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JP2008263964A - コウモリ由来細胞株 - Google Patents

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Eiichi Hondo
栄一 本道
Takeshi Maeda
健 前田
Shigeru Yasumoto
茂 安本
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Yamaguchi University NUC
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Abstract

【課題】人間に重篤な病気を引き起こすウイルスについて、ウイルスの感染の仕組みの解明、あるいはワクチン製造のためのウイルスの複製方法や、ウイルス感染症の診断のためのウイルス力価・抗体の測定法、新種ウイルスの検出・同定法、および抗ウイルス剤のスクリーニング法を提供する。
【解決手段】ウイルスと同じ宿主由来のコウモリ腎臓に由来する細胞であって、SV40(Simianvirus40)ラージT抗原遺伝子を導入した長期継代可能な細胞株。
【選択図】なし

Description

本発明は、コウモリ由来の細胞であって、長期継代が可能な細胞株に関する。本発明はさらに、該キクガシラコウモリおよびオオコウモリ由来細胞株を用いたウイルスの複製法、ウイルス感染症の診断のためのウイルス力価測定方法、ウイルス抗体の定量法、新種ウイルスの検出・同定法、および抗ウイルス剤のスクリーニング法に関する。
2005年にSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome: 重症急性呼吸器症候群)ウイルスが中国キクガシラコウモリ(Chinese horseshoe bat:学名Rhinolophus ferrumequinum))から分離された。SARSは、2002年に中華人民共和国広東省に発生し、2003年7月に新型肺炎制圧宣言がだされるまでの間に、8,069人が感染し、775人が死亡したとされる、重篤なウイルス感染症である。
オオコウモリに関しては、アフリカにおいてエボラ出血熱(Ebora Hemorrhagic Fever)ウイルスが3種のオオコウモリ(Hyspignathus monstrosus,Epomops franquetti,Myonycteris torquata)から分離され、東南アジアのニパウイルス病(Nipah Virus Disease)が、ライルオオコウモリ(Pteropus Lylei)から分離された。特に前者は毎年80%以上の致死率をもって出現し、例年数十人から数百人の犠牲者を出している。後者は、マレーシアにおける最近の出現が深刻であり、ヒトに感染すると70%以上の致死率を示し、オオコウモリからブタを介してヒトに感染することから、1998年の発生では約100万頭のブタが殺処分となった。
わが国には、1種のオオコウモリが存在し、その1亜種であるヤエヤマオオコウモリから琉球ウイルスが分離された(非特許文献、本メールに添付)。
重篤なウイルス感染症に対する防御あるいは治療の試みは世界中で広く行われているが、ウイルスは、感染した細胞内で細胞自体の代謝経路を使って複製するため、宿主細胞に悪影響を与えずウイルスだけを攻撃できる代謝機能は限られ、現在使用されている抗ウイルス薬は体内でのウイルス感染・増殖の経路を遮断する効果をもつものが多くを占めている。しかしながら、近年、エマージングウイルスと呼ばれる致死的な作用を持つ新興ウイルスは、現代社会の発展と共に広範囲に拡散し、感染の脅威を強めている。
エマージングウイルスのヒトへの感染は、野生動物から直接起きる場合と、野生動物から家畜が感染し、家畜からヒトが感染する場合がある。マレーシアで発生したニパウイルスは、自然宿主のオオコウモリから、オオコウモリの生息地まで広げられた養豚場のブタに感染し、ブタからヒトに感染したケースである。狂犬病ウイルス、エボラ出血熱ウイルス、SARSウイルス、脳炎ウイルスなど人間に重篤な病気を引き起こす様々なウイルスは、コウモリが自然宿主であることが明らかにされている(非特許文献1)。
これまで、日本脳炎不活化ワクチンの製造にはマウス、インフルエンザワクチンの製造には発育鶏卵が用いられてきた。また、ウイルスの分離・増殖には、アフリカミドリザル腎由来細胞Vero細胞などの培養細胞が用いられている。しかし、動物の使用、製造コストの面から、あるいは変異を極力防ぐためにも、コウモリ由来の培養細胞で、かつ、ウイルスの大量の増殖を支持する培養細胞を用いることが理想的となっている。コウモリ由来の培養細胞は、コウモリを捕獲し、臓器を摘出し、その臓器より培養してえられるが、この初代培養細胞からは多くても10代前後しか継代することが出来ず、持続して用いることが不可能である。持続して継代できる、いわゆる不死化の細胞を用いた研究は、抗ウイルス医薬品の開発に重要であるが、特許文献1には、不死化ニワトリ線維芽細胞を用いてワクチン生産のために、大量にウイルスを複製する方法が開示されている。
Calisher,C.H.,Childs,J,E.,Field,H,E.,Holmes,K,V.,Schountz,T.,Clinical Microbiology Reviews 19(3):531−545,2006 特許第3754088号公報
人間に重篤な病気を引き起こすウイルスの感染の仕組みの解明や、これらのウイルスに対する医薬品は充分とは言えない現状である。本発明は、ウイルスと同じ宿主由来のコウモリ由来の長期継代が可能な細胞を提供し、ウイルスの感染の仕組みの解明、あるいはワクチン製造のためのウイルスの複製方法や、ウイルス感染症の診断のためのウイルス力価・抗体の測定法、新種ウイルスの検出・同定法、および抗ウイルス剤のスクリーニング法を提供することをその主な課題とする。
本発明者等は、日本のキクガシラコウモリ或いはヤエヤマオオコウモリを捕獲し、腎臓より細胞を抽出し、SV40(Simian virua 40)のラージT抗原を該細胞に形質導入することにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(11)を提供する。
(1)コウモリに由来する細胞であって、SV40,(Simian virus 40)ラージT抗原遺伝子を導入した細胞であることを特徴とする、長期継代可能な細胞株。
(2)(1)に記載した長期継代可能な細胞株において、ウイルスが複製された場合に細胞変性効果を生じる、該長期継代可能な細胞株に由来する新規な細胞株。
(3)前記ウイルスが、コウモリ由来のウイルスである(2)に記載の新規な細胞株。
(4)前記コウモリがキクガシラコウモリまたは大コウモリである(3)記載の長期継代可能な細胞株。
(5)受託番号NITE AP−347として寄託された(4)に記載の長期継代可能な細胞株。
(6)SV40ラージT抗原遺伝子を導入した細胞がコウモリ腎臓に由来する細胞である(1)〜(5)のいずれかに記載の長期継代可能な細胞株。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞株に、ウイルスを感染させ、細胞を培養し、細胞変性効果が全面に広がった段階で、培養上清および感染細胞からウイルスを回収してなるウイルスの複製方法。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞株と、ウイルスを共培養し、細胞変性効果を指標に行うことを特徴とするウイルス力価の測定方法。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞株と、ウイルス含有血清とを共培養し、細胞変性効果を指標に行うことを特徴とする、ウイルスに対する抗体価を定量する方法。
(10)(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞株を、ウイルスの含有が疑われる試料と接触させ、共培養して、細胞変性効果が観察された細胞を単離してウイルス核酸を回収し、ウイルスを共通に検出するDNAポリメラーゼ領域のプライマー対を用いてPCRを行い、塩基配列を決定することからなる、新種のウイルスを検出する方法。
(11)(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞株にウイルスを感染させ、該ウイルスの増殖阻害を評価することを特徴とする、抗ウイルス剤のスクリーニング方法。
本発明のコウモリ由来ウイルスの増殖に適した本細胞は、コウモリ由来ウイルスの研究のみならず、コウモリ由来ウイルスのワクチンの製造や、ウイルス感染症の診断にも役立つことが期待される。
ウイルスと宿主は長い歴史の中で、共存関係を成立させた。ウイルスは特定の動物にしか感染しないことが多い。そのためウイルスの分離・増殖には、同じ宿主由来の培養細胞を用いる必要がある。例え、異宿主由来の細胞株で増殖できたとしても、増殖が遅いなどの問題があるほか、ウイルスは急速に異宿主での増殖に適するよう変異を起こしてしまうことが多い。本発明は、社会的に問題となっているコウモリ由来ウイルスについて、その分離・増殖に適した細胞株を提供するものである。
本発明の長期継代可能な細胞株は、コウモリの組織から得られる。
本発明においては、翼手目に属する所謂コウモリであればよく、大翼手亜目、小翼手亜目のいずれであってもよい。たとえばオオコウモリ科、オオコウモリ属(Pteropus)のヤエヤマオオコウモリなど、キクガシラコウモリ属(Rhinolophus)のキクガシラコウモリ、ホオヒゲコウモリ属(Myotis)のモモジロコウモリ、アブラコウモリ属(Pipistrellu)のイエコウモリ、ヒナコウモリ属(Vespertilio)のヒナコウモリ、ユビナガコウモリ属(Miniopterus)のユビナガコウモリ、その他のコウモリが挙げられる。しかしながら、コウモリはヒトに致死的なウイルスを保有している可能性も高く、また種の絶滅の危機を避けるため、環境省または都道府県の許可を得なければならない。そのため、大量に生存して、捕獲が容易かつ捕獲許可の受けやすいヤエヤマオオコウモリやキクガシラコウモリを使用することが望ましい。
また、長期継代可能な細胞株は、コウモリの組織から得ることができるが、一般には内臓の組織が便利であり、好ましくは腎臓である。
本発明の長期継代可能な細胞株は、コウモリ由来の長期継代可能な細胞株である。したがって、該長期継代可能な細胞株は、例えば、以下のような手順で樹立することが出来る。捕獲されたコウモリより、無菌的に組織、例えば腎臓を摘出し、腎臓の被膜を除去した後、これを細かく切断し、尿細管上皮細胞と間質細胞とを分離するための酵素処理を行う。ここで使用する酵素としては、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、カスパーゼなどタンパク質分解酵素があげられ、トリプシンの使用が望ましい。得られた細胞は、培養液でよく洗浄した後、血清を含む培養液中で培養を行う。培養液は、例えば、10%牛胎児血清(FCS)を含んだRPMI1640(GIBCO)がある。更にこの培養液には、細菌の混入を防ぐために抗生剤を加えておくことが好ましい。抗生剤としては、ペニシリン、ストレプトマイシンやアンピシリンがあげられ、1種または2種を加えることができる。培養は30〜40℃、好ましくは37℃で行う。また、培養液中に3〜10%、好ましくは5%のCO2を混合した洗浄空気を供給しながら行うことが望ましい。通常この培養は1〜2週間行う。ここで得られた細胞を初代培養細胞と呼称する。
次いで、該初代培養細胞へ、SV40ラージT抗原をコードする遺伝子、例えば、SV40ラージT抗原遺伝子配列を含む複製開始点欠失SV40DNA、および抗生剤耐性遺伝子、例えば、ペニシリン、ストレプトマイシンやアンピシリンに耐性を有する遺伝子を導入するが、遺伝子の導入は常法に従って行うことができる。具体的にはエレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、レトロウイルスベクターの使用等があげられる。導入した発現ベクター内に存在する抗生剤耐性遺伝子により、形質導入された細胞のみを選択的に増やすために、抗生剤を含んだ培養液、例えば前記10%FCSを含んだRPMI1640(GIBCO)や10%FCSを含んだRPMI(免疫生物研究所)で、5〜10日間、好ましくは6〜8日間培養する。この状態で、抗生剤耐性遺伝子が導入されていない細胞は死滅する。生き残った細胞を、3〜4日間隔で継代を行うことにより、長期継代可能な細胞株を作製することができる。
以上に記述した方法により作製し、選択した長期継代可能な細胞株は、独立行政法人・製品評価技術基盤機構・特許微生物寄託センターに、平成19年3月27日、受託番号NITE AP−347として寄託されている。
また、本発明の長期継代可能な細胞株を利用して、細胞変異効果(CPE)を有するコウモリ由来のウイルス、例えば、狂犬病ウイルス、エボラ出血熱ウイルス、ニパウイルス、SARSウイルス、ピコナウイルス、ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、レオウイス、トガウイルスなどを複製することにより生じる細胞も本発明に含まれる。
また、本発明の長期継代可能な細胞株は、ウイルスを大量に複製することができるものである。すなわち、該細胞にウイルスを感染させて、感染細胞を培養し、細胞変性効果が全面に広がった段階で、培養上清および感染細胞からウイルスを回収することにより、ウイルスを大量に複製することができる。
上記ウイルスをワクチンとして使用する場合、感染細胞の培養は、抗原性を示す血清中のリポタンパク質、血清アルブミンおよび血清グロブリンなど有害な血清成分を低減したウシ血清を使用することが望ましく、5〜10%濃度の該ウシ血清を含有する培地で培養することにより、その培養上清中に、ヒトを含む動物に対し、副反応を起こしにくい、安全性を高めたワクチンの原材料としてのウイルスを大量に調製することができる。
ワクチンの製造方法としては、例えば、感染細胞を培養して、上清中に放出されたウイルスを回収するか、あるいは細胞中に存在しているウイルスを、細胞を破壊することにより回収するとともに、ウイルスをホルマリン処理などにより不活化し、不活化したウイルスにアジュバントを添加することによりワクチンを調製することができる。ワクチン中のウイルスの量は、ワクチンを接種するヒトを含む動物に、目的のウイルスの感染を阻止できる免疫を付与するに十分な量であり、一般に、例えば、1×103.5TCID50/ml〜1×105.0TCID50/ml以上のウイルス量である。また、使用できるアジュバントとしては、ワクチンを接種するヒトを含む動物に、全身性感染防御免疫や局所性感染防御免疫を付与できるアジュバントがあげられる。
また、本発明の長期継代可能な細胞株は、目的のウイルスと共培養することにより、ウイルスの力価を測定することができる。ウイルスの力価の測定は、例えば、以下のように行うことができる。組織培養用プレートの各ウェルに本発明の細胞を分注し、1〜3日間培養して単層を形成させる。次いで、培養上清を除き、検査するウイルスを適切な培地で1:10〜1:10まで階段希釈して各ウェルに添加し、ウイルスを細胞に吸着感染させた後、FCSを含有する培地を加えて3〜7日間培養する。また、ウイルス力価の測定は、ウイルスによる細胞変性効果が認められたウェルを陽性とみなし、ベーレンス・ケルバー法を用いてTCID50/mlを算出して得られる。
さらに、本発明の長期継代可能な細胞株は、細胞変性効果を指標にウイルスに対する抗体価を定量することができる。すなわち、抗体価を測定するための抗原は、上記のようにして得られるワクチン用の不活化ウイルスを抗原とする場合や、本発明の細胞株と共培養したウイルスから単離した抗原の場合もある。抗体価の測定は、例えば以下のように行うことができる。得られた抗原を免疫測定用のELISAプレートや、ニトロセルロース膜などの支持体に固定することにより調製し、ウイルスに感染した人を含む動物の血清中に存在する抗体と結合させた後、公知の免疫測定法例えば、免疫沈降法、酵素免疫測定法 (EIA; enzyme−immuno assay、ELISA;enzyme−linked immunosorbent assay)、放射線免疫測定法(RIA;radio−immuno assay)、蛍光抗体法(FIA;fluorescent immuno assay)、免疫細胞染色等の免疫学的測定法で測定し、抗体価を求めることができる。上記測定法においては、抗体を検出可能な物質で標識するが、例えば、酵素標識の西洋ワサビパーオキシダーゼやアルカリ性フォスファターゼなどを結合させた二次抗体との反応およびそれに続く呈色反応などにより抗体価を測定することができる。この結果から、ウイルス感染の有無あるいは重症度を判定することも可能である。
また、さらに、本発明の長期継代可能な細胞株を用いて、コウモリ由来の新種のウイルスを検出・同定することができる。すなわち、本発明の長期継代可能な細胞株に、ウイルスの含有が疑われる試料と接触させて感染させた該細胞株を、例えば、10%FCSを含んだRPMI1640(GIBCO)で、30〜40℃、好ましくは37℃で、1〜2週間培養し、細胞変性効果(cytopathic effect)が観察された細胞を顕微鏡で確認する。これは、この新種コウモリウイルスが本発明の長期継代可能な細胞株で増殖できたことを証明する。さらに、詳細に新種のウイルスを同定する場合には、培養上清からウイルス核酸を回収し、ウイルスを共通に検出するプライマー対を用いてPCRを行い、塩基配列を決定することができる。
本発明の長期継代可能な細胞株は、ウイルス感染症の予防あるいは治療用医薬品のスクリーニングに用いることができるばかりでなく、ウイルス感染のメカニズムの解明にも使用することができる。ウイルス感染症の予防あるいは治療用医薬品である、抗ウイルス剤は、本発明の細胞に、目的とするウイルスを感染させ、該ウイルスの増殖抑制あるいは死滅効果を評価することにより得ることができる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を挙げるが本発明はこれに限定されない。
<細胞株の作製>
日本に常在する翼手目小翼手亜目のキクガシラコウモリ(学名Rhinolophus ferrumequinum:英語名horseshoe bat)のオスを山口県知事の許可の下、捕獲した。捕獲されたキクガシラコウモリより、無菌的に腎臓を摘出した。腎臓の被膜を除去した後ハサミで細かな断片にし、トリプシンで処理することにより、個々の細胞に分離した。トリプシン処理した細胞を、培養液でよく洗浄した後、フラスコに接種した。培養液には10%の牛胎児血清(FCS)を含んだRPMI1640(GIBCO)を用いた。この培養液には、更に細菌の混入を防ぐために100mg/mlのペニシリン(GIBCO)と100U/mlのストレプトマイシン(GIBCO)を加えた。培養は37℃、5%CO2存在下で行った。
初代培養細胞を株化するために、35mmディッシュに初代培養細胞をほぼ全面に細胞が増えたところで、SV40ラージT抗原遺伝子配列を含む複製開始点欠失SV40DNAをコードするT抗原発現プラスミド(pSV40Tori−DNA)をトランスフェクション法によって細胞へ導入した。導入の2時間前に無血清培地であるOPTI−MEM(GIBCO)2mlに培養液を交換し、導入の30分前より、10μlのLipofectoamine 2000(Invitrogen)と4μgのpSV40Tori−DNAを計500μlになるようにOPTI−MEMで調整し、20分間室温で静置後、初代培養細胞に導入した。導入後4時間で培養液を10%の牛胎児血清(FCS)を含んだRPMI1640に置換し、更に20時間培養した。
形質導入された細胞のみを選択的に増やすために、形質導入24時間後に、75cm2フラスコに細胞を継代し、培養液の10%FCSを含んだRPMI1640に、最終濃度200μg/mlとなるようにG418(SIGMA)を加えた。プラスミドにはネオマイシンに耐性の遺伝子を導入しているため、プラスミドが導入された細胞はG418に耐性になるが、プラスミドが導入されていない細胞はG418により死滅する。
約一週間後、プラスミドが導入されていない細胞はほぼすべて死滅し、生き残った細胞のコロニーは、急速に細胞を増やし始め、3〜4日間隔で1:3希釈の継代が可能となり、40継代の細胞が得られた。この細胞をBat kidney T1細胞(BKT1)細胞と名付けた。
<コウモリ由来新規ヘルペスウイルスの同定>
継代で細胞死が認められたキクガシラコウモリ脾臓から得られた未知のウイルス(BV1)をBKT1細胞に感染し、10%FCSを含んだRPMI1640培地で共培養した結果、細胞変性効果(cytopathic effect)が観察された。これは、この新種コウモリヘルペスウイルスがBKT1細胞で増殖できたことを証明している。さらにこの感染細胞を電子顕微鏡で観察した結果、細胞内にヘルペスウイルス様粒子が観察された(図1)。
BV1感染細胞の培養上清からウイルスDNAを回収し、VanDEVANTER DRらの方法(VanDEVANTER DR,WARRENTER P,BENNETT L,SCHULTZ ER,COULTER S,GARBER RL,ROSE TM,Journal of Clinical Microbiology 34:1666−1671,1996年)に準じて、ヘルペスウイルスを共通に検出する配列番号2および配列番号3に示すプライマー対(DNAポリメラーゼ領域)を用いてPCRを行い、塩基配列(配列番号1)を決定した結果、このコウモリ由来ヘルペスウイルスはウマヘルペスウイルス2型に最も近縁であることが示された(図2)。遺伝子レベルでは、ヘルペスウイルス科、ガンマヘルペスウイルス亜科、ラディノウイルス属に属するこれまで報告のないヘルペスウイルスであることが分かった。BV1ウイルスは、DDBJ(DNA Data Bank of Japan:国立遺伝子研究所)に、アクセッションNo.AB2198558として登録した。
<細胞株の作製>
日本に常在する翼手目大翼手亜目のヤエヤマオオコウモリ(学名Pteropus dasymallus yayeyamae:英語名Ryukyu flying fox)のオスを沖縄県知事の許可の下、捕獲した。捕獲されたヤエヤマオオコウモリより、無菌的に腎臓を摘出した。腎臓の被膜を除去した後ハサミで細かな断片にし、トリプシンで処理することにより、個々の細胞に分離した。トリプシン処理した細胞を、培養液でよく洗浄した後、フラスコに接種した。培養液には10%の牛胎児血清(FCS)を含んだRPMI1640(GIBCO)を用いた。この培養液には、更に細菌の混入を防ぐために100mg/mlのペニシリン(GIBCO)と100U/mlのストレプトマイシン(GIBCO)を加えた。培養は37℃、5%CO存在下で行った。
初代培養細胞を株化するために、35mmディッシュに初代培養細胞をほぼ全面に細胞が増えたところで、SV40ラージT抗原遺伝子配列を含む複製開始点欠失SV40DNAをコードするT抗原発現プラスミド(pSV40Tori−DNA)をトランスフェクション法によって細胞へ導入した。導入の2時間前に無血清培地であるOPTI−MEM(GIBCO)2mlに培養液を交換し、導入の30分前より、10μlのLipofectoamine 2000(Invitrogen)と4μgのpSV40Tori−DNAを計500μlになるようにOPTI−MEMで調整し、20分間室温で静置後、初代培養細胞に導入した。導入後4時間で培養液を10%の牛胎児血清(FCS)を含んだRPMI1640に置換し、更に20時間培養した。
形質導入された細胞のみを選択的に増やすために、形質導入24時間後に、75cmフラスコに細胞を継代し、培養液の10%FCSを含んだRPMI1640に、最終濃度200μg/mlとなるようにG418(SIGMA)を加えた。プラスミドにはネオマイシンに耐性の遺伝子を導入しているため、プラスミドが導入された細胞はG418に耐性になるが、プラスミドが導入されていない細胞はG418により死滅する。
約一週間後、プラスミドが導入されていない細胞はほぼすべて死滅し、生き残った細胞のコロニーは、急速に細胞を増やし始め、3〜4日間隔で1:3希釈の継代が可能となり、40継代の細胞が得られた。この細胞をFruit Bat kidney T1細胞(FBKT1)細胞と名付けた。
<コウモリ由来新規アデノウイルスの同定>
継代で細胞死が認められたヤエヤマオオコウモリ脾臓から得られた未知のウイルス(Ryukyu virus 1:RV1)をFBKT1細胞に感染し、10%FCSを含んだRPMI1640培地で共培養した結果、細胞変性効果(cytopathic effect)が観察された。これは、この新種アデノウイルスがFBKT1細胞で増殖できたことを証明している。さらにこの感染細胞を電子顕微鏡で観察した結果、核内にアデノウイルス様粒子が観察された(図3)。
RV1感染細胞の培養上清からウイルスDNAを回収し、VanDEVANTER DRらの方法(WELLEHAN JF,JOHNSON AJ,HARRACH B,BENKI M,PESSIER AP,JOHNSON CM,GARNER MM,CHILDESS A,JACOBSON ER.Journal of Virology 78:13366−13369,2004年)に準じて、アデノウイルスを共通に検出する配列番号5および配列番号6に示すプライマー対(DNAポリメラーゼ領域)を用いてPCRを行い、塩基配列(配列番号4)を決定した結果、このコウモリ由来アデノウイルスはツパイアデノウイルス(Tree shrew adenovirus)に最も近縁であることが示された(図4)。遺伝子レベルでは、アデノウイルス科、マストアデノウイルス属に属するこれまで報告のないアデノウイルスであることが分かった。RV1ウイルスは、DDBJ(DNA Data Bank of Japan:国立遺伝子研究所)に、アクセッションNo.AB303301として登録した。
本発明の細胞は、長期にわたり継代培養を行うことが可能であり、コウモリ由来のウイルスの分離や増殖に優れていることが期待され、感染ウイルスの診断やワクチンの作出に有用であると考えられる。
新種コウモリ由来ヘルペスウイルス(BV1)が感染したコウモリ由来培養細胞(BKT1)を示す、図面に代わる電子顕微鏡写真である。 新種コウモリ由来ヘルペスウイルス(BV1)が感染したコウモリ由来培養細胞(BKT1)の培養上清より得られたDNAから決定した系統図である。 新種コウモリ由来アデノウイルス(RV1)が感染したコウモリ由来培養細胞(FBKT1)を示す、図面に代わる電子顕微鏡写真である。 新種コウモリ由来アデノウイルス(RV1)が感染したコウモリ由来培養細胞(FBKT1)の培養上清より得られたDNAから決定した系統図である。

Claims (11)

  1. コウモリに由来する細胞であって、SV40,(Simian virus 40)ラージT抗原遺伝子を導入した細胞であることを特徴とする、長期継代可能な細胞株。
  2. 請求項1に記載した長期継代可能な細胞株において、ウイルスが複製された場合に細胞変性効果を生じる、該長期継代可能な細胞株に由来する新規な細胞株。
  3. 前記ウイルスが、コウモリ由来のウイルスである請求項2に記載の新規な細胞株。
  4. 前記コウモリがキクガシラコウモリおよびオオコウモリである請求項3記載の長期継代可能な細胞株。
  5. 受託番号NITE AP−347として寄託された請求項4に記載の長期継代可能な細胞株。
  6. SV40ラージT抗原遺伝子を導入した細胞がコウモリ腎臓に由来する細胞である請求項1〜5のいずれかに記載の長期継代可能な細胞株。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の細胞株に、ウイルスを感染させ、細胞を培養し、細胞変性効果が全面に広がった段階で、培養上清および感染細胞からウイルスを回収してなるウイルスの複製方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の細胞株と、ウイルスを共培養し、細胞変性効果を指標に行うことを特徴とするウイルス力価の測定方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の細胞株と、ウイルス含有血清とを共培養し、細胞変性効果を指標に行うことを特徴とする、ウイルスに対する抗体価を定量する方法。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の細胞株を、ウイルスの含有が疑われる試料と接触させ、共培養して、細胞変性効果が観察された細胞を単離してウイルス核酸を回収し、ウイルスを共通に検出するDNAポリメラーゼ領域のプライマー対を用いてPCRを行い、塩基配列を決定することからなる、新種のウイルスを検出する方法。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載の細胞株にウイルスを感染させ、該ウイルスの増殖阻害を評価することを特徴とする、抗ウイルス剤のスクリーニング方法。
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