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JP2008240569A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置 Download PDF

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JP2008240569A JP2007079720A JP2007079720A JP2008240569A JP 2008240569 A JP2008240569 A JP 2008240569A JP 2007079720 A JP2007079720 A JP 2007079720A JP 2007079720 A JP2007079720 A JP 2007079720A JP 2008240569 A JP2008240569 A JP 2008240569A
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Sakanori Moriya
栄記 守谷
Akira Tadokoro
亮 田所
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】点火時期制御モデルの学習が特定運転領域に偏って行われた場合であっても、実際の点火時期が適正点火時期から大きく乖離しない点火時期制御装置を提供すること。
【解決手段】この点火時期制御装置は、燃焼状態指標値(8°燃焼割合MFB8)が目標燃焼状態指標値と略一致するような点火時期を算出するように適合された初期点火時期制御モデルを備える。この制御装置は、更に、実際の燃焼状態指標値と目標燃焼状態指標値との差が小さくなるように初期点火時期制御モデルを修正する学習を行う。そして、総学習回数CNと運転領域別学習回数Cx,yとを取得し、現在の運転領域に対応する運転領域別学習回数を総学習回数で除した学習頻度(Cx,y/CN)と、初期点火時期制御モデル及び学習後点火時期制御モデルによりそれぞれ求められる初期点火時期SAin及び学習後点火時期SAgkと、から、最終的な点火時期SA(k)を決定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に係り、特に、点火時期制御モデルを用いて点火時期を制御する内燃機関の点火時期制御装置に関する。
従来より、筒内圧検出手段により検出される筒内圧(燃焼室内の圧力)に基づいて燃焼割合MFB(Mass Fraction Burned)を算出し、所定のクランク角度(例えば、圧縮上死点後のクランク角度8°)における燃焼割合MFBが目標燃焼割合と一致するように点火時期を制御する内燃機関の点火時期制御装置が知られている。これにより、内燃機関の個体差がある場合でも、各機関に対して適切な点火時期が設定され得る。従って、燃焼効率が改善され、内燃機関の出力トルクを増大させることができる。
燃焼割合MFBは機関の燃焼状態を示す燃焼状態指標値である。燃焼割合MFBは図示熱量の割合と実質的に等価な値である。図示熱量の割合は、一回の燃焼行程に関して、「燃焼室において燃焼した総ての燃料によって発生した熱のうちピストンに対する仕事に変換された熱の総量Qtotalに対する、所定のタイミングまでに同燃焼室において燃焼した燃料によって発生した熱のうちピストンに対する仕事に変換された熱の積算量Qsumの割合Qsum/Qtotal」と定義される。燃焼割合MFBは、「燃焼室において燃焼した総ての燃料のうちピストンに対する仕事に寄与した燃料の総量に対する、所定のタイミングまでに同燃焼室において燃焼した燃料のうちピストンに対する仕事に寄与した燃料の積算量の割合」と定義される。
かかる点火時期制御装置の一つは、所定のクランク角度における実際の燃焼割合を取得するとともに、その取得した燃焼割合と目標燃焼割合との差に応じて点火時期を所定量だけ進角又は遅角するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平9−317522号公報
ところで、内燃機関の運転状態を表す運転状態量(例えば、機関の負荷及び機関回転速度)を引数とするマップ(ルックアップ−テーブル)を用いて点火時期を決定する手法に代え、点火時期制御モデルを用いて点火時期を決定する手法が開発されて来ている。点火時期制御モデルは、内燃機関の運転状態量を変数とする関数(数式)により表される。この点火時期制御モデルは、種々の運転状態量に対して所定のクランク角度における燃焼割合が目標燃焼割合と一致するように予め適合される。より具体的に述べると、点火時期制御モデルを表す関数は一般に複数の係数を有する関数であり、それらの係数が上述したように適合される。本明細書において、このように予め適合された関数(適合された係数等を有する関数)によって表される点火時期制御モデルを、便宜上「初期点火時期制御モデル」と称呼する。
一方、個々の内燃機関の間には機体差(個体差)が存在する。更に、内燃機関の使用に伴って機関の特性は経時変化する。従って、初期点火時期制御モデルにより、常に最適な点火時期を求めることはできない。そこで、所定のクランク角度における実際の燃焼割合が目標燃焼割合と一致するように(実際の燃焼状態指標値が目標燃焼状態指標値と一致するように)、点火時期制御モデルを表す関数を学習によって修正する学習制御を実行することが考えられる。即ち、学習制御は、所定のクランク角度における実際の燃焼割合と目標燃焼割合との差が0になるように、逐次最小二乗法等の周知の誤差低減手法によって前記係数を順次修正して行く。本明細書において、このように学習された関数(修正された係数等を有する関数)によって表される点火時期制御モデルを、便宜上「学習後点火時期制御モデル」と称呼する。
しかしながら、発明者は更に検討を重ねた結果、学習が特定の運転領域(学習領域)において偏ってなされると、学習が不十分な運転領域において学習後点火時期制御モデルに基いて算出される点火時期が不適切な値となって、ノッキングが発生したり、燃焼状態が不安定になってトルク変動が発生する等の問題が生じることを見いだした。
以下、この点について詳述する。図13は総ての運転領域に対して偏りなく学習が行われた場合の点火時期制御モデルにより算出される点火時期を示している。即ち、図13により示される点火時期制御モデルにより得られる点火時期は略適正値である。これに対し、図14はある特定運転領域(例えば、中低負荷且つ中回転の領域)においてのみ学習が行われた後の点火時期制御モデルにより算出される点火時期を示している。図13と図14との比較から、特定運転領域において偏って学習が行われると、その特定運転領域の点火時期は適正値に近い値となるが、他の領域における点火時期が特定運転領域における学習の影響を受け、適正値と乖離してしまうことが理解される。
一方、図15は、ある時点まで車両を走行させた場合における運転領域別の学習回数(学習頻度)を示したグラフである。図15から、学習は特定の運転領域において集中的に行われることが多いということが理解される。
以上から、本発明の目的の一つは、点火時期制御モデルの学習が特定運転領域において集中的に行われた場合であっても、実際の点火時期が適正な点火時期から大きく乖離することがない内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
上記目的を達成する本発明による内燃機関の点火時期制御装置は、初期点火時期制御モデルを備える。初期点火時期制御モデルは、学習の対象となる点火時期制御モデルの原形となるモデルである。これらの点火時期制御モデルは、機関の運転状態を表す運転状態量を変数として同機関の点火時期を算出する関数により表される。初期点火時期制御モデルは、初期点火時期制御モデルにより算出された点火時期にて点火を実行したとき、機関の燃焼状態を示す燃焼状態指標値が所定の目標燃焼状態を示す目標燃焼状態指標値と一致するように、予め適合されている。
この点火時期制御装置は、更に、運転状態量取得手段と、初期点火時期算出手段と、燃焼状態指標値取得手段と、モデル学習手段と、学習後点火時期算出手段と、を備える。
運転状態量取得手段は、実際の前記運転状態量を実運転状態量として取得する。運転状態量とは、例えば、機関の負荷及び機関回転速度である。
初期点火時期算出手段は、前記取得された実運転状態量を前記初期点火時期制御モデルに適用することにより初期点火時期を算出する。
燃焼状態指標値取得手段は、実際の燃焼状態指標値を実燃焼状態指標値として取得する。燃焼状態指標値とは、例えば、所定クランク角度における燃焼割合、所定クランク角度における図示熱量の割合、及び、所定クランク角度における筒内圧等である。
モデル学習手段は、前記実燃焼状態指標値が取得されたとき同取得された実燃焼状態指標値と前記目標燃焼状態指標値との差が小さくなるように前記初期点火時期制御モデルを表す関数を順次修正する(即ち、その時点で得られている点火時期制御モデルを更に修正する)学習を行う。
学習後点火時期算出手段は、前記取得された実運転状態量を前記モデル学習手段により学習された前記点火時期制御モデル(即ち、学習後点火時期制御モデル)に適用することにより学習後点火時期を算出する。
加えて、この点火時期制御装置は、総学習回数取得手段と、運転領域別学習回数取得手段と、点火時期制御手段と、を備えている。
総学習回数取得手段は、前記モデル学習手段による前記学習の回数を積算することにより総学習回数(前記モデル学習手段による前記学習回数の総数)を取得する。
運転領域別学習回数取得手段は、前記機関の運転領域を複数の運転領域に予め区分し、前記モデル学習手段による前記学習の回数を、同学習が行われたときの前記実運転状態量によって示される運転状態が属する同複数の運転領域のうちの一つの運転領域(学習時運転領域)に対応させて積算することにより、運転領域別学習回数を取得する。即ち、運転領域別学習回数取得手段は、前記モデル学習手段による前記学習回数を所定の運転領域別に運転領域別学習回数として取得する。これにより、前記学習が行われると、学習時運転領域に対応する運転領域別学習回数が増大(インクリメント)される。
点火時期制御手段は、「現時点における前記実運転状態量によって示される運転状態(現時点の機関の運転状態)が属する前記複数の運転領域のうちの一つの運転領域」である「現時点の運転領域(現運転領域)」に対応して取得されている前記運転領域別学習回数と、前記総学習回数と、の比に対応する値である学習比率を取得する。例えば、前記学習比率は、前記総学習回数に対する、前記現運転領域に対応する運転領域別学習回数の比(学習比率=現運転領域の運転領域別学習回数/総学習回数)である。更に、点火時期制御手段は、前記初期点火時期と前記学習後点火時期とを前記学習比率に応じて反映した最終点火時期を求め、同求めた最終点火時期にて点火を実行する。
前記学習比率は、現運転領域における学習後点火時期モデルの精度を表す。つまり、前記学習比率は前記学習後点火時期の信頼度を表すことになる。一方、初期点火時期は、予め適合した初期点火時期制御モデルにより算出される点火時期であるから、その信頼度は或る程度高い。
従って、前記点火時期制御手段は、前記初期点火時期と前記学習後点火時期とを、その学習比率に応じて反映した最終点火時期を求め、その最終点火時期にて点火を行う。この結果、仮に、現運転領域と相違する運転領域において集中的に学習がなされた結果、現運転領域における学習後点火時期が適正値から乖離していたとしても、最終点火時期が適正値から大きく乖離することを回避することができる。更に、現運転領域において十分な学習がなされていれば、信頼度の高い学習後点火時期を最終点火時期に設定するか又は最終点火時期に大きく反映させることができるので、より適正値に近い点火時期にて実際の点火を実行することが可能となる。
この場合、前記燃焼状態指標値は前記機関のクランク角度が所定のクランク角度であるときの実際の燃焼割合であり、前記目標燃焼状態指標値は同機関のクランク角度が同所定のクランク角度であるときの燃焼割合の目標値であることが好適である。
これによれば、機関の個体差が存在する場合でも、各機関に対して適切な点火時期が設定され得る。従って、燃焼効率が改善され、内燃機関の出力トルクを増大させることができる。
更に、前記点火時期決定手段は、
前記現運転領域(現時点の運転領域)についての前記学習比率が所定比率よりも大きいとき前記学習後点火時期を前記最終点火時期として決定し、同学習比率が所定比率よりも小さいとき前記初期点火時期を前記最終点火時期として決定するように構成されることができる。
これによれば、前記学習比率が所定比率よりも大きいとき、即ち、学習後点火時期が適正値に近いとき、前記学習後点火時期にて実際の点火が行われる。この結果、実際の燃焼状態指標値が目標燃焼状態指標値に近い値となるので、燃焼状態を狙いとする燃焼状態により近づけることができる。また、前記学習比率が所定比率よりも小さいとき、即ち、学習後点火時期が適正値から大きく乖離している可能性が大きいとき、前記初期点火時期にて実際の点火が行われる。この結果、点火時期が適正な時期から大きく乖離することを回避することができるので、燃焼を安定させることができる。
一方、前記点火時期制御手段は、前記学習後点火時期と前記初期点火時期とに前記現運転領域についての学習比率に応じた重み付けを行うことにより前記最終点火時期を求めるように構成されていてもよい。この場合、点火時期制御手段は、前記現運転領域についての学習比率が大きいほど前記学習後点火時期の重みが大きくなり且つ前記初期点火時期の重みが小さくなるように最終点火時期を求める。
これによれば、学習後点火時期の信頼度が高いほど(学習後点火時期が適正値に近いほど)、その学習後点火時期が最終点火時期に大きく反映される。換言すると、学習後点火時期の信頼度が低いほど、初期点火時期が最終点火時期に大きく反映される。この結果、より適正値に近い点火時期にて実際の点火を実行することができる。
本発明による他の内燃機関の点火時期制御装置は、前述した点火時期制御装置と同様、初期点火時期制御モデルと、運転状態量取得手段と、初期点火時期算出手段と、燃焼状態指標値取得手段と、モデル学習手段と、学習後点火時期算出手段と、を備える。
そして、その点火時期制御装置は、
前記機関の負荷(例えば、スロットル弁開度、アクセルペダル操作量、及び、機関の一吸気行程における吸入空気量等)の変化速度を取得する負荷変化速度取得手段と、
前記取得された負荷の変化速度(変化速度の大きさ)が所定の負荷変化速度閾値よりも小さいときには前記学習後点火時期を最終点火時期として決定し、同取得された負荷の変化速度が同負荷変化速度閾値よりも大きいときには前記初期点火時期を最終点火時期として決定し、同決定した最終点火時期にて点火を実行する点火時期制御手段と、
を備えている。
前記学習は、過去の情報を残しながら、フィードバック制御によって点火時期制御モデルを修正する制御である。従って、学習は、急加速等の機関の負荷が急激に変化する過渡運転時において十分な応答性をもって点火時期制御モデルを修正することができない。そこで、上記構成のように、負荷の変化速度が所定の負荷変化速度閾値よりも大きいとき、即ち、学習による点火時期制御モデルの修正が間に合わないとき、学習後点火時期に代えて初期点火時期にて点火を実行すれば、点火時期が適正値から大きく乖離することを回避することができる。
本発明による更に別の内燃機関の点火時期制御装置は、前述した点火時期制御装置と同様、初期点火時期制御モデルと、運転状態量取得手段と、初期点火時期算出手段と、燃焼状態指標値取得手段と、モデル学習手段と、学習後点火時期算出手段と、を備える。
そして、その点火時期制御装置は、前記学習後点火時期と前記初期点火時期算との差(差の大きさ、差の絶対値)が所定閾値より小さいときには前記学習後点火時期を最終点火時期として決定し、同差が同所定閾値より大きいときには前記初期点火時期に基いて定められる制限点火時期を最終点火時期として決定し、同決定した最終点火時期にて点火を実行する点火時期制御手段を備える。
制限点火時期は、学習後点火時期が初期点火時期よりも進角側にある場合、初期点火時期を第1所定量だけ進角した点火時期に設定され、学習後点火時期が初期点火時期よりも遅角側にある場合、初期点火時期を第2所定量だけ遅角した点火時期に設定されてもよい。第1所定量は第2所定量と等しくてもよく、相違していてもよい。点火時期の過度の進角によるノッキングを抑制するために、第1所定量は第2所定量よりも小さくすることができる。また、前記所定閾値は、一定であってもよく、機関の運転状態量に応じて変化する値であってもよい。特に、高負荷側におけるノッキングの発生を回避するため、前記所定閾値は機関の負荷が大きくなるほど小さくなるように定められていてもよい。
前述したように、初期点火時期制御モデルは予め適合されている。従って、初期点火時期は、適正な点火時期とそれ程大きく乖離していない。そこで、前記学習後点火時期と前記初期点火時期算との差が所定閾値より大きいときには、他の運転領域における学習の影響を点火時期制御モデルが受けた結果、現時点の運転領域における学習後点火時期が適正値から大きく乖離していると考えることができる。従って、上記点火時期制御手段は、前記学習後点火時期と前記初期点火時期算との差が所定閾値より大きいときには前記初期点火時期に基いて定められる制限点火時期を最終点火時期として決定し、前記学習後点火時期と前記初期点火時期算との差が所定閾値より小さいときには前記学習後点火時期を最終点火時期として決定し、そのように決定した最終点火時期にて点火を実行する。この結果、点火時期が適正値から大きく乖離することを回避することができる。
以下、本発明の各実施形態に係る内燃機関の点火時期制御装置について図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る点火時期制御装置(以下、「第1制御装置」と称呼することもある。)をピストン往復動型の火花点火式多気筒(4気筒)4サイクル内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。なお、図1は、特定の気筒の断面のみを図示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これによりクランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21とピストン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を開閉駆動する吸気弁制御装置33、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38及び燃料を吸気ポート31内に噴射するインジェクタ(燃料噴射手段)39を備えている。
吸気弁制御装置33は、インテークカムシャフトとインテークカム(図示せず)との相対回転角度(位相角度)を油圧により調整・制御する周知の構成を備え、吸気弁32の開弁時期(吸気弁開弁時期)を変更することができるようになっている。本例において、吸気弁の開弁期間(開弁クランク角度幅)は一定である。従って、吸気弁開弁時期が所定角度だけ進角又は遅角させられると、吸気弁閉弁時期も同所定角度だけ進角又は遅角させられる。また、排気弁35の開弁時期及び閉弁時期は一定である。従って、吸気弁制御装置33によって吸気弁開弁時期が変更されることに伴ってオーバーラップ期間が変化する。
吸気系統40は、吸気ポート31に連通し吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁43及びスロットル弁駆動手段を構成するDCモータからなるスロットル弁アクチュエータ43aを備えている。
排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)52、上流側の三元触媒53及び下流側の三元触媒54を備えている。上流側の三元触媒53は、エキゾーストパイプ52に配設されている。下流側の三元触媒54は、上流側の三元触媒53の下流においてエキゾーストパイプ52に配設されている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、スロットルポジションセンサ62、カムポジションセンサ63、クランクポジションセンサ64、各気筒に設けられた筒内圧センサ65、冷却水温センサ66、第1触媒53の上流の排気通路に配設された空燃比センサ67、第1触媒53の下流であって第2触媒54の上流の排気通路に配設された空燃比センサ68及びアクセル開度センサ69を備えている。
熱線式エアフローメータ61は、吸気管41内を流れる吸入空気の単位時間あたりの質量流量を検出し、質量流量Gaを表す信号を出力するようになっている。スロットルポジションセンサ62は、スロットル弁43の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。カムポジションセンサ63は、インテークカムシャフトが所定角度から90度、次いで90度、更に180度回転する毎に一つのパルスを出力するようになっている。この信号はG2信号とも称呼される。クランクポジションセンサ64は、クランク軸24が10度回転する毎にパルスを出力するようになっている。クランクポジションセンサ64から出力されるパルスはエンジン回転速度NEを表す信号に変換されるようになっている。更に、カムポジションセンサ63及びクランクポジションセンサ64からの信号に基いて、機関10のクランク角度が求められるようになっている。筒内圧センサ65は、燃焼室25内の圧力を検出し、筒内圧Pcを表す信号を出力するようになっている。
上流側空燃比センサ67及び下流側空燃比センサ68は、触媒53の上下流の空燃比を検出し、その上下流の空燃比を表す信号をそれぞれ出力するようになっている。アクセル開度センサ69は、運転者によって操作されるアクセルペダル81の操作量を検出し、アクセルペダル81の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置70は、互いにバスで接続されたCPU71、CPU71が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)及び定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、電源が投入された状態でデータを格納するとともに格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74、並びに、ADコンバータを含むインターフェース75等からなるマイクロコンピュータである。インターフェース75は、前記センサ61〜69と接続され、CPU71にセンサ61〜69からの信号を供給するようになっている。インターフェース75は、CPU71の指示に応じて吸気弁制御装置33、インジェクタ39及びスロットル弁アクチュエータ43aに駆動信号を送出するとともに、イグナイタ38に点火信号を送出するようになっている。
(制御の概要)
次に、上記のように構成された内燃機関10の点火時期制御装置(第1制御装置)により行われる点火時期制御の概要について説明する。
<燃焼割合MFBの推定(取得)>
上述のように定義された燃焼割合MFBは上述のように定義された図示熱量の割合Qsum/Qtotalを表す値として推定(取得)される。燃焼割合MFB及び図示熱量の割合は、何れも機関10の燃焼状態を示す燃焼状態指標値である。燃焼割合MFBを筒内圧センサ65によって検出された筒内圧Pcから求める手法の詳細は、例えば、特開2006−144645号公報に開示されているので、以下、その概略について述べる。
本例において、燃焼割合MFBは所定のタイミングを表すクランク角度θに対応して求められる。クランク角度θにおける燃焼割合MFBをMFBθと表す。このクランク角度θは圧縮上死点において0となり、圧縮上死点から圧縮上死点前に向って進角するほど絶対値が大きくなる負の値をとり、圧縮上死点から圧縮上死点後に向って遅角するほど絶対値が大きくなる正の値をとるように定義される。例えば、θ=−θ1°(θ1>0)であることは、クランク角度がBTDCθ1であることを示す。θ=θ2°(θ2>0)であることは、クランク角度がATDCθ2であることを示す。
クランク角度θにおける燃焼割合MFBθは、下記の(1)式により推定される。(1)式において、クランク角度θs(θs<0)は、対象とする燃焼行程(膨張行程)に向う圧縮行程において吸気弁32及び排気弁35の両方が閉じた状態にあり且つ点火時期よりも十分に進角した時期(例えば、θs=−60°、即ち、BTDC 60°)である。クランク角度θe(θe>0)は、対象とする燃焼行程における燃焼が実質的に終了する最も遅い時期よりも遅い所定の時期且つ排気弁開弁時期よりも進角した時期(例えば、θe=60°、即ち、ATDC 60°)である。
Figure 2008240569
この(1)式は、発生した熱のうちピストンに対する仕事に寄与した熱の積算量Qの変化パターンがPc(θ)V(θ)κの変化パターンと概ね一致するという知見に基いている。Pc(θ)はクランク角度θにおける筒内圧、V(θ)はクランク角度θにおける燃焼室25の容積、κは混合ガスの比熱比(例えば、1.32)である。なお、(1)式の分母はMFBの100%に相当する値である。
<点火時期制御の基本的内容>
先ず、第1制御装置による点火時期制御の基本的内容について説明する。なお、第1制御装置の学習(学習制御)及び最終的な点火時期(最終点火時期)の決定方法の詳細については、後述する。
図2は、点火時期SAと、8°燃焼割合MFB8と、機関10の発生トルクTRQと、の関係を示したグラフである。8°燃焼割合MFB8とは、クランク角度θが圧縮上死点後8°(=ATDC 8°)にあるときの燃焼割合MFBである。図2から明らかなように、発生トルクTRQが最大となる8°燃焼割合MFB8は約60%(図2の領域Aを参照。)である。従って、第1制御装置は、8°燃焼割合MFB8が所定の目標値MFB8tgt(例えば、60%近傍の値)となるように点火時期を制御する。
より具体的に述べると、第1制御装置は機能ブロック図である図3に示した各機能達成部を有する。以下、各ブロックの機能を順に説明する。本明細書において、変数の後に付与される記号(k)は、その変数がある特定の気筒において次に発生する燃焼行程(即ち、今回の燃焼行程)に対する変数であることを示す。従って、(k−1)が付与された変数は、その特定の気筒における前回の燃焼行程(既に終了した直前の燃焼行程、即ち、1回前(720°クランク角前)の燃焼行程)に対する変数である。また、点火時期SA(SA>0)とは、点火がBTDC SA°(圧縮上死点前のクランク角度SA°)において行われることを意味する。
運転状態量取得部A1は、機関の運転状態を表す量(運転状態量)を取得するようになっている。本例において、運転状態量は、機関10の負荷KL及び機関回転速度NEである。負荷KLは吸入された筒内空気重量に比例する値(充填率)でありエアフローメータ61の検出する質量流量Ga及び機関回転速度NEにより求められる。負荷KLは、空気の挙動を記述した周知の空気モデルにより取得されてもよい。運転状態量取得部A1は、負荷(充填率)KLに代え、機関10の負荷としてアクセルペダル81の操作量Accp及びスロットル弁開度TA等を取得するように構成されていてもよい。
目標値設定部A2は、8°燃焼割合MFB8に対する目標値である「目標燃焼割合MFB8tgt」を出力するようになっている。目標燃焼割合MFB8tgtは本例において一定値(例えば、60%)である。なお、目標値設定部A2は、運転状態量を入力し、その運転状態量に応じて目標燃焼割合MFB8tgtを変更するように構成されていてもよい。目標燃焼割合MFB8tgtは、機関の燃焼効率が良く、且つ、HCやCO等の排出量が低い値となり、且つ、ノッキング等によるトルク変動等が発生しないような値に設定される。
実燃焼割合MFB8算出部A3は、上記(1)式に従って、前回の燃焼行程中のATDC 8°における燃焼割合MFB8(k−1)を算出するようになっている。即ち、実燃焼割合MFB8算出手段A3は、下記の(2)式に基いて8°燃焼割合MFB8(k−1)を算出する。(2)式における右辺の各値は、総て前回の燃焼行程中において得られた値である。なお、−60°とは圧縮上死点前のクランク角度60°を意味する。
Figure 2008240569
点火時期偏差量算出部A4は、目標値設定部A2から取得される目標燃焼割合MFB8tgtと実燃焼割合MFB8算出部A3から取得される実際の8°燃焼割合MFB8(k−1)との差ΔMに基づき、今回の点火時期SA(k)を前回の点火時期SA(k−1)に対し進角するべき量(進角するべきクランク角度、即ち、点火時期補正量又は点火時期偏差量)ΔSA(k−1)を算出する。具体的に述べると、点火時期偏差量算出部A4は、差ΔMと点火時期偏差量ΔSAとの関係を予め規定したテーブル(又は、関数)を備えている。点火時期偏差量算出部A4は、そのテーブルに実際に得られた差ΔMを適用することにより、実際の点火時期偏差量ΔSA(k−1)を算出する。
遅延部A5は、運転状態量取得部A1により取得された今回の燃焼行程に対する運転状態量(NE(k)、KL(k))を保持し、前回燃焼行程に対する点火時期を決定するために使用された前回の燃焼行程に対する運転状態量(NE(k−1)、KL(k−1))を出力する。
モデル学習部A6は、点火時期偏差量算出部A4から得られる点火時期偏差量ΔSA(k−1)と、遅延部A5から得られる前回の運転状態量(NE(k−1)、KL(k−1))と、に基いて、点火時期制御モデルの学習を行う。より具体的には、モデル学習部A6は、点火時期偏差量ΔSA(k−1)が最小の値となるように、後述する点火時期制御モデルを表す関数の係数θ0〜θ3を、周知の「逐次最小二乗法(RLS:Recrusive Least-Squares)」に基いて算出する。
点火時期制御部A7は、下記の(3)式の関数によって表される点火時期制御モデルを有する。
Figure 2008240569
前述したように、(3)式における係数θ0〜θ3はモデル学習部A6により修正(学習)されて行く。この係数θ0〜θ3は、モデル学習部A6によって修正される前の段階(即ち、初期状態)において、種々の機関回転速度NE及び機関負荷KLに対して、「8°燃焼割合MFB8が目標燃焼割合MFB8tgtと略一致する」ような点火時期SA(k)が得られるように、実験等により予め適合されている。点火時期制御部A7は、この修正される前の係数(初期係数)を用いた(3)式により表される関数を「初期点火時期制御モデル」を表す関数として保持するようになっている。更に、点火時期制御部A7は、修正された係数(学習後係数)を用いた(3)式により表される関数を「学習後点火時期制御モデル」を表す関数として保持するようになっている。なお、初期係数及び学習後係数は、バックアップRAM74内に格納されるようになっている。
そして、第1制御装置の点火時期制御部A7は、初期点火時期制御モデルに今回の燃焼行程に対する運転状態量(NE(k),KL(k))を適用して初期点火時期SAinを算出するとともに、学習後点火時期制御モデルに今回の燃焼行程に対する運転状態量(NE(k),KL(k))を適用して学習後点火時期SAgkを算出する。更に、点火時期制御部A7は、後述するように、初期点火時期SAinと学習後点火時期SAgkとを用いて最終的な点火時期(最終点火時期)SA(k)を決定し、その最終点火時期にて点火が行われるようにイグナイタ38に点火信号(点火指示信号)を送出する。
<点火時期制御の詳細>
次に、第1制御装置による点火時期制御の詳細について説明する。第1制御装置は、モデル学習部A6による学習回数(学習により係数θ0〜θ3が修正された回数)の総数を総学習回数として取得する。更に、第1制御装置は、モデル学習部A6による学習回数をその学習が行われたときの運転領域別に運転領域別学習回数として取得する。
そして、第1制御装置は、現時点の運転状態量(今回の点火時期を決定する際の運転状態量)が示す現時点の運転状態が属する運転領域(現運転領域)に対応した運転領域別の学習回数を読み出し、取得された総学習回数に対する読み出した運転領域別の学習回数の比率である学習比率を求める。更に、第1制御装置は、初期点火時期と学習後点火時期とを、その学習比率に応じて反映させた最終点火時期を求め、求めた最終点火時期にて点火を実行する。
より具体的に述べると、第1制御装置は、現時点の運転領域についての前記学習比率が所定比率よりも大きいとき前記学習後点火時期を前記最終点火時期として決定し、同学習比率が所定比率よりも小さいとき前記初期点火時期を前記最終点火時期として決定する。以下、第1制御装置の実際の作動についてフローチャートを参照しながら説明する。
電気制御装置70のCPU71は、図示しない筒内圧取得ルーチンを実行することにより、各気筒のPc(−60°)、Pc(8°)及びPc(60°)を筒内圧センサ65の出力に基いて取得し、各気筒別にRAM73に格納している。更に、CPU71は、図4にフローチャートにより示した点火時期制御ルーチンを特定の気筒のクランク角度が燃焼行程開始直前の所定のクランク角度(例えば、特定気筒の圧縮上死点前クランク角度90°=BTDC 90°)に一致する毎に繰り返し実行している。なお、CPU71は、他の気筒に対しても同様なルーチンを同様なタイミングにて実行するようになっている。
特定の気筒のクランク角度が前記所定のクランク角度に一致すると、CPU71は図4のルーチンの処理をステップ400から開始し、ステップ405〜ステップ460にて以下の処理を行う。
ステップ405:CPU71は、特定気筒の前回の燃焼行程における実際の8°燃焼割合MFB8(k−1)を上記(2)式に基いて算出する。このとき、CPU71は、RAM73に格納してある特定気筒のPc(−60°)、Pc(8°)及びPc(60°)を(2)式に適用する。CPU71は、(2)式の燃焼室体積V(−60°)、V(8°)及びV(60°)に、予めROM72内に記憶してある値を代入する。
ステップ410:CPU71は、特定気筒の前回の燃焼行程に対する(特定気筒の前回の点火時期を決定する際に使用した)機関回転速度NE(k−1)及び負荷KL(k−1)を取得する。同時に、CPU71は、特定気筒の今回の燃焼行程に対する(特定気筒の今回の点火時期を決定する際に使用する)機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)を取得する。機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)は、現時点における機関回転速度NE及び負荷KLにそれぞれ等しい。
ステップ415:CPU71は、予め定められた目標燃焼割合MFB8tgtとステップ405にて取得した実際の8°燃焼割合MFB8(k−1)との差ΔM(目標燃焼割合MFB8tgtから8°燃焼割合MFB8(k−1)を減じた値ΔM)を求める。
ステップ420:CPU71は、差ΔMを関数f(又はルックアップテーブル)に適用することにより点火時期偏差量ΔSA(k−1)を算出する。本例において、関数fは差ΔMを定数k倍する関数(又は、差ΔMに関する単調増加関数)である。
ステップ425:CPU71は、点火時期制御モデルの学習を実行する。具体的に述べると、CPU71は、逐次最小二乗法に基いて点火時期偏差量ΔSA(k−1)を最小とする係数θ0、θ1、θ2及びθ3を算出(決定)する。このとき、CPU71は、機関回転速度NE(k−1)及び負荷KL(k−1)を計算に使用する。算出された新たな係数θ0、θ1、θ2及びθ3は、学習後係数としてバックアップRAM74に格納される。
ステップ430:CPU71は、機関回転速度NE(k−1)及び負荷KL(k−1)が属する運転領域(学習時運転領域)を特定し、その特定した運転領域に固有の学習回数カウンタである運転領域別学習カウンタCm,nの値を読み込む。具体的に述べると、運転領域(学習領域)は図5に示したように、機関回転速度NE及び負荷KLによって複数の領域に区分されている。CPU71は、機関回転速度NE(k−1)及び負荷KL(k−1)により示される運転状態が、図5に示した複数の運転領域のうちのどの運転領域に存在しているかを特定し、その特定した運転領域に対して割り当てられている運転領域別学習回数カウンタCm,nの値を読み込む。
ステップ435:CPU71は、ステップ430にて読み込んだ運転領域別学習回数カウンタCm,nの値を「1」だけ増大する。この結果、運転領域別学習回数カウンタCm,nの値は、その学習回数カウンタCm,nが割り当てられている運転領域において、点火時期制御モデルが学習された回数(係数θ0〜θ3が修正された回数、即ち、点火時期制御モデルの運転領域別学習回数)を表す値となる。
ステップ440:CPU71は、総学習回数カウンタCNの値を「1」だけ増大する。この結果、総学習回数カウンタCNの値は、点火時期制御モデルが学習された回数の総数(運転領域に関わらず係数θ0〜θ3が修正された回数の合計、即ち、総学習回数)を表す値となる。
ステップ445:CPU71は、機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)が属する運転領域を特定し、その特定した領域の運転領域別学習カウンタCx,yの値を読み込む。機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)(現時点の運転状態量が示す現時点の機関の運転状態)が属する運転領域を、「現運転領域」と称呼する。
ステップ450:CPU71は、上記(3)式の係数θ0〜θ3をステップ425にて更新された(学習された)係数θ0〜θ3に設定し、その(3)式に機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)を代入することにより、今回の点火時期(次に到来する燃焼行程に対する点火時期)に対応する点火時期SAgkを算出する。このように係数θ0〜θ3が学習された値(学習後係数)に設定された点火時期制御モデル(学習後点火時期制御モデル)によって求められる点火時期を「学習後点火時期」とも称呼する。
ステップ455:CPU71は、上記(3)式の係数θ0〜θ3を初期値(初期係数)に設定し、その(3)式に機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)を代入することにより、今回の点火時期に対応する点火時期SAinを算出する。このように係数θ0〜θ3が初期値に戻された点火時期制御モデル(初期点火時期制御モデル)によって求められる点火時期を「初期点火時期」とも称呼する。
ステップ460:CPU71は、ステップ445にて読み込んだ運転領域別学習カウンタCx,yを総学習回数カウンタCNにより除し、学習比率(=Cx,y/CN)を求める。そして、CPU71は、学習比率(=Cx,y/CN)が閾値(所定比率)Thより大きいか否かを判定する。
いま、学習比率(=Cx,y/CN)が閾値Thより大きいと仮定する。学習比率(=Cx,y/CN)が閾値Thより大きいことは、機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)により表される現在の運転状態が属する現運転領域において、相対的に十分な学習がなされていること、又は、現運転領域における学習回数は少ないが、他の運転領域における学習が現運転領域における点火時期制御モデルに及ぼす影響が小さいことを意味する。即ち、この場合、学習後点火時期SAgkは信頼の高い値(適正値に近い値)となっていると考えられる。従って、CPU71は、ステップ460にて「Yes」と判定してステップ465に進み、最終点火時期(今回の燃焼行程に対する点火時期)SA(k)にステップ450にて求めた学習後点火時期SAgkを設定する。
次いで、CPU71はステップ470に進んで、上記ステップ465にて設定された最終点火時期SA(k)(即ち、学習後点火時期SAgk)にて点火が行われるようにイグナイタ38に指示信号を送出する。そして、CPU71はステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、学習比率(=Cx,y/CN)が閾値Thより小さい場合(学習比率が閾値Th以下である場合)、他の運転領域における学習が、上記現運転領域における点火時期制御モデルに大きな影響を及ぼしていることを意味する。即ち、この場合、学習後点火時期SAgkよりも初期点火時期SAinの方が信頼の高い値となっている。従って、CPU71は、ステップ460にて「No」と判定してステップ475に進み、最終点火時期SA(k)にステップ455にて求めた初期点火時期SAinを設定する。
次いで、CPU71はステップ470に進んで、上記ステップ475にて設定された最終点火時期SA(k)(即ち、初期点火時期SAin)にて点火が行われるようにイグナイタ38に指示信号を送出する。そして、CPU71はステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように、第1制御装置は、現時点の運転領域についての学習比率(=Cx,y/CN)が所定比率(Th)よりも大きいとき前記学習後点火時期SAgkを前記最終点火時期SA(k)として決定し、同学習比率(=Cx,y/CN)が所定比率(Th)よりも小さいとき前記初期点火時期SAinを前記最終点火時期SA(k)として決定するように構成された点火時期制御手段を備えている。
従って、前記学習比率(=Cx,y/CN)が所定比率(Th)よりも大きいとき、即ち、学習後点火時期SAgkが適正値に近いとき、その学習後点火時期SAgkにて実際の点火が行われる。この結果、実際の燃焼状態指標値(8°燃焼割合MFB8)が目標燃焼状態指標値(目標燃焼割合MFB8tgt)に近い値となるので、燃焼状態を狙いとする燃焼状態により近づけることができる。これにより、機関の効率を高く維持することができる。
また、前記学習比率(=Cx,y/CN)が所定比率(Th)よりも小さいとき、即ち、学習後点火時期SAgkが適正値から大きく乖離している可能性が大きいとき、前記初期点火時期SAinにて実際の点火が行われる。この結果、点火時期が適正な時期から大きく乖離することを回避することができるので、燃焼を安定させることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る点火時期制御装置(以下、「第2制御装置」と称呼する。)について説明する。第2制御装置は、最終点火時期を決定する手法のみが第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明する。
第2制御装置のCPU71は、図4に代わる図6にフローチャートにより示した点火時期制御ルーチンを特定の気筒のクランク角度が燃焼行程開始直前の所定のクランク角度(例えば、BTDC90°)に一致する毎に繰り返し実行している。図6において図4に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図4のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらのステップについての詳細な説明は省略される。
CPU71は、特定の気筒のクランク角度が前記所定のクランク角度に一致すると、図6のルーチンの処理をステップ600から開始し、上述したステップ405〜ステップ455の処理を行う。これにより、前回の燃焼に基いて点火時期制御モデルが学習によって修正され(ステップ425)、その学習を行った運転領域に対応する運転領域別学習カウンタCm,nが増大され(ステップ435)、更に、総学習回数カウンタCNの値が増大される(ステップ440)。加えて、学習後点火時期SAgk及び初期点火時期SAinが算出される(ステップ450、ステップ455)。
次いで、CPU71はステップ605に進み、下記の(4)式に基いて最終点火時期SA(k)を算出する。
Figure 2008240569
即ち、CPU71は、ステップ605において、現時点の運転領域(現運転領域)についての前記学習比率(=Cx,y/CN)が大きいほど前記学習後点火時期SAgkの重みが大きくなり且つ前記初期点火時期SAinの重みが小さくなるように、同学習後点火時期SAgkと同初期点火時期SAinとに同学習比率(=Cx,y/CN)に応じた重み付けを行う。即ち、学習後点火時期SAgk、初期点火時期SAin及び学習比率(=Cx,y/CN)を用いて学習後点火時期SAgk及び初期点火時期SAinの重み付け平均値を求め、その重み付け平均値を最終点火時期SA(k)に設定する。
次いで、CPU71はステップ470に進み、上記ステップ605にて決定された最終点火時期SA(k)にて点火が行われるようにイグナイタ38に指示信号を送出する。そして、CPU71はステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように、第2制御装置は、前記学習後点火時期SAgkと前記初期点火時期SAinとに前記学習比率(=Cx,y/CN)に応じた重み付けを行うことにより前記最終点火時期SA(k)を算出する点火時期制御手段を備えている。
これによれば、学習後点火時期SAgkの信頼度が高いほど(学習後点火時期SAgkが適正値に近いほど)、その学習後点火時期SAgkが最終点火時期SA(k)に大きく反映される。換言すると、学習後点火時期SAgkの信頼度が低いほど、初期点火時期SAinが最終点火時期SA(k)に大きく反映される。この結果、より適正値に近い点火時期にて実際の点火を実行することができる。従って、機関の効率を高く維持するとともに、点火時期が適正な時期から大きく乖離することを回避することができるので、燃焼を安定させることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る点火時期制御装置(以下、「第3制御装置」と称呼する。)について説明する。第3制御装置は、学習後点火時期を最終点火時期として用いることが望ましくない場合を機関10の運転状態に基づいて判定し、学習後点火時期を最終点火時期として用いることが望ましくない場合において初期点火時期を最終点火時期とするように構成されている点のみにおいて、第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明する。
第3制御装置のCPU71は、図4に代わる図7にフローチャートにより示した点火時期制御ルーチンを特定の気筒のクランク角度が燃焼行程開始直前の所定のクランク角度(例えば、BTDC90°)に一致する毎に繰り返し実行している。図7においても、図4に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図4のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらのステップについての詳細な説明は省略される。
CPU71は、特定の気筒のクランク角度が前記所定のクランク角度に一致すると、図7のルーチンの処理をステップ700から開始し、上述したステップ405〜ステップ425、ステップ450及びステップ455の処理を行う。これにより、前回の燃焼に基いて点火時期制御モデルが学習によって修正される(ステップ425)。更に、学習後点火時期SAgk及び初期点火時期SAinが算出される(ステップ450、ステップ455)。
次に、CPU71はステップ705に進み、スロットル弁開度TAの単位時間あたりの変化量(即ち、スロットル弁開度変化速度)ΔTAが所定のスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAthより小さいか否かを判定する。スロットル弁開度TAは、アクセルペダル81の操作量Accpが大きくなるほど大きくなるようにCPU71及びスロットル弁アクチュエータ43aによって制御されている。また、スロットル弁開度TAの単位時間あたりの変化量は、図示しない所定時間Δtの経過毎に実行されるルーチンにおいて、そのルーチンを実行する時点のスロットル弁開度TAと、そのルーチンを前回実行した時点におけるスロットル弁開度TA(=TAold=Δt前のスロットル弁開度)と、の差(ΔTA=TA−TAold)を求めることにより取得される。
いま、スロットル弁開度変化速度ΔTAがスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAthより小さいと仮定する。この場合、機関の運転状態は急変していないので、現時点の運転領域(学習領域)及びその近傍の運転領域において十分な回数の学習がなされている。従って、学習後点火時期制御モデルにより求められる学習後点火時期は適正値に近い値(信頼の高い値)となる。
従って、CPU71は、ステップ705にて「Yes」と判定してステップ465に進み、最終点火時期SA(k)にステップ450にて求めた学習後点火時期SAgkを設定する。次いで、CPU71はステップ470に進んで、上記ステップ465にて設定された最終点火時期SA(k)(即ち、学習後点火時期SAgk)にて点火が行われるようにイグナイタ38に指示信号を送出する。そして、CPU71はステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、スロットル弁開度変化速度ΔTAがスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAthより大きい場合(スロットル弁開度変化速度ΔTAがスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAth以上である場合)、運転領域が比較的短時間内に変化するから、現運転領域における点火時期制御モデルの学習は十分ではないと考えられる。換言すると、学習が運転状態の変化に対して十分に追従していないので、学習後点火時期SAgkよりも初期点火時期SAinの方が信頼の高い値となっていると考えられる。
従って、この場合、CPU71は、ステップ705にて「No」と判定してステップ475に進み、最終点火時期SA(k)にステップ455にて求めた初期点火時期SAinを設定する。次いで、CPU71はステップ470に進んで、上記ステップ475にて設定された最終点火時期SA(k)(即ち、初期点火時期SAin)にて点火が行われるようにイグナイタ38に指示信号を送出する。そして、CPU71はステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。以上が、第3制御装置の作動である。
図8は、過渡運転時である加速運転時における第3制御装置の作動を説明するためのタイムチャートである。図8において、時刻t1までは、曲線C1にて示したスロットル弁開度変化速度ΔTAはスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAth以下である。従って、破線の曲線C3により示した学習後点火時期SAgkにて点火が実行される。但し、時刻t1までは、機関の運転状態の変化に対して学習が大きく遅れることなくなされるので、破線の曲線C3により示した学習後点火時期SAgkは実線の曲線C2により示した初期点火時期SAinと略等しく、且つ、初期点火時期SAinよりも最適値に近い値になっている。
時刻t1以降になると、スロットル弁開度変化速度ΔTAはスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAthより大きくなる。この場合、時刻t1以降においても、学習後点火時期SAgkは徐々に最適値へと変化する。しかしながら、最適点火時期は初期点火時期SAinに類似して急変するから、学習後点火時期SAgkにて点火を行っていると点火時期が進角し過ぎることになり、ノッキング等が生じる。そこで、第3制御装置は、時刻t1以降において、学習後点火時期SAgkに代え、初期点火時期SAinにて点火を行う。
時刻t2以降になると、スロットル弁開度変化速度ΔTAはスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAth以下となる。この時点までに学習は十分に進むから、学習後点火時期SAgkは最適値に近い値とへと変化する。従って、第3制御装置は、時刻t2以降において、機関の個々の特性が反映された学習後点火時期SAgkにて点火を実行する。この結果、時刻t1以前及び時刻t2以降において、初期点火時期SAinにて点火を実行する場合よりも、より最適な時期に点火が実行される。
このように第3制御装置によれば、負荷の変化速度(スロットル弁開度変化速度ΔTA)が所定の負荷変化速度閾値(スロットル弁開度変化速度閾値ΔTAth)よりも大きいとき、学習による点火時期制御モデルの修正が間に合わないと判断し、その場合、学習後点火時期SAgkに代えて初期点火時期SAinにて点火を実行する点火時期制御手段を備える。これにより、過渡運転時において点火時期が適正値から大きく乖離することを回避することができる。
なお、上記ステップ705においては、スロットル弁開度TAの単位時間あたりの変化量ΔTAが所定のスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAthより小さいか否かを判定していたが、これに代え、スロットル弁開度TAの単位時間あたりの変化量ΔTAの絶対値がスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAthより小さいか否かを判定するように構成されてもよい。また、ステップ705において、スロットル弁開度TAの単位時間あたりの変化量に代え、アクセルペダル81の操作量Accpの単位時間あたりの変化量及び負荷KLの単位時間あたりの変化量等を用いてもよい。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る点火時期制御装置(以下、「第4制御装置」と称呼する。)について説明する。第4制御装置は、初期点火時期に基いて学習後点火時期を制限し、その制限された学習後点火時期を最終点火時期とする点において第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明する。
第4制御装置のCPU71は、図4に代わる図9にフローチャートにより示した点火時期制御ルーチンを特定の気筒のクランク角度が燃焼行程開始直前の所定のクランク角度(例えば、BTDC90°)に一致する毎に繰り返し実行している。図9においても、図4に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図4のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらのステップについての詳細な説明は省略される。
CPU71は、特定の気筒のクランク角度が前記所定のクランク角度に一致すると、図9のルーチンの処理をステップ900から開始し、上述したステップ405〜ステップ425、ステップ450及びステップ455の処理を行う。これにより、前回の燃焼に基いて点火時期制御モデルが学習によって修正される(ステップ425)。更に、学習後点火時期SAgk及び初期点火時期SAinが算出される(ステップ450、ステップ455)。
次に、CPU71はステップ905に進み、学習後点火時期SAgkから初期点火時期SAinを減じた値が所定の閾値(ガード幅)Dth(Dth>0)より大きいか否かを判定する。換言すると、ステップ905において、学習後点火時期SAgkが、初期点火時期SAinから閾値Dthだけ進角した点火時期より、更に進角した値となっているか否かが判定される。
いま、学習後点火時期SAgkから初期点火時期SAinを減じた値が所定の閾値Dthより大きいと仮定する。前述したように、初期点火時期制御モデルは、予め8°燃焼割合が目標燃焼割合MFB8tgtと一致するように適合されている。従って、学習後点火時期SAgkから初期点火時期SAinを減じた値が所定の閾値Dthより大きくなっているということは、学習が現時点の運転領域とは相違する運転領域において高い頻度で行われた結果、現時点の運転領域に対する学習後点火時期制御モデル(従って、現時点の運転領域に対する学習後点火時期)が不適切になっていることを意味する。係る観点に基き、第4制御装置は、学習後点火時期を初期点火時期に基づいて制限する。
具体的に述べると、CPU71はステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、初期点火時期SAinに閾値Dthを加えた値(初期点火時期SAinを閾値Dthだけ進角させた点火時期)を最終点火時期SA(k)として決定する。初期点火時期SAinに閾値Dthを加えた点火時期は、制限点火時期とも称呼される。次いで、CPU71はステップ915に進んで点火時期偏差量ΔSA(k)を閾値Dthに設定し、ステップ920に進んで点火時期制御モデルの学習を再び実行する。即ち、CPU71は、ステップ920において、逐次最小二乗法に基いて点火時期偏差量ΔSA(k)を最小とする係数θ0、θ1、θ2及びθ3を算出(決定)する。このとき、CPU71は、機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)を計算に使用する。
次いで、CPU71はステップ470に進み、上記ステップ910にて決定された最終点火時期SA(k)にて点火が行われるようにイグナイタ38に指示信号を送出する。そして、CPU71はステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。この結果、実際の点火は、初期点火時期SAinを閾値Dthだけ進角させた制限点火時期にて実行される。
一方、ステップ455の処理を終了した時点において、学習後点火時期SAgkから初期点火時期SAinを減じた値が所定の閾値Dthより小さいが、初期点火時期SAinから学習後点火時期SAgkを減じた値が所定の閾値Dthより大きいと仮定する。この場合も、学習が現時点の運転領域とは相違する運転領域において高い頻度で行われた結果、現時点の運転領域に対する学習後点火時期制御モデル(従って、現時点の運転領域に対する学習後点火時期)が不適切になっていることを意味する。係る観点に基き、第4制御装置は、学習後点火時期を初期点火時期に基づいて制限する。
即ち、CPU71はステップ905にて「No」と判定してステップ925に進み、初期点火時期SAinから学習後点火時期SAgkを減じた値が所定の閾値Dthより大きいか否かを判定する。換言すると、学習後点火時期SAgkが、初期点火時期SAinを閾値Dthだけ遅角した点火時期より、更に遅角した値となっているか否かが判定される。前述の仮定に従えば、この条件は成立している。従って、CPU71はステップ925にて「Yes」と判定してステップ930に進み、初期点火時期SAinから閾値Dthを減じた値(初期点火時期SAinを閾値Dthだけ遅角させた点火時期)を最終点火時期SA(k)として決定する。この初期点火時期SAinから閾値Dthを減じた点火時期も、制限点火時期とも称呼される。そして、CPU71はステップ935に進んで、点火時期偏差量ΔSA(k)を閾値Dthの符号を反転した値(−Dth)に設定し、ステップ920に進んで点火時期制御モデルの学習を実行する。
次いで、CPU71はステップ470に進んで、上記ステップ930にて決定された最終点火時期SA(k)にて点火が行われるようにイグナイタ38に指示信号を送出する。そして、CPU71はステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。この結果、実際の点火は、初期点火時期SAinを閾値Dthだけ遅角させた制限点火時期に実行される。
他方、ステップ455の処理を終了した時点において、学習後点火時期SAgkと初期点火時期SAinとの差の絶対値がDthより小さい(Dth以下)である場合、現時点の運転領域に対する学習後点火時期制御モデル(従って、現時点の運転領域に対する学習後点火時期)は不適切になってはいないと考えられる。
そこで、この場合、CPU71はステップ905及びステップ925の両ステップにて「No」と判定してステップ940に進み、学習後点火時期SAgkを最終点火時期SA(k)として設定する。次いで、CPU71はステップ470に進んで、上記ステップ940にて決定された最終点火時期SA(k)にて点火が行われるようにイグナイタ38に指示信号を送出する。そして、CPU71はステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。この結果、実際の点火は、学習後点火時期SAgkにて実行される。
以上、説明したように、第4制御装置は、前記学習後点火時期SAgkと前記初期点火時期SAinとの差(差の大きさ、即ち、差の絶対値の意味)が所定閾値Dthより小さいときには前記学習後点火時期SAgkを最終点火時期SA(k)として決定し、同差が同所定閾値SAgkより大きいときには前記初期点火時期SAinに基いて定められる制限点火時期(初期点火時期SAinを閾値Dthだけ進角させた点火時期、又は、初期点火時期SAinを閾値Dthだけ遅角させた点火時期)を最終点火時期SA(k)として決定し、同決定した最終点火時期SA(k)にて点火を実行する点火時期制御手段を備えている。この結果、点火時期が不適切な学習後点火時期SAgkに設定されないので、点火時期が適正値から大きく乖離することを回避することができる。
なお、制限点火時期は、学習後点火時期SAgkが初期点火時期SAinよりも進角側にある場合、初期点火時期SAinを第1所定量(Dth1>0)だけ進角した点火時期に設定され、学習後点火時期SAgkが初期点火時期SAinよりも遅角側にある場合、初期点火時期SAinを第1所定量(Dth1)と相違する第2所定量(Dth2>0)だけ遅角した点火時期に設定されてもよい。点火時期の過度の進角によるノッキングを抑制するために、第1所定量Dth1は第2所定量Dth2よりも小さくすることが望ましい。また、前記所定閾値Dthは、一定であってもよく、機関の運転状態量に応じて変化する値であってもよい。特に、高負荷側におけるノッキングの発生を回避するため、前記所定閾値Dthは機関の負荷(例えば、負荷KL)が大きくなるほど小さくなるように定められていてもよい。
更に、第4制御装置は、前記制限点火時期にて点火を実行した場合、その時点の機関回転速度NE(k)及び機関負荷KL(k)を、その時点における学習後点火時期制御モデルに適用したときに、同学習後点火時期制御モデルが同制限点火時期の点火時期を算出するように係数θ0〜θ3を修正する(再学習を行う。)。従って、制限されたという事実(更には、前記制限点火時期)を学習によって学習後点火時期制御モデルに反映させることができる。この結果、学習後点火時期制御モデルを、より適正なモデルへと近づけさせることができる。
次に、上記第1〜3制御装置の変形例について説明する。これらの変形例は、第4制御装置にて実行した図9のステップ915、ステップ935及びステップ920と同様な再学習を行う。
(第1制御装置の変形例)
第1制御装置の変形例は、図4に示したルーチンのステップ475とステップ470との間に図10に示したステップ1005及びステップ1010の処理を行う。具体的に説明すると、CPU71は、運転領域別学習カウンタCx,yを総学習回数カウンタCNにより除した学習比率(=Cx,y/CN)が閾値Thより小さい場合、ステップ460にて「No」と判定してステップ475に進み、最終点火時期SA(k)にステップ455にて求めた初期点火時期SAinを設定する。これにより、機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)により表される現在の運転状態が属する現運転領域において、より信頼性の高い初期点火時期SAinが学習後点火時期SAgkに代えて採用される。
次いで、CPU71はステップ1005に進み、点火時期偏差量ΔSA(k)に「学習後点火時期SAgkから初期点火時期SAinを減じた値(SAgk−SAin)」を設定する。そして、CPU71は、ステップ1010に進み、図9のステップ920と同様、点火時期制御モデルの学習を再び実行する。具体的に述べると、CPU71は、逐次最小二乗法に基いて点火時期偏差量ΔSA(k)(=SAgk−SAin)を最小とする係数θ0、θ1、θ2及びθ3を算出(決定)する。このとき、CPU71は、機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)を計算に使用する。その後、CPU71は図4のステップ470へと進み、点火実行処理を行う。
この結果、現運転領域における学習後点火時期制御モデルを、より適正なモデルへと近づけさせることができる。
(第2制御装置の変形例)
第2制御装置の変形例は、図6に示したルーチンのステップ605とステップ470との間に図11に示したステップ1105及びステップ1110の処理を行う。具体的に説明すると、CPU71は、図6のステップ605に続いて図11のステップ1105に進み、点火時期偏差量ΔSA(k)に「学習後点火時期SAgkから図6のステップ605にて求めた最終点火時期SA(k)を減じた値」を設定する。この最終点火時期SA(k)は、前述したように、学習後点火時期SAgkと初期点火時期SAinとを学習比率(=Cx,y/CN)を用いて重み付け平均した点火時期である。
そして、CPU71は、ステップ1110に進み、図9のステップ920と同様、点火時期制御モデルの学習を再び実行する。具体的に述べると、CPU71は、逐次最小二乗法に基いて点火時期偏差量ΔSA(k)(=SAgk−SA(k))を最小とする係数θ0、θ1、θ2及びθ3を算出(決定)する。このとき、CPU71は、機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)を計算に使用する。その後、CPU71は図6のステップ470へと進み、点火実行処理を行う。
この結果、現運転領域における学習後点火時期制御モデルを、より適正なモデルへと近づけさせることができる。
(第3制御装置の変形例)
第3制御装置の変形例は、図7に示したルーチンのステップ475とステップ470との間に図12に示したステップ1205及びステップ1210の処理を行う。具体的に説明すると、CPU71は、スロットル弁開度変化速度ΔTAがスロットル弁開度変化速度閾値ΔTAthより大きい場合、ステップ705にて「No」と判定してステップ475に進み、最終点火時期SA(k)に図7のステップ455にて求めた初期点火時期SAinを設定する。これにより、機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)により表される現在の運転状態が属する現運転領域において、より信頼性の高い初期点火時期SAinが学習後点火時期SAgkに代えて採用される。
次いで、CPU71はステップ1205に進み、点火時期偏差量ΔSA(k)に「学習後点火時期SAgkから初期点火時期SAinを減じた値(SAgk−SAin)」を設定する。そして、CPU71は、ステップ1210に進み、図9のステップ920と同様、点火時期制御モデルの学習を再び実行する。具体的に述べると、CPU71は、逐次最小二乗法に基いて点火時期偏差量ΔSA(k)(=SAgk−SAin)を最小とする係数θ0、θ1、θ2及びθ3を算出(決定)する。このとき、CPU71は、機関回転速度NE(k)及び負荷KL(k)を計算に使用する。その後、CPU71は図4のステップ470へと進み、点火実行処理を行う。
この結果、現運転領域における学習後点火時期制御モデルを、より適正なモデルへと近づけさせることができる。
以上から明らかなように、第1制御装置乃至第3制御装置の各変形例、及び、第4制御装置は、前記最終点火時期SA(k)と前記学習後点火時期SAgkとが相違する場合、同最終点火時期SA(k)と同学習後点火時期SAgkの差が小さくなるように前記点火時期制御モデルを表す関数を修正する学習(再学習)を行うモデル学習手段(再学習手段)を備えていると言うこともできる。
以上、説明したように、本発明による点火時期制御の各実施形態によれば、不適切な学習後点火時期SAgkが点火時期として用いられないから、ノッキング及び不安定燃焼状態の発生等を回避することができる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態において、点火時期制御モデルの学習は逐次最小二乗法により行われていたが、他の手法を用いて学習を行ってもよい。また、点火時期制御モデルの学習は、係数θ0〜θ3の全てを修正することにより行われていたが、係数θ0〜θ3のうちのいくつかの係数のみを修正するように学習を実行してもよい。更に、点火時期制御モデルが係数θ0〜θ3以外の適合パラメータを備えている場合、初期点火時期制御モデルはそのような適合パラメータが適合されたモデルであり、学習後点火時期制御モデルはそのような適合パラメータを学習により修正したものでもよい。
また、上記各実施形態は、燃焼割合MFB(従って、図示熱量の割合Qsum/Qtotal)を筒内圧に基いて取得していたが、燃焼割合MFBをWiebe関数と呼ばれる燃焼モデル(例えば、特開2006−9720号公報を参照。)により求めるように構成することもできる。更に、燃焼状態指標値は、所定のクランク角度における燃焼割合MFBに限定されず、例えば、所定のクランク角度における筒内圧及び/又は筒内圧の変化速度等であってもよい。
本発明の第1実施形態に係る点火時期制御装置を適用した内燃機関の概略図である。 点火時期と8°燃焼割合と機関の発生トルクとの関係を示したグラフである。 図1に示した電気制御装置(点火時期制御装置)の機能ブロック図である。 図1に示したCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 点火時期制御モデルの学習領域の一例を示した図である。 本発明の第2実施形態に係る点火時期制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る点火時期制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 加速運転時における第3実施形態に係る点火時期制御装置の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第4実施形態に係る点火時期制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第1実施形態の変形例に係る点火時期制御装置のCPUが実行するルーチンの一部を示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態の変形例に係る点火時期制御装置のCPUが実行するルーチンの一部を示したフローチャートである。 本発明の第3実施形態の変形例に係る点火時期制御装置のCPUが実行するルーチンの一部を示したフローチャートである。 総ての運転領域に対して偏りなく学習が行われた場合の点火時期制御モデルにより算出される点火時期を示した図である。 ある特定運転領域においてのみ学習が行われた後の点火時期制御モデルにより算出される点火時期を示した図である。 所定の運転を行った後における点火時期制御モデルの学習の運転領域別頻度を表したグラフである。
符号の説明
10…内燃機関、25…燃焼室、37…点火プラグ、38…イグナイタ、43…スロットル弁、65…筒内圧センサ、69…アクセル開度センサ、70…電気制御装置、71…CPU、A1…運転状態量取得部、A2…目標値設定部、A3…実燃焼割合MFB8算出部、A4…点火時期偏差量算出部、A5…遅延部、A6…モデル学習部、A7…点火時期制御部。

Claims (6)

  1. 内燃機関の運転状態を表す運転状態量を変数として同機関の点火時期を算出する関数により表された点火時期制御モデルであって同機関の燃焼状態を示す燃焼状態指標値が所定の目標燃焼状態を示す目標燃焼状態指標値と一致するように予め適合された初期点火時期制御モデルを備えた内燃機関の点火時期制御装置であって、
    実際の前記運転状態量を実運転状態量として取得する運転状態量取得手段と、
    前記取得された実運転状態量を前記初期点火時期制御モデルに適用することにより初期点火時期を算出する初期点火時期算出手段と、
    実際の前記燃焼状態指標値を実燃焼状態指標値として取得する燃焼状態指標値取得手段と、
    前記実燃焼状態指標値が取得されたとき同取得された実燃焼状態指標値と前記目標燃焼状態指標値との差が小さくなるように前記初期点火時期制御モデルを表す関数を順次修正する学習を行うモデル学習手段と、
    前記取得された実運転状態量を前記モデル学習手段により学習された前記点火時期制御モデルに適用することにより学習後点火時期を算出する学習後点火時期算出手段と、
    前記モデル学習手段による前記学習の回数を積算することにより総学習回数を取得する総学習回数取得手段と、
    前記機関の運転領域を複数の運転領域に予め区分し、前記モデル学習手段による前記学習の回数を、同学習が行われたときの前記実運転状態量によって示される運転状態が属する同複数の運転領域のうちの一つの運転領域に対応させて積算することにより、運転領域別学習回数を取得する運転領域別学習回数取得手段と、
    現時点における前記実運転状態量によって示される運転状態が属する前記複数の運転領域のうちの一つの運転領域である現運転領域に対応して取得されている前記運転領域別学習回数と、前記総学習回数と、の比に対応する値である学習比率を取得するとともに、前記初期点火時期と前記学習後点火時期とを同学習比率に応じて反映した最終点火時期を求め、同求めた最終点火時期にて点火を実行する点火時期制御手段と、
    を備えた点火時期制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記燃焼状態指標値は前記機関のクランク角度が所定のクランク角度であるときの実際の燃焼割合であり、前記目標燃焼状態指標値は同機関のクランク角度が同所定のクランク角度であるときの燃焼割合の目標値である点火時期制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記点火時期制御手段は、
    前記現運転領域についての前記学習比率が所定比率よりも大きいとき前記学習後点火時期を前記最終点火時期として決定し、同学習比率が所定比率よりも小さいとき前記初期点火時期を前記最終点火時期として決定するように構成された点火時期制御装置。
  4. 請求項1又は2に記載の内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記点火時期制御手段は、
    前記現運転領域についての前記学習比率が大きいほど前記学習後点火時期の重みが大きくなり且つ前記初期点火時期の重みが小さくなるように同学習後点火時期と同初期点火時期とに同学習比率に応じた重み付けを行うことにより前記最終点火時期を求めるように構成された点火時期制御装置。
  5. 内燃機関の運転状態を表す運転状態量を変数として同機関の点火時期を算出する関数により表された点火時期制御モデルであって同機関の燃焼状態を示す燃焼状態指標値が所定の目標燃焼状態を示す目標燃焼状態指標値と一致するように予め適合された初期点火時期制御モデルを備えた内燃機関の点火時期制御装置であって、
    実際の前記運転状態量を実運転状態量として取得する運転状態量取得手段と、
    前記取得された実運転状態量を前記初期点火時期制御モデルに適用することにより初期点火時期を算出する初期点火時期算出手段と、
    実際の前記燃焼状態指標値を実燃焼状態指標値として取得する燃焼状態指標値取得手段と、
    前記実燃焼状態指標値が取得されたとき同取得された実燃焼状態指標値と前記目標燃焼状態指標値との差が小さくなるように前記初期点火時期制御モデルを表す関数を順次修正する学習を行うモデル学習手段と、
    前記取得された実運転状態量を前記モデル学習手段により学習された前記点火時期制御モデルに適用することにより学習後点火時期を算出する学習後点火時期算出手段と、
    前記機関の負荷の変化速度を取得する負荷変化速度取得手段と、
    前記取得された負荷の変化速度が所定の負荷変化速度閾値よりも小さいときには前記学習後点火時期を最終点火時期として決定し、同取得された負荷の変化速度が同負荷変化速度閾値よりも大きいときには前記初期点火時期を最終点火時期として決定し、同決定した最終点火時期にて点火を実行する点火時期制御手段と、
    を備えた点火時期制御装置。
  6. 内燃機関の運転状態を表す運転状態量を変数として同機関の点火時期を算出する関数により表された点火時期制御モデルであって同機関の燃焼状態を示す燃焼状態指標値が所定の目標燃焼状態を示す目標燃焼状態指標値と一致するように予め適合された初期点火時期制御モデルを備えた内燃機関の点火時期制御装置であって、
    実際の前記運転状態量を実運転状態量として取得する運転状態量取得手段と、
    前記取得された実運転状態量を前記初期点火時期制御モデルに適用することにより初期点火時期を算出する初期点火時期算出手段と、
    実際の前記燃焼状態指標値を実燃焼状態指標値として取得する燃焼状態指標値取得手段と、
    前記実燃焼状態指標値が取得されたとき同取得された実燃焼状態指標値と前記目標燃焼状態指標値との差が小さくなるように前記初期点火時期制御モデルを表す関数を順次修正する学習を行うモデル学習手段と、
    前記取得された実運転状態量を前記モデル学習手段により学習された前記点火時期制御モデルに適用することにより学習後点火時期を算出する学習後点火時期算出手段と、
    前記学習後点火時期と前記初期点火時期算との差が所定閾値より小さいときには前記学習後点火時期を最終点火時期として決定し、同差が同所定閾値より大きいときには前記初期点火時期に基いて定められる制限点火時期を最終点火時期として決定し、同決定した最終点火時期にて点火を実行する点火時期制御手段と、
    を備えた点火時期制御装置。
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