JP2008185204A - 油井管用特殊ねじ継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピン側の表面性状に起因するガスリークパスを抑止する効果が十分あり、しかも表面改質処理が容易でシール性をさらに向上させ得る油井管用特殊ねじ継手を提供する。
【解決手段】鋼管の管端に雄ねじ部とメタル‐メタル接触によりシール部(4)となる角部を有するピン(1)、およびボックス側(2A)に前記雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部と前記角部とメタル‐メタル接触する環状凹部を有するカップリング(2)とから構成される油井管用特殊ねじ継手において、少なくとも前記シール部(4)となる角部の締結前表面粗さがRa1.0〜3.0μmであり、かつ前記ボックス側(2A)の素地上に厚さ5〜20μmのホワイトメタル層が形成されてなる油井管用特殊ねじ継手。
【選択図】図2
【解決手段】鋼管の管端に雄ねじ部とメタル‐メタル接触によりシール部(4)となる角部を有するピン(1)、およびボックス側(2A)に前記雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部と前記角部とメタル‐メタル接触する環状凹部を有するカップリング(2)とから構成される油井管用特殊ねじ継手において、少なくとも前記シール部(4)となる角部の締結前表面粗さがRa1.0〜3.0μmであり、かつ前記ボックス側(2A)の素地上に厚さ5〜20μmのホワイトメタル層が形成されてなる油井管用特殊ねじ継手。
【選択図】図2
Description
本発明は、油井管を接続する油井管用特殊ねじ継手に関する。
近年、開発の容易な油井、ガス井が減少するとともに、より高深度でかつ高温高圧の井戸が増加している。また、掘削技術の進歩に伴い、傾斜井戸、水平井戸など、より複雑な形状の井戸が増加している。これに伴い、油井管のねじ継手に対する要求、例えば、引張、圧縮、内外圧、曲げなどの複合荷重下における気密性などの要求もますます高度化している(非特許文献1)。
油井管用特殊ねじ継手には、図1(a)に示すような構造を有するものがある。
この特殊ねじ継手は、雄ねじ部を有するピン1と、この雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部を有するカップリング2とから構成され、シール性を向上させるため、メタル‐メタル接触によりシール部4となる角部がピン1に、この角部とメタル‐メタル接触する環状凹部がカップリング2のボックス側2Aに設けてある。またシール部4に連なるショルダー部5もメタル‐メタル接触することでガスシール部を形成する。
この特殊ねじ継手は、雄ねじ部を有するピン1と、この雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部を有するカップリング2とから構成され、シール性を向上させるため、メタル‐メタル接触によりシール部4となる角部がピン1に、この角部とメタル‐メタル接触する環状凹部がカップリング2のボックス側2Aに設けてある。またシール部4に連なるショルダー部5もメタル‐メタル接触することでガスシール部を形成する。
この特殊ねじ継手の雄ねじ部と雌ねじ部は、テーパねじとされている。ピン1に設けた雄ねじ部をピンねじ部、カップリング2のボックス側2Aに設けた雌ねじ部をボックスねじ部と呼ぶ。
なお、図1(b)は、ねじ結合部3の状態を示す要部断面図、また図1(c)は、メタル‐メタル接触することで形成されたシール部4とショルダー部5の接触状態を示す要部断面図である。
なお、図1(b)は、ねじ結合部3の状態を示す要部断面図、また図1(c)は、メタル‐メタル接触することで形成されたシール部4とショルダー部5の接触状態を示す要部断面図である。
このねじ結合部3以外のガスシール部となる部分は、一般に先端R0.8mm程度のポイントカットツールと呼ばれる菱形の工具で送り0.1mm/回転程度で切削加工され、加工後の表面粗さがRa≦1.6μmに仕上げられる。
また、9%以上のCrを含有する高合金鋼油井管については、継手の締結時に、ゴーリングと呼ばれるかじりがねじ結合部3やシール部4、ショルダー部5に発生しやすいことが知られている。そしてゴーリングを防止するため、通常、鋼管の製造工程で、ガラス、アルミナ、セラミック、ステンレス等からなるショット粒を用いたブラスト処理がピンねじ部の表面に施され、一方、ボックス側2Aの素地表面には銅めっき等のめっき処理が施される(特許文献1)。
また、9%以上のCrを含有する高合金鋼油井管については、継手の締結時に、ゴーリングと呼ばれるかじりがねじ結合部3やシール部4、ショルダー部5に発生しやすいことが知られている。そしてゴーリングを防止するため、通常、鋼管の製造工程で、ガラス、アルミナ、セラミック、ステンレス等からなるショット粒を用いたブラスト処理がピンねじ部の表面に施され、一方、ボックス側2Aの素地表面には銅めっき等のめっき処理が施される(特許文献1)。
なお、ブラスト処理後のピンねじ部の表面粗さはRa1.0〜3.0μm程度まで上昇する。継手を締結する時には、このピンねじ部表面の微小な凹みが一種の油溜りとなり、その凹みに溜まった油の潤滑作用により、ゴーリングが防止できると考えられている。
JFE技報No.9(2005年8月)p.46−50 特開平2003−74763号公報
JFE技報No.9(2005年8月)p.46−50
しかし、ピンねじ部表面およびシール部に微小な凹みが連続して存在した場合、継手締結後のガスのリークパスとなり、シール性低下の要因となる。
もう一方のボックス側2Aの素地表面には、厚さ5〜20μm程度のCuめっき,Cu‐Snめっき等のめっきが施される。このゴーリングを防止するめっきは、継手の締結時に、締付け-締戻し作業を繰り返しても、素地を露呈させるようなものでない、硬質めっきとされる。この硬質めっきは、ゴーリングに起因して生じるガスリークパス発生を抑止する効果はあるものの、ピン側の表面性状に起因するガスリークパスを抑止する効果はない。
もう一方のボックス側2Aの素地表面には、厚さ5〜20μm程度のCuめっき,Cu‐Snめっき等のめっきが施される。このゴーリングを防止するめっきは、継手の締結時に、締付け-締戻し作業を繰り返しても、素地を露呈させるようなものでない、硬質めっきとされる。この硬質めっきは、ゴーリングに起因して生じるガスリークパス発生を抑止する効果はあるものの、ピン側の表面性状に起因するガスリークパスを抑止する効果はない。
そこで本出願人は、ピン側の締結前の表面粗さがRa1.0〜3.0μmであり、かつボックス側の素地上に厚さ5〜20μmのゴーリング防止用めっき層およびさらにその上に厚さ1μm以上の軟質めっき層を有する油井管用特殊ねじ継手を提案した(特願2006−234774号:平成18年8月31日)が、めっき層が2層で、めっき層の形成が容易でなかった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、ピン側の表面性状に起因するガスリークパスを抑止する効果が十分あり、しかも表面改質処理が容易でシール性をさらに向上させ得る油井管用特殊ねじ継手を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、鋼管の管端に雄ねじ部とメタル‐メタル接触によりシール部となる角部を有するピン、およびボックス側に前記雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部と前記角部とメタル‐メタル接触する環状凹部を有するカップリングとから構成される油井管用特殊ねじ継手において、少なくとも前記シール部となる角部の締結前表面粗さがRa1.0〜3.0μmであり、かつ前記ボックス側の素地上に厚さ5〜20μmのホワイトメタル層が形成されてなることを特徴とする油井管用特殊ねじ継手である。
本発明によれば、ピン側の表面性状に起因するガスリークパスを抑止する効果が十分あり、しかも表面改質処理が容易でガスシール性をさらに向上させ得る。このため、鋼管の製造工程の切削加工ないしブラスト処理で、ピン側の表面性状にばらつきが生じても、安定して優れたシール性を発揮できる油井管用特殊ねじ継手が得られる。
本発明は、少なくとも、メタル‐メタル接触によりシール部4となるピン側の角部をブラスト処理し、その締結前表面粗さをRa1.0〜3.0μmとし、かつボックス側の素地上に厚さ5〜20μmのホワイトメタル層を形成してなる。
この本発明にかかる油井管用特殊ねじ継手は、ピン1の角部以外の部分、すなわちピンねじ部などにも鋼管の製造工程でブラスト処理を施すのは構わない。一方、カップリング2を製造する工程で、ボックス側2Aの素地上に厚さ5〜20μmのホワイトメタル層を形成する。このホワイトメタル層を形成するには、先ず、カップリング2の部材に機械加工を施し、ボックスねじ部、環状凹部、ショルダー部5となる部分を形成し、ボックス側2Aの素地を露呈させれば、継手の締結時に、締付け‐締戻し作業を繰り返しても、ゴーリングが発生しないホワイトメタル層を形成することができる。
この本発明にかかる油井管用特殊ねじ継手は、ピン1の角部以外の部分、すなわちピンねじ部などにも鋼管の製造工程でブラスト処理を施すのは構わない。一方、カップリング2を製造する工程で、ボックス側2Aの素地上に厚さ5〜20μmのホワイトメタル層を形成する。このホワイトメタル層を形成するには、先ず、カップリング2の部材に機械加工を施し、ボックスねじ部、環状凹部、ショルダー部5となる部分を形成し、ボックス側2Aの素地を露呈させれば、継手の締結時に、締付け‐締戻し作業を繰り返しても、ゴーリングが発生しないホワイトメタル層を形成することができる。
図2には、このようにして形成したボックス側2Aの素地上のホワイトメタル層6を模式的に示した。tはホワイトメタル層6の厚みを示す。
本発明にかかる油井管用特殊ねじ継手によれば、継手の締結時に、一方のボックス側2Aの素地上に設けたホワイトメタル層6により、他方のピン1側のシール部4となる角部の微小な凹み面が埋められ、これにより、シール部4となる部分に微小な凹みが連続して存在することがほとんどなくなるから、結果としてシール性が向上する。
本発明にかかる油井管用特殊ねじ継手によれば、継手の締結時に、一方のボックス側2Aの素地上に設けたホワイトメタル層6により、他方のピン1側のシール部4となる角部の微小な凹み面が埋められ、これにより、シール部4となる部分に微小な凹みが連続して存在することがほとんどなくなるから、結果としてシール性が向上する。
また本発明によれば、図3に示した、ボックス側2Aの素地上に厚みt1が5〜20μmのゴーリング防止用めっき層7、さらにその上に厚みt2が1μm以上の軟質めっき層8を有する場合に比べ、めっき層の形成が容易である。なお図3には、特願2006−234774号で提案した油井管用特殊ねじ継手のボックス側2Aの表面構造を示した。
ここでホワイトメタル層6の厚みtは、5μmに満たないと、耐ゴーリング性に乏しいため、5μm以上とする。ただし、ボックス側2Aの素地上に設けるホワイトメタル層6の厚みtが厚くなるほど、継手の締結時、ねじ結合に要する締め付けトルクが上昇することになる。
ここでホワイトメタル層6の厚みtは、5μmに満たないと、耐ゴーリング性に乏しいため、5μm以上とする。ただし、ボックス側2Aの素地上に設けるホワイトメタル層6の厚みtが厚くなるほど、継手の締結時、ねじ結合に要する締め付けトルクが上昇することになる。
普通、最終締め付けトルクが所定の範囲内となったときに、継手締め付けが完了した判断するため、ねじ結合に要するトルクが上昇すると、それ以外のシール部となる部分での締め付けトルクが不十分となり、その結果、シール不足となる。このようなハイショルダー現象を防止するうえで、ボックス側2Aの素地上に設けるホワイトメタル層6の厚みtは20μm以下とする。なお、継手の締付け戻し作業を行う時の潤滑剤は、通常、Cu,Pb等を適量含有するグリース系コンパウンドが用いられる。
図4には、ハイショルダー現象により、不合格となる場合(破線:ねじ結合トルク大)とそうでない場合(実線:ねじ結合トルク小)を、ピン1周りの回転数であるターンと締付けトルクの関係で例示した。
図中、点A〜B間がねじ結合のみが進行する区間、点B〜C間がメタル−メタル接触によりシール部4が形成される区間、締付けトルクが急上昇する点C以降が、ショルダー部5がガスシール部となる区間であり、そして最大トルクと最小トルクの範囲内のTfが最終締め付けトルクである。
図中、点A〜B間がねじ結合のみが進行する区間、点B〜C間がメタル−メタル接触によりシール部4が形成される区間、締付けトルクが急上昇する点C以降が、ショルダー部5がガスシール部となる区間であり、そして最大トルクと最小トルクの範囲内のTfが最終締め付けトルクである。
締付けトルクが急上昇しはじめる点Cのトルクをショルダートルクという。このショルダートルクがある判定値T1を超えた場合(破線)、ハイショルダー現象によって締め付けトルクが不十分であると判定し、判定値T1を超えない場合(実線)、締め付けトルクが十分であると判定する。例えばショルダートルクの判定値T1=0.75×T2といった値に設定される。ハイショルダー現象が生じると、ねじ結合部3以外でのシール性が不十分となる。
ホワイトメタルとしては、軸受合金として一般的に用いられるPb−Sn−Sb系ホワイトメタル(JIS 5401)のうち、Sb含有量:5〜20mass%、Cu含有量:3〜10mass%、残部Pb、Snおよび不可避的不純物のものが、継手の締結作業を繰り返しても、剥がれず、またハイショルダー現象を防止するうえで好適である。
またピン1側のシール部4となる角部の表面粗さは、小さすぎると、ゴーリング防止効果が不十分となり、逆に大きすぎると、ガスリークパスの封鎖が困難となるので、Ra1.0〜3.0μmとする。
またピン1側のシール部4となる角部の表面粗さは、小さすぎると、ゴーリング防止効果が不十分となり、逆に大きすぎると、ガスリークパスの封鎖が困難となるので、Ra1.0〜3.0μmとする。
13%Cr鋼からなる外径5.5”、肉厚0.415”の110ksiグレード油井管用特殊ねじ継手において、最大トルク:24877N・mとしたサンプルのガスシール試験を行なった。この試験に供した発明例、比較例、従来例のサンプルの概略仕様を表1に示す。
発明例、比較例ともに、機械加工でカップリング2の内側であるボックス側2Aの素地を露呈させてボックス側2Aの素地上にホワイトメタル層を形成した。従来例には、ボックス側2Aの素地上にCuめっき層を形成した。
発明例、比較例ともに、機械加工でカップリング2の内側であるボックス側2Aの素地を露呈させてボックス側2Aの素地上にホワイトメタル層を形成した。従来例には、ボックス側2Aの素地上にCuめっき層を形成した。
グループA:1回目の継手の締結時、最終締付けを行った場合のガスシール試験結果を表2に、グループB:3回目の継手の締結時、最終締付けを行った場合のガスシール試験結果を表3に示した。
これに対して発明例では、グループAおよびBにおいて、全サンプルにゴーリングが発生せず、またリーク発生もなく合格した。また比較例では、ハイショルダー現象によって、リークが発生した。
W 油井管(鋼管)
t、t1、t2 厚み
1 ピン
2 カップリング
2A ボックス側
3 ねじ結合部
4 シール部
5 ショルダー部
6 ホワイトメタル層
7 ゴーリング防止用めっき層
8 軟質めっき層
t、t1、t2 厚み
1 ピン
2 カップリング
2A ボックス側
3 ねじ結合部
4 シール部
5 ショルダー部
6 ホワイトメタル層
7 ゴーリング防止用めっき層
8 軟質めっき層
Claims (1)
- 鋼管の管端に雄ねじ部とメタル‐メタル接触によりシール部(4)となる角部を有するピン(1)、およびボックス側(2A)に前記雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部と前記角部とメタル‐メタル接触する環状凹部を有するカップリング(2)とから構成される油井管用特殊ねじ継手において、少なくとも前記シール部(4)となる角部の締結前表面粗さがRa1.0〜3.0μmであり、かつ前記ボックス側(2A)の素地上に厚さ5〜20μmのホワイトメタル層が形成されてなることを特徴とする油井管用特殊ねじ継手。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2007022015A JP2008185204A (ja) | 2007-01-31 | 2007-01-31 | 油井管用特殊ねじ継手 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2007022015A JP2008185204A (ja) | 2007-01-31 | 2007-01-31 | 油井管用特殊ねじ継手 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2008185204A true JP2008185204A (ja) | 2008-08-14 |
Family
ID=39728381
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2007022015A Pending JP2008185204A (ja) | 2007-01-31 | 2007-01-31 | 油井管用特殊ねじ継手 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2008185204A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2013224707A (ja) * | 2012-04-23 | 2013-10-31 | Jfe Steel Corp | 鋼管用ねじ継手の皮膜形成方法および鋼管用ねじ継手製品 |
| WO2018016422A1 (ja) * | 2016-07-22 | 2018-01-25 | サンデン・オートモーティブコンポーネント株式会社 | 筐体のシール構造及びそれを備えた流体機械 |
-
2007
- 2007-01-31 JP JP2007022015A patent/JP2008185204A/ja active Pending
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| WO2018016422A1 (ja) * | 2016-07-22 | 2018-01-25 | サンデン・オートモーティブコンポーネント株式会社 | 筐体のシール構造及びそれを備えた流体機械 |
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