JP2008101115A - 保冷剤および保冷材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トリnブチルアルキルアンモニウム塩と水とゲル化剤を含有してなることを特徴とする保冷剤。
【選択図】図1
Description
なお、本発明では、保冷(或いは冷却)機能を有する物質を「保冷剤」と称し、該保冷剤が容器、袋体等に充填され、保冷に供されるものを「保冷材」と称する。
また、保冷材は人体の局部冷却等の冷却用途にも用いられている。
(1)融解時に流動性がないこと又は小さいこと
保冷剤が容器、袋体等に充填され保冷材として用いられる際に、容器、袋体が破損しても、流れ出て被保冷物に付着したり汚染しないように融解時には流動性がないこと又は小さいこと、すなわちゲル化または固化していていることが好ましい。
(2)保冷する物品(以下「被保冷物」という)に望ましい適切な温度又は温度範囲(以下「適冷温度」という)に応じた相変化温度(融点)であること
すなわち、凝固した保冷剤が融解し蓄熱した潜熱を放出し終わるまでに維持される融解温度(融点に相当する)又は融解温度範囲が被保冷物の適冷温度に対応していることが望ましい。
(3)潜熱量が大きいこと
潜熱量が大きいと、凝固した保冷剤が融解し蓄熱した潜熱を放出し終わるまでの時間が長く、融解温度に維持される時間が長いので、適冷温度に維持される時間が長くなり好ましい。
凝固した保冷剤が融解して潜熱の放出が終了した後、融解状態の保冷剤の温度が上昇するが、保冷剤の融解状態における比熱が大きいと、該保冷剤の温度がその雰囲気温度に達するまでの時間が長く、被保冷物を適冷温度により近い温度により長時間保持することができ、被保冷物の鮮度、品質、性能、効用等の劣化を遅延させることができる。
(5)凝固融解の繰返しにより相分離が生じたり性能が低下したりしないこと
保冷剤には、凝固融解の繰返し使用に耐え得るという性質が求められる。それ故、潜熱の蓄積と放出を繰り返す凝固融解の繰返しにより、融解時に一部融解せずに固相のまま残留する相分離現象が生じたり蓄熱性能が劣化したりしないことが必要である。
以上要すれば、(1)流動性がないか小さく、(2)適冷温度に応じた融点であり、(3)潜熱量が大きく、(4)融解状態における比熱が大きく、(5)繰り返し使用に耐え得ることが保冷剤として使用される潜熱保冷剤が有すべき重要な性質であるといえる。
さらに、(7)不燃性も求められる。
有機系水和物を主剤とする潜熱蓄冷剤としては、トリメチロールエタン(TME)水和物が知られており、TME−水−尿素の三成分系を中心とした検討がなされている(特許文献1参照)。
また、有機系水和物を主剤とする潜熱蓄冷剤の他の例として、第4級アンモニウム化合物の水和物がある(特許文献2参照)。
以上のように、これまでに実用化あるいは提案されてきた潜熱保冷剤には、それぞれ問題点があった。
アルキルとして、nブチル以外の、nペンチル、isoペンチル、nプロピル、isoプロピル、エチル、メチル、nヘキシル、isoヘキシル、nヘプチル、isoヘプチル、isoブチル等が挙げられる。
また、アンモニウム塩として、臭化アンモニウム塩、塩化アンモニウム塩、弗化アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩、亜硝酸アンモニウム塩、塩素酸アンモニウム塩、過塩素酸アンモニウム塩、臭素酸アンモニウム塩、よう素酸アンモニウム塩、炭酸アンモニウム塩、りん酸アンモニウム塩、タングステン酸アンモニウム塩、硫酸アンモニウム塩、水酸化アンモニウム塩、カルボン酸アンモニウム塩、ジカルボン酸アンモニウム塩、スルホン酸アンモニウム塩、ジスルホン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
しかしながら、水和物を生成する際の過冷却を防止するために微粒子を混入させても、微粒子が均一に分散されていないと過冷却防止効能がなくなるという問題や、凝固と融解を繰返すと微粒子が分離され過冷却防止効能がなくなるという問題がある。
この点、水和物生成物の水溶液にゲル化剤を添加してゲル状物とすることにより、結晶化した状態の分子配列がある程度保存されることが推量されるため、過冷却が容易に解除される効果がある。過冷却が防止できるため、冷却温度を過度に低くする必要がなく、省エネルギーとすることができる。
テトラアルキルアンモニウム塩の具体例としては、例えば、臭化テトラnブチルアンモニウムが挙げられる。
したがって、臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと、テトラアルキルアンモニウム塩との配合組成を調整することにより、混合物融点を所望の範囲に調整することができる。このため、被保冷物に望ましい適切な適冷温度に適合する融解温度を有する保冷剤を提供できる。
なお、混合物の総潜熱量は臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物とテトラアルキルアンモニウム塩水和物それぞれ単独の潜熱量に配合組成比率を乗じた総和とほぼ等しいことを確認している。
保冷剤をプラスチック製容器や袋体に充填して保冷材を作成して、予めこの保冷材を冷却しておき、保冷容器に被保冷物と共に収納して流通、貯蔵に供する。
主成分である水和物例の特性について以下の表1に示し、表1に基づいて各水和物例について説明する。
臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水溶液について、濃度を変えてDSC(差動走査型熱量計)測定を実施し水和物の融点と潜熱量を測定した。その結果縦軸を融点温度、横軸を濃度とした状態図では重量濃度34%で融点が極大となり、調和融点を与える濃度(調和濃度という)は重量濃度34%であることを確認した。なお、調和融点の定義は後述する。
このように臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物の調和融点における潜熱量は193J/gであり、大きい潜熱量を有しているので、凝固した水和物が融解し蓄熱した冷熱を放出し終わるまでの時間が長い。したがって、融解温度に維持される時間が長いので、保冷剤として用いる場合に適冷温度に維持される時間が長く優れている。
また、凝固融解を1000回繰返しても相分離や蓄熱性能の低下がないことを確認した。
またさらに、臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物は、毒性もなく好ましい。
本明細書においては、調和融点を与える濃度を調和濃度という。
調和濃度の水溶液を冷却すると、調和融点で水和物が生成しはじめ、水溶液が全て水和物になるまでこの融点温度で温度は一定になる。融解時も同様にこの一定の融点温度で融解する。調和濃度の水和物であれば融解時の融解温度の変化がなく、融解温度は調和融点で一定であるので、被保冷物を一定温度で保冷できるため保冷剤として最も好ましい。
調和濃度より濃度が低くなるか高くなると、融解温度は調和融点より低くなる。
調和濃度より低い濃度の水溶液を冷却して凝固した水和物を融解する場合には、調和融点より低い温度で融解しはじめ、融解の進行に伴って融解温度が次第に高くなる。
調和濃度未満の水和物では、融解温度は融解の進行に伴い高くなるように変化するが、濃度を調和濃度未満の濃度にすることにより、融解温度領域を調和融点より低い温度の領域にすることができるので、被保冷物を一定の温度領域に保冷可能な保冷剤として用いることができる。
主成分例2では表1に示すように、臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムの調和濃度未満である例えば18%水溶液を冷却して水和物を生成した。この調和濃度未満水和物の融解開始温度は4℃で融解終了温度は6℃であった。その融解時の潜熱量は144J/gで、水和物が融解した水溶液の比熱は3.8J/g・Kであった。調和濃度水和物にくらべて潜熱量は少なくなるが、4〜6℃の範囲で保冷可能な保冷剤の主成分として用いることができる。
主成分例3の塩化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物は、表1に示すようにその調和融点(調和濃度33%)は、9℃で、調和融点における潜熱量は195J/gで、水和物が融解した水溶液の比熱は3.7J/g・Kであり、臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物と同等程度の潜熱量を有する保冷剤の主成分として用いることができる。
臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)の調和濃度水和物と、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)の調和濃度水和物とを重量比率で50:50(主成分例4)、30:70(主成分例5)、20:80(主成分例6)の比率で混合した混合水和物の特性を調べた。
また、表1から分かるように、主成分例4〜6ではその融解温度がそれぞれ8℃、9℃、9.5℃と変化している。このことから、臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)の調和濃度水和物と、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)の調和濃度水和物との重量比率を変えることにより、所望の温度範囲に融解温度を有する混合水和物を得ることができ、保冷剤の保冷温度を調整することができることが確認できた。
なお、それぞれの水和物は調和濃度水和物であることが望ましい。なぜなら、潜熱量を最大にして保冷できるからである。
図1から分かるように、主成分例1では保冷箱内部の温度は6℃で一定のままであり、3.5日経過後に保冷材の融解が終了し温度が上昇した。
また、主成分例4では保冷箱内部の温度は8℃で一定のままであり、3.5日経過後に保冷材の融解が終了し温度が上昇した。
他方、比較例では保冷箱内部の温度は6℃で一定のままであり、2.7日経過後に保冷材の融解が終了し温度が急上昇した。
以上から、主成分例1,4は比較例にくらべて、保冷時間が長く、また融解後の温度上昇が小さく保冷剤の主成分として好適であることがわかる。
実施例1として臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)調和濃度(34wt%)水溶液に、ステアリン酸ナトリウムを水溶液に対して1wt%添加した保冷剤と、比較例1としてステアリン酸ナトリウムを添加しない同濃度のTBPAB水溶液の特性を調べた。
ステアリン酸ナトリウムをTBPAB水溶液に添加し混合する際には、水溶液温度を50℃程度に上昇させて溶解を促進する。溶解した後常温になると水溶液の粘度が著しく大きくなり、流動性がないゲル状物となる。
実施例2として臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム(TBPAB)17wt%と臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)20wt%の水溶液に、パルミチン酸カルシウムを水溶液に対して1wt%添加した保冷剤と、比較例2としてパルミチン酸カルシウムを添加しない同濃度のTBPABとTBABの水溶液の特性を調べた。
パルミチン酸カルシウムをTBPABとTBABの水溶液に添加し混合すると水溶液の粘度が著しく大きくなり、流動性がないゲル状物となる。
表2に示すように、実施例2ではゲル状物となり流動性がなくなるだけでなく、熱伝導率が、比較例2の2倍程度に大きくなり効率的に蓄冷できることが確認できた。また、過冷却解除性能は比較例2では冷槽に30分浸漬する間に結晶化した部分が全体の1/3であったのに対して、実施例1では冷槽に30分浸漬する間に結晶化した部分がほぼ全量であり、容易に過冷却解除できることが確認できた。
Claims (11)
- トリnブチルアルキルアンモニウム塩と水とゲル化剤を含有してなることを特徴とする保冷剤。
- 臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水とゲル化剤を含有してなることを特徴とする保冷剤。
- 臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物を主成分とし、ゲル化剤を含むことを特徴とする保冷剤。
- 塩化トリnブチルnペンチルアンモニウムと水とゲル化剤を含有してなることを特徴とする保冷剤。
- 塩化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物を主成分とし、ゲル化剤を含むことを特徴とする保冷剤。
- トリnブチルアルキルアンモニウム塩とテトラアルキルアンモニウム塩と水とゲル化剤を含有してなることを特徴とする保冷剤。
- 臭化トリnブチルnペンチルアンモニウムと臭化テトラnブチルアンモニウムと水とゲル化剤を含有してなることを特徴とする保冷剤。
- 臭化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物と臭化テトラnブチルアンモニウム水和物を主成分とし、ゲル化剤を含むことを特徴とする保冷剤。
- 塩化トリnブチルnペンチルアンモニウムと臭化テトラnブチルアンモニウムと水とゲル化剤を含有してなることを特徴とする保冷剤。
- 塩化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物と臭化テトラnブチルアンモニウム水和物を主成分とし、ゲル化剤を含むことを特徴とする保冷剤。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の保冷剤を容器または袋体に充填してなることを特徴とする保冷材。
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