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JP2008106245A - 炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

炭素繊維強化複合材料 Download PDF

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JP2008106245A
JP2008106245A JP2007246745A JP2007246745A JP2008106245A JP 2008106245 A JP2008106245 A JP 2008106245A JP 2007246745 A JP2007246745 A JP 2007246745A JP 2007246745 A JP2007246745 A JP 2007246745A JP 2008106245 A JP2008106245 A JP 2008106245A
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Takuya Karaki
琢也 唐木
Kenichi Yoshioka
健一 吉岡
Hiroaki Miyata
洋明 宮田
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】
引張強度とCAIとを両立させる炭素繊維強化複合材料を提供する。
【解決手段】
マトリックス樹脂、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子および炭素繊維とを含む炭素繊維強化複合材料であって、次の(1)および(2)の条件を満たすことを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
・ 前記微粒子は、その降伏応力が45MPa以上65MPa以下であること。
(2)前記炭素繊維は、その層間剪断強度が前記微粒子の降伏応力以上であり、かつ、120MPa以下であること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた力学特性、特に航空機構造材に必要な引張強度と衝撃後圧縮強度に優れた炭素繊維強化複合材料に関するものである。
炭素繊維とマトリックス樹脂とを含む炭素繊維強化複合材料(以下、CFRPと略すことがある。)は、比強度、比剛性、耐熱性および耐環境性に優れているため、スポーツ分野や航空機分野を始め、幅広く普及し使用されている。特に近年、航空機分野においては、近年の燃料高から低燃費の航空機の需要が起きており、比強度、比剛性に優れるため、機体の軽量化が期待できるCFRPの性能向上がますます待望されている。
航空機構造材に必要とされる力学特性の中でも引張強度と衝撃後圧縮強度(以下CAIと略することもある)は最も重要とされている。そのため、これらの力学特性を向上させる技術が多数開示されており、例えばCAIを向上させる方法として、特許文献1では、熱可塑性樹脂の粒子を層間に配し強化を行う、いわゆる粒子層間強化でCAIを向上させている。また、特許文献2では、マトリックス樹脂を改質することによりCAIを向上させている。いずれの場合も、有効なCAI向上手法として、炭素繊維と樹脂との接着強度が重要とされており、この接着強度が十分でないと炭素繊維と樹脂が容易に剥離してしまい、粒子層間強化の衝撃エネルギー吸収性能を十分発揮できずに、結果CAIを向上させることもできなかった。
このため、炭素繊維と樹脂との接着強度を向上させる方法として、特許文献3などが開示されている。しかし、接着強度を向上させると、今度はもう一つの重要な力学特性である引張強度が低下してしまうというジレンマ生じる。接着強度が強すぎると引張強度が低下するメカニズムについては諸説あるが、一説には接着強度が強すぎる場合は、引張応力下での単繊維の初期クラックが容易に近隣の単繊維に伝播してしまい、引張強度が低下すると考えられている。
このように、CFRPの引張強度とCAIとを両立させる手段はこれまでに存在せず、両方の力学特性を両立させる新たな技術が待たれて久しかった。
特開平10−231372号公報 国際公開第01/27190号パンフレット 特開平9−228248号公報
本発明の目的は、かかる従来技術のもつ課題を解決し、引張強度とCAIとを両立させる炭素繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、マトリックス樹脂、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子および炭素繊維とを含む炭素繊維強化複合材料であって、次の(1)および(2)の条件を満たすことを特徴とする炭素繊維強化複合材料である。
(1)前記微粒子は、その降伏応力が45MPa以上65MPa以下であること。
(2)前記炭素繊維は、その層間剪断強度が前記微粒子の降伏応力以上であり、かつ、120MPa以下であること。
本発明によれば、引張強度とCAIが共に優れた炭素繊維強化複合材料(CFRP)を提供することができる。
本発明で好適に用いられるマトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂および尿素樹脂などが挙げられる。これらの中で、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂およびこれらの樹脂の混合物は、高い力学特性を有し、好ましく用いられる。特に、エポキシ樹脂は力学特性に優れ、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子とも親和性が高く、かつ、炭素繊維との接着にも優れているため、特に好ましく用いられる。
エポキシ樹脂としては、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物が用いられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、およびこれらの樹脂の組み合わせが好適に用いられる。
特に、ビスフェノールA、AD、S6およびF型から選ばれる、もしくは、これらを組み合わせて得られるエポキシ樹脂を好ましくは5から50重量部と、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を好ましくは50から95重量部含むエポキシ樹脂は、力学物性と取り扱い性のバランスに優れており、特に好ましく用いられる。
また、エポキシ樹脂と組み合わせて硬化剤を用いることができる。エポキシ樹脂と組み合わせて用いられる硬化剤としては、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、カルボン無水物およびルイス酸錯体などが挙げられる。またこれらの硬化剤は、硬化活性を高めるために適当な硬化助剤を組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂に硬化助剤を組み合わせる場合の好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素(DCMU)などの尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、芳香族アミンに酸フッ化ホウ素エチルアミン錯体を硬化助剤として組み合わせる例、およびカルボン酸無水物やノボラック樹脂に3級アミンを硬化助剤として組み合わせる例などが挙げられる。
本発明では、硬化後のマトリックス樹脂において溶解し粒子を形成していない熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂に含んでいても良い。このような熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有するものが挙げられる。特に、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミドおよびポリイミドからなる群から選ばれた1種以上の樹脂が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂を混合させるときは、エポキシ樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂をこのましくは1から20重量部混合させることにより、エポキシ樹脂に適度な粘弾性や力学特性を与えることができる。
本発明のCFRPは、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子(以下、単に微粒子とも言う)を含んでいる。かかる微粒子は、未硬化のマトリックス樹脂に、熱可塑性樹脂、エラストマー、熱可塑エラストマーまたは/およびエラストマー等を溶解配合させ、硬化後において形成させるようにしたものでも、また未硬化のマトリックス樹脂に、それに不溶な微粒子などを配合して硬化させ形成されるものであっても良い。マトリックス樹脂の中に、かかる微粒子が存在することにより、マトリックス樹脂の靭性を向上させることができ、CFRPの耐衝撃性を向上させることができる。好ましく用いられる微粒子は、ポリアミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリアラミドからなる群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる微粒子である。
そしてこの微粒子の降伏応力は40MPa以上65MPa以下の範囲にあることが好ましい。この好ましい降伏応力の範囲は後述する炭素繊維の接着強度とCFRPの耐衝撃性と密接に関係しており、詳しくは後述するが、40MPa未満である場合は仮に微粒子が変形破壊しても衝撃エネルギー吸収量が十分ではなく、結果として、CFRPの耐衝撃性を十分向上させることができない。また65MPaを超えると微粒子が変形する代わりに炭素繊維の界面で剥離が起きてしまい、やはりCFRPの耐衝撃性を十分向上させることができなくなる。
そしてこの微粒子の破断伸度は5%以上500%以下の範囲にあることが好ましい。5%未満であると、微粒子の衝撃エネルギー吸収量が充分でなく、結果として、CFRPの耐衝撃性を十分向上させることができなくなる。また500%を越えると、微粒子の衝撃エネルギー吸収量は十分であるが、他の力学特性、たとえば上述した降伏応力など、を十分に確保する事が難しくなり、やはりCFRPの耐衝撃性を十分向上させることができなくなる。
本発明のCFRPは、マトリックス樹脂、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子および炭素繊維を含む層(以下、基本CFRP層ともいう)が複数積層されてなるようにするのが良い。そして、かかるCFRP中で、各基本CFRP層の間に位置する層間領域に、炭素繊維強化複合材料の全体に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の総量のうち、80重量%以上の微粒子が存在していることが好ましい。
図1に、本発明の一例であるCFRPのモデル断面図を示す。図1において、CFRPは、基本CFRP層1、基本CFRP層2および基本CFRP層3が積層されている。図1では、基本CFRP層1は、炭素繊維が紙面に対し垂直方向に配列されており、基本CFRP層2は、炭素繊維が紙面に対し45度方向に配列されており、基本CFRP層3は、炭素繊維が紙面に対し並行で横方向に配列されている。
ここで層間領域とは、図1に示すように、隣接する基本CFRP層同士の間の接する部分(たとえば図1の場合は基本CFRP層1と基本CFRP層2、あるいは、基本CFRP層2と基本CFRP層3)に形成されている領域であり、各層の平均厚みをtとすると、層と層とが接する面から厚さ方向へ上下へ0.15tずつ入った0.3tの厚みを持つ領域をいう。本発明の効果を得るためには、CFRP全体に存在する微粒子のうち、その80重量%以上が層間領域に存在していることが好ましく、この条件を満たす部分がCFRP中に好ましくは全体の30%以上、より好ましくは、全体の50%以上存在することが好ましい。
なお、本発明において、層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の量は、以下の方法によって求めることができる。まず、CFRPを積層面に垂直に切断し、その断面を70倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。この断面写真を用いて、まずは平均的な層の厚みを求める。層の平均厚みは写真上で、少なくとも5層以上の積層部分の厚みを、任意に選んだ5カ所で測定し、その値を該積層数で除して求める。次に、同じCFRPの断面を500倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を作成する。この写真を用い、一つの層間に着目し、その層間部分のほぼ中心に線を引く。次いで、先に求めた層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線、および層の平均厚みを間隔とする2本の線をその中心線に対して対称に引く。写真中の層の平均厚みの30%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が層間領域である。そして、層間領域の中の熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積、および、層の平均厚みを間隔とする2本の線に囲まれた部分における熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積をそれぞれ定量し、その比を取ることにより層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の割合が算出できる。なお、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の面積は、たとえばAdobe社製Photoshop等の画像処理ソフトに写真を取り込み、微粒子の色に相当する部分を面積測定機能で測定することにより求めることができる。なお、本発明においては重量%によって、層間領域に存在する熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の量を規定しているが、重量比は先の面積比に比重をかけた値と同じであるので、面積比の値は重量比の値と同義である。
本発明において、これら微粒子は、その粒径が、1μm以上150μm以下であることが好ましい。粒径が150μmを超えると、炭素繊維の配列を乱したり、積層して得られるCFRPの厚さが厚くなり相対的に炭素繊維の体積含有率を下げ、力学特性を低下させることがあり、粒径が1μmを下回ると、炭素繊維の繊維間に粒子が入り込み、層間部分に局在化せず、粒子の存在効果が十分に得られず耐衝撃性が低くなることがある。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、最大層間剪断降伏応力が、50MPa以上で、かつ、炭素繊維の圧縮層間剪断強度(以下、単にCILS(Compressive Interlaminar Shear strength)と略することもある)以下であることが好ましい。この好ましい最大層間剪断降伏応力の範囲は、微粒子の降伏応力と同様に後述する炭素繊維の接着強度とCFRPの耐衝撃性とに密接に関係しており、詳しくは後述するが、この範囲内であると、衝撃を吸収する役割を担う粒子を十分に変形破壊させることが可能となる。50MPa未満である場合は仮に微粒子が変形破壊しても衝撃エネルギー吸収量が十分ではなく、結果としてCFRPの耐衝撃性を十分向上させることができない。また炭素繊維の圧縮層間剪断強度(ここで炭素繊維の圧縮層間剪断強度とは微粒子を含まない状態での層間剪断強度であり、炭素繊維の接着性の指標である)を超えると微粒子が変形する代わりに炭素繊維の界面で剥離が起きてしまい、やはりCFRPの耐衝撃性を十分向上させることができなくなる。ここで最大層間剪断降伏応力(本発明においては、微粒子を含む層間部分の後述する測定方法によって得られる剪断応力の最大値である)とはASTM D3846−94(2007)に準拠して測定する。すなわち、CFRPを構成するプリプレグを0度方向に48層積層し、オートクレーブ中で温度177℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、厚さ9.12mmのCFRP板を得る。このCFRP板を図10に示すとおり、0度方向長さが80mm、幅方向が12.7mmの短冊状に切り出し、さらに6.84mmのノッチ加工を施す。この試験片を、ASTM D3846−94(2007)に記載のジグを用意し、このジグと試験片との間に図11(試験片をジグに設置した状態を上から見た図)に示すとおり厚さ1mmのステンレス製あて板を挟み、これ以外はASTM D3846−94(2007)に記載の方法で最大荷重を測定し、この最大荷重を試験片の断面積で割った値を最大層間剪断応力とする。また、炭素繊維のCILSはASTM D3846−94(2007)に記載の方法で測定する。
本発明で用いられる炭素繊維は連続繊維であることが好ましい。連続でない場合は、炭素繊維を複合材料に加工したときに、補強繊維としての強度を十分に発揮させることが困難となる。炭素繊維は、その形状や配列については特に限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状および組み紐状であっても良い。特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、炭素繊維束が単一方向に引き揃えられた配列のものが最も適しているが、取り扱いの容易な織物状の配列のものも本発明に適している。また、通常、炭素繊維束は、取り扱い性や得られたCFRPの力学特性に優れているという観点から、その総繊度は好ましくは100tex以上2000tex以下であり、またそのフィラメント本数は好ましくは3000以上30000以下の範囲であるものを用いるのが良い。炭素繊維束の繊度やフィラメント数は、JIS R 7601(1986)によって測定することができる。
本発明では、炭素繊維として、その単繊維の断面形状が実質的に真円形であるものを用いるのが良い。単繊維の断面が実質的に真円形であることにより、繊維のいわゆるアンカー効果を低減させて、繊維とマトリックスとの接着が過度に高くなり引張強度を低下させてしまうことを防ぐことができる。ここで言う断面形状が実質的に真円状であるとは、繊維軸方向に垂直な断面において、断面形状に外接する円の半径Rと内接する円の半径rとの比である真円度(=R/r)が1〜1.1であることを意味する。
さらに、本発明において、CFRPにおける炭素繊維の体積含有率(Vf)は特に限定されるものではないが、得られるCFRPの比強度や比弾性率に優れているという観点から、Vfは30%以上80%以下であることが好ましい。Vfは、JIS K 7075(1991)に従って測定することができる。
そして、本発明で用いられる炭素繊維は、その層間剪断強度が、微粒子の降伏応力以上120MPa以下の範囲内である必要がある。この範囲であると、後述するが、CFRPに衝撃が加えられたときに、微粒子の変形能力を最大限に発揮させ、衝撃エネルギーを十分に吸収することができる。炭素繊維の層間剪断強度が微粒子の降伏応力以下であるとCFRPに衝撃が加えられたときに、微粒子が塑性変形を起こし衝撃エネルギーを吸収する前に炭素繊維の界面で剥離が生じてしまい、CFRPの耐衝撃性が低下してしまう。また、120MPaを超えると、耐衝撃性は十分確保されるものの、引張強度が低下してしまう。
そして、かかる層間剪断強度を有する炭素繊維は、通常、X線光電子分光により測定される表面酸素濃度O/Cが0.02以上、好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.06以上であり、0.2以下、好ましくは0.17以下、さらに好ましくは0.14以下である。O/Cが0.02に満たないと、後述するサイジング剤の極性基構造との親和性が低下し、ひいてはコンポジットの接着特性の向上が望めない場合がある。O/Cが0.2を超えると、サイジング剤の極性基と炭素繊維最表面との化学結合は強固になるものの、本来炭素繊維基質自身が有する強度よりもかなり低い酸化物層が炭素繊維表層を被うことになるため、結果として得られるコンポジットの接着特性は低いものとなってしまう。
また、前記した層間剪断強度を有する炭素繊維は、通常、化学修飾X線光電子分光により測定される表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上、好ましくは0.3%以上であり、3%以下、好ましくは2%以下である。COOH/Cが0.2%に満たないと、後述するサイジング剤の極性基構造との親和性が低下し、ひいてはコンポジットの接着特性の向上が望めない場合がある。COOH/Cが3%を超える場合には、本来炭素繊維基質自身が有する強度よりもかなり低い強度を有する酸化物層が炭素繊維表層を被うことになるため、結果として得られるコンポジットの接着特性は低いものとなる場合があり、また、マトリックス樹脂の硬化速度を遅延させることがある。
かかる炭素繊維は、原料炭素繊維を特定条件で電解表面処理することにより得ることができ、原料炭素繊維としては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系などの公知の炭素繊維を適用できる。高強度の炭素繊維が得られやすいため、アクリル系繊維を焼成して得られるアクリル系炭素繊維がなかでも好ましい。アクリル系炭素繊維の場合を例にとって原料炭素繊維の製造方法を以下詳細に説明する。
アクリル系繊維は、アクリル系重合体を含む紡糸原液を紡糸して得られる。紡糸方法としては、湿式、乾式、乾湿式などを適用できるが、高強度糸が得られやすい湿式あるいは乾湿式が好ましく、特に単繊維の断面形状を真円形としやすい乾湿式紡糸法を採用するのが好ましい。紡糸原液にはポリアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合成分の溶液あるいは懸濁液などを用いることができる。紡糸原液を紡糸後、凝固、水洗、延伸、油剤付与してアクリル系繊維が得られる。アクリル系繊維を、さらに耐炎化、炭化、さらに必要に応じて黒鉛化処理を行う。いわゆる焼成工程を経て原料炭素繊維が得られる。本発明に用いるにより適した炭素繊維とするには、炭化あるいは黒鉛化条件として、不活性雰囲気中最高温度1200℃以上、好ましくは1300℃以上、より好ましくは1400℃以上とするのが良い。炭素繊維の強度および弾性率を向上するには、構成する単繊維の繊度を細繊度とするのが良く、具体的には、単繊維径を7μm以下。好ましくは6μm以下、より好ましくは5.5μm以下とするのが良い。
このようにして得られる原料炭素繊維を次のようにして電解表面処理する。
電解表面処理に用いる電解液は、酸性水溶液、アルカリ水溶液のどちらでも良いが、カルボキシル基濃度COOH/Cを容易に増加できるため、酸性電解液を用いるのが良い。
酸性水溶液に用いる電解質としては水溶液中で酸性を示すものであればよく、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、ホウ酸、炭酸などの無機酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、アクリル酸、マレイン酸等の有機酸、または硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム等の塩があげられる。これらのなかでも強酸性を示す硫酸、硝酸が好ましい。
かかる電解液を満たした槽に原料炭素繊維を浸し、炭素繊維が陽極となるようにして通電して電解処理する。
電解処理に際して電気量は原料炭素繊維の焼成温度に合わせて最適化する事が好ましく、高弾性率糸はより大きな電気量が必要である。表層の結晶性の低下を進ませ、生産性を向上させる一方、炭素繊維基質の強度低下を防ぐ観点から、電解処理は低い電気量処理を繰り返し行うのが好ましい。具体的には電解槽1槽あたりの通電電気量は5クーロン/g・槽(炭素繊維1g当たりのクーロン数)以上、100クーロン/g・槽以下が好ましく、5クーロン/g・槽以上、80クーロン/g・槽以下がより好ましく、10クーロン/g・槽以上、60クーロン/g・槽以下がさらに好ましい。また、表層の結晶性の低下を適度な範囲とする観点からは通電処理の総電気量は5〜1000クーロン/gとするのが好ましく、10〜500クーロン/gの範囲とするのがさらに好ましい。
このようにして電解処理を行った後、水洗および乾燥することが好ましい。また、乾燥後、必要に応じてサイジング剤が付与され、本発明に用いるに適した炭素繊維が得られる。サイジング剤の付与手段としては特に限定されるものではないが、例えばローラを介してサイジング剤に浸漬する方法、サイジング液の付着したローラに接する方法、サイジング液を霧状にして吹き付ける方法などがある。また、バッチ式、連続式いずれでも良いが、生産性が良くバラツキが小さくできる連続式が好ましい。この際、炭素繊維に対するサイジング剤有効成分の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジング液濃度、温度、糸条張力などをコントロールする事が好ましい。また、サイジング剤付与時に炭素繊維を超音波で加振させても良い。
乾燥温度と乾燥時間は溶媒を除去できれば特に限定しない。サイジング剤に使用する溶媒は、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン等があげられるが、取り扱いが容易で防災の観点から水が好ましい。従って、水に不溶、もしくは難溶の化合物をサイジング剤として用いる場合には乳化剤、界面活性剤などを添加し水分散性にして用いるのが良い。
上述したように、本発明では、炭素繊維の層間剪断強度を、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子の降伏応力以上120MPa以下とする必要がある。本発明者らは、炭素繊維の層間剪断強度がこの適正な範囲にある場合にのみ、CFRPの引張強度とCAIを両立させることができることを付きとめた。CFRPに衝撃負荷が与えられたときのCFRP内の応力状態を図2に模式的に示す。図2で、3はCFRP層(CFRPにおける層間領域以外の層)、4は微粒子、5は衝撃負荷による応力をしめす。衝撃負荷による応力5により、CFRPには剪断応力がかかる。ここで、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着が十分高い場合は、図3のように、衝撃負荷による応力5により微粒子が変形し6のようになり、さらに図4のように微粒子は7のように剪断変形し、やがて図5のようにクラック8によって破壊され、微粒子が持つ衝撃エネルギー吸収量は完全に発揮される。このような場合、衝撃による損傷面積は小さくなるためCAIは高い値を保つことができる。一方で炭素繊維とマトリックス樹脂との接着が十分ではあるが、図5のようにクラック8が微粒子7を破壊するまでは十分ではなく、それ以前に炭素繊維とマトリックス樹脂との界面で剥離し、クラック8が発生してしまう図6のようなケースではクラック8が微粒子を破壊せずに微粒子の衝撃エネルギー吸収量を完全には発揮していないものの、微粒子は十分に変形しているため、この時点で衝撃エネルギーはかなり吸収できており、その結果、CAIもほとんど低下することはない。しかしながら、図7のように微粒子がほとんど変形しておらず、まだ微粒子が弾性変形領域にあるときに、すでに炭素繊維とマトリックス樹脂との界面でクラックが入ってしまう場合では、微粒子の塑性変形によるエネルギー吸収は全く発揮されておらず、このため損傷面積は図6や図5の場合に比べはるかに大きくなり、CAIは大きく低下する事になる。
このように、CFRPのCAIに関してだけは炭素繊維とマトリックス樹脂との接着が大きいほどCAIは十分な値を保つことができるが、CFRPの繊維配向方向の引張強度を考えた場合は炭素繊維とマトリックス樹脂との接着が大きすぎる場合は不利に働くことになる。
図8はCFRPの繊維配向方向の引張強度発現を説明するモデル図である。CFRPの繊維配向方向に引張応力が負荷された際、多数の単繊維の中で初期欠陥などで強度の低い単繊維がまず破壊する。このとき、その破壊の衝撃で、周りのマトリックス樹脂にクラック10が入るが、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着が強すぎる場合は、このクラックが隣の単繊維に伝播して、一度に多くの単繊維が破壊することになる。このような場合、CFRPとしての引張強度は低下する。一方で、図9の場合、単繊維の破壊によって生じたクラック10は同時に、炭素繊維とマトリックス樹脂との界面にそっても走ることになり、このため、クラックが過度に隣の単繊維の及ぶことはなく、結果として、CFRPの接着強度は高くなる。
このように、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着強度は微粒子を塑性変形させるのに十分な強度であればそれ以上は必要なく、むしろ過度の接着強度は引張強度を低下させることになる。
次に、本発明のCFRPを製造するに好適な方法について説明する。
本発明のCFRPは、上記した未硬化のマトリックス樹脂を、炭素繊維に含浸させてなるプリプレグを積層し、未硬化のマトリックス樹脂を硬化させることによって得ることができる。プリプレグの製造には、各種の方法を用いることができる。例えば、加熱した未硬化のマトリックス樹脂中に炭素繊維を通す方法、未硬化のマトリックス樹脂をリバースロールコータなどを用いて離型紙などの表面にフィルム状に塗布し、炭素繊維の片側あるいは両側から挟み込み、加熱・加圧して含浸させる方法、未硬化のマトリックス樹脂を溶媒に溶解して溶液とし、溶液と共に炭素繊維を通して含浸した後、乾燥して溶媒を除去する方法など、各種の方法を適用することができる。このプリプレグの片面または両面の表面近傍に、前述の微粒子を存在させ、積層、硬化して得られたCFRPの層間領域に微粒子を分布させるのである。
本発明のCFRPは、プリプレグを複数積層後、硬化する方法以外にも、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法およびレジントランスファーモールディング法などの成形方法を用いて製造することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本実施例で用いた各特性値は、次のようにして測定した。なお、以下の記載で、部数は全て重量部を表す。
<表面酸素濃度O/C>
表面酸素濃度O/Cは、次の手順に従ってX線光電子分光により求めた。まず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束をカットしてステンレス製の試料支持台状に広げて並べた後、光電子脱出角度を90度とし、X線源としてMgKα1.2を用い、試料チャンバー内を1×10―8Torrの真空度に保つ。測定時の耐電に伴うピークの補正として、まずC1sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eVに合わせる。O1sピーク面積は、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面酸素濃度O/Cは、上記C1sピーク面積とO1sピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。なお、本実施例ではX線光電子分光装置として、島津製作所(株)製ESCA−750を用い、上記装置固有の感度補正値は2.85であった。
<表面カルボキシル基COOH/C>
表面カルボキシル基COOH/Cは、次の手順に従って、化学修飾X線光電子分光により求めた。まず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束をカットして、白金製の試料支持台状に拡げて並べて、0.02モル/lの3フッ化エタノール気体、0.001モル/lのジシクロヘキシルカルモジイミド気体及び0.04モル/lのピリジン気体を含む空気中に60℃で8時間さらし、化学修飾処理した後、X線光電子分光装置に光電子脱出角度を35°としてマウントし、X線源としてAlKα1.2を用い、試料チャンバー内を1×10―8Torrの真空度に保つ。測定時の耐電に伴うピークの補正として、まずC1sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eVに合わせる。C1sピーク面積[C1s]は、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、F1sのピーク面積[F1s]は、682〜695eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。また、同時に化学修飾したポリアクリル酸のC1sピーク分割から反応率rを、O1sピーク分割からジシクロヘキシルカルボジイミド誘導体の残存率mを求めた。
表面カルボキシル基濃度COOH/Cは下式により算出した値で表した。
COOH/C=〔[F1s]/{(3k[C1s]―(2+13m)[F1s])r}〕×100(%)
なお、kはX線光電子分光装置固有のC1sピーク面積に対するF1sピーク面積の感度補正値であり、本実施例では、X線光電子分光装置として、米国SSI社製モデルSSX−100−206を用い、上記装置固有の感度補正値は3.919であった。
<炭素繊維の層間剪断強度>
CFRPを構成するプリプレグを0度方向に12層積層し、オートクレーブ中で温度177℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。このCFRPについて、ASTM2402(1998)に従い、0度方向が13mm、幅方向が6.35mmの長方形に切り出し、ASTM2402(1998)に従って、層間剪断強度を測定した。
<炭素繊維のCILS>
CFRPを構成するプリプレグを0度方向に24層積層し、オートクレーブ中で温度177℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。このCFRPについて、ASTM D3846−94(2007)に従いCILSを測定した。
<CFRPのCAI>
CFRPを構成するプリプレグを、[45/0/−45/90]3s(記号sは、鏡面対称を示す)の構成で積層し、オートクレーブ中で温度177℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、CFRPを得た。このCFRPについて、JIS K7089(1996)に従い、0度方向が152.4mm、90度方向が101.6mmの長方形に切り出し、この中央に落下高さ571mmで5.4kgの落錘衝撃を与え平均衝撃後圧縮強度を求めた。また、測定については、室温乾燥状態(25℃±2℃、相対湿度50%)で行った。
また、本実施例で用いる材料は次のようにして作製した。
<炭素繊維強化複合材料の最大層間剪断応力>
CFRPを構成するプリプレグを0度方向に48層積層し、オートクレーブ中で温度177℃、圧力0.6MPaで2時間加熱硬化し、厚さ9.12mmのCFRP板を得た。このCFRP板を図10に示すとおり、0度方向長さが80mm、幅方向が12.7mmの短冊状に切り出し、さらに6.84mmのノッチ加工を施した。この試験片を、ASTM D3846−94(2007)に記載のジグを用意し、このジグと試験片との間に図11(試験片をジグに設置した状態を上から見た図)に示すとおり厚さ1mmのステンレス製あて板を挟み、これ以外はASTM D3846−94(2007)に記載の方法で最大荷重を測定した。そしてこの最大荷重を試験片の断面積で割った値を炭素繊維強化複合材料の最大層間剪断応力とした。(1)炭素繊維の作製
アクリロニトリル(AN)99.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法により単繊維繊度1.1デシテックス、フィラメント数12000のアクリル系繊維を得た。得られた繊維束を240〜280℃の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維に転換し、ついで窒素雰囲気中300〜900℃の温度領域での昇温速度を200℃/分とし10%の延伸を行った後、1300℃まで焼成して原料炭素繊維を得た。得られた原料炭素繊維の目付は0.800g/m、比重は1.80であった。
次に得られた原料炭素繊維を、濃度0.1モル/lの硫酸水溶液を電解液として、電気量10クーロン/gで電解処理した。この電解処理を施された炭素繊維を続いて水洗いし、150℃の加熱空気中で乾燥した。
続いて、樹脂成分が2重量%になるようにグリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネート化合物(共栄社化学性UA101H)をアセトンで希釈してサイジング剤母液を調整し、浸漬法により炭素繊維にサイジング剤母液を付与し、230℃、60秒で乾燥させて炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は1.2重量%であった。
このようにして得られた炭素繊維を炭素繊維(1)とし、表面酸素濃度O/C、表面カルボキシル基濃度COOH/Cの測定結果を表1に示す。
また、電解液の電気量を1クーロン/g、5クーロン/g、30クーロン/gとし、その他は全て炭素繊維(1)と同じ条件として炭素繊維(2)、炭素繊維(3)、炭素繊維(4)を製造した。この炭素繊維(2)、炭素繊維(3)、炭素繊維(4)の表面酸素濃度O/C、表面カルボキシル基濃度COOH/Cの測定結果をやはり表1に示す。
さらにサイジング剤母液付与後の乾燥時間を60秒から120秒に変更し、その他は全て炭素繊維(1)と同じ条件として炭素繊維(5)を製造した。同様に、サイジング剤母液付与後の乾燥時間を60秒から30秒、120秒に変更し、その他は全て炭素繊維(2)と同じ条件として炭素繊維(6)、炭素繊維(7)を製造した。
さらに、比較として“トレカ”(登録商標、以下同じ)T800H−12K−40B(東レ(株)製)を用い、表面酸素濃度O/C、表面カルボキシル基濃度COOH/Cの測定結果をやはり表1に示す。
(2)添加微粒子の作製
4,4‘−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタンを必須構成成分として含有するポリアミド(エムザベルケ社製“グリルアミド”(登録商標、以下同じ)−TR55)94重量部、エポキシ樹脂(油化シェル(株)製“エピコート”(登録商標、以下同じ)828)4重量部および硬化剤(富士化成工業(株)製“トーマイド”(登録商標、以下同じ)#296)2重量部をクロロホルム300重量部をメタノール100重量部の混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に該溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、よく攪拌した3000重量部のn−ヘキサンの駅面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンでよく洗浄した後、100℃24時間の真空乾燥を行い透明ポリアミドの粉末を得た。得られた透明ポリアミドを添加微粒子(1)とする。この粉末を金型に充填し、250℃で4MPaの圧力をかけて成形し、透明の平板を得た。この平板をJIS K7113(2002)に従って降伏応力と破断伸度を測定した。また、乾燥時間を24時間から36時間、48時間に変更し、その他は全て添加微粒子(1)と同じ条件として添加微粒子(5)、添加微粒子(6)を製造し、これら微粒子の平板を作成し、同様に降伏応力と破断伸度を測定した。また、4,4‘−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタンを必須構成成分として含有するポリアミド(エムザベルケ社製“グリルアミド”−TR55)85重量部、エポキシ樹脂(油化シェル(株)製“エピコート”828)10重量部および硬化剤(富士化成工業(株)製“トーマイド”#296)5重量部と配合割合を変更した以外は添加微粒子(1)と同様にして添加微粒子(2)を作成し、この微粒子の平板を作成し、同様に降伏応力と破断伸度を測定した。また、乾燥時間を24時間から36時間に変更し、その他は全て添加微粒子(2)と同じ条件として添加微粒子(7)を製造し、この微粒子の平板を作成し、同様に降伏応力と破断伸度を測定した。
さらに、4,4‘−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタンを必須構成成分として含有するポリアミド(エムザベルケ社製“グリルアミド”−TR55)100重量部と変更した以外は添加微粒子(1)と同様にして添加微粒子(3)を作成し、この微粒子の平板を作成し、同様に降伏応力と破断伸度を測定した。
最後に、4,4‘−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタンを必須構成成分として含有するポリアミド(エムザベルケ社製“グリルアミド”−TR55)92重量部、エポキシ樹脂(油化シェル(株)製“エピコート”828)5.5重量部および硬化剤(富士化成工業(株)製“トーマイド”#296)2.5重量部と配合量を変更した以外は添加微粒子(1)と同様にして添加微粒子(4)を作成し、この微粒子の平板を作成し、同様に降伏応力と破断伸度を測定した。また、乾燥時間を36時間に変更し、その他は全て添加微粒子(4)と同じ条件として添加微粒子(8)を製造し、この微粒子の平板の降伏応力と破断伸度を測定した。各添加微粒子の降伏応力と破断伸度を表1に示す。
(実施例1)
混練装置でビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ化学(株)製“エピクロン”(登録商標)830)10部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル(株)製“エピコート”825)30部、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)(住友化学(株)製 ELM−434)60部にポリエーテルスルフォン(PES)(住友化学(株)製 スミカエクセルPES5003P)12.6部を配合、溶解した後、硬化剤である4−4’−ジアミノジフェニルスルフォン(4,4‘−DDS)(“Ardur”(登録商標)976−1,Vantico Inc.社製)45部を混練し、樹脂組成物を調整した。この樹脂組成物を1次樹脂とした。
一方、混練装置でビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ化学(株)製“エピクロン”830)10部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル(株)製“エピコート”825)30部、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)(住友化学(株)製 ELM−434)60部にポリエーテルスルフォン(PES)(住友化学(株)製 スミカエクセルPES5003P)12.6部を配合、溶解した後、(2)で作製した添加微粒子(1)を21.6部混練し、さらに硬化剤である4−4’−ジアミノジフェニルスルフォン(4,4‘−DDS)(“Ardur”976−1,Vantico Inc.社製)45部を混練し、樹脂組成物を調整した。この樹脂組成物を2次樹脂とした。
1次樹脂を目付け31.5g/mとなるように離型紙上にフィルムコーティングしたものを2枚作製した。コーティング面を向かい合わせにした間に、炭素繊維(1)を一方向に整列させ、加熱加圧して樹脂を含浸させ、炭素繊維目付190g/m、樹脂含有率が28.4重量%の1次プリプレグを得た。
次に、二次樹脂を目付け20.5g/mとなるように離型紙上にフィルムコーティングしたものを2枚作製した。この二次樹脂コーティングフィルムを向かい合わせにした間に、先ほどの1次プリプレグを通し、1次と同じように加熱加圧し、炭素繊維目付190g/m、樹脂含有率が46.9重量%の2次プリプレグを作製した。この2次プリプレグを用いて炭素繊維の層間剪断強度、CILSおよびCFRPのCAI、最大層間剪断降伏応力を求めた。
(実施例2)
炭素繊維(1)を炭素繊維(5)に変更し、添加微粒子(1)を添加微粒子(4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、2次プリプレグを作製し、この2次プリプレグを用いて炭素繊維の層間剪断強度、CILSおよびCFRPのCAI、最大層間剪断降伏応力を求めた。
(実施例3)
炭素繊維(1)を炭素繊維(3)に変更し添加微粒子(1)を添加微粒子(5)に変更した以外は、実施例1と同様にして、2次プリプレグを作製し、この2次プリプレグを用いて炭素繊維の層間剪断強度、CILSおよびCFRPのCAI、最大層間剪断降伏応力を求めた。
(実施例4)
炭素繊維(1)を炭素繊維(2)に変更し、添加微粒子(1)を添加微粒子(8)に変更した以外は、実施例1と同様にして、2次プリプレグを作製し、この2次プリプレグを用いて炭素繊維の層間剪断強度、CILSおよびCFRPのCAI、最大層間剪断降伏応力を求めた。
(実施例5)
炭素繊維(1)を炭素繊維(4)に変更し添加微粒子(1)を添加微粒子(6)に変更した以外は、実施例1と同様にして、2次プリプレグを作製し、この2次プリプレグを用いて炭素繊維の層間剪断強度、CILSおよびCFRPのCAI、最大層間剪断降伏応力を求めた。
(比較例1)
炭素繊維(1)をT800Hに変更し、添加微粒子(1)を添加微粒子(2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、2次プリプレグを作製し、この2次プリプレグを用いて炭素繊維の層間剪断強度、CILSおよびCFRPのCAI、最大層間剪断降伏応力を求めた。
(比較例2)
炭素繊維(1)を炭素繊維(6)に変更し、添加微粒子(1)を添加微粒子(7)に変更した以外は、実施例1と同様にして、2次プリプレグを作製し、この2次プリプレグを用いて炭素繊維の層間剪断強度、CILSおよびCFRPのCAI、最大層間剪断降伏応力を求めた。
(比較例3)
炭素繊維(1)を炭素繊維(7)に変更し、添加微粒子(1)を添加微粒子(3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、2次プリプレグを作製し、この2次プリプレグを用いて炭素繊維の層間剪断強度、CILSおよびCFRPのCAI、最大層間剪断降伏応力を求めた。
以上の各実施例と各比較例の構成と得られた結果を、次の表1に纏めて示す。実施例1〜5の結果から分かるとおり、添加微粒子の降伏応力が45〜65MPaの範囲にあり、かつ、層間剪断強度が添加微粒子の降伏応力以上120MPa以下であるときは、CAIと引張強度が両立されていることがわかる。実施例1と比較例1との比較から、層間剪断強度が過度に高いとCAIは高いものの、引張強度が十分でないことが分かる。また実施例4と比較例2との比較から分かるとおり、層間剪断強度が添加微粒子の降伏応力以上でないと十分高いCAIが得られないことが分かる。また、比較例3から、層間剪断強度が添加微粒子の降伏応力以上であっても、添加微粒子の降伏応力が45MPa以上でないと、添加微粒子の衝撃エネルギー吸収性能が十分でなく、やはり十分なCAIが得られないことが分かる。
Figure 2008106245
本発明の炭素繊維強化複合材料(CFRP)は、航空機の部材の他に、テニスラケットやゴルフシャフトなどのスポーツ用品、自動車のバンパーやドアなどの外板部材、およびシャシーやフロントサイドメンバなど自動車の構造部材などに適用することができる。
本発明の一例であるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 衝撃負荷下におけるCFRPのモデル断面図である。 引張応力下でのCFRPのモデル断面図である。 引張応力下でのCFRPのモデル断面図である。 最大層間剪断降伏応力を測定するための試験片の外観と寸法を示した図である。 最大層間剪断降伏応力を測定するための試験片と治具との位置関係を示した図である。
符号の説明
1 基本CFRP層
2 基本CFRP層
3 基本CFRP層
4 微粒子
5 衝撃負荷による応力
6 変形した微粒子
7 変形した微粒子
8 クラック
9 単繊維
10 クラック
11 引張応力
12 最大層間剪断降伏応力を測定するための試験片
13 最大層間剪断降伏応力を測定するための治具
14 最大層間剪断降伏応力を測定するための試験片と治具との間に挟むあて板

Claims (6)

  1. マトリックス樹脂、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子および炭素繊維とを含む炭素繊維強化複合材料であって、次の(1)および(2)の条件を満たすことを特徴とする炭素繊維強化複合材料。 (1)前記微粒子は、その降伏応力が45MPa以上65MPa以下であること。
    (2)前記炭素繊維は、その層間剪断強度が前記微粒子の降伏応力以上であり、かつ、120MPa以下であること。
  2. 前記微粒子は、その破断伸度が50%以上500%以下である請求項1に記載の炭素繊維強化複合材料。
  3. 最大層間剪断降伏応力が、50MPa以上で、かつ、炭素繊維の圧縮層間剪断強度以下である請求項1または2に記載の炭素繊維強化複合材料。
  4. 前記炭素繊維は、その断面形状が実質的に真円形である請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
  5. 前記炭素繊維は、X線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが、0.02以上0.20以下であり、かつ化学修飾X線光電子分光法により測定される表面カルボキシル基濃度COOH/Cが、0.2%以上3.0%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
  6. 前記炭素繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子および炭素繊維を含む層が複数積層されてなり、前記微粒子は、その総量の80重量%以上が、層間領域に存在している請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料。
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