JP2008128978A - 電子線照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子線の実出力をリアルタイムで精度良く測定可能な電子線照射装置を提供する。
【解決手段】電子線照射装置1では、窓ユニット4において、電子線EBの出射軸方向から見て、電子線出射窓24と重ならないように電流読出電極5が設けられている。これにより、電子線照射装置1では、電子線出射窓24から出射した電子線のうち、散乱等で電子線出射窓24側に戻ってきた電子線EBによって生じる電流を測定することができる。したがって、電子線照射装置1では、電子線出射窓24の厚みのムラや、電子線EBが照射対象物に照射される際に発生する飛散物や汚れなどの付着によって動作時間の経過と共に変化する電子線出射窓24の表面状態を加味した上で、実際に電子線出射窓24から出射した電子線EBの出力(実出力)をリアルタイムで精度良く測定できる
【選択図】図4
【解決手段】電子線照射装置1では、窓ユニット4において、電子線EBの出射軸方向から見て、電子線出射窓24と重ならないように電流読出電極5が設けられている。これにより、電子線照射装置1では、電子線出射窓24から出射した電子線のうち、散乱等で電子線出射窓24側に戻ってきた電子線EBによって生じる電流を測定することができる。したがって、電子線照射装置1では、電子線出射窓24の厚みのムラや、電子線EBが照射対象物に照射される際に発生する飛散物や汚れなどの付着によって動作時間の経過と共に変化する電子線出射窓24の表面状態を加味した上で、実際に電子線出射窓24から出射した電子線EBの出力(実出力)をリアルタイムで精度良く測定できる
【選択図】図4
Description
本発明は、電子線照射装置に関する。
電子線照射装置は、電子線を放出する電子銃を容器に収容し、薄膜で形成した出射窓を通して大気中に電子線を出射させる装置である。このような電子線照射装置は、照射対象物の乾燥、殺菌、表面改質といった用途を有している。
電子線照射装置を実際に動作させる際には、動作性能の確認やメンテナンスといった観点から、電子線の出力を測定することが好ましい。例えば特許文献1に記載の電子線照射処理装置では、電子線管の管電流と、電子線出射窓及びそのフランジからアースに流れる電流とを電流計でそれぞれ計測し、この電流の差が一定になるように電子線の出力を制御している。
特開2003−222700号公報
ところで、電子線出射窓の表面状態は、電子線が照射対象物に照射される際に発生する飛散物や汚れなどの付着により、動作時間の経過と共に変化する場合がある。したがって、上述した従来の電子線照射処理装置のように、電子銃から放出された電子線が電子線出射窓に入射したときに発生する電流を計測する構成では、実際に照射空間に取り出される電子線の出力、すなわち、電子線出射窓を透過し、照射対象物に向けて出射される電子線の出力(実出力)をリアルタイムで測定するには精度が不十分となるおそれがある。
本発明は上記課題の解決のためになされたものであり、電子線の実出力をリアルタイムで精度良く測定可能な電子線照射装置を提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明に係る電子線照射装置は、電子線を放出する電子放出部材を有する電子銃と、電子放出部材を収容すると共に、電子線を通過させる電子線通過孔を有する容器と、電子線通過孔を閉じるように容器に固定され、電子線通過孔を通過した電子線を容器の外部に出射させる電子線出射窓を有する窓ユニットと、窓ユニットに設けられ、電子線の出射軸方向から見て、電子線出射窓と重ならないように配置された電流読出電極とを備えたことを特徴としている。
この電子線照射装置では、窓ユニットにおいて、電子線の出射軸方向から見て、電子線出射窓と重ならないように電流読出電極が配置されている。このような構成により、この電子線照射装置では、電子線出射窓から出射した電子線のうち、散乱等で電子線出射窓側に戻ってきた電子線によって生じる電流を測定することができ、電子線出射窓の状態を加味した電子線の実出力をリアルタイムで精度良く測定することが可能となる。また、電流読取電極が電子線出射窓の一部を塞いでしまうこともなく、電子線出射窓からの電子線の出射量を十分に確保できる。
また、電流読出電極は、電気絶縁性を有する部材を介して窓ユニットに結合されていることが好ましい。このように、窓ユニットと電流読出電極とを絶縁することで、窓ユニット及び容器に流入した電子線によって生じた電流と電流読取電極に流入した電子線によって生じた電流とを切り分けることが可能となる。これにより、電子線の実出力をリアルタイムでより精度良く測定できる。
また、電流読出電極には、電子線の出射軸方向から見て、電子線出射窓を包囲するように読出端部が設けられていることが好ましい。こうすると、散乱等で電子線出射窓側に戻ってきた電子線を読出端部でより確実に検出できるので、電子線の実出力をリアルタイムで一層精度良く測定できる。
また、電子線出射窓は、読出端部よりも電子線の出射方向に突出していることが好ましい。この場合、照射対象物に近接して電子線を照射することが可能となる。
また、読出端部は、電子線出射窓よりも電子線の出射方向に突出していることが好ましい。この場合、読出端部に電子線出射窓を保護する機能を持たせることができる。
また、電流読出電極には、電子線出射窓の外側における雰囲気ガスの一部を吸引する吸引管の先端が固定されていることが好ましい。通常、照射対象物への電子線の照射は、窒素等の不活性ガスの雰囲気中で行われる。電流読出電極に吸引管を固定することにより、照射対象物の周りの雰囲気ガスの成分検出を確実に行なうことができる。
本発明に係る電子線照射装置によれば、電子線の実出力をリアルタイムで精度良く測定することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電子線照射装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子線照射装置の構成を示す側断面図である。また、図2は、図1におけるII−II線断面図である。図1及び図2に示すように、電子線照射装置1は、電子線EBを放出させる電子銃2と、電子銃2の先端部分のフィラメント(電子放出部材)9を収容する容器3と、容器3から電子線EBを外部に出射させる窓ユニット4と、窓ユニット4から出射した電子線EBの出力をモニタリングするための電流読出電極5とを備えている。この電子線照射装置1は、例えば窒素などの不活性ガスの雰囲気下において、ライン上を流れる照射対象物(図示しない)に電子線EBを照射し、照射対象物の乾燥、殺菌、表面改質などを行う装置として構成されている。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子線照射装置の構成を示す側断面図である。また、図2は、図1におけるII−II線断面図である。図1及び図2に示すように、電子線照射装置1は、電子線EBを放出させる電子銃2と、電子銃2の先端部分のフィラメント(電子放出部材)9を収容する容器3と、容器3から電子線EBを外部に出射させる窓ユニット4と、窓ユニット4から出射した電子線EBの出力をモニタリングするための電流読出電極5とを備えている。この電子線照射装置1は、例えば窒素などの不活性ガスの雰囲気下において、ライン上を流れる照射対象物(図示しない)に電子線EBを照射し、照射対象物の乾燥、殺菌、表面改質などを行う装置として構成されている。
電子銃2は、直方体形状のケース6と、電気絶縁性を有する材料によって形成された絶縁ブロック7と、高耐圧型のコネクタ8と、電子線EBを放出させるフィラメント9とを有している。ケース6は、例えば金属によって形成され、容器3の基端側に固定されている。ケース6における容器3側の壁には、ケース6の内部と容器3内の収容空間Sとを連通させる開口部6aが設けられている。また、ケース6の側壁には、コネクタ8を取り付けるための開口部6bが設けられている。開口部6bの周りのケース6の内壁には、凹凸部分が設けられており、絶縁ブロック7との結合強度の確保が図られている。
絶縁ブロック7は、例えばエポキシ樹脂などの電気絶縁性の材料によって形成されており、コネクタ8からフィラメント9への電力供給経路を外部から絶縁している。絶縁ブロック7は、ケース6内に収容された基部7aと、基部7aから開口部6aを通って容器3内の収容空間S側に突出する切頭円錐状の突出部7bとを有している。基部7aは、ケース6の内部の大部分を占めており、ケース6における開口部6a側及び開口部6b側の内壁に接触している。また、基部7aにおいてケース6の内壁と接触しない部分には、導電性を有するフィルム10が貼り付けられている。このフィルム10が接地電位であるケース6と電気的に接続されることで、ケース6の内面に面する絶縁ブロック7の表面電位を接地電位とすることができ、動作時の安定性の向上が図られる。
コネクタ8は、電子線照射装置1の外部からフィラメント9に電源電圧を供給するためのコネクタである。コネクタ8は、ケース6の側面の開口部6bに差し込まれ、先端部分が絶縁ブロック7の中心付近に位置した状態で、絶縁ブロック7中に埋没されて固定されている。コネクタ8の先端部分には、ケース6の内壁と同様の凹凸部分が設けられており、絶縁ブロック7との結合強度の確保が図られている。
コネクタ8の基端には、図示しない電源装置から延びる外部配線の先端を保持した電源用プラグの挿入口8aが設けられている。また、コネクタ8の先端には、一対の内部配線11,11が接続されている。内部配線11,11は、コネクタ8の先端から絶縁ブロック7の基部7aの中心に向かって延びると共に、基部7aの中心から突出部7bに向けて折り曲がり、突出部7bの中心を通って突出部7bの先端まで延在している。
フィラメント9は、電子線EBとなる電子を放出する部材である。フィラメント9は、絶縁ブロック7の突出部7bの先端部分に取り付けられ、内部配線11,11に接続されている。フィラメント9の周囲には、グリッド部12が設けられている。グリッド部12は、内部配線11,11のいずれか一方と電気的に接続されており、フィラメント9に高電圧が印加された場合に、グリッド部12にも高電圧が印加されることで、フィラメント9から電子を引き出すための電界が形成される。フィラメント9から引き出された電子は、グリッド部12の中心に形成された孔から電子線EBとして出射する。なお、フィラメント9からの電子の放出をより精密に制御したい場合には、例えば内部配線11,11と同様にして、別途グリッド部12用の配線を追加し、フィラメント9の電位とは独立してグリッド部12の電位を制御することが好ましい。
容器3は、フィラメント9から出射する電子線EBの出射軸に沿って延びる円筒状に形成され、電子銃2のケース6に気密に封止されている。容器3の基端側の内部には、電子銃2のフィラメント9、グリッド部12、及び絶縁ブロック7の突出部7bを収容する円筒状の収容部13が形成されている。収容部13の径は、ケース6の開口部6aよりも大径となっており、容器3の基端から中央付近まで延在している。また、容器3の先端側の内部には、収容部13と連通する電子線通過孔14が形成されている。電子線通過孔14は、収容部13よりも小径の円筒状をなし、電子線EBの出射軸に沿って容器3の中央付近から容器3の先端まで延在している。容器3の先端には、所定の位相角をもって複数(例えば6個)のネジ穴(図示しない)が設けられている。
電子線通過孔14の周囲には、電子線EBの出射軸に沿って電磁コイル15及び電磁コイル16が配置されている。電磁コイル15及び電磁コイル16の配置中心は、電子線通過孔14の中心軸に一致している。これらの電磁コイル15及び電磁コイル16の協働により、電子線通過孔14を通過する電子線EBは、後述する電子線出射窓24に向けて集束するようになっている。
より具体的には、電磁コイル15は、電子銃2や電子線EBの通過経路を構成する各部材の機械的な中心のズレや、各構成部材の残留磁気および設置場所周辺の磁界等の影響によって生じる所望の通過経路(電子通過孔14の中心軸)に対する電子線EBのズレを補正するためのアライメントコイルである。本実施形態では、対向する2つの電磁コイル15が対となって機能するように、4つの電磁コイル15が電子線通過孔14を挟んで90度の位相角をもって配置され、必要に応じて使用される。一方、電磁コイル16は、電子銃2から出射された電子線EBを電子線出射窓24に集めるための集束コイルで、エナメル線などから成る円筒状のコイル部及び軟鉄などから成る磁気回路から構成される。これらの電磁コイル15,16により、フィラメント9から出射された電子線EBは、電子通過孔14の中心軸を正確に通過し、電子通過孔14の内壁に衝突することなく電子線出射窓24の中心へと正確に導かれる。
また、図2に示すように、容器3の側部には排気管17が設けられている。排気管17の先端は、収容部13及び電子線通過孔14を排気する真空ポンプ18に接続されている。排気管17及び真空ポンプ18は、電子線照射装置1を電子線EBの出射軸方向から見たときに、コネクタ8と重ならない位置に設けられている。これにより、コネクタ8に差し込まれる電源用プラグや外部配線と、真空ポンプ18との干渉を回避し、電子線照射装置1を小型化できる。
次に、図3及び図4を参照して、窓ユニット4の構成について説明する。図3は、電子線EBの出射軸方向から見た窓ユニットの平面図である。また、図4は、窓ユニットの拡大側断面図である。
同図に示すように、窓ユニット4は、電子線照射装置1の一端側の構造体であり、電子線通過孔14を通過した電子線EBを容器3の外部に出射させるためのユニットである。窓ユニット4は、台座21と、窓基板22と、キャップ23と、電子線出射窓24とを備えて構成されている。台座21は、例えばステンレスによって形成され、円筒状の胴部21aと、胴部21aの基端側の縁に設けられたフランジ部21bとを有している。
胴部21aの中心には、電子線通過孔14と同径の貫通孔21cが形成されている。また、胴部21aの先端部には、窓基板22をセットするための円状の凹部21dが形成されている。さらに、胴部21aの外側面には、キャップ23を取り付けるための雄ネジ部21eが形成されている。一方、フランジ部21bには、絶縁リング25と、金属リング26とが設けられている。絶縁リング25は、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの電気絶縁性を有する材料によって形成され、胴部21aを囲うようにしてフランジ部21bに固定されている。また、金属リング26は、その該側面に雄ネジ部26aを有しており、絶縁リング25を介してフランジ部21bに固定されている。
また、フランジ部21bにおいて、絶縁リング25及び金属リング26よりも外側の位置には、約60°の位相角をもって6つのボルト穴27が設けられている(図3参照)。そして、台座21は、各ボルト穴27にボルト28を挿通し、ボルト28を容器3のネジ穴に螺合させることにより、貫通孔21cと電子線通過孔14とが同心になった状態で容器3の先端に強固に固定されている。なお、容器3の先端には、Oリング35が設置された溝が形成されており、これにより、台座21と容器3との気密封止が保たれている。また、台座21は容器3と一体に形成されていてもよい。この場合、Oリング35を容器3の先端に設ける必要はない。
窓基板22は、例えばステンレスによって形成され、円筒状の胴部22aと、胴部22aの基端側の縁に設けられたフランジ部22bとを有している。胴部22aの中心には、台座21の貫通孔21cよりも僅かに小径の貫通孔22cが形成されている。また、胴部22aの先端部には、電子線出射窓24をセットするための矩形状の凹部22dが形成されている。そして、窓基板22は、貫通孔22cと電子線通過孔14とが同心になった状態で、台座21の凹部21dに配置されている。
キャップ23は、例えばステンレスによって形成され、円形の天頂部23aと、天頂部23aの一端側に形成された円筒状の螺合部23bとを有している。天頂部23aの中央には、窓基板22の胴部22aの外径よりも大径の開口部23cが形成されている。また、螺合部23bの内径は、台座21の胴部21aの外径とほぼ同径となっており、螺合部23bの内側面には、胴部21aの外側面の雄ネジ部21eに対応する雌ネジ部23dが形成されている。そして、キャップ23は、螺合部23bの雌ネジ部23dを台座21の雄ネジ部21eに螺合させることにより、開口部23cに窓基板22の胴部22a及び電子線出射窓24を挿通した状態で台座21に嵌め込まれている。これにより、窓基板22のフランジ部22bは、キャップ23の天頂部23aによって台座21の凹部21dの底面に押し付けられ、窓基板22と台座21とが強固に固定されている。さらに、台座21における凹部21dの底面には、Oリング36が設置された溝が形成されている。これにより、窓基板22と台座21との気密封止が保たれている。なお、Oリング35とOリング36とは、電子線EBの出射方向から見た場合に、重なるように配置され、電子線EBの通過経路の近傍を囲んでいる。そのため、各Oリング35,36にかかる押圧力がほぼ等しくなり、信頼性の高い封止が可能となる。
電子線出射窓24は、容器3の電子線通過孔14を通過した電子線EBを容器3の外部に出射させる箔状の部材である。電子線出射窓24は、例えばベリリウムによって厚さ数μm〜10μm程度の矩形状に形成されている。電子線出射窓24は、窓基板22の貫通孔22cの先端を塞ぐようにして窓基板22の凹部22dの底面上に配置され、例えばロウ付けによって窓基板22に気密に固定されている。なお、電子線出射窓24の材質は、電子線EBの透過率が高い材料であればよく、上述したベリリウムの他、チタンやアルミニウムなどを用いることもできる。
次に、電流読出電極5の構成について説明する。
電流読出電極5は、電子線照射装置1の動作性能の確認やメンテナンスといった観点から、電子線出射窓24から出射する電子線EBの出力を測定するための部材である。図3及び図4に示すように、電流読出電極5は、円形の天頂部5aと、天頂部5aの一端側に形成された円筒状の螺合部5bとを有している。
天頂部5aの中央には、窓基板22の胴部22aの外径よりも大径の開口部5cが形成されている。螺合部5bの内径は、絶縁リング25及び金属リング26の外径とほぼ同径となっており、螺合部5bの内側面には、金属リング26の外側面の雄ネジ部26aに対応する雌ネジ部5dが形成されている。また、螺合部5bには、図示しないリード線が取り付けられている。リード線は、電子線照射装置1の外部に設置された電流計29(図1参照)に接続されている。
そして、電流読出電極5は、螺合部5bの雌ネジ部5dを金属リング26の雄ネジ部26aに螺合させることにより、電子線出射窓24が開口部5cから露出するようにして、金属リング26に嵌め込まれている。これにより、電流読出電極5は、電子線EBの出射軸方向から見て電子線出射窓24と重ならないように、かつ電子線出射窓24を包囲するように配置される。また、電流読出電極5が嵌め込まれる金属リング26は、絶縁リング25を介して台座21に固定されているので、電流読出電極5と台座21、及び電流読出電極5と容器3とは、それぞれ互いに電気的に絶縁された状態となっている。
このような電流読出電極5の構成により、電流読出電極5の天頂部5aのうち、開口部5cを除いた部分は、電子線EBの一部が流れ込む読出端部5eとして機能する。すなわち、読出端部5eには、電子線出射窓24から出射した電子線EBのうち、散乱等の影響によって電子線出射窓24側に戻ってきた電子線EBが流れ込む。読出端部5eに流れ込んだ電子線EBによって発生した電流は、螺合部5b及びリード線(図示しない)を通って電流計29に送られる。
なお、図4に示すように、読出端部5eは、電子線出射窓24よりも電子線EBの出射方向に突出するように配置されており、電子線出射窓24は、電流読出電極5の開口部5c内に位置している。これにより、読出端部5eは、電子線出射窓24に照射対象物やその他の物体が当たることを防止する保護部材としても機能する。このことは、例えばインラインでの電子線照射の場合のように、電子線EBの出射軸方向と交差する方向から照射対象物が搬送されてくるような場合に特に好適である。
また、電流読出電極5には、例えば樹脂製の吸引管30が取り付けられている。この吸引管30は、電流読出電極5の螺合部5bに設けられた差込口5fに差し込まれており、吸引管30の先端は、電流読出電極5の天頂部5aにおいて差込口5fに対応する位置に設けられた開口5g内で固定されている。吸引管30の基端は、電子線照射装置1の外部に設置された酸素濃度検出計31に接続されている。電子線出射窓24の外側における雰囲気ガスの一部は、吸引管30を通って酸素濃度検出計31に送られる。
上述した構成を有する電子線照射装置1では、真空ポンプ18によって容器3の内部が排気され、内部配線11,11を介して外部電源から数十kV〜数百kV程度の電圧がフィラメント9に供給されると、フィラメント9から電子が放出される。フィラメント9から放出された電子は、グリッド部12が形成する電界によって加速し、電子線EBとなる。電子線EBは、電子線通過孔14を通過する際、電磁コイル15によって中心軸の補正がなされた後、電磁コイル16によって集束され、電子線出射窓24から外部に向けて出射する。出射した電子線EBは、例えば窒素ガスのような不活性ガスの雰囲気下において、ライン上を流れる印刷物などの照射対象物に照射される。
電子線EBを電子線出射窓24から出射させる際、照射対象物に向かった電子線EBの一部が散乱等の影響によって電子線出射窓24側に戻り、電流読出電極5の読出端部5eに流れ込む。電子線EBの一部が流れ込むことによって発生した電流は電流読出電極5から電流計29に送られ、電子線出射窓24の近傍における電流値のモニタリングが行われる。また、電子線EBを電子線出射窓24から出射させる際、窓ユニット4の外側の雰囲気ガスの一部が、電流読出電極5に取り付けられた吸引管30によって吸引される。吸引された雰囲気ガスは酸素濃度検出計31に送られ、雰囲気ガス中の酸素濃度のモニタリングが行われる。雰囲気ガス中の酸素濃度が例えば数百ppm以下となった後に電子線EBの出射を開始することで、雰囲気ガス中でのオゾンの発生が効果的に抑制される。
以上説明したように、電子線照射装置1では、窓ユニット4において、電子線EBの出射軸方向から見て、電子線出射窓24と重ならないように電流読出電極5が設けられている。そして、電流読出電極5の読出端部5eは、電子線EBの出射軸方向から見て電子線出射窓24を包囲するように配置されている。このような構成により、この電子線照射装置1では、電子線出射窓24から出射した電子線EBのうち、散乱等で電子線出射窓24側に戻ってきた電子線EBによって生じる電流を電子線出射窓24のごく近傍で測定することができる。
したがって、この電子線照射装置1では、電子線出射窓24の厚みのムラや、電子線EBが照射対象物に照射される際に発生する飛散物や汚れなどの付着によって動作時間の経過と共に変化する電子線出射窓24の表面状態を加味した上で、実際に電子線出射窓24から出射した電子線EBの出力(実出力)をリアルタイムで精度良く測定することが可能となる。また、電流読出電極5が電子線出射窓24の一部を塞いでしまうこともなく、電子線出射窓24からの電子線EBの出射量を十分に確保できる。
また、電流読出電極5は、電気絶縁性を有する絶縁リング25を介して窓ユニット4に取り付けられており、窓ユニット4及び容器3とは互いに電気的に絶縁された状態となっている。このように、電流読出電極5と窓ユニット4、及び電流読出電極5と容器3とを絶縁することで、窓ユニット4及び容器3に流入した電子線EBによって生じた電流と電流読出電極5に流入した電子線EBによって生じた電流とを切り分けることが可能となる。これにより、電子線の実出力の測定精度の向上が図られる。
さらに、電流読出電極5の読出端部5eは、電子線出射窓24よりも電子線EBの出射方向に突出しており、電子線出射窓24は、電流読出電極5の開口部5c内に位置している。これにより、電流読出電極5は、電子線出射窓24に照射対象物やその他の物体が当たることを防止する保護部材としても機能し、箔状の電子線出射窓24の破損が防止される。これに加え、読出端部5eには吸引管30が固定されている。したがって、照射対象物のごく近傍の雰囲気ガスの成分検出を行なうことができ、酸素濃度が確実に低下した後に電子線EBの出射を開始させることが可能となる。このことは、電子線EBの出射による雰囲気ガス中でのオゾンの発生を効果的に抑制する。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係る電子線照射装置について詳細に説明する。
続いて、本発明の第2実施形態に係る電子線照射装置について詳細に説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る電子線照射装置の構成を示す側断面図である。また、図6は、図1におけるVI−VI線断面図である。図5及び図6に示すように、第2実施形態に係る電子線照射装置40は、偏向コイル52により、容器3の電子線通過孔14を通過した電子線EBを所定の方向に高速で偏向させることによって窓ユニット41から線状に電子線EBを出射させる点で、窓ユニット4から一点で電子線EBを出射させる第1実施形態と異なっている。窓ユニット41には、第1実施形態と異なる構成の電流読出電極42が設けられている。
まず、電子線照射装置40における窓ユニット41の構成について説明する。図7は、電子線EBの出射軸方向から見た窓ユニットの平面図である。また、図8は、窓ユニットの拡大側断面図である。
図7及び図8に示すように、窓ユニット41は、筐体51と、窓基板53と、電子線出射窓54とを備えて構成されている。筐体51は、基端側から先端側に向かうに従って電子線EBの偏向方向(図5におけるX方向)の幅が拡大する形状となっている。筐体51の基端側には、電子線通過孔14と同径の開口部51aが形成されており、筐体51の先端側は、矩形に開口している。また、筐体51の基端側の縁には、円形のフランジ部51bが形成されている。そして、筐体51は、開口部51aと電子線通過孔14とが同心になるように位置決めされ、容器3の先端に気密に固定されている。
また、筐体51の基端側のフランジ部51bの近傍には、偏向コイル52が設けられている。偏向コイル52は、電子線通過孔14を通過した電子線EBを筐体51内において偏向させるコイルである。偏向コイル52の両端には、L字状の支持部材52aがそれぞれ取り付けられており、偏向コイル52は、支持部材52a,52aで筐体51の基端側の側壁を挟み込むことにより、筐体51において偏向方向と直交する側壁の一方に近接するように配置されている。そして、偏向コイル52は、外部電源(図示しない)から供給される電流値に基づいて、電子線通過孔14を通過した電子線EBの進行方向をX方向に沿って線状に偏向させる。
窓基板53は、例えばステンレスによって長方形状に形成され、筐体51の先端に固定されている。窓基板53の中央には、複数(本実施形態では5個)の矩形の貫通孔53aが形成されている。各貫通孔53aは、電子線EBの偏向方向に沿って所定の間隔で一列に配列されている。また、貫通孔53a,53aの間には、電子線EBの偏向方向と直交する方向に仕切溝53bがそれぞれ形成されている。電子線出射窓54は、第1実施形態と同様に、例えばベリリウムによって厚さ数μm〜10μm程度の矩形状に形成されている。電子線出射窓54は、貫通孔53aごとに設けられ、各貫通孔53aの先端を塞ぐようにして窓基板53にロウ付けされている。なお、筐体51の先端には、Oリング60が設置された溝が形成されている。これにより、窓基板53と筐体51との気密封止が保たれている。
次に、電流読出電極42の構成について説明する。
電流読出電極42は、図7及び図8に示すように、電子線EBの出射軸方向から見てコの字状をなす2つの端部部材42aと、直線状をなす6つの中間部材42bとによって構成されている。端部部材42aは、窓基板53における電子線EBの偏向方向の端にそれぞれ配置され、電子線EBの出射軸方向から見たときに、配列端に位置する電子線出射窓54の4辺のうち、電子線EBの偏向方向の内側の辺を向く部分を除く三辺を囲んでいる。中間部材42bは、端部部材42a,42a間において窓基板53の縁部に配置され、中央側に位置する3つの電子線出射窓54を挟むように、電子線EBの偏向方向に沿ってそれぞれ延在している。また、端部部材42aと中間部材42bとの間、及び中間部材42b,42bの間は、窓基板53の仕切溝53bの幅と同じ幅をもって離間している。各端部部材42a及び各中間部材42bには、図示しないリード線が取り付けられている。リード線は、電子線照射装置40の外部に設置された電流計29(図5参照)に接続されている。
このような端部部材42a及び中間部材42bの配列により、電流読出電極42は、全体として窓基板53と同寸法の矩形の環状をなし、電流読出電極42の中央に形成される矩形の開口部42cからは、各電子線出射窓54が露出するようになっている。そして、電流読出電極42は、電子線EBの出射軸方向から見て各電子線出射窓54と重ならないように、かつ電子線出射窓54を包囲するように配置され、電流読出電極42の先端部分のうち、開口部42cを除いた部分は、電子線EBの一部が流れ込む読出端部42dとして機能する。
読出端部42dは、第1実施形態と同様に、各電子線出射窓54よりも電子線EBの出射方向に突出するように配置され、各電子線出射窓54は、電流読出電極42の開口部42c内に位置している。また、端部部材42aの一方には、例えば樹脂製の吸引管55が取り付けられている。この吸引管55は、端部部材42aの側壁に設けられた差込口42eに差し込まれており、吸引管55の先端は、端部部材42aの先端側において差込口42eに対応する位置に設けられた開口42f内で固定されている。吸引管55の基端は、電子線照射装置40の外部に設置された酸素濃度検出計31に接続されている(図5参照)。
また、電流読出電極42と窓基板53との間には、電気絶縁性を有する絶縁部材56が設けられている。この絶縁部材56は、例えばポリテトラフルオロエチレンなどによって形成され、2つの端部絶縁部材56aと、6つの中間絶縁部材56bとによって構成されている。端部絶縁部材56a及び中間絶縁部材56bのそれぞれは、端部部材42a及び中間部材42bと同様の配置をもって窓基板53の縁部に固定されている。
そして、端部部材42a及び中間部材42bとは、端部絶縁部材56a及び中間絶縁部材56bを介して窓基板53の縁部に固定されている。したがって、端部部材42a及び中間部材42bと窓基板53、端部部材42a及び中間部材42bと容器3とはそれぞれ電気的に絶縁された状態となっている。また、端部部材42aと中間部材42bとの間、及び中間部材42b,42bの間は、窓基板53の仕切溝53bの幅と同じ幅をもって離間しているので、これらの間も互いに電気的に絶縁された状態となっている。
このような電子線照射装置40においても、第1実施形態と同様に、窓ユニット41において、電子線EBの出射軸方向から見て、電子線出射窓54と重ならないように電流読出電極42が設けられている。そして、電流読出電極42の読出端部42dは、電子線EBの出射軸方向から見て、電子線出射窓54を包囲するように配置されている。したがって、電子線照射装置40においても、電子線出射窓54から出射した電子線EBのうち、散乱等で電子線出射窓54側に戻ってきた電子線EBによって生じる電流を電子線出射窓54のごく近傍で測定でき、電子線EBの実出力をリアルタイムで精度良く測定することが可能となる。また、電流読出電極42が電子線出射窓54の一部を塞いでしまうこともなく、電子線出射窓54からの電子線EBの出射量を十分に確保できる。
また、電流読出電極42は、窓ユニット41及び容器3とは互いに電気的に絶縁されている。したがって、窓ユニット41及び容器3に流入した電子線EBによって生じた電流と電流読出電極42に流入した電子線EBによって生じた電流とを切り分けることができる。さらには、電流読出電極42を構成する端部部材42a及び中間部材42bも、それぞれ互いに電気的に絶縁されている。これにより、各端部部材42a及び中間部材42bに流入した電子線EBによって生じた電流を切り分けることができる。このことは、電子線出射窓54ごとの電子線EBの実出力(出力分布)の測定を可能とする。
さらに、電流読出電極42の読出端部42dは、電子線出射窓54よりも電子線EBの出射方向に突出しているので、電流読出電極42は、電子線出射窓54の保護部材としても機能し、箔状の電子線出射窓54の破損が防止される。そして、読出端部42dには吸引管55が固定されているので、照射対象物のごく近傍において、酸素濃度のモニタリングといった雰囲気ガスの成分検出を行なうことも可能となっている。
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、第1実施形態では、電流読出電極5の読出端部5eを電子線出射窓24よりも電子線EBの出射方向に突出させているが、これに代えて、図9に示すように、電子線出射窓24を読出端部5eよりも電子線EBの出射方向に突出させるようにしてもよい。この場合、電子線出射窓24を照射対象物により近接させることができるので、照射対象物に対して十分な線量の電子線を照射することが可能となる。このことは、第2実施形態においても同様である。すなわち、図10に示すように、電子線出射窓54を端部部材42a及び中間部材42bよりも電子線EBの出射方向に突出させるようにしてもよい。
また、電流読出電極5,42によって検出される電流値が一定になるように、電子銃2の制御部(図示しない)にフィードバックを掛けるようにしてもよい。こうすると、電子線出射窓24,54から出射する電子線EBの出力を安定化することが可能となる。
1,40…電子線照射装置、2…電子銃、3…容器、4…窓ユニット、5,42…電流読出電極、5e,42d…読出端部、9…フィラメント(電子放出部材)、14…電子線通過孔、24,54…電子線出射窓、25…絶縁リング(電気絶縁性を有する部材)、30,55…吸引管、56…絶縁部材(電気絶縁性を有する部材)、EB…電子線。
Claims (6)
- 電子線を放出する電子放出部材を有する電子銃と、
前記電子放出部材を収容すると共に、前記電子線を通過させる電子線通過孔を有する容器と、
前記電子線通過孔を閉じるように前記容器に固定され、前記電子線通過孔を通過した前記電子線を前記容器の外部に出射させる電子線出射窓を有する窓ユニットと、
前記窓ユニットに設けられ、前記電子線の出射軸方向から見て、前記電子線出射窓と重ならないように配置された電流読出電極とを備えたことを特徴とする電子線照射装置。 - 前記電流読出電極は、電気絶縁性を有する部材を介して前記窓ユニットに結合されていることを特徴とする請求項1記載の電子線照射装置。
- 前記電流読出電極には、前記電子線の出射軸方向から見て、前記電子線出射窓を包囲するように読出端部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子線照射装置。
- 前記電子線出射窓は、前記読出端部よりも前記電子線の出射方向に突出していることを特徴とする請求項3記載の電子線照射装置。
- 前記読出端部は、前記電子線出射窓よりも前記電子線の出射方向に突出していることを特徴とする請求項3記載の電子線照射装置。
- 前記電流読出電極には、前記電子線出射窓の外側における雰囲気ガスの一部を吸引する吸引管の先端が固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の電子線照射装置。
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| JP2006317517A JP2008128978A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 電子線照射装置 |
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|---|---|---|---|---|
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-
2006
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