JP2008121581A - エンジンの触媒劣化診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1ドライビングサイクルにおける触媒劣化診断の機会を多く確保できると共に、診断精度の向上を実現する。
【解決手段】上流空燃比センサ10の出力値Vfの変化量を積算して上流センサ変化量積算値Vsfを算出し(S4)、又触媒温度Tcに基づき下流O2センサ11の出力値Vrに対する触媒浄化ウインドウ幅Vwを設定する(S5)。次いで下流空燃比センサ11の出力値Vrの出力変化量ΔVrと触媒浄化ウインドウ幅Vwとを比較し(S7)、ΔVr≧Vwのときは、その差分(ΔVr−Vw)を積算して下流センサ変化量積算値Vsrを算出する(S8)。そして両センサ変化量積算値Vsr,Vsfから劣化診断値(Vsr/Vsf)を算出し、この劣化診断値(Vsr/Vsf)がしきい値αを越えているときは(Vsr/Vsf>α)、触媒8が劣化していると判定する。
【選択図】図2
【解決手段】上流空燃比センサ10の出力値Vfの変化量を積算して上流センサ変化量積算値Vsfを算出し(S4)、又触媒温度Tcに基づき下流O2センサ11の出力値Vrに対する触媒浄化ウインドウ幅Vwを設定する(S5)。次いで下流空燃比センサ11の出力値Vrの出力変化量ΔVrと触媒浄化ウインドウ幅Vwとを比較し(S7)、ΔVr≧Vwのときは、その差分(ΔVr−Vw)を積算して下流センサ変化量積算値Vsrを算出する(S8)。そして両センサ変化量積算値Vsr,Vsfから劣化診断値(Vsr/Vsf)を算出し、この劣化診断値(Vsr/Vsf)がしきい値αを越えているときは(Vsr/Vsf>α)、触媒8が劣化していると判定する。
【選択図】図2
Description
本発明は、エンジンの排気系に介装された触媒の上流と下流とにそれぞれ空燃比検出手段を配設し、両空燃比センサの出力値に基づいて触媒の劣化を診断するエンジンの触媒劣化診断装置に関する。
従来から、エンジンの排気通路に介装されている触媒の下流側に空燃比センサ(下流空燃比センサ)を配設し、この下流空燃比センサの出力値と、触媒の上流側に配設されている空燃比センサ(上流空燃比センサ)の出力値とを比較して、触媒が劣化しているか否かを調べる触媒劣化診断装置が知られている。
例えば、特許文献1(特開平10−331627号公報)に開示されている触媒劣化診断装置では、所定時間毎に、触媒の上流に配設されている空燃比センサ(上流空燃比センサ)の出力電圧の変化量の絶対値と下流空燃比センサの出力電圧の変化量の絶対値とを各々積算し、両積算値の比を予め設定したしきい値と比較して触媒の劣化を診断することで、触媒の劣化に伴う両空燃比センサの出力波形の差を簡単且つ正確に捕捉して触媒に対する劣化診断精度を向上させるようにしている。
特開平10−331627号公報
ところで、上流空燃比センサの出力値は、排気ガス中の実際の空燃比を示すパラメータとして空燃比フィードバック制御に用いられており、上流空燃比センサで検出した実際の空燃比が目標空燃比となるように、燃料噴射量等をフィードバック制御する。
触媒として多く採用されている三元触媒は、空燃比がほぼ理論空燃比のときにHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)を酸化し、且つNOx(窒素酸化物)を還元する機能を有するが、空燃比が理論空燃比から多少ずれたとしても、三元触媒は、いわゆるO2ストレージ効果により、空燃比がリーンのときには、その際に貯蔵した排気中の過剰酸素によってNOxを還元し、空燃比がリッチになると排気中の未燃HC,COが三元触媒内の酸素を奪い、これにより未燃HC,COが酸化される。
従って、空燃比制御においては、触媒の浄化能力を維持することのできる範囲(以下「触媒浄化ウインドウ」と称する)内で空燃比を振れさせることで、O2ストレージ効果による三元触媒中の酸素の吸脱作用を最大限に発揮させて、高い浄化能力を達成させるようにしている。
ところが、空燃比を振れさせると、下流空燃比センサの出力値が、外気温度の低下などの外乱の影響を受けて刻みに変動し易くなる。上述した特許文献1に開示されている技術では、下流空燃比センサの出力変化量の絶対値を積算した値が診断時間の経過と共に増加するので、下流空燃比センサの出力値が小刻みに振れると、この出力変化量の積算値が急激に増加し、この積算値と上流空燃比センサの出力変化量の絶対値を積算した値との比が大きくなってしまう。その結果、実際には触媒が正常であるにも拘わらず、劣化していると誤判定してしまう可能性がある。この誤判定を防止する対策として、劣化診断のしきい値を上げることも考えられるが診断精度が低下してしまうため、好ましくない。
下流空燃比センサで検出した出力値が触媒浄化ウインドウ内で小刻みに振れる現象は、通常運転においても検出されるため、診断精度を高めるためには、触媒劣化診断を比較的長時間継続させて、下流空燃比センサの出力値を平均化させ、平均化された積算値と上流空燃比センサの出力値の絶対値の積算値との比を算出する必要がある。しかし、診断時間を長く設定した場合、走行中の運転領域の変動により、診断が中止され或いは中断される確率が高くなり、触媒劣化診断の機会が減少してしまう不都合がある。
一方、触媒が正常であっても、下流空燃比センサの出力値が大きく変動することにより劣化と誤判定してしまう場合もある。すなわち、長期アイドル状態にあるアイドル放置や長時間の燃料カット状態では触媒温度が低く、触媒が活性不足状態にあるため、このような状態から発進或いは燃料リカバリーが行われると、触媒が充分に活性化するまでの間、下流空燃比センサの出力値は大きく変動する。又、定常走行からの急加速においても、燃料の噴射遅れにより下流空燃比センサの出力値が大きく変動する。
触媒劣化診断に際しては、上述したような下流空燃比センサの出力値が大きく変動する運転領域を除くことも考えられるが、このような運転領域を除いた場合、市街地走行等のように、信号待ち、及び渋滞等で車両の発進と停止とが繰り返される運転領域では、1ドライビングサイクル(イグニッションスイッチをONしてからOFFして次にイグニッションスイッチをONするまでの間)中の診断の機会が少なくなってしまう可能性が高くなる。
本発明は、上記事情に鑑み、1ドライビングサイクルにおける診断の機会を多く確保できるようにすると共に、高精度な劣化診断を行うことのできるエンジンの触媒劣化診断装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明は、エンジンの排気系に介装した触媒の上流と下流とに上流空燃比検出手段と下流空燃比検出手段とを各々配設し、該両空燃比検出手段で検出した上流空燃比検出値の変化量と下流空燃比検出値の変化量とを算出して上流空燃比変化量積算値と下流空燃比変化量積算値とを各々算出し、両空燃比変化量積算値の比に基づいて触媒の劣化を診断するエンジンの触媒劣化診断装置において、前記上流空燃比変化量積算値を算出する上流空燃比変化量積算値算出手段と、前記下流空燃比検出値に対し、予め設定した排気ガス浄化率が得られる触媒浄化ウインドウ幅を設定するウインドウ幅設定手段と、前記下流空燃比検出値が前記触媒浄化ウインドウ幅を越えている場合、該下流空燃比検出値と該触媒浄化ウインドウ幅との差の絶対値を積算して前記下流空燃比変化量積算値を算出する下流空燃比変化量積算値算出手段と、前記下流空燃比変化量積算値算出手段を前記上流空燃比変化量積算値算出手段で除算して算出した劣化診断値に基づき前記触媒の劣化を診断する劣化診断手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、下流空燃比検出値に触媒浄化ウインドウ幅を設定し、この触媒浄化ウインドウ幅から外れている下流空燃比検出値のみを積算して下流空燃比変化量積算値を算出するようにしたので、触媒浄化ウインドウ幅内で下流空燃比検出値が小刻みに振れても下流空燃比変化量積算値は増加されず、従って、正常な触媒では劣化診断値が0に近い値を示す。そのため、外乱等の影響による誤診断が防止されるため高精度な劣化診断を行うことができる。又、下流空燃比検出値が触媒浄化ウインドウ幅内にあるときは、その値が除外されるので、下流空燃比検出値が平均化するまで劣化診断を継続させる必要が無くなり、結果として、1ドライビングサイクルにおける診断の機会を多く確保することができる。
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1に触媒劣化診断装置を備えたエンジンの概略構成図を示す。
同図の符号1はエンジンで、吸気系は、エンジン1の吸気ポート1aに吸気マニホルド2を介して吸入管3が連通され、この吸入管3の最上流にエアクリーナ(図示せず)が設けられている。又、吸入管3の中途にスロットル弁4が介装され、このスロットル弁4の下流に、吸気マニホルド2の集合部に接続するエアチャンバ5が形成されている。更に、吸気マニホルド2に噴射方向が吸気ポート1a側へ指向されたインジェクタ6が固設されている。一方、排気系は、エンジン1の排気ポート1bに排気管7が連通され、この排気管7の中途に、排ガス中の有害成分(CO,HC,NOx)を浄化する触媒(三元触媒)8が介装されて、図示しないマフラに連通されている。
又、吸入管3に形成されたエアチャンバ5に、スロットル弁4下流の吸入管圧力Pmを絶対圧で検出する吸入管圧力センサ9が配設されている。一方、排気管7の触媒8の上流側に、上流空燃比検出手段の一例であり排ガス中の空燃比に比例した電圧を出力する広域空燃比センサ(以下「上流空燃比センサ」)10が配設され、下流側に、下流空燃比検出手段の一例であり排ガス中の空燃比のリッチ/リーンを検出して電圧値を反転させる下流O2センサ11が配設されている。尚、符号12は点火プラグである。
又、符号21はマイクロコンピュータ等からなる電子制御装置(ECU)で、このECU21の入力側に、吸入管圧力センサ9で検出した吸入管圧力Pm、上流空燃比センサ10で検出した、上流空燃比検出値を示す上流センサ出力値Vf[V]、下流O2センサ11で検出した、下流空燃比検出値を示す下流センサ出力値Vr[V]、及び回転数センサ(図示せず)で検出したエンジン回転数Ne[rpm]、水温センサ(図示せず)で検出した冷却水温TW[℃]等の情報が入力される。又、このECU21の出力側に、インジェクタ6が接続されている。ECU21では、これら各センサ・スイッチ類から出力される情報に基づき空燃比制御、点火時期制御等の各種制御を行う。
空燃比制御では、触媒8の上流に設けられている上流空燃比センサ10で検出した上流空燃比検出値を示す上流センサ出力値Vfと、下流に設けられている下流O2センサ11で検出した下流空燃比検出値を示す下流センサ出力値Vrとに基づき、実際の空燃比を目標空燃比に収束させる空燃比フィードバック制御を実行する。
又、ECU21は、触媒8の劣化診断を行う触媒劣化診断装置としての機能を有している。この触媒劣化診断は、診断条件成立時における上流空燃比センサ10で検出した上流センサ出力値Vfと下流O2センサ11で検出した下流センサ出力値Vrとを読込み、上流センサ出力値Vfの変化量の絶対値から出力変化量ΔVfを算出し、この出力変化量ΔVfを積算して上流空燃比変化量積算値である上流センサ出力変化量積算値Vsfを求める。更に、下流センサ出力値Vrの、触媒浄化ウインドウ幅Vw[V]から外れている変化量の絶対値から出力変化量ΔVrを算出し、この出力変化量ΔVrを積算して下流空燃比変化量積算値である下流センサ出力変化量積算値Vsrを求める。そして、両センサ出力変化量積算値Vsr,Vsfの比から劣化診断値Vsr/Vsfを求め、この劣化診断値Vsr/Vsfと予め設定されているしきい値αとを比較し、(Vsr/Vsf)>αのときは、触媒8が劣化していると判定する。
ECU21で実行される触媒劣化診断は、具体的には、図2、図3に示すフローチャートに従って処理される。
イグニッションスイッチをONすると、図2に示す触媒劣化診断ルーチンが所定演算周期毎に実行され、先ず、ステップS1で触媒劣化診断を開始する診断条件を判定する。診断開始条件を判定するパラメータは、例えばエンジン始動後の経過時間、エンジン回転数Ne、冷却水温TWであり、エンジン始動後の経過時間が診断時間に達し、且つエンジン回転数Neが設定回転数以上であり、且つ冷却水温TWが設定温度以上の場合、診断条件成立と判定する。又、上述した診断条件の1つでも満足されなかった場合、診断条件不成立と判定する。
診断条件成立と判定された場合はステップS2へ進み、診断条件不成立と判定された場合はステップS13へジャンプする。ステップS13では、後述する経過時間Tim、上流センサ出力変化量積算値Vsf、下流センサ出力変化量積算値Vsrを共にクリアし(Tim←0,Vsf←0,Vsr←0)、ルーチンを抜ける。
一方、ステップS2へ進むと、上流空燃比センサ10で検出した、排気ガス中の実際の空燃比を示す出力値(以下「上流センサ出力値」)Vf、及び下流O2センサ11で検出した、触媒8を通過した後の空燃比を示す出力値(以下「下流センサ出力値」)Vrを読込む。
そして、ステップS3で、上流センサ出力値Vfの出力変化量ΔVfを、設定空燃比(例えば、理論空燃比λ)を示す出力値Vfoを基準値とし、この基準値(Vfo)と上流センサ出力値Vfとの差の絶対値|Vf−Vfo|から算出する(ΔVf←|Vf−Vfo|)。次いで、ステップS4へ進み、図示しない記憶手段に記憶されている上流センサ出力変化量積算値Vsfを、この上流センサ出力変化量積算値Vsfに出力変化量ΔVfを加算した値で更新する(Vsf←Vsf+ΔVf)。尚、診断条件成立後、最初のルーチン実行時の上流センサ出力変化量積算値Vsfは0である。又、このステップS4での処理が上流空燃比変化量積算値算出手段に対応している。
その後、ステップS5へ進み、下流センサ出力値Vrの触媒浄化ウインドウ幅Vw[V]を設定する。この触媒浄化ウインドウ幅Vwは、図3に示す触媒浄化ウインドウ設定サブルーチンに従って設定される。尚、このステップS5での処理がウインドウ幅設定手段に対応する。
このサブルーチンでは、先ず、ステップS21で、吸入管圧力Pmを読込み、続く、ステップS22で、この吸入管圧力Pmに基づき触媒温度Tc[℃]を、テーブル参照、或いは演算により設定する。従って、本実施形態では、吸入管圧力センサ9が触媒温度検出手段として機能する。尚、触媒温度Tcは、触媒温度Tcと因果関係のあるパラメータに基づいて推定できれば良い。すなわち、吸入空気量から触媒温度Tcを推定する場合は、図示しない吸入空気量センサが触媒温度検出手段となる。或いは、吸入管圧力Pm若しくは図示しない吸入空気量センサで検出した吸入空気量とエンジン回転数とをパラメータとして、マップ参照により触媒温度Tc[℃]を推定する場合は、吸入管圧力センサ若しくは吸入空気量センサとエンジン回転数(クランク角)センサとで、触媒温度検出手段が構成されることになる。或いは、排気ガス温度から触媒温度Tcを推定する場合は、排気温センサが触媒温度検出手段となる。勿論、触媒温度センサを用いて触媒温度Tcを直接検出するようにしても良い。
そして、ステップS23へ進み、触媒温度Tcと、触媒下限温度Tcl及び触媒上限温度Tchとを比較する。図4に示すように、この触媒下限温度Tcl及び触媒上限温度Tchとは、触媒温度Tcの診断領域の下限と上限とを規定するもので、触媒8の活性領域よりも若干広い範囲に設定されている。アイドル運転領域では触媒8の温度が低下して活性不足となり、一方高負荷運転領域では、排気ガス温度が高温化し過ぎるため、触媒劣化診断には適さないが、触媒8が充分に活性されていない領域、及びある程度の高温化された領域であっても、触媒劣化診断を行うことができる領域は存在する(図4のハッチングで示す領域)このような領域においても劣化診断を行うことで、診断の機会を多く確保することができる。
そして、触媒温度Tcが、触媒下限温度Tclと触媒上限温度Tchとの間にあるとき(Tcl≦Tc≦Tch)は、触媒温度条件が満足されていると判定し、ステップS24へ進む。一方、触媒温度Tcが触媒下限温度Tclより低い(Tcl<Tcl)、或いは触媒上限温度Tchより高い(Tc<Tch)と判定されたときは、触媒温度条件が満足されていないため、ルーチンを抜け、図2のステップS13へ進む。
ステップS24へ進むと、触媒温度Tcに基づき、図4に示す触媒浄化ウインドウ幅設定テーブルを補間計算付きで参照して、触媒浄化ウインドウ幅Vw[V]を設定し、ルーチンを抜け、図2のステップS6へ進む。
図4に示す触媒浄化ウインドウ幅設定テーブルに格納されている触媒浄化ウインドウ幅Vw[V]の特性は、触媒8及び下流O2センサ11の温度特性に基づいて物理的に決定される。又、この触媒浄化ウインドウ幅Vw[V]は、予め設定されている目標空燃比(本実施形態では、理論空燃比:λ=1.0)に対応する出力値Vro[V]を基準値0として+方向のみ設定されている。尚、本実施形態では、触媒浄化ウインドウ幅Vw[V]の特性を基準値に対して+方向と−方向とで同じ幅に設定しているが、基準値に対して+方向と-方向とで別々の大きさに設定してもよい。
ここで、触媒浄化ウインドウ幅Vw[V]の特性について説明する。例えば正常な触媒8の活性領域を、排気ガス浄化率が95%以上の領域と設定した場合、当該排気ガス浄化率を得ることのできる触媒温度Tcは、触媒8の特性から物理的に導き出すことができる。すなわち、触媒8の最も浄化能力が発揮される触媒温度Tcを、例えば350[℃]とした場合、その前後の温度領域において、排気ガス浄化率が95%まで低下する触媒温度Tcを求め、その温度範囲を活性領域として設定する。一方、触媒8からNMHC(非メタン炭化水素)やNOx等の有害物質が排出されない領域であれば、触媒温度Tcが活性領域を外れても、診断領域として設定することが可能であり、このような有害物質の排出が抑制される排気ガス浄化率を有する領域(例えば排気ガス浄化率85%以上)を示す温度範囲を診断領域として設定する。
一方、触媒8が活性領域にある状態では、下流O2センサ11も当然活性しているので、この領域の触媒浄化ウインドウ幅Vwは最小値Vwl(例えば0.1[V])にて狭く設定する。触媒8が活性している領域の触媒浄化ウインドウ幅Vwを狭くすることで、高い診断精度を得ることができる。一方、活性領域を外れたアイドル側の診断領域では、燃焼温度が低く、排気ガス温度が低下するため、下流O2センサ11の検出感度が鈍くなるので、触媒浄化ウインドウ幅Vwを触媒温度の低下に応じて最大値Vwh(例えば0.25[V])まで広げる。同様に、高負荷側の診断領域では、排気ガス温度が高いため、下流O2センサ11が高温化されて検出感度が鈍くなることと吹き抜けの影響により下流センサ出力値Vrが小刻みに振れるので、触媒浄化ウインドウ幅Vwを触媒温度の上昇に応じて最大値Vwhまで広げる。触媒8が活性領域から外れた診断領域では、触媒浄化ウインドウ幅Vwを広く設定することで、触媒劣化の診断精度を高めることができる。
この場合、触媒8が活性領域から外れた診断領域(図4のハッチングで示す領域)では、触媒劣化診断を行わないようにすると、例えば触媒8の温度が低く活性不足気味のアイドル状態から、アクセルペダルを踏み込んで発進させても、触媒8が直ちに活性されず、触媒温度条件が満足されないため、触媒8が活性するまでの時間(約1〜2[min]程度)は、触媒劣化診断を行うことができなくなる。その結果、信号待ち、及び渋滞等により発進と停止を繰り返す市街地走行では、1ドライビングサイクル(イグニッションスイッチをONしてからOFFして次にイグニッションスイッチをONするまでの間)中における診断の機会が極端に少なくなってしまう。
これに対し、本実施形態では、触媒8の診断領域を活性領域よりも広く確保し、しかも活性領域から外れた診断領域では、下流O2センサ11の検出感度に応じて触媒浄化ウインドウ幅Vwを広げたので、アイドルからの発進後において触媒8がある程度暖まり触媒温度条件が満足され、且つ診断条件(図2のステップS1)が満足されれば、触媒劣化診断を開始することができるため、診断の開始時期が早まり、その分診断の機会を増やすことができる。
次いで、図2のステップS6へ進むと、下流センサ出力値Vrの出力変化量ΔVrを、下流センサ出力値Vrと下流目標空燃比に対応する出力値Vroとの差分の絶対値から算出する(ΔVr←|Vr−Vro|)。
その後、ステップS7へ進み、出力変化量ΔVrと触媒浄化ウインドウ幅Vwとを比較し、出力変化量ΔVrが触媒浄化ウインドウ幅Vwを越えているとき(ΔVr≧Vw)は、ステップS8へ進み、図示しない記憶手段に記憶されている下流センサ出力変化量積算値Vsrを、この下流センサ出力変化量積算値Vsrに、出力変化量ΔVrと触媒浄化ウインドウ幅Vwとの差分を加算した値を加算して、下流センサ出力変化量積算値Vsrを更新する(Vsr←Vsr+(ΔVf−Vw))。尚、診断条件成立後、最初のルーチン実行時の下流センサ出力変化量積算値Vsrは0である。又、このステップS8での処理が下流空燃比変化量積算値算出手段に対応している。
一方、出力変化量ΔVrが触媒浄化ウインドウ幅Vw内のとき(ΔVr<Vw)は正常と判断し、下流センサ出力変化量積算値Vsrを更新することなく、ステップS9へジャンプする。
このように、本実施形態では、出力変化量ΔVrが触媒浄化ウインドウ幅Vw内にあるときは、触媒8は正常と判定し、診断対象から除外するようにしたので、下流センサ出力変化量積算値Vsrは、触媒浄化ウインドウ幅Vwを越えた分の出力変化量ΔVrのみが積算されることになり、換言すれば、触媒浄化ウインドウ幅Vw内の出力変化量ΔVrは積算されないため、外乱によるノイズ成分が除去され、誤判定を未然に防止することができる。
そして、ステップS9で、経過時間Timをインクリメントした後(Tim←Tim+1)、ステップS10へ進み、経過時間Timが診断時間Toに達したか否かを調べる。そして、診断時間Toに達していないとき(Tim<To)は、ステップS1へ戻り、診断条件が成立しているか否かを再び判定する。一方、診断時間Toに達したとき(Tim≧To)は、ステップS11へ進み、図示しない記憶手段に格納されている下流センサ出力変化量積算値Vsrと上流センサ出力変化量積算値Vsfとを読込み、両センサ出力変化量積算値Vsr,Vsfの比から算出した劣化診断値Vsr/Vsfが、予め設定した劣化判定用しきい値αを越えているか否かを調べる。このステップS11での処理が劣化診断手段に対応している。
尚、本実施形態では、上述したステップS10に示すように、診断期間を診断時間Toで設定しているが、上流センサ出力変化量積算値Vsfが所定値に達するまでを診断期間としても良い。従って、この場合、ステップS9のルーチンは不要となり、又、ステップS10では、上流センサ出力変化量積算値Vsfと設定値(Vsfo)とを比較することになる。
ところで、上述したように、本実施形態では、下流センサ出力値Vrが触媒浄化ウインドウ幅Vw以内の場合は、正常と判断して診断対象から除外し、下流センサ出力変化要積算値Vsrを、触媒浄化ウインドウ幅Vwから外れた下流センサ出力値Vrに基づいて算出しているので、正常時におけるノイズ成分が除去されるため、診断時間Toを、30[sec]等の短い時間に設定することができる。その結果、劣化診断が中止される確率が低くなり、この場合においても1ドライビングサイクル中における診断の機会を増やすことができる。尚、劣化診断中に、診断条件が不成立と判定された場合であっても、一定時間(例えば1[sec]程度)後に診断条件が成立するような場合は、劣化診断を中止せず待機状態とし、診断条件が成立した後に劣化診断を再開させるようにしても良い。
そして、ステップS11において、劣化診断値Vsr/Vsfがしきい値αを越えている場合(Vsr/Vsf>α)は、触媒8が劣化していると判定し、ステップS12へ進み、劣化判定フラグFNGをセットして(FNG←1)、ルーチンを終了する。尚、この劣化判定フラグFNGの初期値は0である。
一方、劣化診断値Vsr/Vsfがしきい値α以内の場合(Vsr/Vsf≦α)は、触媒8は正常であると判定し、そのまま診断を終了する。従って、本実施形態における触媒劣化診断は、1ドライビングサイクルで1回のみ行われることになる。但し、1ドライビングサイクルで触媒劣化診断を複数回行う場合は、ステップS11で触媒8が正常と判定されたとき、そのまま終了せず、ステップS13へ分岐させるようにしても良い。
又、ステップS1或いは図3のステップS23からステップS13へ進むと、経過時間Tim、上流センサ出力変化量積算値Vsf、下流センサ出力変化量積算値Vsrを共にクリアして(Tim←0,Vsf←0,Vsr←0)、ルーチンを抜ける。尚、しきい値αは、0よりも大きい値(α>0)であり、触媒8及び下流O2センサ11の特性に応じて設定されている。
この劣化判定フラグFNGがセットされると、ECU21は、図示しないインストルメントパネル等に配設されているウォーニングランプを点灯、或いは点滅させて運転者に触媒8が劣化していることを報知する。この場合、この触媒8の劣化をブザーや音声などにより報知させるようにしても良い。
以上、説明したように、本実施形態では、触媒劣化診断を行うに際し、下流O2センサ11の出力値Vrの出力変化量ΔVrを単純に積算するのではなく、この下流センサ出力値Vrに触媒浄化ウインドウ幅Vwを設定し、出力変化量ΔVrと触媒浄化ウインドウ幅Vwとの差分(ΔVr−Vw)を積算するようにしたので、この触媒浄化ウインドウ幅Vwが不感帯領域となり、図5(b−1)に示すように、下流センサ出力値Vrが触媒浄化ウインドウ幅Vw内で変動している状態では、下流センサ出力変化量積算値Vsrが0となる。従って、劣化診断値Vsr/Vsfは、Vsr=0であるため、上流センサ出力変化量積算値Vsfの値に拘わらず、Vsr/Vsf=0、すなわちVsr/Vsf<αとなる。従って、図5(b−2)に示すように、例えば長期アイドル状態のアイドル放置からの発進においては、触媒8が活性不足であるために、その影響で、下流センサ出力値Vrが小刻みに振れるが、このような場合であっても、触媒浄化ウインドウ幅Vw内の変動であれば、下流センサ出力変化量積算値Vsrは、Vsr=0であるため、Vsr/Vsf<αとなる。一方、図5(b−3)に示すように、下流センサ出力値Vrが触媒浄化ウインドウ幅Vwを越えた場合、ΔVr≧Vwとなり、下流センサ出力変化量積算値Vsrは診断時間To内で漸次的に増加される。
このように、本実施形態では、下流センサ出力値Vrに触媒浄化ウインドウ幅Vwを設定し、下流センサ出力値Vrが、触媒浄化ウインドウ幅Vw内、すなわち不感帯領域にあるときは、触媒8からNMHCやNOx等の有害物質が排出されないため触媒8は正常と判定して、診断対象から除外したので、例えば図5(b−2)に示すように、下流センサ出力値Vrが、外気温など外乱の影響を受けて、触媒浄化ウインドウ幅Vw内で小刻みに振動している場合であっても、このような外乱によるノイズ成分は下流センサ出力変化量積算値Vsrには反映されず、従って、触媒劣化の誤判定を未然に防止することができる。
更に、劣化診断値Vsr/Vsfは、上流センサ出力変化量積算値Vsfを分母としているため、上流空燃比センサ10の出力値Vfが外乱の影響を受けて大きく変動した場合であっても、劣化診断値Vsr/Vsfは大きな値を示すことがなく、誤診断を有効に防止することができる。
又、図4に示すように、触媒浄化ウインドウ幅設定テーブルに格納されている触媒浄化ウインドウ幅Vwを、触媒8の特性に基づき、触媒8の活性領域よりも広い領域を診断領域として設定し、更に、下流O2センサ11の検出感度に応じて触媒浄化ウインドウ幅Vwを可変設定するようにしたので、例えばアイドル放置からの発進後において、触媒8が活性する前に劣化診断を開始することができる。その結果、診断時期の早期化が実現でき、1ドライビングサイクル中における診断の機会を増やすことができる。又、触媒浄化ウインドウ幅Vwを下流O2センサ11の検出感度に基づいて可変設定したので、より高い診断精度を得ることができる。その結果、しきい値αをより低い値に設定することも可能となり、触媒劣化診断をより正確に行うことができる。
1…エンジン、
7…排気管、
8…触媒、
9…吸入管圧力センサ、
10…上流空燃比センサ、
11…下流O2センサ、
21…電子制御装置、
ΔVf,ΔVr…出力変化量、
α…しきい値、
Pm…吸入管圧力、
Tc…触媒温度、
Tch…触媒上限温度、
Tcl…触媒下限温度、
To…診断時間、
Vf…上流センサ出力値、
Vfo,Vro…出力値、
Vr…下流センサ出力値、
Vsf…上流センサ出力変化量積算値、
Vsr…下流センサ出力変化量積算値、
(Vsr/Vsf)…劣化診断値、
Vw…触媒浄化ウインドウ幅、
Vwh…最大値、
Vwl…最小値
7…排気管、
8…触媒、
9…吸入管圧力センサ、
10…上流空燃比センサ、
11…下流O2センサ、
21…電子制御装置、
ΔVf,ΔVr…出力変化量、
α…しきい値、
Pm…吸入管圧力、
Tc…触媒温度、
Tch…触媒上限温度、
Tcl…触媒下限温度、
To…診断時間、
Vf…上流センサ出力値、
Vfo,Vro…出力値、
Vr…下流センサ出力値、
Vsf…上流センサ出力変化量積算値、
Vsr…下流センサ出力変化量積算値、
(Vsr/Vsf)…劣化診断値、
Vw…触媒浄化ウインドウ幅、
Vwh…最大値、
Vwl…最小値
Claims (4)
- エンジンの排気系に介装した触媒の上流と下流とに上流空燃比検出手段と下流空燃比検出手段とを各々配設し、該両空燃比検出手段で検出した上流空燃比検出値の変化量と下流空燃比検出値の変化量とを算出して上流空燃比変化量積算値と下流空燃比変化量積算値とを各々算出し、両空燃比変化量積算値の比に基づいて触媒の劣化を診断するエンジンの触媒劣化診断装置において、
前記上流空燃比変化量積算値を算出する上流空燃比変化量積算値算出手段と、
前記下流空燃比検出値に対し、予め設定した排気ガス浄化率が得られる触媒浄化ウインドウ幅を設定するウインドウ幅設定手段と、
前記下流空燃比検出値が前記触媒浄化ウインドウ幅を越えている場合、該下流空燃比検出値と該触媒浄化ウインドウ幅との差の絶対値を積算して前記下流空燃比変化量積算値を算出する下流空燃比変化量積算値算出手段と、
前記下流空燃比変化量積算値算出手段を前記上流空燃比変化量積算値算出手段で除算して算出した劣化診断値に基づき前記触媒の劣化を診断する劣化診断手段
を備えることを特徴とするエンジンの触媒劣化診断装置。 - 前記ウインドウ幅設定手段では、前記触媒が活性領域にあるときは前記触媒浄化ウインドウ幅を狭く設定する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジンの触媒劣化診断装置。 - 前記ウインドウ幅設定手段では、前記触媒の排気ガス浄化率が設定値以上で且つ前記活性領域から外れている診断領域にあるときは、前記触媒浄化ウインドウ幅を該活性領域よりも広く設定する
ことを特徴とする請求項2記載のエンジンの触媒劣化診断装置。 - 前記触媒の温度はスロットル弁下流の吸入管圧力或いは吸入空気量に基づいて設定する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの触媒劣化診断装置。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2006306964A JP2008121581A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | エンジンの触媒劣化診断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006306964A JP2008121581A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | エンジンの触媒劣化診断装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2008121581A true JP2008121581A (ja) | 2008-05-29 |
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ID=39506595
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2006306964A Pending JP2008121581A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | エンジンの触媒劣化診断装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2008121581A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2016160776A (ja) * | 2015-02-27 | 2016-09-05 | 富士重工業株式会社 | 触媒劣化診断装置 |
| WO2017159713A1 (ja) * | 2016-03-16 | 2017-09-21 | ヤマハ発動機株式会社 | 鞍乗型車両 |
-
2006
- 2006-11-13 JP JP2006306964A patent/JP2008121581A/ja active Pending
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