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JP2008169485A - 窒化部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷間鍛造性を害することなく従来のPb添加快削鋼と同等以上の被削性で冷間切削加工を施すことができ,また窒化処理後の窒化層の密着性にも優れた窒化部品の有利な製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.1〜0.8%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、B:0.0003〜0.0150%、Al:0.005〜0.1%、N:0.0015〜0.0150%、O:0.0030%以下、P:0.020 %以下およびS:0.035 %以下を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼材を、熱間加工後、黒鉛析出を目的とする熱処理を施したのち、冷間加工を施し、ついで鋼材をAc1点以上の温度に加熱保持することにより、表面に析出した黒鉛を母材中に固溶させたのち、450〜650℃の温度域で窒化処理を施す。
【選択図】なし

Description

本発明は、産業機械や自動車等の機械部品のうち、黒鉛析出処理後、冷間加工を施し、ついで窒化処理を施して用いられる窒化部品の製造方法に関し、特にその窒化特性の有利な向上を図ろうとするものである。
産業機械や自動車等の機械部品に用いられる鋼材は、切削または冷間鍛造、あるいはそれらを併用するいわゆる冷間加工によって所定の形状に加工され、その後、焼入れ焼戻し処理あるいは窒化処理等によって、機械部品としての要求特性を確保するという方法により製造される。
こうした機械構造用鋼の被削性を改善する手段としては、鋼中にPbやS,Bi, P等の快削性元素を単独または複合して添加する方法が一般的である。特にPbは被削性を改善する作用が極めて強いために多用されている。しかしながら、一方でPbは、人体に有害な元素であり、鋼材の製造工程や機械部品の加工工程で大がかりな排気設備が必要になると同時に、鋼材のリサイクルの点からも多大な問題がある。
一方、鋼材の冷間鍛造性の改善にとっては、上記したようなPbやS,Te,Bi,P等の元素は逆に低減することが望ましい。
これらの相矛盾する合金設計を可能にする方法として、鋼中のCを黒鉛化する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開昭51−57621号公報
ところで、鋼材に対する窒化処理は、鋼材の表面に、より硬さの高い窒化層を形成して、耐磨耗性や疲労強度等を向上させるもので、機械部品等の分野において広く用いられている。
しかしながら、黒鉛析出を冷間鍛造性や被削性の向上手段として用いた鋼材に対して、窒化処理を適用しようとすると、黒鉛相は窒化されることがないので、窒化層厚さおよび窒化層の密着性に問題が生じる。
すなわち、上記したような従来技術では、窒化を前提としたプロセスにおいて、冷間加工性の向上を目的とした黒鉛析出法の適用は困難だったのである。
本発明は、上記のような従来技術が抱えている問題を有利に解決するもので、Pbを用いなくとも、冷間鍛造性を害することなしに従来のPb添加快削鋼と同等以上の被削性で冷間切削加工を施すことができ,また窒化処理後の窒化層の密着性にも優れた窒化部品の有利な製造方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、被削性、冷間鍛造性等の冷間加工性および窒化処理性に優れた鋼材を、工業的に安定して製造する方法について鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
窒化処理性に影響を及ぼすのは鋼材表層部のミクロ組織であるため、冷間鍛造、切削等の冷間加工時には黒鉛の潤滑効果を活用する必要があるが、窒化の際には、目的とする表面に黒鉛が多量に存在していない状態にすれば良い。
すなわち、冷間加工時には黒鉛を活用する一方、窒化時には表層部の黒鉛の存在比率が低減することが、所期した目的達成のために極めて有効であるとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.1〜0.8 %、 Si:0.5〜2.0 %、
Mn:0.1〜2.0 %、 B:0.0003〜0.0150%、
Al:0.005〜0.1 %、 N:0.0015〜0.0150%、
O:0.0030%以下、 P:0.020 %以下および
S:0.035 %以下
を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼材を、熱間加工後、黒鉛析出を目的とする熱処理を施したのち、冷間加工を施し、ついで鋼材をAc1点以上の温度に加熱保持することにより、表面に析出した黒鉛を母材中に固溶させたのち、450〜650℃の温度域で窒化処理を施すことを特徴とする窒化部品の製造方法。
2.上記1において、鋼材が、さらに質量%で、
Ni:0.1〜3.0 %、 Cu:0.1〜3.0 %、
Co:0.1〜3.0 %、 Mo:0.05〜1.0 %、
V:0.05〜0.5 %、 Nb:0.005〜0.05%、
Ti:0.005〜0.05%、 Zr:0.005〜0.2 %および
REM:0.0005〜0.2 %
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする窒化部品の製造方法。
かくして、本発明によれば、被削性、冷間鍛造性等の冷間加工性に優れるだけでなく、窒化特性に優れた窒化部品を、工業的に安定して得ることができる。
これにより、Pb等の人体に悪影響を及ぼす元素を用いなくとも、冷間加工性と窒化特性をバランスさせた鋼材の製造が可能になる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、この発明において、鋼材の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.1〜0.8 %
Cは、黒鉛相の形成および機械構造用部品としての強度を確保する上で必須の元素である。C含有量が 0.1%未満では被削性を確保する上で必要な黒鉛相を確保することが困難であるので、0.1 %以上の添加を必要とするが、0.8 %を超えて含有すると熱間圧延時の変形抵抗が上昇するだけでなく、変形能が低下し、熱間圧延材の割れ、きずの発生が増大するので、 0.8%までの含有とする。
Si:0.5〜2.0 %
Siは、セメンタイト中に固溶せず、セメンタイトを不安定化することによって黒鉛化を促進する作用であるため、積極的に添加する。しかしながら、含有量が0.5 %未満ではその添加効果に乏しく、一方 2.0%を超えると、熱間加工時の変形能を低下させると共に、黒鉛析出後の硬さを上昇させて、かえって冷間加工性を劣化させるので、Siは 0.5〜2.0 %の範囲に限定した。
Mn:0.1〜2.0 %
Mnは、鋼の脱酸に有効なだけでなく、焼入性にも有用な元素であるので積極的に添加するが、一方で、セメンタイト中に固溶し、黒鉛化を阻害する弊害もある。ここに、Mn量が 0.1%未満では、脱酸に効果がないので、少なくとも 0.1%の添加を必要とするが、2.0 %を超えて添加すると黒鉛化を阻害されるので、Mnは0.1 〜2.0 %の範囲に限定した。
B:0.0003〜0.0150%
Bは、鋼中のNと化合してBNを形成し、これが黒鉛の結晶化の核として作用し、黒鉛化を促進すると共に、黒鉛粒を微細化する効果がある。また、Bは、鋼の焼入性を高め、焼入後の強度を確保する上でも有用な元素であるので、本発明においては重要な成分である。ここに、B量が0.0003%未満では、黒鉛化および焼入性の向上効果が小さので、0.0003%以上の添加を必要とするが、0.0150%を超えて添加するとBがセメンタイト中に固溶してセメンタイトを安定化することにより、逆に黒鉛化を阻害することになるので、Bは0.0003〜0.0150%の範囲に限定した。
Al:0.005〜0.1 %
Alは、鋼中のNと反応してAlNを形成し、これが黒鉛の核形成サイトとして有効に作用することにより黒鉛化を促進するので、積極的に添加する。ここに、含有量が 0.005%に満たないとその作用が小さいので、少なくとも 0.005%の添加を必要とする。一方、0.1 %を超えて添加すると、鋳造工程においてAl系酸化物が多数形成され、この酸化物は単独でも疲労破壊の起点となるばかりでなく、この酸化物を核として著しく粗大な黒鉛粒が形成される。また、Al系酸化物は硬質なため、切削時に工具を磨耗させることにより被削性を低下させる。これらの理由により、Al量の上限は 0.1%に定めた。
N:0.0015〜0.0150%
Nは、Bと化合してBNを形成し、このBNが黒鉛の結晶化の核となることによって、黒鉛粒を著しく細粒化すると共に黒鉛化を促進するので、本発明においては必須の元素である。ここに、N量が、0.0015%に満たないとBNが十分に形成されず、一方0.0150%を超えて添加すると連続鋳造時に鋳片の割れを促進するので、Nは0.0015〜0.0150%の範囲に限定した。
O:0.0030%以下
Oは、酸化物系非金属介在物を形成し、冷間鍛造性、被削性および疲労強度をともに低下させるので、極力低減することが望ましいが、0.0030%までならば許容される。
P:0.020 %以下
Pは、黒鉛化を阻害するだけでなく、フェライト層を脆化させることにより冷間鍛造性を劣化させる元素でもある。また、焼入れ焼もどし時に粒界に偏析して粒界強度を低下させることにより、疲労亀裂の伝播に対する抵抗力を低下させ、疲労強度を劣化させる。従って、Pは、極力低減することが望ましいが、0.020 %までならば許容される。
S:0.035 %以下
Sは、鋼中でMnSを形成し、これが冷間鍛造時の割れ発生の起点となり冷間鍛造性を劣化させる。また、MnSは、それ自身が疲労破壊の起点になるだけでなく、黒鉛の結晶化の核として作用することにより粗大な黒鉛を形成し、これが疲労強度の低下を生じさせるので、極力低減することが望ましいが、 0.035%までならば許容される。
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni,Cu,Co:各 0.1〜3.0 %
Ni,CuおよびCoはいずれも、黒鉛化を促進する元素である。また、焼入性を向上させる作用を併せ持つので、黒鉛化を阻害することなしに、焼入性を向上させることが可能となる。しかしながら、含有量が 0.1%未満ではその効果が小さく、一方 3.0%を超えて添加してもその効果は飽和するので、単独添加または複合添加いずれの場合も、それぞれ 0.1〜3.0 %の範囲で含有させるものとする。
Mo:0.05〜1.0 %
Moは、焼入性を高めるだけでなく、Mn,Crといった合金元素に比較してセメンタイトへの分配が小さいという特徴がある。このために、黒鉛化をほとんど阻害することなく鋼材の焼入性を高めることができる。また、Moを添加した鋼材は、焼もどし軟化抵抗が大きいために、同一焼もどし温度では硬さを向上させることが可能であり、その結果、疲労強度を向上させることができる。また、焼入性が高いために、熱間圧延ままの状態において、微細な黒鉛を形成するベイナイト組織とすることが容易であり、その結果、焼入時の黒鉛の溶解を短時間で完了させることができる。このため、疲労強度を一層向上させる必要がある場合に用いるが、含有量が0.05%未満ではその添加効果に乏しく、一方 1.0%を超えて含有させると黒鉛化が阻害され、冷間鍛造性および被削性が低下するので、Moは0.05〜1.0 %の範囲に限定した。
V:0.05〜0.5 %、Nb:0.005〜0.05%
VおよびNbはいずれも、炭化物形成元素であるが、セメンタイト中にはほとんど固溶しないので、黒鉛化をさほど阻害しない。また、炭窒化物を形成し、その析出強化作用により強度を上昇させるだけでなく、焼入性を向上させる元素でもあるので、疲労強度を向上させる必要のある場合に有効に寄与する。しかしながら、V含有量が0.05%未満ではその添加効果に乏しく、一方 0.5%を超えて添加しても効果が飽和するので、Vは0.05〜0.5 %の範囲の添加とする。また、Nb含有量が 0.005%未満ではやはりその添加効果に乏しく、一方0.05%を超えて添加しても効果が飽和するので、Nbは 0.005〜0.05%の範囲の添加とする。
Ti:0.005〜0.05%、Zr:0.005〜0.2 %
TiおよびZrは、ともに炭窒化物を形成し、これらが黒鉛の結晶化の核として作用することにより黒鉛粒を微細化するので、黒鉛粒をさらに微細化する必要のある場合に有効に寄与する。また、炭窒化物を形成することにより焼入れ時にBを焼入れ性に有効に作用させることが可能となる。このような効果を発揮させるためには、Ti,Zrはともに 0.005%以上の添加が必要である。一方、Ti,Zrがそれぞれ、0.05%および 0.2%を超えて含有されるとBNを形成するためのNが不足し、その結果、黒鉛粒が粗大化すると共に黒鉛化時間が極めて長くなるので、Ti, Zrはそれぞれ 0.005〜0.05%および 0.005〜0.2 %の範囲の添加とする。
REM :0.0005〜0.2 %
La,Ceなどの REMは、Sと結合して(La, Ce)Sを形成する。これが黒鉛化の核となり、黒鉛化を促進すると共に黒鉛粒を微細化するので、黒鉛粒の微細化および黒鉛化の促進が必要な場合に有効に寄与する。しかしながら、REM 量が0.0005%未満ではその添加効果に乏しく、一方 0.2%を超えて添加しても効果が飽和するので、REM は0.0005〜0.2 %の範囲の添加とする。
次に、本発明鋼の製造方法について説明する。
上記の好適成分組成に調整した鋼を、従来公知の転炉または電気炉等で溶製したのち、連続鋳造法または造塊−分塊法等で鋼素材とする。
ついで、この鋼素材に、熱間圧延、熱間鍛造等の熱間加工を施した後、黒鉛を析出させるための熱処理を施す。この黒鉛析出のための熱処理は、 600〜760 ℃の温度で、0.3 時間以上保持の条件で行うことが好ましい。というのは、処理温度が 600℃に満たないと、冷間鍛造や切削加工等の冷間加工時に十分な潤滑効果が得られるほどの黒鉛を析出させることができず、一方 760℃を超えると、保持中の鋼組織がオーステナイト中心となり、やはり十分な黒鉛析出が得られないからである。また、処理時間が 0.3時間に満たないと、やはり十分な量の黒鉛を析出させることができない。
ここに、冷間鍛造や切削等の冷間加工時に、黒鉛の潤滑効果を十分に活用するためには、黒鉛の析出量は鋼中C量の5%以上とすることが好ましい。
上記の黒鉛析出のための熱処理後、冷間鍛造、切削等の冷間加工を行う。
この冷間加工には、通常の冷間鍛造および切削加工の他、外周旋削やドリル穿孔なども含む。
ついで、窒化処理を施すが、この窒化処理に先立ち、鋼材表層部の黒鉛を除去する必要がある。というのは、鋼材の表層部に黒鉛が存在していると、窒化処理を施そうとしても、黒鉛相は窒化されることがないので、窒化層厚さがばらついたり、窒化層の密着性が劣化するという問題が生じるからである。
ここに、窒化処理前における、鋼材表層部の黒鉛の除去方法としては、鋼材をAc1点以上の温度に加熱保持することにより、表面に析出した黒鉛を母材中に固溶させる方法(表面黒鉛固溶法)が好適である。
上記の方法に従い、鋼材の表面に析出した黒鉛を母材中に固溶させるには、鋼材をAc1点以上の温度に加熱保持することが重要である。というのは、加熱保持温度がAc1点を下回ると、鋼材の表面の黒鉛を母材中に十分に固溶させることができず、表層部おける黒鉛相の面積率を0.5 %以下まで低減することができないからである。
上記のようにして、鋼材の表層部における黒鉛を除去したのち、窒化処理を施す。
この窒化処理に際しては、窒素を含有する塩浴やガス等の窒素雰囲気中にて 450〜650 ℃温度域で窒化処理を行う必要がある。また、窒化時間は1〜7時間が好適である。
上記したように、冷間加工時には鋼材の内部は勿論、表層部にも黒鉛相を存在させておくことによって、スムーズな冷間加工を行うことができ、一方、窒化処理前には表層部の黒鉛相を極力排除することにより、効果的に窒化処理を行うことができ、窒化層のはく離などのない窒化特性に優れた窒化部品を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
表1に示す成分組成になる鋼を、転炉で溶製した後、連続鋳造によりブルームとし、ついでビレット圧延を経て、さらに棒鋼圧延により35mmφの棒鋼とした。その後、表2に示す条件で黒鉛析出のための熱処理を施したのち、切削加工および冷間鍛造を行った。ついで、窒化処理に先立ち、表2に示す条件で、表面黒鉛固溶法を用いて鋼材表層部の黒鉛を除去したのち、 NH3:RX=1:1の混合比になるガス雰囲気中で 570℃,3h保持後空冷する窒化処理を施して、窒化部品とした。なお、一部については比較のために、窒化処理前の黒鉛除去処理を省略した。
黒鉛化処理後の棒鋼の黒鉛化率、被削性、冷間鍛造性、黒鉛除去処理後の表層部黒鉛面積率および窒化特性について調査した。
得られた結果を、表2に併せて示す。
なお、黒鉛化率や各特性の評価方法は次のとおりである。
・黒鉛化率
棒鋼の 1/4d部から光学顕微鏡観察用試片を採取し、研磨後腐食せず、画像解析装置により、断面5箇所、各箇所について 400倍の倍率の光学顕微鏡像10視野にわたって観察し、黒鉛の面積率を測定した。次に、 1/4d部の黒鉛面積率を、添加Cが全て黒鉛化した時の値との比率で以下のように黒鉛化率を定義した。
(測定黒鉛面積率)/(添加Cが全て黒鉛化した時の黒鉛面積率)×100 (%)
・被削性
棒鋼に対してドリル穿孔試験を実施した。工具は直径:4mmのコーティングなしのストレートドリルを用い、送り速度:0.15 mm/rev の乾式切削を行い、切削不能となるまでの穿孔深さにより被削性を評価した。
・冷間鍛造性
棒鋼より15mmφ×22.5mmLの円柱状試験片を作製し、 300tプレスを用いて圧縮試験を行い、試験時の加重より変形抵抗を算出した。ここでは圧縮率(高さ減少率)60%時の変形抵抗を示した。また、繰り返し数:10個とし、試験片側面の割れ発生の有無を確認し、試験後の試験片の半数に割れが発生する圧縮率を限界圧縮率として変形能の指標とした。
・表層部黒鉛面積率
棒鋼の表層部から光学顕微鏡観察用試片を採取し、研磨後腐食せず、画像解析装置により、断面5箇所、各箇所について 400倍の倍率の光学顕微鏡像10視野にわたって観察し、黒鉛の面積率を測定した。
・窒化特性
窒化特性は、窒化層の密着性で評価した。すなわち、上記のガス軟窒化処理後、棒鋼の表面にショット投射を行い、その後の表面観察により、はく離の有無を調査し、窒化層の密着性として評価した。
Figure 2008169485
Figure 2008169485
表2から明らかなようち、発明例はいずれも、Pb添加S45Cに相当する鋼P(No.14)と比較して同等以上の優れた被削性を有し、また冷間鍛造性にも優れていた。さらに、発明例はいずれも、ショット投射後のはく離がなく、窒化特性にも優れていることが分かる。
これに対して、鋼の成分組成が本発明の適正範囲から逸脱した No.11〜14はいずれも、740 ℃, 7hの焼鈍後に黒鉛の析出が認められず、そのため被削性、冷間鍛造性ともに発明例と比較すると著しく劣るものでしかなかった。
また、鋼の成分組成は本発明の適正範囲を満足していても、製造条件が本発明の範囲を満足しないNo.2, 4, 5はそれぞれ、窒化時に表層部に多くの黒鉛粒子が残留しており、そのため窒化層の密着性が発明例に比較して劣っていた。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C:0.1〜0.8 %、 Si:0.5〜2.0 %、
    Mn:0.1〜2.0 %、 B:0.0003〜0.0150%、
    Al:0.005〜0.1 %、 N:0.0015〜0.0150%、
    O:0.0030%以下、 P:0.020 %以下および
    S:0.035 %以下
    を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼材を、熱間加工後、黒鉛析出を目的とする熱処理を施したのち、冷間加工を施し、ついで鋼材をAc1点以上の温度に加熱保持することにより、表面に析出した黒鉛を母材中に固溶させたのち、450〜650℃の温度域で窒化処理を施すことを特徴とする窒化部品の製造方法。
  2. 請求項1において、鋼材が、さらに質量%で、
    Ni:0.1〜3.0 %、 Cu:0.1〜3.0 %、
    Co:0.1〜3.0 %、 Mo:0.05〜1.0 %、
    V:0.05〜0.5 %、 Nb:0.005〜0.05%、
    Ti:0.005〜0.05%、 Zr:0.005〜0.2 %および
    REM:0.0005〜0.2 %
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする窒化部品の製造方法。
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