JP2008169911A - 双方向クラッチ及び風向調節装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】双方向クラッチにおける回転トルクの伝達の応答性を向上させる。
【解決手段】カム面を有する駆動側回転体4、円周面を有する連動側回転体5及び保持器7がセンター軸3に回転自在に支持されている。保持器7はカム面と円周面との間の楔形空間に収容された係合子6を保持する。摩擦保持手段8は、楔係合状態にある係合子6により結合された駆動側回転体4及び連動側回転体5と共に保持器7が回転することを許容し、かつ非係合状態にある係合子6を介して保持器7が駆動側回転体4又は連動側回転体5と連れ回りすることを規制する所定の摩擦保持力で、センター軸3に対して保持器7を保持する。位置決め手段9は、係合子6が非係合状態となるように駆動側回転体4に対して保持器7を周方向に位置決め保持し、かつ駆動側回転体4が回転するときに係合子6が楔係合状態となるように、摩擦保持手段8でセンター軸3に保持された保持器7が駆動側回転体4に対して相対回転することを許容する。
【選択図】図1
【解決手段】カム面を有する駆動側回転体4、円周面を有する連動側回転体5及び保持器7がセンター軸3に回転自在に支持されている。保持器7はカム面と円周面との間の楔形空間に収容された係合子6を保持する。摩擦保持手段8は、楔係合状態にある係合子6により結合された駆動側回転体4及び連動側回転体5と共に保持器7が回転することを許容し、かつ非係合状態にある係合子6を介して保持器7が駆動側回転体4又は連動側回転体5と連れ回りすることを規制する所定の摩擦保持力で、センター軸3に対して保持器7を保持する。位置決め手段9は、係合子6が非係合状態となるように駆動側回転体4に対して保持器7を周方向に位置決め保持し、かつ駆動側回転体4が回転するときに係合子6が楔係合状態となるように、摩擦保持手段8でセンター軸3に保持された保持器7が駆動側回転体4に対して相対回転することを許容する。
【選択図】図1
Description
本発明は双方向クラッチ及び風向調節装置に関し、詳しくは、駆動側回転体から連動側回転体へは正方向、逆方向ともに回転トルクを伝達する一方、連動側回転体から駆動側回転体へは正方向、逆方向ともにトルク伝達を遮断する双方向クラッチと、この双方向クラッチを備えた風向調節装置に関する。
自動車のエアーコンディショナーに用いられる風向調節装置の中には、自動でスイングフィンが揺動して風向を連続的に変化させることができるもの(スイングレジスタ)がある。この種の風向調節装置におけるスイングフィンは、ステッピングモータなどの駆動源により駆動されて揺動する。しかしながら、このような風向を自動調節可能なスイングレジスタにおいても、手動によって、搭乗者がその時の感覚に応じて風向を任意に変更できる構造であることが望ましい。ところが、スイングレジスタにおけるスイングフィンは駆動源と連結されている。このため、搭乗者が手動でスイングフィンを動かすと、それにより駆動源に負荷がかかってしまう。また、駆動源との連結構造に基づく抵抗があるため、手動時の操作フィーリングもあまり良くない。
そこで、手動時に駆動源に負荷がかからず、また、操作フィーリング性も向上したスイングレジスタとして、双方向クラッチを備えたものが知られている(特許文献1等参照)。
このスイングレジスタにおける双方向クラッチでは、駆動源に連結された駆動筒部と、スイングフィンに連結された連動筒部とが、互いに反対方向に捲回された大小2つのコイルばねにより押圧連結されている。そして、自動モード時に駆動源からの回転駆動力により駆動筒部が回転すると、コイルばねの縮径による締め付けを介して、駆動筒部から連動筒部へ正、逆両方向の回転トルクが伝達され、スイングフィンが揺動する。一方、操作ノブ等のマニュアル操作によりスイングフィンを動かしたときは、スイングフィンから連動筒部に回転力が伝達されて連動筒部が回転するが、拡径によりコイルバネの締め付けが緩むことで、連動筒部から駆動筒部への正、逆両方向のトルク伝達が遮断される。
特開2003−130083号公報
しかしながら、上記従来のスイングレジスタにおける双方向クラッチでは、トルク伝達の応答性が低いという問題があった。
すなわち、上記従来の双方向クラッチでは、コイルばねの縮径により、回転トルクの伝達がなされるため、コイルばねが縮径するときに、コイルばねと駆動筒部及び連動筒部との間で滑りが発生すると、その分だけ回転トルクの伝達の応答性が悪くなってしまう。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、双方向クラッチにおける回転トルクの伝達の応答性を向上させることを解決すべき技術課題とするものである。
(1)上記課題を解決する本発明の双方向クラッチは、センター軸と、前記センター軸に回転自在に支持され、カム面を有する駆動側回転体と、前記センター軸に回転自在に支持され、前記カム面と径方向に対向する円周面を有する連動側回転体と、前記カム面と前記円周面との間に形成された、周方向の両端が狭小の楔形空間に収容され、該楔形空間の周方向中央部から周方向端部に移動することで前記駆動側回転体及び前記連動側回転体と楔係合状態となる一方、該楔形空間の周方向端部から周方向中央部に移動することで該駆動側回転体及び該連動側回転体と非係合状態となる係合子と、前記駆動側回転体及び前記連動側回転体の間に配置されるとともに両者と相対回転可能となるように前記センター軸に回転自在に支持され、前記係合子を保持する保持孔を円筒状周壁に有する保持器と、前記楔係合状態にある前記係合子を介して一体的に結合された前記駆動側回転体及び前記連動側回転体と共に前記保持器が一体的に回転することを許容し、かつ、前記非係合状態にある前記係合子を介して該保持器が該駆動側回転体又は該連動側回転体と連れ回りすることを規制する所定の摩擦保持力で、前記センター軸に対して該保持器を保持する摩擦保持手段と、前記保持器の前記保持孔に保持された前記係合子が前記非係合状態となるように、前記駆動側回転体に対して該保持器を周方向に位置決め保持し、かつ、該駆動側回転体が回転するときにその回転に応じて該係合子が該非係合状態から前記楔係合状態となるように、前記摩擦保持手段の前記摩擦保持力で前記センター軸に保持された該保持器が該駆動側回転体に対して相対回転することを許容する位置決め手段と、を備えていることを特徴とする。
本発明の双方向クラッチは、駆動側回転体及び連動側回転体と係合子とを楔係合させることで、駆動側回転体から連動側回転体には正方向、逆方向ともに回転トルクを伝達する一方、前記楔係合を解除することで、連動側回転体から駆動側回転体には正方向、逆方向ともにトルク伝達を遮断するものである。
本発明の双方向クラッチでは、駆動側回転体、連動側回転体及び両者間に配置され係合子を保持する保持器が、センター軸に回転自在に支持されている。
そして、保持器は、摩擦保持手段による所定の摩擦保持力でセンター軸に対して保持されている。この摩擦保持手段の摩擦保持力は、楔係合状態にある係合子を介して一体的に結合された駆動側回転体及び連動側回転体と共に保持器が一体的に回転することを許容し、かつ、非係合状態にある係合子を介して保持器が駆動側回転体又は連動側回転体と連れ回りすることを規制しうる、所定の大きさのものである。
また、保持器は、位置決め手段により、保持器の保持孔に保持された係合子が非係合状態となるように、すなわち係合子が楔形空間の周方向中央部の中立位置に位置するように、駆動側回転体に対して周方向に位置決めされている。ところが、この位置決め手段は、駆動側回転体が回転するときにその回転に応じて係合子が楔形空間の周方向中央部の中立位置に周方向端部の係合位置まで移動して非係合状態から楔係合状態となるように、摩擦保持手段の摩擦保持力でセンター軸に保持された保持器が駆動側回転体に対して相対回転することを許容するものである。
このため、駆動源から駆動側回転体に回転駆動力が入力されて駆動側回転体が例えば正方向に回転すると、摩擦保持手段の摩擦保持力でセンター軸に保持された保持器が駆動側回転体に対して相対回転する。すなわち、摩擦保持手段の所定の摩擦保持力でセンター軸に保持された保持器は回転せず、駆動側回転体のみが回転する。これにより、保持器の保持孔に保持された係合子が楔形空間の周方向中央部から周方向端部に移動して駆動側回転体及び連動側回転体と楔係合状態となる。その結果、駆動側回転体及び連動側回転体が係合子を介して一体的に結合され、駆動側回転体の回転トルクが連動側回転体に伝達される。したがって、駆動側回転体、連動側回転体、係合子及び保持器等が一体的に回転する。なお、駆動側回転体が逆方向に回転した場合も同様に作用する。
ここに、本発明の双方向クラッチでは、駆動側回転体が回転しても保持器は回転しないため、駆動側回転体が回転すれば、それと同時に駆動側回転体と保持器とが相対回転する。このため、駆動側回転体が回転したときにおける係合子の中立位置(楔形空間の周方向中央部)から係合位置(楔形空間の周方向端部)への移動は駆動側回転体の回転と同時に起こり、係合子は非係合状態から速やかに楔係合状態になる。したがって、駆動側回転体から連動側回転体へ速やかに回転トルクが伝達され、駆動側回転体から連動側回転体へのトルク伝達の応答性が向上する。
一方、連動側回転体が例えば正方向に回転した場合、この連動側回転体の円周面に非係合状態にある係合子が接しているときは、連動側回転体の円周面との摩擦力により連動側回転体の回転力が係合子に伝わって、係合子が周方向に移動しようとする。ところが、この係合子を保持する保持器は、センター軸に対して所定の摩擦保持力で保持されているため、回転しない。なお、非係合状態にある係合子が連動側回転体の円周面に接していないときは、連動側回転体の回転力が係合子に伝わらないため、係合子が周方向に移動しようとすることもない。このため、連動側回転体が回転しても保持器がそれに連れ回りすることがなく、保持器に保持された係合子も楔形空間の周方向中央部から周方向端部に移動することがなく非係合状態のまま維持される。したがって、連動側回転体から駆動側回転体に回転トルクが伝達されることもない。なお、駆動側回転体が逆方向に回転した場合も同様に作用する。
(2)本発明の双方向クラッチの好適な態様において、前記摩擦保持手段は前記摩擦保持力を発揮する弾力を有する。
すなわち、センター軸に対して所定の摩擦保持力で保持器を保持する摩擦保持手段は、弾力により所定の摩擦保持力を発揮するものであることが好ましい。例えば、嵌合凸部と嵌合凹部(嵌合穴)との嵌合代を調整することで凹凸嵌合部における摩擦力を利用して摩擦保持力を発揮させることもできるが、この場合摩擦保持力の大きさを所定のものにするための嵌合代の調整が困難である。その点、摩擦保持手段が有する弾力により所定の摩擦保持力を発揮する構成であれば、例えば凹凸嵌合部における嵌合代の調整と比べて、容易に、所定の摩擦保持力に調整することができる。
(3)本発明の双方向クラッチの好適な態様において、前記摩擦保持手段は、前記センター軸に固定又は一体成形された円板部と、該円板部の外周面に一体成形され、前記保持器の前記円筒状周壁の内周面に弾性変形した状態で当接された弾性変形可能な湾曲腕部とを有している。
この構成によれば、弾性変形可能な湾曲腕部における形状、大きさや材質等を変化させることで、湾曲腕部の弾力を容易に変化させることができるので、前記摩擦保持力の大きさを容易に所定のものに調整することが可能となる。
また、湾曲腕部と一体成形された円板部をセンター軸に一体成形する場合には、ばね部材等の摩擦保持手段を別途設ける必要がなくなるので、構造の簡素化や部品点数の低減を図ることができる。
(4)さらに、前記湾曲腕部は、該湾曲腕部から遠心方向に突出して前記保持器の前記円筒状周壁の内周面に当接された突起部を有していることが好ましい。
この構成によれば、湾曲腕部のうちの突起部が保持器の円筒状周壁の内周面に当接することになるので、湾曲腕部と保持器の内周面との接触面積が減少する。このため、係合子を介して駆動側回転体から連動側回転体に回転トルクが伝達されて駆動側回転体、連動側回転体及び保持器等が一体的に回転するときに、保持器と湾曲腕部との接触による摺動抵抗が減少する。したがって、駆動側回転体を回転駆動させるための回転駆動力を減少させることができ、駆動源における負荷を小さくすることが可能となる。
(5)本発明の双方向クラッチの好適な態様において、前記位置決め手段は、前記駆動側回転体と前記保持器との間に介在されたスプリングよりなる。
すなわち、駆動側回転体に対する保持器の周方向における相対位置関係を調節する位置決め手段は、駆動側回転体と前記保持器との間に介在されたスプリングよりなることが好ましい。スプリングは、その形状、大きさや材質等を変更することで、ばね力を容易に調整することができる。このため、板ばね等のスプリングを駆動側回転体と前記保持器との間に介在させる構成によれば、摩擦保持手段における摩擦保持力の大きさとの関係で、スプリングのばね力を調整することが容易となる。
(6)請求項6に記載の風向調節装置は、前記駆動側回転体が駆動源と連結されるとともに前記連動側回転体がスイングフィンと連結された請求項1乃至5のいずれか一つに記載の双方向クラッチを備えていることを特徴とする。
すなわち、本発明の双方向クラッチは、好適な態様において、風向調節装置に組み込んで使用することができる。風向調節装置は、自動モードのときは駆動側から連動側へトルクを伝達し、手動モードのときは連動側から駆動側へトルクを遮断する必要がある。このため、トルク伝達時の迅速性に優れた本発明の双方向クラッチを風向調節装置に用いると、自動モードにおけるトルク伝達の応答性が向上する。
本発明によれば、トルク伝達の応答性が向上した双方向クラッチ及び風向調節装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
まず、本実施形態に係る双方向クラッチの構成について説明する。図1に本実施形態に係る双方向クラッチの分解斜視図を示す。また、図2にこの双方向クラッチの軸方向断面図を示す。図に示すように、本実施形態に係る双方向クラッチ1は、取り付け座2と、センター軸3と、駆動側回転体4と、連動側回転体5と、5個の係合子6と、保持器7と、摩擦保持手段8と、位置決め手段9とを備えている。
取り付け座2は、コの字状の断面形状を有するPOM製の一体成形品であって、互いに対向する一対の板部20、20と、両板部20、20の端部同士を連結する側壁部21とを有している。そして、一対の板部20、20には、互いに対向する位置に、一対の嵌合穴200、200と、一対の円筒状座部201、201とが設けられている。
センター軸3はPOM製の一体成形品であって、軸部30と、この軸部30の略中央部に一体成形された円板部31とを有している。なお、円板部31は、センター軸3の軸部30に嵌合固定してもよい。センター軸3の軸部30は、取り付け座の各嵌合穴200、200内に嵌合固定されている。これにより、センター軸3は、取り付け座2に回転不能に保持されている。センター軸3の円板部31の外周面には、円板部31の外周と間隔をおいて円弧状に延びる3個の弾性変形可能な湾曲腕部32、32、32が一体成形されている。また、各湾曲腕部32の先端には、遠心方向に突出して保持器7の後述する円筒状周壁部71の内周面に当接する突起部320がそれぞれ一体されている。
駆動側回転体4は、POM製の一体成形品であって、センター軸3の軸部30の一端側(図2の上端側)に回転自在に支持されている。この駆動側回転体4は、駆動側歯車部40と、駆動側円筒部41とを有している。駆動側歯車部40の中央には、センター軸3の軸部30の一端側が挿通される駆動側挿通孔400が形成されている。また、駆動側歯車部40の周縁には、駆動歯401が形成されている。駆動側円筒部41の内周面には、5個のカム面410が周方向に等間隔に形成されている(図3〜図5参照)。各カム面410は、略U字状の断面形状で、駆動側円筒部41の軸方向全体に延びている。また、駆動側円筒部41の先端側(図2の下端側)には、2つのカム面410、410間に、駆動側円筒部41の厚さ方向に貫通する取付挿通孔411が形成されている(図4参照)。
連動側回転体5は、POM製の一体成形品であって、センター軸3の軸部30の他端側(図2の下端側)に回転自在に支持されている。この連動側回転体5は、連動側歯車部50と、連動側円筒部51とを有している。連動側歯車部50の中央には、センター軸3の軸部30の他端側が挿通される連動側挿通孔500が形成されている。また、連動側歯車部50の周縁には、連動歯501が形成されている。連動側円筒部51は、駆動側円筒部41の内径よりも所定量小さな外径を有し、駆動側円筒部41の先端側と径方向に対向している。このため、この連動側円筒部51の外周面は、各カム面410と径方向に対向する円周面510とされている。これにより、駆動側回転体4の駆動側円筒部41と連動側回転体5の連動側円筒部51との間には、駆動側円筒部41の各カム面410と連動側円筒部51の円周面510との間に、周方向の両端が狭小とされた5個の楔形空間511が形成されている(図3参照)。
各係合子6は、POM製であって、円柱形状のローラよりなる。各係合子6は、駆動側回転体4の駆動側円筒部41と連動側回転体5の連動側円筒部51との間の径方向隙間よりも大きく、かつ、楔形空間511の周方向中央部におけるカム面410と円周面510との間の径方向隙間よりも小さな外径を有している。このため、各係合子6は、楔形空間511の周方向中央部から周方向端部に移動することで駆動側回転体4の駆動側円筒部41及び連動側回転体5の連動側円筒部51と楔係合状態となる一方、楔形空間511の周方向端部から周方向中央部に移動することで駆動側回転体4の駆動側円筒部41及び連動側回転体5の連動側円筒部51と非係合状態となる。
保持器7は、POM製の一体成形品であって、一端(図2の下端)が開口する有底円筒形状をなし、円板状底部70と、円筒状周壁部71とを有している。円板状底部70の中央には、センター軸3の軸部30の一端側が挿通される挿通孔700が形成されている。円筒状周壁部71は、駆動側回転体4の駆動側円筒部41の内径よりも若干小さな外径と、連動側回転体5の連動側円筒部51の外径よりも若干大きな内径とを有しており、駆動側円筒部41と連動側円筒部51との間に配置されている。この円筒状周壁部71の一端側(図2の下端側)には、5個の保持孔710が周方向に等間隔に形成されている。各保持孔710は、各係合子6の外径と略同等の周方向幅を有している。このため、保持孔710に保持された係合子6は、保持孔710内で周方向にはほとんど移動不能となされている。また、保持器7の円筒状周壁部71の先端側(図2の下端側)には、2つの保持孔710、710間に、円筒状周壁部71の厚さ方向に貫通する係合孔711が形成されている(図4参照)。
摩擦保持手段8は、センター軸3の軸部30に一体成形された、円板部31、各湾曲腕部32及び各突起部320により構成されている。この摩擦保持手段8においては、各湾曲腕部32が所定量弾性変形した状態で、各湾曲腕部32の各突起部320が保持器7の円筒状周壁部71の内周面に当接している。これにより、保持器7は、摩擦保持手段8による所定の摩擦保持力で、センター軸3に対して保持されている。この摩擦保持手段8の摩擦保持力は、楔係合状態にある各係合子6を介して一体的に結合された駆動側回転体4及び連動側回転体5と共に保持器7が一体的に回転することを許容し、かつ、非係合状態にある各係合子6を介して保持器7が駆動側回転体4又は連動側回転体5と連れ回りすることを規制しうるように、所定の大きさとされている。
位置決め手段9は、ばね鋼製の一体成形品で、駆動側回転体4と保持器7との間に介在されたスプリングよりなる。具体的には、位置決め手段9は、取付部90と、断面コの字状の板ばね部91とからなる。取付部90は、駆動側回転体4の駆動側円筒部41に形成された図示しない取付孔に挿入保持される。板ばね部91は、駆動側円筒部41に形成された取付挿通孔411内に挿通されるとともに、保持器7の円筒状周壁部71に形成された係合孔711に係合される。これにより、位置決め手段9は、保持器7の保持孔710に保持された係合子6が非係合状態となるように、板ばね部91のばね力により、駆動側回転体4に対して保持器7を周方向に位置決め保持する。また、位置決め手段9における板ばね部91のばね力は、駆動側回転体4が回転するときにその回転に応じて係合子6が非係合状態から楔係合状態となるように、摩擦保持手段8の前記摩擦保持力でセンター軸3に保持された保持器7が駆動側回転体4に対して相対回転することを許容する大きさとされている。
次に、本実施形態に係る双方向クラッチ1の製造方法について説明する。まず、取り付け座2、センター軸3、駆動側回転体4、連動側回転体5、係合子6及び保持器7を射出成形によりそれぞれ作製する。次に、センター軸3の軸部3の他端(図2の下端)を連動側回転体5の連動側挿通孔500に挿通する。そして、センター軸3の軸部30の一端(図2の上端)を保持器7の挿通孔700に挿通する。このとき、センター軸3の各湾曲腕部32を弾性変形させた状態で、各湾曲腕部32の各突起部320を保持器7の円筒状周壁部71の内周面に当接させる。そして、保持器7の各保持孔710内に各係合子6をそれぞれ保持させた後、センター軸3の軸部3の一端(図2の上端)を駆動側回転体4の駆動側挿通孔400に挿通する。最後に、取り付け座2を弾性変形させながら、センター軸3の軸部30の両端を取り付け座2の嵌合穴200、200に嵌合固定する。この状態で、駆動側回転体4の駆動側歯車部40及び連動側回転体5の連動側歯車部50は、取り付け座2の円筒状座部201、201と摺動可能となる。このような手順で、本実施形態に係る双方向クラッチ1を製造する。
次に、本実施形態に係る双方向クラッチ1の作動について、風向調節装置に組み込まれた場合を例として説明する。図5に本実施形態に係る双方向クラッチが組み込まれた風向調節装置10の軸方向断面図を示す。
図に示すように、この風向調節装置10は、駆動源であるステッピングモータ11と、ABS製の取り付け板12と、双方向クラッチ1と、スイングフィン13と、リテーナ14と、回転方向切り替え手段15とを備えている。取り付け板12は、リテーナ14の外面に、スクリュー16等により取り付けられている。この取り付け板12には、ステッピングモータ11と双方向クラッチ1とがスクリュー(図示せず)等により並設されている。ステッピングモータ11は正方向のみに回転するもので、このステッピングモータ11の駆動軸110には駆動ギア111が止着されている。そして、駆動ギア111と、クラッチ1の駆動側回転体4の駆動側歯車部40との間には、回転方向切り替え手段15が介装されている。この回転方向切り替え手段15は、正方向に回転する駆動ギア111の回転駆動力を、タイマー制御等により正方向又は逆方向に選択的に切り替えて、駆動側回転体4に伝達、入力するものである。
スイングフィン13は、リテーナ14の内部に配置されている。またスイングフィン13の揺動軸130は、リテーナ14の外部に突出している。そして揺動軸130の突出端には、フィン歯車131が配置されている。このフィン歯車131と、双方向クラッチ1の連動側回転体5の連動側歯車部50とが噛み合っている。
このように、ステッピングモータ11と双方向クラッチ1の駆動側回転体4とは連結されている。また、双方向クラッチ1の連動側回転体5とスイングフィン13とは連結されている。
次に、風向調節装置10が自動モードのときの、ステッピングモータ11からスイングフィン13へのトルク伝達について説明する。ステッピングモータ11の駆動軸110が回転すると、駆動軸110に止着された駆動ギア111も回転する。そして、回転方向切り替え手段15を介して、双方向クラッチ1の駆動側回転体4に回転駆動力が入力される。
例えば、図6(a)に示されるように双方向クラッチ1における係合子6が非係合状態にあるときに、ステッピングモータ11から駆動側回転体4に例えば正方向(図6における時計回り方向)の回転駆動力が入力されて駆動側回転体4が正方向に回転すると、摩擦保持手段8の摩擦保持力でセンター軸3に保持された保持器7が駆動側回転体4に対して相対回転する。すなわち、摩擦保持手段8の所定の摩擦保持力でセンター軸4に保持された保持器7は回転せず、駆動側回転体4のみが回転する。
これにより、図6(b)に示されるように、保持器7の各保持孔710に保持された各係合子6が楔形空間511の周方向中央部から周方向端部(駆動側回転体4が回転する回転退行方向の周方向端部)に移動して駆動側回転体4の駆動側円筒部41及び連動側回転体5の連動側円筒部51と楔係合状態となる。その結果、駆動側回転体4及び連動側回転体5が各係合子6を介して一体的に結合され、駆動側回転体4の回転トルクが連動側回転体5に伝達される。したがって、駆動側回転体4、連動側回転体5、各係合子6及び保持器7等が一体的に回転する。このとき、摩擦保持手段8を構成する各湾曲腕部32の各突起部320は保持器7の円筒状周壁部71の内周面と摺動する。なお、駆動側回転体4が逆方向(図6の反時計回り方向)に回転した場合も同様に作用する。
そして、双方向クラッチ1の連動側回転体5の連動側歯車部50と、スイングフィン13のフィン歯車131とが噛み合うことにより、連動側回転体5から揺動軸130に回転駆動力が出力され、スイングフィン13が揺動する。
ここに、本実施形態に係る双方向クラッチ1は、駆動側回転体4が回転しても保持器7は回転しないため、駆動側回転体4が回転すれば、それと同時に駆動側回転体4と保持器7とが相対回転する。このため、駆動側回転体4が回転したときにおける各係合子6の中立位置(楔形空間の周方向中央部)から係合位置(楔形空間の周方向端部)への移動は駆動側回転体4の回転と同時に起こり、各係合子6は非係合状態から速やかに楔係合状態になる。したがって、駆動側回転体4から連動側回転体5へ速やかに回転トルクが伝達され、駆動側回転体4から連動側回転体5へのトルク伝達の応答性が向上する。
なお、自動モード時、スイングフィン13が一方の方向に最大限に揺動した後は、タイマー等の作動により、回転方向切り替え手段15が作動する。これにより、正方向に回転する駆動ギア111の回転駆動力が、例えば正方向から逆方向に切り替えられて、駆動側回転体4に伝達、入力される。そうすると、駆動側回転体4は、逆方向(図6の反時計回り方向)に回転する。このとき、摩擦保持手段8の所定の摩擦保持力でセンター軸4に保持された保持器7は回転せず、駆動側回転体4のみが回転する。これにより、保持器7の各保持孔710に保持された各係合子6は、楔形空間511の周方向端部から周方向中央部を経由して反対側の周方向端部(駆動側回転体4の回転退行方向の周方向端部)に移動して、再び駆動側回転体4の駆動側円筒部41及び連動側回転体5の連動側円筒部51と楔係合状態となる。したがって、駆動側回転体4及び連動側回転体5が各係合子6を介して一体的に結合され、駆動側回転体4の回転トルクが連動側回転体5に伝達される。よって、連動側回転体5から揺動軸130に逆方向の回転駆動力が出力され、スイングフィン13が逆方向に揺動する。
一方、風向調節装置10が手動モードのときの、スイングフィン13からステッピングモータ11へのトルク遮断について説明する。図5に示すスイングフィン13の操作ノブ(図略)が搭乗者により把持され操作されると、揺動軸130を中心にスイングフィン13が揺動する。そしてフィン歯車131が回転する。フィン歯車131が回転すると、フィン歯車130と双方向クラッチ1の連動側回転体5の連動側歯車部50との噛合を介して、連動側回転体5にトルクが伝達される。
例えば、図6(a)に示されるように双方向クラッチ1における係合子6が非係合状態にあるときに、連動側回転体5が例えば正方向(図6における時計回り方向)に回転した場合、この連動側回転体5の円周面510に非係合状態にある係合子6が接しているときは、連動側回転体5の円周面510との摩擦力により連動側回転体5の回転力が係合子6に伝わって、係合子6が周方向に移動しようとする。ところが、この係合子6を保持する保持器7は、摩擦保持手段8によりセンター軸3に対して所定の摩擦保持力で保持されているため、回転しない。なお、非係合状態にある係合子6が連動側回転体5の円周面510に接していないときは、連動側回転体5の回転力が係合子6に伝わらないため、係合子6が周方向に移動しようとすることもない。このため、連動側回転体5が回転しても保持器7がそれに連れ回りすることがなく、保持器7の保持孔710に保持された係合子6も楔形空間511の周方向中央部から周方向端部に移動することがなく非係合状態のまま維持される。したがって、連動側回転体5から駆動側回転体4に回転トルクが伝達されることもない。なお、駆動側回転体5が逆方向に回転した場合も同様に作用する。
したがって、搭乗者によりスイングフィン13に加えられた負荷が、ステッピングモータ11に伝達されることはない。また、搭乗者が操作ノブ等の操作時に、抵抗を感じることもない。
また、本実施形態に係る双方向クラッチ1では、センター軸3の軸部30に一体成形された円板部31と、この円板部31に一体成形された弾性変形可能な各湾曲腕部32と、各湾曲腕部32に一体成形された各突起部320とから摩擦保持手段8を構成し、各湾曲腕部32における樹脂弾力により所定の摩擦保持力を発揮させている。このため、各湾曲腕部32の形状や大きさ等を変更することで、所定の摩擦保持力に容易に調整することができる。また、所定の摩擦保持力を発揮させるためにばね材等の摩擦保持手段を別途設ける必要がないので、構造の簡素化や部品点数の低減を図ることができる。さらに、各湾曲腕部32の各突起部320が保持器7の円筒状周壁部71の内周面に当接しているので、楔係合状態にある係合子6を介して一体的に結合された駆動側回転体4、連動側回転体5及び保持器7等が一体的に回転するときに、保持器7と湾曲腕部32との接触による摺動抵抗が減少し、ステッピングモータ11における負荷を小さくすることが可能となる。
加えて、本実施形態に係る双方向クラッチ1では、位置決め手段9が駆動側回転体4と保持器7との間に介在されたスプリングよりなるため、スプリングの形状や大きさ等を変更することで、位置決め手段9におけるばね力を容易に調整することができる。このため、摩擦保持手段8における摩擦保持力の大きさとの関係で、位置決め手段9におけるスプリングのばね力を調整することが容易となる。
以上、本発明の双方向クラッチ及び風向調節装置の実施の形態について説明した。しかしながら実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で行うことも可能である。
例えば、前記実施形態では、センター軸3の軸部30に一体成形された円板部31及び湾曲腕部32等により摩擦保持手段8を構成して、樹脂弾性により所定の摩擦保持力を発揮する例について説明した。しかしながら、摩擦保持手段8として、例えばゴム弾性体や板ばね等を採用してゴム弾性や金属弾性により所定の摩擦保持力を発揮させる構成としてもよい。また、これらのゴム弾性体や板ばね等は、センター軸3に固定してもよいし、保持器7に固定してもよい。
また、前記実施形態では、位置決め手段9として、板ばねよりなるスプリングを採用し、このスプリングを駆動側回転体4に固定する例について説明したが、板ばねの代わりに、ゴム弾性体を採用したり、あるいは駆動側回転体4に一体成形された樹脂弾性部としたりすることもできる。また、これらの板ばねやゴム弾性体等を保持器7に固定したり、あるいは樹脂弾性部を保持器7に一体成形したりしてもよい。
加えて、前記係合子6及び前記カム面410等の形状や数等はそれらの機能を適切に果たしうる範囲内で適宜設定可能である。また、係合子6として、摺動抵抗の小さい金属製のローラやボール等を採用することもできる。
また、本発明の双方向クラッチは、風向調節装置以外にも、例えばコピー、プリンターやファックスなどの給紙装置に組み込んで使用することも可能である。
1:双方向クラッチ、2:取り付け座、3:センター軸、30:軸部、31:円板部、32:湾曲腕部、320:突起部、4:駆動側回転体、40:駆動側歯車部、41:駆動側円筒部、5:連動側回転体、50:連動側歯車部、51:連動側円筒部、6:係合子、7:保持器、71:円筒状周壁部、710:保持孔、8:摩擦保持手段、9:位置決め手段、10:風向調節装置、11:ステッピングモータ(駆動源)、13:スイングフィン
Claims (6)
- センター軸と、
前記センター軸に回転自在に支持され、カム面を有する駆動側回転体と、
前記センター軸に回転自在に支持され、前記カム面と径方向に対向する円周面を有する連動側回転体と、
前記カム面と前記円周面との間に形成された、周方向の両端が狭小の楔形空間に収容され、該楔形空間の周方向中央部から周方向端部に移動することで前記駆動側回転体及び前記連動側回転体と楔係合状態となる一方、該楔形空間の周方向端部から周方向中央部に移動することで該駆動側回転体及び該連動側回転体と非係合状態となる係合子と、
前記駆動側回転体及び前記連動側回転体の間に配置されるとともに両者と相対回転可能となるように前記センター軸に回転自在に支持され、前記係合子を保持する保持孔を円筒状周壁に有する保持器と、
前記楔係合状態にある前記係合子を介して一体的に結合された前記駆動側回転体及び前記連動側回転体と共に前記保持器が一体的に回転することを許容し、かつ、前記非係合状態にある前記係合子を介して該保持器が該駆動側回転体又は該連動側回転体と連れ回りすることを規制する所定の摩擦保持力で、前記センター軸に対して該保持器を保持する摩擦保持手段と、
前記保持器の前記保持孔に保持された前記係合子が前記非係合状態となるように、前記駆動側回転体に対して該保持器を周方向に位置決め保持し、かつ、該駆動側回転体が回転するときにその回転に応じて該係合子が該非係合状態から前記楔係合状態となるように、前記摩擦保持手段の前記摩擦保持力で前記センター軸に保持された該保持器が該駆動側回転体に対して相対回転することを許容する位置決め手段と、を備えていることを特徴とする双方向クラッチ。 - 前記摩擦保持手段は前記摩擦保持力を発揮する弾力を有する請求項1に記載の双方向クラッチ。
- 前記摩擦保持手段は、前記センター軸に固定又は一体成形された円板部と、該円板部の外周面に一体成形され、前記保持器の前記円筒状周壁の内周面に弾性変形した状態で当接された弾性変形可能な湾曲腕部とを有している請求項2に記載の双方向クラッチ。
- 前記湾曲腕部は、該湾曲腕部から遠心方向に突出して前記保持器の前記円筒状周壁の内周面に当接された突起部を有している請求項3に記載の双方向クラッチ。
- 前記位置決め手段は、前記駆動側回転体と前記保持器との間に介在されたスプリングよりなる請求項1乃至4のいずれか一つに記載の双方向クラッチ。
- 前記駆動側回転体が駆動源と連結されるとともに前記連動側回転体がスイングフィンと連結された請求項1乃至5のいずれか一つに記載の双方向クラッチを備えていることを特徴とする風向調節装置。
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|---|---|---|---|
| JP2007003501A JP2008169911A (ja) | 2007-01-11 | 2007-01-11 | 双方向クラッチ及び風向調節装置 |
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| JP2008169911A true JP2008169911A (ja) | 2008-07-24 |
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| JP2007003501A Pending JP2008169911A (ja) | 2007-01-11 | 2007-01-11 | 双方向クラッチ及び風向調節装置 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JP7575927B2 (ja) | 2020-12-02 | 2024-10-30 | 豊和化成株式会社 | レジスタのダンパ機構 |
-
2007
- 2007-01-11 JP JP2007003501A patent/JP2008169911A/ja active Pending
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