JP2008107720A - 偏光子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】作成が容易かつ高性能な反射型の偏光子を提供すること。
【解決手段】透光性基板8と、この透光性基板8上に形成された回折格子12であって、使用する光の波長以下の周期を有するように整列された複数の凸部9を有し、かつ、これら複数の凸部9のそれぞれが、高屈折率層10と低屈折率層11との交互層からなる回折格子12と、この回折格子12における互いに隣位する前記凸部9同士の間の位置に、透光性基板8内に埋没した部位を有するように形成され、前記低屈折率層11の屈折率よりも高くかつ前記高屈折率層10の屈折率よりも低い屈折率を有する中間屈折率領域14とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】透光性基板8と、この透光性基板8上に形成された回折格子12であって、使用する光の波長以下の周期を有するように整列された複数の凸部9を有し、かつ、これら複数の凸部9のそれぞれが、高屈折率層10と低屈折率層11との交互層からなる回折格子12と、この回折格子12における互いに隣位する前記凸部9同士の間の位置に、透光性基板8内に埋没した部位を有するように形成され、前記低屈折率層11の屈折率よりも高くかつ前記高屈折率層10の屈折率よりも低い屈折率を有する中間屈折率領域14とを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、偏光子およびその製造方法に係り、特に、液晶表示素子や光ピックアップ光学系、光通信用光学素子などに適用され、反射光を有効に利用するのに好適な偏光子およびその製造方法に関する。
一般に、偏光子は、一方向に偏光した直線偏光のみを透過させ、前記一方向に直交する方向に偏光した直線偏光は吸収または反射させる機能を有する光学素子として知られている。しかしながら、偏光子は、その構造および機能により複数のタイプに分類することができ、そのタイプに応じて特徴や特性が大きく異なるため、向いている用途も異なる。
いくつかあるタイプの中で、よく知られているタイプの偏光子としては、高分子フィルムにヨウ素などの二色染料の色素を分散させて1軸方向に延伸して製造される色素ドープポリマー型の偏光子、ガラスに銀等の金属微粒子をドープして一方向に延伸したドープガラス型の偏光子、波長以下のサイズの周期構造を有する金属ワイヤーから構成される金属ワイヤー型の偏光子および複屈折性を有する高分子フィルムの多層干渉を利用した複屈折多層膜型の偏光子等がある。
これらのよく知られているタイプの偏光子は、例えば、特許文献1〜5に開示されている。
すなわち、特許文献1には、色素ドープポリマー型の偏光子がその製造方法とともに開示されており、この特許文献1に開示された製造方法では、高分子中に二色性のヨウ素等の微粒子を吸着させて薄膜フィルムを形成し、その後に、薄膜フィルムを1軸方向に延伸することによって、色素ドープポリマー型の偏光子を製造するようになっている。
また、特許文献2には、金属ワイヤー型の偏光子がその製造方法とともに開示されており、この特許文献2に開示された製造方法では、基板上に、サブ波長サイズ以下の周期構造を有する金属ワイヤーを形成することによって、反射型の偏光子を製造するようになっている。
特許文献2と同様に、特許文献3には、金属ワイヤー型の偏光子がその製造方法とともに開示されており、この特許文献3に開示された製造方法では、ナノインプリントプロセスによって形成されたポリマーをマスクにしたドライエッチングによって反射型のワイヤーグリッド偏光子を製造するようになっている。
さらに、特許文献4には、ドープガラス型の偏光子がその製造方法とともに開示されており、この特許文献4に開示された製造方法では、ガラス中に銅および銀などの金属微粒子をドープして一軸方向に延伸することによって偏光子を製造するようになっている。
さらにまた、特許文献5には、複屈折多層膜型の偏光子がその製造方法とともに開示されており、この特許文献5に開示された製造方法では、基板上に、屈折率の異なる2種類の高分子フィルム多数枚重ねて反射型の偏光子を製造するようになっている。
しかしながら、特許文献1に開示された製造方法では、確かに、安価なコストによって大面積の偏光子を製造することができるといった利点はあるものの、この方法で製造することができる偏光子は、TE偏光の光を透過してTM偏光の光は吸収する、いわゆる吸収型の偏光子のみであるので、TM光を反射して再利用するような反射型の偏光子に適用することはできない。
また、特許文献2に開示された製造方法では、微細なリソグラフィー技術および真空プロセスを用いたドライエッチングを行っているため、偏光子を安価なコストで大量に製造することは困難である。
さらに、特許文献3に開示された製造方法では、ドライエッチングにおいて真空プラズマ装置を用いているため、コスト的に有利であるとは言い難い。
さらにまた、特許文献4に開示された製造方法によって製造される偏光子は、特許文献1と同様に吸収タイプの偏光子であるので、反射タイプの偏光子を実現することはできない。
さらにまた、特許文献5に開示された製造方法は、高分子薄膜同士の接着性を強固にしにくいことや、一軸方向に延伸したときに高分子フィルムに加わる力が不均一になるため、製造された偏光子に位置により偏光特性のむらがあるという欠点を有している。
そこで、本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、高性能な反射型の偏光子を簡便かつ低コストに製造することができる偏光子およびその製造方法を提供することを目的とするものである。さらには、高性能な反射型の偏光子を安価なコストによって簡便に製造することができる偏光子およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係る偏光子の特徴は、透光性基板と、この透光性基板上に形成された回折格子であって、使用する光の波長以下の周期を有するように整列された複数の凸部を有し、かつ、これら複数の凸部のそれぞれが、高屈折率層と低屈折率層との交互層から構成される回折格子と、この回折格子における互いに隣位する前記凸部同士の間の位置に、前記透光性基板内に埋没した部位を有するように形成され、前記低屈折率層の屈折率よりも高くかつ前記高屈折率層の屈折率よりも低い屈折率を有する中間屈折率領域とを備えた点にある。
そして、この請求項1に係る発明によれば、熱インプリントプロセスを用いた製造に適した構成を有することによって、熱インプリントプロセスにより、高性能な反射型の偏光子を安価なコストによって簡便に製造することができる。
また、請求項2に係る偏光子の特徴は、請求項1において、前記凸部における最下層および最上層が、ともに前記高屈折率層とされている点にある。
そして、この請求項2に係る発明によれば、反射型の偏光子を確実に実現することができる。
さらに、請求項3に係る偏光子の特徴は、請求項1または2において、前記透光性基板、前記高屈折率層、前記低屈折率層および前記中間屈折率領域が、同一の高分子ポリマーを用いて形成されている点にある。
そして、この請求項3に係る発明によれば、製造コストをさらに削減することができるとともに、透光性基板と交互層との間の密着力、交互層における高屈折率層と低屈折率層との間の密着力および透光性基板と中間屈折率領域との間の密着力を向上させることができ、耐久性およびこれにともなう長期信頼性に優れた偏光子を製造することができる。
さらにまた、請求項4に係る偏光子の製造方法の特徴は、高分子ポリマーからなるフィルム状の透光性基板上に、微粒子が分散された高分子ポリマーからなる高屈折率高分子フィルムと、微粒子が分散された高分子フィルムからなる低屈折率高分子フィルムとを交互に繰り返し重ねた後に、前記透光性基板に重ねられた前記高屈折率高分子フィルムおよび前記低屈折率高分子フィルムに対して、熱インプリントプロセスを用いて金型形状を転写することにより、前記透光性基板と、この透光性基板上に形成された回折格子であって、使用する光の波長以下の周期を有するように整列された複数の凸部を有し、かつ、これら複数の凸部のそれぞれが、高屈折率層と低屈折率層との交互層からなる回折格子と、この回折格子における互いに隣位する前記凸部同士の間の位置に、前記透光性基板内に埋没した部位を有するように形成され、前記低屈折率層の屈折率よりも高くかつ前記高屈折率層の屈折率よりも低い屈折率を有する中間屈折率領域とを備えた偏光子を製造する点にある。
そして、この請求項4に係る発明によれば、熱インプリントプロセスにより、高性能な反射型の偏光子を安価なコストによって簡便に製造することができる。
本発明によれば、高性能な反射型の偏光子を低コストで簡便に製造することができる。
以下、本発明に係る偏光子およびその製造方法の実施形態について、図1〜図16を参照して説明する。
<第1の基本原理>
まず、本実施形態における偏光子についての第1の基本原理について図1および2を参照して説明する。
まず、本実施形態における偏光子についての第1の基本原理について図1および2を参照して説明する。
図1は、本実施形態における偏光子に適用される薄膜積層構造1の一例を示したものであり、この薄膜積層構造1は、樹脂等によって形成された所定の厚みを有する透光性の基板2と、この基板2の厚み方向(図1における縦方向)における一方の表面(図1における上面)上に形成された合計5層の多層膜構造3とによって構成されている。
多層膜構造3は、樹脂や誘電体によって形成された互いに屈折率が異なる2種類の薄膜H、Lが、基板2の厚み方向に交互に繰り返し積層されてなり、これら2種類の薄膜H、Lのうち、一方の薄膜Hは、相対的に屈折率が高い高屈折率層Hとされ、他方の薄膜Lは、相対的に屈折率が低い低屈折率層Lとされている。
この薄膜積層構造1は、基板2のすぐ上層(多層膜構造3における最下層)に高屈折率層Hが形成され、かつ、多層膜構造3における最上層すなわち多層膜構造3と空気層との境界に高屈折率層Hが形成されていることによって、反射率の高いミラーを構成している。このような構成が、反射型の偏光子に好適なものとして知られている。また、図1における多層膜構造3の層数は5層であるが、この多層膜構造3の層数を増やすほど、より広い帯域(光の波長帯域)において高い反射率を得ることができる。ただし、偏光子への適用のためには、高屈折率層Hおよび低屈折率層Lの光学膜厚を、それぞれ使用する光の波長の1/4にすることが必要になる。
ここで、図2は、屈折率nS=1.5146とされた透光性の基板2上に、屈折率nH=1.61とされた高屈折率層Hおよび屈折率nL=1.51とされた低屈折率層Lからなる合計111層の多層膜構造3が形成された薄膜積層構造1についての波長500nm〜800nmmの範囲の反射率の計算結果を示している。なお、この反射率の計算に用いた薄膜積層構造1は、図1に示したものと同様に、基板2のすぐ上層に高屈折率層Hが形成され、かつ、最上層にも高屈折率層Hが形成されたものである。また、この薄膜積層構造1は、使用する光の波長を650nmと想定したうえで、高屈折率層Hおよび低屈折率層Lの各層の光学膜厚を、使用する光の波長650nmの1/4に設定したものである。したがって、高屈折率層Hの物理膜厚は、650nmの1/4とされた光学膜厚を、高屈折率層Hの屈折率で除した値100.93nmとされ、同様に、低屈折率層Lの物理膜厚は、650nmの1/4とされた光学膜厚を、低屈折率層Lの屈折率で除した値107.62nmとされている。このような薄膜積層構造における各層のアドミッタンスを表す行列を計算することによって、図2に示す計算結果を算出することができる。
図2に示すように、反射率が50%以上となる波長帯域の範囲は、中心波長650nmを中心として前後に約30nm程度であることが分かる。この30nmの波長帯域というのは用途によっては必ずしも十分な広さを有しているとは言えないが、波長帯域を広げるにはさらに多層膜構造の層数を増やしていけばよい。
ところで、高屈折率層Hの屈折率と低屈折率層Lの屈折率との差が大きいほど、少ない層数によって広い波長帯域にわたる高反射率を実現することができることが知られており、一般に、誘電体多層膜フィルターでは、高屈折率層Hの成膜材料としてTa2O5やTiO2が採用され、また、低屈折率層Lの材料としてSiO2が採用されることが多い。この場合には、高屈折率層Hと低屈折率層Lとの屈折率差Δnを0.8以上にすることも可能である。
しかしながら、高屈折率層Hおよび低屈折率層Lを安価な高分子によって形成する場合には、両層の間に大きな屈折率差をとるのは一般に困難であることが知られているが、0.1程度の屈折率差であれば上述の偏光子が実現可能である。
<第2の基本原理>
次に、本実施形態における偏光子についての第2の基本原理について図3を参照して説明する。
次に、本実施形態における偏光子についての第2の基本原理について図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態における偏光子に適用されるサブ波長サイズの周期構造5(回折格子)の一例を示したものであり、この周期構造5は、誘電率がε1の媒質と誘電率がε2の媒質とが周期方向であるX軸方向(図3における横方向)に交互に無限に整列されることによって形成されている。この周期構造5の周期サイズΛは、光の波長よりも十分小さい大きさとされている。なお、光の波長以下の周期サイズは、サブ波長サイズと称されている。また、誘電率ε1、ε2の各媒質は、Y軸方向に無限に連続している。
このような周期構造5に対して、光がZ軸方向(図3における縦方向)から入射する場合を考える。ここで、1次の有効媒質理論によれば、X軸方向の平均的な誘電率成分ε‖は以下の(1)式のように表され、また、Z軸方向の平均的な誘電率成分ε⊥は、以下の(2)式のように表されることが知られている。
ε‖(0)=(1−f)・ε1+f・ε2 (1)
1/ε⊥(0)=(1−f)/ε1+f/ε2 (2)
1/ε⊥(0)=(1−f)/ε1+f/ε2 (2)
但し、(1)および(2)式におけるfは、充填率と呼ばれるパラメータであり、この充填率fは、誘電率ε2の媒質のX軸方向の寸法wと周期サイズΛとを用いてf=w/Λと表すことができる。これらの式は、ε1とε2との差異およびf値の選択により、周期構造5に生じる屈折率の異方性をコントロールできることを意味している。例えば、図3に示すように、周期構造5にZ軸方向から入射したTE偏光については反射させ、TM偏光については透過させることが可能となる。
<具体的な構成>
次に、図4および図5は、前述した第1の基本原理および第2の基本原理を適用した本実施形態における偏光子7を示したものである。
次に、図4および図5は、前述した第1の基本原理および第2の基本原理を適用した本実施形態における偏光子7を示したものである。
この偏光子7は、図1に示した基板2と同様の樹脂等によって形成された所定の厚みを有する透光性の基板8(透光性基板)を有しており、この基板8の厚み方向における一方の表面(図4および5における上面)上には、複数の凸部9が一定の周期を有するように整列された回折格子12が形成されている。
回折格子12における凸部9は、図1に示した多層膜構造3と同様に、図4中において英文字Hが記された高屈折率層10と図4中において英文字Lが記された低屈折率層11との交互層によって形成されているとともに、基板8のすぐ上層(凸部9における最下層)および凸部9における最上層がともに高屈折率層10とされている。
また、図4に示す回折格子12の周期サイズΛは、図3に示した周期構造5と同様に、使用する光の波長以下の大きさ(サブ波長サイズ)に形成されている。
さらに、回折格子12における互いに隣位する凸部9同士の間の位置には、図4中において英文字Mが記された中間屈折率領域14が形成されており、この中間屈折率領域14は、その上面14aを露出させるようにして上面14a以外のすべての部位が基板8の表面から基板8内に埋没されている。
この中間屈折率領域14の屈折率は、低屈折率層11の屈折率よりも高くかつ高屈折率層10の屈折率よりも低い中間的な屈折率とされている。このことは、中間屈折率領域14の屈折率が、高屈折率層10の屈折率nHと低屈折率層11の屈折率nLとの丁度中間値nM=(nH+nL)/2をとる場合があることも当然に含んでいる。
なお、本実施形態における中間屈折率領域14は、一定の周期を有する一次元の回折格子形状を呈している。
このように、本実施形態における偏光子7は、第1の基本原理および第2の基本原理が適用されていることによって、一方向に偏光した直線偏光のみを透過し、それと直交する方向に偏光した直線偏光は反射させる反射型の偏光子として機能することができるようになっている。
また、中間屈折率領域14は、後述する熱インプリントプロセスによる回折格子12の形成の際に回折格子12と同時に副次的に形成されるものである。したがって、このような中間屈折率領域14を回折格子12と併有した本実施形態における偏光子7は、熱インプリントプロセスによる製造に好適な構成であるということができる。
<製造方法>
次に、本実施形態における偏光子7の製造方法について詳述する。
次に、本実施形態における偏光子7の製造方法について詳述する。
本実施形態における偏光子7は、多層膜の形成法と、その多層膜に熱インプリント法等の回折格子形状を転写するプロセスとの2種類のプロセスによって製造する。
すなわち、まず最初に、高分子のポリマーを用いて形成された互いに屈折率が異なる2種類のフィルム(すなわち、高屈折率高分子フィルムおよび低屈折率高分子フィルム)と、フィルム状の透光性基板としての膜厚の厚い厚肉フィルムとを用意する。
これらの高屈折率高分子フィルム、低屈折率高分子フィルムおよび厚肉フィルムの材料としては、熱可塑性および熱硬化性の様々な高分子ポリマーを用いることができ、例えばPMMA、シクロオレフィン系、エポキシ系、ポリイミド系、ポリカーボネートなどを挙げることができる。
しかしながら、本実施形態のように、基板8上に多層膜構造の凸部9が一体的に形成された偏光子7については、長期信頼性を得るためには、基板8、高屈折率層10、低屈折率層11および中間屈折率領域14の間の密着力が強い構造である必要があり、そのためには、なるべく同じ構造を有する(同種の)ポリマーを用いて各フィルム(高屈折率高分子フィルム、低屈折率高分子フィルムおよび厚肉フィルム)を形成することが望ましい。
ここで、異種のポリマーを用いる場合には、屈折率の異なるフィルムの組み合わせを選ぶのは容易であるが、同種のポリマーを用いる場合であっても、ポリマー中に、例えば、Ta2O5、TiO2およびAl2O3等の酸化物からなる無機微粒子を均一に分散させることよって、フィルムの屈折率を制御して異なる屈折率のフィルムの組み合わせを選ぶことが可能である。同種のポリマーを用いた場合において屈折率を互いに異ならせるには、ポリマー中に屈折率の異なる無機微粒子を例えば分散量や粒子の種類を異ならせるように分散させればよい。
なお、無機微粒子を有機ポリマー中に均一に分散することができることに関しては、例えば、特開平6−322278号公報に開示されており、また、無機微粒子を熱可塑性ポリマーに均一分散することができることに関しては、例えば、特開2003−292795号公報に開示されている。
このように、同種類の高分子のポリマー中に微粒子を分散させることによって高屈折率高分子フィルム、低屈折率高分子フィルムおよび厚肉フィルムを形成すれば、基板8と高屈折率層10との間の密着力、高屈折率層10と低屈折率層11と間の密着力および基板8と中間屈折率領域14との間の密着力をともに向上させることができ、高温高湿試験やヒートショック試験などの長期信頼耐久性試験に強い偏光子7を製造することができる。
そして、前述のように、高屈折率高分子フィルム、低屈折率高分子フィルムおよび厚肉フィルムを用意した上で、次に、厚肉フィルム上に、高屈折率高分子フィルムおよび低屈折率高分子フィルムを順次繰り返し載置して重ねる。この載置の際に、各フィルムを接着剤で貼り合わせるようにしてもよい。
なお、高屈折率高分子フィルムと低屈折率高分子フィルムとは、互いの光学膜厚が等しくなるように、互いの屈折率の違いを利用して膜厚(物理膜厚)を予め調整しておく必要があるが、厚肉フィルム上への高屈折率高分子フィルムおよび低屈折率高分子フィルムの載置の段階においては、必ずしも、高屈折率高分子フィルムと低屈折率高分子フィルムとの光学膜厚を、使用する光の波長の4分の1にする必要はない。すなわち、高屈折率高分子フィルムおよび低屈折率高分子フィルムが載置された状態の厚肉フィルムに対して、加熱とともに厚み方向への圧力を作用させることによって、高屈折率高分子フィルムおよび低屈折率高分子フィルムの光学膜厚が、使用する光の波長の1/4となるようにしてもよい。
次いで、図6に示すように、高屈折率高分子フィルム10’および低屈折率高分子フィルム11’が順次繰り返し載置された厚肉フィルム8’を、熱インプリントプロセス用の金型17の下方に配置する。
ここで、金型17は、Ni等の金属の表面に、使用する光の波長より短い周期を有する複数の凹部18を有しており、これらの凹部18の形状を厚肉フィルム8’上の高屈折率高分子フィルム10’および低屈折率高分子フィルム11’に転写することによって、回折格子12が形成されるようになっている。
なお、このような金型17は、例えば、Siウエーハ上に、レジストのEB描画やドライエッチング等の半導体のリソグラフィープロセスを用いて凹部18とは凹凸が逆転したマスター形状を形成した後に、マスター形状へのNi電鋳プロセスを行ってマスター形状をNiに転写することによって得ることができる。
次いで、熱インプリントプロセスを用いた金型17の形状の転写に移行する。すなわち、金型17をポリマーのガラス転移温度以上の温度に加熱し、加熱された金型17に対して下方への強い圧力をかけることによって、高屈折率高分子フィルム10’および低屈折率高分子フィルム11’が載置された厚肉フィルム8’上に金型17を上方から押し当てる。
これにより、金型17の凹部18においては、図7に示すように、高屈折率高分子フィルム10’および低屈折率高分子フィルム11’の材料が凹部18内に入り込んで凹部18の形状が転写されることによって、高屈折率層10と低屈折率層11との積層構造である凸部9が形成される。
同時に、金型17における凹部18間の凸部においては、両フィルム10’、11’を強い圧力で押圧してその部分を破断して厚肉フィルム8’内に押し下げることにより、両フィルム10’、11’を熱と圧力で混ざり合わせた均一な屈折率を有する領域が形成される。この領域が、前述した中間屈折率領域14であり、この中間屈折率領域14の屈折率nMは、例えば、高屈折率層10の屈折率nHと低屈折率層11の屈折率nLとの中間値nM=(nH+nL)/2をとる。
このようにして金型17の形状が転写されることによって、高屈折率層10と低屈折率層11との多層膜構造からなる回折格子12ならびに中間屈折率領域14を基板8上に備えた偏光子7が形成される。
次いで、金型17をポリマーのガラス転移温度よりも低い温度まで冷却した後に、図8に示すように、金型17を上方向に引き上げて偏光子7を金型17から離型させる。
このとき、金型17の凹部18入り込んだフィルム材料が金型17に接着して抜けにくいことがあるので、これを防止するために前もって金型17に樹脂の剥離剤を塗布しておき、離型を円滑に行わしめることもできる。このような剥離剤としては、例えば、ダイキン工業(株)のオプツールDXF(登録商標)という商品が挙げられる。
このように、本実施形態によれば、金型17を用いた熱インプリントプロセスによって偏光子7を迅速に製造することができるので、量産性を向上させることができる。また、このような熱インプリントプロセスに用いる設備は、前述したワイヤーグリッド偏光子を製造する設備に比べれば安価であるため、製造コストを削減することができる。さらに、本実施形態によれば、金型17によるフィルム10’、11’の押圧を利用して偏光子7を形成していることによって、基板8と高屈折率層10との間の密着力、高屈折率層10と低屈折率層11と間の密着力および基板8と中間屈折率領域14との間の密着力をともに向上させることができる。なお、このような密着力の向上は、前述のように、高屈折率高分子フィルム10’、低屈折率高分子フィルム11’および厚肉フィルム8’を同種類のポリマーを用いて形成すればさらに強まることになる。
<第1実施例>
次に、本発明に係る偏光子の第1実施例について説明する。本実施例における偏光子7は、下記の偏光子データに示す条件を満足している。
次に、本発明に係る偏光子の第1実施例について説明する。本実施例における偏光子7は、下記の偏光子データに示す条件を満足している。
(偏光子データ)
λ=650nm、Λ=400nm、f=0.5、nS=1.5145、nL=1.51、nM=1.56、nH=1.61、tM=8.22μm、tH=0.1153μm、tL=0.1230μm、m=69層
λ=650nm、Λ=400nm、f=0.5、nS=1.5145、nL=1.51、nM=1.56、nH=1.61、tM=8.22μm、tH=0.1153μm、tL=0.1230μm、m=69層
但し、偏光子データにおけるλは、使用する光の波長(中心波長)である。また、Λは、偏光子7における回折格子12の周期サイズである。さらに、fは、回折格子12の充填率である。さらにまた、nSは、基板8の屈折率である。また、nLは、低屈折率層11の屈折率である。さらに、nMは、中間屈折率領域14の屈折率である。さらにまた、nHは、高屈折率層10の屈折率である。また、tMは、中間屈折率領域14の膜厚である。さらに、tHは、高屈折率層10の膜厚である。さらにまた、tLは、低屈折率層11の膜厚である。また、mは、基板8上の多層膜10、11の層数(合計層数)である。つまり、本実施例においては、高屈折率層10の層数が35層、低屈折率層11の層数が34となる。
なお、多層膜10、11の層数を数えるにあたっては、凸部9における最下層の高屈折率層10を第1層目とし、凸部9の最上層の高屈折率層10を第69層目としている。
また、偏光子データでは、中間屈折率領域14の膜厚tMが凸部9を構成する1層〜69層の多層膜10、11の総膜厚に等しくなっているが、このことは、本実施例に係る反射型の偏光子7に常に当てはまるとは限らない。
さらに、偏光子データでは、偏光子7の機能する中心波長が650nmとなるように、各層の薄膜の膜厚を調整している。
ここで、本実施例の偏光子7は、光学的には、多層膜から成るサブ波長サイズの回折格子の1つとして理解することができ、また、予想される特性も、サブ波長の回折格子特性を計算するのによく用いるRCWA法を用いて計算することができる。RCWA法による計算方法はJ.Opt.Soc.Am.A,vol.12,no5,pp1068--1076,May,1995.に示されている。
このようなRCWA法を用いて、本実施例の偏光子7の特性を計算すると、図9および図10に示すような計算結果が得られた。図9は、TEモード直線偏光を偏光子7に入射した場合における550〜750nmの領域での透過・反射率特性を示している。また、図10は、TMモード直線偏光を偏光子7に入射した場合における550〜750nmの領域での透過・反射率特性を示している。
なお、このRCWA法を用いた計算においては、屈折率および誘電率をフーリエ級数展開するにあたってその展開項数を15項取ることした。
図9から分かるように、650nmのときに、TE光の反射率は最大となり94.6%を示す。また、図10から分かるように、TMモード光は、650nmにおいてほぼ透過している。650nmでのTE光、TM光の透過・反射率は以下に示すような値となった。
TE光の透過率:5.40% TE光の反射率:94.6%
TM光の透過率:96.2% TM光の反射率:3.80%
TM光の透過率:96.2% TM光の反射率:3.80%
ここで、透過光においては、600nm付近以下で±1次光が生じていることが分かるが、ここでは650nm付近での性能を考えているため実用上の支障はない。
ところで、このような透過・反射率特性の他にも、偏光子の性能を表す一般的なパラメータとして、次の(3)および(4)式に示す消光比が知られている。これらの式はHandbook of Optics(Vol. I, 5-13)に記述されている。
Et=−10・log(Ts/Tp) (3)
Er=−10・log(Rs/Rp) (4)
Er=−10・log(Rs/Rp) (4)
なお、(3)式において、Etは、透過光に関する消光比、Tsは、偏光子7に対して偏光子7の透過軸に平行な直線偏光を入射した場合の透過率、Tpは、偏光子7に対して偏光子7の透過軸に直交する直線偏光を入射した場合の透過率である。また、(4)式において、Erは、反射光に関する消光比、Rpは、偏光子7に対して偏光子7の透過軸に平行な直線偏光を入射した場合の反射率、Rsは、偏光子7に対して偏光子7の透過軸に直交する直線偏光を入射した場合の反射率である。
本実施例における偏光子7は、透過光に関する消光比が12.5dB、また、反射光に関する消光比が13.9dBとなり、ほぼ満足できる結果となった。
<第2実施例>
次に、より好ましい実施例として、本発明に係る偏光子の第2実施例について説明する。本実施例における偏光子7は、下記の偏光子データに示す条件を満足している。
<第2実施例>
次に、より好ましい実施例として、本発明に係る偏光子の第2実施例について説明する。本実施例における偏光子7は、下記の偏光子データに示す条件を満足している。
(偏光子データ)
λ=650nm、Λ=400nm、f=0.5、nS=1.5145、nL=1.51、nM=1.56、nH=1.61、tM=13.03μm、tH=0.1153μm、tL=0.1229μm、m=125層
λ=650nm、Λ=400nm、f=0.5、nS=1.5145、nL=1.51、nM=1.56、nH=1.61、tM=13.03μm、tH=0.1153μm、tL=0.1229μm、m=125層
偏光子データにおける各パラメータは第1実施例と同様であるので、説明を省略する。なお、本実施例においても、中間屈折率領域14の薄膜厚さtMは、凸部9を構成する1層〜125層の多層膜10、11の総膜厚に等しくなっている。
このような本実施例における偏光子7について、RCWA法を用いて特性を計算すると、図11および図12に示すような計算結果が得られた。図11は、TEモード直線偏光を偏光子7に入射した場合における550〜750nmの領域での透過・反射率特性を示している。また、図12は、TMモード直線偏光を偏光子7に入射した場合における550〜750nmの領域での透過・反射率特性を示している。
650nmでのTE光、TM光の透過・反射率は以下に示すような値となった。
TE光の透過率:0.213% TE光の反射率:99.78%
TM光の透過率:99.93% TM光の反射率:0.066%
TM光の透過率:99.93% TM光の反射率:0.066%
この計算結果からも分かるように、本実施例によれば、第1実施例よりもさらに優れた性能を発揮することができる。これは、凸部9を構成する高屈折率層10および低屈折率層11の層数が第1実施例よりも増加していることに起因すると考えられる。
次に、本実施例の偏光子7について、透過および反射に関する消光比の波長依存性を計算すると、図13および図14に示すような計算結果が得られた。
図13および図14に示すように、本実施例における偏光子7は、波長650nmの帯域において、透過光に関する消光比が26.7B、また、反射光に関する消光比が31.8dBとなり、第1実施例よりもさらに優れた結果となった。
<第3実施例>
次に、本発明に係る偏光子の第3実施例について説明する。本実施例における偏光子7は、下記の偏光子データに示す条件を満足している。
次に、本発明に係る偏光子の第3実施例について説明する。本実施例における偏光子7は、下記の偏光子データに示す条件を満足している。
(偏光子データ)
λ=650nm、Λ=400nm、f=0.5、nS=1.5145、nL=1.51、nM=1.56、nH=1.61、tM=12μm、tH=0.1153μm、tL=0.1229μm、m=125層
λ=650nm、Λ=400nm、f=0.5、nS=1.5145、nL=1.51、nM=1.56、nH=1.61、tM=12μm、tH=0.1153μm、tL=0.1229μm、m=125層
本実施例における偏光子7は、第2実施例とは異なり、中間屈折率領域14の薄膜厚さtMが、凸部9を構成する1層〜125層の多層膜10、11の総膜厚よりも薄くなっている。
このような偏光子7について、RCWA法を用いて特性を計算すると、図15および図16に示すような計算結果が得られた。図15は、TEモード直線偏光を偏光子7に入射した場合における550〜750nmの領域での透過・反射率特性を示している。また、図16は、TMモード直線偏光を偏光子7に入射した場合における550〜750nmの領域での透過・反射率特性を示している。
これらの図より、反射率の低波長側のリップルが少し異なるが中心波長(650nm)付近での特性は第2実施例とそれほど変わらないことが分かる。したがって、中間屈折率領域14の膜厚の多少の変動はそれほど重要でないことが分かる。
以上述べたように、本発明によれば、熱インプリントプロセスにより、高性能な反射型の偏光子を安価なコストによって簡便に製造することができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、中間屈折率領域14における上面14a以外のすべての部位が基板8の表面から基板8内に埋没しているが、金型の押圧力や凸部9を構成する高屈折率層10および低屈折率層11の層数等によっては、中間屈折率領域14を、その上面14a側の所定範囲の部位が基板8の表面から突出するように形成することができる。
7 偏光子
8 基板
9 凸部
10 高屈折率層
11 低屈折率層
12 回折格子
14 中間屈折率領域
8 基板
9 凸部
10 高屈折率層
11 低屈折率層
12 回折格子
14 中間屈折率領域
Claims (4)
- 透光性基板と、
この透光性基板上に形成された回折格子であって、使用する光の波長以下の周期を有するように整列された複数の凸部を有し、かつ、これら複数の凸部のそれぞれが、高屈折率層と低屈折率層との交互層から構成される回折格子と、
この回折格子における互いに隣位する前記凸部同士の間の位置に、前記透光性基板内に埋没した部位を有するように形成され、前記低屈折率層の屈折率よりも高くかつ前記高屈折率層の屈折率よりも低い屈折率を有する中間屈折率領域と
を備えたことを特徴とする偏光子。 - 前記凸部における最下層および最上層が、ともに前記高屈折率層とされていること
を特徴とする請求項1に記載の偏光子。 - 前記透光性基板、前記高屈折率層、前記低屈折率
層および前記中間屈折率領域が、同一の高分子ポリマーを用いて形成されていること
を特徴とする請求項1または2に記載の偏光子。 - 高分子ポリマーからなるフィルム状の透光性基板上に、微粒子が分散された高分子ポリマーからなる高屈折率高分子フィルムと、微粒子が分散された高分子フィルムからなる低屈折率高分子フィルムとを交互に繰り返し重ねた後に、前記透光性基板に重ねられた前記高屈折率高分子フィルムおよび前記低屈折率高分子フィルムに対して、熱インプリントプロセスを用いて金型形状を転写することにより、前記透光性基板と、この透光性基板上に形成された回折格子であって、使用する光の波長以下の周期を有するように整列された複数の凸部を有し、かつ、これら複数の凸部のそれぞれが、高屈折率層と低屈折率層との交互層からなる回折格子と、この回折格子における互いに隣位する前記凸部同士の間の位置に、前記透光性基板内に埋没した部位を有するように形成され、前記低屈折率層の屈折率よりも高くかつ前記高屈折率層の屈折率よりも低い屈折率を有する中間屈折率領域とを備えた偏光子を製造すること
を特徴とする偏光子の製造方法。
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