JP2008128446A - 流体軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハブと軸部材との間からの潤滑剤の漏れ出しを確実に防止することのできる流体軸受装置を提供する
【解決手段】芯金13に設けた軸方向の凸部13bと、軸部材2の肩面2cに設けた軸方向の凹部2c1とを嵌合させることにより、両部材の境界部Pをラビリンス形状とする。
【選択図】図2
【解決手段】芯金13に設けた軸方向の凸部13bと、軸部材2の肩面2cに設けた軸方向の凹部2c1とを嵌合させることにより、両部材の境界部Pをラビリンス形状とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、軸受隙間に生じる潤滑膜で、軸部材を回転自在に支持する流体軸受装置に関する。
この種の流体軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器の冷却ファン等に使用されるファンモータなどの小型モータ用として好適に使用可能である。
例えば、特許文献1の図5に示されている流体軸受装置は、軸部材と、軸部材に外径方向へ突出して設けられ、芯金をインサートした樹脂成形品であるハブ(ディスクハブ)とを備え、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間の潤滑膜で軸部材及びハブが回転自在に支持されている。ハブと軸部材の境界部は、一端が大気に面し、他端が軸受内部の潤滑剤で満たされた空間に面している。
この流体軸受装置において、ハブと軸部材との密着性が不足すると、両者の境界部に隙間が形成され、この隙間を介して軸受内部に満たされた潤滑剤が外部に漏れ出す恐れがある。特に、ハブを形成する樹脂部及び芯金の線膨張係数が軸部材の線膨張係数よりも大きい場合、高温時にはこれらの熱膨張量差により境界部に隙間が形成され、潤滑剤が漏れ出す恐れが高まる。このように潤滑剤が漏れ出すと、周辺環境の汚染や、潤滑剤不足による潤滑不良等の不具合を招く。
本発明の課題は、ハブと軸部材との境界部からの潤滑剤の漏れ出しを確実に防止することのできる流体軸受装置を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明は、軸部材と、軸部材の外周面に嵌合された芯金を有し、該芯金をインサートした射出成形品であるフランジ状のハブと、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間の潤滑膜で軸部材を回転可能に支持するラジアル軸受部とを備え、軸部材とハブの境界部の一端が大気に面し、他端が潤滑油で満たされた空間に面する流体軸受装置において、芯金と軸部材の境界部をラビリンス形状としたことを特徴とする。ここでのラビリンス形状は、芯金と軸部材の境界部が屈曲部を有すること、望ましくは二以上の屈曲部を有することを意味する。
このように、本発明の流体軸受装置では、芯金と軸部材との嵌合に際して、両部材の境界部をラビリンス形状に形成する。これにより、仮に熱膨張量差等の要因で、両部材の境界部に隙間が形成されたとしても、この隙間で潤滑剤を捕捉することができ、潤滑剤の外部への漏れ出しを確実に防止することができる。
また、芯金の線膨張係数が軸部材の線膨張係数よりも大きい場合、芯金の内径端に凸部を設けると共に、軸部材に凹部を設け、芯金の凸部を軸部材の凹部を嵌合させる。これにより、高温時には芯金の凸部の熱膨張量が、凹部の熱膨張量よりも大きくなるので、両者の嵌合部を締まり嵌め状態にすることができる。従って、芯金と軸部材の間の隙間を介した潤滑剤の漏れ出しを確実に防止することができる。
芯金の凸部および軸部材の凹部は同方向に形成する。すなわち、一方が軸方向に延びる形状であれば他方も軸方向に延びる形状とし、一方が半径方向に延びる形状であれば、他方も半径方向に延びる形状とする。凸部および凹部の双方が軸方向に延びる形状であれば(図2参照)、芯金の軸部材への組付けも容易となり、組み立てコストの高騰を防止することができる。
芯金は、例えばプレス加工により形成することができる。芯金の凸部は、芯金をプレス加工する際に打ち抜きと同時に形成されるカエリで形成することができ、これにより凸部の形成を容易化することができる。
このように、本発明によると、ハブと軸部材との間からの潤滑剤の漏れ出しを確実に防止することのできる流体軸受装置が得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る流体軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を相対回転自在に非接触支持する流体軸受装置(動圧軸受装置)1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外径側内周面に取付けられ、ロータマグネット5は、ハブ10の外周に設けられたヨーク7に固定されている。流体軸受装置1は、ブラケット6の内周に固定される。また、ハブ10には、図示は省略するが、情報記録媒体としてのディスクが一又は複数枚保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する励磁力でロータマグネット5が回転し、これに伴って、ハブ10およびハブ10に保持されたディスクが軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2に外径方向へ突出させて設けたフランジ状のハブ10と、内周に軸部材2を挿入した軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8を保持したハウジング9と、ハウジング9の一端を閉口する蓋部材11とを主に備える。なお、説明の便宜上、軸方向両端に形成されるハウジング9の開口部のうち、蓋部材11で閉口される側を下側、閉口側と反対の側を上側として以下説明する。
この流体軸受装置1では、軸部材2の大径外周面2aと軸受スリーブ8の内周面8aとの間に、ラジアル軸受部R1、R2が軸方向に離隔して設けられる。また、軸受スリーブ8の下側端面8bと軸部材2のフランジ部3の上側端面3aとの間に第1スラスト軸受部T1が設けられると共に、ハウジング9の上端面9aとハブ10の円盤部10aの下側端面10a1との間に第2スラスト軸受部T2が設けられる。
軸受スリーブ8は、例えば銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング9の内周面9cに、接着(ルーズ接着を含む)、圧入(圧入接着を含む)、溶着(超音波溶着を含む)等、適宜の手段で固定される。
軸受スリーブ8の内周面8aの全面又は一部円筒領域には、図3に示すように、複数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が軸方向に離隔して形成される。また、軸受スリーブ8の下側端面8bの全面又は一部環状領域には、図4に示すように、複数の動圧溝8b1をスパイラル状に配列した領域が形成される。
ハウジング9は、金属材料又は樹脂材料で軸方向両端を開口した略円筒状に形成され、その一端側の開口部を蓋部材11で封口している。ハウジング9の上端面9aの全面または一部環状領域には、図5に示すように、複数の動圧溝9a1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。ハウジング9の上方部外周には、上方に向かって漸次拡径する第1テーパ面9bが形成される。ハウジング9の下方部外周には円筒面9eが形成され、この円筒面9eがブラケット6の内周に、接着、圧入、溶着等の手段で固定される。ハウジング9の下端側を封口する蓋部材11は、金属あるいは樹脂で形成され、ハウジング9の下端内周側に設けられた段部9dに、接着、圧入、溶着、あるいは溶接等の手段で固定される。
軸部材2は、例えば金属材料で略円筒状に形成される。軸部材2の外周面は、軸受スリーブ8の内周面8aと対向する大径外周面2aと、大径外周面2aの上側に設けられた小径外周面2bとを有する。大径外周面2aと小径外周面2bとの間の肩面には、その外径端に膨出部2cが形成されると共に、膨出部2cの内径側に軸方向の凹部2dが設けられる。軸部材2の下端には、抜止めとしてフランジ部3が別体に設けられる。フランジ部3は金属製で、ねじ結合や接着等の手段により軸部材2に固定される。
ハブ10は、芯金13をインサートした射出成形品であり、本実施形態では樹脂で射出成形される。ハブ10の形状は、ハウジング9の上端開口部を覆う円盤部10aと、円盤部10aの外周部から軸方向下方に延びる筒状部10bと、筒状部10bから外径側に突出する鍔部10cとを備える。図示されていないディスクは、円盤部10aの外周に外嵌されると共に、鍔部10cの上側端面に形成されたディスク搭載面10dに載置される。そして、図示しない適当な保持手段(クランパなど)によってディスクがハブ10に保持される。上記のように、樹脂製のハブ10に芯金13をインサートすることによりハブ10の強度が高められるため、ディスク搭載時のクランプ力等によるハブ10の変形を防止できる。尚、ハブ10の射出材料は樹脂に限らず、例えば、芯金をインサートして、金属紛とバインダーの混合物で射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるMIM成形で形成することもできる。
ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1は、ハウジング9の上端面9aの動圧溝形成領域とスラスト軸受隙間を介して対向する。これらの面は、軸受装置の起動、停止時等の低速回転時に互いに接触摺動するため、高い耐摩耗性が要求される。本実施形態では、ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1に芯金13が露出することにより、樹脂と比べて耐摩耗性の向上を図ることができる。
芯金13は、例えばステンレス鋼のプレス加工で略円盤状に形成される。芯金13の内径端には、下側端面13aから軸方向下方に突出した凸部13bが設けられる。この凸部13bを軸部材2の肩面に設けられた軸方向の凹部2dに嵌合させることにより、芯金13と軸部材2との境界部Pが、屈曲部を3箇所に有する断面コの字型のラビリンス形状となる。この嵌合により、軸部材2の膨出部2cの内周に芯金13の凸部13bが配され、芯金13の凸部13bの外径面13b1と軸部材2の膨出部2cの内径面2c1とが径方向で対向する。芯金13の内周面13cは、軸部材2の小径外周面2bに圧入され、この圧入嵌合部を芯金13の上方から溶接することにより、両部材が固定される。
芯金13の凸部13bは、例えば芯金13のプレス加工時に形成されるカエリを利用して形成することができる。具体的には、まず、金属板を上方より打ち抜いて芯金13の内孔を形成する。このとき、図6(a)に示すように、芯金13の内周面13cの下端に下方へ突出したカエリ13b’が形成される。このカエリ13b’の先端部を、機械加工により、あるいはプレス加工の金型形状を工夫して打ち抜きと同時にカエリ13b’を成形することにより、軸部材2の凹部2dに嵌合し得る所定形状に加工する(図6(b)参照)。このように、芯金13のプレス加工時に形成されるカエリで凸部13bを形成することにより、芯金13の製作工程が簡略化され、製造コストを低減することができる。
ハブ10の樹脂部14は、芯金13及び軸部材2をインサート部品とした射出成形により形成される。樹脂部14は、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の結晶性樹脂や、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)等の非晶性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物で形成される。また、炭素繊維やガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、各種金属粉等の繊維状または粉末状の導電性充填材を、目的に応じて上記ベース樹脂に適量配合したものを使用することもできる。
筒状部10bの内周面のうち、ハウジング9の外周上端に設けられた第1テーパ面9bと対向する部分には、上方へ向けて拡径した第2テーパ面10b1が形成される。この第2テーパ面10b1の軸方向に対するテーパ角は、第1テーパ面9bのテーパ角よりも小さく設定される。これにより、第1テーパ面9bと第2テーパ面10b1との間に、径方向寸法が上方に向かって漸次縮小するテーパ状のシール空間Sが形成される。このシール空間Sは、ハブ10(軸部材2)の回転時、スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間の外径側と連通する。後述する潤滑油を流体軸受装置1内部に充満させた状態では、潤滑油は毛細管力によりシール空間Sの幅狭側に引き込まれるため、油面は常時シール空間Sの範囲内に保持される。また、シール空間Sの外周部が第2テーパ面10b1で形成されることで、シール空間S内の潤滑油に遠心力が加わった際、潤滑油がテーパ面10b1により上方へ向けて押し込まれるため、より確実に潤滑油をシール空間Sの内部に保持することができる。
ハブ10の円盤部10aの上側端面10a2には、クランパ穴10a20が設けられる。ディスクをディスク搭載面10dに固定するためにクランパを軸部材2の上端部にねじ結合する際、このクランパ穴10a20に治具を挿入することにより、ハブ10の廻り止めが行われる。クランパ穴10a20は、ハブ10の円盤部10aの上側端面10a2であれば、形成箇所及び数は限定されず、例えば円周方向等間隔の3箇所に設けられる。このクランパ穴10a20は、例えば機械加工により、あるいは樹脂部14の射出成形と同時に型成形により形成される。
流体軸受装置1内部には、潤滑剤として例えば潤滑油が充満される。具体的には、シール空間Sよりも軸受内部側の空間が全て潤滑油で満たされ、油面はシール空間S内に保持される。この潤滑油としては、種々のものが使用可能であるが、HDD等のディスク駆動装置用の流体軸受装置に提供される潤滑油には、その使用時あるいは輸送時における温度変化を考慮して、低蒸発率及び低粘度性に優れたエステル系潤滑油、例えばジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼレート(DOZ)等を基油として使用した潤滑油が好適に使用可能である。
このように、内部に潤滑油が満たされた状態において、軸部材2とハブ10との境界部は、一端が大気に面し、他端が潤滑油で満たされた空間に面するため、この境界部に隙間が生じると、潤滑油が外部へ漏れ出す恐れがある。本発明では、上記のように、軸部材2の肩面2cに設けた凹部2dと芯金13の内径端に設けた軸方向の凸部13bとを嵌合させることにより、軸部材2と芯金13との境界部Pをラビリンス形状にしている。これにより、芯金13と軸部材2との境界部Pに隙間が形成されたとしても、このラビリンス形状の境界部Pで潤滑油を捕捉することができ、潤滑油の外部への漏れ出しを確実に防止することができる。
また、芯金13と軸部材2とを溶接する際、溶融金属が芯金13の内周面と軸部材2の外周面との間の隙間を通って軸受内部側に流れ出す。この溶融金属が潤滑油で満たされた軸受内部の空間、例えばラジアル軸受隙間に面する軸部材2の大径外周面2aに達すると、軸受性能を低下させる恐れがある。本発明によれば、この溶融金属がラビリンス形状の境界部Pで捕捉され、軸受内部の空間に達することを回避できる。
ところで、芯金13の線膨張係数が軸部材2の線膨張係数を上回る場合、例えば、軸部材2の材質をSUS420(線膨張係数:10.4×10-6 ℃-1)とすると共に、芯金13の材質をSUS303(線膨張係数:18.4×10-6℃-1)とした場合、高温時における芯金13の径方向の熱膨張量が軸部材2の径方向の熱膨張量を上回る。この径方向の熱膨張量差により、芯金13の凸部13bの外周面13b1の熱膨張による拡径量は、軸部材2の膨出部2cの内周面2c1の熱膨張による拡径量を上回る。本発明では、上記のように、芯金13の凸部13bと軸部材2の凹部2dとを嵌合させ、凸部13bの外周面13b1と軸部材2の膨出部2cの内周面2c1とを径方向に対向させているため、前記の拡径量の差により凸部13bと凹部2dを締まり嵌めとすることができ、芯金13と軸部材2の間の境界部Pでの隙間の発生を確実に防止できる。これにより、高温時における軸部材2とハブ10との間からの潤滑油の漏れ出しを確実に防止することができる。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2の回転時、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された動圧溝8a1、8a2形成領域は、対向する軸部材2の大径外周面2aとの間にラジアル軸受隙間を形成する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝8a1、8a2の軸方向中心側に押し込まれ、その圧力が上昇する。このように、動圧溝8a1、8a2によって生じる潤滑油の動圧作用によって、軸部材2をラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とがそれぞれ構成される。
これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8bの動圧溝8b1形成領域とフランジ部3の上側端面3aとの間、およびハウジング9の上端面9aの動圧溝9a1形成領域とハブ10の下側端面10a1との間に、それぞれスラスト軸受隙間が形成される。これらのスラスト軸受隙間に形成される潤滑油膜の圧力が、動圧溝8b1、9a1の動圧作用により高められることにより、軸部材2及びハブ10をスラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される。
また、この実施形態では、軸受スリーブ8の外周面8dに軸方向溝8d1が形成される。これにより、軸受内部に充満された潤滑油を循環させることが可能となり、局所的な負圧の発生に伴う気泡の生成等を回避できる。具体的には、ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1と軸受スリーブ8の上側端面8cとの間の隙間、第1、第2ラジアル軸受部R1、R2の軸受隙間、および第1スラスト軸受部T1の軸受隙間にそれぞれ充填された潤滑油が循環可能となる。この実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された動圧溝8a1が軸方向で上下非対称に形成される。具体的には、図3に示すように、動圧溝8a1のうち、軸方向中間部に形成された環状の平滑部よりも上側の溝が、下側の溝よりも長く形成される。これにより、軸部材2の回転時には、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間の潤滑油が下方へ押し込まれ、軸受内部の潤滑油を強制的に循環させることができる。尚、このような強制的な循環が特に必要なければ、動圧溝8a1を軸方向で上下対称に形成してもよい。
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明する。尚、以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成、機能を有する箇所には同一符号を付し、説明を省略する。
上記の実施形態では、芯金13の凸部13bを、芯金13の平坦な下端面から突出させる形で形成しているが、この他、例えば図7に示すように、芯金13の下側端面13aに凹部13dを設け、この凹部13dよりも内径側を軸方向の凸部13bとして使用することもできる(凸部13bの下端は、芯金13の下端面13aと同レベルにある)。この場合、軸部材2の膨出部2cを芯金13の凹部13dに嵌合させれば、芯金13と軸部材2との境界部Pを屈曲部を4箇所に有するラビリンス形状にすることができ、潤滑剤の漏れ出しをより確実に防止することができる。
また、上記の実施形態では、軸部材2の下端に設けられたフランジ部3で、軸部材2の抜け止めを行っていたが、これに限られない。例えば、図8に示す流体軸受装置21では、ハブ10の内周に抜け止め部材15を固定し、この抜け止め部材15とハウジングとが軸方向で係合することにより、軸部材2及びハブ10の抜け止めが行われる。この抜け止め部材15は、例えば金属材料のプレス加工で断面略L字型に形成され、ハブ10の筒状部10bの内周面の上端に設けられた段部10eに固定される。抜け止め部材15の内周面15aは、対向するハウジング9の外周面上方の第1テーパ面9bとの間にシール空間Sを形成する。この内周面15aは、上方へ向けて拡径したテーパ状に形成され、上記実施形態の第2テーパ面10b1と同様の機能を果たす。
この流体軸受装置21では、スラスト軸受部は一箇所のみに設けられ、具体的には、ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1とハウジング9の上端面9aとの間にスラスト軸受部Tが設けられる。ハウジング9はコップ状に形成され、その内底面9fには、径方向溝9f1が設けられる。この径方向溝9f1と、軸受スリーブ8の外周面8dに設けられた軸方向溝8d1とで、軸部材2の下端面2eとハウジング9の内底面9fとの間の隙間と、ハブ10の円盤部10aの下側端面10a1と軸受スリーブ8の上側端面8cとの間の隙間とを連通している。
以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2、及びスラスト軸受部T1、T2(あるいはスラスト軸受部T、以下省略)として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部材2の真円状外周面2aとの間に、くさび状の径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、軸受スリーブ8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円外周面とし、この内周面8aと対向する軸部材2の真円状外周面2aとで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、動圧発生部が形成される領域(例えば軸受スリーブ8の下側端面8b、ハウジング9の上端面9a)に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2が軸方向に離隔して設けられているが、これに限らず、これらを軸方向で連続的に形成してもよい。あるいは、ラジアル軸受部R1、R2の何れか一方のみを形成してもよい。
また、以上の実施形態では、軸受スリーブ8の側にラジアル動圧発生部(動圧溝8a1、8a2)が、また、軸受スリーブ8やハウジング9の側にスラスト動圧発生部(動圧溝8b1、9a1)がそれぞれ形成される場合を説明したが、これら動圧発生部が形成される領域は、例えばこれらに対向する軸部材2の大径外周面2aやフランジ部3の上側端面3a、あるいはハブ10の下側端面10a1の側に設けることもできる。
また、以上の説明では、流体軸受装置1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間や、スラスト軸受隙間に動圧作用を生じる流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に動圧作用を発生可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
また、上記の実施形態では、ハブ10にディスクを載置し、流体軸受装置1をHDD等のディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータとして使用しているが、これに限られない。例えば、ハブ10にポリゴンミラーを装着し、流体軸受装置1をレーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータの回転軸支持用に使用することもできる。あるいは、ハブ10にカラーホイールを装着し、流体軸受装置1をプロジェクタのカラーホイールの回転軸支持用に使用することもできる。あるいは、ハブ10にファンを一体又は別体に設置し、流体軸受装置1をファンモータとして使用することもできる。
1 流体軸受装置
2 軸部材
2a 大径外周面
2b 小径外周面
2c 膨出部
2d 凹部
8 軸受スリーブ
9 ハウジング
10 ハブ
13 芯金
13a 下側端面
13b 凸部
13b’ カエリ
13c 内周面
14 樹脂部
P 境界部
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間
2 軸部材
2a 大径外周面
2b 小径外周面
2c 膨出部
2d 凹部
8 軸受スリーブ
9 ハウジング
10 ハブ
13 芯金
13a 下側端面
13b 凸部
13b’ カエリ
13c 内周面
14 樹脂部
P 境界部
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間
Claims (4)
- 軸部材と、軸部材の外周面に嵌合された芯金を有し、該芯金をインサートした射出成形品であるフランジ状のハブと、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間の潤滑膜で軸部材を回転可能に支持するラジアル軸受部とを備え、軸部材とハブとの境界部の一端が大気に面し、他端が潤滑剤で満たされた空間に面する流体軸受装置において、
芯金と軸部材の境界部をラビリンス形状としたことを特徴とする流体軸受装置。 - 芯金の線膨張係数が軸部材の線膨張係数よりも大きく、芯金の内径端に凸部を設けると共に、軸部材に凹部を設け、芯金の凸部を軸部材の凹部に嵌合した請求項1記載の流体軸受装置。
- 芯金の凸部及び軸部材の凹部を、共に軸方向に延びる形状とした請求項2記載の流体軸受装置。
- 芯金の凸部が、芯金をプレス加工する際のカエリで形成されている請求項1記載の流体軸受装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006317346A JP2008128446A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 流体軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006317346A JP2008128446A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 流体軸受装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2008128446A true JP2008128446A (ja) | 2008-06-05 |
Family
ID=39554468
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2006317346A Withdrawn JP2008128446A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 流体軸受装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2008128446A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101113536B1 (ko) | 2010-07-07 | 2012-02-29 | 삼성전기주식회사 | 유체 동압 베어링 어셈블리 |
-
2006
- 2006-11-24 JP JP2006317346A patent/JP2008128446A/ja not_active Withdrawn
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