクリート用の粗骨材として用いられているものが、何れも採用可能であり、具体的には、河川砂利、山砂利、海砂利等の天然粗骨材、砕石等の加工粗骨材、高炉スラグ砕石等の副産粗骨材や人工軽量粗骨材等の中から、一種又は二種以上が、目的に応じて適宜に組み合わされて、用いられることとなる。
そして、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックにあっては、前記セメントに対して、上記したような粗骨材と共に配合せしめられる細骨材の少なくとも一部として、特定の浚渫土固形物が用いられるのであって、そこに、本発明の大きな技術的特徴が存しているのである。即ち、本発明にあっては、細骨材(5mm篩いを85%以上通過する骨材)として、従来からコンクリート用の細骨材として一般的に用いられて来ている河川砂、山砂、海砂、陸砂等の天然細骨材、砕砂等の加工細骨材、フライアッシュ、高炉スラグ等の副産細骨材や人工軽量細骨材等の公知の細骨材と共に、或いはそれに代えて、以下に詳述する特定の浚渫土固形物が用いられるのである。
具体的には、かかる浚渫土固形物とは、浚渫土に対して製紙スラッジ焼却灰を主成分とする凝集固化剤を混合して、反応・形成されたフロックを、脱水して得られるものであるが、そこにおいて、浚渫土に対して混合せしめられる前記製紙スラッジ焼却灰を主成分とする凝集固化剤としては、一般に、従来からよく知られているものを用いることが出来、例えば、特許第3274376号公報に明らかにされているような、製紙スラッジ焼却灰を主成分とし、それに、石膏、シリカヒューム、アルミナ・ケイ酸塩を主体とする天然鉱物、アルカリ金属炭酸塩及び陰イオン界面活性剤を均一に配合して、Si成分がSiO2 換算量で45〜55重量%、Al成分がAl23換算量で20〜30重量%、Ca成分がCaO換算量で5〜15重量%、及びMg成分がMgO換算量で5〜15重量%含有されているものや、特開2002−363560号公報に明らかにされている如き、製紙スラッジの焼却灰100重量部に対して、ポルトランドセメント7〜30重量部、硫酸バンド3〜10重量部、無水石膏0.7〜10重量部、メタクリル酸エステル0.3〜5重量部、リグニンスルホン酸塩類0.08〜0.53重量部、ステアリン酸塩類0.07〜0.40重量部、トリポリリン酸ソーダ0.04〜0.27重量部、水酸化ナトリウム0.01〜0.068重量部を混合してなるもの、更には、本発明者等が特願2003−372824号において提案した、製紙スラッジの焼却灰:粉状のポルトランドセメント;並びにpH調節剤、凝集剤、界面活性剤、吸水性強化剤及び分散剤から選択される少なくとも1種の機能性剤からなる粉状の中性無機固化剤とポリビニルアルコール系樹脂とを有効成分とする固化用組成物等を例示することが出来る。また、そのような凝集固化剤は、「アクアリファイン」(株式会社片山化学工業研究所)等の商品名において、市販されており、本発明にあっては、そのような凝集固化剤が、何れも、採用可能である。
なお、上記凝集固化剤における主成分を構成する前記製紙スラッジ焼却灰とは、製紙工場や再生紙工場等で産業廃棄物として発生する製紙スラッジが、減容化のために焼却処理されて、焼却灰とされたものであって、全国各地の製紙工場や再生紙工場等で安価に且つ安定的に入手することが可能なものであり、本発明においては、そのような安価に且つ安定的に入手可能な製紙スラッジ焼却灰が、凝集固化剤の主成分として用いられるものであるところから、目的とする磯根設置用浚渫土ブロックを安価に製作することが可能となるのである。
また、上記したような凝集固化剤が混合せしめられる前記浚渫土とは、内湾、港湾等の海底に堆積した堆積物である底質を、浚渫作業によって、陸上に揚上することにより得られるものであって、全国各地の浚渫事業において大量に発生するものである。そして、本発明にあっては、そのような浚渫土からなる浚渫土固形物が、細骨材の一部として用いられれて、目的とする磯根設置用浚渫土ブロックが形成されるものであるところから、かかるブロックの製作が、有利に低コストにて行なわれ得るのであって、また従来処理に窮していた浚渫土の有効利用(処理)も、同時に達成され得るという利点も有しているのである。
さらに、かかる浚渫土は、通常、15〜16%程度の有機栄養分を含むものであるところから、そのような浚渫土を含んでなる本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックにあっては、それが藻礁や魚礁として磯根に設置された場合に、そこに着生するアラメやカジメ等の海藻類等の栄養の供給源となって、その生育を有利に促進せしめ得るのであって、以て、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックを用いた藻場や魚場の造成乃至は回復が、有利に行なわれ得ることとなる。
加えて、そのような浚渫土は、元々海域に存在しているものであるところから、海域の環境に対して悪影響を及ぼす恐れの極めて低い材料であるという特徴も有しているのであるが、本発明にあっては、そのような浚渫土として、特に、ブロックの設置予定の海底から浚渫された浚渫土を用いることが望ましい。そのような浚渫土を用いて本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックを形成することによって、それが設置される現場海域の環境への負荷を、より一層有利に低減し得ることとなるのであり、またそれにより、所謂地産地消の、環境に配慮した技術とも為し得るのである。
そして、本発明にあっては、上記したような浚渫土及び凝集固化剤を混合して、反応・形成されたフロックを、脱水することにより、目的とする浚渫土固形物が得られることとなるのであるが、かかる浚渫土固形物の形成に際しては、例えば、図1及び図2に示される如き構成の処理装置が、好適に用いられるのである。具体的には、図1から明らかなように、本発明において好適に用いられる浚渫土の処理装置は、原泥貯留槽2と濾過液槽4とが、互いに独立した形態において併設されており、かかる濾過液槽4上に、楕円形状の回転板の多数を用いた固液分離装置6が、設置されている。一方、この固液分離装置6に対して、原泥から生じた反応処理物を交互に供給する二基の反応槽8,8が設けられ、更に、それぞれの反応槽8に凝集固化剤の所定量を供給する凝集固化剤供給機10が、それぞれ設けられている。
より詳細には、原泥貯留槽2に対しては、浚渫土(泥)が、供給ポンプ12によって供給されて、貯留されるようになっている。そして、この原泥貯留槽2には、原泥撹拌機14が設けられており、その撹拌作用によって、供給された浚渫土が均一化されて、原泥が調製されるようになっており、かかる調製された原泥が、原泥送出ポンプ16によって、何れかの反応槽8に送出せしめられるようになっている。
そして、本発明にあっては、かかる原泥貯留槽2において、そのような原泥(浚渫土)の含水率が、有利には、85〜95%、特に87〜93%となるように調整される。なお、原泥中の水分量が多くなり過ぎると、反応槽8内において形成されるフロックが小さくなり過ぎて、固液分離装置6における固液分離が困難となるからであり、また、原泥中の水分量が余りにも少なくなると、形成されるフロックが全体的に軟らかくなったり、或いはフロックが成長しない等、フロックの形成状況が悪く、この場合においても、固液分離装置6でのフロックの分離を有効に行ない得なくなる問題を惹起する。なお、例示の装置においては、固液分離装置6にて分離された濾過液が、濾過液槽4内に設けられた返送ポンプ18によって、原泥貯留槽2内に供給されるようになっており、これにより、原泥の含水率が、効果的に調整され、また最終的な排水量が有利に削減され得るようになっている。
また、原泥送出ポンプ16によって原泥貯留槽2から送出された原泥は、バルブの切換えによって、二基の反応槽8,8の何れかに導かれる一方、それぞれの反応槽8に対して、対応する凝集固化剤供給機10から、所定量の凝集固化剤がそれぞれ供給され、反応槽8に設けられた撹拌機20によって、原泥と凝集固化剤とが均一に撹拌・混合されて、反応せしめられることにより、フロックが形成されることとなる。
なお、かかる凝集固化剤の供給に際して、その供給量は、供給される原泥の供給量に応じて、適宜に決定されることとなるが、一般に、原泥の1リットル当り、5〜50g、好ましくは10〜30g程度とされることとなる。この凝集固化剤の供給量が少なくなり過ぎると、フロックの形成が充分に行なわれ難くなる問題があり、また多くなり過ぎると、薬剤コストがかかり過ぎることに加えて、逆にフロックが形成され難くなる等の問題も内在しているのである。
そして、そのようにして形成されたフロックが、それぞれの反応槽8の下部に設けられたストップバルブ22の切換えによって、流量調整弁24を通じて、固液分離装置6に連続的に供給されて、脱水されることにより、目的とする浚渫土固形物が得られることとなる。
すなわち、かかる反応槽8から供給される、フロック(固相)と水分(液相)とからなる反応処理物を固液分離する固液分離装置6は、図2から明らかなように、装置本体のフレーム28に対して、複数の回転軸30を水平面内において互いに平行に配列して、回転自在に軸支する一方、かかる回転軸30には、多数の楕円形状の回転板26が、所定間隔を隔てて軸装されていると共に、隣接する回転板26,26間には、図2において左右方向となるガイド面としての上面を有する案内部材32が、配置されてなる構造とされている。
そして、それぞれの回転軸30を同一方向に回転させることにより、各軸に取り付けた回転板26の上部周面によって形成される送り面側に投入された前記フロックの生成した処理液は、各列の回転板26の周面に下方から持ち上げられながら、案内部材32の上面に沿って、図2において右方向に搬送されることとなる。そして、前記フロックの生成した反応処理物は、案内部材32及び回転板26の上面を移動する過程で、回転板26,26間の間隙内の回転板26と案内部材32との間の隙間及び隣接する回転板26同士の周面間の間隙から、水、その他の液体成分を、下方に流出濾過せしめて、外部に放流する一方、案内部材32上に捕集されるフロックは、回転板26の周面にて送られながら、順次濾過脱水されて、含水率の減少された浚渫土固形物として、固液分離装置6から取り出され得るようになっているのである。
かくして、固液分離装置6から取り出された浚渫土固形物は、含水率が70%以下、50%程度まで低減されたものとなるのであり、その取扱いも容易であって、それを細骨材の少なくとも一部としてセメントに配合する際にも、そのような浚渫土固形物の配合に伴うセメント組成物の水分量の大幅な増加を招くことなく、以て、セメント組成物の調製が有利に行なわれることとなる。
そして、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックにあっては、そのような浚渫土固形物が、細骨材の少なくとも一部としてセメント組成物に配合されてなるものであるところから、得られる磯根設置用浚渫土ブロックを、藻礁や魚礁として磯根に設置した際に、崩壊・分散することのない、充分に大きな強度を有するものとすることが出来るのである。更に、かかるブロックは、特に、その初期強度が優れているという特徴を有しており、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックを、短期間で所期の強度と為し得るものであるところから、その製造コストを有利に低減し得るという特徴も有しているのである。
なお、かかるブロックの強度発現の機構は、未だ充分に明らかではないが、浚渫土固形物中に含まれる塩化物イオンが、その強度の発現に関係していると考えられている。即ち、浚渫土固形物中に存在する塩化物イオンにより、セメント中のエーライト(C3S)やビーライト(C2S)の水和反応が促進され、そして、かかる水和反応により生成する水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )の過飽和度が高められることにより、ケイ酸カルシウム水和物(C−S−Hゲル)等の水和組成物が盛んに生成されて、凝結が促進せしめられるようになる。更に、塩化物イオンは、生成したC−S―Hゲルの結晶化にも寄与し得るところから、得られるブロックの強度が有利に向上せしめられるものと考えられている。
また、かかる浚渫土固形物は、本発明においては、細骨材の少なくとも一部として用いられるものであって、その配合量は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜に決定されることとなるのであるが、好ましくは、重量比にて、5〜70%、より好ましくは10〜50%の割合において用いられることとなる。このような割合で用いることによって、得られる磯根設置用浚渫土ブロックを、より有利に、ひび割れ等の欠陥の少ない良好なブロックとすることが可能となるのである。
このように、本発明にあっては、少なくとも上記したような粗骨材と細骨材とが、前記セメントに配合されて、目的とするセメント組成物が得られることとなるのであるが、かかるセメント組成物には、更に、上記した粗骨材や細骨材の他にも、本発明の目的を損わない範囲において、従来からセメントに対する混和剤として公知の各種のものを、適宜に混合せしめることも可能である。なお、そのような混和剤としては、具体的には、ナフタレン系、メラミン系、ポリカルボン酸系、リグニン系又はアミノスルホン酸系の高性能AE減水剤の他、高性能減水剤、AE減水剤、分離低減剤、凝結・硬化調整剤、消泡剤、発泡剤、防錆剤、収集低減剤、水和熱低減剤等を挙げることが出来る。
そして、少なくとも上記したような粗骨材と細骨材とを前記セメントに配合して、通常の方法によって、例えば、粉体撹拌機により撹拌混合することによって、本発明に従うセメント組成物が得られることとなる。なお、そこにおいて、かかるセメント組成物の組成比は、目的とする磯根設置用浚渫土ブロックのブロック強度やワーカビリティに応じて、適宜決定されることとなるのであるが、有利には、重量比にて、25〜65%の粗骨材、15〜35%の細骨材及び15〜45%のセメントとなる組成比が、採用されることとなる。そのような組成比を有するセメント組成物とすることによって、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックを、有利に、磯根に設置される藻礁や魚礁として充分な大きさの強度を有するものと為し得るのである。なお、かかるセメント組成物中、粗骨材の配合割合が大きくなり過ぎると、粗骨材の分離を惹起する恐れがあるため望ましくなく、また細骨材の配合割合が大きくなり過ぎると、表面積が増し、セメント組成物の柔らかさ(スランプ)が減少して、良好なワーカビリティを確保出来ない恐れがあるため、望ましくない。更に、セメントの配合割合が大きくなり過ぎると、ブロックの形成コストが高騰するため望ましくなく、またそれら粗骨材、細骨材、セメントの配合割合の何れかが少な過ぎる場合にあっては、それらの配合効果を有利に享受し得ない恐れがあるため、望ましくない。
次いで、このようにして得られたセメント組成物に対して、更に水を加えて、所定の形状に成形し、固化せしめることによって、本発明の目的とする磯根設置用浚渫土ブロックが得られることとなるのであるが、そこにおいて、セメント組成物に対する水の添加、ブロックの成形及び固化の方法は、特に限定されるものではなく、従来からよく知られている一般的な方法によって、有利に行なわれることとなる。
具体的には、かかるセメント組成物に対して添加される水としては、特に限定されるものではなく、上水道、工業用水、井戸水、河川水、地下水等が、何れも用いられ得るのであり、また、本発明にあっては、浚渫土固形物中に残存する海水も、そこに含まれることとなる。
また、セメント組成物に対する水の添加割合としても、本発明にあっては特に限定されるものではなく、有利には、従来から一般的に添加割合として採用されている範囲内において、目的に応じて適宜に決定されることとなるが、より有利には、添加される水(W)と前記セメント(C)との重量比(W/C)が、0.4〜1.3の範囲内となるように調整されることとなる。そのような範囲内のW/Cとすることによって、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックを、有利に、良好なワーカビリティを確保しつつ、充分な強度を有するものと為し得ることとなるため、望ましい。なお、W/Cが大き過ぎる場合には、セメント組成物の流動性が増して、ワーカビリティは良好となるものの、得られるブロックの強度が小さくなって、磯根設置用のブロックとして充分な強度を確保し得ない恐れがあるため望ましくない。一方、W/Cが小さ過ぎる場合には、得られるブロックの強度は大きくなるものの、セメント組成物の粘性が増して、ワーカビリティが悪化するため望ましくない。
さらに、前記磯根設置用浚渫土ブロックの成形に際し、かかるブロックの形状は、特に限定されるものではなく、従来から藻礁や魚礁に適した形状として公知のものが、その目的に応じて、何れも採用され得るのであり、そのような形状としては、例えば、特開2005−348659号公報等に明らかにされているもの等を例示することが出来る。
そして、そのような目的に応じて適宜に選定された所定の形状を与える型枠内に、上記したセメント組成物と水との混合物が、振動法等の通常の方法によって流し込まれた後、必要に応じて養生等の工程を経ることにより固化せしめられて、目的とする磯根設置用浚渫土ブロックが形成されることとなる。そして、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックにあっては、このように、かかるブロックの形成が、焼成等の高エネルギーを要する工程を何等必要とすることなく、低エネルギーにて行なわれ得るものであるところから、コスト的に安価に製造し得るのであって、経済的に有利であると共に、環境に対する負荷も小さいという特徴を有しているのであり、加えて、本発明は、これまで廃棄物として処理されていた浚渫土を、磯根設置用浚渫土ブロックの構成材料として有効利用するものであるところから、ゼロ・エミッションにも対応し得る、資源循環型・環境調和型の技術であるという特徴をも有しているのである。
以上のようにして得られる本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックによれば、既述のように、それを、藻礁や魚礁として造成海域の磯根に設置することによって、藻場や魚場の造成が有利に行なわれ得るのであり、これにより、造成海域の生物生体系の再構築、ひいては漁業資源の再生が、有利に達成され得ることとなるのである。しかも、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックは、多孔質状のものとして得られるものであるところから、かかる藻場や魚場の造成が、より一層有利に行なわれ得るのである。即ち、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックにあっては、浚渫土に含まれる間隙水が、ブロックの固化工程において脱水されるることにより、得られるブロックが、かかる間隙水の脱水に起因する空隙を有する多孔質状のものとなるのであるが、かかるブロック内部の空隙は、バクテリア等の微生物の住居として有効な担体となるのであり、しかも、浚渫土に含まれる有機栄養分によって、微生物活性が促進せしめられることから、微生物の担体としてより一層有効なものとなるのである。そして、そのような微生物は、海底面上へと沈降堆積してくる新生有機物を効率よく分解・回帰させる機能を有しているところから、本発明に従う磯根設置用浚渫土ブロックは、そのような微生物の働きによって、底質への新たな有機物負荷を軽減させることが出来る特徴をも有するものとなるのである。
以下に、本発明の実施例を含む幾つかの実験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実験例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実験例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
三重県英虞湾の立神浦において浚渫された浚渫土を採取し、これに、図1に示される処理装置を用いて、製紙スラッジ焼却灰を主成分とする凝集固化剤(株式会社片山化学工業研究所製、アクアリファイン)を反応せしめ、そしてそれによって生じたフロックを固液分離して、脱水することにより、含水比が900%の浚渫泥水から含水比が150%の浚渫土固形物を得た。なお、凝集固化剤は、泥水体積に対して、外掛けにて1.5%の割合において混合せしめて、反応させた。
また、セメントとして、高炉B種セメント(宇部三菱セメント株式会社製)を、粗骨材として、岡崎産砕石を、上記浚渫土以外の細骨材として、大井川水系産陸砂を準備した。更に、混和剤として、消泡剤(竹本油脂株式会社製、AFK−2)、AE減水剤(竹本油脂株式会社製、EX−50)及び高性能AE減水剤(竹本油脂株式会社製、SSP−104)を、それぞれ準備した。
−実施例1−
上記で準備したセメント、粗骨材及び細骨材を、下記表1及び表2に示す割合となるように配合し、そこに、上水道水を、下記表1に示す割合において更に加えて、55Lパン型ミキサーにて混合・撹拌した。得られたフレッシュコンクリートの性状(スランプ値及び空気量)について、コンクリート温度20℃にて試験を行なった。結果を、下記表3に示す。なお、スランプ値は、コンクリートのスランプ試験方法(JIS−A−1101)に準じて、また空気量は、フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法(JIS−A−1128)に準じて行なった。
−実施例2〜3−
セメント、粗骨材、細骨材及び細骨材中の浚渫土固形物の配合割合を下記表1及び表2に示す割合となるようにした以外は、実施例1と同様にして、フレッシュコンクリートを調製し、請求項1と同様にして、フレッシュコンクリートの性状について試験を行なった。その結果を、下記表3に併せて示す。
−実施例4,5−
セメント、粗骨材、細骨材の配合割合を下記表1及び表2に示す割合となるようにし、また細骨材として浚渫土固形物のみを用いるようにした以外は、実施例1と同様にして、フレッシュコンクリートを調製した。また得られたフレッシュコンクリートの性状について、実施例1と同様にして試験を行なった。結果を、下記表3に併せて示す。
−比較例1〜8−
セメント、粗骨材、細骨材の配合割合を下記表1及び表2に示す割合となるようにし、また細骨材として浚渫土固形物を用いないようにした以外は、実施例1と同様にして、フレッシュコンクリートを得た。また得られたフレッシュコンクリートの性状について、実施例1と同様にして試験を行なった。結果を、下記表3に併せて示す。
Figure 2008263928
Figure 2008263928
Figure 2008263928
かかる表3の結果から明らかなように、実施例1〜5及び比較例1〜8の何れも、スランプ値、空気量共に、良好な値であった。
次いで、実施例1〜4及び比較例1〜8で調製されたフレッシュコンクリートを用いてコンクリートブロック(400mm×100mm×100mm)を作製した。得られたコンクリートブロックについて、その圧縮強度(N/mm2 )を、コンクリートの圧縮強度試験方法(JIS−A−1108)に準じて求め、得られた値を、それぞれ、W/Cに対してプロットした。材令3日における結果を図3(a)に、材令7日における結果を図3(b)に、また材令28日における結果を図3(c)に、それぞれ示す。
かかる図3の結果から明らかなように、何れの材令においても、細骨材の一部として浚渫土固形物を含むブロックである実施例1〜4の圧縮強度は、それぞれのW/Cにおいて、構成材料中に浚渫土固形物を含まないブロックである比較例1〜8のブロックの圧縮強度を上回るものであることが分かった。
また、実施例1、3及び4において得られたコンクリートブロックを、英虞湾内の磯根(水深約2m)に設置し、海域環境におけるブロックの変化を観察した。1ヶ月経過後、各ブロックの外観に変化はなく、充分に強度が保たれていることが認められた。また、6ヶ月経過後においても、海底において、ブロックが崩壊・分散せしめられるようなことはなく、磯根設置用のブロックとして有用であることが認められた。
本発明に従う浚渫土の処理装置の一例を示す概略説明図である。 図1に用いられている固液分離装置の概略説明図である。 実施例において得られたコンクリートブロックのW/Cに対する圧縮強度の結果を示すグラフであって、(a)は、材令3日における結果を、(b)は、材令7日における結果を、(c)は、材令28日における結果を示すグラフである。
符号の説明
2 原泥貯留槽 4 濾過液槽
6 固液分離装置 8 反応槽
10 凝集固化剤供給機 12 供給ポンプ
14 原泥撹拌機 16 原泥送出ポンプ
18 返送ポンプ 20 撹拌機
22 ストップバルブ 24 流量調整弁
26 回転板 28 フレーム
30 回転軸 32 案内部材
34 ウェイト 36 アーム
38 軸 40 圧搾装置

Claims (3)

  1. 少なくとも粗骨材と細骨材とをセメントに配合して得られるセメント組成物に、更に水を加えて、目的とする形状に成形し、固化せしめてなる磯根設置用の浚渫土ブロックにして、
    前記細骨材の少なくとも一部として、浚渫土に対して製紙スラッジ焼却灰を主成分とする凝集固化剤を混合して、反応・形成されたフロックを、脱水して得られる浚渫土固形物を用いたことを特徴とする磯根設置用浚渫土ブロック。
  2. 前記添加される水(W)と前記セメント(C)との比(W/C)が、0.4〜1.3の範囲内に調整されることを特徴とする請求項1に記載の磯根設置用浚渫土ブロック。
  3. 前記セメント組成物が、重量比にて、25〜65%の粗骨材、15〜35%の細骨材及び15〜45%のセメントから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磯根設置用浚渫土ブロック。
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