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JP2008124007A - 非水電解質二次電池と非水電解質二次電池用負極の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池と非水電解質二次電池用負極の製造方法 Download PDF

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JP2008124007A JP2007266351A JP2007266351A JP2008124007A JP 2008124007 A JP2008124007 A JP 2008124007A JP 2007266351 A JP2007266351 A JP 2007266351A JP 2007266351 A JP2007266351 A JP 2007266351A JP 2008124007 A JP2008124007 A JP 2008124007A
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俊忠 佐藤
Daisuke Suetsugu
大輔 末次
Kokukiyo Kashiwagi
克巨 柏木
Kazuyoshi Honda
和義 本田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】リチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水電解質二次電池用の負極を製造し、高容量かつ長寿命な非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池用の負極の製造方法では、次の3つのステップを実施する。ステップ(1):集電体上に負極活物質を堆積させ負極6を作製する。ステップ(2):この負極6を熱処理する。ステップ(3):ステップ(2)の後に負極活物質にリチウムを付与する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用の負極の製造方法ならびにそれを用いた非水電解質二次電池に関する。
近年、電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として、小型かつ軽量で、高エネルギー密度を有する二次電池への要望も高まっている。また、小型民生用途のみならず、電力貯蔵用や電気自動車といった長期に渡る耐久性や安全性が要求される大型の二次電池に対する技術展開も加速してきている。このような観点から、高電圧であり、かつ高エネルギー密度を有する非水電解質二次電池、特にリチウム二次電池が電子機器用、電力貯蔵用、あるいは電気自動車の電源として期待されている。
非水電解質二次電池は、正極と負極と、それらの間に介在するセパレータと非水電解質とを有する。セパレータは主としてポリオレフィン製の微多孔膜から構成される。非水電解質には、LiBF、LiPFなどのリチウム塩を非プロトン性の有機溶媒に溶解した液状非水電解質(非水電解液)が用いられている。また正極活物質としては、リチウムに対する電位が高く、安全性に優れ、比較的合成が容易であるリチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)が用いられている。負極活物質としては、黒鉛などの種々の炭素材料が用いられている。このような構成の非水電解質二次電池が実用化されている。
負極活物質として用いられている黒鉛は、理論上、炭素原子6個に対してリチウム原子1個を吸蔵できるため黒鉛の理論容量密度は372mAh/gである。しかしながら不可逆容量による容量ロスなどのため、実際の放電容量密度は310mAh/g〜330mAh/g程度に低下する。そのため基本的には、この容量密度以上でリチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素材料を得ることは困難である。
そこで、さらに高エネルギー密度の電池が求められる中、理論容量密度の大きい負極活物質として、リチウムと合金化するケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)やこれらの酸化物、合金などが期待されている。中でも特に安価なSiおよびその酸化物は幅広く検討されている。
しかし、Si、Sn、Geや、これらの酸化物もしくは合金は、リチウムイオンを吸蔵するときに結晶構造が変化し、その体積が増加する。充電時に負極活物質が大きく膨張すると、負極活物質と集電体との間に接触不良が生じるため、充放電サイクル寿命が短くなる。そこで、以下のような提案がなされている。
例えば膨張による負極活物質と集電体との接触不良を改良する観点から、集電体表面に負極活物質を薄膜形状に成膜する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。さらには集電体表面に柱状かつ傾斜した状態で負極活物質を成膜する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。これらの提案によれば、負極活物質を集電体と強く金属結合させることで安定な集電が確保される。特に後者では柱状の活物質の周囲に膨張を吸収するのに必要充分な空間を有する。そのため負極活物質の膨張・収縮による負極自体の破壊を防止し、かつ接するセパレータや正極への圧迫応力を削減することにより、特に充放電サイクル特性を向上することができる。
しかしながら、充放電サイクル性に優れるケイ素酸化物(SiO(0<x<2))を負極活物質に用いた場合、ケイ素酸化物の不可逆容量は非常に大きい。そのためそのまま正極と組み合わせた場合は正極の可逆容量の多くを不可逆容量に費やしてしまう。そのためケイ素酸化物を負極活物質に用いて高容量な電池を実現するためにはリチウムの補填が必要である。
そこでリチウム補填の手段として負極上に金属リチウムを付与し、固相反応によって吸蔵させるという手段が数多く提案されている。例えば負極表面上にリチウムを蒸着させる工程、さらに保存する工程を備える方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
特開2002−83594号公報 特開2005−196970号公報 特開2005−38720号公報
しかしながら、特許文献1、2に記されるような方法で負極活物質を成膜し、かつ特許文献3に記されるように負極表面上にリチウムを蒸着させると、負極活物質に即座に吸収されず負極表面にリチウムが不均一に析出する。このような析出したリチウムは負極を搬送する際に搬送ローラや負極の他面に付着してしまう。これは、リチウムが固相反応で負極活物質に拡散・吸蔵されずに負極の表面に浮いた状態になるためである。そのため生産性が低下する。さらに不均一にリチウムが負極活物質に吸蔵されると、充電に伴う負極活物質の膨張がばらつくため負極に凹凸が生じ、充放電反応が不均一になり、その結果、例えばサイクル特性が低下する。
本発明は、これらの課題を解決し、かつ生産性に優れる非水電解質二次電池用負極の製造方法ならびにそれを用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明による非水電解質二次電池用の負極の製造方法は、次の3つのステップを有する。
ステップ(1):集電体上に負極活物質を堆積させて負極を作製する。
ステップ(2):負極を熱処理する。
ステップ(3):ステップ(2)の後に負極活物質にリチウムを付与する。
このようにして作製した負極はリチウムイオンを吸蔵・放出可能であり、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極と組み合わせ、非水電解質を正極と負極との間に介在させることで非水電解質二次電池を製造することができる。
本発明によれば、負極活物質にリチウムを付与する際の負極活物質のリチウム受け入れ性が著しく向上する。そのためリチウムの不均一な析出や表面への偏在を防止することが可能となる。さらに負極を搬送する際に析出したリチウムが搬送ローラや負極の他の面に付着してしまうといった不具合が解決される。そのため生産性に優れ、不可逆容量を補填された高容量な非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の第1の発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。この方法は、次の3つのステップを含む。集電体上に負極活物質を堆積させて負極を作製するステップ(1)、この負極を熱処理するステップ(2)、ステップ(2)の後に負極活物質にリチウムを付与するステップ(3)。このようにリチウムを付与する前に負極を熱処理することにより、負極に含まれる負極活物質のリチウム受け入れ性が著しく向上する。そのためリチウムの不均一な析出や表面への偏在を防止することが可能となる。さらに負極を搬送する際に析出したリチウムが搬送ローラや負極の他の面に付着してしまうといった不具合が解決される。そのため生産性に優れ、不可逆容量を補填された高容量な非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の第2の発明は、第1の発明のステップ(1)において、負極活物質を集電体上に柱状構造を有する複数の負極活物質塊として形成する非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。負極活物質が柱状構造の場合、柱間の空間で負極活物質の膨張を吸収することができるため、平滑な膜状構造に比べて負極活物質の膨張・収縮に対して非常に有効である。
本発明の第3の発明は、第2の発明において負極活物質塊を集電体の厚み方向に対して傾きを有するように形成する非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。このように集電体の厚み方向に対し負極活物質塊が傾斜することによって効果的に負極活物質の膨張・収縮を空間内に吸収することが可能であり、負極の充放電サイクル特性が改善される。また高速に成膜可能な形状であることから量産の見地からも好ましい。
本発明の第4の発明は、第1の発明のステップ(1)において、集電体の、負極活物質塊を形成する面に垂直な方向において負極活物質塊を波状に形成する非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。このように負極活物質塊を形成しても第3の発明と同様の効果が得られる。
本発明の第5の発明は、第1の発明においてステップ(2)を非酸化性雰囲気で行う非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。これにより過剰な負極活物質の酸化を防ぎ、不可逆容量の増加を防ぐことが可能になる。
本発明の第6の発明は、第1の発明において、ステップ(1)にて、真空成膜法によってケイ素を堆積させ、かつその際に酸素を導入することでケイ素を含む酸化物を負極活物質として集電体上に堆積させる非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。ケイ素を含む酸化物であるSiO(0<x<2)は負極活物質としては、放電容量密度が大きく、かつ充電時の膨張率がSi単体より小さいため好ましい。
本発明の第7の発明は、第6の発明において、ステップ(2)を100℃以上900℃以下の範囲で、かつ非酸化性雰囲気で行う非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。負極活物質の表面に生成しリチウムの吸蔵を妨げる酸素リッチ層を負極活物質の内部に拡散するためには100℃以上の温度で熱処理することが好ましい。また負極活物質であるケイ素酸化物が、結晶性のケイ素単体と二酸化ケイ素の2相に分離しない900℃以下の温度で熱処理することが好ましい。
本発明の第8の発明は、第1の発明のステップ(3)において、真空雰囲気中でリチウムを溶解し、負極の表面上に蒸着する非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。この手法は数μm〜10数μmの厚みに相当するリチウムを負極表面に成膜するのに最も適している。
本発明の第9の発明は、第1の発明のステップ(3)において、非酸化性雰囲気中で負極にリチウム薄膜を対向させて接合し、リチウムを転写する非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。この方法でも第6の発明と同様に不可逆容量を補填することが可能である。
本発明の第10の発明は、第1の発明において、ステップ(1)とステップ(2)を同一容器内で行う非水電解質二次電池用の負極の製造方法であり、本発明の第11の発明は、第1の発明において、ステップ(2)とステップ(3)を同一容器内で行う非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。このようにステップ(1)とステップ(2)、あるいはステップ(2)とステップ(3)を同一容器内で行うことにより1つの装置内で2つのステップを実施することができる。そのため非水電解質二次電池用負極の製造を高効率化することができる。
本発明の第12の発明は、第1の発明において、ステップ(1)にて負極活物質を薄膜形状に形成する非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。
本発明の第13の発明は、第1の発明において、ステップ(3)におけるリチウム付与量が負極活物質の不可逆容量を補填する量に相当する非水電解質二次電池用の負極の製造方法である。このようにリチウム付与量を制御することにより、負極活物質の高容量密度を活用することができるとともに、不要なリチウムが負極上に残留しない。
本発明の第14の発明は、第1から第13のいずれかの方法で製造した負極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極と、正極と負極との間に介在する非水電解質と、を備えた非水電解質二次電池である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、本明細書に記載された基本的な特徴に基づく限り、以下に記載の内容に限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態による非水電解質二次電池の縦断面図である。ここでは円筒形電池を一例として説明する。この非水電解質二次電池は、金属製のケース1とケース1内に収容された電極群9を含む。ケース1はステンレス鋼やニッケルめっきした鉄から作製されている。電極群9は正極5と負極6とをセパレータ7を介して渦巻状に捲回することにより構成されている。電極群9の上部には上部絶縁板8Aが、下部には下部絶縁板8Bが配置されている。ケース1の開口端部は、ガスケット3を介して封口板2に対しケース1をかしめることにより、封口されている。また、正極5にはアルミニウム製の正極リード5Aの一端が取り付けられている。正極リード5Aの他端は、正極端子を兼ねる封口板2に接続されている。負極6にはニッケル製の負極リード6Aの一端が取り付けられている。負極リード6Aの他端は、負極端子を兼ねるケース1に接続されている。また電極群9には図示しない非水電解質が含浸している。すなわち、正極5と負極6との間には非水電解質が介在している。
正極5は、通常、正極集電体とそれに担持された正極合剤から構成されている。正極合剤は、正極活物質の他に、結着剤、導電剤などを含んでいてもよい。正極5は、例えば、正極活物質と任意成分からなる正極合剤を液状成分と混合して正極合剤スラリーを調製し、得られたスラリーを正極集電体に塗布し、乾燥させて作製する。
非水電解質二次電池の正極活物質としては、リチウム複合金属酸化物を用いることができる。例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1−y、LiNi1−y、LiMn、LiMn2−y、LiMPO、LiMPOFが挙げられる。ここでMはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種であり、0≦x≦1.2、0≦y≦0.9、2.0≦z≦2.3である。なお、リチウムのモル比を示すx値は、活物質作製直後の値であり、充放電により増減する。さらにこれら含リチウム化合物の一部を異種元素で置換してもよい。金属酸化物、リチウム酸化物、導電剤などで表面処理してもよく、表面を疎水化処理してもよい。
正極合剤の結着剤には、例えばポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが使用可能である。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択された2種以上の材料の共重合体を用いてもよい。またこれらのうちから選択された2種以上を混合して用いてもよい。
また導電剤には、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛やチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などが用いられる。
正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、それぞれ、正極活物質を80重量%〜97重量%、導電剤を1%〜20%、結着剤を2%〜7%の範囲とすることが望ましい。
正極集電体には、長尺の多孔性構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板が使用される。導電性基板に用いられる材料として、正極集電体には、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタンなどが用いられる。また、負極集電体には、例えばステンレス鋼、ニッケル、銅などが用いられる。これら集電体の厚さは、特に限定されないが、1μm〜500μmがこの好ましく、5μm〜20μmがより望ましい。集電体厚さを上記範囲とすることにより、極板の強度を保持しつつ軽量化することができる。
セパレータ7としては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度と、絶縁性とを兼ね備えた微多孔薄膜、織布、不織布などが用いられる。セパレータ7の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンが耐久性に優れ、かつシャットダウン機能を有しているため、非水電解質二次電池の安全性の観点から好ましい。セパレータ7の厚さは、一般的に10μm〜300μmであるが、40μm以下とすることが望ましい。また、5μm〜30μmの範囲とするのがより好ましく、さらに好ましくは10μm〜25μmである。さらに微多孔フィルムは、1種の材料からなる単層膜であってもよく、2種以上の材料からなる複合膜または多層膜であってもよい。また、セパレータ7の空孔率は、30%〜70%の範囲であることが好ましい。ここで空孔率とは、セパレータ7の表面積に占める孔部の面積比を示す。セパレータ7の空孔率のより好ましい範囲は35%〜60%である。
非水電解質としては、液状、ゲル状または固体(高分子固体電解質)状の物質を使用することができる。液状の非水電解質(非水電解液)は、非水溶媒に電解質(例えば、リチウム塩)を溶解させることにより得られる。また、ゲル状非水電解質は、液状の非水電解質と、この液状の非水電解質が保持される高分子材料とを含む。高分子材料としては、例えば、PVDF、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレンなどが好適に使用される。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒を使用することが可能である。この非水溶媒の種類は特に限定されない。例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどが用いられる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水溶媒に溶解させる溶質には、例えばLiClO、LiBF、LiPF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類などを用いることができる。ホウ酸塩類としては、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウムなどが挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CFSONLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CFSO)(CSO))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((CSONLi)などが挙げられる。溶質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また非水電解質には、添加剤として負極6上で分解してリチウムイオン伝導性の高い被膜を形成し、充放電効率を高くすることができる材料を含んでいてもよい。このような機能を持つ添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート、3−メチルビニレンカーボネート、3,4−ジメチルビニレンカーボネート、3−エチルビニレンカーボネート、3,4−ジエチルビニレンカーボネート、3−プロピルビニレンカーボネート、3,4−ジプロピルビニレンカーボネート、3−フェニルビニレンカーボネート、3,4−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、およびジビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。なお、上記化合物は、その水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。非水溶媒に対する溶解量は、0.5モル/L〜2モル/Lの範囲内とすることが望ましい。
さらに、非水電解質には、過充電時に分解して正極5上に被膜を形成し、電池を不活性化する公知のベンゼン誘導体を含有させてもよい。このようなベンゼン誘導体としては、フェニル基およびフェニル基に隣接する環状化合物基を有するものが好ましい。環状化合物基としては、フェニル基、環状エーテル基、環状エステル基、シクロアルキル基、フェノキシ基などが好ましい。ベンゼン誘導体の具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、ベンゼン誘導体の含有量は、非水溶媒全体の10体積%以下であることが好ましい。
次に負極6の構成について説明する。負極活物質はリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な材料で構成されている。特に、充電状態における体積が放電状態における体積よりも大きく、その理論容量密度は炭素材料より大きいことが好ましい。このような負極活物質の充電状態の体積Aと、放電状態の体積Bの比A/Bは1.2以上である。また、理論容量密度は833mAh/cm以上である。このような活物質としては、ケイ素(Si)やスズ(Sn)などのように正極活物質材料よりも卑な電位でリチウムイオンを大量に吸蔵・放出可能な材料を用いることができる。このような材料であれば、単体、合金、化合物、固溶体および含ケイ素材料や含スズ材料を含む複合活物質のいずれであっても、本発明の効果を発揮させることは可能である。特に含ケイ素材料は容量密度が大きく安価であるため好ましい。すなわち、含ケイ素材料として、Si、SiO(0<x<2)、またはこれらのいずれかにB、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N、Snからなる群から選択される少なくとも1つ以上の元素でSiの一部を置換した合金や化合物、または固溶体などを用いることができる。含スズ材料としてはこの他にNiSn、MgSn、SnO(0<x<2)、SnO、SnSiO、LiSnOなどを適用できる。
これらの材料は単独で負極活物質を構成してもよく、また複数種の材料により構成してもよい。上記複数種の材料により負極活物質を構成する例として、Siと酸素と窒素とを含む化合物やSiと酸素とを含み、Siと酸素との構成比率が異なる複数の化合物の複合物などが挙げられる。この中でもSiO(0<x<2)は負極活物質としては、放電容量密度が大きく、かつ充電時の膨張率がSi単体より小さいため好ましい。その中でも容量と膨張率のバランスから0.1≦x≦1.8が好ましく、0.3≦x≦1.0がさらに好ましい。
次に負極6とその製造方法の一例を、SnO(0<x<2)を負極活物質の例として説明する。まず、負極集電体となる電解銅箔を、真空蒸着装置内(図示せず)に設置した水冷ローラに貼り付けて固定する。その水冷ローラの直下に高純度のSiを入れた黒鉛製坩堝を配置する。そして真空蒸着装置内を減圧した後、黒鉛製坩堝内のSiを電子ビームで加熱して、Siを集電体に真空蒸着(堆積)させる。このとき、蒸着と同時に真空蒸着装置内に酸素ノズルから微量の酸素を導入する。集電体片面の蒸着が終了後、さらに裏側(未蒸着面)についても同様に真空蒸着を行い、両面にケイ素酸化物(SiO(0<x<2))からなる負極活物質を薄膜形状に形成する。このようにして帯状の負極6を作製する。
ここで、図2、図3を用いてより好ましい形態の負極活物質を成膜する方法を説明する。図2は傾斜した柱状構造を有する負極活物質の製造に用いる装置の概略構成図、図3は図2の装置を用いて作製した傾斜した柱状構造を有する負極活物質を含む負極の概略断面図である。
図2に示す装置では巻き出しロール61から成膜ロール67、68を経て巻き取りロール66へと集電体15が送られる。これらのロールと蒸着ユニット64、65とは真空容器60の中に設けられている。真空容器60内は真空ポンプ62により減圧される。蒸着ユニット64、65では蒸着ソース、坩堝、電子ビーム発生装置がユニット化されている。
図3に示すように集電体15は、表面に多数の突起15Aを有する。例えば、電解めっきによりRa=2.0μmの凹凸を設けた厚さ30μmの電解銅箔を集電体15として用いる。なお、集電体15の両面に突起15Aが設けられているが、図3では片面のみを示している。
両面に真空容器60の内部は、低圧の不活性ガス雰囲気にする。例えば圧力3.5Paのアルゴン雰囲気とする。蒸着時には、電子ビーム発生装置により発生させた電子ビームを偏光ヨークにより偏光させ、蒸着ソースに照射する。この蒸着ソースには、例えばSiを用いる。なおマスク63の開口部の形状を調整することで、蒸着ユニット64、65から発生したSi蒸気が集電体15の面に垂直に入射しないようにしている。
このようにして集電体15の面にSi蒸気を供給しつつ集電体15を巻き出しロール61から巻き取りロール66へと送ることにより突起15Aを基点としてSi蒸気が堆積して活物質塊16が生成する。このときSi蒸気の入射方向と角ωをなすように酸素ノズル69を設け、酸素ノズル69から真空容器60内に酸素を導入するとケイ素酸化物からなる活物質塊16が生成する。例えば角ωを65°に設定し、純度99.7%の酸素ガスを酸素ノズル69から真空容器60内に導入し、約20nm/secの成膜速度で形成すると、集電体15の突起15Aに厚さ21μmのSiO0.4からなる柱状体である活物質塊16が生成する。なお成膜ロール67にて片面に活物質塊16を形成した後、集電体15を成膜ロール68に送り、同様の方法によりもう一方の面にも活物質塊16を形成することができる。以上のようにしてまず負極6を作製する。
なお集電体15の両面に予め等間隔に耐熱テープを貼り付けておく。成膜後このテープを剥離することによって負極リード6Aを溶接するための集電体露出部を形成することができる。
本実施の形態において負極6は集電体15の表面上に活物質塊16が強固に結合した状態であることが好ましい。特に真空蒸着法またはスパッタ法、化学気相成長法(CVD法)などに代表される真空成膜法を用いて作製した負極6が好ましい。
集電体15やリード11、端子13には、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタンなどの金属箔、炭素や導電性樹脂の薄膜などが利用可能である。さらに、カーボン、ニッケル、チタンなどで表面処理を施してもよい。
なお、上記の方法以外に、特開2003−17040号公報や特開2002−279974号公報に開示されている方法によって集電体15とその表面に設けられた複数の柱状の活物質塊16とを有する負極6を作製してもよい。ただし、集電体15の表面に対し活物質塊16を傾斜させて形成することが好ましい。あるいは集電体15の、活物質塊16を形成する面に垂直な方向において活物質塊16を波状に形成することが好ましい。
このように集電体15の表面に対し活物質塊16が傾斜するか、または活物質塊16を波状に形成することによって負極の充放電サイクル特性が改善される。明確ではないがその理由の一つとして、例えば以下のようなことが考えられる。リチウムイオン吸蔵性を有する元素はリチウムイオンを吸蔵・放出する際に膨張・収縮する。この膨張・収縮に伴って生じる応力が、集電体の15の活物質塊16を形成した面に平行な方向と垂直な方向とに分散される。そのため、集電体15の皺や、活物質塊16の剥離の発生が抑制されるため、充放電サイクル特性が改善されると考えられる。
以上いずれかの方法で作製した負極6を雰囲気炉(図示せず)中に投入し、所定の温度条件において負極6を熱処理する。このとき非酸化性雰囲気で熱処理することが好ましい。また熱処理温度は100℃以上900℃以下とすることが好ましい。この熱処理温度は負極活物質がSiOの場合であるが、他の材料を負極活物質に用いる場合も最適な温度範囲で熱処理することで同様の効果を得ることができる。
なお、負極6の熱処理は必ずしも活物質塊16の形成とは別個にして行う必要はなく、例えば活物質塊16を形成する真空蒸着装置内に加熱する経路を付与して、成膜・走行しながら加熱することで熱処理を行ってもよい。また、蒸着条件によっては活物質塊16の温度が上記温度範囲に上昇することもある。この場合、負極活物質の形成と熱処理が同時に進行する。
次に真空蒸着装置内に熱処理を施した負極6を設置し、ロッドヒータを組み込んだ銅坩堝を設置する。その中に金属リチウムを投入し、真空蒸着装置内を減圧した後、高周波溶解によって溶融させ負極6の表面にリチウムを蒸着する。負極6の片面への蒸着が終了後、さらに裏側についても同様に真空蒸着を行い、負極6の両面にリチウムを蒸着する。
これ以外に、以下の方法で負極6の負極活物質にリチウムを付与してもよい。まず真空蒸着装置を用いて、電解銅箔に上記と同様にしてリチウム真空蒸着する。このようにして得られた電解銅箔上のリチウム薄膜を、負極6表面とリチウム面とが対向するようにして接合・圧迫する。圧迫の応力は、例えば1kg/cm、圧迫の雰囲気はアルゴン雰囲気中である。このようにしてリチウムを負極6に転写する。
なお、負極6の熱処理は必ずしもリチウムの付与とは別個にして行う必要はなく、例えば上述のリチウムを蒸着する際に、リチウム蒸着を行う直前に真空蒸着装置内に加熱経路を設けて熱処理を直前に行ってもよい。あるいは、負極6を加熱しながらリチウムを蒸着してもよい。
本実施の形態では上記のように、負極6の表面上に不可逆容量を補填する目的でリチウムを付与させる際に事前に熱処理する。これにより負極6の表面でのリチウムの不均一な析出や表面への偏在、それに伴うリチウムの必要外部位への付着が防止可能となる。この理由は以下のように考えられる。
負極6を準備する際に、ステップ(1)として、真空成膜装置中において集電体15上に蒸着法あるいはスパッタ法などの成膜法を用いてSiを蒸気化させ、さらにその装置内に酸素を微量導入することによって、集電体15上にケイ素酸化物を薄膜として形成させる。しかし本手法においては、負極活物質の最表面部分に酸素リッチなケイ素酸化物の層が必ず発生する。これは装置内に発散された酸素が成膜範囲以外にも存在し、その酸素が回り込んで最表面が酸化してしまうためである。
この最表面層は内部の層と比較してリチウムと反応しにくい。そのため表面に堆積したリチウムが負極活物質の内層に拡散することが困難になる。その結果、負極6にリチウムを付与するステップ(3)中においてリチウムが表面に析出したまま搬送されることとなり、搬送途中のローラやフープ状に負極を取り込む場合、他方の面にリチウムが付着・反応してしまうことで必要な不可逆容量を補填されないという不具合が生じる。またローラなどに付着したリチウムは粘着性を有するため、最悪の場合、他の負極6と接着して搬送中の破れあるいは破断などを生じ量産性を著しく低下させる要因となる。
そこでステップ(1)とステップ(3)の間に、ステップ(2)として負極6を熱処理することにより、上記酸素リッチな最表面層の酸素を内部へ拡散させることが可能になる。その結果、負極6の負極活物質はリチウムを受け入れやすい表面構造へ変化しリチウムの表面析出や転写などの不具合を著しく低減させることが可能となる。
ステップ(2)はステップ(1)によって形成される負極活物質全てにおいて有効な手段であるが、特に集電体15上に柱状構造を有して成膜された場合、さらにその柱状構造が集電体15の厚み方向に対して傾きを有している場合に極めて有効である。柱状構造は、負極活物質の膨張・収縮に対して非常に有効であるが平滑な膜状構造に比べて表面積が大きく、その分活物質塊16の周囲には酸素リッチな最表面層が生成しやすいためである。さらに柱状構造が集電体15の厚み方向に対して傾きを有している場合、活物質塊16は集電体15に近い面の反対側の面の方が厚い酸素リッチな層を多く有する。これはステップ(1)における酸素の回り込みの影響を特に受けやすいためである。
これらの構造に対して、ステップ(2)を行うことにより酸素リッチな層から活物質内部へと酸素の拡散を行い、均質化させることでリチウムの受け入れ性向上が可能となる。
さらにこのような酸素リッチな層はリチウムを受け入れにくいばかりでなく、その層自体がリチウムと一部不可逆な反応をして、電気化学的に不活性な化合物を生成する。例えば酸化リチウムなどの無機リチウム化合物が代表的である。ステップ(2)を行うことにより事前に酸素リッチ層を減らすことでリチウムの受け入れ性を向上するばかりでなく、電気化学的に不可逆かつ不活性な化合物の生成を防ぐことで、不可逆容量の低減および不必要な被膜の生成を抑制することが可能になる。その結果、充放電サイクル特性が著しく向上する。
また柱状構造を有しかつ集電体厚み方向に対して傾きを有する活物質塊16は集電体15に近い面とその反対側の面において、含まれる酸素量が異なることが好ましい。このような構造を有することによって、充放電に伴う膨張・収縮における応力の緩和が向上するため、サイクル特性をさらに引き上げることができる。
またステップ(2)は非酸化性雰囲気で行われることが好ましい。これにより過剰な負極活物質の酸化を防ぎ、不可逆容量の増加を防ぐことが可能になる。非酸化性雰囲気として好ましくは窒素、アルゴンなどの不活性ガスまたは真空中である。
ステップ(2)は100℃以上900℃以下の温度範囲で熱処理されることが好ましい。100℃より低い温度域では充分に酸素リッチ層が拡散されない。逆に900℃より高い温度域では酸素リッチ層の拡散は進むものの、負極活物質において相分離が発生しやすい。ここで相分離とは負極活物質であるケイ素酸化物において、結晶性のケイ素単体と二酸化ケイ素の2相に分離することを指す。このような状態になると二酸化ケイ素の生成により電子伝導性が低下する。また結晶性ケイ素単体自体の反応可逆性が低い。このためさらに急激に電池特性が低下する。特に好ましくは300℃以上600℃以下で熱処理することである。
またステップ(3)では、真空雰囲気中でリチウムを溶解し、負極6の表面上に蒸着する方法によって負極の不可逆容量を補填することが好ましい。この手法は数μm〜10数μmの厚みに相当するリチウムを負極表面に成膜するのに最も適している。さらにステップ(3)におけるリチウム付与量を負極活物質の不可逆容量を補填する量に相当するようにすることが好ましい。このようにリチウム付与量を制御することにより、負極活物質の高容量密度を活用することができるとともに、不要なリチウムが負極上に残留しない。
あるいは非酸化性雰囲気中でリチウム薄膜と負極6とを対向して接合し、リチウムを転写することによってリチウムを付与しても上述と同様に不可逆容量を補填することが可能である。
なお本発明の非水電解質二次電池は、負極活物質に特徴を有し、他の構成要素は特に制限されない。
以下、本実施の形態の具体的な実施例について説明する。
(1)負極の作製
サンプルA1の負極6は以下のようにして作製した。まずSi(純度99.999%、インゴット)を黒鉛製坩堝の中に入れた。集電体となる厚さ20μmの電解銅箔を、前述の真空蒸着装置内に設置した水冷ローラに貼り付けて固定した。その水冷ローラの直下にSiを入れた黒鉛製坩堝を配置し、これを電子ビームで加熱して、Siを集電体シートに真空蒸着させた。このとき、蒸着と同時に真空蒸着装置内に酸素ノズルから酸素を30sccm導入した。蒸着条件は、加速電圧−8kV、電流30mAとした。真空度は3×10−3Paとした。
集電体片面の蒸着が終了後、さらに裏側についても同様に真空蒸着を行い、両面に活物質の薄膜を形成した。この薄膜のX線回折分析を行ったところ、集電体である銅に帰属される結晶性のピークが観察され、さらに15°≦2θ≦40°の位置にブロードなピークが検出された。この結果から、成膜した活物質は非晶質であることが判明した。負極6の片面あたりの活物質薄膜の厚さは約15μmであった。またこの負極活物質について含有酸素量を燃焼法によって調べたところSiO0.35であることが判明した。またこの負極の断面を観察したところ、負極活物質が集電体上に均一に成膜されており、特に表面から0.8μmの範囲で酸素リッチな層が形成されていることが判明した。
(2)負極の熱処理
負極ロールの巻き出し・巻き取りが可能な装置を内部に備えた雰囲気炉中に負極6を投入し、80℃において負極6の熱処理を行った。温度以外の条件については、昇温速度を10℃/分、設定温度維持時間(熱処理時間)を1時間とし、炉内はアルゴンを1リットル/分の流速で流すことで雰囲気を制御した。
(3)負極へのリチウム付与
真空蒸着装置内にステップ(2)を経た負極6を設置し、黒鉛製坩堝の代わりにロッドヒータを組み込んだ銅坩堝を設置した。その中に金属リチウムを投入し、高周波溶解によって溶融させ負極6の表面にリチウムを蒸着した。設定条件として装置内の真空度を3×10−3Pa、坩堝の温度を550℃で安定になるようにヒータを制御して蒸着した。
負極6の片面の蒸着が終了後、さらに裏側についても同様に真空蒸着を行い、負極6の両面にリチウムを蒸着した。負極6のICP分析を行ったところ、片面あたり約7μmのリチウムが付与されていることが判明した。このリチウム量は事前に負極6に対して対極に金属リチウムを用いて行った充放電試験で得られた負極6の不可逆容量に相当する。
ステップ(3)の処理を行った負極6は全て露点−60℃以下のドライ雰囲気で扱い、保存した。
(4)正極の作製
コバルト酸リチウム(LiCoO)粉末85重量部に、導電剤のアセチレンブラック10重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量部とを混合した。これらを脱水N−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状の正極合剤を調製した。この正極合剤をアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、乾燥後、圧延し、所定寸法に裁断して、正極5を作製した。
(5)非水電解液の調整
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:3の混合溶媒に1wt%のビニレンカーボネートを添加し、さらに1.0モル/Lの濃度でLiPFを溶解し、非水電解液を調製した。
(6)円筒形電池の作製
上述のように作製した正極5の集電体にアルミニウム製の正極リード5Aを取り付け、負極6の集電体にニッケル製の負極リード6Aを取り付けた。その後、セパレータ7を介して正極5、負極6を捲回し、電極群9を構成した。電極群9の上部には上部絶縁板8A、下部には下部絶縁板8Bを配した。次いで負極リード6Aをケース1に溶接するとともに、正極リード5Aを内圧作動型の安全弁を有する封口板2に溶接して、ケース1の内部に収納した。その後、ケース1の内部に非水電解液を減圧方式により注入した。最後に、ケース1の開口端部を、ガスケット3を介して封口板2にかしめることにより電池を完成させた。得られた円筒形電池の電池容量は2000mAhであった。
サンプルA2〜A9の負極6はサンプルA1において、熱処理温度を100℃〜1000℃の間の所定の温度に変えた。それ以外はサンプルA1と同様にして各サンプルの電池を作製した。
また比較のためのサンプルとして負極6の熱処理工程を行わなかった以外、電池A1と同様にしてサンプルXの電池を作製した。
(7)リチウム付与後の電極評価
リチウム付与の手順を終了後、負極6をドライエア中で取り出し、その外観を目視によって評価した。その結果を(表1)に示す。
Figure 2008124007
その結果、全く熱処理しなかったサンプルXの負極6、熱処理温度が100℃未満だったサンプルA1の負極6については負極6の表面上にリチウムが多量に析出していた。そのため、装置内で搬送中にリチウムがロールなどに付着し他の負極6の表面と接着してしまうことでの極板切れが多発した。また100℃で熱処理したサンプルA2については表面の一部にリチウムの析出が見られたが、真空蒸着装置内を搬送する際にロールなどに付着することもなく、また上述のような円筒形電池を組み立てる際にも問題を生じなかった。
(8)電池の評価
以上のようにして得られたサンプルA1〜A9、サンプルXの各電池を用い、初回放電容量およびサイクル維持率について評価した。
初回の充放電では、まず電流を700mAとし、終止電圧4.1Vまで定電流充電した。その後、700mA、終止電圧2.5Vの条件で放電した。次に1400mAの電流で終止電圧4.2Vまでの定電流充電を行った後、さらに4.2Vの定電圧で電流値が100mAに低下するまで充電した。そして2000mAの電流で終止電圧2.0Vとして定電流放電した。このときの放電容量を初回放電容量とした。また初回放電容量を100%として、上記充放電条件で300サイクルを経過した電池の容量維持率を算出し、サイクル維持率とした。得られた結果を(表2)に示す。
Figure 2008124007
(表2)に示されるように、サンプルXでは負極6の全面にリチウムが析出してしまったため上述のように極板切れなどの要因から電池を組み立てることさえもできなかった。これに対し、サンプルA1〜A9においては全ての電池において放電容量を確認できた。
しかしサンプルA1、A9においては放電容量が設計放電容量である2000mAhから乖離しており、サンプルA2においてはわずかに2000mAhに達しなかった。これはサンプルA1、A2においては負極6に付与したリチウムが剥がれなどによって全て不可逆容量の補填に用いられなかったためである。サンプルA3〜A8においてはいずれも設計放電容量の2000mAhを達成しており、リチウムが全て不可逆容量の補填に費やされたと考えられる。
また、それぞれの電池においてサイクル維持率を見てみると、サンプルA2〜A8に比べてサンプルA1、A9の維持率が低いことが判明した。これらの電池を分解して負極6の表面を観察したところサンプルA1においては負極6の表面の広範囲にリチウムが析出しており正極5との充放電反応を妨げていた。この部分は付与したリチウムが析出した部分と同じ位置であり、電池を組み立てた後も負極6の表面上に析出したリチウムは溶解・拡散せず悪影響を及ぼすことが判明した。逆にサンプルA9においては析出が見られなかったが、非常に負極6の表面の膨張が不均一であることがSEM観察から判明した。また一部の負極活物質は集電体から剥落していることが観察された。サンプルA9の負極活物質に対してX線分光分析を行ってみたところ結晶性のケイ素および非晶質な化合物の存在が明らかになった。上記解析よりサンプルA9においては高温で熱処理したためにケイ素と二酸化ケイ素との相分離が発生したと想定される。そのため、リチウムの吸蔵が不均一になってしまい膨張しすぎた活物質では剥離が発生したものと考えられる。このため初回の放電容量も他の電池に比べ低くなったものと考えられる。
以上より負極6の熱処理条件として、電池特性の観点から100℃以上900℃以下の範囲で良好な特性が得られることが判明した。特に300℃以上600℃以下の範囲で高容量かつ長寿命な電池が得られる。
次に図3に示すように、活物質塊16を集電体15の厚み方向に対して傾きを有するように形成した場合について説明する。サンプルB1〜B9の負極6の作製では、図2で示した装置を用い、図3に示した集電体15を用いた。このとき、酸素を30sccm導入した状態で真空容器60内部の圧力を0.2Paに制御して行った。また集電体15には電着により粗面化した厚さ30μmの銅箔を用いた。
これにより集電体15上にSiO0.35に制御された負極活物質を成膜した。このケイ素酸化物は図3に示すように傾斜した柱状構造を有する活物質塊16から構成されていた。柱の平均直径は5μm、高さは18μmであることがSEM観察から判明した。またこの柱の、集電体15を向いた面と反対側の面とを比較した場合、反対側の面の方に酸素リッチな層が厚み約1.2μmほど付着していることが判明した。この柱の長軸方向と集電体15に対する垂直線との角度は20°であった。またこの負極活物質の酸素量は燃焼法により測定した。これ以外はサンプルA1〜A9と同様して各サンプルの電池を作製した。すなわち、サンプルB1〜B9の電池ではそれぞれ負極6の熱処理温度が異なっている。
また比較のためのサンプルとして負極6の熱処理工程を行わなかった以外、電池B1と同様にしてサンプルYの電池を作製した。
リチウム付与の手順を終了後、負極6をドライエア中で取り出し、その外観を目視によって評価した。その結果を(表3)に示す。また電池特性評価の結果を(表4)に示す。
Figure 2008124007
Figure 2008124007
(表3)に示すように基本的にはサンプルB1〜B8、サンプルYでもサンプルA1〜A8、サンプルXと同様の傾向がリチウム付与後の負極6に見られた。また電池特性についても(表4)に示すように同様の傾向であった。
なお、サンプルA1〜A8とサンプルB1〜B8とを比較すると、同じ処理条件では後者のサンプルの電池の方が、高いサイクル維持率を示した。それぞれの充放電サイクル試験後の電池を分解して負極6の厚みを測定すると、サンプルA1〜A8では電池組立前に比べて1.6倍、サンプルB1〜B8では1.3倍に膨張していることが判明した。この違いはサンプルB1〜B8では活物質塊16が柱状構造を有しているため、その廻りの空間に活物質塊16が膨張することができ、活物質層の厚み方向に極端に膨張が進まなかったためと考えられる。その結果、セパレータ7への圧縮や非水電解液の押し出しなどの不具合を起こしにくく、サイクル特性が良好だったと考えられる。
次に負極6にリチウムを付与するステップ(3)を蒸着以外の方法で行った場合について説明する。サンプルC1〜C9、サンプルZの負極6の作製では、負極6の不可逆容量を補填するために以下の方法によってリチウムを負極6に付与した。
まず真空蒸着装置を用いて、厚み12μmの電解銅箔上にリチウムを成膜した。成膜条件はサンプルA1における負極へのリチウム付与と同様である。このようにして作製した電解銅箔上のリチウム薄膜のリチウム面と、サンプルB1〜B9、サンプルYと同様に作製したリチウム付与前の負極6の表面とが対向するようにしてアルゴン雰囲気中で接合・圧迫した。圧迫時の応力は1kg/cmである。圧迫後、負極6をロール状に巻き取り、真空雰囲気中で85℃、12時間保存し、その外観を目視によって評価した。その結果を(表5)に示す。
Figure 2008124007
(表5)より明らかなように、リチウムの付与方法を変えても(表1)や(表3)と同様の傾向が見られた。すなわち、熱処理温度が100℃以下であるサンプルC1、C2およびサンプルZの負極6では保存後にも負極6の表面に析出したリチウムが見られた。またこのようなリチウムが残存した場所では電解銅箔も負極6に接合したままであり、引き剥がす必要があった。
次にこれらの負極6を用いてサンプルA1と同様に電池を作製し、評価した結果を(表6)に示す。
Figure 2008124007
(表6)でもサンプルB1〜B9、サンプルYと同様の結果が得られた。すなわち、サンプルC1、C2、C9、Zの電池では放電容量が低く、かつサイクル維持率も低いことが判明した。サンプルC1、C2、Zにおいては上述同様リチウムの析出が原因になっており、サンプルC9においては負極自体が熱処理によって相分離しているため電池特性が低下していると想定される。
これらの結果から、負極の不可逆容量を補填する目的でリチウムを付与する場合の手法は、リチウムを蒸着する方法に限定されない。いったんリチウムの薄膜を形成させた後、負極に転写する手段も有効である。この転写においても転写前に負極を熱処理することは非常に有効である。
次にリチウム付与前の負極を熱処理するステップ(2)における炉内雰囲気を変化させた場合について説明する。サンプルD1、D2、D3の負極6の作製では、熱処理時の炉内雰囲気をアルゴンに代えてそれぞれ窒素、ドライエア、真空とした。具体的には、サンプルD1では99.99%の窒素、サンプルD2では露点−60℃のドライエア雰囲気とし、それぞれ1リットル/分の流量で雰囲気ガスを流した。サンプルD3では10Paの空気雰囲気とした。これ以外はサンプルB4と同様にしてそれぞれ負極6を作製した。さらにこのように熱処理した負極6を用いて電池を作製した。
リチウム付与の手順を終了後、負極6をドライエア中で取り出し、その外観を目視によって評価した。その結果を(表7)に示す。また電池特性評価の結果を(表8)に示す。
Figure 2008124007
Figure 2008124007
熱処理雰囲気を窒素、真空と非酸化性雰囲気としたサンプルD1、D3では問題は発生しなかった。ドライエアとしたサンプルD2では、負極6の表面にリチウムの偏在が観察された。この負極についてSEM観察を行ったところ、負極活物質表面にさらに多くの酸素リッチ層が形成されており、その厚みは2.3μmとなっていた。この酸素リッチ層がリチウムの拡散を阻害しているものと考えられる。これらの結果より、熱処理雰囲気として非酸化性雰囲気を選択することが重要であることが判明した。
なお、上記実施例では円筒形の電池を用いたが、角形などの形状の電池を用いても同様の効果が得られる。
本発明の製造方法により作製した負極を用いた非水電解質二次電池は、高容量かつ長寿命である。したがってこの非水電解質二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラなどの電子機器の駆動源、さらには高出力を要求される電力貯蔵用や電気自動車の電源として有用である。上記のような非水電解質二次電池を製造する上で本発明は非常に重要でありかつ有効な手段である。
本発明の実施の形態による円筒形非水電解質二次電池の縦断面図 本発明の実施の形態において傾斜した柱状構造を有する負極活物質の製造に用いる装置の概略構成図 本発明の実施の形態において傾斜した柱状構造を有する負極活物質を含む負極の概略断面図
符号の説明
1 ケース
2 封口板
3 ガスケット
5 正極
5A 正極リード
6 負極
6A 負極リード
7 セパレータ
8A 上部絶縁板
8B 下部絶縁板
9 電極群
15 集電体
15A 突起
16 活物質塊
60 真空容器
61 巻き出しロール
62 真空ポンプ
63 マスク
64,65 蒸着ユニット
66 巻き取りロール
67,68 成膜ロール
69 酸素ノズル

Claims (14)

  1. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水電解質二次電池用の負極の製造方法であって、
    集電体上に負極活物質を堆積させて前記負極を作製するステップ(1)と、
    前記負極を熱処理するステップ(2)と、
    前記ステップ(2)の後に前記負極活物質にリチウムを付与するステップ(3)と、を備えた非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  2. 前記ステップ(1)において、前記負極活物質を前記集電体上に柱状構造を有する複数の負極活物質塊として形成する請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  3. 前記負極活物質塊を前記集電体の厚み方向に対して傾きを有するように形成する請求項2記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  4. 前記ステップ(1)において、前記集電体の、前記負極活物質塊を形成する面に垂直な方向において前記負極活物質塊を波状に形成する請求項2記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  5. 前記ステップ(2)を非酸化性雰囲気で行う請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  6. 前記ステップ(1)にて、真空成膜法によってケイ素を堆積させ、かつその際に酸素を導入することでケイ素を含む酸化物を前記負極活物質として前記集電体上に堆積させる請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  7. 前記ステップ(2)を100℃以上900℃以下の範囲で、かつ非酸化性雰囲気で行う請求項6記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  8. 前記ステップ(3)において、真空雰囲気中でリチウムを溶解し、前記負極の表面上に蒸着する請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  9. 前記ステップ(3)において、非酸化性雰囲気中で前記負極にリチウム箔を対向させて接合し、リチウムを転写する請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  10. 前記ステップ(1)と前記ステップ(2)を同一容器内で行う請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  11. 前記ステップ(2)と前記ステップ(3)を同一容器内で行う請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  12. 前記ステップ(1)にて前記負極活物質を薄膜形状に形成する請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  13. 前記ステップ(3)におけるリチウム付与量は前記負極活物質の不可逆容量を補填する量に相当する請求項1記載の非水電解質二次電池用の負極の製造方法。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の製造方法で製造した負極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極と、前記正極と前記負極との間に介在する非水電解質と、を備えた非水電解質二次電池。
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