JP2008108723A - 膜電極接合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解質膜と触媒層の密着性に優れた膜電極接合体を提供する。
【解決手段】電解質膜と、該電解質膜の少なくとも片面に設けられた、触媒層を含む電極を有する膜電極接合体であって、前記電解質膜と前記触媒層とは、重合性モノマーを表面グラフト重合してなるイオン交換性ポリマーを介して接合している膜電極接合体。
【選択図】なし
【解決手段】電解質膜と、該電解質膜の少なくとも片面に設けられた、触媒層を含む電極を有する膜電極接合体であって、前記電解質膜と前記触媒層とは、重合性モノマーを表面グラフト重合してなるイオン交換性ポリマーを介して接合している膜電極接合体。
【選択図】なし
Description
本発明は、膜電極接合体およびその製造方法に関する。特に、燃料電池に利用できる、膜電極接合体に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。燃料電池には、固体高分子型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)などがある。なかでも、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動して高出力密度が得られることから、電気自動車用電源として期待されている。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜電極接合体(Membrane and Electrode Assembly、以下「MEA」ともいう)をセパレータで挟持した構造となっている。MEAは、例えば、電解質膜が一対の触媒層および導電層(ガス拡散層)により挟持されてなるものである。
触媒層は、電解質と導電材に活性金属触媒が担持された混合物により形成された多孔性のものである。また、導電層は、カーボンクロスなどのガス拡散基材表面にカーボン粒子および撥水剤などからなるカーボン撥水層が形成されてなるものが用いられている。
固体高分子型燃料電池では、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、アノード極側の触媒層に供給された燃料ガスに含まれる水素は、下記式(1)に示すように活性金属触媒により酸化されてプロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、アノード極側触媒層に含まれるプロトン伝導材料、さらにアノード極側触媒層と接触している電解質膜を通り、カソード極側触媒層に達する。また、アノード極側触媒層で生成した電子は、アノード極側触媒層を構成している導電材、さらにアノード極側触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触している導電層、セパレータおよび外部回路を通してカソード極側触媒層に達する。そして、カソード極側触媒層に達したプロトンおよび電子は、下記式(2)に示すように活性金属触媒によりカソード極側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
アノード極側触媒層:H 2 →2H + +2e - (1)
カソード極側触媒層:1/2O 2 +2H + +2e - →H 2 O(2)
カソード極側触媒層:1/2O 2 +2H + +2e - →H 2 O(2)
そのため、電解質膜は、高いプロトン伝導性、および、電極に挟まれたセパレータとしての機能などを有することが求められる。
固体高分子型燃料電池の製造過程は、例えば、特許文献1に記載されており、電解質膜と2つの電極は、一般に、電解質膜を加熱しつつ、加圧するホットプレスによって接合される。たとえば、2つの電極間に電解質膜を挟みこみ、さらにこれらを2枚のプレス板間に挿入した後、125℃から130℃に温度を上昇させ、約10MPaの圧力で約60秒間ホットプレスを行って、電解質膜と2つの電極を接合させている。
特許文献2には、アノード電極と電解質膜の間に、高分子電解質中間層を設けることにより、電解質膜とアノード極の接着を向上させることが記載されている。しかしながら、アノード電極中の電解質バインダーと電解質膜が同種の場合は接合が改良できるが、異種の場合は効果が不十分である。これは、単なる密着性の改良を求めたものに過ぎず、結合力がそもそも不十分であることによる。
特許文献3には、電解質膜の表面改質により電解質膜と触媒層の界面を粗化して電解質膜とアノード電極の密着を改良する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、電解質膜の表面を粗化する際に発生する膜の劣化が不均一に起こりやすく、ピンホールによるガスリークの危険性がある。また、結合力も弱く十分であるとはいえない。
特許文献3には、電解質膜の表面改質により電解質膜と触媒層の界面を粗化して電解質膜とアノード電極の密着を改良する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、電解質膜の表面を粗化する際に発生する膜の劣化が不均一に起こりやすく、ピンホールによるガスリークの危険性がある。また、結合力も弱く十分であるとはいえない。
特許文献4には、表面改質膜を含む複数の高分子膜を積層させてなる電解質膜を用いたものが開示されている。表面改質膜は、具体的には、電解質膜表面にイミド架橋処理、フッ素化処理などを行ったものが挙げられている。表面が改質処理されていることにより表面改質膜が強化され、膜厚が薄くても電解質膜の機械的強度を向上させることが可能となり、ピンホール等の欠陥を生じることもなく、ガスリークを抑制することができる。しかしながら、触媒層と電解質膜の密着が不良であるという欠点を有するため、改質した電解質膜面は触媒層とは接しない面に用いることが記載されている。すなわち、電解質膜と触媒層の密着性の改良には、全く役に立たない。
特許文献5は、高いエネルギー線を与えて、膜の内部でグラフト重合を起こすことが記載されている。しかしながら、表面グラフト重合することについて、何ら記載も示唆も無い。また、触媒層と電解質膜の密着性について、何ら記載も示唆もない。
特許文献6には、触媒層と電解質膜の密着性について改良方法が開示されているが、電解質膜に凹凸が生じるため強度上好ましくない。
すなわち、膜電極接合体において、電解質膜と触媒層の密着性の改良は求められていたものの、密着性が改良され、かつ、良好な耐久性等を有する膜電極接合体は得られていないのが現状である。
特許文献6には、触媒層と電解質膜の密着性について改良方法が開示されているが、電解質膜に凹凸が生じるため強度上好ましくない。
すなわち、膜電極接合体において、電解質膜と触媒層の密着性の改良は求められていたものの、密着性が改良され、かつ、良好な耐久性等を有する膜電極接合体は得られていないのが現状である。
本発明は、かかる不都合を解消して、電解質膜と触媒層との間で優れた密着性を得ることができる膜電極接合体を提供することを目的とする。
かかる状況のもと、発明者は、以下の点についてさらに検討した。
膜電極接合体において、従来から電解質膜として広く使用されているパーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(例えば、デュポン社製ナフィオン(商品名))は、スルホン化されていることにより優れたプロトン導伝性を備え、さらに、フッ素樹脂としての耐薬品性とを備えているが非常に高価である。よって、これらの問題点についても、避けることを検討した。
膜電極接合体において、従来から電解質膜として広く使用されているパーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(例えば、デュポン社製ナフィオン(商品名))は、スルホン化されていることにより優れたプロトン導伝性を備え、さらに、フッ素樹脂としての耐薬品性とを備えているが非常に高価である。よって、これらの問題点についても、避けることを検討した。
そこで、パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物に代わる廉価な電解質膜として、例えば、分子構造にフッ素を含まないか、フッ素含有量を低減した炭化水素系高分子化合物のスルホン化物を用いて膜電極接合体を構成することについて検討した。この点については、従来からも検討されており、炭化水素系高分子化合物としては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンズイミダゾール等のような複数のベンゼン環が2価の有機基を介してまたは直接結合した主鎖を備える炭化水素系ポリマーが知られている。また、炭化水素系ポリマーとして、米国特許第5403675号明細書には、剛直ポリフェニレン化合物が記載されている。
しかしながら、電解質膜、特に炭化水素系ポリマーからなる電解質膜は、触媒層に挟持させて一体化しようとすると、該電解質膜と、触媒層との間で十分な密着性が得られにくいことを見出した。また、電解質膜と触媒層の間の密着性が低い膜電極接合体では、該電解質膜と触媒層との間におけるプロトンの授受が阻害されるために十分な発電性能が得られない。
そこで、発明者が鋭意検討した結果、下記手段により、上記課題を解決しうることを見出した。
(1)電解質膜と、該電解質膜の少なくとも片面に設けられた、触媒層を含む電極を有する膜電極接合体であって、前記電解質膜と前記触媒層とは、重合性モノマーを表面グラフト重合してなるイオン交換性ポリマーを介して接合している膜電極接合体。
(2)電解質膜と、該電解質膜の少なくとも片面に設けられた、触媒層を含む電極を有する膜電極接合体であって、前記電解質膜と前記触媒層とは、前記電解質膜上に、重合性モノマーを表面グラフト重合してなるイオン交換性ポリマーからなる表面グラフト重合層を介して接合している膜電極接合体。
(3)前記重合性モノマーは、イオン交換性モノマーである、(1)または(2)に記載の膜電極接合体。
(4)前記触媒層のバインダーが、前記イオン交換性ポリマーと同一構造である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
(5)前記電解質膜が芳香族炭化水素系ポリマーからなり、前記イオン交換性ポリマーがフッ素系ポリマーである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
(6)前記表面グラフト重合層が、0.1μm〜1.0μmの厚さである、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
(7)表面グラフト重合を、加速電圧50KV以下の低エネルギーの電子線、酸素ガスプラズマ、アルゴンガスプラズマ、紫外線で行う、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。
(9)電解質膜上に、重合性モノマーを表面グラフト重合し、その上に、触媒層を設ける工程を含む、膜電極接合体の製造方法。
(1)電解質膜と、該電解質膜の少なくとも片面に設けられた、触媒層を含む電極を有する膜電極接合体であって、前記電解質膜と前記触媒層とは、重合性モノマーを表面グラフト重合してなるイオン交換性ポリマーを介して接合している膜電極接合体。
(2)電解質膜と、該電解質膜の少なくとも片面に設けられた、触媒層を含む電極を有する膜電極接合体であって、前記電解質膜と前記触媒層とは、前記電解質膜上に、重合性モノマーを表面グラフト重合してなるイオン交換性ポリマーからなる表面グラフト重合層を介して接合している膜電極接合体。
(3)前記重合性モノマーは、イオン交換性モノマーである、(1)または(2)に記載の膜電極接合体。
(4)前記触媒層のバインダーが、前記イオン交換性ポリマーと同一構造である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
(5)前記電解質膜が芳香族炭化水素系ポリマーからなり、前記イオン交換性ポリマーがフッ素系ポリマーである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
(6)前記表面グラフト重合層が、0.1μm〜1.0μmの厚さである、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
(7)表面グラフト重合を、加速電圧50KV以下の低エネルギーの電子線、酸素ガスプラズマ、アルゴンガスプラズマ、紫外線で行う、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。
(9)電解質膜上に、重合性モノマーを表面グラフト重合し、その上に、触媒層を設ける工程を含む、膜電極接合体の製造方法。
電解質膜のダメージが少ない低温で、触媒層と接合でき、かつ、その密着性が良好な膜電極接合体が得られる。さらに、出力の安定性が高い燃料電池が得られやすくなった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
<<表面グラフト>>
本発明では、電解質膜上で、表面グラフト重合を行っている。ここで、グラフト重合とはポリマー鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の重合性モノマーをさらに重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与えるポリマーが固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
ここで、表面グラフト重合における表面とは、例えば、電解質膜の表面から、膜厚の5%以下の範囲をいう。
本発明では、電解質膜上で、表面グラフト重合を行っている。ここで、グラフト重合とはポリマー鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の重合性モノマーをさらに重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与えるポリマーが固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
ここで、表面グラフト重合における表面とは、例えば、電解質膜の表面から、膜厚の5%以下の範囲をいう。
本発明を実現するための表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の表面グラフト重合法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報および特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報および特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
ポリマー鎖の末端が直接に化学的に結合された表面グラフト重合体が形成された層(本明細書において、「表面グラフト重合層と表記する」)を作製するための手段としてはこれらの他、ポリマー鎖の末端にトリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を導入し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により形成することもできる。
<<モノマーの導入と重合>>
本発明における表面グラフト重合層は、イオン交換性ポリマーからなる。ただし、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、イオン交換性ポリマー以外の成分が含まれていることを排除するものではない。本発明における表面グラフト重合層としては、例えば、重合性モノマー(好ましくは、イオン交換性モノマー)を電解質膜の表面でラジカル重合することにより得られる。ここで、イオン交換性モノマーは、イオン交換性の官能基を有するモノマーである。例えば、含フッ素系ポリマーを骨格とし、官能基として、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基およびホスホン酸基のいずれか一つまたは複数を有するものが好ましい。
一方、電解質膜を構成するポリマーとしては、詳細は後述するが、テトラフルオロエチレンと下記に表されるフルオロビニル化合物との共重合体が好ましい。
CF2=CF−(OCF2CFx)m−Oq−(CF2)n−A
(式中、mは0〜3の整数を表し、nは0〜12の整数を表し、qは0又は1を表し、XはFまたCF3を表し、Aはスルホン酸型官能基、カルボン酸型官能基またはリン酸型官能基を表す。)
mが2以上のとき、それぞれの、−(OCF2CFx)−は同一であっても異なっていてもよい。
本発明における表面グラフト重合層は、イオン交換性ポリマーからなる。ただし、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、イオン交換性ポリマー以外の成分が含まれていることを排除するものではない。本発明における表面グラフト重合層としては、例えば、重合性モノマー(好ましくは、イオン交換性モノマー)を電解質膜の表面でラジカル重合することにより得られる。ここで、イオン交換性モノマーは、イオン交換性の官能基を有するモノマーである。例えば、含フッ素系ポリマーを骨格とし、官能基として、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基およびホスホン酸基のいずれか一つまたは複数を有するものが好ましい。
一方、電解質膜を構成するポリマーとしては、詳細は後述するが、テトラフルオロエチレンと下記に表されるフルオロビニル化合物との共重合体が好ましい。
CF2=CF−(OCF2CFx)m−Oq−(CF2)n−A
(式中、mは0〜3の整数を表し、nは0〜12の整数を表し、qは0又は1を表し、XはFまたCF3を表し、Aはスルホン酸型官能基、カルボン酸型官能基またはリン酸型官能基を表す。)
mが2以上のとき、それぞれの、−(OCF2CFx)−は同一であっても異なっていてもよい。
また、本発明における表面グラフト重合層としては、各種芳香族フェノール化合物を電解質膜の表面でカチオン重合してもよい。この際に用いられる好ましいモノマーとしては、スチレン、置換スチレン、アクリル酸、置換アクリル酸エステル、置換アクリルアミドが挙げられる。
表面グラフト重合は、加速電圧50KV以下の低エネルギーの電子線、酸素ガスプラズマ、アルゴンガスプラズマ、紫外線で行うことが好ましい。
特に、ラジカル重合性モノマーをグラフト重合させる場合、放射線の照射が好適に用いられる。放射線の加速電圧は、電解質膜の表面のみに活性点を発生させるエネルギー範囲の加速電圧に設定することが必要であり、1〜50kVが好ましく、5〜20kVがより好ましい。本発明においては、放射線として電子線を高分子電解質膜に照射することにより、電解質膜の表面のみに効果的にラジカル反応活性点を作製することができる。高エネルギーの電子線や、γ線などのフッ素系樹脂中を透過してしまう放射線を用いる場合、フッ素系樹脂を用いると、電解質膜の内部に活性点が生じるため、イオン交換性モノマー等を表面でグラフト重合させることができず、本発明の目的を達成できない。
特に、ラジカル重合性モノマーをグラフト重合させる場合、放射線の照射が好適に用いられる。放射線の加速電圧は、電解質膜の表面のみに活性点を発生させるエネルギー範囲の加速電圧に設定することが必要であり、1〜50kVが好ましく、5〜20kVがより好ましい。本発明においては、放射線として電子線を高分子電解質膜に照射することにより、電解質膜の表面のみに効果的にラジカル反応活性点を作製することができる。高エネルギーの電子線や、γ線などのフッ素系樹脂中を透過してしまう放射線を用いる場合、フッ素系樹脂を用いると、電解質膜の内部に活性点が生じるため、イオン交換性モノマー等を表面でグラフト重合させることができず、本発明の目的を達成できない。
また、電子線の照射線量としては、好ましくは1〜50kGy、より好ましくは5〜10kGyである。1kGy以上とすることにより、官能基の特性がより効果的に作用する程度のグラフト重合率が得られやすい傾向にあり、10kGy以下とすることにより、電解質膜の強度の低下を抑止できる傾向にあり好ましい。
なお、照射時の温度は室温ないしそれ以下が好ましい。室温以下とすることにより、電子線を照射するときの温度が高くなりすぎず、ラジカルの消滅が起こりにくく好ましい。
なお、照射時の温度は室温ないしそれ以下が好ましい。室温以下とすることにより、電子線を照射するときの温度が高くなりすぎず、ラジカルの消滅が起こりにくく好ましい。
さらに、電子線の照射は、ヘリウム、窒素、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましく、該ガス中の酸素濃度は100ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましいが、必ずしも酸素不在下で行う必要はない。
また、特開2001−348439号公報では、電解質膜に予め融点以上の温度で放射線を照射することによって、架橋構造を有する高分子電解質膜とすることができ、これにより放射線に対する膜強度を向上できることが提案されている。本発明で用いる電解質膜においても、電解質膜に予め融点以上の温度で放射線を照射することによって、架橋構造を有した電解質膜とし、これを用いて、上述したように室温(20〜40℃)またはそれ以下、好ましくは20〜40℃で電子線を照射してラジカルを発生させ、イオン交換性モノマーを表面グラフト重合させることも可能である。
本発明で用いる電解質膜に、電子線を照射して表面グラフト重合させるラジカル重合性モノマーとしては、イオン交換性モノマー、またはイオン交換性の官能基が導入可能な重合性モノマーであれば特に制限なく使用でき、炭化水素系モノマー(特に、芳香族炭化水素系モノマー)と、フッ素系モノマー(特に、フッ素含有炭化水素系モノマー)などが使用できる。特に本発明では、電解質膜が炭化水素系モノマー(特に、芳香族炭化水素系モノマー)をグラフト重合させて得られた組成で構成され、表面にフッ素系モノマー(特に、フッ素含有炭化水素系ポリマー)を表面グラフト重合させて得られた組成で構成されることが好ましい。
イオン交換性の官能基としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、アミン基、スルホン酸基などが挙げられる。また、アシルオキシ基、エステル基、酸イミド基などは、加水分解することによって定量的にフェノール性水酸基、スルホン酸基などのイオン交換性の官能基に変換できるので、これらの基を有するモノマーも使用することができる。
イオン交換性の官能基を有する炭化水素系モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシオキシスチレン、アシルオキシスチレン、ビニルスルホン酸、スチレンカルボン酸、アルキルスルホン酸スチレンなどが挙げられる。
また、イオン交換性の官能基を有さないが、イオン交換性の官能基を導入可能なモノマーを用いる場合は、イオン交換性の官能基を有しないモノマーでグラフト重合を行った後、化学反応を利用してスルホン化等を行うことで、イオン交換性の官能基を導入することができる。イオン交換性の官能基を有さないが、化学反応を利用してイオン交換性の官能基を導入することが可能な炭化水素系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレンなどを用いることができる。なお、上記イオン交換性の官能基を導入可能なモノマーにスルホン基を導入するには、硫酸、発煙硫酸などのスルホン化剤を反応させることにより行うことができる。
さらに、必要に応じて、ジビニルベンゼン等のビニル基を複数有するモノマーなどの架橋性モノマーを、本発明で用いるイオン交換性モノマー等に対して0.1〜15mo1%混合することができる。
また、フッ素含有炭化水素系モノマーとしては、上述した炭化水素系モノマーと同様のイオン交換性の官能基を有するか、もしくは、イオン交換性の官能基を有さないが、化学反応を利用してイオン交換性の官能基を導入可能なフッ素含有炭化水素系モノマーが好適に使用される。なお、この炭化フッ素系モノマーにおいて、加水分解によりイオン交換性の官能基に変換可能な官能基としては、−SO2F、−SO2NH2、−SO2NH4、−COOH、−CN、−COF、−COOR(Rは炭素数1〜10のアルキル基)等が挙げられ、これら官能基は、加水分解によりスルホン基、カルボン酸基を容易に与えることができるので、好適である。
フッ素含有炭化水素系モノマーとして具体的には、下記化合物を例示することができる。
トリフルオロエチレンスルホニルハライド
CF2=CFSO2X(X:−Fまたは−Cl)
トリフルオロビニルエーテルスルホニルハライド
CF2=CF−O−SO2X(X:−Fまたは−Cl)
パーフルオロアリルフルオロスルファイド
CF2=CFCF2−O−SO2F
パーフルオロビニルエーテルスルホニルフロライド
CF2=CF−O−CF2CF(CF3)O(CF2)2SO2F
トリフルオロスチレン
CF2=CFC6H5 トリフルオロアクリレート
CF2=CFCOOR(R:−CH3または−C(CH3)3)
トリフルオロエチレンスルホニルハライド
CF2=CFSO2X(X:−Fまたは−Cl)
トリフルオロビニルエーテルスルホニルハライド
CF2=CF−O−SO2X(X:−Fまたは−Cl)
パーフルオロアリルフルオロスルファイド
CF2=CFCF2−O−SO2F
パーフルオロビニルエーテルスルホニルフロライド
CF2=CF−O−CF2CF(CF3)O(CF2)2SO2F
トリフルオロスチレン
CF2=CFC6H5 トリフルオロアクリレート
CF2=CFCOOR(R:−CH3または−C(CH3)3)
本発明において、電解質膜へのイオン交換性モノマー等の表面グラフト重合法としては、例えば、電解質膜の片面に電子線を照射してラジカル重合性のイオン交換性モノマーをグラフト重合させた後、電解質膜の他面に電子線を照射して他のラジカル重合性のイオン交換性モノマーをグラフト重合させることにより行うことができる。なお、電子線の照射条件は、上記加速電圧、照射量等の条件で両面それぞれを照射すればよい。
ここで、放射線を照射した電解質膜の各面にそれぞれグラフト重合するラジカル重合性のイオン交換性モノマーの使用量は、フッ素系樹脂100質量部に対してラジカル重合性のイオン交換性モノマーを、通常、1〜100,000質量部、特に10〜2,000質量部使用することが好ましい。ラジカル重合性のイオン交換性モノマーが少なすぎると接触が不十分となる場合があり、多すぎるとラジカル重合性イオン交換性モノマー等が効率的に使用できなくなるおそれがある。
また、フッ素系樹脂にラジカル重合性のイオン交換性モノマーをグラフト重合するに際しては、アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤を本発明の目的を損なわない範囲で適宜用いてもよい。
さらに、本発明においては、グラフト反応時に溶媒を用いることができる。溶媒としては、イオン交換性モノマーを均一に溶解するものが好ましく、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、n−へキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
本発明においては、グラフト重合を行う際の反応雰囲気中の酸素濃度を0.05〜5%(体積%、以下同様)に調整することが好ましい。反応雰囲気中の酸素は、系内のラジカルと反応し、カルボニルラジカルやパーオキシラジカルとなり、それ以上の反応を抑制する作用を果たしていると考えられる。酸素濃度が0.05%未満であるとラジカル重合性モノマーが単独重合し、溶剤に不溶のゲルが生成するため、原料が無駄になるとともに、ゲルの除去にも時間がかかり、酸素濃度が5%を超えるとグラフト率が低下する場合がある。望ましい酸素濃度は0.1〜3%であり、さらに望ましい酸素濃度は0.1〜1%である。なお、酸素以外のガスとしては、窒素、アルゴンなどの不活性ガスが使用される。
なお、上記グラフト重合の反応条件としては、通常、0〜100℃、特に40〜80℃の温度で、通常、1〜40時間、特に4〜20時間の反応時間とすることが好ましい。
<<電解質膜>>
本発明で用いる電解質膜として、公知の電解質を膜状に製膜したものおよび公知の電解質膜を広く採用することができる。
その中でも、フッ素系ポリマーが化学的安定性に優れていることから好ましく使用できる。具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成工業株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)の商品名で知られる高いプロトン伝導性を有するパーフルオロスルホン酸膜が挙げられる。
本発明で用いる電解質膜として、公知の電解質を膜状に製膜したものおよび公知の電解質膜を広く採用することができる。
その中でも、フッ素系ポリマーが化学的安定性に優れていることから好ましく使用できる。具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成工業株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)の商品名で知られる高いプロトン伝導性を有するパーフルオロスルホン酸膜が挙げられる。
また、本発明では、電解質として、主鎖に芳香族環を有するスルホアルキル化芳香族炭化水素系ポリマーを電解質として用いることができる。特に、下記(化1)で表されるスルホアルキル基を側鎖に導入したスルホアルキル化芳香族炭化水素系ポリマーを電解質として用いることが好ましい。
スルホアルキル化芳香族炭化水素系ポリマーの具体例としては、このような1977年イギリスのICI社によって開発された下記(化2)で代表される構造単位を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ドイツBASF社で開発された半結晶性のポリアリールエーテルケトン(PAEK)、住友化学工業等で販売されている下記(化3)で代表される構造単位を有するポリエーテルケトン(PEK)、テイジンアモコエンジニアリングプラスチックスで販売されているポリケトン(PK)、住友化学工業、テイジンアモコエンジニアリングプラスチックスや三井化学等で販売されている下記(化4)で代表される構造単位を有するポリエーテルスルホン(PES)、ソルベイアドバンスドポリマーズ(株)で販売されている下記(化5)で代表される構造単位を有するポリスルホン(PSU)、東レ、大日本化学工業、トープレン、出光石油化学や呉羽化学工業等で販売されている下記(化6)で代表される構造単位を有するリニア或いは架橋型のポリフェニレンサルフィッド(PPS)、旭化成工業、日本ジーイープラスチックス、三菱エンジニアリングプラスチックスや住友化学工業で販売されている下記(化7)で代表される構造単位を有する変性ポリフェニレンエーテル(PPE)等のエンジニアリングプラスチック或いはそのポリマアロイに下記(化1)で表されるスルホアルキル基を側鎖に導入した芳香族炭化水素系ポリマーが挙げられる。
このうち、主鎖の耐酸化劣化特性の観点から、主鎖構造は、PEEK、PEAK、PEK、PK、PPS、PESおよびPSUが好ましい。
スルホアルキル化芳香族炭化水素系ポリマーの具体例としては、このような1977年イギリスのICI社によって開発された下記(化2)で代表される構造単位を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ドイツBASF社で開発された半結晶性のポリアリールエーテルケトン(PAEK)、住友化学工業等で販売されている下記(化3)で代表される構造単位を有するポリエーテルケトン(PEK)、テイジンアモコエンジニアリングプラスチックスで販売されているポリケトン(PK)、住友化学工業、テイジンアモコエンジニアリングプラスチックスや三井化学等で販売されている下記(化4)で代表される構造単位を有するポリエーテルスルホン(PES)、ソルベイアドバンスドポリマーズ(株)で販売されている下記(化5)で代表される構造単位を有するポリスルホン(PSU)、東レ、大日本化学工業、トープレン、出光石油化学や呉羽化学工業等で販売されている下記(化6)で代表される構造単位を有するリニア或いは架橋型のポリフェニレンサルフィッド(PPS)、旭化成工業、日本ジーイープラスチックス、三菱エンジニアリングプラスチックスや住友化学工業で販売されている下記(化7)で代表される構造単位を有する変性ポリフェニレンエーテル(PPE)等のエンジニアリングプラスチック或いはそのポリマアロイに下記(化1)で表されるスルホアルキル基を側鎖に導入した芳香族炭化水素系ポリマーが挙げられる。
このうち、主鎖の耐酸化劣化特性の観点から、主鎖構造は、PEEK、PEAK、PEK、PK、PPS、PESおよびPSUが好ましい。
また、本発明では、電解質として、特開平9−102322号公報に開示されている、炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成される、スルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、特開平9−102322号公報に開示されているスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−ETFE、米国特許第4,012,303号および米国特許第4,605,685号に開示されている、炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとのコポリマーによって作製された膜に、α,β,β−トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホン酸基を導入して電解質とした、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFEなどを用いることもできる。
本発明で用いられる電解質のイオン交換基当量重量は、好ましくは、250〜2500g/molであり、より好ましくは、300〜1500g/molであり、さらに好ましくは、350〜1000g/molである。イオン交換基当量重量を2500g/mol以下とすることにより、出力性能が低下しにくくなる傾向にあり、250g/mol以下とすることにより該電解質の耐水性が低下しにくくなる傾向にあり、それぞれ好ましい。
なお、本発明でいう、イオン交換基当量重量とは、導入されたイオン交換性を有する官能基の単位モルあたりの電解質であるポリマーの分子量を表し、値が小さいほどイオン交換性の官能基の含量が高いことを示す。イオン交換基当量重量は、1H−NMRスペクトロスコピー、元素分析、特公平1−52866号公報に記載の酸塩基滴定、非水酸塩基滴定(規定液はカリウムメトキシドのベンゼン・メタノール溶液)等により測定が可能である。
電解質は、通常、電解質膜の状態で、燃料電池に使用される。製膜方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)あるいは溶融状態より製膜する方法(溶融プレス法または溶融押し出し法)等が可能である。具体的には前者については、例えば、電解質であるイオン交換ポリマーを含む溶液をガラス板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜できる。製膜に用いる溶媒は、電解質であるイオン交換ポリマーを溶解し、その後に除去し得るものであれば特に制限はなく、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、または、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジクロロメタン、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコールが好適に用いられる。
本発明で用いる電解質膜の厚みは特に制限はないが、10〜300μmが好ましく、10〜200μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。10μm以上とすることにより、より実用に適した強度を有するものとなり、300μm以下とすることにより、膜抵抗の低減つまり発電性能向上がより向上する傾向にあり好ましい。溶液キャスト法の場合、電解質膜の厚みは、電解質であるイオン交換ポリマーの溶液濃度の調整または基板上へ塗布する厚さの調整により制御できる。溶融状態より製膜する場合、電解質膜の厚みは、溶融プレス法または溶融押し出し法等で得た所定厚さのフィルムを所定の倍率に延伸することで制御できる。
<<電解質膜の他の成分>>
また、本発明に用いる電解質膜を製造する際に、通常のポリマーに使用される可塑剤、安定剤、離型剤等の添加剤を本発明の目的に反しない範囲内で使用できる。
また、本発明に用いる電解質膜を製造する際に、通常のポリマーに使用される可塑剤、安定剤、離型剤等の添加剤を本発明の目的に反しない範囲内で使用できる。
本発明に用いる電解質膜には、膜特性を向上させるため、必要に応じて、酸化防止剤、繊維、微粒子、吸水剤、可塑剤、相溶剤等を添加してもよい。これら添加剤の含有量は電解質膜の全体量に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
酸化防止剤としては、(ヒンダード)フェノール系、一価または二価のイオウ系、三価〜五価のリン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、サリチレート系、オキザリックアシッドアニリド系の各化合物が好ましい例として挙げられる。具体的には特開平8−53614号公報、特開平10−101873号公報、特開平11−114430号公報、特開2003−151346号公報に記載の化合物が挙げられる。
繊維としては、パーフルオロカーボン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維等が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平10−312815号公報、特開2000−231928号公報、特開2001−307545号公報、特開2003−317748号公報、特開2004−63430号公報、特開2004−107461号公報に記載の繊維が挙げられる。
微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等からなる微粒子が好ましい例として挙げられ、具体的には特開平6−111834号公報、特開2003−178777号公報、特開2004−217921号公報に記載の微粒子が挙げられる。
吸水剤(親水性物質)としては、架橋ポリアクリル酸塩、デンプン−アクリル酸塩、ポバール、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリグリコールジアルキルエーテル、ポリグリコールジアルキルエステル、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲル、チタニアゲル、ジルコニアゲル、イットリアゲルが好ましい例として挙げられ、具体的には特開平7−135003号公報、特開平8−20716号公報、特開平9−251857号公報に記載の吸水剤が挙げられる。
可塑剤としては、リン酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、脂肪族一塩基酸エステル系化合物、脂肪族二塩基酸エステル系化合物、二価アルコールエステル系化合物、オキシ酸エステル系化合物、塩素化パラフィン、アルキルナフタレン系化合物、スルホンアルキルアミド系化合物、オリゴエーテル類、カーボネート類、芳香族ニトリル類が好ましい例として挙げられ、具体的には特開2003−197030号公報、特開2003−288916号公報、特開2003−317539号公報に記載の可塑剤が挙げられる。
さらに本発明に用いる電解質膜には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々のポリマーを含有させてもよい。
(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000で本発明の電解質と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンが挙げられる。これらのポリマーは、2種類以上を併用してもよい。これらのポリマーの含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
相溶剤としては、沸点または昇華点が250℃以上のものが好ましく、300℃以上のものがより好ましい。
(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有するポリマーなどが好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000で本発明の電解質と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンが挙げられる。これらのポリマーは、2種類以上を併用してもよい。これらのポリマーの含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
相溶剤としては、沸点または昇華点が250℃以上のものが好ましく、300℃以上のものがより好ましい。
(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有するポリマーなどが好ましく、含有量としては全体に対し1〜30質量%の範囲が好ましい。
本発明に用いる電解質膜の特性としては、以下の諸性能を持つものが好ましい。
イオン伝導度は例えば25℃95%RHにおいて、0.005S/cmであることが好ましく、0.01S/cm以上であるものがより好ましい。
強度としては例えば引っ張り強度が10MPa以上であることが好ましく、20MPa以上であるものがさらに好ましい。
イオン伝導度は例えば25℃95%RHにおいて、0.005S/cmであることが好ましく、0.01S/cm以上であるものがより好ましい。
強度としては例えば引っ張り強度が10MPa以上であることが好ましく、20MPa以上であるものがさらに好ましい。
本発明に用いる電解質膜は安定した吸水率および含水率を持つものが好ましい。また、本発明に用いる電解質膜は、アルコール類、水およびこれらの混合溶媒に対し、溶解度は実質的に無視できる程度であることが好ましい。また上記溶媒に浸漬した時の重量減少、形態変化も実質的に無視できる程度であることが好ましい。
膜状に形成した場合のイオン伝導方向は表面から裏面の方向が、それ以外の方向に対し高い方が好ましいが、ランダムであってもよい。
本発明に用いる電解質膜の耐熱温度は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましい。耐熱温度は例えば1℃/分の測度で加熱していったときの重量減少5%に達した時間として定義できる。この重量減少は、水分等の蒸発分を除いて計算される。
膜状に形成した場合のイオン伝導方向は表面から裏面の方向が、それ以外の方向に対し高い方が好ましいが、ランダムであってもよい。
本発明に用いる電解質膜の耐熱温度は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましい。耐熱温度は例えば1℃/分の測度で加熱していったときの重量減少5%に達した時間として定義できる。この重量減少は、水分等の蒸発分を除いて計算される。
さらに、電解質膜を燃料電池に用いる場合、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒を添加してもよい。これにより、電解質膜中に浸透した燃料が他方極側に到達すること無く電解質膜中で消費されることとなり、クロスオーバーを防ぐことができる。用いられる活性金属触媒は、後述する活性金属触媒が適しており、白金または白金を基にした合金が好ましい。
<<燃料電池の構成>>
次に、本発明の膜電極接合体および、該膜電極接合体を用いた燃料電池について説明する。
図1は本発明の膜電極接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、電解質膜11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。
アノード電極12とカソード電極13は、例えば、導電層12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、活性金属触媒を担持した導電材をプロトン伝導材料に分散させた分散物からなる。触媒層12b、13bを電解質膜11に密着させるために、導電層シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、電解質膜11にホットプレス法(好ましくは120〜250℃、2〜100kg/cm2)で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、電解質膜11に転写しながら圧着した後、導電層12a、13aで挟み込む方法を一般に用いる。尚、図1では、グラフト重合層は図示していない。
次に、本発明の膜電極接合体および、該膜電極接合体を用いた燃料電池について説明する。
図1は本発明の膜電極接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、電解質膜11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。
アノード電極12とカソード電極13は、例えば、導電層12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、活性金属触媒を担持した導電材をプロトン伝導材料に分散させた分散物からなる。触媒層12b、13bを電解質膜11に密着させるために、導電層シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、電解質膜11にホットプレス法(好ましくは120〜250℃、2〜100kg/cm2)で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、電解質膜11に転写しながら圧着した後、導電層12a、13aで挟み込む方法を一般に用いる。尚、図1では、グラフト重合層は図示していない。
図2は燃料電池の構造の一例を示す。燃料電池はMEA10と、MEA10を挟持する一対のセパレーターからなる集電体17およびガスケット14を有する。アノード極側の集電体17にはアノード極側給排気口15が設けられ、カソード極側の集電体17にはカソード極給排気口16設けられている。アノード極側給排気口15からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側給排気口16からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
膜電極接合体10に使用される触媒層は、活性金属触媒を担持した導電材により構成されるものであり、必要に応じて撥水剤や結着剤が含まれていてもよい。また、触媒を担持していない導電材と必要に応じて含まれる撥水剤や結着剤とからなる層(導電層)を、触媒層の外側に形成してもよい。触媒層には、導電材に活性金属触媒を担持した触媒が用いられる。活性金属触媒としては、水素の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、あるいはそれらの合金が挙げられる。このような触媒の中で、特に白金が多くの場合用いられる。
通常用いられる活性金属触媒の粒子サイズは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズが小さい程単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが、小さすぎると凝集させずに分散させることが難しくなる傾向にあるので、2nm以上が好ましい。
通常用いられる活性金属触媒の粒子サイズは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズが小さい程単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが、小さすぎると凝集させずに分散させることが難しくなる傾向にあるので、2nm以上が好ましい。
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極側(水素極側)に比べ、カソード極側(空気極側)が大きい。これは、アノード極側に比べ、カソード極側の反応(酸素の還元)が遅いためである。カソード極側の活性向上を目的として、活性金属触媒として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元活性金属触媒を用いることができる。アノード燃料に一酸化炭素を含む化石燃料改質ガスを用いる燃料電池においては、COによる触媒被毒を抑制することが重要である。この目的のために、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元活性金属触媒、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元活性金属触媒を用いることができる。
活性金属触媒を担持させる導電材としては、電子導伝性物質であればいずれのものでも良く、例えば各種金属や炭素材料などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、およびアセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等が挙げられ、これらが単独あるいは混合して使用される。特に、アセチレンブラック、Vulcan XC−72、ケチェンブラック、カーボンナノホーン(CNH)、カーボンナノチューブ(CNT)が好ましく用いられる。
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属触媒に輸送すること、(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンを電解質膜に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は上記で述べた活性金属触媒が、(3)は同じく上記で述べた導電材が担う。(4)の機能を果たすために、触媒層にプロトン伝導材料を混在させる。
触媒層に用いるプロトン伝導材料としては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、電解質膜に用いられる酸残基を有する高分子化合物、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾール等の耐熱芳香族ポリマー、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリオキセタン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンの膜が挙げられ、具体的には、特開2002−110174号公報、特開2002−105200号公報、特開2004−10677号公報、特開2003−132908号公報、特開2004−179154号公報、特開2004−175997号公報、特開2004−247182号公報、特開2003−147074号公報、特開2004−234931号公報、特開2002−289222号公報、特開2003−208816号公報に記載のものが挙げられる。特に、本発明におけるグラフト重合してなるイオン交換性ポリマーと同一構造のものを触媒層のプロトン伝導材料に用いることが接着性の観点から好ましい。
触媒層にはさらに撥水剤を含むものが好ましく、撥水剤としては、例えば、フッ素化カーボン、撥水性を有する含フッ素樹脂が好ましく、特に耐熱性、耐酸化性の優れたものがより好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が使用される。
活性金属触媒の使用量は、0.03〜10mg/cm2の範囲が電池出力と経済性の観点から適している。活性金属触媒を担持する導電材の量は、活性金属触媒の質量に対して、1〜10倍が適している。プロトン伝導材料の量は、活性金属触媒を担持した導電材の質量に対して、0.1〜0.7倍が適している。
導電層は、電極基材、透過層、あるいは裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの透過が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)処理を施したものを使用することもできる。
活性金属触媒を担持する方法としては、熱還元法、スパッタ法、パルスレーザーデポジション法、真空蒸着法などが挙げられる(例えば、WO2002/054514号公報など)。
次に、アノード電極およびカソード電極の作製方法について説明する。ナフィオンに代表されるプロトン伝導材料を溶媒に溶解し、活性金属触媒を担持した導電材と混合した分散液(触媒層塗布液)を分散する。
分散液の溶媒はヘテロ環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセタミド等)、水等が好ましく用いられ、この中でもヘテロ環化合物、アルコール類、多価アルコール類、アミド類が好ましく用いられる。
分散液の溶媒はヘテロ環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセタミド等)、水等が好ましく用いられ、この中でもヘテロ環化合物、アルコール類、多価アルコール類、アミド類が好ましく用いられる。
分散方法は、攪拌による方法でも良いが、超音波分散、ボールミル等を用いることもできる。得られた分散液はカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等の塗布法を用いて塗布することができる。
分散液の塗布について説明する。塗布工程においては、上記分散液を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの分散液をキャストまたは塗布して製膜してもよい。この場合の支持体は特に限定されないが、好ましい例としては、ガラス基板、金属基板、高分子フィルム、反射板等を挙げることができる。高分子フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系高分子フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のエステル系高分子フィルム、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は公知の方法でよく、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。特に、支持体として導電性多孔質体(カーボンペーパー、カーボンクロス)を用いると触媒層と導電層を有する電極が作製できる。
これらの操作はカレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうこともでき、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。この他の方法として、上記のようにペースト状にした分散液を通常のスプレー等を用いて電解質膜に直接噴霧して触媒層を形成する方法等も用いることができる。噴霧時間と噴霧量を調節することで均一な触媒層を形成することができる。
塗布工程の乾燥温度は乾燥速度に関連し、材料の性質に応じて選択することができる。好ましくは−20℃〜150℃であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。乾燥時間は短時間であるほうが生産性の観点から好ましいが、あまり短時間であると気泡、表面の凹凸等の欠陥の原因となる。このため、乾燥時間は1分〜48時間が好ましく、5分〜10時間がより好ましく、10分〜5時間がさらに好ましい。また、湿度の制御も重要であり、25〜100%RHが好ましく、50〜95%RHがさらに好ましい。
塗布工程における塗布液(分散液)中には金属イオンの含量が少ない物が好ましく、特に遷移金属イオン、中でも鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオンは少ない物が好ましい。遷移金属イオンの含量は500ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。従って、前述の工程で使用する溶媒も、これらのイオンの含量の低いものが好ましい。
本発明の膜電極接合体が有する触媒層の厚さは5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
膜電極接合体の製造方法は、例えば、電解質膜と、触媒層、導電層等を接合しMEAを作製する。作製方法については特に制限はなく、公知の方法を適用することが可能である。
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導材料塗布法:白金担持カーボン材料、プロトン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒層ペースト(インク)を本発明の電解質膜の両側に直接塗布し、多孔質導電シート等の導電層を熱圧着(ホットプレス)して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒層ペーストを多孔質導電シート(導電層)表面に塗布し、触媒層を形成させた後、本発明の電解質膜と熱圧着(ホットプレス)し、5層構成のMEAを作製する。塗布の支持体が異なる以外は上記(1)と同様である。
(3)Decal法:触媒層ペーストを支持体(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート等)上に塗布し、触媒層を形成させた後、本発明の電解質膜に触媒層のみを熱圧着(ホットプレス)により転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクを本発明の電解質膜に塗布・製膜した後、白金イオンを当該固体電解質に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。
(1)プロトン伝導材料塗布法:白金担持カーボン材料、プロトン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒層ペースト(インク)を本発明の電解質膜の両側に直接塗布し、多孔質導電シート等の導電層を熱圧着(ホットプレス)して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒層ペーストを多孔質導電シート(導電層)表面に塗布し、触媒層を形成させた後、本発明の電解質膜と熱圧着(ホットプレス)し、5層構成のMEAを作製する。塗布の支持体が異なる以外は上記(1)と同様である。
(3)Decal法:触媒層ペーストを支持体(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート等)上に塗布し、触媒層を形成させた後、本発明の電解質膜に触媒層のみを熱圧着(ホットプレス)により転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクを本発明の電解質膜に塗布・製膜した後、白金イオンを当該固体電解質に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。
上記、ホットプレスを行なう場合は、以下のものが好ましい。
電解質はスルホン酸を置換基として持つプロトン型でもよいし、特開2004−165096号公報、特開2005−190702号公報に記載されているように、スルホン酸が塩形態である塩型であってもよい。塩型である場合のスルホン酸のカウンターカチオンは、1価または2価のカチオンが好ましく、1価のカチオンがさらに好ましい。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カリウムが好ましく、これらのカチオンおよびプロトンの群から複数の物を採用してもよい。ナトリウム塩、カリウム塩であるものが特に好ましい。
本発明では、ホットプレスを行う場合の温度を200℃以下としても、良好な密着性を保つことができる。
電解質はスルホン酸を置換基として持つプロトン型でもよいし、特開2004−165096号公報、特開2005−190702号公報に記載されているように、スルホン酸が塩形態である塩型であってもよい。塩型である場合のスルホン酸のカウンターカチオンは、1価または2価のカチオンが好ましく、1価のカチオンがさらに好ましい。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カリウムが好ましく、これらのカチオンおよびプロトンの群から複数の物を採用してもよい。ナトリウム塩、カリウム塩であるものが特に好ましい。
本発明では、ホットプレスを行う場合の温度を200℃以下としても、良好な密着性を保つことができる。
上記塩を用いる場合にはさらに以下の工程が必要である。
燃料電池用途として使用するには、電解質膜がプロトン伝導性を有する必要性がある。そのために、酸との接触によって、電解質膜の塩置換率を接触する前の99%以下にする。触媒層と電解質膜を接合した後に酸と接触させることによって、電極接合時に受ける熱履歴による膜の含水率およびイオン伝導性の低下を回復させることができる。
燃料電池用途として使用するには、電解質膜がプロトン伝導性を有する必要性がある。そのために、酸との接触によって、電解質膜の塩置換率を接触する前の99%以下にする。触媒層と電解質膜を接合した後に酸と接触させることによって、電極接合時に受ける熱履歴による膜の含水率およびイオン伝導性の低下を回復させることができる。
酸と接触させる方法としては、塩酸、硫酸、硝酸、有機スルホン酸のような酸性水溶液に浸漬または酸性水溶液を噴霧する公知の方法を使用することができるが、浸漬する方法が簡便で好ましい。また、鉱酸である塩酸、硫酸、硝酸を用いる方法が好ましく、使用する酸性水溶液の濃度は、イオン伝導性の低下状況、浸漬温度、浸漬時間等にも依存するが、例えば、0.0001〜5規定の酸性水溶液を好適に用いることができ、0.1〜2規定の範囲が特に好ましい。浸漬温度は多くの場合は室温であれば十分に転化することができ、浸漬時間を短縮する場合は、酸性水溶液を加温してもよい。この場合には30〜100℃の範囲が好ましく、50〜95℃の範囲がより好ましい。浸漬時間は、酸性水溶液の濃度および浸漬温度に依存するが、概ね10分間〜24時間の範囲で好適に実施することができるが、生産性の観点から上記範囲で、6時間以下が好ましく、4時間以下が特に好ましい。この酸性溶液に含まれる不純物は1重量%以下が好ましく、0.1%以下がさらに好ましい。
燃料電池運転の際に、膜の内部を移動するプロトンが酸として機能することによって置換したカチオンが洗い流され、より高いイオン伝導性を発現させる方法等も用いることができる。このようにして製造された膜電極接合体を用いて燃料電池を製造する方法を説明する。
固体高分子型燃料電池は、以上のように形成された電解質膜と電極との接合体の外側に燃料流路と酸化剤流路を形成する溝付きの集電体としての燃料配流板と酸化剤配流板を配したものを単セルとし、このような単セルを複数個、冷却板等を介して積層することにより構成される。このうち、集電体(バイポーラプレート)は、表面等にガス流路を有するグラファイト製または金属製の流路形成材兼集電体である。こうした集電体の間に電解質膜とガス拡散電極との接合体を挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池スタックを作製することができる。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1.2V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレーターを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池の作動温度は、高温であるほど触媒活性が上がるために好ましいが、通常は水分管理が容易な50℃〜120℃で運転させる。酸素や水素の供給圧力は、高いほど燃料電池出力が高まるため好ましいが、膜の破損等によって両者が接触する確率も増加するため適当な圧力範囲、例えば、1〜3気圧の範囲に調整することが好ましい。
燃料電池の燃料として用いることのできるのは、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
上記アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒層に供給する方法には、(1)ポンプ等の補機を用いて強制循環させる方法(アクティブ型)と、(2)補機を用いない方法(例えば、液体の場合には毛管現象や自然落下により、気体の場合には大気に触媒層を晒し供給するパッシブ型)の2通りがあり、これらを組み合わせることも可能である。前者は、反応ガスの加圧調湿等を行い、高出力化ができる等の利点がある反面、より小型化がし難い欠点がある。後者は、小型化が可能な利点がある反面、高い出力が得られにくい欠点がある。
燃料電池は、自動車用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、特に、水素型燃料電池は、高出力が得られる利点を活かし、様々な家庭用給湯発電装置、輸送機器の動力、携帯電子機器のエネルギー源としての利用が期待されている。例えば、好ましく適用できる給湯発電装置としては、家庭用、集合住宅用、病院用、輸送機器としては、自動車、船舶、携帯機器としては、携帯電話、モバイルノートパソコン、電子スチルカメラなどが挙げられる。好ましく適用できるポータブル機器としては、ポータブル発電機、野外照明機器などが挙げられる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池の充電用電源としても有用である。さらに非常用電源の用途も提案されている。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<<電解質の作製>>
P−1
撹拌機、温度計、塩化カルシウム管を接続した還流冷却器を備えた500mlの四つ口丸底フラスコの内部を窒素置換した後、21.6gのソルベイアドバンストポリマーズ(株)社製ポリスルホン(PSU)ユーデルP−1700、13.6g(0.1mol)のブタンサルトン、乾燥した50mlのニトロベンゼンを入れた。撹拌しながら約30分かけて14.7g(0.11mol)の無水塩化アルミニウムを加えた。無水塩化アルミニウムの添加終了後、8時間還流した。次いで、反応物を25mlの濃塩酸を添加した氷水500mlに注ぎ、反応を停止させた。反応溶液を1リットルの脱イオン水にゆっくりと滴下することでスルホブチル化ポリスルホンを析出させ、濾過回収した。析出した沈澱をミキサーによる脱イオン水洗浄と吸引濾過による回収操作を、濾液が中性になるまで繰り返した後、120℃にて一晩減圧乾燥した。
得られたスルホブチル化ポリスルホンのイオン交換基当量重量は980g/molであった。
P−1
撹拌機、温度計、塩化カルシウム管を接続した還流冷却器を備えた500mlの四つ口丸底フラスコの内部を窒素置換した後、21.6gのソルベイアドバンストポリマーズ(株)社製ポリスルホン(PSU)ユーデルP−1700、13.6g(0.1mol)のブタンサルトン、乾燥した50mlのニトロベンゼンを入れた。撹拌しながら約30分かけて14.7g(0.11mol)の無水塩化アルミニウムを加えた。無水塩化アルミニウムの添加終了後、8時間還流した。次いで、反応物を25mlの濃塩酸を添加した氷水500mlに注ぎ、反応を停止させた。反応溶液を1リットルの脱イオン水にゆっくりと滴下することでスルホブチル化ポリスルホンを析出させ、濾過回収した。析出した沈澱をミキサーによる脱イオン水洗浄と吸引濾過による回収操作を、濾液が中性になるまで繰り返した後、120℃にて一晩減圧乾燥した。
得られたスルホブチル化ポリスルホンのイオン交換基当量重量は980g/molであった。
P−2
特開2006−344578の実施例3の固体電解質と同様な作り方をしてスルホン化ポリスルホン電解質を得た。
特開2006−344578の実施例3の固体電解質と同様な作り方をしてスルホン化ポリスルホン電解質を得た。
P−3
SnCl4を0.15ml(1.25×10-3mol)加えたクロロメチルメチルエーテル(ClCH2OCH3)18.75ml(2.49×10-1mol)を、(PSU)ユーデルP−170011g(3.9×10-4mol)を1,1,2,2−テトラクロロエタン200mlに溶かした(約60℃で)溶液に加えた。この溶液を、500ml三口フラスコに入れ水冷管を付け窒素置換下、110℃にて3時間攪拌し反応させた。
その後、メタノール(MeOH)3mlを加え反応を停止し、冷却後多量のMeOHを加えポリマーを沈殿させ、吸引ろ過で沈殿部とろ液に分けた。沈殿部に再び多量のMeOHを加え洗浄した。
沈殿部を真空乾燥させ目的物であるクロロメチル化ポリスルホンを9.3g得た。
カリウム−tert−ブトキシド((CH3)3COK))4.6g(4.1×10-2mol)および3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(HS−(CH2)3−SO3Na)6.6g(3.7×10-2mol)を500mlの三口フラスコに入れ、脱水ジメチルホルムアミド(DMF)100mlを加えた。この溶液を、窒素気流下、80℃にて、10分間攪拌した。
上記で合成したクロロメチル化ポリスルホン5gを脱水DMF100mlに溶かしたものを、上記で作製した溶液が入った三口フラスコに滴下し、水冷管を付け窒素気流下、80℃にて、5時間攪拌させ反応させた。冷却後、析出した沈殿物をろ過し、200mlの蒸留水を加え、室温にて2時間攪拌させた。沈殿部を濾過・乾燥させ、目的物であるスルホン酸基が導入されたポリマーを4.8g得た。
SnCl4を0.15ml(1.25×10-3mol)加えたクロロメチルメチルエーテル(ClCH2OCH3)18.75ml(2.49×10-1mol)を、(PSU)ユーデルP−170011g(3.9×10-4mol)を1,1,2,2−テトラクロロエタン200mlに溶かした(約60℃で)溶液に加えた。この溶液を、500ml三口フラスコに入れ水冷管を付け窒素置換下、110℃にて3時間攪拌し反応させた。
その後、メタノール(MeOH)3mlを加え反応を停止し、冷却後多量のMeOHを加えポリマーを沈殿させ、吸引ろ過で沈殿部とろ液に分けた。沈殿部に再び多量のMeOHを加え洗浄した。
沈殿部を真空乾燥させ目的物であるクロロメチル化ポリスルホンを9.3g得た。
カリウム−tert−ブトキシド((CH3)3COK))4.6g(4.1×10-2mol)および3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(HS−(CH2)3−SO3Na)6.6g(3.7×10-2mol)を500mlの三口フラスコに入れ、脱水ジメチルホルムアミド(DMF)100mlを加えた。この溶液を、窒素気流下、80℃にて、10分間攪拌した。
上記で合成したクロロメチル化ポリスルホン5gを脱水DMF100mlに溶かしたものを、上記で作製した溶液が入った三口フラスコに滴下し、水冷管を付け窒素気流下、80℃にて、5時間攪拌させ反応させた。冷却後、析出した沈殿物をろ過し、200mlの蒸留水を加え、室温にて2時間攪拌させた。沈殿部を濾過・乾燥させ、目的物であるスルホン酸基が導入されたポリマーを4.8g得た。
<<製膜>>
上記のP−1、P−2、P−3を10重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドン溶媒に溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚50μmの電解質膜M−1、M−2、M−3を作製した。
上記のP−1、P−2、P−3を10重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドン溶媒に溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚50μmの電解質膜M−1、M−2、M−3を作製した。
<<表面グラフト重合>>
上記で得られた電解質膜M−1、M−2、M−3を、5cm角に切断したもの、および、市販のNafion112を5cm角に切断したもの(以下N−1と記す)の、それぞれの片面に、酸素濃度30ppm以下の窒素ガス雰囲気下、室温で電子線を照射した(加速電圧10kV、照射線量5kGy)。さらに、反対側の面にも、同様の電子線照射を行った。
上記で得られた電解質膜M−1、M−2、M−3を、5cm角に切断したもの、および、市販のNafion112を5cm角に切断したもの(以下N−1と記す)の、それぞれの片面に、酸素濃度30ppm以下の窒素ガス雰囲気下、室温で電子線を照射した(加速電圧10kV、照射線量5kGy)。さらに、反対側の面にも、同様の電子線照射を行った。
上記操作において用いた酸素を、脱気および窒素置換を5回繰り返して除いた後、窒素ガスで置換した雰囲気下において、炭化水素系モノマーとしてジビニルベンゼンを含むスチレン溶液(スチレン40質量部、ジビニルベンゼン2質量部、n−ヘキサン40質量部)中に、両面に電子線照射された上記電解質膜(M−1、M−2、M−3、N−1)の入ったガラス製セパラブルフラスコ中に膜が浸されるまで導入した。60℃で15時間反応させ表面グラフトさせた。その後、膜を取り出し、トルエン、アセトン、蒸留水で洗浄した後、乾燥させて、両表面にグラフト化した電解質膜を得た。
続いて、上記のようにして表面グラフトさせた膜を、1,2−ジクロロエタン溶媒中、50℃でクロロスルホン酸と2時間反応させた。得られた膜を1,2−ジクロロエタン、イオン交換水で洗浄し、乾燥させ、イオン交換ポリマーが両面に表面グラフト重合された電解質膜(M−1s、M−2s、M−3s、N−1s)を得た。
上記と同様に、電解質膜(M−1、M−2、M−3、各5cm角)の両面に対して、酸素濃度30ppm以下の窒素ガス雰囲気下、室温で電子線を照射した(加速電圧10kV、照射線量10kGy)。
照射後、5回の脱気操作により上記酸素を取り除き、窒素置換した窒素雰囲気下で、炭化フッ素系モノマーであるCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2SO2Fを含む溶液(CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2SO2Fを30質量部、ヘキサフロロメタキシレンを30質量部、アゾビスイソブチロニトリルを0.01質量部)中に電解質膜を浸漬させ、60℃で24時間反応させた。その後、常法によりSO2F基を加水分解し、フッ素系イオン交換ポリマーが両面に表面グラフト重合された電解質膜(M−1f、M−2f、M−3f)を得た。
照射後、5回の脱気操作により上記酸素を取り除き、窒素置換した窒素雰囲気下で、炭化フッ素系モノマーであるCF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2SO2Fを含む溶液(CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2SO2Fを30質量部、ヘキサフロロメタキシレンを30質量部、アゾビスイソブチロニトリルを0.01質量部)中に電解質膜を浸漬させ、60℃で24時間反応させた。その後、常法によりSO2F基を加水分解し、フッ素系イオン交換ポリマーが両面に表面グラフト重合された電解質膜(M−1f、M−2f、M−3f)を得た。
<<触媒層作製>>
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金30質量%が担持)2gと、ポリテトラフルオロエチレン粉末0.4gとを混合した後、ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、5重量%溶液)40mlを加えて超音波分散器で30分間分散させ、触媒層用のペーストを調製した。得られた触媒層用のペーストを補強材入り支持体(ポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン製))上に塗設して、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜き、触媒層を作製した。なお、塗布量は白金担持量として、約0.2mg/cm2とした。
白金担持カーボン(VulcanXC72に白金30質量%が担持)2gと、ポリテトラフルオロエチレン粉末0.4gとを混合した後、ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、5重量%溶液)40mlを加えて超音波分散器で30分間分散させ、触媒層用のペーストを調製した。得られた触媒層用のペーストを補強材入り支持体(ポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン製))上に塗設して、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜き、触媒層を作製した。なお、塗布量は白金担持量として、約0.2mg/cm2とした。
<<膜電極接合体の作製>>
電解質膜として、市販のNafion112、上記で作成したM−1、M−2、M−3、および、表面グラフト処理を施したM−1s、M−2s、M−3s、N−1s、M−1f、M−2f、M−3fそれぞれの両面に、上記で得られた触媒層を、触媒層を設けた側が電解質膜に接するように張り合わせ、表1に記載の温度で、1.5MPa、5分間で熱圧着し、圧力をかけたまま降温した後、補強材入り支持体を剥離した。これを電解質膜中の塩をプロトン化するために、0.5Mの硫酸中に室温で24時間浸漬した後室温で水洗し、自然乾燥することで、膜電極接合体を作製した。結果を表1に示した。
電解質膜として、市販のNafion112、上記で作成したM−1、M−2、M−3、および、表面グラフト処理を施したM−1s、M−2s、M−3s、N−1s、M−1f、M−2f、M−3fそれぞれの両面に、上記で得られた触媒層を、触媒層を設けた側が電解質膜に接するように張り合わせ、表1に記載の温度で、1.5MPa、5分間で熱圧着し、圧力をかけたまま降温した後、補強材入り支持体を剥離した。これを電解質膜中の塩をプロトン化するために、0.5Mの硫酸中に室温で24時間浸漬した後室温で水洗し、自然乾燥することで、膜電極接合体を作製した。結果を表1に示した。
<<触媒層の密着評価>>
テープ剥離試験条件
Scotch TM テープ(3M社製、型式:メンディングテープ810)を上記で作製した膜電極接合体の触媒層表面に貼付け、テープ貼付け面に対して45°の角度に500gの力で引張り、膜電極接合体の触媒層に剥離が発生しないときを○、剥離の面積が10%未満の場合を△、10%以上の場合を×とした。結果を表1に示した。
テープ剥離試験条件
Scotch TM テープ(3M社製、型式:メンディングテープ810)を上記で作製した膜電極接合体の触媒層表面に貼付け、テープ貼付け面に対して45°の角度に500gの力で引張り、膜電極接合体の触媒層に剥離が発生しないときを○、剥離の面積が10%未満の場合を△、10%以上の場合を×とした。結果を表1に示した。
上記のとおり、本発明の膜電極接合体では、熱圧着温度が低くても、良好な密着が得られた。
これに対し、 比較例の膜電極接合体では、圧着温度(210℃)が低いと、密着がやや改良されるが、膜の着色が起こって好ましくなかったばかりか、膜の劣化が起こっていた。一方、熱圧着温度を低くすると、密着性が悪くなってしまった。
これに対し、 比較例の膜電極接合体では、圧着温度(210℃)が低いと、密着がやや改良されるが、膜の着色が起こって好ましくなかったばかりか、膜の劣化が起こっていた。一方、熱圧着温度を低くすると、密着性が悪くなってしまった。
<<燃料電池特性>>
(1)最大出力および高電流密度領域出力
上記で得られた膜電極接合体に電極と同サイズにカットしたE−TEK製ガス拡散電極(導電層)を積層し、エレクトロケム社製標準燃料電池試験セルにセットし、試験セルを燃料電池評価システム((株)エヌエフ回路設計ブロック製、As−510)に接続した。アノード側に加湿した水素ガスを、カソード極側に加湿した模擬大気を流し、電圧が安定するまで運転した。その後、アノード電極とカソード電極間に、負荷をかけて電流−電圧特性を記録した。いずれのサンプルもセル内の温度70℃においてはセル内の相対湿度95%、水素ガス供給背圧は2気圧、模擬大気ガス供給背圧は2気圧で出力測定した。0.3A/cm2における出力電圧(V)を表2に示した。
(1)最大出力および高電流密度領域出力
上記で得られた膜電極接合体に電極と同サイズにカットしたE−TEK製ガス拡散電極(導電層)を積層し、エレクトロケム社製標準燃料電池試験セルにセットし、試験セルを燃料電池評価システム((株)エヌエフ回路設計ブロック製、As−510)に接続した。アノード側に加湿した水素ガスを、カソード極側に加湿した模擬大気を流し、電圧が安定するまで運転した。その後、アノード電極とカソード電極間に、負荷をかけて電流−電圧特性を記録した。いずれのサンプルもセル内の温度70℃においてはセル内の相対湿度95%、水素ガス供給背圧は2気圧、模擬大気ガス供給背圧は2気圧で出力測定した。0.3A/cm2における出力電圧(V)を表2に示した。
(2)耐久性試験
耐久性試験は、アノード極側、カソード極側にそれぞれ所定量加湿した水素ガス、模擬大気を流し、アノード極側およびカソード極側のガス給排口の相対湿度は、それぞれ、95%、セル温度は70℃で0.3A/cm2の定電流密度にて出力変化を観察した。連続試験開始前の出力値に対して10%の出力低下が観察された時間を、電解質膜にNafion112(N−1)を用いた場合を1.0(基準)として、表2に示した。
耐久性試験は、アノード極側、カソード極側にそれぞれ所定量加湿した水素ガス、模擬大気を流し、アノード極側およびカソード極側のガス給排口の相対湿度は、それぞれ、95%、セル温度は70℃で0.3A/cm2の定電流密度にて出力変化を観察した。連続試験開始前の出力値に対して10%の出力低下が観察された時間を、電解質膜にNafion112(N−1)を用いた場合を1.0(基準)として、表2に示した。
(表面グラフト重合の評価法)
表面をイオンエッチングしながら、光電子分光法(XPS)により、グラフト重合されたポリマーに特有の元素の存在量を測定することでグラフト重合の有無を確認することができる。さらには、エッチング時間から厚みへの換算は、下記の標準サンプルの測定結果から行える。
表面をイオンエッチングしながら、光電子分光法(XPS)により、グラフト重合されたポリマーに特有の元素の存在量を測定することでグラフト重合の有無を確認することができる。さらには、エッチング時間から厚みへの換算は、下記の標準サンプルの測定結果から行える。
(標準サンプルの作製)
ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、20重量%溶液)40mlを超音波分散器で30分間分散した。これをセルロースエステルフィルム(フジタック、富士写真フイルム(株)性)の上に、乾膜後の厚みが約0.2μmとなるようにロッドバーを用い塗布し、乾燥した。この厚みを再度膜厚計を用いて測定し、t(μm)とした。
ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、20重量%溶液)40mlを超音波分散器で30分間分散した。これをセルロースエステルフィルム(フジタック、富士写真フイルム(株)性)の上に、乾膜後の厚みが約0.2μmとなるようにロッドバーを用い塗布し、乾燥した。この厚みを再度膜厚計を用いて測定し、t(μm)とした。
(エッチング時間から測定深さの換算)
光電子分光スペクトロメーター(島津製作所製、ESCA750型)を用い、加速電圧2kV、加速電流20mAで、圧力5×10 -4 Paのアルゴンガス中で標準サンプルをエッチングする。エッチングを1分間行い、F元素のF1sシグナルを測定する。これを繰り返し、測定されるF元素のシグナルの強度が、第1回エッチング後のシグナルの1/10の強度となった時のエッチング時間の合計をT分とする。t(μm)/T(分)からエッチング速度を求め、実サンプルのエッチング時間から厚みに換算する。
光電子分光スペクトロメーター(島津製作所製、ESCA750型)を用い、加速電圧2kV、加速電流20mAで、圧力5×10 -4 Paのアルゴンガス中で標準サンプルをエッチングする。エッチングを1分間行い、F元素のF1sシグナルを測定する。これを繰り返し、測定されるF元素のシグナルの強度が、第1回エッチング後のシグナルの1/10の強度となった時のエッチング時間の合計をT分とする。t(μm)/T(分)からエッチング速度を求め、実サンプルのエッチング時間から厚みに換算する。
(実サンプルにおける表面の表面グラフト重合の評価)
グラフト重合して得られたサンプルを、標準サンプルと同様の条件で、エッチングしながらXPS測定することでグラフト重合厚みを評価する。XPS測定の際に検出する元素は、グラフト重合されたポリマーに含まれるF元素のF1sシグナルに着目する。エッチングを1分間隔で行いXPS測定する。測定される特異元素のシグナル強度が、第1回目エッチングの後の特異元素のシグナル強度の1/10以下となった時の深さ(エッチング時間の合計から深さに換算する)をグラフト重合厚みとする。
グラフト重合して得られたサンプルを、標準サンプルと同様の条件で、エッチングしながらXPS測定することでグラフト重合厚みを評価する。XPS測定の際に検出する元素は、グラフト重合されたポリマーに含まれるF元素のF1sシグナルに着目する。エッチングを1分間隔で行いXPS測定する。測定される特異元素のシグナル強度が、第1回目エッチングの後の特異元素のシグナル強度の1/10以下となった時の深さ(エッチング時間の合計から深さに換算する)をグラフト重合厚みとする。
フッ素系イオン交換ポリマーが表面グラフト重合された電解質膜M-1f、M-2f、M-3fについて、上記の方法で、表面グラフト重合の有無を確認した。電解質膜M-1f、M-2f、M-3f全ての表面に表面グラフト重合されたフッ素系ポリマーに由来するF元素が検出された。エッチング時間から換算した表面グラフト重合厚みはそれぞれ、200nm〜300nmであることが分かった。
本発明の膜電極接合体は、固体高分子型燃料電池に用いることができる。さらに、該燃料電池は、コージュネシステム、燃料電池車などに利用できる可能性がある。
10・・・膜電極接合体(MEA)
11・・・電解質膜
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・ガスケット
15・・・アノード極ガス給排口
16・・・カソード極ガス給排口
17・・・集電体
11・・・電解質膜
12・・・アノード電極
12a・・・アノード極多孔質導電シート
12b・・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・・カソード極多孔質導電シート
13b・・・カソード極触媒層
14・・・ガスケット
15・・・アノード極ガス給排口
16・・・カソード極ガス給排口
17・・・集電体
Claims (9)
- 電解質膜と、該電解質膜の少なくとも片面に設けられた、触媒層を含む電極を有する膜電極接合体であって、
前記電解質膜と前記触媒層とは、重合性モノマーを表面グラフト重合してなるイオン交換性ポリマーを介して接合している膜電極接合体。 - 電解質膜と、該電解質膜の少なくとも片面に設けられた、触媒層を含む電極を有する膜電極接合体であって、
前記電解質膜と前記触媒層とは、前記電解質膜上に、重合性モノマーを表面グラフト重合してなるイオン交換性ポリマーからなる表面グラフト重合層を介して接合している膜電極接合体。 - 前記重合性モノマーは、イオン交換性モノマーである、請求項1または2に記載の膜電極接合体。
- 前記触媒層のバインダーが、前記イオン交換性ポリマーと同一構造である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
- 前記電解質膜が芳香族炭化水素系ポリマーからなり、前記イオン交換性ポリマーがフッ素系ポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
- 前記表面グラフト重合層が、0.1μm〜1.0μmの厚さである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
- 表面グラフト重合を、加速電圧50KV以下の低エネルギーの電子線、酸素ガスプラズマ、アルゴンガスプラズマ、紫外線で行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。
- 電解質膜上に、重合性モノマーを表面グラフト重合し、その上に、触媒層を設ける工程を含む、膜電極接合体の製造方法。
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| JP2007253376A JP2008108723A (ja) | 2006-09-29 | 2007-09-28 | 膜電極接合体およびその製造方法 |
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| JP2007253376A JP2008108723A (ja) | 2006-09-29 | 2007-09-28 | 膜電極接合体およびその製造方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2016085794A (ja) * | 2014-10-23 | 2016-05-19 | ダイハツ工業株式会社 | 電極触媒層形成用バインダーおよび燃料電池 |
| US9531025B2 (en) | 2013-06-04 | 2016-12-27 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Membrane-electrode assembly, manufacture method thereof, and solid polymer fuel cell |
| KR20170132676A (ko) * | 2016-05-24 | 2017-12-04 | 가부시키가이샤 스크린 홀딩스 | 기판 처리 장치 및 기판 처리 방법 |
| JP2021068571A (ja) * | 2019-10-23 | 2021-04-30 | 株式会社Kri | 表面改質高分子電解質膜ならびにそれを用いた膜電極接合体および高分子電解質形燃料電池 |
-
2007
- 2007-09-28 JP JP2007253376A patent/JP2008108723A/ja active Pending
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| US10103400B2 (en) | 2013-06-04 | 2018-10-16 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Membrane-electrode assembly, manufacture method thereof, and solid polymer fuel cell |
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| KR20170132676A (ko) * | 2016-05-24 | 2017-12-04 | 가부시키가이샤 스크린 홀딩스 | 기판 처리 장치 및 기판 처리 방법 |
| KR102008566B1 (ko) | 2016-05-24 | 2019-08-07 | 가부시키가이샤 스크린 홀딩스 | 기판 처리 장치 및 기판 처리 방법 |
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