JP2008150697A - 電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧延方向および圧延直角方向の透磁率(磁束密度)がともに高い正キューブ方位を有する二次再結晶粒からなる電磁鋼板を提供する。
【解決手段】電磁鋼板の製造方法において、 鋼中へのAl添加量を0.001〜0.009%と従来よりも低減し、さらにSe、S、O、Nをそれぞれ30ppm以下に低減し、鋼中にSnを0.01〜0.20%の範囲で含有させると共に、脱炭・再結晶焼鈍における500〜750℃間の平均昇温速度を20℃/s以上とし、その後最終仕上げ焼鈍を施す。
【選択図】図1
【解決手段】電磁鋼板の製造方法において、 鋼中へのAl添加量を0.001〜0.009%と従来よりも低減し、さらにSe、S、O、Nをそれぞれ30ppm以下に低減し、鋼中にSnを0.01〜0.20%の範囲で含有させると共に、脱炭・再結晶焼鈍における500〜750℃間の平均昇温速度を20℃/s以上とし、その後最終仕上げ焼鈍を施す。
【選択図】図1
Description
本発明は、主としてモータや発電機等の鉄心材料として好適な圧延方向と圧延直角方向の磁気特性に優れる電磁鋼板の製造方法に関するものである。
電磁鋼板の磁気特性は、結晶方位の影響を受け、優れた磁気特性を得るためには磁化容易軸<001>が鋼板面に平行になっている必要があることが知られている。
ところで、従来の電磁鋼板は、一般用冷延鋼板、それを脱炭した低級品、あるいはSiを添加し、さらに不純物を減少して鉄損を低減した無方向性電磁鋼板または二次再結晶を利用して{110}<001>方位を優先成長させた一方向性電磁鋼板または{100}<001>方位を発達させた二方向性電磁鋼板に分かれている。しかしながら、従来の無方向性電磁鋼板は、集合組織の発達が弱く、鋼板面内に<001>軸が平行である結晶粒の数が少ないために、良好な磁気特性を得るには至っていない。
ところで、従来の電磁鋼板は、一般用冷延鋼板、それを脱炭した低級品、あるいはSiを添加し、さらに不純物を減少して鉄損を低減した無方向性電磁鋼板または二次再結晶を利用して{110}<001>方位を優先成長させた一方向性電磁鋼板または{100}<001>方位を発達させた二方向性電磁鋼板に分かれている。しかしながら、従来の無方向性電磁鋼板は、集合組織の発達が弱く、鋼板面内に<001>軸が平行である結晶粒の数が少ないために、良好な磁気特性を得るには至っていない。
変圧器の鉄心材料として最も一般的に使用されている、{110}<001>方位(ゴス方位)に集積した結晶粒からなる一方向性電磁鋼板は、圧延方向に<001>が高度に集積しているため、圧延方向に磁化する場合には優れた磁気特性を示す。しかしながら、面内には最も磁化が困難な<111>軸が含まれているため、この方向に磁化する場合には磁気特性は極めて悪い。そのため、変圧器のように一方向の磁気特性が良好であればよい用途には有効であるが、モータや発電機の鉄心材料のように面内のあらゆる方向で良好な磁気特性が必要とされる場合には、一方向性電磁鋼板を使用しても良好な磁気特性は得られない。
これらの電磁鋼板に対し、{100}を圧延面とする組織を持つ電磁鋼板を製造することができれば、圧延面内には<100>軸が多く、また面内に<111>軸が存在しないために、非常に有利である。特に圧延面において<001>軸の方向がランダムな{100}<uvw>組織は、面内における磁気特性の異方性が全く無く、モータ用の材料として理想的である。そのため、{100}組織を発達させる技術が古くから試みられてきた。
例えば、無方向性電磁鋼板の製造方法において、冷間圧延の圧下率を85%以上好ましくは90%以上とし、700〜1200℃で1分から1時間の長時間にわたって焼鈍を施す方法が、特許文献1に開示されている。しかしながら、この方法では、圧延後に{100}組織が発達はするものの、再結晶させると{111}組織も発達するために、良好な磁気特性は得られない。
特公昭51−942号公報
また、特許文献2には、冷間圧延後の再結晶時にγ相からα相への相変態における冷却速度を制御することによって{100}組織を発達させる方法が開示されている。しかしながら、この方法は、再結晶時にγ変態を起こすことが前提になるので、α相を安定化するSi量を高めることはできない。例えば、C,Mnを含まない場合には、Si量が約2%以上になるとγ変態は起こらず、その場合にはこの技術を適用することができない。このように、この方法は、鉄損を低減させるために有効なSiの増量を利用することができない不利な方法といえる。
特公昭57−14411号公報
さらに、特許文献3には、C:0.006〜0.020%を含む成分の鋼を、冷間圧延後、900〜 1100℃に加熱して再結晶させたのち、900℃以下の温度で脱炭焼鈍する技術が開示されている。この技術により得られる磁気特性は、実施例1によると圧延方向および圧延方向と直角方向の磁束密度B50の平均値で1.66〜1.68T程度にすぎず、従って鋼板面内における<001>軸の集積度は低いものと考えられる。
以上述べたように、無方向性電磁鋼板の製造法に改良を加える従来の技術では、集積度の高い{100}組織を得ることができず、従って磁気特性の改善は不十分であった。
特開平5−5126号公報
以上述べたように、無方向性電磁鋼板の製造法に改良を加える従来の技術では、集積度の高い{100}組織を得ることができず、従って磁気特性の改善は不十分であった。
一方、二次再結晶で{100}<001>組織を発達させる、いわゆる二方向性電磁鋼板の製造方法も古くから検討されてきた。
例えば、特許文献4には、一方向に冷間圧延したのち、さらにこの冷延方向と交差する方向に冷間圧延を加え、短時間焼鈍と900〜1300℃の高温焼鈍を行う、クロス圧延によって、{100}<001>方位粒をインヒビターを利用して二次再結晶させる方法が、また特許文献5には、熱延方向に対して直角の方向に50〜90%の圧下率で冷延し、ついで一次再結晶を目的とする焼鈍を施したのち、二次再結晶と純化を目的とする最終仕上焼鈍を施して、{100」<001>方位粒をAlNを利用して二次再結晶させる方法が、それぞれ開示されている。しかしながら、これらの方法はいずれもクロス圧延や特殊な最終仕上げ焼鈍など製造コストの増加を余儀なくされる工程を必要とするため、現実的なキューブ組織鋼板の製造方法とはいえなかった。
特公昭35−2657号公報
特開平4−362132号公報
例えば、特許文献4には、一方向に冷間圧延したのち、さらにこの冷延方向と交差する方向に冷間圧延を加え、短時間焼鈍と900〜1300℃の高温焼鈍を行う、クロス圧延によって、{100}<001>方位粒をインヒビターを利用して二次再結晶させる方法が、また特許文献5には、熱延方向に対して直角の方向に50〜90%の圧下率で冷延し、ついで一次再結晶を目的とする焼鈍を施したのち、二次再結晶と純化を目的とする最終仕上焼鈍を施して、{100」<001>方位粒をAlNを利用して二次再結晶させる方法が、それぞれ開示されている。しかしながら、これらの方法はいずれもクロス圧延や特殊な最終仕上げ焼鈍など製造コストの増加を余儀なくされる工程を必要とするため、現実的なキューブ組織鋼板の製造方法とはいえなかった。
これに対し、特許文献6には、鋼成分として、Al:0.0010〜0.012mass%を含有し、Se,S,O,Nをそれぞれ30ppm以下にすると共に、最終圧延前における平均粒径を100μm以上とすることで、好ましい程度に発達した{100}<001>組織を得る技術が開示されている。この技術では、従来の製造方法に比べて、極めて安価に{100}<001>近傍組織の鋼板が得られるものの、圧延前の平均粒径を100μm以上に制御することが成分の変動の影響を受けるために困難なことから、必ずしも圧延直角方向の磁気特性に優れた製品が得られず、製品歩留りの低下を招くという欠点があった。また、圧延前の平均粒径の増加に伴う圧延性の劣化という問題も発生していた。
特開2000−309859号公報
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、特許文献6の技術を基礎として、圧延方向とともに圧延直角方向の透磁率(磁束密度)が高い正キューブ方位を有する二次再結晶粒からなる電磁鋼板を、生産性良く安定して製造することができる方法を提案することを目的とする。
ここで、モータや発電機の鉄心用の材料としては、圧延方向の磁束密度B50が1.80T以上、圧延直角方向の磁束密度B50が1.75T以上であることが望ましい。
本発明では、このような材料を安価かつ安定的に製造する方法の確立を目的とした。また、このような特性を有する{100}<001>に近い方位(方位差20°以内)をもつ方位を総称して、本発明では「正キューブ方位」と呼ぶこととした。
本発明では、このような材料を安価かつ安定的に製造する方法の確立を目的とした。また、このような特性を有する{100}<001>に近い方位(方位差20°以内)をもつ方位を総称して、本発明では「正キューブ方位」と呼ぶこととした。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋼中の添加元素と再結晶焼鈍方法について鋭意研究を重ねた結果、鋼中へのAl添加量を従来よりも低減し、さらにSe,S,O,Nを低減することによる圧延方向および圧延直角方向の磁束密度の高い電磁鋼板の製造方法において、鋼中に適量のSnを添加するととともに、脱炭・再結晶焼鈍における500〜750℃の温度域の昇温速度を20℃/s以上とすることにより、たとえ最終冷延前の平均結晶粒径が100μmに満たない場合であっても最終仕上げ焼鈍後に安定して正キューブ組織を得ることができることの新規知見を得た。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.003〜0.080%、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜3.0%、Al:0.0010〜0.0090%およびSn:0.01〜0.20%を含み、かつS,Se,O,Nをそれぞれ30ppm以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、ついで脱炭・再結晶焼鈍後、必要に応じて焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる電磁鋼板の製造方法において、
該脱炭・再結晶焼鈍における500〜750℃間の平均昇温速度を20℃/s以上とすることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
1.質量%で、C:0.003〜0.080%、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜3.0%、Al:0.0010〜0.0090%およびSn:0.01〜0.20%を含み、かつS,Se,O,Nをそれぞれ30ppm以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、ついで脱炭・再結晶焼鈍後、必要に応じて焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる電磁鋼板の製造方法において、
該脱炭・再結晶焼鈍における500〜750℃間の平均昇温速度を20℃/s以上とすることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
2.上記1において、最終冷間圧延前の焼鈍温度を900℃以上 1000℃未満とすることを特徴する電磁鋼板の製造方法。
3.上記1または2において、鋼スラブが、質量%でさらに、Sb:0.005〜0.50%,Cu:0.01〜0.50%,Mo:0.005〜0.50%およびCr:0.01〜1.0%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、必ずしも最終冷延前の焼鈍温度を1000℃以上の高温として最終冷延前の結晶粒径を平均粒径で100μm以上とせずとも、最終仕上焼鈍時に正キューブ組織を適度に発達させることができ、その結果、圧延方向はいうまでもなく圧延直角方向の磁束密度が高い電磁鋼板を、高い製造歩留りと低い製造コストの下で安定して製造することができる。
以下、本発明を由来するに到った実験結果について説明する。なお、鋼板の成分組成に関する「%」表示は特に断らない限りmass%(質量%)を意味するものとする。
実験1
添加元素の効果を明らかにするために、表1に示す成分の鋼塊を溶製し、1150℃に加熱後、熱間圧延により2.2mm厚の熱延板とした後、950℃,1050℃で30秒間保持する熱延板焼鈍を施してから、200℃の温度で冷間圧延して0.30mmの最終板厚に仕上げたのち、850℃,15秒間の再結晶焼鈍を施した。ここで、再結晶焼鈍の昇温速度(500〜750℃間)は15℃/sまたは25℃/sとした。ついで、焼鈍分離剤を塗布してから、900℃,30時間の最終仕上げ焼鈍を施したのち、圧延方向および圧延直角方向の試片(30mm×280mm)を切り出し、エプスタイン試験法により圧延方向および圧延直角方向の磁気特性を測定した。
得られた結果を表1に併記する。
実験1
添加元素の効果を明らかにするために、表1に示す成分の鋼塊を溶製し、1150℃に加熱後、熱間圧延により2.2mm厚の熱延板とした後、950℃,1050℃で30秒間保持する熱延板焼鈍を施してから、200℃の温度で冷間圧延して0.30mmの最終板厚に仕上げたのち、850℃,15秒間の再結晶焼鈍を施した。ここで、再結晶焼鈍の昇温速度(500〜750℃間)は15℃/sまたは25℃/sとした。ついで、焼鈍分離剤を塗布してから、900℃,30時間の最終仕上げ焼鈍を施したのち、圧延方向および圧延直角方向の試片(30mm×280mm)を切り出し、エプスタイン試験法により圧延方向および圧延直角方向の磁気特性を測定した。
得られた結果を表1に併記する。
同表に示したように、Snを添加していない場合には熱延板焼鈍温度を1050℃まで高温としなければ、圧延直角方向の磁束密度B50が1.80Tを超えることはなく、正キューブ組織が得られていないのに対し、Snを添加すると共に、再結晶焼鈍の昇温速度を25℃/sとすることで熱延板焼鈍温度が950℃の場合にも圧延直角方向のB50が1.80Tを超えるレベルにまで達しており、熱延板焼鈍温度によらず安定して正キューブ組織が得られることが判明した。
ここで、鋼塊1と鋼塊2の熱延板焼鈍後の平均粒径はいずれも、熱延板焼鈍温度が950℃の場合は65μm、1050℃の場合は110μmであった。
従って、Snを添加した鋼塊2では、最終冷間圧延前の平均粒径が100μmに満たない場合であったも安定して正キューブ方位の結晶粒が二次再結晶したといえる。
このように、Snを添加し、さらに再結晶焼鈍の昇温速度を25℃/sとすることにより、最終冷延前粒径が100μmに満たない場合であっても正キューブ方位の鋼板が得られることから、最終冷延での割れ等を防止することが可能となり、安定的に歩留り良く生産することが可能となる。
従って、Snを添加した鋼塊2では、最終冷間圧延前の平均粒径が100μmに満たない場合であったも安定して正キューブ方位の結晶粒が二次再結晶したといえる。
このように、Snを添加し、さらに再結晶焼鈍の昇温速度を25℃/sとすることにより、最終冷延前粒径が100μmに満たない場合であっても正キューブ方位の鋼板が得られることから、最終冷延での割れ等を防止することが可能となり、安定的に歩留り良く生産することが可能となる。
また、鋼中にSnを適量添加すると共に、再結晶焼鈍の昇温速度を25℃/sとし、さらに最終冷延前の焼鈍を1050℃とすることで冷延前の平均粒径を110μmまで粗大化した場合には、平均磁束密度(L+C+2D)/4で1.86Tに達する優れた特性が得られている。
実験2
次に、Snの適正範囲を明らかにするための実験を行った。
C:0.004%,Si:2.5%,Mn:0.10%,O:0.0010%,N:0.0010%,Al:0.0020%,S:0.0010%,Se≦0.0003%およびSn:0〜0.5%を含有する鋼塊を溶製し、1150℃に加熱後、熱間圧延により2.2mm厚の熱延板とし、ついで950℃,30秒間の熱延板焼鈍後、200℃の温度で冷間圧延して0.30mmの最終板厚としたのち、850℃に15秒間保持する再結晶焼鈍を施した。ここで、再結晶焼鈍の昇温速度(500〜750℃間)は25℃/sとした。
ついで、焼鈍分離剤を塗布してから、900℃,30時間の最終仕上げ焼鈍を施したのち、圧延方向および圧延直角方向の試片(30mm×280mm)を切り出し、エプスタイン試験法により圧延方向および圧延直角方向の磁気特性を測定した。
得られた結果を図1に示す。
次に、Snの適正範囲を明らかにするための実験を行った。
C:0.004%,Si:2.5%,Mn:0.10%,O:0.0010%,N:0.0010%,Al:0.0020%,S:0.0010%,Se≦0.0003%およびSn:0〜0.5%を含有する鋼塊を溶製し、1150℃に加熱後、熱間圧延により2.2mm厚の熱延板とし、ついで950℃,30秒間の熱延板焼鈍後、200℃の温度で冷間圧延して0.30mmの最終板厚としたのち、850℃に15秒間保持する再結晶焼鈍を施した。ここで、再結晶焼鈍の昇温速度(500〜750℃間)は25℃/sとした。
ついで、焼鈍分離剤を塗布してから、900℃,30時間の最終仕上げ焼鈍を施したのち、圧延方向および圧延直角方向の試片(30mm×280mm)を切り出し、エプスタイン試験法により圧延方向および圧延直角方向の磁気特性を測定した。
得られた結果を図1に示す。
同図に示したとおり、Sn添加量が0.01〜0.20%の場合に圧延方向B50≧1.80T、圧延直角方向B50≧1.75Tの目標とする特性が得られており、Sn添加量として0.01〜0.20%の範囲が適正であることが判明した。
実験3
続いて、再結晶焼鈍の昇温速度の適正範囲を求めるための実験を行った。
C:0.004%,Si:2.5%,Mn:0.10%,O:0.0010%,N:0.0010%,Al:0.0020%,S:0.0010%,Se≦0.0003%およびSn:0.02%または0%を含有する鋼塊を溶製し、1150℃に加熱後、熱間圧延により2.2mm厚の熱延板とし、ついで950℃,30秒間の熱延板焼鈍後、200℃の温度で冷間圧延して0.30mnの最終板厚としたのち、850℃に15秒間保持する再結晶焼鈍を施した。ここで、再結晶焼鈍の昇温速度(500〜750℃間)を5〜70℃/sの間で種々に変化させた。
ついで、焼鈍分離剤を塗布してから、1900℃、30時間の最終仕上げ焼鈍を施したのち、圧延方向および圧延直角方向の試片(30mm×280mm)を切り出し、エプスタイン試験法により圧延方向および圧延直角方向の磁気特性を測定した。
圧延直角方向のB50の変化を図2に示す。なお、圧延方向のB50は全ての範囲で1.80T以上であった。
続いて、再結晶焼鈍の昇温速度の適正範囲を求めるための実験を行った。
C:0.004%,Si:2.5%,Mn:0.10%,O:0.0010%,N:0.0010%,Al:0.0020%,S:0.0010%,Se≦0.0003%およびSn:0.02%または0%を含有する鋼塊を溶製し、1150℃に加熱後、熱間圧延により2.2mm厚の熱延板とし、ついで950℃,30秒間の熱延板焼鈍後、200℃の温度で冷間圧延して0.30mnの最終板厚としたのち、850℃に15秒間保持する再結晶焼鈍を施した。ここで、再結晶焼鈍の昇温速度(500〜750℃間)を5〜70℃/sの間で種々に変化させた。
ついで、焼鈍分離剤を塗布してから、1900℃、30時間の最終仕上げ焼鈍を施したのち、圧延方向および圧延直角方向の試片(30mm×280mm)を切り出し、エプスタイン試験法により圧延方向および圧延直角方向の磁気特性を測定した。
圧延直角方向のB50の変化を図2に示す。なお、圧延方向のB50は全ての範囲で1.80T以上であった。
図2に示したように、Snを含有する素材において 再結晶焼鈍の際、500〜750℃の温度域の昇温速度を20℃/s以上とすることにより、圧延方向B50≧1.80Tで、かつ圧延直角方向B50≧1.75という目標とする特性が得られた。 また、昇温速度を25℃/s以上とした場合には、圧延直角方向B50≧1.80Tと特に優れた特性が得られており、さらに40℃/s以上とすることで圧延直角方向のB50は1.83T以上に向上している。
本発明に従い、鋼成分としてSnを0.01〜0.20%含有させると共に、再結晶焼鈍の 500〜750℃間の昇温速度を20℃/s以上とすることにより、最終冷延前粒径が100μmに満たない場合であっても、正キューブに集積した集合組織を、二次再結晶後に得ることができる。
この理由については、まだ明確に解明されたわけではないが、発明者らは次のように推察している。
この理由については、まだ明確に解明されたわけではないが、発明者らは次のように推察している。
2次再結晶により正キューブ組織を得ようとする場合、競合するゴス方位の組織が2次再結晶粒として成長するのを抑制する必要がある。このためには、発明者らは、ゴス方位と結晶粒界エネルギーが最も高くなる{111}<112>付近の方位の強度を低下させるのがよいとの考えを得るに至った。
ところで、従来のゴス方位を有する一方向性電磁鋼板の製造法においては、ゴス方位を含む{110}方位の一次再結晶粒を増加させる目的で再結晶焼鈍の昇温速度を高くする方法が用いられることがあった。しかしながら、この作用が強く働くとゴス方位の成長性が増加するため、正キューブ組織の発達をかえって阻害することになる。
一方で、再結晶焼鈍の昇温速度増加により一次再結晶組織中の{111}強度が低下することから、本発明では、昇温速度増加による{111}強度の低下が正キューブ組織の成長性向上に有効に寄与したと考えられる。ただし、実際には、図2に示したように、再結晶焼鈍の昇温速度増加のみでは二次再結晶による正キューブの発達には至らなかった。この理由は、一次再結晶組織の{100}強度が不足したまま{111}強度を低下させただけでは、正キューブ方位が二次再結晶しなかったためと考えられる。
これに対し、適量のSnを添加することで、一次再結晶組織中の{100}強度が増加して二次再結晶による正キューブ方位が成長し易くなったものと推定される。Sn添加による一次再結晶組織改善の機構については明らかではないが、鋼中のSnが圧延前の結晶粒界に偏析することで粒界の性格が変化し、結晶粒界からの{111}方位の生成を抑制する結果、あたかも冷延前粒径が粗大となった場合と同様の効果がもたらされたと考えられる。ただし、Sn添加についても表1に示したように、これのみでは最終冷延前の焼鈍温度が低く結晶粒径が100μmに満たないような場合には、圧延直角方向の磁気特性の改善には至らない。
本発明は、上記のように、再結晶焼鈍の昇温速度増加による正キューブ組織の発達阻害因子の排除と、Sn添加による良好方位の増加を、同時に達成することによって得られる特段の効果であり、これらが一方でも欠けると、最終冷延前の粒径が100μmに満たないような条件では二次再結晶後に正キューブ組織を得ることができない。
すなわち、本発明では、一次再結晶組織中のゴス強度の増加と{111}方位の抑制という2つの作用を持つ再結晶焼鈍の昇温速度増加に関し、Sn添加による{100}強度の増加を組み合わせることで、正キューブ組織発達に不利な前者({110}方位増)の効果に対して後者({111}方位減)の効果を、効果的に抽出したことに成功していると考えられる。
また、本発明の方法において、圧延前の結晶粒径が100μm以上となる場合は、上記の効果と相乗して、さらに優れた方位集積度を実現するものと推定される。
また、本発明の方法において、圧延前の結晶粒径が100μm以上となる場合は、上記の効果と相乗して、さらに優れた方位集積度を実現するものと推定される。
ここで、正キューブ方位を有する二方向性電磁鋼板の製造方法として、特開平5−287384号公報に、冷間圧延後に200℃から800℃までの平均昇温速度を10℃/min(0.17℃/s)以上とする技術が開示されているが、この技術は、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N:0.0120%以下という、本発明に比べるとインヒビター成分を多量に含有する成分系において、圧延直角方向の圧延を行う手法により、二次再結晶後に正キューブ組織を発達させる手法である。従って、Al,N量を低減し、かつ圧延直角方向の圧延なしに安価に正キューブ組織の鋼板を得ることができる本発明とは、技術内容が根本的に異なる技術といえる。この技術での再結晶焼鈍における平均昇温速度の好適範囲は、0.17℃/s以上と、一般的な再結晶焼鈍の昇温速度範囲のほぼ全てを含む範囲であることから、正キューブ組織の発達に有利な一次再結晶組織の制御のほとんどはインヒビターの含有量と圧延直角方向の圧延により担われているものと考えられる。
また、特開2000−309859号公報には、最終冷間圧延前の粒径を100μm以上とする技術において、鋼中にSn等を含有させる方法が開示されているが、Sn添加による特段の効果は何ら示されていない。その理由は、本発明で見い出した再結晶焼鈍における昇温速度の効果が組み合わされていないからである。
以下、本発明の構成要件の限定理由について述べる。
まず、本発明において、鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
まず、本発明において、鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
Si:2.0〜8.0%
電磁鋼板の製造において、素材の必須成分としてSiを2.0〜8.0%の範囲で含有させる必要がある。というのは、含有量が2.0%に満たないと満足いくほどの鉄損の低減が望めず、一方8.0%を超えると加工性が劣化するからである。
電磁鋼板の製造において、素材の必須成分としてSiを2.0〜8.0%の範囲で含有させる必要がある。というのは、含有量が2.0%に満たないと満足いくほどの鉄損の低減が望めず、一方8.0%を超えると加工性が劣化するからである。
C:0.003〜0.080%
Cは、結晶粒内における局所変形を促進させ、正キューブ組織の発達を促して磁気特性を向上させるのに有効に寄与する。しかしながら、含有量が0.003%に満たないと{100}<001>粒の生成効果が小さくなるために磁束密度の低下を招き、一方0.080%を超えると脱炭焼鈍で除去することが困難になるだけでなく、熱延板焼鈍時に部分的にγ変態を起こし100μm以上の粗大な冷延前粒径を過度に微細化するため、C量は0.003〜0.080%の範囲に限定した。
Cは、結晶粒内における局所変形を促進させ、正キューブ組織の発達を促して磁気特性を向上させるのに有効に寄与する。しかしながら、含有量が0.003%に満たないと{100}<001>粒の生成効果が小さくなるために磁束密度の低下を招き、一方0.080%を超えると脱炭焼鈍で除去することが困難になるだけでなく、熱延板焼鈍時に部分的にγ変態を起こし100μm以上の粗大な冷延前粒径を過度に微細化するため、C量は0.003〜0.080%の範囲に限定した。
Mn:0.005〜3.0%
Mnは、熱間加工性を改善するのに有用な元素であるが、含有量が0.005%未満ではその効果に乏しく、一方3.0%を超えると二次再結晶が困難となるので、Mn量は0.005〜3.0%の範囲に限定した。
Mnは、熱間加工性を改善するのに有用な元素であるが、含有量が0.005%未満ではその効果に乏しく、一方3.0%を超えると二次再結晶が困難となるので、Mn量は0.005〜3.0%の範囲に限定した。
Al:0.0010〜0.0090%
Alは、その含有量を従来よりも少ない0.0010〜0.0090%の範囲に制限することにより、仕上焼鈍時に正キューブ粒を適度に発達させることができる。ここに、Al量が0.0010%に満たないと正キューブ方位の集積度が低下して良好な磁束密度が得られず、一方0.0090%を超えると、やはり正キューブ方位の集積度が低下するだけでなく、ゴス方位が増加して、圧延直角方向の磁気特性の劣化を招くので、Al量は0.0010〜0.0090%の範囲に限定した。
Alは、その含有量を従来よりも少ない0.0010〜0.0090%の範囲に制限することにより、仕上焼鈍時に正キューブ粒を適度に発達させることができる。ここに、Al量が0.0010%に満たないと正キューブ方位の集積度が低下して良好な磁束密度が得られず、一方0.0090%を超えると、やはり正キューブ方位の集積度が低下するだけでなく、ゴス方位が増加して、圧延直角方向の磁気特性の劣化を招くので、Al量は0.0010〜0.0090%の範囲に限定した。
Sn:0.01〜0.20%
Snの添加により、再結晶焼鈍後の一次再結晶組織中の{100}方位の存在比率が増加し、正キューブ方位の二次再結晶を促進させることができる。ただし{100}方位の増加のみではゴス方位の成長を抑制することができないため、再結晶焼鈍の昇温速度の増加と併用することで正キューブ方位の二次再結晶を促す効果を発揮する。ここに、Sn含有量が0.01%に満たない場合、上記の効果が発揮されず磁気特性が不良となり、一方0.20%を超えて添加した場合は二次再結晶に悪影響を及ぼしてやはり磁気特性を劣化させるため、Sn量は0.01〜0.20%の範囲に限定した。
Snの添加により、再結晶焼鈍後の一次再結晶組織中の{100}方位の存在比率が増加し、正キューブ方位の二次再結晶を促進させることができる。ただし{100}方位の増加のみではゴス方位の成長を抑制することができないため、再結晶焼鈍の昇温速度の増加と併用することで正キューブ方位の二次再結晶を促す効果を発揮する。ここに、Sn含有量が0.01%に満たない場合、上記の効果が発揮されず磁気特性が不良となり、一方0.20%を超えて添加した場合は二次再結晶に悪影響を及ぼしてやはり磁気特性を劣化させるため、Sn量は0.01〜0.20%の範囲に限定した。
Se,S,O,N:それぞれ30ppm以下
Se,S,OおよびNはいずれも、正キューブ組織の発現を著しく阻害し、また後工程で除去が困難なので、いずれも溶鋼成分において30ppm以下、望ましくは20ppm以下に低減する必要がある。
Se,S,OおよびNはいずれも、正キューブ組織の発現を著しく阻害し、また後工程で除去が困難なので、いずれも溶鋼成分において30ppm以下、望ましくは20ppm以下に低減する必要がある。
以上、必須成分および抑制成分について説明したが、本発明では、その他にも、鉄損を向上させる目的で、Sb,Cu,MoおよびCrのうちから選んだ1種または2種以上を適宜含有させることができる。但し、これらの添加量はそれぞれSb:0.005〜0.50%,Cu:0.01〜0.50%,Mo:0.005〜0.50%,Cr:0.01〜1.0%とすることが好ましい。それぞれの添加量が下限値に満たない場合には鉄損の改善効果に乏しく、一方上限値を超えると正キューブ組織の発達が阻害される。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の好適製造条件について説明する。
上記の好適成分組成に調整した溶鋼は、通常の造塊法または連続鋳造法でスラブとする。また、100mm以下の厚さの薄鋳片を直接鋳造法で製造してもよい。
スラブは、通常の方法で加熱したのち、熱間圧延に供するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延に供しても良い。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を施しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めても良い。
上記の好適成分組成に調整した溶鋼は、通常の造塊法または連続鋳造法でスラブとする。また、100mm以下の厚さの薄鋳片を直接鋳造法で製造してもよい。
スラブは、通常の方法で加熱したのち、熱間圧延に供するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延に供しても良い。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を施しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めても良い。
ついで、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、脱炭・一次再結晶焼鈍後、必要に応じて焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を施すことにより、正キューブ組織を発達させる。
その後、必要に応じて絶縁コーティングを施す。
その後、必要に応じて絶縁コーティングを施す。
本発明では、上記の製造工程において、再結晶焼鈍における500〜750℃間の平均昇温速度を20℃/s以上、望ましくは25℃/s以上、さらに望ましくは40℃/s以上とすることが肝要である。この昇温速度が20℃/sに満たない場合は、一次再結晶組織中にゴス方位の成長に有利な{111}<112>組織の存在割合が高くなり、二次再結晶によってキューブ方位が発達しなくなる。一方、再結晶焼鈍における500〜750℃間の平均昇温速度を20℃/s以上とすることで{111}<112>方位の存在比率が低下し、Sn添加による{100}方位の増加が同時に達成されることで、正キューブ方位が二次再結晶する。この結果、圧延方向の磁束密度B50が1.80Tを超えると共に、圧延直角方向の磁束密度が1.75T以上となる。さらに、平均昇温速度を25℃/s 以上とすることで圧延直角方向のB50も1.80T以上となる。
制御加熱を施すべき温度範囲を500〜750℃としたのは、この温度域で再結晶粒の核が生成するため、集合組織への影響が強く、この温度域での昇温速度を適正に制御することで{111}<112>方位の低減を図ることが可能だからである。
また、本発明では、上記の方策によって、従来のように最終冷延前の結晶粒径を100μm以上まで粗大化させる必要がないため、その後の冷間圧延での割れの発生等を防止することができる。ただし、結晶粒内からの{100}組織の生成頻度を確保する観点からは、最終冷延前の粒径は60μm以上とすることが好ましい。このような観点で、生産性良く正キューブ組織の鋼板を造ろうとする場合、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を60〜100μmとするためには、最終冷間圧延前の焼鈍温度は900℃以上 1000℃未満とするのよい。
一方、より集積度の高い正キューブ組織を得ようとする場合、冷間圧延性などの製造上の制約が許す範囲で、最終冷延前の結晶粒径はできるだけ粗大化することが望ましい。このためには、1000℃以上の温度の焼鈍を最終冷間圧延の前に施して圧延前の粒径を100μm以上に粗大化させることは、磁気特性を向上させる上で有用である。さらに、中間焼鈍を冷間圧延の間に挟むことも磁気特性の安定化に有用である。
また、最終の冷間圧延により最終板厚に仕上げるが、その際の圧下率は、正キューブ組織を発達させるためには70〜90%程度とすることが好適である。また、最終冷間圧延の少なくとも1パスの温度を100〜350℃にすることにより、正キューブ組織をより発達させ、磁気特性の向上を図ることができる。なお、圧延温度が100℃に満たないと組織改善効果が十分とはいい難く、一方350℃を超えると動的歪時効による圧延荷重の変動により圧延性が低下する。
最終冷延後の再結晶焼鈍は、750〜950℃の温度範囲で行うことが好適である。この際、素材C量が多い場合には、湿潤水素雰囲気中で行い、C量は磁気時効の起こらない50ppm以下に低減することが好ましい。最終冷間圧延後あるいは脱炭焼鈍後に浸珪法によってSi量を増加させる技術を併用してもよい。また、仕上焼鈍は850〜1050℃の温度範囲が好ましく、850℃未満、1050℃超では共に二次再結晶の進行が阻害される。そして、二次再結晶を完了させるためには30時間以上この温度範囲に保定することが望ましい。
また、鋼板を積層して使用する場合には、鉄損を改善するために、鋼板表面に絶縁コーティングを施すことが有効である。この目的のためには2種類以上の被膜からなる多層膜であってもよい。さらに、用途に応じて、樹脂等を混合させたコーティングを施してもよい。特に張力を付与する燐酸塩を主体とする絶縁コーティングは、鉄損や騒音を低下させる上で有効である。
また、鋼板を積層して使用する場合には、鉄損を改善するために、鋼板表面に絶縁コーティングを施すことが有効である。この目的のためには2種類以上の被膜からなる多層膜であってもよい。さらに、用途に応じて、樹脂等を混合させたコーティングを施してもよい。特に張力を付与する燐酸塩を主体とする絶縁コーティングは、鉄損や騒音を低下させる上で有効である。
実施例1
次に示すA,B2種類の組成になる鋼スラブを、1150℃で30分間加熱してから、熱間圧延により2.2mm厚に仕上げた。
(A) C:0.010%,Si:2.8%,Mn:0.15%,Al:0.0050%,Se:2ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm。
(B) C:0.010%,Si:2.8%,Mn:0.15%,Al:0.0050%,Se:2ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.06%。
ついで、表2に示す条件で熱延板焼鈍を行ったのち、酸洗処理後、圧延による加工発熱で圧延直後の温度にして200℃となる条件で6パスの冷間圧延により0.30mmの最終板厚に仕上げた。その後、水素:75%、窒素:25%、露点:50℃の雰囲気中にて930℃、均熱時間:30秒の再結晶焼鈍を行い、鋼中Cを10ppmまで低減した。この再結晶焼鈍においては、表2に示すように、500〜750℃間の平均昇温速度を10〜60℃/sの間で種々に変化させた。
次に示すA,B2種類の組成になる鋼スラブを、1150℃で30分間加熱してから、熱間圧延により2.2mm厚に仕上げた。
(A) C:0.010%,Si:2.8%,Mn:0.15%,Al:0.0050%,Se:2ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm。
(B) C:0.010%,Si:2.8%,Mn:0.15%,Al:0.0050%,Se:2ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.06%。
ついで、表2に示す条件で熱延板焼鈍を行ったのち、酸洗処理後、圧延による加工発熱で圧延直後の温度にして200℃となる条件で6パスの冷間圧延により0.30mmの最終板厚に仕上げた。その後、水素:75%、窒素:25%、露点:50℃の雰囲気中にて930℃、均熱時間:30秒の再結晶焼鈍を行い、鋼中Cを10ppmまで低減した。この再結晶焼鈍においては、表2に示すように、500〜750℃間の平均昇温速度を10〜60℃/sの間で種々に変化させた。
ついで、窒素雰囲気中にて950℃、35時間の最終仕上焼鈍を行った。その後、900℃に30秒間保持する平坦化焼鈍を施した後、重クロム酸アルミニウム、エマルジョン樹脂、エチレングリコールを混合したコーティング液を塗布し、300℃で焼き付けて、製品とした。
かくして得られた製品板から、圧延方向および圧延直角方向のエプスタイン試片を切り出し、ぞれぞれの方向について磁束密度B50を測定した。
得られた結果を表2に併記する。
かくして得られた製品板から、圧延方向および圧延直角方向のエプスタイン試片を切り出し、ぞれぞれの方向について磁束密度B50を測定した。
得られた結果を表2に併記する。
表2中、No.1〜10とNo.11〜20は、比較鋼である素材Aと適合鋼である素材Bを、それぞれ同じ条件で処理して得られた結果である。両グループを対比すると明らかなように、いずれの場合もSnを添加することにより圧延直角方向のB50が改善されている。
特に、Snを添加した素材Bにおいては、熱延板焼鈍温度が900℃以上 1000℃未満の場合でも、再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)の昇温速度を20℃/s以上とすることによって、圧延方向のB50が1.80T以上、圧延直角方向のB50が1.75T以上の正キューブ組織が得られている。さらに、Snを添加した素材Bで、熱延板焼鈍温度を1050℃とすると共に、再結晶焼鈍の昇温速度を20℃/s以上とした場合には、圧延直角方向のB50が1.84Tを超える優れた特性が得られている。
特に、Snを添加した素材Bにおいては、熱延板焼鈍温度が900℃以上 1000℃未満の場合でも、再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)の昇温速度を20℃/s以上とすることによって、圧延方向のB50が1.80T以上、圧延直角方向のB50が1.75T以上の正キューブ組織が得られている。さらに、Snを添加した素材Bで、熱延板焼鈍温度を1050℃とすると共に、再結晶焼鈍の昇温速度を20℃/s以上とした場合には、圧延直角方向のB50が1.84Tを超える優れた特性が得られている。
実施例2
次に示すC〜Gの5種類の組成になる鋼スラブを、1150℃で30分間加熱してから、熱間圧延により2.5mm厚に仕上げた。
(C) C:0.0020%,Si:3.0%,Mn:0.10%,Al:0.0040%,Se:2ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm
(D) C:0.0020%、Si:3.0%,Mn:0.10%,Al:0.0040%,Se:2ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.12%
(E) C:0.0020%,Si:3.0%,Mn:0.05%,Al:0.0040%,Se:1ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.05%,Sb:0.02%
(F) C:0.0020%,Si:3.0%,Mn:0.05%,Al:0.0040%,Se:1ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.05%,Cu:0.05%,Mo:0.1%
(G) C:0.0020%,Si:3.0%,Mn:0.05%,Al:0.0040%,Se:1ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.05%,Cr:0.1%
次に示すC〜Gの5種類の組成になる鋼スラブを、1150℃で30分間加熱してから、熱間圧延により2.5mm厚に仕上げた。
(C) C:0.0020%,Si:3.0%,Mn:0.10%,Al:0.0040%,Se:2ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm
(D) C:0.0020%、Si:3.0%,Mn:0.10%,Al:0.0040%,Se:2ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.12%
(E) C:0.0020%,Si:3.0%,Mn:0.05%,Al:0.0040%,Se:1ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.05%,Sb:0.02%
(F) C:0.0020%,Si:3.0%,Mn:0.05%,Al:0.0040%,Se:1ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.05%,Cu:0.05%,Mo:0.1%
(G) C:0.0020%,Si:3.0%,Mn:0.05%,Al:0.0040%,Se:1ppm,S:10ppm,O:10ppm,N:10ppm,Sn:0.05%,Cr:0.1%
ついで、得られた熱延板に酸洗処理を行ったのち、200℃、4パスの冷間圧延により1.5mmに圧延してから、窒素雰囲気中で950℃に30秒間保持する中間焼鈍を施してから150℃,4パスの冷間圧延により0.35mmの最終板厚に仕上げた。その後、水素:75%、窒素:25%の雰囲気中にて保持温度:930℃,均熱時間:30秒の再結晶焼鈍を行った。この再結晶焼鈍においては、表3に示すように、500〜750℃間の平均昇温速度を10〜60℃/sの間で種々に変化させた。
ついで、窒素雰囲気中にて950℃、35時間の最終仕上焼鈍を行った。その後、900℃に30秒間保持する平坦化焼鈍を施した後、重クロム酸アルミニウム、エマルジョン樹脂、エチレングリコールを混合したコーティング液を塗布し、300℃で焼き付けて、製品とした。
かくして得られた製品板から、圧延方向および圧延直角方向のエプスタイン試片を切り出し、それぞれの方向について磁束密度B50を測定した。
得られた結果を表3に併記する。
かくして得られた製品板から、圧延方向および圧延直角方向のエプスタイン試片を切り出し、それぞれの方向について磁束密度B50を測定した。
得られた結果を表3に併記する。
同表に示したように、Snを添加した素材Dにおいては、再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)の昇温速度を20℃/s以上とすることにより、中間焼鈍温度が950℃と比較的低温の場合でも、圧延方向のB50が1.80T以上で、圧延直角方向のB50が1.75T以上の正キューブ組織が得られている。この点は、素材E〜Gも同様で、適量のSn添加と共に、再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)の昇温速度を20℃/s以上とすることにより、中間焼鈍温度が950℃と比較的低温の場合でも、圧延方向のB50が1.80T以上で、圧延直角方向のB50が1.75T以上の正キューブ組織が得られている。
さらに、Snを添加した素材Bでは、熱延板焼鈍温度を1050℃とし、かつ再結晶焼鈍の昇温速度を20℃/s以上とした場合には、圧延直角方向のB50が1.84Tを超える優れた特性が得られている。
さらに、Snを添加した素材Bでは、熱延板焼鈍温度を1050℃とし、かつ再結晶焼鈍の昇温速度を20℃/s以上とした場合には、圧延直角方向のB50が1.84Tを超える優れた特性が得られている。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.003〜0.080%、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜3.0%、Al:0.0010〜0.0090%およびSn:0.01〜0.20%を含み、かつS,Se,O,Nをそれぞれ30ppm以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、ついで脱炭・再結晶焼鈍後、必要に応じて焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる電磁鋼板の製造方法において、
該脱炭・再結晶焼鈍における500〜750℃間の平均昇温速度を20℃/s以上とすることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。 - 請求項1において、最終冷間圧延前の焼鈍温度を900℃以上 1000℃未満とすることを特徴する電磁鋼板の製造方法。
- 請求項1または2において、鋼スラブが、質量%でさらに、Sb:0.005〜0.50%,Cu:0.01〜0.50%,Mo:0.005〜0.50%およびCr:0.01〜1.0%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
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