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JP2008185154A - 終減速装置のブリーザ構造 - Google Patents

終減速装置のブリーザ構造 Download PDF

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JP2008185154A
JP2008185154A JP2007020161A JP2007020161A JP2008185154A JP 2008185154 A JP2008185154 A JP 2008185154A JP 2007020161 A JP2007020161 A JP 2007020161A JP 2007020161 A JP2007020161 A JP 2007020161A JP 2008185154 A JP2008185154 A JP 2008185154A
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Akira Ishikawa
暁 石川
Tatsuyoshi Suganuma
立至 菅沼
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】終減速装置のブリーザ構造として、より簡素な構造でありながら、車両の前進あるいは後進走行等に伴うブリーザ室に対する潤滑油の侵入や滞留をより的確に阻止する。
【解決手段】終減速装置1は、動力伝達されるピニオンギヤ8と差動装置(リングギヤ)7aとの噛合によって駆動車輪の差動回転を可能としつつそれら駆動車輪を回転駆動するギヤ群が収容されるとともに、それらギヤ群を潤滑する潤滑油OILが貯留されるギヤ室6を備えている。このブリーザ構造は、こうしたギヤ室6の上部に設けられるブリーザ室4を通じてギヤ室6の内圧を大気開放するものである。特にここでは、差動装置を構成するギヤの回転に伴って撥ね上げられる潤滑油OILの付勢力に基づき回動する仕切板9を有してギヤ室6からブリーザ室4に至る通気孔13a,13bのうちの潤滑油OILの飛散方向に対向する通気孔を動的に閉鎖する可動閉鎖機構を設けている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車などの車両に搭載される終減速装置(ディファレンシャルギヤ装置)におけるブリーザ室とギヤ室との連通構造である終減速装置のブリーザ構造に関する。
周知のように、自動車などの車両には、エンジン出力を駆動車輪に伝達する動力伝達系の一部として、変速機からの動力をピニオンギヤ及び差動装置(ディファレンシャル)を介して駆動車輪の差動回転を可能としつつそれら駆動車輪に伝達する終減速装置(ディファレンシャルギヤ装置)が搭載されている。そして通常、この終減速装置の担体であるキャリアの内底部には潤滑油が貯留されており、この貯留された潤滑油によって、同終減速装置のギヤ室に収容されたピニオンギヤ(ドライブピニオンギヤ)や、このピニオンギヤに歯合されるリングギヤをはじめとする差動装置の潤滑が維持される。また、こうした終減速装置にあっては、上記キャリア内部の温度変化に伴う上記潤滑油や内気の膨張、収縮に起因して内圧が変化することを抑制するために、同キャリアの上部、すなわち上記ギヤ室の上部にブリーザ室が併せて設けられており、このブリーザ室を通じてキャリア(ギヤ室)の内圧が大気圧とほぼ等しくなるように調圧されている。
ところで、終減速装置としてのこのような構造により、車両の走行中には、上記各ギヤの回転に伴って上記貯留されている潤滑油が上方に撥ね上げられて飛散し、この飛散した潤滑油が上記ブリーザ室に侵入するおそれがある。そして、潤滑油がこうしてブリーザ室に侵入するようなことがあると、ブリーザ室上部に大気との連通部として設けられているブリーザプラグを介してこの侵入した潤滑油が外部に流出したり、あるいは同ブリーザプラグにこの潤滑油が付着して大気との連通孔を閉塞し、ブリーザ機能が不能となる等の不都合を生じることとなる。
そこで従来は、例えば特許文献1に記載のブリーザ構造のように、上記飛散した潤滑油がブリーザ室に侵入することを防止するための仕切部材をギヤ室とブリーザ室との間に設けるなどの構造も提案されている。図5及び図6に、この特許文献1に記載のブリーザ構造についてその概要を示す。なお、図5は、上述した終減速装置のブリーザ室及びその近傍の構造を拡大して示したものであり、図6は、このブリーザ室に対応して設けられる上記仕切部材の斜視構造を示したものである。
すなわち、まずは図5に示されるように、この終減速装置50にあっては、そのギヤ室46の上部にリブ49を介してブリーザ室48を区画し、リブ49に形成した連通孔41を介してギヤ室46をブリーザ室48に連通させるにあたり、同リブ49に仕切部材44を設け、該仕切部材44を通じて上記連通孔41の前後方を仕切るようにしている。この仕切部材44は、図6にその斜視構造を併せて示すように、連通孔41の後方を仕切る第1仕切板44aと、連通孔41の前方を仕切る第2仕切板44bと、ギヤ室46内の上記リングギヤ(図示略)と連通孔41との間を仕切る第3仕切板44cとを備えており、取付部44dを通じて上記リブ49に取り付けられる。このような仕切部材44を設けることにより、車両の前進(図5の図面奥に直交する方向への)走行時にリングギヤが撥ね上げた潤滑油は第1仕切板44aに遮られ、同車両の後進(図5の図面手前に直交する方向への)走行時にリングギヤが撥ね上げた潤滑油は第2仕切板44bに遮られて上記連通孔41への潤滑油の侵入が阻止される。同様に、リングギヤから側方に撥ね飛ばされた潤滑油は、当該仕切部材44の第3仕切板44cに遮られて上記連通孔41への潤滑油の侵入が阻止される。なお、図5において、符号45は、ブリーザ室48と大気との連通を図るために設けられる上記ブリーザプラグ(ブリーザパイプ)を示している。
特開2002−181169号公報 実開平01−115083号公報
このように、終減速装置を構成するギヤ室とブリーザ室との間に仕切部材を設けるようにすることで、車両の走行中、上記各ギヤの回転に伴って潤滑油が上方に撥ね上げられ、飛散するような場合であれ、この飛散した潤滑油の上記ブリーザ室への侵入は確かに抑制されるようにはなる。ただし、この特許文献1に記載のブリーザ構造において、四方から飛散する潤滑油の上記ブリーザ室に対する侵入を上記仕切部材を通じて確実に阻止するためには、同仕切部材を構成する各仕切板の隙間を極力狭く設定する必要がある。ところが、各仕切板の隙間をこのように狭く設定すると、
・一旦この隙間から侵入した潤滑油が抜けにくくなる。
・隙間が狭いために、それら隙間に油膜が形成されやすくなる。
等々ブリーザ機能の低下を招きかねない新たな不都合が生じることともなり、実用上はなお課題を残すものとなっている。
なお従来、例えば特許文献2に見られるように、侵入した潤滑油を抜くための油抜き孔を多数設けるようにしたブリーザ構造なども提案されてはいるが、構造上の複雑化が避けられず、実用上はやはり改良の余地を残すものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡素な構造でありながら、車両の前進あるいは後進走行等に伴うブリーザ室に対する潤滑油の侵入や滞留をより的確に阻止することのできる終減速装置のブリーザ構造を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、動力伝達されるピニオンギヤと差動装置との噛合によって駆動車輪の差動回転を可能としつつそれら駆動車輪を回転駆動するギヤ群が収容されるとともに、それらギヤ群を潤滑する潤滑油が貯留されるギヤ室を備え、このギヤ室の上部に設けられるブリーザ室を通じて当該ギヤ室の内圧を大気開放する終減速装置のブリーザ構造において、前記差動装置を構成するギヤの回転に伴って撥ね上げられる潤滑油の付勢力に基づき回動する仕切板を有して前記ギヤ室から前記ブリーザ室に至る通気孔のうちの前記潤滑油の飛散方向に対向する通気孔を動的に閉鎖する可動閉鎖機構を設けたことを要旨とする。
こうした終減速装置にあっては通常、ギヤ群の回転に伴いギヤ室内で四方に潤滑油が飛散するとはいえ、車両の進行方向が例えば前進あるいは後進といったいずれかの方向に選択されている限り、上記潤滑油がギヤ室内で同時に四方に飛散することはない。すなわち、車両の進行方向に応じて、上記撥ね上げられる潤滑油の飛散方向も自ずとそれら進行方向に対応した略一定の方向に規定される傾向にある。このため、例えばギヤ室からブリーザ室に至る通気孔が複数存在する場合であれ、それら複数の通気孔を同時に閉鎖する必要はない。また逆に、それら複数の通気孔が同時に閉鎖されるようなことがあれば、上記ブリーザ室を通じたブリーザ機能自体の妨げともなる。この点、終減速装置のブリーザ構造としての上記構造によれば、上記可動閉鎖機構を構成する仕切板の回動を通じて、複数存在する通気孔のうち、潤滑油の飛散方向に対向する通気孔のみが動的に、すなわち潤滑油のその時々の飛散方向に対向する通気孔のみが選択的に閉鎖されることとなるため、車両の前進あるいは後進走行等に伴うブリーザ室に対する潤滑油の侵入は、高い自由度をもって的確に阻止されるようになる。そしてこの場合、上記閉鎖される通気孔以外の他の通気孔は閉鎖されることがないため、ブリーザ機能も高く維持されるとともに、たとえブリーザ室内に潤滑油が侵入することがあったとしても、それら閉塞されていない通気孔を介して同潤滑油はギヤ室に環流されるようになる。すなわち、ブリーザ室に対する潤滑油の滞留も的確に阻止されるようになる。しかも、上記仕切板は、ギヤの回転に伴って撥ね上げられる潤滑油の付勢力を利用して回動する極めて簡素な構造となっており、その実現も容易である。
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のブリーザ構造において、前記ブリーザ室は、前記ギヤ室の上部に対し、同ギヤ室の上部から内方にかけて突設されるとともに、前記終減速装置が搭載される車両の幅方向に離間して設けられた隔壁に挟まれた状態で同車両の前後方向に延びる部屋を有して形成されてなり、前記可動閉鎖機構は、同ブリーザ室の車両前後方向に延びる部屋を前記ギヤ室側から覆って且つ、該車両前後方向についての中心部が前記隔壁に回動可能に軸支される態様にて前記仕切板を備え、この仕切板の前記車両前後方向に位置する各端部と前記ブリーザ室の同車両前後方向に延びる部屋の各対向部との間の隙間によって前記ギヤ室から前記ブリーザ室に至る通気孔が形成されるとともに、前記ブリーザ室を形成する部屋の前記車両前後方向の各端部には前記回動した仕切板の対応する端部が当接される段状のストッパが設けられてなることを要旨とする。
自動車等の車両は、左右に旋回することがあるとはいえ、その進行方向は前進方向、あるいは後進方向のいずれかに限られる。すなわち、上記終減速装置にあって、差動装置を構成するギヤの回転に伴って撥ね上げられる潤滑油の飛散方向も、ギヤ室にあっては、同車両の
前方あるいは後方のいずれかに限られる。このため、上記可動閉鎖機構を構成する仕切板も車両の前後方向に対応して回動し、また同仕切板に対応して設けられる通気孔も車両の前後方向に対応した2箇所に設けられることで必要十分である。そして、終減速装置のブリーザ構造としての同構造によれば、車両のこのような実情に対応するかたちで上記仕切板をはじめ、該仕切板の上記ストッパへの当接を通じて閉鎖される通気孔が設けられることとなり、上述した請求項1にかかる発明の作用効果も的確に、しかも高い信頼性のもとに実現されるようになる。
請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載のブリーザ構造において、前記可動閉鎖機構を構成する仕切板は、前記ギヤ室に対向する面が、前記車両前後方向に位置する両端部から同方向についての中心部にかけて曲率をもって突出する曲率面を有して形成されてなり、この曲率面を有して突出した部分に前記隔壁に軸支される支軸が設けられてなることを要旨とする。
特に上記請求項2に記載のブリーザ構造にあっては、上記可動閉鎖機構を構成する仕切板に対し、ギヤの回転に伴って撥ね上げられる車両前後方向への潤滑油の付勢力がより円滑に、しかも効率よく作用することが望まれるが、同発明としての上記仕切板の構造によれば、こうした要求にもより的確に応えることができるようになる。
しかもこの場合、請求項4に記載の発明によるように、同仕切板の前記ブリーザ室に対向する面を平板状に形成することで、たとえブリーザ室内に潤滑油が侵入することがあったとしても、他方の閉塞されていない、むしろ積極的に開放されている通気孔、並びにこの傾斜されている仕切板の平板状の上面を介して同潤滑油を円滑にギヤ室に環流させることも可能となる。
一方、請求項5に記載の発明は、同じく上記請求項2に記載のブリーザ構造において、前記可動閉鎖機構を構成する仕切板は、同仕切板を軸支する前記隔壁側からみてT字状に形成されてなり、このT字状の縦辺にあたる中央もしくはその近傍の位置に前記隔壁に軸支される支軸が設けられてなることを要旨とする。
仕切板としてのこのような構造によっても、上記請求項3に記載の発明と同様、ギヤの回転に伴って撥ね上げられる車両前後方向への潤滑油の付勢力をより円滑に、しかも効率よく同仕切板に作用させることができるようになる。
またこの場合には、特に請求項6に記載の発明によるように、前記隔壁側からみてT字状に形成された仕切板の、前記縦辺にあたる部分の車両前後方向からみた正面形状を、前記隔壁に軸支される支軸の位置を境とした上方部分の表面積をS1とし、同じく隔壁に軸支される支軸の位置を境とした下方部分の表面積をS2とするとき、「S1>>S2」なる形状に設定することで、上記潤滑油の付勢力を利用した当該仕切板に対する回動支援効果もさらに助長されるようになる。
(第1の実施の形態)
図1及び図2に、本発明にかかる終減速装置のブリーザ構造について、その第1の実施の形態を示す。ここで、図1は、本実施の形態の終減速装置、並びにそのブリーザ構造を正面方向(車両の進行方向)から見た部分断面構造を示したものであり、図2は、同終減速装置、並びにそのブリーザ構造を側面(車軸側)からみた内部構造を模式的に示したものである。なお、図1は、図2のA−A線に沿った断面図に相当している。
まずは図1に示されるように、本実施の形態のブリーザ構造の適用対象となる終減速装置1には、その担体であるキャリア2の内部に、車両の変速機等から動力伝達されるピニオンギヤ(ドライブピニオンギヤ)8に噛合されて車軸17に連結されている駆動車輪の差動回転を可能としつつ同車軸17を回転駆動するギヤ群からなる差動装置7が設けられている。この差動装置7は、上記ピニオンギヤ8と共々、当該終減速装置1のギヤ室6に収容されており、このギヤ室6内で、同差動装置7のギヤ群を構成するリングギヤ7aが上記ピニオンギヤ8に対して噛合されている。そして、このギヤ室6には、例えば同図1に示される態様で潤滑油OILが貯留されており、この貯留されている潤滑油OILによって、これらピニオンギヤ8及び上記リングギヤ7aをはじめとするギヤ群の潤滑が維持されている。
一方、この終減速装置1において、上記ギヤ室6の上部には、同ギヤ室6の上部からキャリア2の内方にかけて突設されたブリーザ室4が設けられている。このブリーザ室4は、同終減速装置1が搭載されている車両の幅方向に離間して設けられた隔壁11a及び11bにより挟まれる態様にて当該車両の前後方向に延びる部屋を有して形成されている。そして、この部屋の天井部分に、当該ブリーザ室4と大気との連通を図るための連通孔5aを有するブリーザプラグ5が上記キャリア2を貫通する態様にて装着されている。また、同ブリーザ室4には、この部屋を上記ギヤ室6側から覆う態様にて当該車両の前後方向に延びるとともに、同車両の前後方向についての中心部が上記隔壁11a及び11bに対し軸10によって回動可能に軸支された仕切板9が設けられており、この仕切板9によってギヤ室6からブリーザ室4に至る通気孔を動的に閉鎖する可動閉鎖機構が構成されている。
ここで、この可動閉鎖機構としての構造並びに機能を図2を併せ参照して更に詳述する。なお、図2においては便宜上、先の図1に示した差動装置7を構成するリングギヤ7a以外のギヤ群や駆動車輪の車軸17、並びに上記ブリーザ室4を区画する隔壁11a及び11b等の図示を割愛している。
上述のように、図1は、図2のA−A線に沿った断面図に相当するものであり、この可動閉鎖機構を構成する仕切板9は、同図2に示されるように、潤滑油OILが貯留されているギヤ室6と上記ブリーザ室4との間において、同ブリーザ室4を形成する部屋をギヤ室6側から覆い且つ、当該車両の前後方向に回動可能に上記軸10により軸支されている。そして、本実施の形態にかかるブリーザ構造においては、上記仕切板9の車両前後方向に位置する各端部と上記ブリーザ室4の同車両前後方向に延びる部屋の各対向部との間の隙間によってギヤ室6からブリーザ室4に至る通気孔13a,13bが形成されている。すなわち、上記ギヤ室6の内圧は、この通気孔13a,13b及び上記ブリーザプラグ5を介して大気開放されるようになる。
また、本実施の形態にかかるブリーザ構造において、上記ブリーザ室4を形成する部屋の車両前後方向の各端部には、回動した仕切板9の対応する端部が当接される段状のストッパ12a,12bが設けられている。これにより、以下に説明する終減速装置1の駆動時、すなわち車両の走行時には、上記通気孔13a,13bのうち、仕切板9の回動によってその端部がこれらストッパ12aあるいは12bに当接された側が動的に、且つ、選択的に閉鎖されるようになる。また逆に、上記仕切板9の端部がこれらストッパ12aあるいは12bから離間された側では、同通気孔13aあるいは13bとして、ギヤ室6からブリーザ室4への通気を保証する、より大きな隙間が確保されるようになる。
ちなみに、こうした終減速装置1にあっては通常、ギヤ群の回転に伴いギヤ室6内で四方に潤滑油OILが飛散するとはいえ、車両の進行方向が前進あるいは後進といったいずれかの方向に選択されている限り、上記潤滑油OILがギヤ室6内で同時に四方に飛散することはない。すなわち、車両の進行方向に応じて上記撥ね上げられる潤滑油OILの飛散方向も自ずとそれら進行方向に対応した略一定の方向に規定される傾向にある。図2中に矢指した矢印14a,14bは、こうして撥ね上げられる潤滑油OILの飛散方向をそれぞれ示したものであり、車両の前進時には矢印14aにて示す方向に、また車両の後進時には破線矢印14bにて示す方向にそれぞれ上記潤滑油OILが飛散するようになる。そして、上記可動閉鎖機構を構成する仕切板9は、こうして撥ね上げられ、飛散する潤滑油OILの付勢力に基づいて上記軸10を中心に回動し、さらには上記ストッパ12aあるいは12bの一方に当接されるものであり、そのギヤ室6に対向する面も、こうした潤滑油OILによる付勢(回転モーメント)を受けやすい形状となっている。すなわち、同図2に示されるように、この仕切板9は、そのギヤ室6に対向する面が、車両前後方向に位置する両端部から同方向についての中心部にかけて曲率をもって突出する曲率面を有して形成されており、この曲率面を有して突出した部分に支軸である上記軸10が設けられている。しかも、この仕切板9の上記ブリーザ室4に対向する面は平板状に形成されており、たとえブリーザ室4内に潤滑油OILが侵入することがあったとしても、他方の閉塞されていない、むしろ積極的に開放されている通気孔、並びにこの傾斜されている仕切板9の平板状の上面を介した、同潤滑油OILのギヤ室6に対する円滑な環流を可能としている。
図3(a)及び(b)は、図2の一点鎖線にて囲んだ領域3、すなわち主に上記可動閉鎖機構を構成する部分の動作についてその一例を示したものであり、次に、この図3(a)及び(b)を併せ参照して、同可動閉鎖機構の動作について詳述する。
上記終減速装置1にあっては通常、車両の走行、すなわち主に上記リングギヤ7aの回転に伴い、上記ギヤ室6に貯留されている潤滑油OILは、車両の前進時であれば矢印14aにて示す方向に、また車両の前進時であれば破線矢印14bにて示す方向に一気に撥ね上げられる。そして、車両の走行中であれば、可動閉鎖機構を構成する上記仕切板9も、こうした潤滑油OILの撥ね上げ、飛散によって、常にいずれかに傾いた状態、すなわち軸10を中心に回動して上記ストッパ12a,12bのいずれかに当接された状態に維持される。
したがっていま、車両が停止状態から前進走行を開始したとすると、上記終減速装置1にあっては図3(a)に矢印14aとして示される方向への潤滑油OILの撥ね上げ、飛散が生じ、その付勢力によって、可動閉鎖機構を構成する上記仕切板9には同じく図3(a)に矢指するような反時計回りの回転モーメントが生じる。そしてこれにより、同仕切板9は即座に反時計回りに回動し、図3(b)に示されるように、その端部がストッパ12aに当接された状態に維持される。車両の前進走行中、仕切板9がこのような状態に維持されることにより、通気孔13aは閉鎖された状態に維持され、逆に通気孔13bは大きく開放された状態に維持される。すなわち、ブリーザ室4に対する潤滑油OILの侵入が阻止されるとともに、当該ブリーザ構造としてのブリーザ機能も良好に確保、維持されるようになる。また、例えば図3(b)に例示した状態への移行時等に通気孔13aを介して一時的にブリーザ室4に潤滑油OILが侵入するようなことがあったとしても、同図3(b)に例示した状態となることにより、上記通気孔13b、並びに傾斜状態にある仕切板9の上記平板状の上面を介して、同潤滑油OILは円滑にギヤ室6に環流されるようになる。なお、上記仕切板9を通じた可動閉鎖機構としてのこのような動作は、車両の後進走行時であれ、図2に示した破線矢印14bの方向への潤滑油OILの撥ね上げ、飛散に基づき、同仕切板9の回動方向が時計回りとなるだけで、基本的には全く同様である。すなわちこの場合、通気孔13bは閉鎖された状態に維持されて、逆に通気孔13aの方が大きく開放された状態に維持されるようになる。
以上説明したように、この第1の実施の形態にかかる終減速装置のブリーザ構造によれば、以下のような優れた効果が得られるようになる。
(1)可動閉鎖機構を構成する仕切板9の回動を通じて、通気孔13a,13bのうちの潤滑油OILの飛散方向に対向する通気孔のみが動的に、すなわち潤滑油OILのその時々の飛散方向に対向する通気孔のみが選択的に閉鎖される構造とした。このため、車両の前進あるいは後進走行に伴うブリーザ室4に対する潤滑油OILの侵入は、高い自由度をもって的確に阻止されるようになる。しかもこの場合、上記仕切板9の回動によって、上記閉鎖される通気孔の他方側の通気孔は閉鎖されることがなく、むしろ大きく開放されるようになるため、ギヤ室6とブリーザ室4との間のブリーザ機能も高く維持されるようになる。また、たとえブリーザ室4内に潤滑油OILが侵入することがあったとしても、それら閉塞されていない通気孔を介して同潤滑油OILはギヤ室6に環流されるようになる。すなわち、ブリーザ室4に対する潤滑油OILの滞留も的確に阻止されるようになる。さらに、上記仕切板9は、ギヤ群の回転に伴って撥ね上げられる潤滑油OILの付勢力を利用して回動する極めて簡素な構造となっており、その実現も容易である。
(2)上記仕切板9は、そのギヤ室6に対向する面が、車両前後方向に位置する両端部から同方向についての中心部にかけて曲率をもって突出する曲率面を有して形成されるとともに、この曲率面を有して突出した部分が軸10によって隔壁11a及び11bに軸支される構造とした。これにより、ギヤ群の回転に伴って撥ね上げられる車両前方あるいは後方への潤滑油OILの付勢力が同仕切板9に対してより円滑に、しかも効率よく作用するようになり、ひいては仕切板9としてのより円滑な回動が得られるようになる。
(3)同じく仕切板9の上記ブリーザ室4に対向する面についてはこれを平板状に形成することとした。これにより、ブリーザ室4内に潤滑油OILが侵入した際における上記大きく開放されている側の通気孔を介しての同潤滑油OILのギヤ室6への環流も好適に助長されるようになる。
(第2の実施の形態)
図4(a)及び(b)は、本発明にかかる終減速装置のブリーザ構造の第2の実施の形態についてその可動閉鎖機構を構成する仕切板の構造を拡大して示したものであり、以下、先の図1及び図2に示した第1の実施の形態にかかるブリーザ構造との相違点を中心に、同第2の実施の形態にかかる終減速装置のブリーザ構造について詳述する。
まずは図4(a)に示されるように、この第2の実施の形態にかかるブリーザ構造において、上記可動閉鎖機構を構成する仕切板90は、これを軸支する前記隔壁11a,11b(図1参照)側からみて、すなわち先の図2側からみて、横辺にあたる板部91及び縦辺にあたる板部92をそれぞれ有するT字状に形成されている。そして、このT字状の縦辺にあたる板部92の中央もしくはその近傍の位置に、同仕切板90の回動の支軸となる軸10が設けられている。
一方、この仕切板90において、上記縦辺にあたる板部92の車両前後方向、すなわち先の図1側からみた正面形状は、図4(b)に示されるように、隔壁11a及び11bに軸支される支軸である上記軸10の位置を境として、その上下で異なる形状に形成されている。すなわち、同板部92の正面形状は、上記軸10の位置を境とした上方部分92aの表面積をS1とし、同じく軸10の位置を境とした下方部分92bの表面積をS2とするとき、「S1>>S2」なる形状に設定されている。これにより、前述した潤滑油OILの飛散による例えば図4(a)に矢印14aとして示すような付勢力が同仕切板90に作用する場合に、該付勢力による仕切板90の回動支援効果も助長されるようになる。
その他、この第2の実施の形態にかかるブリーザ構造において、先の図2及び図3を参照して説明した各事項、すなわち
(イ)上記軸10を中心に反時計回り方向、あるいは時計回り方向に回動した仕切板90の端部(板部91の端部)はブリーザ室4に設けられたストッパ12aあるいは12bに当接されること。
(ロ)仕切板90の端部のこれらストッパ12aあるいは12bへの当接によって、通気孔13a及び13bのうち、潤滑油OILの飛散方向に対向する側の通気孔は閉鎖され、逆に同飛散方向に対向することのない側の通気孔は大きく開放された状態に維持されること。すなわち、ブリーザ室4に対する潤滑油OILの侵入が阻止されつつ、同ブリーザ構造としてのブリーザ機能も良好に確保、維持されること。
(ハ)一時的にブリーザ室4に潤滑油OILが侵入するようなことがあったとしても、傾斜状態にある仕切板90の上記板部91の上面、すなわち平板状からなる板部91の上面を介して、同潤滑油OILは円滑にギヤ室6に環流されること。
等々、は先の第1の実施の形態にかかるブリーザ構造と同様である。
このため、この第2の実施の形態にかかる終減速装置のブリーザ構造によっても、先の第1の実施の形態のブリーザ構造による前記(1)及び(3)の効果と同等、もしくはそれら効果に準じた効果が得られるとともに、前記(2)の効果に代わる効果として、次のような効果が得られるようになる。
(4)側方からみてT字状からなる仕切板90の縦辺にあたる板部92の中央もしくはその近傍の位置に、同仕切板90の回動の支軸となる軸10を設けることとした。そして、同仕切板90の正面形状、具体的には上記板部92の正面形状を、上記軸10の位置を境とした上方部分92aの表面積をS1とし、同じく軸10の位置を境とした下方部分92bの表面積をS2とするとき、「S1>>S2」なる形状に設定することとした。このため、ギヤ群の回転に伴って撥ね上げられる車両前方あるいは後方への潤滑油OILの付勢力が同仕切板90に対してより円滑に、しかも効率よく作用するとともに、該付勢力による仕切板90の回動支援効果も更に助長されるようになる。
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記第2の実施の形態においては、図4(b)に例示したように、T字状からなる仕切板90の縦辺にあたる板部92の正面形状について上記「S1>>S2」といった表面積の関係を得るにあたり、軸10を中心に上下方向に位置する各矩形部分の大小によって同関係を設定するようにしたが、こうした表面積の関係の設定手法は任意である。すなわち、上記板部92の正面形状を逆三角形とする等によっても上記「S1>>S2」といった表面積の関係を得ることはできる。また、極端には、図4(b)に例示した形状において、軸10の位置を境とした下方部分92bを割愛する形状としてもよいし、あるいは同下方部分92bを上方部分92aと同一の形状とし、軸10自体をより下方に設ける構造としてもよい。
・一方、上記第1の実施の形態において可動閉鎖機構を構成する仕切板9については、必ずしもそのギヤ室6に対向する面に前述した曲率面が形成されていなくともよく、ギヤ群の回転に伴い車両の前方あるいは後方へ撥ね上げられる潤滑油OILによって当該仕切板9が前述した回転モーメントを受ける構造であればよい。そして、このような構造でありさえすれば、上記軸10の配設位置も、ギヤ室6側に突出した部分に限られることなく任意であり、例えばその厚さ方向の中心部に上記軸10が設けられる構造であってもよい。
・上記第1及び第2の実施の形態では共に、可動閉鎖機構を構成する仕切板9、あるいは仕切板90の各々上記ブリーザ室4に対向する面が平板状に形成されているとしたが、この可動閉鎖機構自体がそもそもブリーザ室4に侵入した潤滑油OILを上記大きく開放される側の通気孔を通じてギヤ室6に排出(環流)しやすい構造となっている。このため、これら仕切板9、あるいは仕切板90の上記ブリーザ室4に対向する面の形状、すなわち上面形状も、必ずしも平板状に限られることなく任意である。
・同じく上記第1及び第2の実施の形態では共に、ブリーザ室4が車両前後方向に延設され、同ブリーザ室4をギヤ室6側から覆う仕切板9、あるいは仕切板90の同車両前後方向への回動を通じてブリーザ室4への潤滑油OILの侵入の阻止、並びにブリーザ機能の維持を図るようにした。しかし、終減速装置1を構成するギヤ群の配置等によってはこれら各部の関係も任意であり、ブリーザ構造として要は、差動装置を構成するギヤの回転に伴って撥ね上げられる潤滑油の付勢力に基づき回動する仕切板を有してギヤ室からブリーザ室に至る通気孔のうちの潤滑油の飛散方向に対向する通気孔を動的に閉鎖する可動閉鎖機構を備えるものであればよい。
本発明にかかる終減速装置のブリーザ構造の第1の実施の形態について、その正面方向から見た部分断面構造を示す部分断面図。 同実施の形態のブリーザ構造の内部構造を模式的に示す側面略図。 (a)及び(b)は、同実施の形態のブリーザ構造において可動閉鎖機構を構成する仕切板の動作例を示す部分断面側面図。 (a)及び(b)は、本発明にかかる終減速装置のブリーザ構造の第2の実施の形態について、その可動閉鎖機構を構成する仕切板の構造を示す側面図及び正面図。 従来の終減速装置のブリーザ構造についてその一例を示す側面略図。 同従来のブリーザ構造に採用されている仕切部材の斜視構造を示す斜視図。
符号の説明
1…終減速装置、2…キャリア、4…ブリーザ室、5…ブリーザプラグ、5a…連通孔、6…ギヤ室、7…差動装置、7a…リングギヤ、8…ピニオンギヤ(ドライブピニオンギヤ)、9、90…仕切板、10…軸、11a、11b…隔壁、12a、12b…ストッパ、13a、13b…通気孔、91、92…板部、OIL…潤滑油。

Claims (6)

  1. 動力伝達されるピニオンギヤと差動装置との噛合によって駆動車輪の差動回転を可能としつつそれら駆動車輪を回転駆動するギヤ群が収容されるとともに、それらギヤ群を潤滑する潤滑油が貯留されるギヤ室を備え、このギヤ室の上部に設けられるブリーザ室を通じて当該ギヤ室の内圧を大気開放する終減速装置のブリーザ構造において、
    前記差動装置を構成するギヤの回転に伴って撥ね上げられる潤滑油の付勢力に基づき回動する仕切板を有して前記ギヤ室から前記ブリーザ室に至る通気孔のうちの前記潤滑油の飛散方向に対向する通気孔を動的に閉鎖する可動閉鎖機構を設けた
    ことを特徴とする終減速装置のブリーザ構造。
  2. 前記ブリーザ室は、前記ギヤ室の上部に対し、同ギヤ室の上部から内方にかけて突設されるとともに、前記終減速装置が搭載される車両の幅方向に離間して設けられた隔壁に挟まれた状態で同車両の前後方向に延びる部屋を有して形成されてなり、前記可動閉鎖機構は、同ブリーザ室の車両前後方向に延びる部屋を前記ギヤ室側から覆って且つ、該車両前後方向についての中心部が前記隔壁に回動可能に軸支される態様にて前記仕切板を備え、この仕切板の前記車両前後方向に位置する各端部と前記ブリーザ室の同車両前後方向に延びる部屋の各対向部との間の隙間によって前記ギヤ室から前記ブリーザ室に至る通気孔が形成されるとともに、前記ブリーザ室を形成する部屋の前記車両前後方向の各端部には前記回動した仕切板の対応する端部が当接される段状のストッパが設けられてなる
    請求項1に記載の終減速装置のブリーザ構造。
  3. 前記可動閉鎖機構を構成する仕切板は、前記ギヤ室に対向する面が、前記車両前後方向に位置する両端部から同方向についての中心部にかけて曲率をもって突出する曲率面を有して形成されてなり、この曲率面を有して突出した部分に前記隔壁に軸支される支軸が設けられてなる
    請求項2に記載の終減速装置のブリーザ構造。
  4. 前記仕切板の前記ブリーザ室に対向する面は平板状に形成されてなる
    請求項3に記載の終減速装置のブリーザ構造。
  5. 前記可動閉鎖機構を構成する仕切板は、同仕切板を軸支する前記隔壁側からみてT字状に形成されてなり、このT字状の縦辺にあたる中央もしくはその近傍の位置に前記隔壁に軸支される支軸が設けられてなる
    請求項2に記載の終減速装置のブリーザ構造。
  6. 前記隔壁側からみてT字状に形成された仕切板の、前記縦辺にあたる部分の車両前後方向からみた正面形状が、前記隔壁に軸支される支軸の位置を境とした上方部分の表面積をS1とし、同じく隔壁に軸支される支軸の位置を境とした下方部分の表面積をS2とするとき、「S1>>S2」なる形状に設定されてなる
    請求項5に記載の終減速装置のブリーザ構造。
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