以下、本発明に係る無線通信システムの各種実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1〜図6を用いて、無線通信システムの第1の実施形態について説明する。
本実施形態の無線通信システムは、図1に示すように、有線LAN(Local Area Network)(A)(B)に接続されている複数のアクセスポイント20及び有線通信端末3と、アクセスポイント20を介して他の端末と通信する複数の無端端末20と、を備えている。有線LAN(A)(B)は、ルータ2A,2Bを介してIP(Internet Protocol)網1に接続されている。各無線端末10は、IEEE802.11に準拠して動作する無線LAN通信機能を有する情報通信端末で、例えば、無線IP電話機等の電話端末、又はパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の情報端末に接続される無線LANカードや情報端末に搭載される無線LANボード等である。
各アクセスポイント20は、IEEE802.11に準拠して動作する無線LAN通信機能と、IEEE802.3に準拠して動作するイーサネット(登録商標)等の有線LAN通信機能とを有し、無端端末20との間で無線LAN通信を行い、LAN(A)(B)に接続されている他の装置(有線通信端末3及びルータ2A,2B等)と有線LAN通信を行う。
ルータ2A,2Bは、有線LANとIP網1との間に介在し、有線LAN上に流れるIPパケット及びIP網1から得たIPパケットを監視し、このIPパケットのIPヘッダ情報(宛先IPアドレス情報やポート番号情報など)に基づきIPパケットをルーティングする通信装置であり、有線LAN上に流れるIPパケットがIP網1側にルーティングすべきものであると判断した場合は、これをIP網1側に送出し、また、IP網1から得たIPパケットが有線LAN側にルーティングすべきものであると判断した場合には、これを有線LAN側に送出する。
有線通信端末3は、有線用LANボードを有するパーソナルコンピュータであり、LANに接続されてIPパケットの送受信を行い、IP通信(LAN通信)を行う。
以上の構成により、無線端末10は、アクセスポイント20を介して、LAN側の他の無線通信端末や有線通信端末3とIP通信を行い、また、ルータ2、IP網1を経由して、このIP網1に接続されている各種通信端末とIP通信を行うことが可能である。
アクセスポイント20は、図2に示すように、アンテナ21と、RF(Radio Frequency)部22と、ベースバンド部23と、MAC(Media Access Controller)層処理部24と、LANインタフェース部25と、プログラムメモリ部26aと、ワークメモリ部26bと、通信制御処理部27とを備えている。RF部22とベースバンド部23とMAC層処理部24とLANインタフェース部25とは、バスBを介して通信制御処理部37に接続される。
通信制御処理部27は、プログラムメモリ26aに記憶されている制御プログラムや設定データに従い、ワークメモリ26bを使用しつつ、RF部22とベースバンド部23とMAC層処理部24とLANインタフェース部25とを制御する。
LANインタフェース部25は、有線LANから受信したIPパケットのIPアドレスや、TCP(Transmission Control Protocol)ポート番号又はUDP(User Datagram Protocol)ポート番号を含むIPヘッダを参照して、予め設定された規則に基づいて当該IPパケットをルーティングする。
MAC処理部24は、イーサネット(登録商標)規格であるIEEE802.3のデータリンク層と無線LAN規格であるIEEE802.11のデータリンク層との間で、MAC層の変換処理を行う。ベースバンド部25は、IEEE802.11用にMAC処理されたIPパケット(ディジタル)、つまりMACフレームをアナログのベースバンド信号に変調する一方で、アナログのベースバンド信号を復調して元のMACフレーム(ディジタル)に復元する。RF部22は、ベースバンド部23から受け取ったアナログのベースバンド信号をIEEE802.11に従って、例えば、DS−SS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式やFH−SS方式(Frequency Hopping Spread Spectrum)により規定される搬送無線周波数に載せてアンテナ装置21から無線信号として送出する。さらに、アンテナ21で受信した無線信号から搬送無線周波数を除去して元のアナログのベースバンド信号に抽出する。
次に、アクセスポイント20の基本的な動作について説明する。
まず、アクセスポイント20がIPパケットを有線LANからIPパケットを受信し、これをアンテナ21から無線信号として送信する場合の動作について説明する。
MAC層処理部24は、有線LANからLANインタフェース部25経由で受信したMAC層を、イーサネット(登録商標)用のIEEE 802.3の仕様から無線用のIEEE 802.11の仕様に変換処理し、ベースバンド部23に渡す。ベースバンド部23は、MAC送処理部24から受け取ったIPパケットを、IEEE 802.11に従ってアナログのベースバンド信号に変換し、これをRF部22に渡す。RF部22は、ベースバンド部23からのベースバンド信号を無線搬送波に載せて、アンテナ21から無線信号として送信する。
アクセスポイント20が無線端末10から無線信号を受信する場合の動作を説明する。
アンテナ21が、無線端末10から無線信号を受信すると、RF部22は、この無線信号と受信側で生成した無線搬送波との位相差を検出し、元のアナログのベースバンド信号を復調し、このベースバンド信号をベースバンド部23に渡す。ベースバンド部23は、ベースバンド信号をデジタル化して元のIPパケットを含むMACフレームに復元する。MAC層処理部24は、MAC層を、無線用のIEEE 802.11の仕様からイーサネット(登録商標)用のIEEE 802.3の仕様に変換処理する。LANインタフェース部25は、MAC層処理部24から受け取ったIPパケットを、有線LANへ転送する。
次に、本実施形態の無線端末10の構成について、図3を用いて説明する。
無線端末10は、アンテナ11とRF部12とベースバンド部13とMAC層処理部14と上位層処理部15と入出力インタフェース部16と入出力部17と、プログラムメモリ部18aとワークメモリ部18bと通信制御処理部19とを備えている。RF部12とベースバンド部13とMAC層処理部14と上位層処理部15と入出力インタフェース部16とは、バスBを経由して通信制御処理部19に接続されている。
通信制御処理部19は、プログラムメモリ部18a内の制御プログラムや設定データに従い、ワークメモリ部18bを使用しつつ、RF部12とベースバンド部13とMAC層処理部14と上位層処理部15と入出力インタフェース部16とを制御する。
入出力部17は、例えば、パソコンやPDA等の情報処理装置である。したがって、この無線端末10の入出力部17を除く構成要素は、例えば、無線LANカードや無線LANボード等で構成される。また、入出力部17は、IP電話機等の電話端末等で構成されることもある。これら情報端末又は電話端末から送られてきたデータや音声符号化信号を入出力インタフェース部16に渡し、又は入出力インタフェース部16からのデータや音声符号化信号を情報端末又は電話端末に渡す。
入出力インタフェース部16は、入出力部17に対するインタフェースである。
上位層処理部15は、ネットワーク層/トランスポート層に係るIPパケット処理を行い、ネットワーク層/トランスポート層間を伝送させるものであり、IPアドレスやTCPポート番号又はUDPポート番号を含むIPヘッダの付与・削除の処理を行う。
MAC層処理部14は、データリンク層に係るIPパケット処理を行うもので、IEEE 802.11に従って、データや音声バケットデータが格納されたIPパケットを組立てし又は分解し、データリンク層間を伝送させるためにMACアドレスの付与・削除の処理を行う。
ベースバンド部13は、IPパケットを変調してベースバンド信号を生成し、又は、ベースバンド信号を復調して元のIPパケットに復元する。
RF部12は、ベースバンド部13から受け取ったベースバンド信号をIEEE 802.11に従って搬送無線周波数に載せ、アンテナ11から無線信号として送信させる。逆に、アンテナ11で受信した無線信号から搬送無線周波数を除去してベースバンド信号に復元し、ベースバンド部13に渡す。
次に、無線端末10の基本的な動作について説明する。
まず、無端端末10の入出力部17からデータ信号又は音声符号化信号を受け取り、これをアンテナ11から送信する場合の動作について説明する。
無線端末10の入出力インタフェース部16は、入出力部17からのデータ信号や音声符号化信号を上位層処理部15に渡す。上位層処理部15は、IPアドレス付与、TCP/UDPポート番号の付与等のIPヘッダ処理を施してIPパケットを生成した後、このIPパケットをMAC層処理部14に渡す。
MAC層処理部14は、上位層処理部15から転送されたIPパケットにIEEE 802.11の処理手順に従ったMACアドレス付与等のMAC層処理を施し、ベースバンド部13に渡す。ベースバンド部13は、MAC層処理が施されたIPパケットをIEEE 802.11に従って変調してベースバンド信号を生成し、RF部12に渡す。RF部12は、ベースバンド部13からのベースバンド信号をIEEE 802.11にしたがって搬送無線周波数に載せ、アンテナ11から無線信号として送信する。
次に、アクセスポイント20からの無線信号を受信した場合の無線端末10の動作について説明する。
アンテナ11が受信した無線信号は、RF部12に渡される。このRF部12は、無線信号から搬送無線周波数を除去して元のベースバンド信号に復元し、ベースバンド部13に渡す。ベースバンド部13は、受け取ったベースバンド信号を復調して元のIPパケットに復元し、MAC層処理部14に渡す。
MAC層処理部14は、受け取ったIPパケットからIEEE 802.11に従ってMACアドレスを削除し、上位層処理部15に渡す。上位層処理部15は、MAC層処理部14からのIPパケットの設定データに基づきTCP・UDPヘッダやIPヘッダの削除し、得られたデータ信号や音声符号化信号を入出力インタフェース部16経由で入出力部17へ送る。
次に、図4に示すタイミングチャートに従って、第1の実施形態の無線通信システムの動作について説明する。なお、本実施形態及び後述の他の実施形態においても、説明の簡単のため、1台のアクセスポイント20と2台の無線端末10A,10Bとが1つの空間を用いて無線通信を行う場合を例とする。また、この実施形態では、アクセスポイント20は、図19を用いて説明したDCF方法を採用する従来のアクセスポイントと同様の動作するのに対して、無線端末10A,10Bは、特有の動作をする。
まず、アクセスポイント20が無線端末10A宛にData1信号を送信したとする(A10)。ここで、Data1信号は単一のIPパケット、又は長いデータを複数のIPパケットに分割、すなわちフラグメントされた最後のIPパケットとする。IEEE 802.11では、このような場合に、これ以降にはフラグメント化されたIPパケットは無いことを示すために、モアフラグメントフラグをリセットする。なお、このモアフラグメントフラグは、図19に示すように、MACフレーム中のMACヘッダに含まれている。MACフレームは、フレームの種別などが格納されるフレーム制御フィールド、デュレーション時間が格納されるデュレーション時間フィールド、宛先フィールド、送信元フィールド(以上、MACヘッダ)、データ本体、誤り検出用のパリティービットフィールドを有している。モアフラグメントフラグは、MACヘッダ中のフレーム制御フィールド内に配置されている。
無線端末10Aは、アクセスポイント20からのData1信号を正常に受信し(TA10)、且つモアフラグメントフラグがリセットされている場合は、SIFSの期間を待ち(TA11)、モアフラグメントフラグをリセットしたACK信号をアクセスポイント20宛に返送する(TA12)。無線端末10Aは、この際、送信すべきデータを有している場合、ACK信号を送信した直後からSIFS期間を待ってから(TA13)、アクセスポイント20宛てにData2信号を送信する(TA14)。
一方、アクセスポイント20及び他の無線端末10Bは、無線端末10AからのACK信号を受信すると(A11,TB10)、IEEE 802.11に従って(DIFS+乱数)期間待つ(A12,TB11)。このように、ACK信号を送信した無線端末10Aは、その直後からSIFS(<DIFS)期間しか待たないのに対して、他の装置20,10Bは、ACK信号の受信から(DIFS+乱数)期間待つので、無線端末10Aは、他の装置20,10Bに優先して送信権を得る。このため、無線端末10Aは、SIFS期間後に(TA13)、アクセスポイント20宛てにData2信号を送信しても(TA14)、アクセスポイント20は、混信することなく、このData2信号を受信することができる(A13)。
アクセスポイント20は、無線端末10AからのData2信号を正常に受信すると(A13)、SIFS期間待った後(A14)、正常にData2信号を受信した旨を知らせるために、ACK信号を送信する(A15)。このACK信号が送信されると、各装置、つまりアクセスポイント20及び無線端末10A,10Bは、それぞれ、(DIFS+乱数)期間待ち(A16,TA15,TB13)、その期間中に無線の受信有無を検出する。
ここで、アクセスポイント20が最初に(DIFS+乱数)期間待ちを終了し、その期間中に無線を受信せず、送信権を取得して、例えば、無線端末10B宛にData3信号を送信したとする(A17)。
無線端末10Bは、Data3信号を正常に受信すると(TB14)、SIFS期間待ってから(TB15)、アクセスポイント20へACK信号を送信する(TB16)。ここで、Data3信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされていれば、応答するACK信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグもリセットする。モアフラグメントフラグがリセットされ、送信すべきデータがある場合、無線端末10Bは、ACK信号を送信した直後からSIFS期間を待ってから(TB17)、アクセスポイント20宛てにData4信号を送信する(TB18)。
一方、アクセスポイント20及び他の無線端末10Aは、無線端末10BからのACK信号を受信すると(A18,TA16)、IEEE 802.11に従って(DIFS+乱数)期間待つ(A19,TA17)。このように、ACK信号を送信した無線端末10Bは、その直後からSIFS期間しか待たないのに対して、他の装置20,10Aは、ACK信号の受信から(DIFS+乱数)期間待つので、無線端末10Bは、他の装置20,10Aに優先して送信権を得る。このため、無線端末10Bは、SIFS期間後に(TB17)、アクセスポイント20宛てにData4信号を送信しても(TB18)、アクセスポイント20は、混信することなく、このData4信号を受信することができる(A20)。
次に、第1の実施形態のアクセスポイント20の通信制御処理部27の動作について、図5に示すフローチャートに従って説明する。なお、本実施形態のアクセスポイント20の動作は、前述したように、図19を用いて説明したDCF方法を採用する従来のアクセスポイント及び無線端末と同様の動作である。
アクセスポイント20の通信制御処理部27は、送信タイマに(DIFS+乱数)をセットし、送信タイマを起動する(S10)。続いて、無線信号を受信したか否かを判断する(S11)。無線信号を受信した場合にはステップ19に進み、無線信号を受信しなければステップ12に進む。ステップ12では、送信タイマが終了しているかを判断し、終了していない場合はステップ11に戻り、終了している場合はステップ13に進む。ステップ13では、送信すべきデータが有るか否かを判断し、送信データがない場合にはステップ11に戻り、送信データがある場合には、ステップ14に進む。
ステップ14では、送信すべきデータをアンテナ21から送信させる。この送信すべきデータを作成する過程で、通信制御処理部27は、モアフラグメントフラグをセット又はリセットする。データを送信すると、無線信号の受信を待ち(S15)、無線信号を受信したら、この無線信号が自身宛のACK信号であるか否かを判断する(S16)。
自身宛のACK信号であると判断すると、ステップ14のデータ送信が成功したことを確認し(S17)、再び、ステップ10へ戻る。また、自身宛のACK信号ではないと判断すると、ステップ14のデータ送信が不成功であったことを確認し(S18)、ステップ10へ戻る。なお、データ送信が不成功であったことを確認した場合には、上位プロトコルに従い、不成功に終わったデータを再送することこともある。
ステップ10で、送信タイマに(DIFS+乱数)をセットした後、ステップ11,12,13を繰り返し実行する過程で、無線信号を受信すると(S11)、前述したように、ステップ19に進む。
ステップ19では、無線信号の受信完了を待ち、その後、この無線信号が自身宛であるか否かを判断する(S20)。ここで、自身宛の無線信号ではないと判断するとステップ10に戻り、自信宛の無線信号であると判断すると、送信タイマにSIFSをセットし送信タイマを起動する(S21)。そして、送信タイマの終了を待ち(S22)、終了したら、ACK信号をアンテナ21から送信させて(S23)、ステップ10へ戻る。なお、ステップ11,19で受信したデータのMACヘッダのモアフラグメントフラグがセットされていれば、ステップ23で送信させるACK信号にもモアフラグメントフラグをセットし、リセットされていればACK信号もリセットする。
次に、第1の実施形態の無線端末10の通信制御処理部19の動作について、図6に示すフローチャートに従って説明する。なお、本実施形態の無線端末10の通信制御処理部19の動作で、前述のアクセスポイント20の通信制御処理部27の動作と同じ動作、つまり、従来の無線端末の動作と同じ動作の箇所には、同一の符号を付し、重複した内容に関しては、簡単な説明のみに留める。また、同図6を含め、以下の実施形態の動作を示すフローチャートでは、図5中の動作ステップと異なる動作ステップに関して、太い枠で描いている。
無線端末10の通信制御処理部19は、前述のアクセスポイント20の通信制御処理部27の動作及び従来の無線端末の動作と同様に、送信タイマに(DIFS+乱数)のセット(S10)、無線信号の受信の有無判断(S11)、送信タイマの終了判断(S12)、送信データの有無判断(S13)、データ送信(S14)、無線信号の受信待ち(S15)、ACK信号であるか否かの判断(S16)、ACK信号である場合には送信成功の確認(S17)、ACK信号でない場合には送信不成功の確認(S18)の処理を行う。
無線端末10の通信制御処理部19は、ステップ11で無線信号を受信したと判断すると、無線信号の受信完了待ち(S19)、自身宛の信号であるか否かの判断(S20)、送信タイマにSIFSのセット(S21)、送信タイマの終了判断(S22)、ACK信号の送信(S23)の処理を行う。
その後、本実施形態の無線端末10の特徴的な動作として、ステップ23で送信したACK信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされ、且つ送信すべきデータがあるか否かを判断する(S24)。モアフラグメントフラグがリセットされていない、又は送信すべきデータがない場合には、従来の無線端末と同様に、ステップ10に戻る。また、モアフラグメントフラグがリセットされ、且つ送信すべきデータがある場合には、送信タイマにSIFSをセットし、送信タイマを起動してから(S25)、ステップ11に戻る。この際、他の無線端末やアクセスポイント20は、図4を用いて説明したように、ステップ23(TA12,TB16)で送信したACK信号を受信したときから、(DIFS+乱数)期間待ちの状態であるため(A12,TB11,A19,TA17)、他の装置から無線信号を受信することはなく、ステップ11,12,13を経て、データをアンテナ11から送信させることになる(S14,TA14,TB18)。
以上のように、本実施形態では、無線端末10がアクセスポイント20からデータ信号を受信すると、ACK信号を送信した後、SIFS期間だけ待って、データ信号を送信しているので、伝送効率を高めることができる。しかも、無線端末10がACK信号を送信すると、他の装置は、IEEE 802.11に従って(DIFS+乱数)期間待つので、他の装置と混信することがない。このため、アクセスポイント20に接続されている無線端末として、本実施形態の無線端末10の他に、従来の無線端末も混在している場合でも、混信することはない。
このように、本実施形態において、混信を避けつつ、伝送効率を高めることができるのは、無線LANを構成する複数の装置のうち、アクセスポイント20から自身宛のデータ信号を受け取り、アクセスポイント20へACK信号を送信する無線端末10が1台のみであることを利用し、この一台の無線端末10が他の装置の待ち時間よりも早めに待ち時間を終了し、データ信号を送信しているからである。
さらに、本実施形態では、汎用のアクセスポイント20を利用できるので、設備コストを抑えることができる。
なお、本実施形態では、無線端末10がACK信号を送信した後にデータ信号を送信する場合、ACK信号を送信してからSIFS期間待つが、この待ち期間は、DIFS期間よりも小さい期間であれば、例えば、PIFS(PCF(Point Coordination Function)Inter Frame Space)、4通りAIFS(Arbitration Inter Frame Space)のうちの最も期間の短いAIFS[1]等、いかような期間であってもよい。
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る第2の実施形態としての無線通信システムについて説明する。
本実施形態の無線通信システムは、図1を用いて説明した第1の実施形態の無線通信システムと基本的に同様である。また、無線通信システムを構成するアクセスポイント及び無線端末に関しても、図2,3を用いて説明した第1の実施形態のアクセスポイント及び無線端末と基本的に同様である。但し、本実施形態のアクセスポイント20aは、その通信制御処理部27a(図2)の動作が、第1の実施形態のアクセスポイント20の通信制御処理部27の動作と若干異なっている。また、本実施形態の無線端末10aも、その通信制御処理部19a(図3)の動作が、第1の実施形態の無線端末10の通信制御処理部19の動作と若干異なっている。したがって、以下では、本実施形態のアクセスポイント20a及び無線端末10aの動作についてのみ説明する。なお、以下の実施形態においても、無線システム構成、アクセスポイント及び無線端末の構成は、いずれも第1の実施形態と同様であり、各実施形態におけるアクセスポイント及び無線端末のそれぞれの通信制御処理部の動作のみが異なるので、これらの動作についてのみ説明する。
図7は、第2の実施形態における無線通信システムの動作を示すタイミングチャートである。
まず、アクセスポイント20aが無線端末10aA宛にData1信号を送信したとする(A20)。ここで、Data1信号は単一のIPパケット、又はフラグメントされた最後のIPパケットとする。IEEE 802.11では、このような場合に、MACヘッダに含まれているモアフラグメントフラグをリセットする。
無線端末10aAは、アクセスポイント20aからのData1信号を正常に受信し(TA20)、且つモアフラグメントフラグがリセットされている場合は、SIFSの期間を待ち(TA21)、モアフラグメントフラグをリセットしたACK信号をアクセスポイント20a宛に返送する(TA22)。無線端末10aAは、この際、送信すべきデータを有している場合、ACK信号を送信した直後からDIFS期間を待ち(TA23)、且つ他の装置からの無線信号を受信しない場合に、アクセスポイント20a宛てにData2信号を送信する(TA24)。
一方、他の無線端末10aBは、無線端末10aAからのACK信号を受信すると(TB20)、(DIFS+乱数+α)期間待つ(TB21)。このため、アクセスポイント20aに接続されている複数の無線端末の中では、無線端末10aAが必ず優先されて無線信号を送信できる。なお、他の無線端末10aBの待ち期間として、(DIFS+乱数)にα(α>0)を加えた期間にしているのは、乱数が「0」の場合であっても、無線端末10aAの待ち期間DIFSと一致しないようにするためである。また、本実施形態において、アクセスポイント20aの待ち期間は、常時、SIFS期間である。このため、アクセスポイント20aは、無線端末10aAからのACK信号を受信すると(A21)、SIFS期間待ち(A22)、送信すべきデータがある場合、いずれの無線端末10aA,10aBよりも、先にこのデータを送信することになるので、このデータ送信は、いずれの無線端末10aA,10aBからのデータ送信に対しても混信しない。
ここでは、アクセスポイント20aは、送信するデータが無く、無線端末10aAが送信権を得て、前述したように、アクセスポイント20a宛てにData2信号を送信したとする(TA24)。この場合、アクセスポイント20aも、無線端末10aAも、送信すべきデータが無く、無端端末10aBが(DIFS+乱数+α)期間中に無線信号を受信しなければ、この無端端末10aBが送信権を得る。
アクセスポイント20aは、無線端末10aAからのData2信号を正常に受信すると(A23)、SIFS期間待った後(A24)、正常にData2信号を受信した旨を知らせるために、ACK信号を送信する(A25)。このACK信号が送信されると、各無線端末10aA,10aBは、それぞれ、(DIFS+乱数)期間待ち(TA25,TB23)、その期間中に無線の受信有無を検出する。すなわち、本実施形態の無線端末10aA,10aBは、他の無線端末からのACK信号を受信すると、待ち期間を(DIFS+乱数+α)期間とし、アクセスポイント20aからのACK信号を受信すると、IEEE 802.11に従って、待ち期間を(DIFS+乱数)期間とする。
アクセスポイント20aの待ち期間SIFSは、無線端末10aA,10aBの待ち期間(DIFS+乱数)よりも短いので、最初に終了する。ここで、アクセスポイント20aは、送信すべきデータがあるとして、例えば、無線端末10aB宛にData3信号を送信したとする(A27)。
無線端末10aBは、Data3信号を正常に受信すると(TB24)、SIFS期間待ってから(TB25)、アクセスポイント20aへACK信号を送信する(TB26)。ここで、Data3信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされていれば、応答するACK信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグもリセットする。モアフラグメントフラグがリセットされ、送信すべきデータがある場合、無線端末10aBは、ACK信号を送信した直後からDIFS期間を待ち(TB27)、このDIFS期間中に無線信号を受信しなければ、アクセスポイント20a宛てにデータ信号を送信することになる。
一方、他の無線端末10aAは、無線端末10aBからのACK信号を受信すると(TA26)、(DIFS+乱数+α)期間待つ(TB27)。また、アクセスポイント20aは、無線端末10aBからのACK信号を受信すると(A28)、SIFS期間待ち(A29)、送信すべきデータがある場合、Data4を無線端末10aB宛に送信する(A29a)。この場合、前述しように、いずれの無線端末10aA,10aBよりも、アクセスポイント20aの待ち期間が短いので、このデータ送信は、いずれの無線端末10aA,10aBからのデータ送信に対しても混信しない。
次に、図8に示すフローチャートに従って、第2の本実施形態のアクセスポイント20aの通信制御処理部27aの動作について説明する。
本実施形態のアクセスポイント20aは、前述したように、待ち期間は、常時、SIFS期間である。このため、図5を用いて説明した従来のDCF方法を採用するアクセスポイントの動作ステップのうちで、送信タイマに(DIFS+乱数)をセットするステップ10が、送信タイマにSIFSをセットするステップ10aに変わることになる。これ以外の動作ステップは、全て、従来のDCF方法を採用するアクセスポイントの動作ステップと同じである。
次に、図9に示すフローチャートに従って、第2の実施形態の無線端末10aの通信制御処理部19aの動作について説明する。
本実施形態の無線端末10aは、前述したように、受信した信号に応じて待ち期間が変わる。このため、図5に示すDCF方法を採用する従来の無線端末の動作ステップのうちで、送信タイマに(DIFS+乱数)をセットするステップ10が本実施形態では異なる。
本実施形態では、送信タイマをセットする際、通信制御処理部19aは、まず、直前の受信信号が他の無線端末からのACK信号であるか、その他の信号であるかを判断する(S9)。直前の受信信号が他の無線端末からのACK信号である場合には、送信タイマに(DIFS+乱数+α)をセットして、この送信タイマを起動し(S10b,TB21,TA27)、直前の受信信号がその他の信号(アクセスポイント20aからのACK信号を含む)である場合には、送信タイマに(DIFS+乱数)をセットして、この送信タイマを起動する(S10c,TA25,TB23)。その後、どちらの場合も(S10b,S10c)、従来のDCF方法を採用する無線端末と同様に、無線信号を受信したか否かの判断を行う(S11)。
また、ステップ23でACK信号をアンテナ11から送信させた後、従来の無線端末と異なり、このACK信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされ、且つ送信すべきデータがあるか否かを判断する(S24)。モアフラグメントフラグがリセットされていない、又は送信すべきデータがない場合には、ステップ9に戻る。また、モアフラグメントフラグがリセットされ、且つ送信すべきデータがある場合には、送信タイマにDIFSをセットし、送信タイマを起動してから(S25a,TA23,TB27)、ステップ11に戻る。この際、他の無線端末は、図7を用いて説明したように、ステップ23(TA22,TB26)で送信したACK信号を受信したときから、(DIFS+乱数+α)期間待ちの状態であるため(TB21,TA27)、他の無線端末から無線信号を受信することはなく、ステップ11,12,13を経て、データをアンテナ11から送信させることになる(S14,TA24)。但し、ステップ11でアクセスポイント20aからの無線信号を受信した場合には、この限りではない。
以上のように、本実施形態では、無線端末10aがアクセスポイント20aからデータ信号を受信すると、ACK信号を送信した後、DIFS期間だけ待って、データ信号を送信しているので、伝送効率を高めることができる。さらに、アクセスポイント20aの待ち期間は、常にSIFS期間であるため、無線通信システムとしての全体の伝送効率は、第1の実施形態よりも向上させることができる。
しかしながら、本実施形態の場合、アクセスポイント20aが複数の無線端末宛に、連続的に無線信号を送信し続けると、ACK送信直後の無線端末に優先権を与えるという本実施形態の特徴が適用される頻度が少なくなり伝送効率を向上しにくい。アクセスポイント20aが連続的に複数の無線端末宛に送信するかは、個々のアクセスポイントの作りに依存する。アクセスポイントの処理能力の制約により、アクセスポイントが送信した直後に、さらに連続して別の無線端末宛に送信するのは困難な場合もある。本実施形態は、アクセスポイントに、このような処理能力的な制約がある場合に特に適する。しかし、繰り返すことになるが、アクセスポイントの処理能力が高ければ、アクセスポイントが送信すべきデータがある限り、データを連続して送信して送信制御が有効に機能しない可能性もある。
また、汎用の無線端末と混在した場合、汎用無線端末の待ち時間は(DIFS+乱数)であるから、乱数がたまたま0の場合には同時に送信を開始することにより混信が発生する可能性がある。
そこで、優先される無線端末の待ち期間をDIFSの代わりに、SIFSよりも長く、DIFSよりも短い値に設定できれば、他の無線端末の待ち時間も従来の(DIFS+乱数)とすることが可能であり、待ち時間が(DIFS+乱数)である汎用の無線端末が混在していても優先端末と混信する場合が無くなる。SIFSよりも長く、DIFSよりも短い時間としては、例えば、IEEE 802.11において、アクセスポイントにより統一的な送信制御を実現するPCF方法で規定される待ち期間、すなわちPIFSを優先する無線端末の待ち時間として採用してもよい。この考えに従うのが、以下で説明する第3の実施形態である。
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態における無線通信システムの動作を示すタイムチャートである。なお、本実施形態のアクセスポイントは、第2の実施形態のアクセスポイント20aと同一である。
まず、アクセスポイント20aが無線端末10bA宛にData1信号を送信したとする(A20)。ここで、Data1信号は単一のIPパケット、又はフラグメントされた最後のIPパケットとする。
無線端末10bAは、アクセスポイント20aからのData1信号を正常に受信し(TA30)、且つモアフラグメントフラグがリセットされている場合は、SIFSの期間を待ち(TA31)、モアフラグメントフラグをリセットしたACK信号をアクセスポイント20a宛に返送する(TA32)。無線端末10bAは、この際、送信すべきデータを有している場合、ACK信号を送信した直後からPIFS期間を待ち(TA33)、且つ他の装置からの無線信号を受信しない場合に、アクセスポイント20a宛てにData2信号を送信する(TA34)。
一方、他の無線端末10bBは、無線端末10bAからのACK信号を受信すると(TB30)、(DIFS+乱数)期間待つ(TB31)。このため、複数の本実施形態の無線端末10b、さらに、従来の無線端末がアクセスポイント20aに接続されている場合でも、いずれのいずれの無線端末も、PIFS期間より長い(DIFS+乱数)期間待つので、無線端末10bAが必ず優先されて無線信号を送信できる。また、本実施形態において、アクセスポイント20aの待ち期間は、第2の実施形態と同様、常時、SIFS期間である。このため、アクセスポイント20aは、無線端末10bAからのACK信号を受信すると(A21)、SIFS期間待ち(A22)、送信すべきデータがある場合、いずれの無線端末10bA,10bBよりも、先にこのデータを送信することになるので、このデータ送信は、いずれの無線端末10bA,10bBからのデータ送信に対しても混信しない。
ここでは、アクセスポイント20aは、送信するデータが無く、無線端末10bAが送信権を得て、前述したように、アクセスポイント20a宛てにData2信号を送信したとする(TA34)。この場合、アクセスポイント20aも、無線端末10bAも、送信すべきデータが無く、無端端末10bBが(DIFS+乱数)期間中に無線信号を受信しなければ、この無端端末10bBが送信権を得る。
アクセスポイント20aは、無線端末10bAからのData2信号を正常に受信すると(A23)、SIFS期間待った後(A24)、正常にData2信号を受信した旨を知らせるために、ACK信号を送信する(A25)。このACK信号が送信されると、各無線端末10bA,10bBは、それぞれ、(DIFS+乱数)期間待ち(TA35,TB33)、その期間中に無線の受信有無を検出する。
アクセスポイント20aの待ち期間SIFSは、無線端末10bA,10bBの待ち期間(DIFS+乱数)よりも短いので、最初に終了する。ここで、アクセスポイント20aは、送信すべきデータがあるとして、例えば、無線端末10bB宛にData3信号を送信したとする(A27)。
無線端末10bBは、Data3信号を正常に受信すると(TB34)、SIFS期間待ってから(TB35)、アクセスポイント20aへACK信号を送信する(TB36)。ここで、Data3信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされていれば、応答するACK信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグもリセットする。モアフラグメントフラグがリセットされ、送信すべきデータがある場合、無線端末10aBは、ACK信号を送信した直後からPIFS期間を待ち(TB37)、このPIFS期間中に無線信号を受信しなければ、アクセスポイント20a宛てData4信号を送信する(TB38)。
一方、他の無線端末10bAは、無線端末10bBからのACK信号を受信すると(TA36)、(DIFS+乱数)期間待つ(TA37)。また、アクセスポイント20aは、無線端末10bBからのACK信号を受信すると(A28)、SIFS期間待ち(A29)、送信すべきデータがある場合、これを送信することになる。この場合、前述しように、いずれの無線端末10aA,10aBよりも、アクセスポイント20aの待ち期間が短いので、このデータ送信は、いずれの無線端末10aA,10aBからのデータ送信に対しても混信しない。仮に、アクセスポイント20aが送信すべきデータが無いとすると、無線端末10bA,10bBのうちで最も待ち期間の短い無線端末10aBが、送信権を得て、前述したように、アクセスポイント20a宛てData4信号を送信する(TB38)。
次に、第3の実施形態のアクセスポイント20aの通信制御処理部27aの動作について説明する。本実施形態のアクセスポイント20aは、前述したように、第2の実施形態のアクセスポイント20aと同一なので、その通信制御処理部27aの動作は、図8に示す第2の実施形態のアクセスポイント20aの通信制御処理部27aと同じである。
次に、第3の実施形態の無線端末10bの通信制御処理部19bの動作について、図11に示すフローチャートに従って説明する。
本実施形態の無線端末10bの通信制御処理部19bの動作は、基本的に従来の無線端末と同様であるが、ステップ23でACK信号をアンテナ11から送信させた後、従来の無線端末と異なり、このACK信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされ、且つ送信すべきデータがあるか否かを判断する(S24)。モアフラグメントフラグがリセットされていない、又は送信すべきデータがない場合には、従来の無線端末と同様に、ステップ10に戻る。また、モアフラグメントフラグがリセットされ、且つ送信すべきデータがある場合には、送信タイマにPIFSをセットし、送信タイマを起動してから(S25b,TA33,TB37)、ステップ11に戻る。この際、他の無線端末は、図10を用いて説明したように、ステップ23(TA32,TB36)で送信したACK信号を受信したときから、(DIFS+乱数)期間待ちの状態であるため(TB31,TA37)、他の無線端末(従来の無線端末が含む場合も同様)から無線信号を受信することはなく、当該無線端末は、ステップ11,12,13を経て、データをアンテナ11から送信させることになる(S14,TA31,TB38)。但し、ステップ11でアクセスポイント20aからの無線信号を受信した場合には、この限りではない。
以上のように、本実施形態では、本実施形態の無線端末10bの他に、従来の汎用無線端末が混在していても、第2の実施形態のように混信することはない。さらに、本実施形態では、無線端末10bがACK信号を送信してから、データ信号を送信するまでの待ち期間が第2の実施形態DIFSより短いPIFSであるため、第2の実施形態よりも伝送効率を高めることができる。
[第4の実施形態]
次に、本発明に係る第4の実施形態としての無線通信システムについて説明する。
本実施形態の無線通信システムのアクセスポイント20cは、ACK信号の受信後の待ち期間を、第2及び第3の実施形態におけるアクセスポイント20aのSIFSより長く、DIFSよりも短い、PIFSとしたものである。
この場合、無線端末が、このアクセスポイント20cと混信しないための条件として、
優先させる無線端末の待ち期間をSIFS、
その他の無線端末の待ち期間を(DIFS+乱数)、
にするとよい。
この場合には、アクセスポイント20cの待ち期間PIFSよりも、優先させる無線端末の待ち期間SIFSが短いので、アクセスポイント20cが連続的に送信することも防止できる。さらに、その他の無線端末の待ち期間(DIFS+乱数)が、従来の汎用無線端末の待ち時間と等しいので、優先させる無線端末やアクセスポイント20cと、従来の汎用無線端末とが混信することも無い。
そこで、本実施形態の無線端末は、以上のことから、ACK信号を送信したときの待ち期間をSIFSとし、他からのACK信号を受信したときの待ち期間を(DIFS+乱数)とする。すなわち、本実施形態の無線端末は、第1の実施形態の無線端末10と同一である。
図12は、第4の実施形態としての無線通信システムの動作を示すタイミングチャートである。
まず、アクセスポイント20cが無線端末10A宛にData1信号を送信したとする(A30)。ここで、Data1信号は単一のIPパケット、又はフラグメントされた最後のIPパケットとする。
無線端末10Aは、アクセスポイント20cからのData1信号を正常に受信し(TA10)、且つモアフラグメントフラグがリセットされている場合は、SIFSの期間を待ち(TA11)、モアフラグメントフラグをリセットしたACK信号をアクセスポイント20c宛に返送する(TA12)。無線端末10Aは、この際、送信すべきデータを有している場合、ACK信号を送信した直後からSIFS期間を待ち(TA13)、且つ他の装置からの無線信号を受信しない場合に、アクセスポイント20a宛てにData2信号を送信する(TA14)。
一方、他の無線端末10Bは、無線端末10AからのACK信号を受信すると(TB10)、IEEE 802.11に従って、(DIFS+乱数)期間待つ(TB11)。また、アクセスポイント20cは、無線端末10AからのACK信号を受信すると(A31)、PIFS期間待つ(A32)。このため、複数の装置の中で、無線端末10bAが必ず優先されて無線信号を送信できる。
アクセスポイント20cは、無線端末10AからのData2信号を正常に受信すると(A33)、SIFS期間待った後(A34)、正常にData2信号を受信した旨を知らせるために、ACK信号を送信し(A35)、PIFS期間待つ(A36)。このACK信号が送信されると、各無線端末10A,10Bは、それぞれ、(DIFS+乱数)期間待ち(TA15,TB13)、その期間中に無線の受信有無を検出する。
アクセスポイント20cの待ち期間PIFSは、無線端末10A,10Bの待ち期間(DIFS+乱数)よりも短いので、最初に終了する。ここで、アクセスポイント20cは、送信すべきデータがあるとして、例えば、無線端末10B宛にData3信号を送信したとする(A37)。
無線端末10Bは、Data3信号を正常に受信すると(TB14)、SIFS期間待ってから(TB15)、アクセスポイント20cへACK信号を送信する(TB16)。ここで、Data3信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされていれば、応答するACK信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグもリセットする。モアフラグメントフラグがリセットされ、送信すべきデータがある場合、無線端末10Bは、ACK信号を送信した直後からSIFS期間を待ってから(TB17)、アクセスポイント20c宛てData4信号を送信する(TB18)。
一方、他の無線端末10Aは、無線端末10BからのACK信号を受信すると(TA16)、(DIFS+乱数)期間待つ(TA17)。また、アクセスポイント20cは、無線端末10BからのACK信号を受信すると(A28)、PIFS期間待ち(A39)、この間に無線信号を受信せず且つ送信すべきデータがある場合、これを送信することになる。しかしながら、この場合、待ち期間が最も短い無線端末10Bが送信権を得て、前述したように、アクセスポイント20c宛てData4信号を送信する(TB18)。
次に、第4の実施形態のアクセスポイント20cの通信制御処理部27cの動作について、図13に示すフローチャートに従って説明する。
本実施形態のアクセスポイント20cは、前述したように、ACK信号を受信したとき及びACK信号を送信したときの待ち期間がPIFSである。このため、図5を用いて説明したDCF方法を採用する従来のアクセスポイントの動作ステップのうちで、送信タイマに(DIFS+乱数)をセットするステップ10が、送信タイマにPIFSをセットするステップ10dに変わることになる。これ以外の動作ステップは、全て、従来のDCF方法を採用するアクセスポイントの動作ステップと同じである。
次に、第4の実施形態の無線端末10の通信制御処理部19の動作について説明する。
本実施形態の無線端末10は、第1の実施形態の無線端末10と同一である。従って、本実施形態の無線端末10の通信制御処理部19の動作も、図6に示す第1の実施形態の無線端末10の通信制御処理部19の動作と同一である。
以上のように、本実施形態では、本実施形態の無線端末10の他に、従来の無線端末が混在していても、第1の実施形態と同様に、ACK信号の送信後の待ち期間がSIFSであるため、第2の実施形態のように混信することはない。さらに、本実施形態のアクセスポイント20cは、ACK信号の受信後及びACK信号の送信後の待ち期間がDIFSより短いPIFSであり、さらに、本実施形態の無線端末10は、前述したように、ACK信号の送信後の待ち期間がDIFSやPIFSよりも短いSIFSであるため、第1の実施形態及び第2の実施形態よりも伝送効率を高めることができる。
[第5の実施形態]
次に、本発明に係る無線通信システムの第5の実施形態について説明する。
本実施形態の無線端末10は、第1の実施形態の無線端末と同一である。また、本実施形態のアクセスポイント20dの通信制御処理部27dの動作は、第1の実施形態の無線端末の通信制御処理部19の動作と基本的に同じである。すなわち、本実施形態では、無線通信端末10もアクセスポイント20dも、基本的には、IEEE 802.11に従って動作するものの、ACK信号の送信後の待ち期間をSIFSにしたものである。
図14は、第5の本実施形態における無線通信システムの動作を示すタイミングチャートである。
まず、アクセスポイント20dが無線端末10A宛にData1信号を送信したとする(A40)。ここで、Data1信号は単一のIPパケット、又はフラグメントされた最後のIPパケットとする。
無線端末10Aは、アクセスポイント20cからのData1信号を正常に受信し(TA10)、且つモアフラグメントフラグがリセットされている場合は、SIFSの期間を待ち(TA11)、モアフラグメントフラグをリセットしたACK信号をアクセスポイント20d宛に返送する(TA12)。無線端末10Aは、この際、送信すべきデータを有している場合、ACK信号を送信した直後からSIFS期間を待ち(TA13)、且つ他の装置からの無線信号を受信しない場合に、アクセスポイント20a宛てにData2信号を送信する(TA14)。
一方、他の無線端末10B及びアクセスポイント20dは、無線端末10AからのACK信号を受信すると(TB10,A41)、IEEE 802.11に従って、(DIFS+乱数)期間待つ(TB11,A42)。このため、複数の装置の中で、無線端末10bAが必ず優先されて無線信号を送信できる。
アクセスポイント20dは、無線端末10AからのData2信号を正常に受信すると(A43)、SIFS期間待った後(A44)、正常にData2信号を受信した旨を知らせるために、ACK信号を送信し(A45)、SIFS期間待つ(A46)。このACK信号が送信されると、各無線端末10A,10Bは、IEEE 802.11に従って、それぞれ、(DIFS+乱数)期間待ち(TA15,TB13)、その期間中に無線の受信有無を検出する。
アクセスポイント20dの待ち期間SIFSは、無線端末10A,10Bの待ち期間(DIFS+乱数)よりも短いので、最初に終了する。ここで、アクセスポイント20dは、送信すべきデータがあるとして、例えば、無線端末10B宛にData3信号を送信したとする(A47)。
無線端末10Bは、Data3信号を正常に受信すると(TB14)、SIFS期間待ってから(TB15)、アクセスポイント20dへACK信号を送信する(TB16)。ここで、Data3信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされていれば、応答するACK信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグもリセットする。モアフラグメントフラグがリセットされ、送信すべきデータがある場合、無線端末10Bは、ACK信号を送信した直後からSIFS期間を待ってから(TB17)、アクセスポイント20d宛てData4信号を送信する(TB18)。
一方、他の無線端末10A及びアクセスポイント20dは、無線端末10BからのACK信号を受信すると(TA16,A48)、(DIFS+乱数)期間待つ(TA17,A39)。この場合、無線端末10Bが最も待ち期間が短いので、送信権を得て、アクセスポイント20d宛てData4信号を送信する(TB18)。
前述したように、第5の実施形態の無線端末10の通信制御処理部19及びアクセスポイント20dの通信制御処理部27dの動作は、図6を用いて説明した第1の実施形態の無線端末10の通信制御処理部19の動作と同一である。
以上のように、本実施形態では、本実施形態の無線端末10の他に、従来の無線端末が混在していても、第1の実施形態と同様に、ACK信号の送信後の待ち期間がSIFSであるため、第2の実施形態のように混信することはない。さらに、本実施形態のアクセスポイント20d及び無線端末10は、ACK信号の送信後の待ち期間がDIFSやPIFSより短いSIFSであるため、以上のいずれの実施形態よりも、伝送効率を高めることができる。
[第6の実施形態]
次に、本発明に係る第6の実施形態としての無線通信システムについて説明する。
本実施形態は、以上の第5の実施形態における無線通信システムの伝送効率をさらに向上させるため、ACK信号の伝送時間や、その前後のSIFS期間を削減するものである。
具体的には、本実施形態の無線端末10e及びアクセスポイント20eは、基本的に以下の動作をする。
a)送信すべきデータがあり、かつデータを正常に受信した時には、SIFS期間後に、ACK応答の代わりにデータを送信する。
b)送信すべきデータが無く、データを正常に受信した時には、IEEE 802.11に従って、SIFS期間後にACK応答する。
c)データを正常に受信しない場合は、ACKもデータも送信しない。
図15は、第6の実施形態における無線通信システムの動作を示すタイミングチャートである。
まず、アクセスポイント20eが無線端末10eA宛にData1信号を送信したとする(A50)。ここで、Data1信号は単一のIPパケット、又はフラグメントされた最後のIPパケットとする。IEEE 802.11では、このような場合に、MACヘッダに含まれているモアフラグメントフラグをリセットする。
無線端末10eAは、アクセスポイント20eからのData1信号を正常に受信し(TA50)、且つモアフラグメントフラグがリセットされている場合は、SIFS期間を待つ(TA51)。このとき、アクセスポイント20eは、ACK信号又はデータ信号を待つので、データ信号を送信することは無い。また、他の無線端末10eBは、自端末宛ではないData1信号を受信することで(TB50)、このData1信号の受信完了から、(DIFS+乱数)期間待つ(TB51)。したがって、無線端末10eAは、送信権を取得し、Data1信号の受信完了からSIFS期間後、送信すべきデータがある場合には、ACK信号の代わりにデータ信号をアクセスポイント20e宛に送信し、送信すべきデータが無い場合にはACK信号をアクセスポイント20e宛に送信する。ここでは、無線端末10eAは、Data2信号をアクセスポイント20e宛に送信する(TA52)。
アクセスポイント20eがData2信号を正常に受信すると(A51)、SIFS期間待つ(A52)。無線端末10eAは、Data2信号に対するACK信号又はデータ信号の受信を待つので、データ信号を送信することは無い。また、他の無線端末10eBは、、自端末宛ではないData1信号を受信すると(TB52)、このData2信号の受信完了から、(DIFS+乱数)期間待つ(TB53)。したがって、アクセスポント20eは、送信権を取得し、Data2信号の受信完了からSIFS期間後、送信すべきデータがある場合には、ACK信号の代わりにデータ信号をいずれかの無線端末宛に送信し、送信すべきデータが無い場合にはACK信号を無線端末10eA宛に送信する。ここでは、アクセスポイント20eは、Data3信号を無線端末10eB宛に送信する(A53)。
無線端末10eBは、アクセスポイント20eが送信したData3信号を受信できたものの(TB54)、正常に受信できない場合、ACK信号もデータ信号も送信せず、(DIFS+乱数)期間待つ(TB55)。また、無線端末10eAは、自端末宛ではData3信号を受信すると(TA53)、(DIFS+乱数)期間待つ(TA54)。このため、アクセスポイント20eは、いずれの無線端末10eA,10eBからも、ACK信号又はデータ信号を受信できないで、Data3'信号を無線端末10eB宛に再送する(A54)。
無線端末10eBは、アクセスポイント20eからのData3'信号を正常に受信し(TB56)、且つモアフラグメントフラグがリセットされている場合は、SIFS期間を待つ(TB57)。このとき、アクセスポイント20eは、ACK信号又はデータ信号を待つので、データ信号を送信することは無い。また、他の無線端末10eAは、自端末宛ではないData3'信号を受信することで(TA55)、このData3'信号の受信完了から、(DIFS+乱数)期間待つ(TA56)。したがって、無線端末10eBは、送信権を取得し、Data3'信号の受信完了からSIFS期間後、送信すべきデータがある場合には、ACK信号の代わりにデータ信号をアクセスポイント20e宛に送信し、送信すべきデータが無い場合にはACK信号をアクセスポイント20e宛に送信する。ここでは、無線端末10eBは、Data4信号をアクセスポイント20e宛に送信する(TA58)。
アクセスポイント20eがData2信号を正常に受信すると(A55)、SIFS期間待つ(A56)。このとき、無線端末10eBは、Data4信号に対するACK信号又はデータ信号の受信を待つので、データ信号を送信することは無い。また、他の無線端末10eAは、自端末宛ではないData4信号を受信すると(TA57)、このData4信号の受信完了から、(DIFS+乱数)期間待つ(TB58)。したがって、アクセスポント20eは、送信権を取得し、Data4信号の受信完了からSIFS期間後、送信すべきデータがある場合には、ACK信号の代わりにデータ信号をいずれかの無線端末宛に送信し、送信すべきデータが無い場合にはACK信号を無線端末10eB宛に送信する。ここでは、アクセスポイント20eは、ACK信号を無線端末10eB宛に送信する(A57)。
無線端末10eA,10eBは、アクセスポイント20eからのACK信号を受信すると、アクセスポイント20eが送信すべきデータを持たず優先権を必要としないと判断して、それぞれ、(DIFS+乱数)期間待ち(TA59,TB59)、無線信号を受信しないで待ち期間が終了すれば送信権を取得する。
次に、第6の実施形態における無線端末10eの通信制御処理部19e及びアクセスポイント20eの通信制御処理部27eの動作について、図16に示すフローチャートに従って説明する。なお、本実施形態では、無線端末10eの通信制御処理部19eとアクセスポイント20eの通信制御処理部27eとは同一動作である。
無線端末10eの通信制御処理部19e及びアクセスポイント20eの通信制御処理部27eは、図5を用いて説明した従来のDCF方法を採用するアクセスポイント20の通信制御処理部27の動作と同様に、送信タイマに(DIFS+乱数)のセット(S10)、無線信号の受信の有無判断(S11)、送信タイマの終了判断(S12)、送信データの有無判断(S13)、データ送信(S14)の処理を行う。
通信制御処理部19e,27eは、データ信号を送信すると(S14)、受信タイマにSIFSをセットし、これを起動する(S16a)。次に、受信タイマが終了したか否かを判断し(S16b)、受信タイマが終了していなければ、無線信号を受信しているか否かを判断する(S15a)。無線信号を受信していなければ、ステップ16bに戻り、無線信号を受信する前に受信タイマが終了すれば、送信不成功と判断して、再度、データを送信するために、ステップ14(A54)に戻る。また、受信タイマが終了する前に無線信号を受信すれば、この無線信号は、ACK信号であるか、又は直前に送信した送信先からのデータ信号かを判断する(S15b)。受信した無線信号が、ACK信号ではなく、且つ直前に送信した送信先からのデータ信号でもない場合には、送信不成功と判断し(S18)、ステップ10に戻る。また、受信した無線信号が、ACK信号であるか、又は直前に送信した送信先からのデータ信号である場合には、送信成功と判断する(S17)。そして、この無線信号が自装置宛のデータ信号であるか否かを判断し(S17a)、自装置宛のデータ信号である場合には、ステップ21に進む。また、自装置宛のデータ信号ではない、つまり、例えば、自装置宛のACK信号等である場合には、ステップ10に戻る。
通信制御処理部19e,27eは、ステップ11で無線信号を受信したと判断すると、無線信号の受信完了待ち(S19)、自身宛の信号であるか否かの判断(S20)、送信タイマにSIFSのセット(S21)、送信タイマの終了判断(S22)の処理を行う。
通信制御処理部19e,27eは、送信タイマが終了したと判断すると、送信すべきデータがあり、且つステップ11で受信した無線信号又はステップ15aで受信した無縁信号のMACヘッダのモアフラグメントフラグがリセットされているか否かを判断する(S22a)。送信すべきデータが無い、又はモアフラグメントフラグがリセットされていない場合には、ACK信号を送信してから(S23)、ステップ10に戻る。また、モアフラグメントフラグがリセットされ、且つ送信すべきデータがある場合には、ACK信号を送信することなく、直ちに、データ信号を送信する(S14)。
以上のように、本実施形態では、無線端末10eも、アクセスポイント20eも、他の装置からデータ信号を受信し、送信すべきデータがある場合には、SIFS期間後、ACK信号を送信することなく、直ちに、データ信号を送信するので、以上の実施形態のうちで最も伝送効率が高くなる。但し、本実施形態では、ACK信号の送信を省略し、極めて早いタイミングでデータ送信を実行しているので、従来の無線端末が混在している場合、この従来の無線端末の送信機会がほとんど無くなり、実質的に、従来の無線端末が混在するような場合には適さない。
[第7の実施形態]
次に、本発明に係る第7の実施形態としての無線通信システムについて説明する。
本実施形態のアクセスポイントは、従来技術の欄で述べた特許文献1に記載のアクセスポイントと同様に、複数の無線端末のうちのいずれかの無線端末から優先的に無線信号を送信させるものである。また、本実施形態の無線端末10fは、図5を用いて説明した従来のDCF方法を採用する無線端末と同一である。
図17は、第7の実施形態としての無線通信システムの動作を示すタイミングチャートである。
まず、アクセスポイント20fが無線端末10fA宛にData1信号を送信したとする(A60)。ここで、Data1信号は単一のIPパケット、又はフラグメントされた最後のIPパケットとする。このとき、アクセスポイント20fは、次に、無線端末10fAから優先的に無線信号を送信させようとする場合、デュレーション時間を長く設定し、このデュレーション時間の情報を上記Data1信号に含める。このように、アクセスポイント20fが無線端末10fAから無線信号を優先的に送信させたい場合としては、直近(例えばデータとして音声信号を20ms周期で伝送する場合、直近(20―α)ms以内(ただしαは予め定めた定数)に無線端末Aから音声信号を受信していない場合などである。
無線端末10fAは、アクセスポイント20fからのData1信号を正常に受信すると(TA60)、SIFS期間待ち(TA61)、ACK信号をアクセスポイント20f宛に送信する(TA62)。
IEEE 802.11の規格により、上記Data1信号に含まれるデュレーション時間は、送信先の無線端末10fAには適用されず、他の無線端末10fBのみに適用される。したがって、長めのデュレーション時間により無線端末10fAを除く無線端末10fBは、このデュレーション期間の終了まで無線信号を送信しないので、アクセスポイント20fも無線信号を送信しなければ無線端末10fAのみが送信権を持つ。なお、アクセスポイント20fが設定するデュレーション時間は、アクセスポイント20fが優先させる無線端末にデータ信号を送信してから、この優先させる無線端末がデータ信号を開始するまでの時間よりも確実に長い時間である。具体的には、{SIFS+ACK信号の伝送時間+(DIFS+乱数の最大値)}がデュレーション期間として設定される。
無線端末10fAは、IEEE 802.11の規格に従い、前述のACK信号送出後に(TA62)、(DIFS+乱数)期間待ち(TA63)、その間に、他の装置からの無線信号を受信しなければ、Data2信号を送出する(TA64)。
アクセスポイント20fは、Data2信号を正常に受信すると(A61)、SIFS期間待ってから(A62)、ACK信号を送信する(A63)。そして、アクセスポイント20fは、本実施形態の特徴として、送信すべきデータがある場合には、SIFS期間待ってから(A64)、例えば、無線端末10fB宛にData3信号を送信する(A65)。この際、アクセスポイント20fは、次に無線端末10fBに無線信号を送信させたい場合には、本実施形態の特徴として、デュレーション時間を長めに設定し、このデュレーション時間の情報をData3信号中に含める。なお、TA63での無線端末10fAの待ち期間(DIFS+乱数)で、この乱数の値が小さかったために、Data1信号に含まれているデュレーション時間が、例えば、このData1信号を送信してから、A63でのACK信号の送信中までの期間になったとしも、また、A65でのData3信号の送信中までの期間になったとしても、アクセスポイント20fは、A63でのACK信号の送信、A65でのData3信号の送信を実行する。
無線端末10fBは、Data3信号を正常に受信すると、SIFS期間待ってから(TB62)ACK信号を送信する(TB63)。ここでも、デュレーション時間が長いので、ACK信号を受信した他の無線端末10fAは、このデュレーション期間が終了するまで無線信号を送信しない。このため、無線端末10fBは、IEEE 802.11規格に従い、(DIFS+乱数)期間待った後に(TB64)、確実に送信権を取得し、Data4信号をアクセスポイント20f宛に送出する(TB65)。
次に、第7の実施形態におけるアクセスポイント20fの通信制御処理部27fの動作について、図18に示すフローチャートに従って説明する。
本実施形態のアクセスポイント20fは、前述したように、ACK信号を受信したとき及びACK信号を送信したときの待ち期間がSIFSである。このため、図5を用いて説明した従来のDCF方法を採用するアクセスポイントの動作ステップのうちで、送信タイマに(DIFS+乱数)をセットするステップ10が、送信タイマにSIFSをセットするステップ10fに変わることになる。
アクセスポイント20fの通信制御処理部27fは、このステップ10fを実行した後、従来のDCF方法を採用するアクセスポイントと同様に、無線信号の受信の有無判断(S11)、送信タイマの終了判断(S12)、送信データの有無判断(S13)の処理を行う。
通信制御処理部27fは、送信データがあると判断すると(S13)、この送信データの送信先端末を優先すべきか否かを判断する(S13a)。この判断では、前述したように、直近で送信先端末から無線信号を受信していない等の予め定められた条件を満たすか否かで判断する。送信先端末を優先すべきであると判断すると、前述の長いデュレーション時間を定める(S13b)。そして、長いデュレーション時間を定めた場合には、このデュレーション時間の情報と、送信データとを送信フレーム中に格納して、これをアンテナから送信させる(S14)。また、ステップ13aで送信先端末を優先すべきでないと判断すると、長いデュレーション時間を定めずに、直ちに、送信データをアンテナから送信させる(S14)。
以降の処理、及びステップ11で無線信号を受信したと判断したときの処理は、図5を用いて説明した従来のDCF方法を採用するアクセスポイントの動作と同一である。
第7の実施形態の無線端末10fの動作は、前述したように、図5を用いて説明した従来のDCF方法を採用する無線端末と同一である。
以上のように、本実施形態では、前述の特許文献1に記載の技術のように、複数の無線端末のうちのいずれかの無線端末から優先的に無線信号を送信させるものであるものの、優先させる無線端末へ送信するデータ信号中に、デュレーション時間の情報を含めて、他の無線端末からの送信を抑制しているので、特許文献1に記載の技術よりも、伝送効率を高めることができる。
1:IP網、10,10a,10b,10e,10f:無線端末、11:アンテナ、12:RF部、13:ベースバンド部、14:MAC層処理部、15:上位層処理部、16:入出力インタフェース、17:入出力部、18a:プログラムメモリ部、18b:ワークメモリ部、19,19a,19b,19e,19f:通信制御処理部、20,20a,20c,20d,20e,20f:アクセスポイント、21:アンテナ、22:RF部、23:ベースバンド部、24:MAC層処理部、25:LANインタフェース部、26a:プログラムメモリ部、26b:ワークメモリ部、27,27c,27d,27e,27f:通信制御処理部