実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置として、例えば部屋の冷房を行う装置の構成を示す冷媒回路図である。図に示すように、本実施の形態による冷凍サイクル装置は、室外ユニット100と室内ユニット101から構成されている。室外ユニット100内の冷媒回路は、圧縮機1、放熱器2、第1減圧手段7、内部ノズルの喉部と出口部の面積比が一定であるエジェクタ3、主蒸発器4、第2減圧手段8、補助蒸発器6、及びそれらを接続するための配管で構成されている。圧縮機1、放熱器2、第1減圧手段7、エジェクタ3、主蒸発器4、及び補助蒸発器6を冷媒配管で接続して主循環路をなす。さらに、主循環路の主蒸発器4と補助蒸発器6の間の冷媒配管に分岐部26を設け、主蒸発器4から流出した冷媒を分岐部26で分岐し、その一部をバイパス路25、第2減圧手段8を通ってエジェクタ3の吸引部から主蒸発器4に冷媒を再循環させる再循環路を構成する。主循環路及び再循環路の内部には冷媒として、例えば自然冷媒である二酸化炭素を封入する。図における太実線は冷媒が流れる配管を示し、実線矢印は冷媒の流れ方向、白抜き矢印は空気の流れ方向を示している。また、内部ノズルの喉部とノズル出口部の面積比が一定であるエジェクタ3を固定エジェクタと称する。
放熱器2は、例えばプレートフィンチューブタイプの熱交換器であり、室外空気と冷媒とを熱交換する。主蒸発器4及び補助蒸発器6は、被熱交換媒体、ここでは被冷却媒体である例えば水やブラインなどの液体と冷媒とが熱交換する液体−冷媒熱交換器であり、プレート型熱交換器で、この熱交換器で得られた冷熱を負荷側で冷房に利用している。室外ユニット100と室内ユニット101間を接続する太点線矢印は、主蒸発器4及び補助蒸発器6における被熱交換媒体である被冷却媒体が流れる配管とその流れ方向を示す。補助蒸発器6を、主蒸発器4に比べて被冷却媒体の流れに対して上流側に配置し、主蒸発器4の伝熱面積A1に対する補助蒸発器6の伝熱面積A2の比を0.05以上で且つ0.4以下となるように構成する。例えば、主蒸発器4のプレート枚数を補助蒸発器6のプレート枚数に比べて多くすることで、伝熱面積比を調整できる。ここで、冷媒と被熱交換媒体間で熱交換する熱交換器では、伝熱面積として、冷媒側の伝熱面積と被熱交換媒体側の伝熱面積とが考えられる。被熱交換媒体が水などの場合には冷媒側及び被熱交換媒体側で伝熱面積は同程度であるが、被熱交換媒体が空気などの場合には異なる。ここでいう伝熱面積とは被熱交換媒体側の伝熱面積とする。
主蒸発器4の水側出口部に第1温度検出手段21を設け、補助蒸発器6の冷媒側出口部に第2温度検出手段22を設け、主蒸発器4の冷媒側入口部に第3温度検出手段23を設ける。これらの温度検出手段21、22、23で検出される温度検出値が制御手段31に取り込まれる。細点線矢印は各検出手段21、22、23から制御手段31への検出信号の流れ、または制御手段31から圧縮機1、減圧手段7、8への制御信号の流れを示している。
制御手段31では、第1温度検出手段21、第2温度検出手段22、第3温度検出手段23からの温度検出値を取り込み、検出値を基に各種演算を行い、設定された目標値と比較して、圧縮機1の回転数、減圧手段7、8の絞り開度の出力値を演算し、各アクチュエータへ出力する。ここで、圧縮機1は回転数が変更可能なインバーター圧縮機の例を示すが、これに限るものではなく、回転数が固定された一定速圧縮機で、例えば圧縮機1の吸入部と吐出部に開閉弁を介したバイパス手段が設けられ、開閉弁の開閉操作により機械的容量制御が可能な構成、あるいは複数台の圧縮機が設けられる構成としてもよい。一定速圧縮機の場合には、制御手段31から開閉弁の開閉出力が送信され、複数台圧縮機の場合には制御手段31から運転台数あるいは停止台数の出力が送信される。
次に、図2に基づき、筒形のエジェクタの構成及び作用について詳しく説明する。図2(a)はエジェクタ3の軸に沿った断面構成を示す説明図、図2(b)は図2(a)のX1〜X6の各位置に対応する圧力分布を示すグラフであり、横軸にエジェクタ位置、縦軸に圧力Pを示す。本実施の形態で用いるエジェクタ3は、ノズル部43、混合部44、ディフューザ部45から構成され、ノズル部43はさらに減圧部43aと末広部43bから構成されている。減圧部43aで減圧されて一番開口面積の小さい部分を喉部43cと称し、喉部43cから下流側に末広部43bが形成され、ノズル出口部43dに続いている。このエジェクタ3は例えば内部ノズルの喉部43cとノズル出口部43dの面積比(以下、膨張比という)が一定の固定絞り構成であり、矢印Y1方向から流入する圧力P1の超臨界状態の冷媒E1を駆動流とし、減圧部43aで減圧膨張させて喉部43cで圧力P2の音速とする。更に末広部43bで超音速として圧力P3まで減圧させる。このとき、矢印Y2方向から流入する気液二相状態の冷媒E4を吸引し、混合された気液二相冷媒E3は、混合部44で圧力回復して圧力P4の状態の冷媒となり、更にディフューザ部45で圧力P5まで圧力上昇して冷媒E5となって流出する。
一般に、エジェクタ効率は、ノズル部43で圧力エネルギーを速度エネルギーに変換する際のノズル効率と、混合部44及びディフューザ部45で速度エネルギーを混合しながら圧力エネルギーに変換する際の混合・ディフューザ効率との積で表わされる。混合・ディフューザ効率はエジェクタ効率への寄与度が大きく、混合促進を目的としてノズルから噴射される液滴をできるだけ微細化することが効率向上に有効となる。本実施の形態では、膨張比が一定の固定エジェクタを使用しているので、ニードルなどを用いて喉部の断面積を可変する膨張比変化型の可変絞りエジェクタに比べ、運転状態によって過膨張や不足膨張が生じることがない。例えば過膨張になると衝撃波の発生によって損失が生じたりするが、これを防止できるので、ノズルから噴射される液滴をできるだけ微細化することができ、混合を促進してエジェクタ効率を高く維持することができる。
上記のように構成された冷凍サイクル装置について、次に運転動作を図3に基づいて説明する。図3(a)は図1に示した冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す回路図、図3(b)は冷凍サイクル装置の各部の位置に対応する冷媒状態を示す圧力ーエンタルピー線図である。図3(b)では横軸はエンタルピーを示し、横軸上のエンタルピー値(IJ−IA)は冷媒回路の各位置(J−A)に対応した部分における冷媒のエンタルピー値を示す。同様に縦軸は圧力Pを示し、縦軸上の圧力値(PA、PC、PJ)は冷媒回路の各位置(A、C、J)に対応した部分における冷媒の圧力値を示す。
本実施の形態における冷凍サイクル装置は、例えば室外に設置され、蒸発器4、6で冷媒と被冷却媒体である水とを熱交換することで水によって冷熱を室内に設けられた室内ユニット101へ搬送し、室内ユニット101で水と室内空気とを熱交換して室内を冷房する。圧縮機1から吐出された高温・高圧のガス冷媒(A)は、放熱器2で室外空気へ放熱して自身は温度低下し、高圧の低温冷媒(B)となって第1減圧手段7で減圧された後(C)、エジェクタ3に流入する。エジェクタ3へ流入した冷媒は、ノズル部43出口E2で最低圧力Pe2となり、混合部44へ流入する。混合部で状態E4から流入する冷媒液と混合した後、E3の状態となった冷媒はディフューザ部45でPe2からPe1に圧力が回復して状態E5となってエジェクタ3から流出する。
更に、エジェクタ3で減圧された状態E5の冷媒は、主蒸発器4に流入し、被冷却媒体から熱を奪って液冷媒の一部が蒸発する(G)。主蒸発器4を流出した気液二相冷媒の一部(H)は、補助蒸発器6の入口部へ流れ、被冷却媒体から熱を奪って蒸発し、例えば5deg〜15deg程度の過熱度の冷媒(I)となって圧縮機1に吸入される。この循環路が主循環路である。
一方、主蒸発器4を流出した気液二相冷媒の一部(J)は第2減圧手段8で減圧されて状態E4の冷媒となり、エジェクタ3の吸引部に吸引される。そしてエジェクタ3内の混合部44で主循環路を流れる駆動流と混合する。この循環路が再循環路である。
分岐部26で補助蒸発器6とエジェクタ3の吸引部に分配される液冷媒の比率は、冷凍サイクル装置を構成する配管構造や配管内の気液二相流の流動様式、例えば、環状流や分離流により異なる。ここでは、例えば補助蒸発器6の入口部に乾き度の増加した冷媒(H)が流入し、エジェクタ3の吸引部へ乾き度の低下した冷媒(J)が吸引される場合について説明する。
次に、再循環路を有する構成における蒸発器4、6周辺の冷媒状態について説明する。図4は二酸化炭素を冷媒としたときの蒸発器4、6の内部を流れる冷媒の乾き度Xに対する熱伝達率αの変化を示すグラフであり、横軸に乾き度X、縦軸に熱伝達率αを示す。図4(a)は比較例、図4(b)は本実施の形態に係るものである。また、図5は主蒸発器4及び蒸発器6内部の液冷媒を斜線で示す説明図であり、図5(a)は比較例、図5(b)は本実施の形態に係るものである。図4、図5において、それぞれ(a)は比較例としてエジェクタによって蒸発器に再循環させる構成ではなく、蒸発器から圧縮機に接続された冷媒回路構成の場合であり、(b)は図1に示した冷媒回路構成の場合である。
圧縮機1への液戻り防止を確実にするために、補助蒸発器6から流出する冷媒状態は、例えば5deg〜15deg程度の過熱度を確保する。エジェクタ3により冷媒を吸引しない通常の冷凍サイクルでは、主蒸発器4と補助蒸発器6は直列に接続されていると考えられるため、主蒸発器4と補助蒸発器6の内部で冷媒は図4(a)、図5(a)のように変化する。例えば、図4(a)に示すように、入口乾き度0.2で流入した冷媒は主蒸発器4でドライアウト開始乾き度Xd(例えば、0.7)を超える乾き度まで蒸発し、補助蒸発器6で例えば5deg程度の過熱域まで蒸発する。ここで、乾き度Xdはドライアウト開始乾き度であり、この乾き度以上では管内壁面に付着している液膜が剥がれて噴霧流となり、熱伝達率が低下し始める。また、図5(a)に示すように、蒸発器内の液冷媒量は蒸発器4、6で連続的に変化し、主循環路を流れる冷媒流量Gnが主蒸発器4から流入して補助蒸発器6から冷媒流量Gnが流出する。
一方、本実施の形態のように、主蒸発器4から流出した冷媒のうち、乾き度の低い冷媒をエジェクタ3により吸引し、主蒸発器4内に再循環させると、図4(b)に示すように主蒸発器4内で冷媒流量が増加すると共に乾き度が低下する。このため、主蒸発器4内の冷媒状態は点線イようになり、蒸発熱伝達率αが向上する。補助蒸発器6内の冷媒状態は点線アのようになり、蒸発器4、6内の平均的な熱伝達率は図4(a)の場合よりも向上する。また、図5(b)に示すように、液冷媒量は主蒸発器4と補助蒸発器6の間で冷媒の一部が再循環されるため不連続的に変化する。主循環路を流れる冷媒流量Gnと再循環路を流れる冷媒流量Geが主蒸発器4から流入し、冷媒流量Geがエジェクタ3によって吸引される。補助蒸発器6からは主循環路を流れる冷媒流量Gnが流出する。
以下に、冷媒として二酸化炭素を用いた場合の主蒸発器4内での伝熱性能について詳しく説明する。蒸発熱伝達率αは、気液界面から蒸発する強制対流熱伝達率と、壁面から発生する沸騰気泡により伝熱する沸騰熱伝達率の和で表される(Chenの式)。特に、冷媒が二酸化炭素である場合、冷媒液の表面張力がフロン系冷媒に比べて小さいので、直径の小さい気泡が多数発生して低乾き度域の沸騰熱伝達率が高くなるため、フロン系冷媒の場合に見られる乾き度低下に伴う熱伝達率の低下は小さくなる。一方、管内ガス流速が遅いため管内壁面に付着している液膜が剥がれやすく、低乾き度域でドライアウトが発生しやすくなる。即ち、主蒸発器4出口の最適乾き度がフロン系冷媒に比べて低下するため、主蒸発器4の出口乾き度の目標値をドライアウト開始乾き度Xd(0.7程度)以下、例えば0.6程度に設定するとよい。蒸発熱伝達率αはドライアウト開始乾き度Xdを超えると、急速に低下するが、ドライアウト開始乾き度Xd以下に設定することで、主蒸発器4内の冷媒状態を蒸発熱伝達率αの高い領域とすることができ、主蒸発器4における伝熱性能を向上できる。
また、蒸発器と圧縮機の間に気液分離器を設けたような従来の構成では、圧縮機吸入部に過熱度を設けた方が冷凍サイクルの効率が高くなる場合でも圧縮機吸入部が必ず飽和ガス状態となり、冷凍サイクルの効率が低下するという課題があった。本実施の形態では補助蒸発器6を備えて過熱度をつけて圧縮機1に吸入させるので、圧縮機1の信頼性が低下するのを防止できる。さらに主蒸発器4の出口乾き度を任意に幅広く設定でき、ここでは主蒸発器4内の伝熱性能が良好な範囲になるように、0.6程度の乾き度を設定する。
このように、冷媒が二酸化炭素の場合、主蒸発器4の出口乾き度を0.6程度に低く設定することで、主蒸発器4内で蒸発熱伝達率αの高い領域の冷媒と被冷却媒体とを熱交換させることができる。このため、再循環による冷媒流量の増加に加えて主蒸発器4の伝熱性能をさらに向上できる効果がある。
通常、熱交換器では流入した冷媒は複数の流路に分配されて外部や隣接して流れる被冷却媒体と熱交換するのであるが、この冷媒の分配性能が良好であることが熱交換器の伝熱性能にも影響を及ぼす。そこで、低乾き度の冷媒を再循環させた場合には、図4(b)に示したように再循環しない場合(図4(a))に比べて、主蒸発器4の入口乾き度が低下する。主蒸発器4の入口乾き度が低下することで、入口における気液二相冷媒が小さな気泡を含む均質状態になり、主蒸発器4の各流路に均一に分配されるようになる。このため、圧力損失の増加を抑えながら良好な分配特性も実現できる。
次に、主蒸発器4と補助蒸発器6における被冷却媒体の入口温度について説明する。本実施の形態では補助蒸発器6の出口部の冷媒状態は過熱度をつけるので、補助蒸発器6の出口部の冷媒温度は主蒸発器4よりも高くなる。そこで、図1に示すように被冷却媒体として水が室内ユニット101と室外ユニット100間を矢印のように循環している場合、補助蒸発器6における冷媒と被冷却媒体との温度差が大きくなるように、補助蒸発器6を被冷却媒体の入口側(流入側)に配置する。このように配置することで、被冷却媒体は、補助蒸発器6で冷却された後、主蒸発器4で冷却される。即ち、補助蒸発器6の入口部Mでの被冷却媒体の温度が主蒸発器4の入口部4での温度よりも高くなるように循環するので、補助蒸発器6内で冷媒と被冷却媒体の温度差を大きくすることができ、補助蒸発器6における冷熱を有効に回収できる効果がある。例えば、被冷却媒体の流れに対して補助蒸発器6を主蒸発器4の上流側に配置するので、水を循環させて室内ユニット101で室内の冷房を行う場合には、補助蒸発器6の入口部Mでの被冷却媒体の温度T(M)が12℃程度、主蒸発器4の入口部Nでの被冷却媒体の温度T(N)が3〜10℃程度となる。このように循環させることで、逆に被冷却媒体を主蒸発器4から補助蒸発器6に循環させるよりも、補助蒸発器6内で冷媒と被冷却媒体との温度差を大きくできるので、有効に冷熱を回収できる。
なお、上記入口部M、Nでの温度は一例であり、この数値に限定されるものではない。例えば冷蔵庫で冷熱を利用する場合には、被冷却媒体を空気とし、入口部Mでの空気温度は7℃、入口部Nでの空気温度は0〜5℃となり、また、空気調和機の場合には被冷却媒体を空気とし、入口部Mでの空気温度は27℃、入口部Nでの空気温度は15〜25℃となるように循環させればよい。このように被冷却媒体との温度差の関係を考慮して、主蒸発器4と補助蒸発器6を適正に配置することで、熱交換効率を向上できる。
次に、主蒸発器4と補助蒸発器6を適正に分割して熱交換効率を向上することについて説明する。まず、主蒸発器4と補助蒸発器6の伝熱面積比について説明する。図6は補助蒸発器6の伝熱面積比率(%)に対するCOP向上率(%)の関係を示すグラフである。図6において、横軸は補助蒸発器6の伝熱面積A2/主蒸発器4の伝熱面積A1(%)を示し、縦軸は能力を同一とした時のCOP向上率(%)である。これは、定格能力が要求される外気温度条件で、伝熱面積比A2/A1を変化させた場合の通常サイクルに対するCOP向上率を示す計算結果であり、パラメータとして2種類の蒸発温度、例えばー10℃とー40℃での結果を示している。また、通常サイクルとは再循環させない構成であり、これを基準(100%)としてCOP向上率(%)を示す。この場合、主蒸発器4が主たる熱交換器となるため、COPを最大とする伝熱面積比A2/A1ではA1>A2なる関係が成立している。図6より、COP向上率を最大とする伝熱面積比A2/A1が存在し、0.05以上で且つ0.4以下でCOP向上率が高くなっていることがわかる。例えば蒸発温度ー10℃ではほぼ108%以上のCOP向上率が得られ、蒸発温度ー40℃ではほぼ129%程度のCOP向上率が得られる。このように、COP向上率が最大となる伝熱面積比A2/A1の範囲は、蒸発温度が変化してもほぼ同様の値でCOP向上率が高くなっているので、伝熱面積比A2/A1を0.05以上で且つ0.4以下となるように構成すれば、蒸発温度にかかわらず高いCOP向上率が得られることを示している。
主蒸発器4の伝熱面積A1を大きくしすぎると、主蒸発器4内の過熱域の割合が増加し、主蒸発器4内の蒸発温度と蒸発熱伝達率が低下してCOPが低下することになる。一方、主蒸発器4の伝熱面積を小さくしすぎると、エジェクタ3による流量増加や乾き度の変化の効果がそれほど現れなくなり、その結果蒸発器に再循環させない冷凍サイクルと同様となり、性能の低下を招く。これらの理由から図6のように伝熱面積比A2/A1に対してCOP向上率の高い範囲ができ、この範囲、ここでは伝熱面積比A2/A1が0.05以上で且つ0.4以下の範囲になるように主蒸発器4と補助蒸発器6を構成することで、COPを高くすることができる冷凍サイクル装置が得られる。
図7は冷媒再循環流量に対するCOPの関係を示すグラフである。図7における横軸はエジェクタ3における再循環流量比、即ち吸引冷媒流量Ge/駆動冷媒流量Gn、縦軸は能力を同一とした時のCOP向上率(%)である。これは、定格能力が要求される外気温度条件で、伝熱面積比A2/A1を例えば0.2で一定とし、再循環流量比Ge/Gnを変化させた場合の通常サイクルに対するCOP向上率を示す計算結果である。駆動冷媒流量Gnは圧縮機1から吐出されて主循環路を流れる冷媒流量であり、吸引冷媒流量Geは主蒸発器4と補助蒸発器6の間からバイパス路25を通ってエジェクタ3に吸引される再循環路を流れる冷媒流量である。ここでも、通常サイクルとは再循環させない構成であり、これを基準(100%)としてCOP向上率(%)を示す。
図7では、機器仕様で、伝熱面積比A2/A1が一定の条件ではCOP向上率を最大とする再循環流量比Ge/Gnが存在することを示している。例えば伝熱面積比A2/A1=0.2程度に設定した時には、再循環流量比Ge/Gnが0.2以上で且つ0.6以下の範囲になるように運転すると、ほぼ108%以上のCOP向上率が得られている。再循環流量比Ge/Gnを増加させると、ある値までは伝熱促進効果により性能が向上するが、ある値以上では圧力損失が過度に増大し、伝熱促進効果よりも圧縮機の吸入圧力低下による性能低下の方が大きくなる。このため、伝熱面積比に対して再循環冷媒流量を最適にすることで、主蒸発器4及び補助蒸発器6内で、被冷却媒体と冷媒の温度差に応じた最適な冷媒状態にすることができ、COPを向上できる。
以上のように、乾き度変化に伴う蒸発熱伝達率や圧力損失の変化に加え、被冷却媒体との温度差の変化(温度効率の変化)と、冷媒回路内の冷媒量分布の変化も影響して、効率が最大となる構成及び運転制御が存在する。従って、設計条件により伝熱面積比A2/A1または再循環流量比Ge/Gnを調整することで、主蒸発器4の出口乾き度を適正化し、全体システムの効率を高めることが可能となる。
ここで、本実施の形態に係る主蒸発器4の出口乾き度の目標値について説明する(目標乾き度設定ステップ)。図4では蒸発熱伝達率と主蒸発器4の出口乾き度の関係を述べた。さらに、本実施の形態では、冷媒量の分布と冷凍能力(冷媒流量)を考慮して最適乾き度を設定する。
例えば、主蒸発器4の出口乾き度の目標値として、例えば0.9程度の高い値に設定すると、補助蒸発器6内の過熱部が長くなるため、放熱器2内の冷媒量が過大となり、高圧圧力が高くなる。このため圧縮機1の入力が増加し、COPは低下する。冷凍サイクル内の冷凍能力(冷媒流量)が大きい場合、低圧圧力(主蒸発器4内の密度)が低く、主蒸発器4内の必要冷媒量が少なくなるため、特にこの傾向は顕著となる。
逆に、主蒸発器4の出口乾き度の目標値として、例えば0.5程度の低い値に設定すると、放熱器2内の冷媒量が過小となり、放熱器2の出口部が二相状態となって主蒸発器4内のエンタルピー差が低下し、COPが低下する。冷凍サイクル内の冷凍能力(冷媒流量)が小さい場合、低圧圧力(主蒸発器4内の密度)が高く、主蒸発器4内の必要冷媒量が多くなるため、特にこの傾向は顕著となる。
そこで、図4を考慮して良好な熱伝達率が得られると共に、冷凍サイクル装置の冷凍能力で必要である主循環路の冷媒流量に応じて、冷媒量分布を考慮し、主蒸発器4の出口乾き度を設定する。即ち、乾き度に対する熱伝達率の変化だけでなく、冷凍サイクル内の冷媒量分布や冷凍サイクルを循環する冷媒流量から最適乾き度の目標値を求めるようにしたので、システム全体を最適に制御することができる。例えば、図4から冷媒が二酸化炭素の場合に良好な熱伝達率が得られるように、主蒸発器4の出口乾き度を低く設定するのであるが、ある程度放熱器2の冷媒量が確保できる範囲で、最大性能が得られる最適な乾き度、例えば、0.6程度に制御すれば、COPの高い冷凍サイクル装置が得られる。
特に冷凍サイクルの冷凍能力が小さくて主循環路の冷媒流量が少ない場合には、もう少し目標乾き度を高くしてもよい。
次に、本実施の形態に係る圧縮機1、第1減圧手段7、第2減圧手段8の制御方法について説明する。運転の開始時に、予め制御で用いる各目標値を設定する。例えば、主蒸発器4出口の水温の目標値である目標出口水温(Two1m)は負荷側で設定した希望室内温度などの外部情報から設定する。また、補助蒸発器6出口の過熱度の目標値である目標出口過熱度(SHm)は、圧縮機1への液戻りなどを考慮して例えば5〜10degに設定する。また、前述したように主蒸発器4の出口の目標乾き度を設定し、第2減圧手段8の開度目標値(LEV2m)を、外気温度や主蒸発器4への給水温度などの環境条件の下で、目標乾き度が得られるように設定する。
運転中に、第1温度検出手段21で検出される温度検出値が制御手段31に取り込まれる。制御手段31は、第1温度検出手段21の出口水温(Two1)と目標出口水温(Two1m)との偏差に基づいて圧縮機1の回転数を演算する。また、第2温度検出手段22の温度検出値T22と第3温度検出手段23の温度検出値(ET)から演算される補助蒸発器6の出口過熱度(SH)と目標出口過熱度(SHm)との偏差に基づいて第1減圧手段7の絞り開度を演算する。また、第2減圧手段8の現在開度(LEV2)と第2減圧手段8の開度目標値(LEV2m)との偏差に基づいて第2減圧手段8の開度を演算する。制御手段31では、演算した結果を圧縮機1、第1減圧手段7、第2減圧手段8へ出力し、回転数や開度を制御する。
図8は圧縮機1の回転数、減圧手段7、8の開度に関して、制御手段31で行う具体的な制御を示すフローチャートである。圧縮機1の回転数は、冷凍サイクル装置を循環する冷媒流量、即ち冷凍能力を決定するものであるから冷凍サイクル装置の機能を確保する目的から最優先で制御される。第1減圧手段7の絞り開度は、補助蒸発器6の出口過熱度を制御することで補助蒸発器6の効率、即ち冷凍サイクル装置の効率を決定するものであるから次に優先される。第2減圧手段8の絞り開度は、主蒸発器4の出口乾き度X1を制御し、運転効率を最大化するものであるから最も優先順位を低くする。
運転開始の信号により、まず最初にSTEP1で第2減圧手段8の開度が、STEP2で第1減圧手段7の絞り開度が、STEP3で圧縮機1の回転数がそれぞれ初期設定される。STEP4で主蒸発器4の出口水温(Two1)を入力し、STEP5で、出口水温(Two1)が予め設定された目標出口水温(Two1m)となるように、圧縮機1の回転数を制御する。具体的には、Two1−Two1m>ε3(ε3は正の数)の場合には、圧縮機1の回転数を増加させ、Two1m−Two1>ε3の場合には、圧縮機1の回転数を減少させる。その結果、Two1−Two1mの絶対値が|Two1−Two1m|<ε3を満たし、圧縮機1の回転数が決定される(STEP6)。同様に、STEP7で蒸発温度(ET)を入力し、補助蒸発器6の出口過熱度(SH)を計算する。STEP8では、出口過熱度(SH)が予め設定された目標過熱度(SHm)となるように、第1減圧手段7の絞り開度を制御する。具体的には、SH−SHm>ε2(ε2は正の数)の場合には、第1減圧手段7の絞り開度を増加させ、SHm−SH>ε2の場合には、第1減圧手段7の絞り開度を減少させる。その結果、SH−SHmの絶対値が|SH−SHm|<ε2を満たし、第1減圧手段7の絞り開度が決定される(STEP9)。
さらに、外気温度や給水温度を入力し(STEP10)、入力した外気温度や給水温度に対応して、最適乾き度に対する目標開度の関係マップから、LEV2mを選択する(STEP11)。STEP12では第2減圧手段8の絞り開度が予め設定された目標開度(LEV2m)となるように制御する。具体的には、LEV2−LEV2m>ε1(ε1は正の数)の場合には、第2減圧手段8の開度を小さくして再循環流量を減少させ、LEV2m−LEV2>ε1の場合には、第2減圧手段8の開度を大きくして再循環流量を増加させる。その結果、LEV2−LEV2mの絶対値が|LEV2−LEV2m|<ε1を満たし、第2減圧手段8の絞り開度が決定される(STEP13)。ここで、ε1、ε2、ε3は運転制御における許容誤差である。
ここで、第2減圧手段8の開度の開度目標値(LEV2m)は、主蒸発器4の出口乾き度X1の最適値と関連付けられ、現在開度(LEV2)を目標値に制御することは、出口乾き度X1を最適値に制御するのと等価である。補助蒸発器6の出口過熱度(SH)の演算は、補助蒸発器6の出口温度T22と主蒸発器4の入口温度ETの差として、SH=T22−ETで求められる。また、蒸発器6の出口過熱度(SH)の他の求め方として、補助蒸発器6の出口部に例えば圧力センサーなどの圧力検出手段を設け、この圧力検出手段の検出値から求められる飽和温度(ET1)と補助蒸発器6の出口温度T22の差として、SH=T22−ET1で求めることもできる。
また、STEP10〜STEP12で第2減圧手段8の開度を出口乾き度X1の推定値に基づいて制御することで、運転中に主蒸発器4から流出する冷媒の乾き度を検出する乾き度検出ステップと、乾き度検出ステップで検出した乾き度が目標乾き度になるようにエジェクタの吸引部に流入する冷媒流量を制御する吸引流量制御ステップを構成している。特に、この乾き度検出ステップ(STEP10、STEP11)は、外気温度、給水温度、圧縮機1の周波数などの情報を基に、第2減圧手段8の開度に対する冷媒の乾き度を推定している。乾き度X1は、例えば再循環流量比Ge/Gn、外気温度、主蒸発器4への給水温度、出口水温、蒸発温度ET、圧縮機1の周波数などから推定できるように予め実験やシミュレーションにより関係式や関係マップを作成しておけばよい。第2減圧手段8の開度を制御することは、主蒸発器4に再循環する冷媒流量を制御していることと同等である。このように乾き度X1を推定することで、高価な乾き度センサ(ボイドセンサ)などを使用することなく、低コストな冷凍サイクル装置を構成することができる。
上記の温度検出値や演算値と、目標値との偏差に伴う圧縮機1の回転数、第1減圧手段7の絞り開度、第2減圧手段8の絞り開度の決定には、例えばPID制御法などが使用される。なお、上記の制御フローでは、圧縮機1として回転数が変更可能なインバーター圧縮機を用いる例を示したが、回転数が変更不可能な一定速圧縮機でも良く、この場合は圧縮機1の回転数制御の代わりに運転・停止制御が行われる。また,圧縮機1が複数台設けられている場合には,圧縮機1の回転数制御の代わりに台数制御が行われる。さらに、制御手順は上述した例に限るものではなく、圧縮機1、第1減圧手段7、第2減圧手段8の優先順位を入れ換えた場合や同時に制御する場合にも同様の効果を発揮する。
主蒸発器4の出口部の乾き度において、性能を極大とする主蒸発器4の出口部の最適乾き度X1は、冷媒と冷凍機油の関係によって異なる。即ち、冷媒と冷凍機油の相溶性が高い場合、主蒸発器4内の高乾き度域で冷媒液中の油濃度が高くなり、沸騰熱伝達やドライアウト開始乾き度に影響を及ぼし、最適乾き度が変化する。また、冷媒と冷凍機油の相溶性が低く、冷凍機油の密度が冷媒の密度よりも小さい場合、主蒸発器4内の気液界面に冷凍機油が浮遊し、強制対流蒸発熱伝達が抑制されるため、やはり最適乾き度が変化する。このように、冷媒と冷凍機油の相溶性の度合いにより、主蒸発器4の出口部の最適乾き度は変化することになる。
例えば、冷媒と冷凍機油の相溶性が高い場合、主蒸発器4内の高乾き度域で冷媒液中の油濃度が高くなり、沸騰熱伝達率が小さくなり、かつドライアウト開始乾き度が大きくなるため、最適乾き度が大きくなる。一方、冷媒と冷凍機油の相溶性が低く、冷凍機油の密度が冷媒の密度よりも小さい場合、主蒸発器4内の気液界面に冷凍機油が浮遊し、強制対流蒸発熱伝達が抑制されるため、最適乾き度は小さくなる。
また、最適乾き度X1は冷媒の種類によっても変化する。一般に、気液界面からの強制対流蒸発が支配的になって沸騰熱伝達が抑制される場合には、最適乾き度X1は大きくなる。逆に、気液界面からの強制対流蒸発が抑制されて沸騰熱伝達が支配的になる場合には、最適乾き度X1は小さくなる。例えば、冷媒が二酸化炭素の場合には、表面張力が小さく、沸騰熱伝達が支配的となるので最適乾き度は小さくなる。また例えば、冷媒がR404Aの場合には、沸騰熱伝達が二酸化炭素に比べて小さいので最適乾き度は二酸化炭素の場合に比べて大きくなる。
本実施の形態では、主蒸発器4の出口部の乾き度を広い範囲で設定できるので、上記のように冷媒や冷凍機油の種類なども考慮して、最適な乾き度を設定すればよい。これにより、主蒸発器4内の伝熱性能を向上でき、冷凍サイクル装置のCOPも向上できる。
また、第3温度検出手段23を主蒸発器4の入口部に設ける構成を示したが、冷媒が気液二相状態であるため、第3温度検出手段の設置位置はこれに限るものではない。即ち、エジェクタ3と補助蒸発器6との間の配管のどこに設けても同様の効果を発揮する。
次に、本実施の形態における主蒸発器4と補助蒸発器6の具体的な構成について述べる。ここでは、主蒸発器4と補助蒸発器6とを別体に構成した例として、主蒸発器4及び補助蒸発器6で被熱交換媒体を水またはブラインとして液体−冷媒熱交換器であるプレート熱交換器を用いる例を示した。しかし、本発明に適用される熱交換器はこれに限るものではなく、例えば主蒸発器4及び補助蒸発器6で被熱交換媒体が空気の場合には、気体−冷媒熱交換器、例えばプレートフィンと銅パイプからなるプレートフィンチューブタイプの熱交換器としてもよい。
図9は、プレートフィンチューブタイプの熱交換器を用いる冷媒回路におけるエジェクタ3の高圧側入口部から補助蒸発器6の出口部までを示す構成図である。複数のフィン12がほぼ平行に並設され、このフィン面に垂直な方向にパイプ13が貫通し、フィンの端部で2つづつのパイプ13が接続されて冷媒流路を構成している。ここで、被冷却媒体は空気であり、白抜き矢印は被冷却媒体である空気の流れ方向を示している。図9に示すように、プレートフィンチューブタイプの熱交換器はパイプ13で構成される冷媒流路内を流れる冷媒と、白抜き矢印のようにフィン12間を流れる被冷却媒体とで熱交換する。ここで、パイプ13a〜13bで主蒸発器4を構成し、パイプ13c〜13dで補助蒸発器6を構成するというように、1つの熱交換器の流路を分割する。そして、一方を主蒸発器4、他方を補助蒸発器6というように、主蒸発器4及び補助蒸発器6を一体に構成する。このように、主蒸発器4及び補助蒸発器6を一体に構成することで、冷凍サイクル装置全体をコンパクトに構成することができる。
さらに前述したように、補助蒸発器6を主蒸発器4よりも被冷却媒体の上流側に配置する。即ち、被冷却媒体である空気は、矢印のように13c〜13dで構成される補助蒸発器6に流れ、その次に13a〜13bで構成される主蒸発器4に流れる。主蒸発器4と補助蒸発器6のそれぞれ出口部の冷媒温度を比較すると、補助蒸発器6では過熱域になるように運転するので、主蒸発器4の出口部の冷媒温度よりも5℃〜15℃程度高くなる。そこで、被冷却媒体に対して、補助蒸発器6を主蒸発器4よりも上流側に配置することで、被冷却媒体の温度の高い上流部分と補助蒸発器6の冷媒とを熱交換する。その後、補助蒸発器6と熱交換することである程度温度の下がった被冷却媒体と主蒸発器4とを熱交換する。これにより、補助蒸発器6における冷媒温度と空気温度との温度差を大きくすることができ、良好に熱回収できる。
また、1つのフィン12上で見れば、主蒸発器4の列数を3列、補助蒸発器6の列数を1列として、伝熱面積に差をつけている。この主蒸発器4の伝熱面積に対する補助蒸発器6の伝熱面積比は、図6で良好なCOP向上率が得られる範囲である0.05以上で且つ0.4以下となるように構成している。このように1つの熱交換器を分割構成することで、容易にCOP向上率の良い伝熱面積比に分割することができ、コンパクトな熱交換器を構成することができる。また、空気の上流側の補助蒸発器6と下流側の主蒸発器4の熱伝導による熱ロスを防止するため、フィン12には熱伝導を遮断するスリットなどを設けるように構成してもよい。
また、図9ではプレートフィンチューブタイプの熱交換器において、主蒸発器4と補助蒸発器6とを一体とした構成例を示したが、液体−冷媒熱交換器であるプレート熱交換器でも被熱交換媒体の流れる流路と冷媒の流れる流路で構成されているので、この流路を分割して主蒸発器4と補助蒸発器6とを構成しても、同様の効果を奏する。特に、蒸発器4、6を液体−冷媒熱交換器で構成した場合、被冷却媒体である液体の熱伝達率が高いため熱抵抗が小さく、冷媒側の伝熱促進効果が全体の性能向上に大きく影響する。即ち、蒸発器4、6での伝熱性能を向上できる効果は、空気ー冷媒熱交換器の場合よりも大きく得られる。
また、図1の構成の冷媒回路において、エジェクタ3の出口部の下流側で、且つ補助蒸発器6の入口部の上流側のいずれかの主循環路に、冷凍サイクルを循環する冷媒の量を調整する冷媒流量調整手段を設けてもよい。冷媒流量調整手段として、具体的には例えば一時的に循環する冷媒の一部を貯溜する容器を主蒸発器4と補助蒸発器6の間に設けると、圧縮機1の回転数に応じて、余分な冷媒が冷媒流量調整手段に貯溜される。これにより、例えば外気温度や入口水温などの環境条件が大きく変化しても、冷凍サイクルの循環冷媒流量を適正に保つことができ、安定した運転が可能となる。
また、この冷媒流量調整手段は、気液分離器であってもよい。例えば分岐部26に気液分離器を設けた場合には、エジェクタ3の吸引部と気液分離器の液相部分を接続して、主に液冷媒を主蒸発器4に再循環させるとよい。液冷媒を吸引部に吸引するように構成することで、吸引部へのバイパス路25での圧損を小さくでき、再循環量が多くなり、主蒸発器4内の伝熱を促進できる。特に冷媒が二酸化炭素の場合には、主蒸発器4内での乾き度が低くなるので、主蒸発器4内の伝熱をさらに促進できる。また、主蒸発器4への循環量の増大と乾き度の低下によって、主蒸発器4内で複数の冷媒流路に分配される際に、液中に気泡が分散した気泡流となって、分配性能を向上できる。
ここでは冷媒として二酸化炭素について説明したが、他のフロン系冷媒でも主蒸発器4内の冷媒流量を増加することができ、伝熱性能を向上できる。また、フロン系冷媒を用いた場合には、第1減圧手段7によって循環している冷媒を減圧することで、確実に気液二相状態の冷媒をエジェクタ3に流入させることができ、エジェクタ効率を向上できる。即ち、エジェクタ3の入口部の冷媒を気液二相状態とすることで、エジェクタ3のノズル部で冷媒液が減圧する際にガスのせん断力を受けて液膜が破断し、微細な液滴が形成されるので、エジェクタ効率を向上できる。
以上述べたように、本実施の形態では、圧縮機1、放熱器2、エジェクタ3、主蒸発器4、及び補助蒸発器6を順次循環させて補助蒸発器6から流出する過熱状態の冷媒を圧縮機1に吸入させる主循環路と、主蒸発器4と補助蒸発器6の間を流れる冷媒の一部をバイパス路25を通ってエジェクタ3の吸引部から主蒸発器4に再循環させる再循環路と、を備えることにより、圧縮機1へ過熱度のついた冷媒を吸入させて確実に液戻りを防止でき、且つ主蒸発器4内での伝熱性能を向上できる冷凍サイクル装置が得られる。
さらに図1のように構成すれば、気液分離器や乾き度センサを用いることなく、低コストかつコンパクトで最適制御ができる冷凍サイクル装置を提供することができる。冷媒回路内に気液分離器のような冷媒流速が低下する部品を設けていないため、冷媒回路内で冷凍機油の滞溜が生じるのを防止できる。従って、油戻し回路のような複雑な構成が不要となり、かつ信頼性の高い冷凍サイクル装置を提供することができる。更に、乾き度の低い冷媒を蒸発器4の入口に再循環させることも可能となり、冷媒が二酸化炭素の場合などには乾き度の低い冷媒を再循環させることで、主蒸発器4での伝熱性能を向上できる効果がある。
また、補助蒸発器6に流入する被熱交換媒体が、補助蒸発器6から流出した後、主蒸発器4の被熱交換媒体として主蒸発器4に流入して熱交換するように、補助蒸発器6及び主蒸発器4を構成して、補助蒸発器6に流入する被熱交換媒体の温度が、主蒸発器4に流入する被熱交換媒体の温度よりも高くなるようにしたことにより、補助蒸発器6で被冷却流体との温度差が大きくなるように構成でき、圧縮機1の信頼性を確保しながら蒸発器4、6の熱伝達率の悪い領域を短く抑えて熱交換効率を高めることができ、効率よく熱回収できる効果がある。
また、主蒸発器4と補助蒸発器6を一体に構成することで、コンパクトな蒸発器を構成でき、冷凍サイクル装置を小型化することができる効果がある。
また、主蒸発器4と補助蒸発器6はプレートフィンとパイプで構成されるプレートフィンチューブ型の熱交換器であり、1つのプレートフィンチューブ型の熱交換器内の冷媒流路を分割して主蒸発器4と補助蒸発器6を構成したことにより、通常の熱交換器の流路を変更するだけで使うことができ、効率よく熱回収して熱交換効率を高める共に、冷凍サイクル装置を小型化することができる効果がある。
また、主蒸発器4の伝熱面積に対する補助蒸発器6の伝熱面積の比率が0.05以上且つ0.4以下になるように、主蒸発器4と補助蒸発器6を構成したことにより、COPの高い冷凍サイクル装置を得ることができる効果がある。
放熱器2とエジェクタ3の間に、駆動流体のエジェクタへの流入量が調節可能な第1減圧手段7を設け、圧縮機1の吸入側の過熱度を最適に制御するため、冷凍サイクル装置を効率よく運転することができる。また、第1減圧手段7によって流量制御することでエジェクタ3として可変絞りエジェクタではなく固定エジェクタを使用できる。このため、可変絞りエジェクタを使用して過膨張や不足膨張することによるエジェクタ効率の低下を防止し、高いエジェクタ効率を安定して得られる。
また、バイパス路25にエジェクタ3の吸引部に流入する吸引流量の調節が可能な第2減圧手段8を設けたことにより、主蒸発器4の出口乾き度を最適に制御できる構成の冷凍サイクル装置が得られる。
また、エジェクタ3の吸引部に吸引流量が調節可能な第2減圧手段8を設け、主蒸発器4の出口乾き度を最適に制御するため、冷凍サイクル装置を効率よく運転することができる。さらに、冷媒が例えば二酸化炭素のように乾き度の低いところで良好な熱伝達率が得られる場合には、蒸発器入口乾き度を低下するように制御することもでき、融通性良く運転できる効果がある。
また、主蒸発器4として液体−冷媒の蒸発器を用いることで、被冷却媒体である液体の熱伝達率が高いので、主蒸発器4において冷媒側で伝熱を促進した効果が、空気−冷媒の蒸発器に適用した場合よりも大きく得られる。このため、大幅に冷凍サイクル装置全体の性能を向上できる。
また、冷媒として高圧側が超臨界状態となる二酸化炭素を使用したことにより、地球温暖化係数の低い冷媒を用い、主蒸発器4の出口過熱度の設定範囲を広くできるというこの冷凍サイクル装置の特長を充分に発揮して、効率の良い冷凍サイクル装置が得られる効果がある。
また、主蒸発器4から流出する冷媒の乾き度の目標値を目標乾き度として予め設定する目標乾き度設定ステップと、運転中に主蒸発器4から流出する冷媒の乾き度を検出する乾き度検出ステップと、乾き度検出ステップで検出した乾き度が前記目標乾き度になるようにエジェクタ3の吸引部に流入する冷媒流量を制御する吸引流量制御ステップ(STEP12)と、を備えたことにより、主蒸発器4の出口部の冷媒乾き度を運転状況に合わせて制御することができ、冷媒の種類や運転状況に合わせて効率よく運転できる冷凍サイクル装置の制御方法が得られる効果がある。
また、乾き度検出ステップは、主蒸発器4に再循環する冷媒流量から冷媒の乾き度を推定することを特徴とすることにより、特別な乾き度センサを必要とすることなく、価格を低減でき装置を小型化できる冷凍サイクル装置の制御方法が得られる効果がある。
また、目標乾き度設定ステップは、冷媒の乾き度に対する熱伝達率の特性、前記放熱器と前記主蒸発器と前記補助蒸発器の冷媒量分布、及び前記主循環路を流れる冷媒流量から、熱伝達率が高い領域の冷媒乾き度を目標乾き度として設定するようにしたことにより、冷媒の乾き度に対する熱伝達率の特性だけではなく、冷凍サイクル装置全体において運転を最適化でき、システム全体を最適に制御できる冷凍サイクルの制御方法が得られる効果がある。
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2による冷凍サイクル装置について説明する。図10は、本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置として、例えば部屋の冷房を行う装置の構成を示す冷媒回路図である。図において実施の形態1と同一符号は同一、又は相当部分を示す。図に示すように、本実施の形態による冷凍サイクル装置は、室外ユニット100と室内ユニット101から構成されている。室外ユニット100内の冷媒回路は、圧縮機1、放熱器2、第1減圧手段7、内部ノズルの喉部と出口部の面積比が一定であるエジェクタ3、及び補助蒸発器である内部熱交換器10を備え、室内ユニット101の冷媒回路には主蒸発器4を備える。そしてこれらの各機器を冷媒配管で接続して主循環路をなすと共に、主蒸発器4と内部熱交換器10の間の分岐部26からバイパス路25を通ってエジェクタ3の吸引部から主蒸発器4に冷媒の一部を再循環する再循環路を構成する。バイパス路25には再循環する冷媒の流量を制御可能とする第2減圧手段8を設ける。主循環路及び再循環路の内部には冷媒として、例えばフロン系のR404Aを封入する。図における太実線は冷媒が流れる配管を示し、実線矢印は冷媒の流れ方向、白抜き矢印は空気の流れ方向を示している。
実施の形態1と異なる主な部分について述べる。主蒸発器4は室内に配置され、冷媒と室内空気と熱交換するプレートフィンチューブタイプの空気−冷媒蒸発器である。また、実施の形態1における補助蒸発器を、放熱器2の出口部の冷媒と熱交換する内部熱交換器10で構成し、内部熱交換器10から流出する過熱状態の冷媒を圧縮機1に吸入させるように構成している。そして、熱源側の室外ユニット100と、空調負荷が発生する空間に設置された室内ユニット101とは、冷媒配管で接続されている。
室内の主蒸発器4の空気側出口部に第1温度検出手段21を設け、内部熱交換器10の低圧側出口部に第2温度検出手段22を設け、主蒸発器4の冷媒側入口部には第3温度検出手段23を設ける。これらの温度検出手段21、22、23で検出される温度検出値が制御手段31に取り込まれる。細点線矢印は各検出手段21、22、23から制御手段31への検出信号の流れ、または制御手段31から圧縮機1、減圧手段7、8への制御信号の流れを示している。
上記のように構成された冷凍サイクル装置について、次に運転動作を図11に基づいて説明する。図11(a)は図10に示した冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す回路図、図11(b)は冷凍サイクル装置の各部の位置に対応する冷媒状態を示す圧力ーエンタルピー線図である。図11(b)では横軸はエンタルピーを示し、横軸上のエンタルピー値(IJ−IA)は冷媒回路の各位置(J−A)に対応した部分における冷媒のエンタルピー値を示す。同様に縦軸は圧力Pを示し、縦軸上の圧力値(PA、PC、PJ)は冷媒回路の各位置(A、C、J)に対応した部分における冷媒の圧力値を示す。
本実施の形態では、主蒸発器4で室内空気と冷媒とを熱交換することによって室内を冷房している。圧縮機1から吐出された高温・高圧の冷媒ガス(A)は、放熱器2で室外空気へ放熱して自身は温度が低下し、高圧の低温冷媒(B)となって内部熱交換器10に流入する。内部熱交換器10で更に冷却された冷媒(C)は、第1減圧手段7で減圧された後(D)、エジェクタ3に流入する。エジェクタ3へ流入した冷媒は、ノズル部43出口で状態E2の最低圧力Pe2の冷媒となり、混合部44へ流入する。混合部で状態E4の冷媒を吸引部から流入する冷媒ガスと混合して状態E3となった冷媒は、ディフューザ45によりPe2からPe1に圧力が回復する(F)。
更に、エジェクタ3で減圧された冷媒(F)は、主蒸発器4に流入し、被冷却媒体である空気から熱を奪ってある程度蒸発する(G)。主蒸発器4を流出した気液二相冷媒の一部(H)は内部熱交換器10の入口部へ流入し、放熱器2から流出した高圧の冷媒と熱交換して蒸発し、例えば5deg〜15deg程度の過熱度の冷媒(I)となって圧縮機1に吸入される。この循環路が主循環路である。
一方、主蒸発器4を流出した気液二相冷媒の一部(J)は第2減圧手段8で減圧されて状態E4の冷媒となり、エジェクタ3の吸引部に吸引される。そしてエジェクタ3内の混合部44で主循環路を流れる駆動流と混合して主蒸発器4に再循環する。この循環路が再循環路である。
分岐部26で内部熱交換器10とエジェクタ3の吸引部に分配される液冷媒の比率は、冷凍サイクル装置を構成する配管構造や配管内の気液二相流の流動様式、例えば、環状流や分離流により異なる。ここでは、実施の形態1とは異なり、例えば内部熱交換器10の入口部に乾き度の減少した冷媒(H)が流入し、エジェクタ3の吸引部へ乾き度の増加した冷媒(J)が吸引される構成とする。
次に、再循環路を有する構成における蒸発器4、10周辺の冷媒状態について説明する。冷媒の一部をエジェクタ3により吸引して主蒸発器4内の冷媒量が多くなることで、主蒸発器4の伝熱性能が向上する効果は、実施の形態1と同様である。特にここで、乾き度の高い冷媒をエジェクタ3により吸引して得られる効果について説明する。図12はF404Aを冷媒としたときの主蒸発器4と内部熱交換器10の内部を流れる冷媒の乾き度Xに対する熱伝達率αの変化を示すグラフであり、横軸に乾き度X、縦軸に熱伝達率αを示す。図12(a)は比較例、図12(b)は本実施の形態に係るものである。また、図13は主蒸発器4及び内部熱交換器10内部の液冷媒を斜線で示す説明図であり、図13(a)は比較例、図13(b)は本実施の形態に係るものである。図12、図13において、それぞれ(a)は比較例としてエジェクタによって蒸発器に再循環させる構成ではなく、蒸発器から圧縮機に接続された冷媒回路構成の場合であり、(b)は図10に示した冷媒回路構成の場合である。
圧縮機1への液戻り防止を確実にするために、圧縮機1の吸入部となる内部熱交換器10の出口部には過熱度5〜15deg程度の過熱度を確保する。エジェクタ3により冷媒を吸引しない通常の冷凍サイクルでは、主蒸発器4と内部熱交換器10は直列に接続されていると考えられるため、主蒸発器4と内部熱交換器10内部で冷媒は図12(a)、図13(a)のように変化する。例えば、図12(a)に示すように、入口乾き度0.2で流入した冷媒は主蒸発器4でドライアウト乾き度Xd(例えば、0.7)を超える乾き度まで蒸発し、更に内部熱交換器10で例えば5deg程度の過熱域まで蒸発する。また、図13(a)に示すように、蒸発器内の液冷媒量は蒸発器4、10で連続的に変化し、主循環路を流れる冷媒流量Gnが主蒸発器4から流入して補助蒸発器6から冷媒流量Gnが流出する。
一方、本実施の形態のように、主蒸発器4から流出した冷媒のうち、乾き度の高い冷媒をエジェクタ3により吸引し、主蒸発器4内に再循環させると、図12(b)に示すように主蒸発器4内では冷媒流量が増加すると共に乾き度が増加する。このため、主蒸発器4内の冷媒状態は点線イのようになり、蒸発熱伝達率αは向上する。内部熱交換器10内の冷媒状態は点線アのようになり、蒸発器4、10内の平均的な熱伝達率図12(a)の場合よりも向上する。また、図13(b)に示すように、液冷媒量は主蒸発器4と内部熱交換器10の間で冷媒の一部が再循環されるため不連続的に変化する。主循環路を流れる冷媒流量Gnと再循環路を流れる冷媒流量Geが主蒸発器4から流入し、冷媒流量Geがエジェクタ3によって吸引される。内部熱交換器10からは主循環路を流れる冷媒流量Gnが流出する。
実施の形態1では主蒸発器4の出口乾き度を0.6程度として、乾き度が低くなるように制御することで主蒸発器4での伝熱性能を向上した例について説明した。これに対し、本実施の形態では主蒸発器4の出口乾き度を0.9程度として、乾き度が高くなるように制御することで主蒸発器4での伝熱性能を向上した例について説明する。
図4(a)、図12(a)に示すように、どのような冷媒であっても、乾き度Xに対する熱伝達率αはドライアウト開始乾き度Xdの直前付近で最も高く、これよりも乾き度Xが高くなっても、また低くなっても熱伝達率αは徐々に低下する。さらに冷媒によっては、乾き度に対する熱伝達率の変化が低下の程度が異なる。例えば図4(a)に示すように二酸化炭素などでは乾き度が低くなるにつれてそれほど低下しないが、図12(a)に示すようにフロン系冷媒では乾き度が低くなるにつれて熱伝達率が大幅に低下する。従って熱伝達率の点から言えば、二酸化炭素のような冷媒ではドライアウト開始乾き度Xdの周辺で且つ乾き度が低いほうが良好な熱伝達率が得られる。一方、フロン系冷媒ではドライアウト開始乾き度Xdの周辺で且つ乾き度が高いほうが良好な熱伝達率が得られる。
実施の形態1と同様、過熱域付近の高乾き度となる熱伝達率の悪い領域を内部熱交換器10内に形成されるようにしているので、内部熱交換器10の出口では圧縮機1への液戻りを確実に防止できる。一方、主蒸発器4では、主蒸発器4内の熱伝達率の低いドライアウト域や過熱域となる部分を減少させ、出口乾き度と蒸発熱伝達率αの関係を考慮することで、主蒸発器4を有効に利用することができる。特にフロン系冷媒では乾き度が小さくなると熱伝達率の低下が大きいので、乾き度の高い冷媒を再循環させることで、主蒸発器4での伝熱性能を向上できる。
また、内部熱交換器10では低圧側冷媒と高圧側冷媒とを熱交換する構成としており、実施の形態1における補助蒸発器6と同様、内部熱交換器10の被熱交換媒体(高圧側冷媒)の入口温度は主蒸発器4の被熱交換媒体の入口温度よりも高くなる。このように主蒸発器4と内部熱交換器10の被冷却媒体を構成すれば、内部熱交換器10内で熱交換する被冷却媒体と冷媒の温度差を大きくでき、低圧側の過熱域の熱を有効に回収できる効果がある。
また、主蒸発器4と内部熱交換器10を適正に分割して熱交換効率を向上することについては、実施の形態1における主蒸発器4と補助蒸発器6と同様であるので、ここでは省略する。実施の形態1と同様、COPが高い領域となるように主蒸発器4と内部熱交換器10の伝熱面積比A2/A1を適切に設定すればよい。
このように乾き度の高い冷媒を再循環させると、主蒸発器4の入口乾き度は増加する。本実施の形態では冷媒としてフロン系冷媒としたが、冷媒として二酸化炭素を循環させてもよい。主蒸発器4の入口乾き度の増加と冷媒流量の増加により、気液二相冷媒が噴霧状態となり、主蒸発器4内の入口側で冷媒が複数の流路に分配して流れる場合、各流路に均一に分配されるようになる。二酸化炭素の圧力損失はフロン系冷媒に比べて小さいという性質があり、主蒸発器4内の冷媒流量の増加により冷媒分配が改善して熱交換効率を高めることが期待できる。
一般に、乾き度に対する圧力損失は、熱伝達率と同様の傾向を示すため、主蒸発器4内で高乾き度域が大部分を占める本実施の形態では、熱伝達率向上と共に圧力損失の増大を招く場合がある。そこで主蒸発器4内の分岐数が小さい冷凍サイクル装置、例えば1分岐で、しかも冷媒流量に対して管径の大きな機器であるショーケースや冷蔵庫では、圧力損失の増大を極力抑えることができる。即ち、圧力損失がそれほど問題にならない冷凍サイクル装置では、再循環による圧力損失の増加がシステムへ及ぼす影響が小さく、伝熱促進効果により高効率の冷凍サイクル装置を構成することができる。また、平均乾き度の増加に伴って主蒸発器4内の冷媒量が減少するので、冷凍サイクル装置内の冷媒量分布を調整し、最適状態で冷凍サイクル装置を運転することができる。以上より、高乾き度の冷媒を再循環させることで主蒸発器4内の冷媒流量と乾き度を増加させ、効率の高い冷凍サイクル装置を構成することができる。
ここで、主蒸発器4の出口乾き度の目標値について説明する(目標乾き度設定ステップ)。図12では蒸発熱伝達率と主蒸発器4の出口乾き度の関係を述べた。さらに、本実施の形態では、冷媒量の分布と冷凍能力(冷媒流量)を考慮して最適乾き度を設定する。実施の形態1で記述したように、主蒸発器4の出口乾き度の大小に対応して、放熱器2、主蒸発器4、補助蒸発器である内部熱交換器10内の冷媒量の分布が異なってくる。そこで、図12を考慮して良好な熱伝達率が得られると共に、冷凍サイクル装置の冷凍能力で必要である主循環路の冷媒流量に応じて、冷媒量分布を考慮し、主蒸発器4の出口乾き度を設定する。例えば、図12から冷媒がR404Aの場合に良好な熱伝達率が得られるように、主蒸発器4の出口乾き度を高く設定するのであるが、放熱器2の冷媒量が過大にならない範囲で、最大性能が得られる最適な乾き度、例えば、0.9程度に制御すれば、COPの高い冷凍サイクル装置が得られる。特に冷凍サイクルの冷凍能力が大きくて主循環路の冷媒流量が多い場合には、もう少し目標乾き度を低くしてもよい。乾き度に対する熱伝達率の変化だけでなく、冷凍サイクル内の冷媒量分布や冷凍サイクルを循環する冷媒流量から最適乾き度の目標値を求めるようにしたので、システム全体を最適に制御することができる。
次に、本実施の形態に係る圧縮機1、第1減圧手段7、第2減圧手段8の制御方法について説明する。運転の開始時に、予め制御で用いる各目標値を設定する。例えば、主蒸発器4出口の水温の目標値である目標出口水温(Two1m)は負荷側で設定した希望室内温度などの外部情報から設定する。また、内部熱交換器10出口の過熱度の目標値である目標出口過熱度(SHm)は、圧縮機1への液戻りなどを考慮して例えば5〜10degに設定する。また、前述したように主蒸発器4の出口の目標乾き度を設定し、主蒸発器4出の蒸発温度の目標値(ETm)を、外気温度や外気温度や入口空気の温度などの環境条件の下で、目標乾き度が得られるように設定する。
運転中に、第1温度検出手段21で検出される温度検出値が制御手段31に取り込まれる。制御手段31は、第1温度検出手段21の出口空気温度(Tao1)と目標出口水温(Tao1m)との偏差に基づいて圧縮機1の回転数を演算する。また、第2温度検出手段22の温度検出値T22と第3温度検出手段23の温度検出値(ET)から演算される内部熱交換器10の出口過熱度(SH)と目標出口過熱度(SHm)との偏差に基づいて第1減圧手段7の絞り開度を演算する。また、第3温度検出手段23の温度検出値である蒸発温度(ET)と目標蒸発温度(ETm)との偏差に基づいて第2減圧手段8の開度を演算する。制御手段31では、演算した結果を圧縮機1、第1減圧手段7、第2減圧手段8へ出力し、回転数や開度を制御する。
図14は圧縮機1の回転数、減圧手段7、8の開度に関して、制御手段31で行う具体的な制御を示すフローチャートである。運転開始の信号により、まず最初にSTEP21で第2減圧手段8の開度が、STEP22で第1減圧手段7の絞り開度が、STEP23で圧縮機1の回転数がそれぞれ初期設定される。STEP24で主蒸発器4の出口空気温度(Tao1)を入力し、STEP25では、主蒸発器4の出口空気温度(Tao1)が予め設定された目標出口空気温度(Tao1m)となるように、圧縮機1の回転数を制御する。具体的には、Tao1−Tao1m>ε3(ε3は正の数)の場合には、圧縮機1の回転数を増加させ、Tao1m−Tao1>ε3の場合には、圧縮機1の回転数を減少させる。その結果、Tao1−Tao1mの絶対値が|Tao1−Tao1m|<ε3を満たし、圧縮機1の回転数が決定される(STEP26)。同様に、STEP27で蒸発温度(ET)を入力し、内部熱交換器10の出口過熱度(SH)を計算する。STEP28では、内部熱交換器10の出口過熱度(SH)が予め設定された目標過熱度(SHm)となるように、第1減圧手段7の絞り開度を制御する。具体的には、SH−SHm>ε2(ε2は正の数)の場合には、第1減圧手段7の絞り開度を増加させ、SHm−SH>ε2の場合には、第1減圧手段7の絞り開度を減少させる。その結果、SH−SHmの絶対値が|SH−SHm|<ε2を満たし、第1絞り開度7の絞り開度が決定される(STEP29)。さらに、STEP30では主蒸発器4の蒸発温度(ET)が予め設定された目標蒸発温度(ETm)となるように、第2減圧手段8の絞り開度を制御する。具体的には、ET−ETm>ε1(ε1は正の数)の場合には、第2減圧手段8の開度を大きくして再循環流量を増加させ、ETm−ET>ε1の場合には、減圧手段8の開度を小さくして再循環流量を減少させる。その結果、ET−ETmの絶対値が|ET−ETm|<ε1を満たし、第2減圧手段8の絞り開度が決定される(STEP31)。ここで、ε1、ε2、ε3は運転制御における許容誤差である。
ここで、外部情報から定められる目標蒸発温度(ETm)は、主蒸発器4の出口乾き度X1の最適値と関連付けられ、蒸発温度(ET)を目標値に制御することは、出口乾き度X1を最適値に制御するのと等価である。内部熱交換器10の出口過熱度(SH)の演算は、内部熱交換器10の出口温度T22と主蒸発器4の入口温度ETの差として(SH=T22−ET)、あるいは内部熱交換器10の出口部に設けられる図示しない圧力検出手段(例えば、圧力センサー)からの検出値から求められる飽和温度(ET)と内部熱交換器10の出口温度T22との差として求められる(SH=T22−ET)。
また、STEP27で蒸発温度を入力し、STEP30で第2減圧手段8の開度を蒸発温度と目標蒸発温度に基づいて制御することで、運転中に主蒸発器4から流出する冷媒の乾き度を検出する乾き度検出ステップと、乾き度検出ステップで検出した乾き度が目標乾き度になるようにエジェクタの吸引部に流入する冷媒流量を制御する吸引流量制御ステップを構成している。特に、この乾き度検出ステップは、冷媒の蒸発温度に対する冷媒の乾き度を推定している。乾き度X1は、例えば再循環流量比Ge/Gn、外気温度、主蒸発器4への給水温度、出口水温、蒸発温度ETなどから推定できるように予め実験やシミュレーションにより関係式や関係マップを作成しておけばよい。このように乾き度X1を推定することで、高価な乾き度センサ(ボイドセンサ)などを使用することなく、低コストな冷凍サイクル装置を構成することができる。
また、ここでは冷凍サイクル装置において、第2減圧手段8の開度を主蒸発器4の出口乾き度X1の推定値に基づいて制御する場合の実施の形態1とは異なる他の制御方法として、蒸発温度を用いたものである。このように、外部情報や冷媒温度や空気温度などの状態量から蒸発器4の出口の乾き度を推定することで、特別な乾き度センサを設けなくても蒸発器4の出口乾き度を制御できる。このため、冷凍サイクル装置の小型化及び低価格化を実現できる。もちろん図10に示した構成の冷凍サイクル装置に図8の乾き度制御方法を用いてもよいし、逆に図1に示した構成の冷凍サイクル装置に図14の乾き度制御方法を用いてもよい。また、コストは上がるが、乾き度センサを設けて乾き度センサの検出値を用いて第2減圧手段8の開度を制御してもよい。
また、実施の形態1と同様、図10の構成の冷媒回路において、エジェクタ3の出口部の下流側で内部熱交換器10の入口部の上流側のいずれかの主循環路に、冷凍サイクルを循環する冷媒の量を調整する冷媒流量調整手段を設けてもよい。冷媒流量調整手段として、具体的には例えば一時的に循環する冷媒の一部を貯溜する容器を主蒸発器4と内部熱交換器10の間に設けると、圧縮機1の回転数に応じて、余分な冷媒が冷媒流量調整手段に貯溜される。これにより、例えば外気温度や入口水温などの環境条件が大きく変化しても、冷凍サイクルの循環冷媒流量を適正に保つことができ、安定して高効率の運転が可能となる。
また、この冷媒流量調整手段は、気液分離器であってもよい。気液分離器で構成した場合には、エジェクタ3の吸引部と気液分離器の液相部分を接続して、主に液冷媒を主蒸発器4に再循環させるとよい。液冷媒を吸引部に吸引するように構成することで、吸引部へのバイパス路25での圧損を小さくでき、再循環量が多くなり、主蒸発器4内の伝熱を促進できる。特に冷媒が乾き度が高い場合に主に気液界面からの強制滞留蒸発が増加するような冷媒、例えばR404Aなどのフロン系冷媒やHC冷媒の場合には、主蒸発器4内での乾き度が高くなるので、主蒸発器4内の伝熱をさらに促進できる。また、主蒸発器4への循環量の増大と乾き度の増加によって、主蒸発器4内で複数の冷媒流路に分配される際に、ガス中に液滴が分散した噴霧流となって、分配性能を向上できる。
以上述べたように、本実施の形態では、圧縮機1、放熱器2、エジェクタ3、主蒸発器4、及び補助蒸発器10を順次循環させて補助蒸発器10から流出する過熱状態の冷媒を圧縮機1に吸入させる主循環路と、主蒸発器4と補助蒸発器10の間を流れる冷媒の一部をバイパス路25を通ってエジェクタ3の吸引部から主蒸発器4に再循環させる再循環路と、を備えたことにより、圧縮機1へ過熱度のついた冷媒を吸入させて確実に液戻りを防止でき、且つ主蒸発器4内での伝熱性能を向上できる冷凍サイクル装置が得られる。
さらに図10のように構成すれば、気液分離器や乾き度センサを用いることなく、低コストかつコンパクトで最適制御ができる冷凍サイクル装置を提供することができる。冷媒回路内に気液分離器のような冷媒流速が低下する部品を設けていないため、冷媒回路内で冷凍機油の滞溜が生じるのを防止できる。従って、油戻し回路のような複雑な構成が不要となり、かつ信頼性の高い冷凍サイクル装置を提供することができる。更に、乾き度の低い冷媒を蒸発器4の入口に再循環させることも可能となり、冷媒が二酸化炭素の場合などには乾き度の低い冷媒を再循環させることで、主蒸発器4での伝熱性能を向上できる効果がある。
また、補助蒸発器は、放熱器2の出口部から流出する冷媒を被熱交換媒体とする内部熱交換器10とし、内部熱交換器10に流入する被熱交換媒体の温度が、主蒸発器4に流入する被熱交換媒体の温度よりも高くなるようにしたことにより、内部熱交換器10で被冷却流体との温度差が大きくなるように構成でき、圧縮機1の信頼性を確保しながら蒸発器4、10の熱伝達率の悪い領域を短く抑えて熱交換効率を高めることができ、効率よく熱回収できる効果がある。
また、実施の形態1と同様、主蒸発器4の伝熱面積に対する内部熱交換器10の伝熱面積の比率が0.05以上且つ0.4以下になるように、主蒸発器4と内部熱交換器10を構成することにより、COPの高い冷凍サイクル装置を得ることができる効果がある。
また、実施の形態1と同様、放熱器2とエジェクタ3の間に、駆動流体のエジェクタへの流入量が調節可能な第1減圧手段7を設け、圧縮機1の吸入側の過熱度を最適に制御するため、冷凍サイクル装置を効率よく運転することができる。また、第1減圧手段7によって流量制御することでエジェクタ3として可変絞りエジェクタではなく固定エジェクタを使用できる。このため、可変絞りエジェクタを使用して過膨張や不足膨張することによるエジェクタ効率の低下を防止し、高いエジェクタ効率を安定して得られる。
また、バイパス路25にエジェクタ3の吸引部に流入する吸引流量の調節が可能な第2減圧手段8を設けたことにより、主蒸発器4の出口乾き度を最適に制御できる構成の冷凍サイクル装置が得られる。
また、実施の形態1と同様、エジェクタ3の吸引部に吸引流量が調節可能な第2減圧手段8を設け、主蒸発器4の出口乾き度を最適に制御するため、冷凍サイクル装置を効率よく運転することができる。さらに、冷媒が例えばフロン系冷媒のように乾き度の高いところで良好な熱伝達率が得られる場合には、蒸発器入口乾き度を増加するように制御することもでき、融通性良く運転できる効果がある。
また、実施の形態1と同様、主蒸発器4として液体−冷媒の蒸発器を用いることで、被冷却媒体である液体の熱伝達率が高いので、主蒸発器4において冷媒側で伝熱を促進した効果が、空気−冷媒の蒸発器に適用した場合よりも大きく得られる。このため、大幅に冷凍サイクル装置全体の性能を向上できる。
また、実施の形態1と同様、主蒸発器4から流出する冷媒の乾き度の目標値を目標乾き度として予め設定する目標乾き度設定ステップと、運転中に主蒸発器4から流出する冷媒の乾き度を検出する乾き度検出ステップと、乾き度検出ステップで検出した乾き度が前記目標乾き度になるようにエジェクタ3の吸引部に流入する冷媒流量を制御する吸引流量制御ステップ(STEP30)と、を備えたことにより、主蒸発器4の出口部の冷媒乾き度を運転状況に合わせて制御することができ、冷媒の種類や運転状況に合わせて効率よく運転できる冷凍サイクル装置の制御方法が得られる効果がある。
また、運転中に前記主蒸発器における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出ステップ(STEP27)を備え、前記乾き度検出ステップは、前記蒸発温度検出ステップで検出される前記冷媒の蒸発温度から冷媒の乾き度を推定することにより、特別な乾き度センサを必要としないので、価格を低減でき装置を小型化できる冷凍サイクル装置の制御方法が得られる効果がある。
また、実施の形態1と同様、目標乾き度設定ステップは、冷媒の乾き度に対する熱伝達率の特性、放熱器2と主蒸発器4と内部熱交換器10の冷媒量分布、及び主循環路を流れる冷媒流量から、熱伝達率が高い領域の冷媒乾き度を目標乾き度として設定するようにしたことにより、冷媒の乾き度に対する熱伝達率の特性だけではなく、冷凍サイクル装置全体において運転を最適化でき、システム全体を最適に制御できる冷凍サイクル装置の制御方法が得られる効果がある。
さらに図10のように構成すれば、気液分離器や乾き度センサを用いることなく、低コストでコンパクトな冷凍サイクル装置を提供することができる。また、蒸発器を主蒸発器と内部熱交換器に分割し、熱伝達率の悪い領域を被冷却媒体との温度差の大きい内部熱交換器に移動させたので、圧縮機の信頼性を確保しながら効率の高い冷凍サイクル装置を提供することができる。特に、エジェクタの吸引部に吸引流量が調節可能な第2減圧手段を設け、主蒸発器の出口乾き度を最適に制御するため、冷凍サイクル装置を最適効率で運転することができる。さらに、ショーケースや冷蔵庫のような圧力損失の小さな熱交換器に適用することで、本方式に好適の冷凍サイクル装置を構成することができる。
主蒸発器4の水側出口部には第4温度検出手段24を設け、図6冷媒流量制御手段5
図1、図10の回路構成で、主循環路とバイパス路25との分岐部26は、例えばT字配管やY字配管で構成している。実施の形態1のように乾き度の低い冷媒を再循環させる場合、バイパス路25に導く配管を主循環路の補助蒸発器6、10に導く配管よりも下方に配置すれば、液冷媒の多い乾き度の低い冷媒がエジェクタ3の吸引部に再循環される。また、逆に実施の形態2のように乾き度の高い冷媒を再循環させる場合、バイパス路25に導く配管を主循環路の補助蒸発器6、10に導く配管よりも上方に配置すれば、ガス冷媒の多い乾き度の高い冷媒がエジェクタ3の吸引部に再循環される。
また、この分岐部26に気液分離器を設け、気液分離器の気相に接続する配管と液相に接続する配管とで、乾き度の高低差ができるので、これを利用してもよい。
以上、実施の形態1では主蒸発器4の出口部の乾き度を小さくして、低い乾き度で高い熱交換率を示す例えば二酸化炭素などの冷媒に適した制御を行い、実施の形態2では主蒸発器4の出口部の乾き度を大きくして、高い乾き度で高い熱交換率を示す例えばR404Aなどの冷媒に適した制御を行った例を示した。このように、本発明では、圧縮機1、放熱器2、エジェクタ3、主蒸発器4、及び補助蒸発器6、10を順次循環させて補助蒸発器6、10から流出する過熱状態の冷媒を圧縮機1に吸入させる主循環路と、主蒸発器4と補助蒸発器6、10の間を流れる冷媒の一部をバイパス路25を通ってエジェクタ3の吸引部から主蒸発器4に再循環させる再循環路と、を備えた。これにより、圧縮機1の吸入側に補助蒸発器6、10を設けて、圧縮機1へ過熱度のついた冷媒を吸入させて確実に液戻りを防止でき、且つ主蒸発器4内での伝熱性能を向上できる冷凍サイクル装置が得られる。
主蒸発器4から流出する冷媒の一部を再び主蒸発器4に循環させると、主蒸発器4の冷媒流量を増加できるので、再循環しない構成よりも伝熱性能及び分配性能を向上できる効果がある。さらに主蒸発器4の出口乾き度を主蒸発器4内での熱伝達率が良好となるように制御すれば、主蒸発器4内での伝熱性能を向上できる。
ここで、主蒸発器4の出口乾き度と主蒸発器4内での伝熱性能及び分配性能の関係をまとめて述べる。
目標乾き度を低く設定するのは、乾き度が低い場合に沸騰熱伝達率が増加するような冷媒、例えば二酸化炭素に特に適している。主蒸発器4内の入口部での分配性能に関しては、循環流量と乾き度の低下により、液中に気泡が分散した気泡流となって、再循環しない冷媒状態のときよりも分配性能が向上する。
目標乾き度を高く設定するのは、乾き度が高い場合に主に気液界面からの強制滞留蒸発が増加するような冷媒、例えばR404AやHC冷媒に特に適している。主蒸発器4内の入口部での分配性能に関しては、循環流量と乾き度の増加により、ガス中に液滴が分散した噴霧流となって、再循環しない冷媒状態のときよりも分配性能が向上する。
さらに、主蒸発器4の出口乾き度を冷凍サイクル装置の冷凍能力や構成や冷媒の特性に応じて熱交換効率が良くなるように任意に制御することで、全体システムの性能を最適制御できる冷凍サイクル装置が得られる。特に、本発明の構成では主蒸発器4の出口における最適乾き度の設定範囲を広くでき、全体システムを考慮した最適乾き度で運転できる冷凍サイクル装置を得ることができる。
なお、実施の形態1及び実施の形態2では、第1減圧手段7によって補助蒸発器6、10の出口過熱度を制御し、第2減圧手段8によって主蒸発器4の出口乾き度を制御したが、これに限るものではない。逆に第2減圧手段8によって補助蒸発器6、10の出口過熱度を制御し、第1減圧手段7によって主蒸発器4の出口乾き度を制御することもできる。
また、実施の形態1及び実施の形態2では二酸化炭素やR404Aを用いる例を示したが、これに限るものではない。高圧側で超臨界状態となる二酸化炭素やその他の冷媒を用いても同様の効果を発揮する。さらにR410AやR404Aなどのフロン系冷媒やR290などのHC冷媒を循環させる冷凍サイクル装置においても主蒸発器4と補助蒸発器6、10を設けることで、上記と同様の効果を奏する。
また、実施の形態1及び実施の形態2では固定エジェクタを備えた冷凍サイクル装置について説明したが、可変絞りエジェクタを備えた冷凍サイクル装置に適用することもできる。ただし、この場合には駆動流量の制御を可変絞りエジェクタで行うので、第1減圧装置7の必要がなくなり、制御手段31の動作は異なるものとなる。
また、実施の形態1及び実施の形態2では1つの主蒸発器4を備えた冷凍サイクル装置について説明したが、主蒸発器を複数並列に備え、その冷媒流れの下流側に補助蒸発器を備えた装置においても同様の効果を奏する。例えば冷房装置の場合、複数の主蒸発器によって複数の部屋の冷房を行うように構成された冷凍サイクル装置に適用してもよい。このような構成においても、主蒸発器での伝熱性能を向上でき、冷凍サイクル装置のCOPを向上できと共に、圧縮機への液戻りを確実に防止して圧縮機の信頼性を向上できる効果を奏する。
また、実施の形態1及び実施の形態2では主蒸発器や補助蒸発器の冷熱を利用するものとして説明したがこれに限るものではない。例えば放熱器側で給湯や暖房を行う冷凍サイクル装置としてもよい。放熱器側の温熱を利用する場合においても、蒸発器の伝熱性能を向上することで冷凍サイクル装置のCOPを向上できと共に、圧縮機への液戻りを確実に防止して圧縮機の信頼性を向上できる効果を奏する。