JP2008189947A - ペロブスカイト薄膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1原子%を越える多量の窒素が添加された、ペロブスカイト薄膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ペロブスカイト薄膜1は化学式RMO3(ここで、RはSr、Ba、Ca又はMgから選ばれる元素であり、MはTi又はZrから選ばれる元素である。)で表わされ、薄膜の窒素含有量が1原子%を超えて添加されている。反応性スパッタ法のターゲットとしてペロブスカイトを用い、反応性スパッタに用いるガスとしては、窒素ガス、又は稀ガスと窒素ガスとの混合ガスを用い、基板2上に窒素が添加されたペロブスカイト薄膜1を形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ペロブスカイト薄膜1は化学式RMO3(ここで、RはSr、Ba、Ca又はMgから選ばれる元素であり、MはTi又はZrから選ばれる元素である。)で表わされ、薄膜の窒素含有量が1原子%を超えて添加されている。反応性スパッタ法のターゲットとしてペロブスカイトを用い、反応性スパッタに用いるガスとしては、窒素ガス、又は稀ガスと窒素ガスとの混合ガスを用い、基板2上に窒素が添加されたペロブスカイト薄膜1を形成することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光触媒、発光ダイオード(LED)、太陽電池等のエネルギーデバイスへの応用が期待されるペロブスカイト薄膜及びその製造方法に関する。さらに、詳しくは、窒素が添加されたペロブスカイト薄膜及びその製造方法に関するものである。
禁制帯幅の大きい、所謂ワイドギャップの半導体材料である二酸化チタン(TiO2)やストロンチウムチタン酸化物(以下、SrTiO3、STOとも略す。)は、紫外線領域における光触媒活性が知られている(非特許文献1及び2参照)。
環境エネルギー資源の有効利用の観点から、太陽光の可視光を有効に利用する研究が最近盛んに行なわれている。例えば、R.Asahi等はアナターゼTiO2結晶を用い、酸素サイトへのC(炭素),N(窒素),F(フッ素),P(リン)又はS(硫黄)のようなアニオンの置換を計算し、TiO2の酸素サイトへ置換された窒素が禁制帯幅の縮小をもたらし、可視光における光触媒活性を示すと報告している(非特許文献3及び4参照)。
一方、非特許文献5において、Wang等は窒素ドープしたSrTiO3が波長400nm以上の光の照射で光触媒活性が増加すると報告している(非特許文献5参照)。
波長の調節による禁制帯幅(バンド・ギャップ)の縮小は太陽光やインテリア光を有効に利用するために必要不可欠ではあるが、従来のTiO2やSrTiO3への窒素添加量は高々1原子%であった(非特許文献3及び5参照)。
波長の調節による禁制帯幅(バンド・ギャップ)の縮小は太陽光やインテリア光を有効に利用するために必要不可欠ではあるが、従来のTiO2やSrTiO3への窒素添加量は高々1原子%であった(非特許文献3及び5参照)。
A.K. Ghosh et al, J. Electrochem. Soc., 1977, 124, 1516
K. Domen et al, J. Phys. Chem., 1982, 86, 3657
R. Asahi et al, Science 2001, 293, 269
T. Morikawa et al, Jpn. J. Appl. Phys., 2001, 40, L561
J. Wang et al, J. Photochemistry and Photobiology at Chemistry 2004, 165, 149
N. C. Saha et al, J. Appl. Phys., 1992, 72, 3072
M. J. Vasile et al, J. Vac. Sci. Technol., 1990, A8, 99
波長の調節による禁制帯幅の縮小は太陽光やインテリア光を有効に利用するために必要不可欠ではあるが、従来のTiO2 やSrTiO3 への窒素添加量は高々1原子%であり、1原子%を越える多量の窒素が添加されたSrTiO3は未だ知られていない。
本発明は上記課題に鑑み、1原子%を越える多量の窒素が添加されたペロブスカイト薄膜及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、反応性スパッタ法を用いて、基板上に1原子%を越える多量の窒素が添加されたSrTiO3 薄膜を得る方法を種々検討していたところ、意外にも、通常用いる希ガスであるアルゴンガスの替わりに、アルゴンを実質的に含まない純窒素ガスのみを用いると、窒素が多量に添加されたSrTiO3 薄膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
上記目的を達成するために、本発明のペロブスカイト薄膜は、化学式RMO3(ここで、RはSr、Ba、Ca又はMgから選ばれる元素であり、MはTi又はZrから選ばれる元素である。)からなり、薄膜の窒素含有量が1原子%を超えて添加されていることを特徴とする。
上記構成において、窒素の添加量は、好ましくは、2〜10原子%である。ペロブスカイトは、好ましくは、SrTiO3からなる。
上記構成において、窒素の添加量は、好ましくは、2〜10原子%である。ペロブスカイトは、好ましくは、SrTiO3からなる。
上記構成によれば、窒素添加量が少なくとも2原子%、高いものでは約10原子%に達するペロブスカイト薄膜が得られる。例えば、窒素が、9.5原子%添加されたSrTiO3薄膜の禁制帯幅は1.9eVであり、窒素が添加されていないSrTiO3の3.5eVに対して著しく小さい。そのため、これらのペロブスカイト薄膜は、光触媒、発光ダイオード(LED)、太陽電池等のエネルギーデバイスとしての応用が期待できる。
上記目的を達成するために、本発明のペロブスカイト薄膜の製造方法は、反応性スパッタ法のターゲットとして化学式RMO3(ここで、RはSr、Ba、Ca又はMgから選ばれる元素であり、MはTi又はZrから選ばれる元素である。)からなるペロブスカイトを用い、反応性スパッタに用いる反応性ガスとして、窒素ガス、又は、稀ガスと窒素ガスとの混合ガスを用い、基板上に窒素が添加されたペロブスカイト薄膜を形成することを特徴とする。
上記構成において、ペロブスカイトは、好ましくは、SrTiO3からなる。基板を300〜600℃の温度に加熱すれば好ましい。
上記構成において、ペロブスカイトは、好ましくは、SrTiO3からなる。基板を300〜600℃の温度に加熱すれば好ましい。
上記構成によれば、本発明のペロブスカイト薄膜を容易に製造することができる。
本発明によれば、高濃度に窒素原子を添加したペロブスカイト薄膜及びその製造方法を提供することができる。例えば、SrTiO3薄膜においては、窒素添加量を少なくとも2原子%から約10原子%とすることができる。窒素添加量が、9.5原子%のSrTiO3薄膜の禁制帯幅は1.9eVであり、窒素を添加していないSrTiO3薄膜の3.5eVに対して著しく小さくすることができる。これにより、本発明のペロブスカイト薄膜は、光触媒、発光ダイオード(LED)、太陽電池等のエネルギーデバイス等への応用が期待される。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明のペロブスカイト薄膜を模式的に示す断面図である。図1において、本発明の窒素が添加されたペロブスカイト薄膜1は、化学式RMO3で表わされる。ここで、RはSr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ca(カルシウム)又はMg(マグネシウム)から選ばれる元素であり、MはTi(チタン)又はZr(ジルコニウム)から選ばれる元素である。RMO3は、例えば、SrTiO3である。ペロブスカイト薄膜1は、基板2上に堆積されていてもよい。このような基板2としては、SiO2基板を用いることができる。なお、ペロブスカイトという用語は元来、CaTiO3を意味していたが、本発明では、上記化学式で表わされる化合物の総称として用いることにする。
図1は、本発明のペロブスカイト薄膜を模式的に示す断面図である。図1において、本発明の窒素が添加されたペロブスカイト薄膜1は、化学式RMO3で表わされる。ここで、RはSr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ca(カルシウム)又はMg(マグネシウム)から選ばれる元素であり、MはTi(チタン)又はZr(ジルコニウム)から選ばれる元素である。RMO3は、例えば、SrTiO3である。ペロブスカイト薄膜1は、基板2上に堆積されていてもよい。このような基板2としては、SiO2基板を用いることができる。なお、ペロブスカイトという用語は元来、CaTiO3を意味していたが、本発明では、上記化学式で表わされる化合物の総称として用いることにする。
図2は本発明のペロブスカイト薄膜の変形例を模式的に示す断面図である。図2において、図1に示した窒素が添加されたペロブスカイト薄膜1との違いは、基板2として、基板2上にさらに薄膜3が被覆された基板2を用いることである。このような薄膜3としては金属からなる薄膜を用いることができる。金属としては、Pt(白金)が挙げられる。
本発明の窒素が添加されたペロブスカイト薄膜1を製造するには、反応性スパッタ法を用い、ターゲットとしてRMO3からなるペロブスカイトを用い、反応性ガスとしては、窒素を用いることができる。窒素ガスとしては、実質的に不純物を含まない純窒素ガスを用いることが好ましい。反応性ガスとしては、稀ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いることができる。稀ガスと窒素ガスとの混合ガスとしては、稀ガスに比べ窒素ガスを豊富に含む稀ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いてもよい。希ガスとしては、Ar(アルゴン)ガスが挙げられる。この場合、窒素添加量は、窒素ガス量に依存して多くなる傾向となる。
基板2の温度は、300〜600℃の範囲とすればよい。好ましくは、450〜550℃に加熱する。この温度が300℃未満では窒素添加されたSrTiO3膜が得られない。逆に、基板2の温度が600℃を越えると窒素添加量が低下する傾向になるので好ましくない。
上記の製造方法において、ターゲットとしてSrTiO3を用いた場合、SrTiO3薄膜への窒素添加量は少なくとも2原子%であり、高い場合では窒素添加量は10原子%にも達する。
反応性スパッタ法に用いる装置としては、放電形態及びイオン源の形態からDCスパッタ、RFスパッタ、マグネトロンスパッタ等の各種の装置を用いることができ、用いる基板2等に応じて適宜の装置を選択すればよく、反応性ガスとして、窒素を導入できる装置であればよい。
本発明によれば、高濃度に窒素原子を添加したペロブスカイト薄膜及びその製造方法を提供することができる。例えば、SrTiO3薄膜においては、窒素添加量を少なくとも2原子%から、約10原子%とすることができる。窒素添加量が9.5原子%のSrTiO3薄膜の禁制帯幅は1.9eVであり、窒素を添加していないSrTiO3薄膜の3.5eVに対して著しく小さくすることができる。これにより、本発明のペロブスカイト薄膜は、光触媒、発光ダイオード(LED)、太陽電池等のエネルギーデバイス等への応用が期待される。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1のペロブスカイト薄膜をRF反応性マグネトロンスパッタ法により作製した。金属酸化物として、SrTiO3からなるターゲット(直径:49mm,純度:99.9%)を用い、RF反応性マグネトロンスパッタ装置(サンユー電子株式会社製、モデルSVC−700RFII)の真空チャンバー内に配置した。真空チャンバー内の圧力は3Paまで排気し、高電圧を印加してイオン化させた窒素ガス(N2)原子を衝突させ、ターゲット表面からはじき飛ばされた反跳原子を基板2上に到達させて、基板2上にSrTiO3薄膜を70〜500nm堆積した。高濃度の窒素を添加するために、反応性ガスとしてはN2のみを用いた。基板2としては、SiO2基板上にPt膜3を堆積した基板2を用いた。基板温度は500℃に設定した。
なお、ターゲットと基板2との距離は4.5cmとし、マグネトロン電源(13.56MHz)の出力は200Wとした。
実施例1のペロブスカイト薄膜をRF反応性マグネトロンスパッタ法により作製した。金属酸化物として、SrTiO3からなるターゲット(直径:49mm,純度:99.9%)を用い、RF反応性マグネトロンスパッタ装置(サンユー電子株式会社製、モデルSVC−700RFII)の真空チャンバー内に配置した。真空チャンバー内の圧力は3Paまで排気し、高電圧を印加してイオン化させた窒素ガス(N2)原子を衝突させ、ターゲット表面からはじき飛ばされた反跳原子を基板2上に到達させて、基板2上にSrTiO3薄膜を70〜500nm堆積した。高濃度の窒素を添加するために、反応性ガスとしてはN2のみを用いた。基板2としては、SiO2基板上にPt膜3を堆積した基板2を用いた。基板温度は500℃に設定した。
なお、ターゲットと基板2との距離は4.5cmとし、マグネトロン電源(13.56MHz)の出力は200Wとした。
(比較例)
実施例1に対する比較例として、反応性ガスとしてArとO2の混合ガスを用い、基板温度を550℃とした以外は、実施例1と同様に、窒素を添加しないSrTiO3薄膜を堆積した。
実施例1に対する比較例として、反応性ガスとしてArとO2の混合ガスを用い、基板温度を550℃とした以外は、実施例1と同様に、窒素を添加しないSrTiO3薄膜を堆積した。
図3は、実施例1の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜及び比較例の窒素を添加しない純SrTiO3薄膜の光吸収スペクトルである。図3において、横軸は波長(nm)であり、縦軸は光吸収(任意目盛)である。
図3から明らかなように、実施例1の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜(SrTiO3-δNδ)は、比較例1の窒素を添加しない純SrTiO3薄膜よりも可視光領域で大きな吸収を示し、両者において光学的性質に差があることが分かった。
図3から明らかなように、実施例1の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜(SrTiO3-δNδ)は、比較例1の窒素を添加しない純SrTiO3薄膜よりも可視光領域で大きな吸収を示し、両者において光学的性質に差があることが分かった。
図4は、実施例1の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜及び比較例の窒素を添加しない純SrTiO3薄膜の屈折率(n)の波長依存性を示す図である。図4において、横軸は波長(nm)であり、縦軸は屈折率である。
図4から明らかなように、実施例1の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜(SrTiO3-δNδ)は、比較例の窒素を添加しない純SrTiO3薄膜よりも屈折率が大きく、波長が約700nm以上で約2.4程度であることが分かった。
図4から明らかなように、実施例1の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜(SrTiO3-δNδ)は、比較例の窒素を添加しない純SrTiO3薄膜よりも屈折率が大きく、波長が約700nm以上で約2.4程度であることが分かった。
Tauc−Lorentz(T−L)モデルにより計算した結果、実施例1の高濃度に窒素を添加したSrTiO3薄膜の禁制帯幅は1.87eVであった。
一方、窒素を添加しない純SrTiO3薄膜の禁制帯幅は3.5eVであり、実施例1の高濃度に窒素を添加したSrTiO3薄膜における禁制帯幅は比較例1の場合に比べて著しく縮小した。これは、実施例1の場合には、RFスパッタ法によって、SrTiO3格子中に窒素が多量に添加され、電子構造が変化して禁制帯幅が小さくなったためと考えられる。
一方、窒素を添加しない純SrTiO3薄膜の禁制帯幅は3.5eVであり、実施例1の高濃度に窒素を添加したSrTiO3薄膜における禁制帯幅は比較例1の場合に比べて著しく縮小した。これは、実施例1の場合には、RFスパッタ法によって、SrTiO3格子中に窒素が多量に添加され、電子構造が変化して禁制帯幅が小さくなったためと考えられる。
基板2の設定温度を、300℃、400℃及び500℃に変えて反応性スパッタを行った以外は、実施例1と同様にして実施例2の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜を形成した。
図5は、実施例2の窒素が添加されたSrTiO3薄膜のX線回折(XRD)パターンを示す図である。図5において、縦軸はX線回折強度(任意目盛)を示し、横軸は角度(°)、即ち、X線の原子面への入射角θの2倍に相当する角度を示している。図には、実施例2のデータと共に、比較例の窒素を添加しない純SrTiO3薄膜のデータも併せて示している。
図5から明らかなように、実施例2で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜は基板温度依存性を示すと共に、基板温度500℃で堆積した高濃度窒素ドープのSrTiO3薄膜がJCPDSのSrTiO3の結晶構造(JCPDS ID number 40−1500)であることが分かった。基板温度500℃で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜においては、角度32°においてPtのピークとは異なる新しいピークが出現しており、これは窒素が添加されたSrTiO3に起因する結晶構造によるものと推測される。
図5から明らかなように、実施例2で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜は基板温度依存性を示すと共に、基板温度500℃で堆積した高濃度窒素ドープのSrTiO3薄膜がJCPDSのSrTiO3の結晶構造(JCPDS ID number 40−1500)であることが分かった。基板温度500℃で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜においては、角度32°においてPtのピークとは異なる新しいピークが出現しており、これは窒素が添加されたSrTiO3に起因する結晶構造によるものと推測される。
実施例2のXRD測定で得た結果から、さらに正確に調べるために、基板2としてPt蒸着膜3を形成しないSiO2 基板2を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜を形成した。基板温度は500℃に設定した。
図6は、実施例3の窒素が添加されたSrTiO3薄膜のX線回折(XRD)パターンを示す図であり、図7は窒素が添加されたSrTiO3のペロブスカイト結晶構造を示す図である。図6において、縦軸はX線回折強度(cps)を示し、横軸は角度(°)、即ち、X線の原子面への入射角θの2倍に相当する角度を示している。図6の下部には、黒四角印(■)でJCPDSデータ(JCPDS ID number 40−1500)も併せて示している。
図6は、実施例3の窒素が添加されたSrTiO3薄膜のX線回折(XRD)パターンを示す図であり、図7は窒素が添加されたSrTiO3のペロブスカイト結晶構造を示す図である。図6において、縦軸はX線回折強度(cps)を示し、横軸は角度(°)、即ち、X線の原子面への入射角θの2倍に相当する角度を示している。図6の下部には、黒四角印(■)でJCPDSデータ(JCPDS ID number 40−1500)も併せて示している。
JCPDSデータからSrTiO3の格子定数はa=3.936Åである。
一方、実施例3のN−SrTiO3膜の格子定数はa=3.962Åであり、(110)面と(111)面の半値幅(FWHM)は、それぞれ、1.135°、1.087°であった。これらの結果から、実施例3の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜には、SrTiO3格子の酸素サイトに窒素が0.66%の不整合でよく取り込まれていることを示している。図7に示す高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜の結晶構造においては、酸素サイトの1個所が窒素に置換された場合を模式的に表わしている。
一方、実施例3のN−SrTiO3膜の格子定数はa=3.962Åであり、(110)面と(111)面の半値幅(FWHM)は、それぞれ、1.135°、1.087°であった。これらの結果から、実施例3の高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜には、SrTiO3格子の酸素サイトに窒素が0.66%の不整合でよく取り込まれていることを示している。図7に示す高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜の結晶構造においては、酸素サイトの1個所が窒素に置換された場合を模式的に表わしている。
次に、実施例2の窒素が添加されたSrTiO3薄膜を光電子分光法(XPS)で調べた結果について説明する。
図8は、実施例2において基板温度を300℃、400℃及び500℃にそれぞれ設定して堆積した各窒素が添加されたSrTiO3薄膜におけるN1sに関するXPSスペクトルである。図8において、横軸は結合エネルギー(eV)であり、縦軸は信号強度(任意目盛)である。図8から明らかなように、実施例2において500℃の基板温度で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜においては、397eVでN1sの結合エネルギーの大きなピークが観測された。
一方、300℃と400℃で堆積した膜は、それぞれ、394.8〜404eVと、395eV〜404.5eVでの弱いピークが観測された。
図8は、実施例2において基板温度を300℃、400℃及び500℃にそれぞれ設定して堆積した各窒素が添加されたSrTiO3薄膜におけるN1sに関するXPSスペクトルである。図8において、横軸は結合エネルギー(eV)であり、縦軸は信号強度(任意目盛)である。図8から明らかなように、実施例2において500℃の基板温度で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜においては、397eVでN1sの結合エネルギーの大きなピークが観測された。
一方、300℃と400℃で堆積した膜は、それぞれ、394.8〜404eVと、395eV〜404.5eVでの弱いピークが観測された。
図9は、実施例2において基板温度を300℃、400℃及び500℃として堆積した各窒素が添加されたSrTiO3薄膜及び比較例の窒素を添加しないSrTiO3薄膜におけるTi2pに関するXPSスペクトルである。図9の横軸及び縦軸は図8と同じである。
図9から明らかなように、300℃と400℃で堆積した膜におけるTiの2p3/2と2p1/2の結合エネルギーは、それぞれ、457と462.7eVである(非特許文献7参照)。窒素を添加しないSrTiO3におけるTiの2p3/2及び2p1/2の結合エネルギーは、それぞれ、457.7eVと463.5eVである。
しかしながら、実施例2の500℃の温度で堆積した窒素が添加されたSrTiO3薄膜のTiの2p3/2と2p1/2の結合エネルギーは、それぞれ、458.9eVと464.6eVである。これは、500℃で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜において、Ti原子の幾つかの結合エネルギーの重畳をもつ2p3/2と2p1/2のスペクトルを示していると考えられる。これは、窒素を添加していない比較例の純SrTiO3薄膜に比べて、明らかに大きい結合エネルギーと幅広い結合エネルギー分布とを示している。
図9から明らかなように、300℃と400℃で堆積した膜におけるTiの2p3/2と2p1/2の結合エネルギーは、それぞれ、457と462.7eVである(非特許文献7参照)。窒素を添加しないSrTiO3におけるTiの2p3/2及び2p1/2の結合エネルギーは、それぞれ、457.7eVと463.5eVである。
しかしながら、実施例2の500℃の温度で堆積した窒素が添加されたSrTiO3薄膜のTiの2p3/2と2p1/2の結合エネルギーは、それぞれ、458.9eVと464.6eVである。これは、500℃で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3薄膜において、Ti原子の幾つかの結合エネルギーの重畳をもつ2p3/2と2p1/2のスペクトルを示していると考えられる。これは、窒素を添加していない比較例の純SrTiO3薄膜に比べて、明らかに大きい結合エネルギーと幅広い結合エネルギー分布とを示している。
非特許文献6において、Saha等はTiNの酸化プロセス中でのN1sのXPSスペクトルの変化を調べ、397eVでのピークを原子結合したβ−Nとし、400eV、402eVと405eVでのピークを分子的に化学吸着したγ−N2と同定し、窒素添加量の増加はβ−Nが優先すると報告した(非特許文献6参照)。
非特許文献7において、Vasile等は、N/Tiの関数としてTiにおける2p3/2と2p1/2の転移を調べ、Nが増加するとともにTiの2p3/2と2p1/2の転移による肩部の強度が増加すると報告している。
非特許文献7において、Vasile等は、N/Tiの関数としてTiにおける2p3/2と2p1/2の転移を調べ、Nが増加するとともにTiの2p3/2と2p1/2の転移による肩部の強度が増加すると報告している。
したがって、これらの報告(非特許文献6,7)を考慮した場合、実施例2で堆積した窒素が添加されたSrTiO3薄膜は、非常に高濃度の窒素が添加されていることが判明した。表1にSrの3d,Tiの2p,Oの1s及びNの1sに関する結合エネルギーとをまとめて示した。300,400及び500℃の各温度で堆積した高濃度に窒素が添加されたSrTiO3のN濃度は、それぞれ2.2、2.1及び9.5原子%である。
本発明は、上記一実施形態に限られるものではなく、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。
1:ペロブスカイト薄膜
2:基板
3:基板に被覆される薄膜(金属薄膜)
2:基板
3:基板に被覆される薄膜(金属薄膜)
Claims (6)
- 化学式RMO3(ここで、RはSr、Ba、Ca又はMgから選ばれる元素であり、MはTi又はZrから選ばれる元素である。)からなるペロブスカイト薄膜において、該薄膜の窒素含有量が、1原子%を超えて添加されていることを特徴とする、ペロブスカイト薄膜。
- 前記窒素の添加量が2〜10原子%であることを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト薄膜。
- 前記ペロブスカイトがSrTiO3からなることを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト薄膜。
- 反応性スパッタ法のターゲットとして化学式RMO3(ここで、RはSr、Ba、Ca又はMgから選ばれる元素であり、MはTi又はZrから選ばれる元素である。)からなるペロブスカイトを用い、
上記反応性スパッタに用いる反応性ガスとして、窒素ガス、又は、稀ガスと窒素ガスとの混合ガスを用い、基板上に窒素が添加されたペロブスカイト薄膜を形成することを特徴とする、ペロブスカイト薄膜の製造方法。 - 前記ペロブスカイトがSrTiO3からなることを特徴とする、請求項4に記載のペロブスカイト薄膜の製造方法。
- 前記基板を300〜600℃の温度に加熱することを特徴とする、請求項4に記載のペロブスカイト薄膜の製造方法。
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