そこで、本発明は、上記事情に鑑み、記録テープをハブに巻回するときに、そのハブの軸方向への変動を抑制でき、テープエッジダメージの発生を防止できるテープリール、記録テープカートリッジ、マシンリール及びドライブ装置を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のテープリールは、記録テープが巻回されるハブと、前記ハブの両端部に設けられたフランジと、を備え、前記ハブが、その両端部側の径よりも大きい径とされた大径部を有し、該大径部が、前記ハブの幅方向中央部よりも一方のフランジ側又は他方のフランジ側へ偏在されていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、記録テープをハブに巻回するときに、そのハブの幅方向略中央部から、どちらか一方の端部側に寄せて巻回することができるので、ハブの軸方向への位置変動を抑制することができる。したがって、記録テープの走行位置を安定させることができ、ドライブ装置に設けられたテープガイドやマシンリールのフランジ、更にはテープリールのフランジ等との接触により発生するテープエッジダメージを防止することができる。よって、高密度記録のドライブ装置であっても、サーボ信号の読取エラーやデータ信号の記録・再生エラーの発生を低減することができ、ポジションエラーシグナル(位置誤差信号)やオフトラックの低減を期待することができる。
更に、記録テープのハブの軸方向への位置変動を抑制できることから、記録テープの巻き乱れを抑制することができ、整巻き性を向上させることができる。したがって、記録テープの1枚飛び出し現象を防止でき、輸送時やハンドリング時に、その飛び出した1枚の記録テープが折れてしまうような不具合(テープエッジダメージ)の発生を防止することができる。
また、例えばテーパー形状とされたハブに記録テープを巻回して行くと、その記録テープは累積的に一方のフランジ側に強く押し付けられて行くことになるため、その一方のフランジに過剰に寄せられ、テープエッジがそのフランジに強く押し付けられて損傷してしまうおそれがある。また、このように、記録テープが一方のフランジ側へ強く押されすぎると、これをきっかけとした反動で、1枚飛び出し現象が発生してしまうおそれもある。特に、記録テープが薄肉化されると、この現象は顕著になる。しかし、本発明に係るテープリールでは、上記大径部の効果によって、記録テープのハブの軸方向への位置変動を抑制できることから、累積的な一方のフランジへの強い押し付けが軽減される。したがって、テープエッジの損傷や1枚飛び出し現象が発生し難くなる。
また、請求項2に記載のテープリールは、請求項1に記載のテープリールにおいて、前記大径部の幅方向中央部が、前記ハブの幅方向中央部から、該ハブの幅の5%〜40%偏在していることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、記録テープをハブに巻回するときに、そのハブの幅方向略中央部から、どちらか一方の端部側に寄せることが良好にできる。すなわち、上記偏在量が5%未満であると、記録テープを一方の端部側に寄せることが良好にできないし、40%より大きいと、記録テープを一方の端部側に過剰に寄せ過ぎてしまう。なお、上記偏在量は、好ましくはハブの幅の8%〜24%である。この範囲では、記録テープの湾曲がある程度大きくなっても良好な効果を得ることができる。
また、請求項3に記載のテープリールは、請求項1又は請求項2に記載のテープリールにおいて、前記ハブの一端部側と他端部側は半径が異なり、該半径の小さい端部側が、前記大径部が偏在されている側とされていることを特徴としている。
また、請求項4に記載のテープリールは、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のテープリールにおいて、前記記録テープのテープエッジの湾曲の曲率半径が小さい側が、前記大径部が偏在されている側となるように、該記録テープが前記ハブに巻回されていることを特徴としている。
請求項3及び請求項4に記載の発明によれば、記録テープに湾曲があっても、ハブの幅方向に変動して巻回されることを抑制でき、かつ記録テープを一方のフランジ側に寄せて巻回することができる。したがって、適正で安定した記録テープの走行位置と、巻き乱れ量の小さな状態を実現することができる。
また、請求項5に記載のテープリールは、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のテープリールにおいて、前記ハブの外周面における前記フランジ間隔から前記記録テープの幅を引いたクリアランスが、0.10mm以上0.18mm以下であることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、ハブとフランジが一体的に形成されている場合、記録テープの巻き締まりによるハブの変形により、フランジ間隔を良好に狭めることができる。したがって、巻き乱れ量の小さな状態を実現することができ、記録テープの走行位置を適正位置に安定させられる。
なお、0.18mmより大きいと巻き面の段差や飛出し量が大きくなり、0.10mm未満でも0.05mm程度までは効果があることが予想されるが、0.05mm以下ではハブに記録テープを貼り付ける際に、貼り付け用の部材とフランジが接触する可能性が大きく、実工程での実施が非常に困難になる。
また、ここで言う「一体的」とは、ハブとフランジの変形が相互に連動・影響する構成のことを言う。すなわち、ハブの変形に伴ってフランジが変形する、又はフランジの変形に伴ってハブが変形する構成のことを言う。具体的な例で言うと、ハブとフランジが一体成形される場合や、ハブにフランジが溶着される場合である。
また、請求項6に記載のテープリールは、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のテープリールにおいて、前記記録テープの幅に対する前記ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と前記大径部の半径との差の比が、0.0063以下であることを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、ハブとフランジが一体的に形成されている場合、ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と大径部の半径との差が僅かでも、記録テープの巻き締まりによるハブの変形に伴い、一対のフランジ間隔が狭められるので、巻き乱れ量の小さな状態を実現することができる。したがって、テープエッジダメージの発生を防止できる。
なお、記録テープの幅は、その記録テープが使用されるドライブ装置における記録テープのテープ幅に関する規格値並びに公差幅の中央値とする。また、記録テープの幅に対するハブの両端部のどちらか大きい方の半径と大径部の半径との差の比は、0.0053以下が好ましい。
また、請求項7に記載のテープリールは、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のテープリールにおいて、前記記録テープの幅が略12.65mmであり、前記ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と前記大径部の半径との差が、0.08mm以下であることを特徴としている。
請求項7に記載の発明によれば、ハブとフランジが一体的に形成されている場合、ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と大径部の半径との差が僅かでも、記録テープの巻き締まりによるハブの変形に伴い、一対のフランジ間隔が狭められるので、巻き乱れ量の小さな状態を実現することができる。したがって、テープエッジダメージの発生を防止できる。
なお、ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と大径部の半径との差は、0.067mm以下が好ましい。0.08mmより大きいとテープエッジにダメージが発生する。また、0.067mmより大きく0.08mm以下の範囲では、後述の実施例では特に問題なかったが、記録テープの厚さやハブの剛性の影響を受けやすい可能性がある。テープエッジの品質を確実に確保するためには0.067mm以下とすることが好ましい。
また、本発明に係る請求項8に記載の記録テープカートリッジは、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のテープリールと、前記テープリールを回転可能に収容するケースと、を備えたことを特徴としている。
請求項8に記載の発明によれば、記録テープカートリッジにおいて、請求項1の効果と略同一の効果を得ることができる。特に、記録テープカートリッジは、1個当たりの記録容量を増加させるために、今後も記録テープが薄肉化される傾向にある。したがって、記録テープの剛性が低下し、テープエッジの強度も低下するが、上記したように、記録テープがフランジ等に当たり難くなるため、フランジ等に当たることによるテープエッジダメージや、そのフランジ等に当たることをきっかけとした1枚飛び出し現象の発生頻度を低く抑えることができる。
また、請求項9に記載の記録テープカートリッジは、請求項8に記載の記録テープカートリッジにおいて、前記テープリールが単一であることを特徴としている。
請求項9に記載の発明によれば、リールにおいて、記録テープの整巻き性が向上し、また、記録テープの走行時におけるハブの軸方向(記録テープの走行方向と垂直な方向)への位置変動を抑制することができる。そのため、高精度化し難いドライブ装置側のマシンリールにより変動する記録テープカートリッジ側のリールでの記録テープの幅方向(記録テープの走行方向に対して垂直な方向)の変動を抑制することができる。したがって、高記録容量が望まれるコンピューターのデータバックアップ用としての1リールの記録テープカートリッジに好適となる。
また、請求項10に記載のテープリールは、請求項8又は請求項9に記載の記録テープカートリッジにおいて、前記記録テープが、ドライブ装置側の記録再生ヘッドの位置決め基準となるサーボ信号を有し、前記ハブに巻回された該記録テープの前記大径部が偏在している側のテープエッジが、前記記録テープの走行時におけるサーボトラッキング制御の基準とされていることを特徴としている。
請求項10に記載の発明によれば、記録テープの走行位置を安定させることができるため、サーボ信号の読取エラーやデータ信号の記録・再生エラーの発生を低減することができる。
また、本発明に係る請求項11に記載のマシンリールは、ドライブ装置内に設けられ、記録テープカートリッジから引き出された記録テープが巻回されるマシンリールであって、前記記録テープが巻回されるハブと、前記ハブの両端部に設けられたフランジと、を備え、前記ハブが、その両端部側の径よりも大きい径とされた大径部を有し、該大径部が、前記ハブの幅方向中央部よりも一方のフランジ側又は他方のフランジ側へ偏在されていることを特徴としている。
請求項11に記載の発明によれば、マシンリールにおいて、請求項1の効果と略同一の効果を得ることができる。すなわち、記録テープをハブに巻き取るときに、そのハブの幅方向略中央部から、どちらか一方の端部側に寄せて巻回させることができるので、ハブの軸方向への位置変動を抑制することができる。
したがって、記録テープの走行位置を安定させることができ、ドライブ装置に設けられたテープガイドやマシンリールのフランジ等との接触により発生するテープエッジダメージを防止することができる。よって、高密度記録のドライブ装置であっても、サーボ信号の読取エラーやデータ信号の記録・再生エラーの発生を低減することができ、ポジションエラーシグナル(位置誤差信号)やオフトラックの低減を期待することができる。
また、請求項12に記載のマシンリールは、請求項11に記載のマシンリールにおいて、前記大径部の幅方向中央部が、前記ハブの幅方向中央部から、該ハブの幅の5%〜40%偏在していることを特徴としている。
請求項12に記載の発明によれば、マシンリールにおいて、請求項2の効果と略同一の効果を得ることができる。すなわち、ドライブ装置によって記録テープを走行させたときに、記録テープをハブの幅方向略中央部から、どちらか一方の端部側に寄せることが良好にできる。つまり、上記偏在量が5%未満であると、記録テープを一方の端部側に寄せることが良好にできないし、40%より大きいと、記録テープを一方の端部側に過剰に寄せ過ぎてしまう。なお、上記偏在量は、好ましくはハブの幅の8%〜24%である。この範囲では、記録テープの湾曲がある程度大きくなっても良好な効果を得ることができる。
また、請求項13に記載のマシンリールは、請求項11又は請求項12に記載のマシンリールにおいて、前記ハブの一端部側と他端部側は半径が異なり、該半径の小さい端部側が、前記大径部が偏在されている側とされていることを特徴としている。
また、請求項14に記載のマシンリールは、請求項11乃至請求項13の何れか1項に記載のマシンリールにおいて、前記記録テープのテープエッジの湾曲の曲率半径が小さい側が、前記大径部が偏在されている側となるように、該記録テープが前記ハブに巻回されることを特徴としている。
請求項13及び請求項14に記載の発明によれば、マシンリールにおいて、請求項3及び請求項4の効果と略同一の効果を得ることができる。すなわち、記録テープに湾曲があっても、ハブの幅方向に変動して巻回される現象を抑制することができる。したがって、適正で安定した記録テープの走行位置と、巻き乱れ量の小さい状態を実現することができる。
また、請求項15に記載のマシンリールは、請求項11乃至請求項14の何れか1項に記載のマシンリールにおいて、前記ハブの外周面における前記フランジ間隔から前記記録テープの幅を引いたクリアランスが、0.10mm以上0.18mm以下であることを特徴としている。
請求項15に記載の発明によれば、マシンリールにおいて、請求項5の効果と略同一の効果を得ることができる。すなわち、ハブとフランジが一体的に形成されている場合、記録テープの巻き締まりによるハブの変形により、フランジ間隔を良好に狭めることができる。したがって、巻き乱れ量の小さな状態を実現することができ、記録テープの走行位置を適正位置に安定させられる。
なお、ここで言う「一体的」とは、ハブとフランジの変形が相互に連動・影響する構成のことを言う。すなわち、ハブの変形に伴ってフランジが変形する、又はフランジの変形に伴ってハブが変形する構成のことを言う。具体的な例で言うと、ハブとフランジが一体成形される場合や、ハブにフランジが固着される場合である。
また、請求項16に記載のマシンリールは、請求項11乃至請求項15の何れか1項に記載のマシンリールにおいて、巻回される前記記録テープの幅に対する前記ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と前記大径部の半径との差の比が、0.0063以下であることを特徴としている。
請求項16に記載の発明によれば、マシンリールにおいて、請求項6の効果と略同一の効果を得ることができる。すなわち、ハブとフランジが一体的に形成されている場合、ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と大径部の半径との差が僅かでも、記録テープの巻き締まりによるハブの変形に伴い、一対のフランジ間隔が狭められるので、巻き乱れ量の小さな状態を実現することができる。したがって、テープエッジダメージの発生を防止できる。
なお、記録テープの幅は、その記録テープが使用されるドライブ装置における記録テープのテープ幅に関する規格値並びに公差幅の中央値とする。また、巻回される記録テープの幅に対するハブの両端部のどちらか大きい方の半径と大径部の半径との差の比は、0.0053以下が好ましい。
また、請求項17に記載のマシンリールは、請求項11乃至請求項15の何れか1項に記載のマシンリールにおいて、巻回される前記記録テープの幅が略12.65mmであり、前記ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と前記大径部の半径との差が、0.08mm以下であることを特徴としている。
請求項17に記載の発明によれば、マシンリールにおいて、請求項7の効果と略同一の効果を得ることができる。すなわち、ハブとフランジが一体的に形成されている場合、ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と大径部の半径との差が僅かでも、記録テープの巻き締まりによるハブの変形に伴い、一対のフランジ間隔が狭められるので、巻き乱れ量の小さな状態を実現することができる。したがって、テープエッジダメージの発生を防止できる。
なお、ハブの両端部のどちらか大きい方の半径と大径部の半径との差は、0.067mm以下が好ましい。0.08mmより大きいとテープエッジにダメージが発生する。また、0.067mmより大きく0.08mm以下の範囲では、後述の実施例では特に問題なかったが、記録テープの厚さやハブの剛性の影響を受けやすい可能性がある。テープエッジの品質を確実に確保するためには0.067mm以下とすることが好ましい。
また、本発明に係る請求項18に記載の引出部材は、記録テープカートリッジから記録テープを引き出し、請求項11乃至請求項17の何れか1項に記載のマシンリールのハブに収容されて、該ハブの外周面の一部を構成する巻取面を備えた引出部材であって、前記巻取面が、その両端部側の径よりも大きい径とされた大径部を有し、該大径部が、該巻取面の幅方向中央部よりも一方の端部側又は他方の端部側へ偏在されていることを特徴としている。
請求項18に記載の発明によれば、マシンリールのハブの外周面の一部を構成する引出部材の巻取面が、両端部の径よりも大きい径とされた大径部を有し、その大径部が、巻取面の幅方向中央部よりも一方の端部側又は他方の端部側へ偏在されているため、請求項11乃至請求項17の何れか1項の効果と略同一の効果を得ることができる。
また、本発明に係る請求項19に記載のドライブ装置は、装填された記録テープカートリッジから引き出された記録テープが巻回される請求項11乃至請求項17の何れか1項に記載のマシンリールを有することを特徴としている。
請求項19に記載の発明によれば、ドライブ装置において、請求項11乃至請求項17の何れか1項の効果と略同一の効果を得ることができる。
また、請求項20に記載のドライブ装置は、請求項19に記載のドライブ装置において、請求項18に記載の引出部材を有することを特徴としている。
請求項20に記載の発明によれば、ドライブ装置において、請求項18の効果と略同一の効果を得ることができる。
以上のように、本発明によれば、記録テープをハブに巻回するときに、そのハブの軸方向への変動を抑制でき、テープエッジダメージの発生を防止できるテープリール、記録テープカートリッジ、マシンリール及びドライブ装置を提供することができる。
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1において、記録テープカートリッジ10のドライブ装置70(図4参照)への装填方向を矢印Aで示し、それを記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とする。そして、矢印Aと直交する矢印B方向を右方向(右側)とする。また、矢印C方向を本実施形態における幅方向とし、上下方向及び高さ方向、更にはリール20(リールハブ22)及びマシンリール80(リールハブ82)の軸方向と同方向とする。
図1、図2で示すように、記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。このケース12は、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製の上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに当接させた状態で、超音波溶着やネジ止め等によって接合されて構成されている。
ケース12の内部には、リール(テープリール)20が1つだけ回転可能に収容される。このリール20は、軸心部(巻芯部)を構成する有底略円筒状のリールハブ22と、その上端部に設けられる上フランジ24と、その下端部に設けられる下フランジ26と、を有しており、下フランジ26とリールハブ22が一体成形されている。そして、リールハブ22の上端部に、環状とされた上フランジ24が超音波溶着されて一体的に構成されている。
つまり、このリール20は、リールハブ22と上下フランジ24、26が一体的に構成されており、記録テープTの巻き締まりによるリールハブ22の変形に伴い、上下フランジ24、26も変形する(この逆もあり得る。換言すると、リールハブ22と上下フランジ24、26の変形が相互に連動・影響する)構成とされている。
ちなみに、一体的でない構成のリールとは、図13で示すようなリール21である。このリール21は、上フランジ25の円筒部25Aと下フランジ27の円筒部27Aとが互いに溶着され、その円筒部25A、27Aの外側にリールハブ23が挿嵌されて、リールハブ23と上下フランジ25、27とが互いに独立した(又はその独立状態に近い)構成とされている。そのため、このリール21では、リールハブ23と上下フランジ25、27の変形が相互に連動・影響しない(又は連動・影響し難い)、換言すればリールハブ23が変形しても、上下フランジ25、27が変形しない(又は変形し難い)。
また、リールハブ22の外周面に、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが、所定の巻き締め力F(例えばF=0.588N〜0.980N)で巻回され、上フランジ24及び下フランジ26によって、その巻回された記録テープTの幅方向の変動幅を規制している。なお、上フランジ24と下フランジ26の互いに対向する面は、外方側(外周縁側)に向かうに従って徐々にそのフランジ間隔が増加するようなテーパー面24A、26Aとされている(図3参照)。
また、この記録テープTは、記録容量の増加のため、厚さが7.5μm以下、好ましくは6.9μm以下とされている。更に、リールハブ22の外周面における上下フランジ24、26の距離(最内側のフランジ間隔)Hから、ドライブ装置70側で規定された記録テープTの幅(この場合は1/2インチであり、12.65mm)Gを減算して求められる上下クリアランスk1、k2の合計クリアランスK(K=k1+k2)が、K=0.10mm〜0.18mmとされている(図6参照)。
このクリアランスKは、実際には、リールハブ22の表面に貼り付け、上下何れか一方のフランジ(例えば上フランジ24)側に記録テープTのエッジを寄せて、他方の記録テープTのエッジと他方のフランジ(例えば下フランジ26)との隙間を測定するか、或いは記録テープTの幅とリールハブ22でのフランジ間距離を測定して、後者から前者を引いた値を求めるが、後者の方が実用的である。
また、このリールハブ22は、図3で詳細に示すように、その形状が側面視で幅方向中央部E1より上側部分が円弧状(円弧状に限定されるものではない)に膨張した略壺型形状とされている。すなわち、リールハブ22が、その上下両端部側の外径よりも大きい外径とされた大径部22Aを有し、その大径部22Aが、リールハブ22の幅方向中央部E1よりも上フランジ24側へ所定量(偏在量ΔH)偏在されている。
なお、この大径部22Aの偏在量ΔHは、大径部22Aの幅方向中央部E2が、リールハブ22の幅方向中央部E1から、リールハブ22の外周面における(大径部22Aの接線となる)幅Hの5%〜40%であることが望ましい。この偏在量ΔHが、幅Hの5%未満であると、記録テープTを一方の端部側に寄せることが良好にできないし、幅Hの40%より大きいと、記録テープTを一方の端部側に過剰に寄せ過ぎてしまう。
また、この偏在量ΔHは、幅Hの8%〜24%であることが更に望ましい。この範囲では、記録テープの湾曲がある程度大きくなっても良好な効果を得ることができる。すなわち、大径部22Aの幅方向中央部E2が、リールハブ22の幅方向中央部E1から、約1mm(約8%に相当)ずれているリールでは、大径部22Aの幅方向中央部E2が、リールハブ22の幅方向中央部E1付近とされているリールよりも、後述する最大段差/飛び出し量や巻き姿が良好となり、また、少なくとも3mm(約24%に相当)ずれているリールでも、同様の効果が得られることが実験で確認されている。
また、リールハブ22の上下両端部の外径は、上フランジ24側と下フランジ26側とで必ずしも同一である必要はなく、大径部22Aの外径より小さければよい。但し、大径部22Aが偏在されている一方の側のリールハブ22の端部の外径が、他方の側のリールハブ22の端部の外径よりも小径とされていることが望ましい。
つまり、図8(C)で示すように、上フランジ24側のリールハブ22の端部の外径が、下フランジ26側のリールハブ22の端部の外径よりも小径とされていることが望ましい。また、リールハブ22の剛性は高い方が望ましく、その曲げ弾性率は16.0GPa以上、好ましくは19.2GPa以上とされている。
更に、リールハブ22の大径部22Aの半径と上下両端部のどちらか大きい方の半径、即ちこの場合は下フランジ26側端部の半径との差である凸量ΔRは、ΔR≦0.08mm、好ましくはΔR≦0.067mmとされている。そして、ドライブ装置70側で規定された記録テープTの幅(この場合は12.65mm)Gに対する凸量ΔRの比J(J=ΔR/G)は、J≦0.0063、好ましくはJ≦0.0053とされている。
ここで、上記した凸量ΔRの測定方法について説明する。図14で示すように、リール20のドライブ装置70とのチャッキング部(後述するリールギア44)を下にして、図示しないマスターチャッキングギア(高精度の基準ギア)上に、そのリール20をセットする。そして、この状態で、接触式の3次元測定機のタッチセンサープローブ90で、リールハブ22の外形を、下端部側から上端部側まで測定する。
なお、このとき、リールハブ22の半径を測定する際の仮の中心(軸心)は、マスターチャッキングギアの中心(軸心)とする。更に、測定位置の上端部及び下端部の位置は、直径1mmのタッチセンサープローブ90を使用するため、上フランジ24又は下フランジ26に干渉しないように、測定時にその中心位置がリールハブ22の上端部及び下端部から、それぞれ0.7mm〜1.0mmの範囲となるように設定する。そして、その測定点がトータルで、少なくとも10点以上となるように、ほぼ等間隔に測定点を設定する。この測定を60度毎の6箇所で同様に行う。
この結果から、リールハブ22の凸量ΔR=(ΔRmax+ΔRmin)/2を算出する。なお、ΔRmaxはΔR1〜ΔR6の最大値であり、ΔRminはΔR1〜ΔR6の最小値である。また、ΔR1〜ΔR6は60度毎6箇所それぞれの位置でのRnmax−(上端部及び下端部の半径値のうち、大きい方の半径値)(n=1〜6)である。更に、R1max〜R6maxは、上記の方法で測定したときの60度毎6箇所の位置での半径測定値のうちの最大値である。
一方、図3で示すように、リールハブ22の底壁28の下面には、リールギア44が環状に形成されており、下ケース16の中央部には、そのリールギア44を外部に露出するためのギア開口40が穿設されている(図2参照)。このギア開口40から露出されるリールギア44が、ドライブ装置70(図4参照)側の駆動ギア(図示省略)に噛合されて回転駆動されることにより、ケース12内において、リール20がケース12に対して相対回転可能とされる。
また、底壁28の下面におけるリールギア44の径方向内側には、磁性材より成る環状のリールプレート46がインサート成形等により固着されており、ドライブ装置70側の環状マグネット(図示省略)の磁力によって吸着・保持されるようになっている。更に、リール20は、上ケース14及び下ケース16の内面にそれぞれ部分的に突設されて、ギア開口40と同軸的な円形の軌跡上にある内壁としての遊動規制壁42によってガタつかないように保持されている(図2参照)。
また、図1、図2で示すように、ケース12の右壁12Bには、リール20に巻装された記録テープTを引き出すための開口18が形成されており、この開口18から引き出される記録テープTの自由端部には、ドライブ装置70の引出部材であるリーダーブロック85(図7参照)によって係止(係合)されつつ引き出し操作されるリーダーピン30が固着されている。リーダーピン30の記録テープTの幅方向端部より突出した両端部には、環状溝32が形成されており、この環状溝32がリーダーブロック85のフック85A等に係止される(図7参照)。
また、ケース12の開口18の内側、即ち上ケース14の天板14A内面及び下ケース16の底板16A内面には、ケース12内においてリーダーピン30を位置決めして保持する上下一対のピン保持部36が設けられている。このピン保持部36は、記録テープTの引き出し側が開放された略半円形状をしており、直立状態のリーダーピン30の両端部34は、その開放側からピン保持部36内に出入可能とされている。
また、ピン保持部36の近傍には、板バネ38が固定配置されるようになっており、この板バネ38の二股状の先端部がリーダーピン30の上下両端部34にそれぞれ係合してリーダーピン30をピン保持部36に保持するようになっている。なお、リーダーピン30がピン保持部36に出入する際には、板バネ38の先端部は適宜弾性変形してリーダーピン30の移動を許容する構成である。
また、その開口18は、ドア50によって開閉される。このドア50は、開口18を閉塞可能な大きさの略矩形板状に形成され、ケース12の右壁12Bに沿って移動できるように、開口18内側の天板14A及び底板16Aには、ドア50の上下端部を摺動可能に嵌入させる溝部64が形成されている。
また、ドア50の後端部中央には、シャフト52が突設されており、そのシャフト52には、コイルバネ58が挿嵌されている。そして、シャフト52の後端には、そのコイルバネ58を脱落防止とする拡開部54が形成されている。また、下ケース16には、そのシャフト52に挿嵌されたコイルバネ58の後端を係止する係止部62を有する支持台60が突設されている。
したがって、ドア50は、シャフト52が支持台60上に摺動自在に支持されるとともに、コイルバネ58の後端が係止部62に係止されることにより、そのコイルバネ58の付勢力によって、常時開口18の閉塞方向へ付勢される構成である。なお、開口18の開放時、シャフト52を支持する支持台66を支持台60の後方側に更に突設しておくことが好ましい。
また、ドア50の前端部には、開閉操作用の凸部56が外方に向かって突設されている。この凸部56が、記録テープカートリッジ10のドライブ装置70への装填に伴い、そのドライブ装置70側の開閉部材(図示省略)と係合するようになっている。これにより、ドア50がコイルバネ58の付勢力に抗して開放される構成である。
次に、記録テープカートリッジ10が装填されるドライブ装置70の一例について説明する。このドライブ装置70は、図4〜図7で示すように、記録テープカートリッジ10からリーダーピン30を介して引き出された記録テープTが巻回されるマシンリール80を有している。
そして、このマシンリール80も、リール20とほぼ同様の構成とされている。すなわち、このマシンリール80は、軸心部(巻芯部)を構成する有底略円筒状のリールハブ82と、その上端部に設けられる上フランジ84と、その下端部に設けられる下フランジ86と、を有しており、下フランジ86とリールハブ82が一体成形されている。
そして、リールハブ82の上端部に、上フランジ84が金属製の押さえ板(図示省略)を介してネジ止めされて(固着されて)一体的に構成されている。したがって、このマシンリール80も、記録テープTの巻き締まりによるリールハブ82の変形に伴い、上下フランジ84、86が変形する(リールハブ82と上下フランジ84、86の変形が相互に連動・影響する)構成である。
また、リールハブ82の外周面に記録テープTが巻回可能とされており、上フランジ84及び下フランジ86によって、その巻回された記録テープTの幅方向の変動幅を規制するようになっている。なお、上フランジ84と下フランジ86の互いに対向する面は、外方側(外周縁側)に向かうに従って徐々にそのフランジ間隔が増加するようなテーパー面84A、86Aとされている(図5参照)。
また、リールハブ82の外周面における上下フランジ84、86の距離(最内側のフランジ間隔)Hから、記録テープTの幅(12.65mm)Gを減算して求められる上下クリアランスk1、k2の合計クリアランスK(K=k1+k2)が、K=0.10mm〜0.18mmとされている(図6参照)。これらのこともリール20と同様である。
また、このリールハブ82は、リールハブ22と同様に、その形状が側面視で幅方向中央部E1より上側部分が円弧状に膨張した略壺型形状とされている。すなわち、リールハブ82が、その上下両端部側の外径よりも大きい外径とされた大径部82Aを有し、その大径部82Aが、リールハブ82の幅方向中央部E1よりも上フランジ84側へ所定量(偏在量ΔH)偏在されている。
なお、この大径部82Aの偏在量ΔHは、大径部82Aの幅方向中央部E2が、リールハブ82の幅方向中央部E1から、リールハブ82の外周面における(大径部82Aの接線となる)幅Hの5%〜40%であることが望ましく、8%〜24%であることが更に望ましい。このこともリールハブ22の場合と同様である。
また、図7で示すように、リーダーピン30を把持して引き出すリーダーブロック85のリールハブ82の外周面に相当する巻取面85Bにも、リールハブ82の外周面の略壺型形状と段差が無いように、同様の形状(リールハブ82に収容されたときに、大径部82Aを構成できる形状)を形成しておくことが必要である。
また、リールハブ82の上下両端部の外径は、上フランジ84側と下フランジ86側とで必ずしも同一である必要はなく、大径部82Aの外径より小さければよい。但し、大径部82Aが偏在されている一方の側のリールハブ82の端部の外径が、他方の側のリールハブ82の端部の外径よりも小径とされていることが望ましい。
つまり、このマシンリール80の場合は、上フランジ84側のリールハブ82の端部の外径が、下フランジ86側のリールハブ82の端部の外径よりも小径とされていることが望ましい。また、リールハブ82の剛性は高い方が望ましく、その曲げ弾性率は16.0GPa以上、好ましくは19.2GPa以上とされている。
更に、リールハブ82の大径部82Aの半径と上下両端部のどちらか大きい方の半径、即ち、この場合は下フランジ86側端部の半径との差である凸量ΔRは、ΔR≦0.08mm、好ましくはΔR≦0.067mmとされている。そして、記録テープTの幅(この場合は12.65mm)Gに対する凸量ΔRの比J(J=ΔR/G)は、J≦0.0063、好ましくはJ≦0.0053とされている。これらのこともリールハブ22と同様である。
次に、記録テープTの湾曲(湾曲方向及び湾曲量)について説明する。記録テープTは、通常、幅方向(上方向又は下方向)に湾曲しており、本実施形態では、上側に湾曲する方を−湾曲、下側に湾曲する方を+湾曲としている。したがって、図18で示す記録テープTは+湾曲の記録テープTとなり、図19で示す記録テープTは−湾曲の記録テープTとなる。
ここで、その記録テープTの湾曲量ΔDを測定する方法について説明する。図15には、テープ形状測定装置100が示されている。このテープ形状測定装置100には略直方体状の静電吸着台102が備えられており、静電吸着台102の上部には案内部材104が設けられている。
案内部材104は、図16で示すように、静電吸着台102の上面(吸着面102A)との間に隙間を空けた状態で、静電吸着台102の上部を静電吸着台102の長手方向に沿って水平移動可能に構成されており、案内部材104の上面を覆うようにして、規定の1mに両端の余裕分を加えた長さに予め切断された記録テープTが静電吸着台102の吸着面102Aに配置される。そして、記録テープTの両端側が、長さに余裕を持った状態でフリーとされて、ノズル108によって、記録テープTに空気が吹き付けられる。
そして更に、記録テープTに空気が吹き付けられたまま、案内部材104及びノズル108が吸着面102Aに沿って、所定速度でスライド(移動)する。これにより、記録テープTは、吸着面102A上から一旦離隔し、余分な力が取り除かれた状態で、再度吸着面102A上に案内されることになる。
また、図17で示すように、静電吸着台102には、長手方向に沿って複数の電極対110が配設され、記録テープTの吸着面102Aへの案内とともに、その吸着面102Aに案内された記録テープTに対応する電極対110のスイッチが順次作動するようになっており、吸着面102Aは、記録テープTの案内に対応して順次帯電するようになっている。これにより、記録テープTは、静電気(電荷)を帯び、その静電吸着によって吸着面102Aに順次吸着される。
そして更に、ノズル108から吹き出された空気が、この吸着された記録テープTを所定の圧力で押圧するようになっている。このように、記録テープTが所定の圧力で押圧されると、吸着面102A及び記録テープTの下面に同伴し、記録テープTと吸着面102Aとの間に介在する空気が押し出される。したがって、記録テープTを吸着面102Aに良好に密着させることができる。
次いで、吸着面102Aに吸着された記録テープTの形状を、光学的測定装置112によって測定する。静電吸着台102には、光学的測定装置112のレーザー発生器114から照射されるレーザー光Lが通過可能な透明部116が設けられており、記録テープTが吸着面102Aに吸着された状態で、その透明部116にレーザー光Lを照射し、静電吸着台102の下方に配置されたレーザー受光器118で、透過したレーザー光Lを受光する。これにより、記録テープTのエッジの位置が測定可能となる。
具体的には、図18で示すように、測定点A、B、Cの上側にそれぞれ配置するレーザー発生器114から、測定点Aと測定点Cを結ぶ基準線ACを跨ぐように、幅方向に帯状のレーザー光Lをそれぞれ照射する。そして、静電吸着台102の下方、即ち測定点A、B、Cの下側にそれぞれ配置するレーザー受光器118で、各透明部116を透過したレーザー光Lをそれぞれ受光する。このとき、記録テープTが湾曲している場合、幅方向に帯状のレーザー光Lの受光量(透過したレーザー光Lの幅方向の長さ)は少なくなる。
次いで、レーザー受光器118により、透過したレーザー光Lの幅方向の長さを検出し、測定点A、B、Cの位置(上エッジTA位置)を求める。そして、この測定点A、B、Cの位置に基づいて、基準線ACと測定点Bとの距離、即ち変位量(ΔD)を算出し、算出された値が測定点Bにおける湾曲値となる。ここで、基準線ACの長さは1.0mであることがJISX6175に規定されている。
そして、図18で示すように、記録テープTのテープエッジの湾曲の曲率半径が小さい側が図示の下側である場合、即ち基準線ACが記録テープTで覆われる場合を、記録テープTの極性が+湾曲であるとし、図19で示すように(なお、図19は図18を簡略化したものである)、記録テープTのテープエッジの湾曲の曲率半径が小さい側が図示の上側である場合、即ち基準線ACと記録テープTのテープエッジの上側(いわゆる上エッジTA)との間に隙間が生じる場合を、記録テープTの極性が−湾曲であるとしている。なお、リールハブ22に記録テープTが巻回された状態では、この上エッジTA側がリールハブ22の上フランジ24側となる。
以上のような構成の記録テープT及びリール20を備えた記録テープカートリッジ10と、マシンリール80を備えたドライブ装置70において、次に、その作用について説明する。上記構成の記録テープカートリッジ10では、図1で示すように、ドライブ装置70(図4〜図7参照)に装填しない不使用時(保管時や運搬時等)には、開口18がドア50によって閉塞されている。そして、記録テープTを使用する際には、前壁12Aを先頭にして記録テープカートリッジ10を矢印A方向に沿って、ドライブ装置70内へ装填する。
すると、記録テープカートリッジ10は図示しないバケット内に挿入され、そのバケット(ドライブ装置70側)に設けられた開閉部材(図示省略)が、ドア50の凸部56に係合する。そして、この状態で、記録テープカートリッジ10が更に矢印A方向へ移動すると、開閉部材が凸部56をコイルバネ58の付勢力に抗しつつ相対的に後方へ移動させる。すると、その凸部56が突設されているドア50は、右壁12Bに沿って溝部64内を後側へ摺動し、開口18を開放する。
こうして、記録テープカートリッジ10がドライブ装置70(バケット)に所定深さ装填され、開口18が完全に開放されると、記録テープカートリッジ10を収容したバケットが所定高さ下降し、ドライブ装置70の位置決め部材(図示省略)が、下ケース16に形成された位置決め用の穴部(図示省略)に相対的に挿入される。これにより、記録テープカートリッジ10がドライブ装置70内における所定位置に精確に位置決めされ、ドア50のそれ以上の摺動(後方への移動)が規制される。
また、この記録テープカートリッジ10(バケット)の下降動作によって、駆動ギア(図示省略)が相対的にギア開口40から進入し、リールギア44と噛合するとともにリール20を所定高さまで上昇させる。そして、駆動ギアとリールギア44とが完全に噛合した状態で、リールプレート46が、駆動ギアの内側に設けられた環状マグネット(図示省略)の磁力によって吸着・保持されることにより、リール20は、駆動ギアに対するリールギア44の噛合が維持されつつ、ケース12内で、そのケース12に対して相対回転可能となるロック解除状態とされる。
一方、開放された開口18からは、ドライブ装置70側に設けられたリーダーブロック85がケース12内に進入し、ピン保持部36に位置決め保持されたリーダーピン30を把持して引き出す。なお、このとき、記録テープカートリッジ10はドライブ装置70内において精確に位置決めされているので、リーダーブロック85は確実にリーダーピン30の環状溝32にそのフック85Aを係止させることができる。また、リール20は、その回転ロック状態が解除されているので、リーダーピン30の引出動作に伴って回転できる。
こうして、開口18から引き出されたリーダーピン30を把持したリーダーブロック85は、図7で示すように、マシンリール80が回転することによって、リールハブ82の一部を構成するように、そのリールハブ82に取り付けられる(収容される)。そして、そのマシンリール80とリール20とを同期して回転駆動することにより、記録テープTは、マシンリール80に巻き取られつつ順次ケース12から引き出される。
また、このとき、ケース12内から引き出された記録テープTは、最も記録テープカートリッジ10に近接配置されたテープガイド72に摺接する。このテープガイド72は、回転自在に支持され、その高さ位置が中央或いは上下どちらか一方の位置、例えば下位置に偏在するように組み付けられている。
したがって、テープガイド72に摺接した記録テープTは、そのテープガイド72の上側のフランジ72Aによって、上端のエッジが規制された状態で走行し、次に、回転自在に支持されたテープガイド74に摺接する。このテープガイド74は、その幅方向(高さ方向)の中心位置が、リールハブ22の幅方向(高さ方向)の中心位置よりも上位置に偏在されるように組み付けられ、その下側のフランジ74Bによって、記録テープTの下端のエッジを規制するようになっている。
そして、テープガイド74によって位置規制された記録テープTは、次に、回転自在に支持されたテープガイド76に摺接する。なお、このテープガイド76に摺接する前に、記録テープTは記録再生ヘッド88に摺接する。テープガイド76は、テープガイド74とは逆に、即ちテープガイド72と同様に、その幅方向(高さ方向)の中心位置が、リールハブ22の幅方向(高さ方向)の中心位置よりも下位置に偏在されるように組み付けられ、その上側のフランジ76Aによって、記録テープTの上端のエッジを規制するようになっている。
そして、テープガイド76によって位置規制された記録テープTは、最後に、回転自在に支持されたテープガイド78に摺接する。テープガイド78は、テープガイド74と同様に、その幅方向(高さ方向)の中心位置が、リールハブ22の幅方向(高さ方向)の中心位置よりも上位置に偏在されるように組み付けられ、その下側のフランジ78Bによって、記録テープTの下端のエッジを規制するようになっている。
このように、ドライブ装置70内の各テープガイド72〜78の高さ位置(幅方向の位置)が、記録テープTのテープパス経路に沿って交互に異なっていると、記録テープTの幅方向(上下方向)の位置規制を好適に行える利点がある。なお、各テープガイド72〜78は、それぞれ回転自在に支持されているので、記録テープTのエッジが各テープガイド72〜78によってダメージを受けることは少ない。
こうして、記録テープTがテープガイド72〜78によって幅方向(上下方向)の位置が規制されつつ、所定のテープガイド74、76間に配設された記録再生ヘッド88に摺接することで、情報の記録や再生が行われる。ここで、この記録再生ヘッド88は、例えば図示しないアクチュエーターによって、上下方向(高さ方向)に移動可能に支持され、記録テープT上に予め設けられたサーボ信号S(図6参照)に追従して、記録テープTの幅方向(リールハブ22、82の軸方向)に移動可能になっている。
このサーボ信号Sは、例えば図6で示すように、4本(又は5本等でもよい)平行に並べられたパターンPが略「ハ」字状とされて1組とされ、その略「ハ」字状とされた1組のサーボ信号Sが、記録テープTの上下端部近傍に、その拡開側を外側にして複数組1列に配設されて構成されている。
このようなサーボ信号Sによれば、1組のサーボ信号S間(図6においてWで示す)の検知時間(距離)が長くなったときには、走行している記録テープTの位置が記録再生ヘッド88に対して、上下どちらかにずれていることが判るので、それによって、記録再生ヘッド88の上下方向(高さ方向)の位置を調整することができる。
本実施形態のリール20及びマシンリール80は、共にそのリールハブ22、82が略壺型形状とされ、それぞれそのリールハブ22、82に上フランジ24、84及び下フランジ26、86が一体的に設けられているので、後述するように、その走行基準は、リールハブ22、82の幅方向略中央部側から、リールハブ22、82の上フランジ24、84側端部に適度に寄る。
つまり、これにより、記録テープTの上下方向(リール20及びマシンリール80の軸方向)への位置変動が好適に抑制され、記録テープTの走行位置を安定させることができる。したがって、記録テープTの大径部22Aが偏在している側のエッジを、記録テープTの走行時におけるサーボトラッキング制御の基準とすることにより、サーボ信号Sの読取エラー(サーボトラッキングエラー)やデータ信号(情報)の記録・再生エラーの発生を低減することができる。
こうして、各テープガイド72〜78やリール20及びマシンリール80のリールハブ22、82の形状によって、その高さ位置(幅方向の位置)が規制されつつ記録再生ヘッド88に摺接することで、情報の記録や再生がエラー無く終了した記録テープTは、駆動ギア及びマシンリール80が逆回転することによってリール20に巻き戻される。
記録テープTがリール20に最後まで巻き戻されて、リーダーピン30がピン保持部36に保持されると、記録テープカートリッジ10を収容しているバケットは所定高さ上昇し、位置決め部材(図示省略)が位置決め用の穴部(図示省略)から抜き出されるとともに、駆動ギアがギア開口40から抜き出され、リールギア44に対する駆動ギアの噛合が解除される。そして、リール20が、記録テープカートリッジ10内において元の高さ位置まで下降する。
その後、記録テープカートリッジ10は、図示しないイジェクト機構によって矢印A方向とは反対方向に移動されるが、この移動に伴って、ドア50はコイルバネ58の付勢力によって開口18の閉塞方向へ摺動し、開口18を完全に閉塞する(初期状態に復帰する)。こうして、開口18が閉塞された記録テープカートリッジ10は、ドライブ装置70(バケット)内から完全に排出される。
次に、上記したリール20及びマシンリール80の作用・効果について、更に詳細に説明する。なお、マシンリール80の作用・効果は、リール20の作用・効果と略同一であるため、以下、リール20についてのみ説明し、マシンリール80については、適宜その説明を省略する。
図3で示すように、リール20は、リールハブ22が下フランジ26と一体成形され、そのリールハブ22に上フランジ24が溶着されて構成されている。つまり、リールハブ22に、上下フランジ24、26が一体的に設けられている。そして、リールハブ22の幅方向中央部E1よりも上フランジ24側には、リールハブ22を略壺型形状とする大径部22Aが形成されている。なお、この大径部22Aの偏在量ΔHは、大径部22Aの幅方向中央部E2が、リールハブ22の幅方向中央部E1から、リールハブ22の幅Hの5%〜40%、好ましくは8%〜24%とされている。
そして、このリール20に、図8(A)〜図8(C)で示すように、−湾曲の記録テープTが巻回されている。このとき、リールハブ22は、記録テープTの巻き締め力Fにより、記録テープTが巻かれるに従って徐々に、図示の点線のように変形する。また、上フランジ24と下フランジ26は、リールハブ22に対して一体的に設けられているので、リールハブ22の変形に追従して上フランジ24及び下フランジ26が、記録テープTが巻かれるに従って徐々に、そのフランジ間隔を狭めるように変形する(図8(B)、図8(C)において2点鎖線で示す)。
特に、大径部22Aが偏在されていないリールハブ22の下フランジ26側端部は、上フランジ24側端部の外径よりも大きく形成されている(外径が小さい上フランジ24側端部が、大径部22Aが形成されている側とされている)ので、記録テープTの巻き締め力Fにより、上フランジ24側端部よりも大きく変形する。つまり、下フランジ26の変形量は上フランジ24の変形量よりも大きい。したがって、記録テープTはリールハブ22の幅方向略中央部から、上フランジ24側端部に寄せられて巻回されることになる。
なお、これは、リールハブ22に上下フランジ24、26が一体的に設けられている場合であり、一体的に設けられていない場合には、上下フランジ24、26は、リールハブ22が変形しても殆ど変形しないので、図示の2点鎖線で示す上下フランジ24、26は、図示の実線で示す上下フランジ24、26とほぼ同じ位置となる。また、図8で示すリール20は概念図であり、理解を容易にするために誇張して描かれていることは言うまでもない。
また、図9で示すように、一般に、−湾曲の記録テープTは、リールハブ(このリールハブは、略壺型形状ではないリールハブであり、途中の巻き面の変位は省略している)の上フランジ24側端部に寄って巻かれる傾向にあり、+湾曲の記録テープTは、リールハブ(このリールハブは、略壺型形状ではないリールハブであり、途中の巻き面の変位は省略している)の下フランジ26側端部に寄って巻かれる傾向にある。
また、一般に、記録テープTは、上下両端部の外径よりも大きい外径とされた大径部を有するリールハブ(太鼓形状のリールハブを含む)の場合、その大径部に寄って巻かれる傾向にある。したがって、本実施形態のリール20の場合、−湾曲の記録テープTをリールハブ22に巻回することにより、その記録テープTを過剰に上フランジ24側へ寄せることなく、その上フランジ24の内面(テーパー面24A)にほぼ沿って記録テープTを巻回することができる。
つまり、本実施形態のリール20では、リールハブ22における大径部22Aを、上フランジ24側端部に所定量(偏在量ΔH)偏在させているため、−湾曲の記録テープTは、リールハブ22の幅方向略中央部側から、リールハブ22の上フランジ24側端部に、適度に寄せられて巻回され、その整巻き性を向上させることができる。
しかも、本実施形態のリール20では、上記したように、記録テープTの巻き締まりにより、リールハブ22が変形し、その変形の影響を受けて上下フランジ24、26(特に下フランジ26)が、そのフランジ間隔を狭めるように変形するので、それによっても、記録テープTをリールハブ22の上フランジ24側端部に寄せて巻回することができる。したがって、湾曲による影響で、記録テープTがリールハブ22の軸方向(幅方向)に変動して巻回されるのが抑制され、記録テープTの巻き姿をほぼ良好にすることができる。
なお、本実施形態では、記録テープTの湾曲量ΔD(図18、図19参照)の絶対値を、ΔD=0.20mm〜2.50mm、好ましくはΔD=0.20mm〜2.00mmとしている。記録テープTの湾曲量ΔDが0.2mmより小さいと、記録テープTの方向性(巻回されて行くに従って記録テープTが移動する方向)が定まらず、記録テープTが却って位置変動してしまうおそれがある。
また、記録テープTの湾曲量ΔDが2.50mmより大きいと、記録テープTが上フランジ24側や下フランジ26側へ過剰に押し付けられたり、上フランジ24や下フランジ26と干渉したりして、記録テープTのエッジがダメージを受けたり、記録テープTの走行位置が過剰に片側に寄ったりしてしまうおそれがある。この湾曲量ΔDを上記範囲内にすることにより、記録テープTにおいて、更に適正で安定した走行位置と巻き乱れ量の小さい状態を実現することができる。
表1に、その記録テープTの湾曲量ΔDとテープエッジの状態を示す。この表1の結果から、記録テープTの湾曲量ΔDが、ΔD=0.20mm〜2.50mmの範囲では、テープエッジに問題が生じないことが判る。
次に、その略壺型形状とされたリールハブ22における大径部22Aの凸量ΔRについて更に説明する。図10、図11は、リールハブ22に巻回された記録テープTのリール20の径方向におけるエッジTA(図18、図19参照)の位置を示す巻き姿測定チャートである。なお、図10、図11における(A)は、フランジ間隔が従来と同様にされた(クリアランスKが、例えばK=0.30mmとされた)リール20の場合を示し、図10、図11における(B)は、フランジ間隔が従来よりも狭くされた(クリアランスKが、K=0.10mm〜0.18mmとされた)リール20の場合を示す。
そして、図10は、大径部22Aが形成されていない(実際には若干鼓形状になっており、鼓形状を略壺型形状に対してマイナスで表せば、ΔR=−16μmとされた)従来のリールハブ(図示省略)に、−湾曲の記録テープTを巻回した場合を示し、図11は、凸量ΔRが、ΔR=45μmとされたリールハブ22に、−湾曲の記録テープTを巻回した場合を示している。
なお、図10(B)を例にして示す「最大段差/飛び出し量」とは、、巻き姿測定チャートの段差或いは飛び出し量の何れかの最大値であり、記録テープTが全体の巻き面から部分的に飛び出している変化量の最大値である。また、「巻き乱れ量」とは、巻き姿測定チャートの最大値から最小値を減算した量であり、段差、飛び出し、巻き面の傾斜等を含んでいる。
更に、図12は、凸量ΔRと最大段差/飛び出し量との関係を示すグラフである。つまり、横軸が凸量ΔRとされ、縦軸が最大段差/飛び出し量とされている。そして、白抜きの正方形のドットD1は、フランジ間隔が従来と同様にされた(クリアランスKが、例えばK=0.30mmとされた)リール20の場合を示し、黒塗りの菱形のドットD2は、フランジ間隔が従来よりも狭くされた(クリアランスKが、K=0.10mm〜0.18mmとされた)リール20の場合を示す。
また更に、下記表2に大径部22Aが形成されていない(実際には若干鼓形状になっており、鼓形状を略壺型形状に対してマイナスで表せば、ΔR=−16μmとされた)第1リールのリールハブ(図示省略)における最大段差/飛び出し量と、大径部22Aが形成されておらず(実際には若干鼓形状になっており、鼓形状を略壺型形状に対してマイナスで表せば、ΔR=−8μmとされ)、フランジ間隔が狭とされた(クリアランスKが、例えばK=0.15mmとされた)第2リールのリールハブ(図示省略)における最大段差/飛び出し量を基準にした場合のそれぞれの凸量ΔRの変化による最大段差/飛び出し量の低減値と、フランジ間隔の違い(第1リールのフランジ間隔は、クリアランスKが、例えばK=0.30mm)による最大段差/飛び出し量の低減値を示す。
図10〜図12及び表2の結果から次のようなことが判る。すなわち、従来のリールのようにフランジ間隔が広くても(K=0.30mmでも)、凸量ΔRが僅かにでもあれば(例えばΔR≦0.067mm(67μm)であっても)、記録テープTの巻き締まりによるリールハブ22の変形により、フランジ間隔を良好に狭めることができるため、最大段差/飛び出し量及び巻き乱れ量を充分に低減することができる。しかも、初めからフランジ間隔が狭くされている(K=0.15mmとされている)リール20では、更にその効果を高めることができる。
このように、リールハブ22に上下フランジ24、26が一体的に設けられたリール20では、リールハブ22に略壺型形状を付与すると、かなり小さな凸量ΔR(ΔR≦0.08mm:図12参照)でも、記録テープTの巻き面の段差や飛び出し量(巻き乱れ量)を大幅に小さくできる。これは、本実施形態に係るリール20が、記録テープTの巻き締まりによるリールハブ22の変形に伴い、上下フランジ24、26が、互いにその間隔を狭めるように変形する構成とされているからである。
つまり、本実施形態に係るリール20によれば、図11、表2で示すように、記録テープTの厚さ、上下フランジ24、26間の距離、凸量ΔR等を規定することにより、リールハブ22の略壺型形状そのものの形状効果だけではなく、リールハブ22の変形と連動した上下フランジ24、26の変形(フランジ間隔が狭くなる変形)との相乗効果により、従来技術よりも小さい凸量ΔRの範囲で、巻き乱れ量の小さな状態を充分に実現することが可能となる。
このように、本実施形態に係るリール20では、凸量ΔRが、ΔR≦0.08mm(80μm)、好ましくはΔR≦0.067mm(67μm)でも効果があることが立証された。また、凸量ΔRが、ΔR>0.08mm(80μm)、比Jで言うと、J>0.0063であると、リールハブ22に上下フランジ24、26が一体的に設けられたリール20においては、リールハブ22の外周面近傍の記録テープTの巻き面に、放射、シンチング、ワカメ等と呼ばれる記録テープT自体の塑性変形や記録テープT間に隙間が発生する可能性が大きくなることが実験で確認されている。
また、凸量ΔRが、0.067mm(67μm)<ΔR≦0.08mm(80μm)、比Jで言うと、0.0053<J≦0.063の範囲では、特に問題なかったが、記録テープTの厚さやリールハブ22の剛性の影響を受けやすい可能性がある。テープエッジの品質を確実に確保するためには、ΔR≦0.067mm(67μm)、比Jで言うと、J≦0.0053とすることが好ましい。
なお、これらの実験データにおける数値は、記録テープTの厚さが、7.5μm以下の場合であり、記録テープTの厚さが厚ければ、この数値も変化する。少なくとも厚さ6.6μmの記録テープTを、10%グラスファイバー強化のPC樹脂製で肉厚2.5μmのリールハブ22に巻回した場合には、凸量ΔRが、ΔR=0.08mm前後までは、巻き面に放射等が発生しなかったが、これより大きくなると、ワカメ状の変形やシンチングなどが発生したことが実験で確認されている。このように、記録テープTの厚さが薄いことが、ワカメ状の変形やシンチングの発生に影響している可能性が高い。
以上、本実施形態に係るリール20によれば、リールハブ22に記録テープTを巻回する際(リール20の製造時やドライブ装置70から取り出すために巻き戻されたときを含む)、その湾曲の曲率半径の小さい側が、大径部22Aが形成されている上フランジ24側を向くように巻回することにより、過剰な片寄りによるテープエッジダメージを軽減しつつ、その上フランジ24側に寄せて巻回することができる。したがって、記録テープTのリールハブ22の軸方向への位置変動を抑制することができ、記録テープTの最大段差/飛び出し量を低減することができて、巻き乱れの発生を抑制できるとともに、その巻き乱れ量も低減することができる。
よって、輸送時やハンドリング時に、記録テープカートリッジ10(リール20)に衝撃が加えられても、記録テープTのエッジが折れてしまうような不具合(テープエッジダメージ)の発生を防止することができる。特に、本実施形態に係るリール20は、巻き面から記録テープTが1枚だけ飛び出す、いわゆる記録テープTの1枚飛び出し現象の発生頻度自体を低減させることができるため、記録容量の増加に伴って記録テープTが薄肉化されても(例えば6.6μmとされても)、その飛び出した1枚の記録テープTが折れてしまうような不具合(テープエッジダメージ)の発生を防止することができる。
また、ドライブ装置70によって記録テープTを走行させたときには、リール20から繰り出された−湾曲の記録テープTは、リールハブ22と同様に、大径部82Aが上フランジ84側へ偏在量ΔHだけ偏在されているリールハブ82に巻回されるので、その走行基準が、リールハブ82の幅方向略中央部側から、リールハブ82の上フランジ84側端部に適度に寄る。したがって、マシンリール80においても、過剰な片寄りによるテープエッジダメージを軽減しつつ、その上フランジ84側に寄せて巻回することができる。
つまり、これにより、リール20から繰り出される記録テープTの走行位置を適正位置に安定させることができ、記録テープTの走行中における上下方向(リールハブ82の軸方向)への位置変動を抑制することができる。したがって、ドライブ装置70に設けられたテープガイド72〜78やマシンリール80のフランジ84、86、更にはリール20のフランジ24、26等との接触により発生するエッジ折れ等のテープエッジダメージや、これにより起きる磨耗粉の発生を防止することができる。
特に、摩耗粉は記録テープTに付着してエラーやドロップアウトを発生させるだけでなく、記録再生ヘッド88に付着して、更に深刻な故障を発生させる可能性もあるため、これを防止できることは、極めて有効である。そして、これにより、高密度記録のドライブ装置70であっても、サーボ信号Sの読取エラーやデータ信号(情報)の記録・再生エラーの発生を低減することができ、更にはポジションエラーシグナル(位置誤差信号)やオフトラックの低減を期待することができる。
なお、この記録テープTの湾曲は、熱処理によって、その向きを変えることもできる。すなわち、リールハブ22の外周面がテーパー状に形成されているリール(図示省略)に記録テープTを巻き取った状態で、適切な熱処理を行うことにより、クリープ現象による形状定着効果によって、一様な湾曲が付与され、良好な巻き癖をつけることができる。本実施形態では、−湾曲の記録テープTを用いたが、大径部22Aを下フランジ26側に偏在させれば、+湾曲の記録テープTを用いてもよいことは言うまでもない。この場合の走行基準は下フランジ26側となる。
更に、本実施形態では、リールハブ22と下フランジ26を一体成形させたが、下フランジ26とリールハブ22を別体にして、互いに溶着させる構成にしてもよい。また、リールハブ22を下フランジ26ではなく、上フランジ24と一体成形させてもよく、更には、リールハブ22と上フランジ24及び下フランジ26を一体成形させてもよい。また、本実施形態では、リール20を単一でケース12内に収容して構成される記録テープカートリッジ10に適用した実施例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、2つのリールをケース内に収容した2リールタイプの記録テープカセットに、本発明を適用してもよい。