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JP2008035701A - 無細胞タンパク質合成方法を用いた抗体検出方法及び特定タンパク質のスクリーニング方法 - Google Patents

無細胞タンパク質合成方法を用いた抗体検出方法及び特定タンパク質のスクリーニング方法 Download PDF

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JP2008035701A JP2004335392A JP2004335392A JP2008035701A JP 2008035701 A JP2008035701 A JP 2008035701A JP 2004335392 A JP2004335392 A JP 2004335392A JP 2004335392 A JP2004335392 A JP 2004335392A JP 2008035701 A JP2008035701 A JP 2008035701A
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弥重太 遠藤
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達也 澤崎
Tomio Ogasawara
富夫 小笠原
Masateru Tsuchimochi
政照 土持
Yuko Matsubara
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Abstract

【課題】検体中の抗体を確実に迅速に検定できる系を提供することである。
【解決手段】課題を解決する重要なファクターとして、特定タンパク質の発現方法の改良を種々検討した。その結果、特定タンパク質を融合タンパク質として無細胞タンパク質合成手段で調製し、この未精製の融合タンパク質を試験検体と接触させることによって、目的とする試験検体中の抗体を測定可能であることを見出した。
【選択図】なし

Description

本発明は、無細胞タンパク質合成方法を利用した検体中の抗体の測定方法に関する。さらに詳しくは、蛍光標識タンパク質と特定タンパク質の融合タンパク質を無細胞タンパク質合成手段によって調製し、この融合タンパク質を利用する検体中の抗体の測定方法に関する。その他、本発明は、検出用試薬、試薬キット、及び特定タンパク質のスクリーニング方法に関する。
各種病原体ゲノムの解析が進展してきた今日、種々の感染症に対するゲノムワイドなワクチン開発も可能となってきた。しかしながら、従来からの組み換え法による遺伝子からのタンパク質発現技術には未解決な問題が多く、特に高品質の抗原タンパク質を調製することは今日でも容易ではない。
本発明者等は、先に、真核生物遺伝子から高品質タンパク質の合成に優れた特性を発揮するコムギ胚芽を利用する系を確立している。細胞抽出液に翻訳鋳型、基質となるアミノ酸、エネルギー源、各種イオン、緩衝液、及びその他の有効因子を加えて試験管内でタンパク質を合成する、いわゆる無細胞タンパク質合成法である。これまでに公知となっている無細胞タンパク質合成法には以下の特許文献1〜5がある。
特開平6−98790 特開平6−225783 特開平7−194 特開平9−291 特開平7−147992
本発明の課題は、検体中の抗体を確実かつ迅速に検定できる系を提供することである。そのため、本発明者等は、無細胞タンパク質合成手段がこの測定系に利用することが可能かを種々検討した。
本発明者は、上記課題を解決する重要なファクターとして、特定タンパク質の発現方法を種々検討した。その結果、特定タンパク質を融合タンパク質として無細胞タンパク質合成手段で調製し、この融合タンパク質をプローブとして試験検体と接触させることによって、目的とする試験検体中の抗体を測定可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下からなる。
1.蛍光標識タンパク質と特定タンパク質の融合タンパク質を無細胞タンパク質合成手段によって調製し、この融合タンパク質を含む合成液をプローブとして、試験検体と接触させ、試験検体中の抗体を検出することを含む抗体検出方法。
2.融合タンパク質を精製することなく、試験検体と接触させる前項1に記載の方法。
3.融合タンパク質が、コムギ胚芽抽出液による無細胞タンパク質合成手段によって調製される前項1又は2に記載の方法。
4.コムギ胚芽抽出液が、混入する胚乳成分および低分子タンパク質合成阻害物質が実質的に除去されたコムギ胚芽抽出液である前項1〜3の何れか一に記載の方法。
5.コムギ胚芽抽出液から、以下のいずれか1から選ばれるATPを介する糖のリン酸化系の制御が行われている前項4に記載の方法。
1)単糖類の除去、
2)リン酸化糖の除去、
3)多糖類から単糖類の生成の制御、
4)単糖類からリン酸化糖の生成の制御。
6.特定タンパク質が、抗原性物質である前項1〜5の何れか一に記載の方法。
7.特定タンパク質が、リン酸化タンパク質である前項1〜5の何れか一に記載の方法。
8.検出方法が以下の何れか一から選ばれる前項1〜7の何れか一に記載の方法。
1)蛍光相関分析法、2)蛍光強度分布解析法
9.抗原性物質が、肝炎ウイルスである前項6に記載の方法。
10.抗原性物質が、植物花成誘導因子である前項6に記載の方法。
11.抗原性物質が、Epstein-Barr virus(EBV)である前項6に記載の方法。
12.リン酸化タンパク質が、プロテインカイネースである前項7に記載の方法。
13.前項1〜12の何れか一に記載の方法に使用する検出キット。
14.前項1〜12の何れか一に記載の方法で得られた融合タンパク質を含む検出用試薬又は試薬キット。
15.以下の工程を含む無細胞タンパク質合成手段によって調製した特定タンパク質のスクリーニング方法。
1)所望の候補遺伝子の選択された領域である候補特定タンパク質及び蛍光標識タンパク質をコードする遺伝子(融合タンパク質をコード
するタンパク質)を調製する工程
2)1)で調製した遺伝子からmRNAを合成する工程
3)2)で合成されたmRNAを翻訳鋳型として無細胞タンパク質合成手段で翻訳する工程
4)3)で合成され融合タンパク質を精製することなく、試験検体と接触させ、抗体反応を検出する工程
本発明によると、蛍光標識タンパク質と特定タンパク質の融合タンパク質を用いることで血清中の当該特定タンパク質に対する抗体を容易に検出可能であり、種々の感染菌、ウイルスなどの検出に新たな手段を提供し、より一層の臨床検査の簡便化及び確実な結果を得ることが可能となった。さらに、融合タンパク質と試験検体中の抗体の検出反応により、特定タンパク質のスクリーニングも可能となった。
発明の実施の態様
本発明は、蛍光標識タンパク質と特定タンパク質の融合タンパク質を無細胞タンパク質合成手段によって調製し、この融合タンパク質を含む合成液をプローブとして、試験検体と接触させ、検体中の抗体を検出することを含む抗体検出方法に関する。さらには、融合タンパク質と試験検体中の抗体の検出反応により、特定タンパク質のスクリーニング方法に関する。
本発明で無細胞タンパク質合成手段とは、広く動物及び植物の抽出物を使った技術を意味し、その詳細は後記する。
本発明で、融合タンパク質とは、特定タンパク質と、標識として機能する蛍光標識タンパク質の融合物である。特定タンパク質とは、測定対象とする抗体に認識されるタンパク質を意味し、具体的には抗原性タンパク質、リン酸化タンパク質などが例示されるが、特には限定されない。なお、候補特定タンパク質とは、測定対象となる抗体に認識されうる可能性あるタンパク質を意味する。抗原性タンパク質とは、各種臨床検査で測定対象となる細菌、ウイルス、因子、酵素等を意味し、好適な候補としては例えば肝炎ウイルス(A、B、C、D、E型など)、Epstein-Barr virus(EBV)、アレルギ性因子などが例示されるが、特には限定されない。また、リン酸化タンパク質としては、プロテインカイネースが例示されるが、特には限定されない。
蛍光標識タンパク質とは、特に限定されるものではなく、標識能を有している限り適応可能である。例えば、GFP(Green Fluorescent Protein)、BFP(Blue Fluorescent Protein)、CFP(Cyan Fluorescent Protein)、RFP(Red Fluorescent Protein)、YFP(Yellow Fluorescent Protein)、EGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein)、ECFP(Enhanced Cyan Fluorescent Protein)、ERFP(Enhanced Red Fluorescent Protein)、EYFP(Enhanced Yellow Fluorescent Protein)、TMR(TetraMethyl−Rhodamine)等が好適に例示される。
また、試験検体とは、ヒト、動物の血清などが例示されるが、特には限定されない。
本発明の融合タンパク質は、無細胞タンパク質合成手段で調製される。例えば、翻訳鋳型となるmRNAは、各種蛍光標識タンパク質をコードする遺伝子DNAと標的抗体に対する特定タンパク質をコードする遺伝子DNAが挿入されたベクターを基に、転写鋳型を調製し、RNA polymeraseを用いて転写を行い、得られたRNAを精製又は精製せずに翻訳に用いうる。翻訳によって調製される融合タンパク質がそのまま標的抗体検出用のプローブとなりうる。
試験検体との接触は、融合タンパク質を精製することなくそのまま、好適には、適当な希釈をおこなうことで接触によって抗体の検出を行う。抗体の検出方法としては、特定タンパク質が、抗原性タンパク質の場合には抗原抗体反応、リン酸化タンパク質の場合には抗リン酸化抗体の検出である。
検出は、蛍光標識をマーカーとして、1分子蛍光分析装置を使って、マイクロプレートウェル中の反応液について蛍光相関分析法(FCS:Fluorescence Correlation Spectroscopy)又は蛍光強度分布解析法(FIDA:Fluorescence Intensity Distribution Analysis)で行うことが好適である。この分析法は、どちらか一方でも反応の有無を知ることができるが、両方行えば、より精度よく反応の有無を知ることができる。また、融合タンパク質を含む無細胞タンパク質合成後の合成液を適当な希釈液で希釈し、試験検体と接触させた後に、そのまま測定装置で検出することができる。測定は、レーザー光を照射し、液中の蛍光分子の揺らぎを測定するので、特にpH、測定時間の条件はなく、温度も室温で可能である。FCS測定では、微小領域内の蛍光分子の揺らぎを測定し、得られた情報に基づいて並進拡散時間を求める。FIDA測定では、微小領域内の蛍光を発している分子の蛍光強度と数を測定する。これら装置はオリンパス社より入手可能である。
本発明の特徴点は、調製された融合タンパク質を未精製のまま試験検体と接触させうることである。マイクロプレート中で或いは予め無細胞タンパク質合成手段で調製された融合タンパク質を精製することなく適当な希釈を緩衝液〔例えば、0.1% PBST(0.1% Tween20, 137mM NaCl, 8.1mM Na2HPO4, 2.68mM KCl, 1.47mM KH2PO4)〕で行い、マイクロプレート上で検体との接触を行う。接触は、pHの調節は特に必要なく、温度も室温で可能である。これにより、従来の抗体検出方法では、調製した抗原の精製が必須であったが、本発明の抗体検出方法では必要としないので、検出方法として簡便である。
本発明の融合タンパク質の調製における転写-翻訳は、以下のような無細胞合成手段による方法で調製される。転写鋳型は、インビトロ転写反応の鋳型分子として使用し得るDNAをいい、適当なプロモーター配列の下流に目的とする融合タンパク質をコードする塩基配列を少なくとも有する。適当なプロモーター配列とは、転写反応において使用されるRNAポリメラーゼが認識し得るプロモーター配列をいい、例えば、SP6プロモーター、T7プロモーター等が挙げられる。目的タンパク質をコードするDNAは上記のように測定対象とする抗体の抗原性タンパク質と蛍光標識タンパク質をコードするものである。
転写鋳型は、プロモーター配列と目的タンパク質をコードする塩基配列との間に翻訳効率を制御する活性を有する塩基配列を有することが好ましく、例えば、タバコモザイクウイルス由来のΩ配列などのRNAウイルス由来の5'非翻訳領域、及び/又はコザック配列等を用いることができる。さらに、転写鋳型は、融合タンパク質をコードする塩基配列の下流に転写ターミネーション領域等を含む3'非翻訳領域を含むことが好ましい。3'非翻訳領域としては、終止コドンより下流の約1.0〜約3.0キロベース程度が好ましく用いられる。これらの3'非翻訳領域は必ずしも融合タンパク質をコードする遺伝子本来のそれである必要はない。本発明の方法の好ましい実施態様においては、融合タンパク質をコードするDNAをPCR法によって増幅・合成した反応産物を精製することなくそのまま転写鋳型とすることも可能である。尚、非特異的増幅により生じる短鎖DNA(結果として目的産物の収量低下及び低分子翻訳産物ノイズを生じる)の生成を防ぐために、国際公開WO02/18586号に記載のプロモーター分断型プライマーを用いることもできる。
このようにして得られる転写鋳型DNAはクロロホルム抽出やアルコール沈殿により精製した後に転写反応に供してもよいが、PCR反応後の反応液をそのまま転写鋳型溶液として使用することが可能である。
本発明において転写反応は、自体公知の方法を用いて調製された融合タンパク質をコードする転写鋳型DNA又はPCR法によって増幅・合成したDNAを精製することなく調製された融合タンパク質をコードする転写鋳型DNAから、インビトロ転写反応により翻訳鋳型であるmRNAを生成させる工程を含む。当該工程は、反応系(例えば、96穴タイタープレートなどの市販の容器)に提供された転写鋳型を含む溶液、好ましくはPCR反応液と、転写鋳型中のプロモーターに適合するRNAポリメラーゼ(例えば、SP6 RNAポリメラーゼなど)やRNA合成用の基質(4種類のリボヌクレオシド3リン酸)等の転写反応に必要な成分を含む溶液(「転写反応用溶液」ともいう)とを混合した後、約20℃〜約60℃、好ましくは約30℃〜約42℃で約30分間〜約16時間、好ましくは約2時間〜約5時間該混合液をインキュベートすることにより行われる。
なお、本発明の好ましい翻訳鋳型となるmRNAは、融合タンパク質をコードする遺伝子DNA(Chiu, W. –L.,et al., Curr. Biol. 6, 325-330 (1996))が挿入されたpEU-ベクター(Sawasaki, T. et al.,PNAS, 99 (23), 14652-7(2002))を基に、Ω配列部分をWO03/056009号公報に記載の配列番号136の塩基配列に置き換えた環状プラスミドDNAを鋳型として、SP6 RNApolymerase(Promega社製)を用いて転写を行うこともできる。
ついで、転写溶液は、タンパク質合成用細胞抽出液に直接添加する。ここで用いられるタンパク質合成用細胞抽出液としては、翻訳鋳型を翻訳して該鋳型にコードされるタンパク質を生成させ得るものであれば如何なるものであってもよいが、具体的には、大腸菌、植物種子の胚芽、ウサギ網状赤血球等の細胞抽出液等が用いられる。これらは市販のものを用いることもできるし、それ自体既知の方法、具体的には、大腸菌抽出液の場合、Pratt, J. M. et al., Transcription and Translation, Hames, 179-209, B. D. & Higgins, S. J., eds), IRL Press, Oxford (1984)に記載の方法等に準じて調製することもできる。市販のタンパク質合成用細胞抽出液としては、大腸菌由来では、E.coli S30 extract system(Promega社製)やRTS 500 Rapid Translation System(Roche社製)に添付のもの等が挙げられ、ウサギ網状赤血球由来ではRabbit Reticulocyte Lysate Sytem(Promega社製)に添付のもの等、更にコムギ胚芽由来ではPROTEIOSTM(TOYOBO社製)に添付のもの等が挙げられる。このうち、植物種子の胚芽抽出液の系を用いることが好ましく、植物種子としては、コムギ、オオムギ、イネ、コーン等のイネ科の植物、及びホウレンソウ等の種子が好ましく、特にコムギ種子胚芽抽出液を用いたものが好適である。さらに、抽出液の調製工程において混入した胚乳成分および低分子のタンパク質合成阻害物質が実質的に除去されたコムギ種子胚芽抽出液がより好適である。
本発明の最適の細胞抽出液は、コムギ胚芽由来の抽出液であり、さらに混入する胚乳成分や胚芽組織細胞中のタンパク質合成阻害をもたらすグルコースなどの代謝物質が実質的に除去された抽出液であるので、これを例にとって原料の調製方法を以下説明する。
通常、胚芽の部分は非常に小さいので胚芽を効率的に取得するためには胚芽以外の部分をできるだけ除去しておくことが好ましい。通常、まずコムギ種子に機械的な力を加えることにより、胚芽、胚乳破砕物、種皮破砕物を含む混合物を得、該混合物から、胚乳破砕物、種皮破砕物等を取り除いて粗胚芽画分(胚芽を主成分とし、胚乳破砕物、種皮破砕物を含む混合物)を得る。種子に加える力は、種子から胚芽を分離することができる程度の強さであればよい。具体的には、公知の粉砕装置を用いて、種子を粉砕することにより、胚芽、胚乳破砕物、種皮破砕物を含む混合物を得る。
種子の粉砕は、通常公知の粉砕装置を用いて行うことができるが、被粉砕物に対して衝撃力を加えるタイプの粉砕装置、例えばピンミル、ハンマーミルを用いることが好ましい。粉砕の程度は、使用する種子胚芽の大きさに応じて適宜選択すればよいが、例えばコムギの場合は、通常、最大長さ4mm以下、好ましくは最大長さ2mm以下の大きさに粉砕する。また、粉砕は乾式で行うのが好ましい。
次いで、得られた種子粉砕物から、通常公知の分級装置、例えば、篩を用いて粗胚芽画分を取得する。例えば、コムギの場合、通常、メッシュサイズ0.5mm〜2.0mm、好ましくは0.7mm〜1.4mmの粗胚芽画分を取得する。さらに、必要に応じて、得られた粗胚芽画分に含まれる種皮、胚乳、ゴミ等を風力、静電気力を利用して除去してもよい。
また、胚芽と種皮、胚乳の比重の違いを利用する方法、例えば重液選別により、粗胚芽画分を得ることもできる。より多くの胚芽を含有する粗胚芽画分を得るために、上記の方法を複数組み合わせてもよい。さらに、得られた粗胚芽画分から、例えば目視や色彩選別機等を用いて胚芽を選別する。
このようにして得られた胚芽画分は、胚乳成分が付着している場合があるため、通常胚芽純化のために更に洗浄処理することが好ましい。洗浄処理としては、通常10℃以下、好ましくは4℃以下に冷却した水または水溶液もしくは界面活性剤を含有する水溶液に胚芽画分を分散・懸濁させ、洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄することが好ましい。また、通常10℃以下、好ましくは4℃以下で、界面活性剤を含有する水溶液に胚芽画分を分散・懸濁させて、洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄することがより好ましい。界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、非イオン性界面活性剤であるかぎりは、広く利用ができる。具体的には、例えば、好適なものとして、ポリオキシエチレン誘導体であるブリッジ(Brij)、トリトン(Triton)、ノニデットP40(Nonidet)、ツイーン(Tween)等が例示される。なかでも、ノニデットP40(Nonidet)が最適である。これらの非イオン性界面活性剤は、胚乳成分の除去に十分且つ胚芽成分のタンパク質合成活性に悪影響を及ぼさない濃度で使用され得るが、例えば0.5%の濃度で使用することができる。水または水溶液による洗浄処理及び界面活性剤による洗浄処理は、どちらか一方でもよいし、両方実施してもよい。また、これらの洗浄処理は、超音波処理との組み合わせで実施してもよい。
上記のように種子粉砕物から選別し、洗浄して得られた発芽能を有する胚芽を好ましくは抽出溶媒の存在下に細分化した後、得られた胚芽抽出液を分離し、更に精製することにより無細胞タンパク質合成用抽出液を得る。
抽出溶媒としては、緩衝液、カリウムイオン、マグネシウムイオンおよび/またはチオール基の酸化防止剤を含む水溶液を用いることができる。また、必要に応じて、カルシウムイオン、L型アミノ酸等をさらに添加してもよい。例えば、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−2−エタンスルホン酸(HEPES)−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、L型アミノ酸および/またはジチオスレイトールを含む溶液や、Pattersonらの方法を一部改変した溶液(HEPES−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、L型アミノ酸および/またはジチオスレイトールを含む溶液)を抽出溶媒として使用することができる。抽出溶媒中の各成分の組成・濃度はそれ自体既知であり、無細胞タンパク質合成用の細胞抽出液の製造に用いられるものを採用すればよい。
必要量の抽出溶媒を胚芽に加え、抽出溶媒の存在下に胚芽を細分化する。抽出溶媒の量は、洗浄前の胚芽1gに対して、通常0.1ミリリットル以上、好ましくは0.5ミリリットル以上、より好ましくは1ミリリットル以上である。抽出溶媒量の上限は特に限定されないが、通常、洗浄前の胚芽1gに対して、10ミリリットル以下、好ましくは5ミリリットル以下である。また、細分化しようとする胚芽は従来のように凍結させたものを用いてもよいが、凍結させていないものを用いるのがより好ましい。
細分化の方法としては、摩砕、圧砕等、従来公知の粉砕方法を採用することができるが、本発明者が開発した衝撃または切断により胚芽を細分化する方法(特願2002−023139)が好ましい。ここで、「衝撃または切断により細分化する」とは、植物胚芽の細胞核、ミトコンドリア、葉緑体等の細胞小器官(オルガネラ)、細胞膜や細胞壁等の破壊を、従来の摩砕または圧砕と比べて最小限に止めうる条件で植物胚芽を破壊することを意味する。
細分化する際に用いることのできる装置や方法は、上記条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、ワーリングブレンダーのような高速回転する刃状物を有する装置を用いることが好ましい。刃状物の回転数は、通常1000rpm以上、好ましくは5000rpm以上であり、また、通常30000rpm以下、好ましくは25000rpm以下である。刃状物の回転時間は、通常5秒以上、好ましくは10秒以上である。回転時間の上限は特に限定されないが、通常10分以下、好ましくは5分以下である。細分化する際の温度は、好ましくは10℃以下で操作が可能な範囲内、特に好ましくは4℃程度が適当である。
このような衝撃または切断による細分化においては、細分化した後に抽出溶媒を添加することもできるが、抽出溶媒の存在下に行うことがより好ましい。上記の方法は、「ブレンダー法」と称することもある。
次いで、胚芽抽出液について2〜4万G、好ましくは2.5〜3.5万G、さらに好ましくは3万Gの遠心分離を行い、遠心上清を取得する。この際、沈殿助剤として無機担体をいれておくことは沈殿物と上清との分離のためにより好ましい。この沈殿物中には、グリコシダーゼなどの酵素とカルシウムの複合体が含まれている。グリコシダーゼをあらかじめ除いておくことは、澱粉からグルコースの生成を最小限に抑えることに役立つ。好適な無機担体としては、ベントナイト、活性炭素、シリカゲル、海砂等が例示される。この無機担体の導入により、沈殿物が上清へ混入することをほぼ完全に防ぐことが出来る。沈殿助剤を遠心時に加えない場合は、沈殿物の上部に不溶性スラリーが存在し、これが混入したS-30画分から調製した抽出液のタンパク質合成活性は低くなる。そこで、遠心後の遠心管からのS-30画分の回収に当たっては混入を避けるために細心の注意が必要となる。
コムギ胚芽抽出液は、ゲルろ過等によりさらに精製することができる。ゲルろ過は、例えば予め適当な溶液で平衡化しておいたゲルろ過装置を用いて行うことができる。ゲルろ過溶液中の各成分の組成・濃度はそれ自体既知であり、無細胞タンパク合成用の細胞胚芽抽出液の製造に用いられるもの(例えば、HEPES−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、ジチオスレイトールまたはL型アミノ酸を含む溶媒)を採用すればよい。
このようにして得られた胚芽細胞抽出物は、RNase活性及びホスファターゼ活性が極めて低減されたものである。
ゲルろ過後の胚芽抽出物含有液には、微生物あるいは糸状菌(カビ)などの胞子が混入していることがあるためこれら微生物などを排除しておくことが好ましい。特に長期(1日以上)の無細胞タンパク質合成反応中に微生物の繁殖が見られることがあるので、これを阻止することは重要である。微生物の排除手段は特に限定されないが、ろ過滅菌フィルターを用いるのが好ましい。フィルターのポアサイズとしては、混入の可能性のある微生物が除去可能なものであれば特に制限はないが、通常0.1〜1マイクロメーター、好ましくは0.2〜0.5マイクロメーターが適当である。ちなみに、枯草菌の胞子のサイズは0.5μmx1μmであることから、0.20マイクロメーターのフィルター(例えばSartorius製のMinisartTM等)を用いるのが胞子の除去にも有効である。ろ過に際して、まずポアサイズの大きめのフィルターでろ過し、次に混入の可能性のある微生物が除去可能であるポアサイズのフィルターを用いてろ過するのが好ましい。
このようにして得られた細胞抽出液は、原料であるコムギ自身が含有または保持するタンパク質合成機能を抑制する物質(各種RNA、翻訳タンパク質因子やリボソーム等に作用してその機能を抑制する物質。例えば各種リボヌクレアーゼ、各種プロテアーゼ、トリチン、チオニン等)が、ほぼ完全に取り除かれている。すなわち、これらの阻害物質が局在する胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されている。胚乳の除去の程度は、コムギ胚芽抽出液中に夾雑するトリチンの活性、すなわちリボソームを脱アデニン化する活性をモニターすることにより評価できる。リボソームが実質的に脱アデニン化されていなければ、胚芽抽出液中に夾雑する胚乳由来成分がない、すなわち胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されていると判断される。リボソームが実質的に脱アデニン化されていない程度とは、リボソームの脱アデニン化率が7%未満、好ましくは1%以下になっていることをいう。
このような胚芽抽出液を原料にして、さらに「胚芽組織細胞内因性の解糖系などの代謝経路や翻訳反応制御機構の排除」のために糖、リン酸化糖、糖のリン酸化酵素、糖分解酵素等を低減した無細胞タンパク質合成用の細胞抽出液調製のための処理を行うこともできる。処理工程の概要は以下である。得られた細胞抽出液、あるいはこの抽出液について、ゲルろ過による溶液の交換あるいは必要成分の添加などにより翻訳反応液としたものを、分子量10kDaカットで分子量分画し、低分子画分を排除する。あるいは、分子量10kDa以上の物質を分子量分画し、回収することも可能である。この分画処理は複数回行い、特に分子量10kDa以下の物質を実質的に除去することが好ましい。複数回の具体的回数としては、1〜10回、好ましくは2〜9回、さらに好ましくは3〜8回、最も好ましいくは4〜7回である。このように調製された細胞抽出液は、実質的に糖、リン酸化糖が1mM以下まで低減されていた(260nmにおける吸光度200 OD/mlの抽出液中のグルコース濃度として)。かくして得られたグルコース濃度が低減された抽出液は、極めて高い無細胞タンパク質合成能を保有する。
翻訳反応は、調製して得られた転写溶液をタンパク質合成用細胞抽出液に直接添加し、これに基質となるアミノ酸、エネルギー源、各種イオン、緩衝液、ATP再生系、核酸分解酵素阻害剤、tRNA、還元剤、ポリエチレングリコール、3',5'−cAMP、葉酸塩、抗菌剤等の、翻訳反応に必要もしくは好適な成分を含有する溶液(「翻訳反応用溶液」ともいう)を添加して、翻訳反応に適した温度で適当な時間インキュベートすることにより行うことができる。基質となるアミノ酸は、通常、タンパク質を構成する20種類の天然アミノ酸であるが、目的に応じてそのアナログや異性体を用いることもできる。また、エネルギー源としては、ATP及び/又はGTPが挙げられる。各種イオンとしては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられる。緩衝液としては、Hepes−KOH、Tris−酢酸等が用いられる。またATP再生系としては、ホスホエノールピルベートとピルビン酸キナーゼの組み合わせ、またはクレアチンリン酸(クレアチンホスフェート)とクレアチンキナーゼの組み合わせ等が挙げられる。核酸分解酵素阻害剤としては、リボヌクレアーゼインヒビターや、ヌクレアーゼインヒビター等が挙げられる。このうち、リボヌクレアーゼインヒビターの具体例としては、ヒト胎盤由来のRNase inhibitor(TOYOBO社製等)等が用いられる。tRNAは、Moniter, R., et al., Biochim. Biophys. Acta., 43, 1 (1960)等に記載の方法により取得することができ、あるいは市販のものを用いることもできる。還元剤としては、ジチオスレイトール等が挙げられる。抗菌剤としては、アジ化ナトリウム、アンピシリン等が挙げられる。これらの添加量は、無細胞タンパク質合成において通常使用され得る範囲で適宜選択することができる。翻訳反応用溶液の添加の態様は、用いる翻訳反応系に応じて適宜選択することができる。本発明の方法に用いられる翻訳反応系は、無細胞タンパク質合成法に適用し得る自体公知のいずれの系であってもよく、例えば、バッチ法(Pratt, J. M. et al., Transcription and Translation, Hames, 179-209, B. D. & Higgins, S. J., eds), IRL Press, Oxford(1984))や、アミノ酸、エネルギー源等を連続的に反応系に供給する連続式無細胞タンパク質合成法(Spirin, A. S. et al., Science, 242, 1162-1164(1988))、透析法(木川等、第21回日本分子生物学会、WID6)、あるいは重層法(国際公開第02/24939号パンフレット)等が挙げられる。更には、合成反応系に鋳型のRNA、アミノ酸、エネルギー源等を必要時に供給し、合成物や分解物を必要時に排出する不連続ゲル濾過法(特開2000−333673公報)や、合成反応槽が分子篩可能な担体によって調製され、上記の合成材料等が該担体を移動相として展開され、展開中に合成反応が実行され、結果として合成されたタンパク質を回収し得る方法(特開2000−316595公報)等を用いることができる。しかしながら、合成系の構造の単純化、省スペース、低コスト、ハイスループット解析に適用可能な多検体同時合成システムの提供の点から、バッチ法または重層法が好ましく、比較的大量のタンパク質を得ることができる点で重層法が特に好ましい。バッチ法により翻訳反応を行う場合、翻訳反応用溶液を、転写溶液を直接添加したタンパク質合成用細胞抽出液に添加して混合すればよい。あるいは翻訳反応用溶液に含まれる成分を予めタンパク質合成用細胞抽出液と混合した場合には、翻訳反応用溶液の添加を省略することもできる。転写溶液を直接添加したタンパク質合成用細胞抽出液と翻訳反応用溶液とを混合して得られる「翻訳反応液」としては、例えばタンパク質合成用細胞抽出液としてコムギ胚芽抽出液を用いた場合、10〜50mM HEPES−KOH(pH7.8)、55〜120mM 酢酸カリウム、1〜5mM 酢酸マグネシウム、0.1〜0.6mM スペルミジン、各0.025〜1mM L−アミノ酸、20〜70μM、好ましくは30〜50μMのDTT、1〜1.5mM ATP、0.2〜0.5mM GTP、10〜20mM クレアチンリン酸、0.5〜1.0units/μl リボヌクレアーゼインヒビター、0.01〜10μM タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、及び24〜75% コムギ胚芽抽出液を含むもの等が用いられる。このような翻訳反応液を用いた場合、プレインキュベーションは約10〜約40℃で約5〜約10分間、本反応(翻訳反応)におけるインキュベーションは同じく約10〜約40℃、好ましくは約18〜約30℃、さらに好ましくは約20〜約26℃で、反応が停止するまで、バッチ法では通常約10分〜約7時間程度行う。
重層法により翻訳反応を行う場合、転写溶液を直接添加したタンパク質合成用細胞抽出液上に、翻訳反応用溶液を界面を乱さないように重層することによりタンパク質合成を行う。具体的には、例えば、必要に応じて適当時間プレインキュベートしたタンパク質合成用細胞抽出液を翻訳鋳型の沈殿に添加してこれを溶解し、反応相とする。この反応相の上層に翻訳反応用溶液(供給相)を、界面を乱さないように重層して反応を行う。両相の界面は必ずしも重層によって水平面状に形成させる必要はなく、両相を含む混合液を遠心分離することによって、水平面を形成することも可能である。両相の円形界面の直径が7mmの場合、反応相と供給相の容量比は1:4〜1:8が適当であるが、1:5が好適である。両相からなる界面面積は大きいほど拡散による物質交換率が高く、タンパク質合成効率が上昇する。従って、両相の容量比は、両相の界面面積によって変化する。翻訳反応は、例えばコムギ胚芽抽出液を用いた系においては、静置条件下、約10〜約40℃、好ましくは約18〜約30℃、さらに好ましくは約20〜約26℃で、通常約10〜約20時間行うことができる。また、大腸菌抽出液を用いる場合、反応温度は約30℃〜約37℃が適当である。
本発明の無細胞タンパク質合成手段によって調製した特定タンパク質のスクリーニング方法は、以下の工程を含む。
1)所望の候補遺伝子の選択された領域である候補特定タンパク質及び蛍光標識タンパク質をコードする遺伝子を調製する工程
ゲノム情報に基き候補特定タンパク質を選択する。ここで、本発明のコムギ胚芽抽出物による無細胞タンパク質合成系では、合成すべき融合タンパク質をコードする遺伝子のAT含有量がタンパク質合成に影響を与えないので、選択された候補遺伝子がATリッチなものも対象となる。
2)で調製した遺伝子からmRNAを合成する工程
転写は、従来既知の方法で可能である。
3)2)で合成されたmRNAを翻訳鋳型として無細胞タンパク質合成手段で翻訳する工程
2)で合成されたmRNAを翻訳鋳型としてコムギ胚芽抽出物による無細胞タンパク質合成手段で翻訳し、融合タンパク質を合成する。コムギ胚芽抽出物による無細胞タンパク質合成用細胞抽出液を容器に添加する。続いて、融合タンパク質の合成に必要な物質、翻訳鋳型若しくは転写鋳型及び安定化剤を含む溶液を添加して、融合タンパク質を合成する。合成は、ピペットマン等及び/又は自動分注器のチャンネルピペッターにより複数の領域に区画された容器のそれぞれ異なるウェルに細胞抽出液を分注することにより行うこともできる。この場合、コムギ胚芽抽出物による無細胞タンパク質合成用細胞抽出液をウェルの容量に適した量で添加し、続いて融合タンパク質合成に必要な物質、翻訳鋳型若しくは転写鋳型及び安定化剤を含む溶液をピペットマン等及び/又は自動分注器のチャンネルピペッターにより各ウェルに必要量添加して、融合タンパク質を合成する。なお、各ウェルに異なる種類の融合タンパク質を発現する翻訳鋳型を添加することにより、1回の翻訳工程で複数の融合タンパク質を発現することができる。
4)3)で合成され融合タンパク質を精製することなく、試験検体と接触させ、抗体反応を検出する工程
3)で合成された未精製の融合タンパク質を含む合成液が含まれる各ウェルに、希釈液を添加する。その後に、試験検体を該各ウェルに添加(接触)する。融合タンパク質と試験検体中の抗体との反応性の確認方法は、FCS、FIDAを用いて簡便に測定できる。以上により、本発明のスクリーニング方法は、融合タンパク質を未精製のままに試験検体と接触させること及びFCS、FIDAを用いて簡便に抗体検出測定ができるので、従来のスクリーニング系とは異なり、多検体を簡便かつ迅速にスクリーニングすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
融合タンパク質(GFP−FT、GFP-EBNA1)の転写鋳型の作製
翻訳鋳型となるmRNAは、GFP遺伝子DNA(Chiu, W. –L.,et al., Curr. Biol. 6, 325-330 (1996))及びシロイヌナズナの花成誘導因子(FT)遺伝子DNA(Kobayashi, Y., Kaya, H., Goto, K., Iwabuchi, M. & Araki, T. Science 286,1960-1962 (1999))が挿入されたpEU−GFP−FTベクター〔Sawasaki, T. et al.,PNAS, 99 (23), 14652-7(2002)と同様に調製〕、又はGFP遺伝子DNA及びEpstein-Barr virus(EBV)特異的核内抗原 EBNA1遺伝子(Lindahl, T., Klein, G., Reedman, B.M., Johansson, B. & Singh, S.Int J Cancer. 13, 764-72 (1974))が挿入されたpEU−GFP−EBNA1ベクターを基に、タバコモザイクウィルス(TMV)のΩ配列部分を含む環状プラスミドDNAを鋳型として、転写反応溶液〔最終濃度、80mM HEPES−KOH pH7.8、16mM 酢酸マグネシウム、10mM ジチオトレイトール、2mM スペルミジン、2.5mM 4NTPs(4種類のヌクレオチド三リン酸)、0.8U/μl RNase阻害剤、0.1μg/μl DNA〔プラスミドGFP(Green fluorescent protein)〕、1.6U/μl SP6 RNAポリメラーゼ〕を調製し、37℃で3時間反応させた。得られたRNAをフェノール/クロロフォルム抽出、エタノール沈殿の後、Nick Column(Amersham Pharmacia Biotech社製)により精製して用いた。
なお、コントロールとしてのGFPの転写鋳型も上記同様に作製した。
実施例2
融合タンパク質(GFP−FT、GFP-EBNA1)の翻訳
調製したコムギ胚芽抽出物含有液5.8μlを含む蛋白質合成用反応液(それぞれ最終濃度で、29mM HEPES−KOH(pH7.8)、95mM酢酸カリウム、2.7mM酢酸マグネシウム、0.4mMスペルミジン(ナカライ・テクトニクス社製)、各0.23mML型アミノ酸20種類、2.9mMジチオスレイトール、1.2mM ATP(和光純薬社製)、0.25mM GTP(和光純薬社製)、15mMクレアチンリン酸(和光純薬社製)、0.9U/μl Rnase inhibiter(TAKARA社製)、50ng/μl tRNA(Moniter, R.,et al., Biochim. Biophys. Acta., 43, 1-(1960))、0.46μg/l クレアチンキナーゼ(Roche社製))25μlを作製した。この反応液に実施例1で作製した翻訳鋳型mRNA(GFP−FT、GFP-EBNA1、GFP(コントロール用))を8μg/μl加え、26℃でインキュベートした。反応開始後、48時間までの反応液各1μlをプローブとした(未精製の合成液)。
実験例1
シロイヌナズナの花成誘導因子(FT)とマウス抗FT抗血清との抗原抗体反応の検出
実験材料は、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系で作製したFTを精製後、マウスに免疫してえられた抗血清、実施例2で作製したGFP(Green Fluorescent Protein)融合FT(GFP-FT)を含む合成液、0.1% PBST(0.1% Tween20, 137mM NaCl, 8.1mM Na2HPO4, 2.68mM KCl, 1.47mM KH2PO4)を希釈液とした。測定方法は、 蛍光相関分光法(FCS: Fluorescence Correlation Spectroscopy)と蛍光強度分散分析法(FIDA: Fluorescence Intensity Distribution Analysis)を使った。
1)FCS測定による抗原抗体反応の検出(FTとマウス抗FT血清)
コムギ無細胞系で合成した未精製GFP-FTを含む合成液を0.1%PBSTで35-40マイクロリットルになるように希釈し、マウス抗FT血清と反応させた後FCS測定すると、GFP単独では並進拡散時間(Diffusion time)に変化はないが、GFP-FTでは抗血清の添加量に依存して並進拡散時間が上昇した。(図1)
2)FIDA測定による抗原抗体反応の検出(FTとマウス抗FT血清)
コムギ無細胞系で合成した未精製GFP-FTを含む合成液を0.1%PBSTで35-40マイクロリットルになるように希釈し、マウス抗FT血清と反応させた後FIDA測定すると、GFP-FTでは抗血清の添加量に依存して蛍光強度(Countrate / particle)が上昇し、更に蛍光粒子数(Particle numbers)が減少した。一方GFP単独では蛍光強度、蛍光粒子数はともに変化しなかった。(図2)
この結果より、コムギ無細胞タンパク質合成系で調製した、GFPを融合させたタンパク質を指標に、精製ステップを経ることなく溶液中でマウス血清中物質との反応をFCS測定により検出することができた。これは従来の方法より,迅速,簡便かつ少量の溶液を用いてマウスやウサギのような抗体産生動物等の血清中で行われる抗原抗体反応を検出できることが示された。このことは、一般家畜動物等の血清中の抗原および抗体にも応用可能であることも示された。本方法の要素技術は、一般家畜動物のワクチンや診断薬等の創薬開発に向けた、ハイスループットな抗原・抗体スクリーニングに利用できるものである。
実験例2
Epstein-Barr virus(EBV)特異的核内抗原 EBNA1とヒト血清中の抗EBNA1抗体との抗原抗体反応の検出
実験材料は、ヒト血清(コスモ・バイオ株式会社、Human serum pool、 KOJ 12181201)、実施例2で作製したGFP融合EBNA1(GFP-EBNA1)を含む合成液、希釈液に0.1% PBST(0.1% Tween20, 137mM NaCl, 8.1mM Na2HPO4, 2.68mM KCl, 1.47mM KH2PO4)を使った。
測定方法は、蛍光相関分光法(FCS: Fluorescence Correlation Spectroscopy)を使った。
1)FCS測定による抗原抗体反応の検出(EBNA1とヒト血清)
コムギ無細胞系で合成した未精製GFP-EBNA1を含む合成液を0.1%PBSTで35-40マイクロリットルになるように希釈し、ヒト血清と反応させた後FCS測定すると、GFP単独では並進拡散時間(Diffusion time)に変化はないが、GFP-EBNA1ではヒト血清の添加量に依存して並進拡散時間が上昇した。更に、GFPで蛍光標識されていないEBNA1も添加して競合実験を行うと、GFP-EBNA1ではその添加量に依存して並進拡散時間が減少した。このような変化はGFP単独では見られなかった。(図3)
この結果により、コムギ無細胞タンパク質合成系で調製した、GFPを融合させたタンパク質を指標に、精製ステップを経ることなく溶液中でヒト血清中物質との反応をFCS測定により検出することができた。これは従来の方法より,迅速,簡便かつ少量の溶液を用いてヒト血清中で行われる抗原抗体反応を検出できることが示された。このことは、ヒト血清中の抗原および抗体にも応用可能であり、競合実験等を行うことで抗原抗体反応が特異的であるかどうかを簡便に調べることができることも示された。本方法の要素技術は、ヒトのワクチンや診断薬等の創薬開発に向けた、ハイスループットな抗原・抗体スクリーニングに利用できるものと思われる。
FCS測定による抗原抗体反応の検出(FTとマウス抗FT血清) FIDA測定による抗原抗体反応の検出(FTとマウス抗FT血清) FCS測定による抗原抗体反応の検出(EBNA1とヒト血清)

Claims (15)

  1. 蛍光標識タンパク質と特定タンパク質の融合タンパク質を無細胞タンパク質合成手段によって調製し、この融合タンパク質を含む合成液をプローブとして、試験検体と接触させ、試験検体中の抗体を検出することを含む抗体検出方法。
  2. 融合タンパク質を精製することなく、試験検体と接触させる請求項1に記載の方法。
  3. 融合タンパク質が、コムギ胚芽抽出液による無細胞タンパク質合成手段によって調製される請求項1又は2に記載の方法。
  4. コムギ胚芽抽出液が、混入する胚乳成分および低分子タンパク質合成阻害物質が実質的に除去されたコムギ胚芽抽出液である請求項1〜3の何れか一に記載の方法。
  5. コムギ胚芽抽出液から、以下のいずれか1から選ばれるATPを介する糖のリン酸化系の制御が行われている請求項4に記載の方法。
    1)単糖類の除去、
    2)リン酸化糖の除去、
    3)多糖類から単糖類の生成の制御、
    4)単糖類からリン酸化糖の生成の制御。
  6. 特定タンパク質が、抗原性物質である請求項1〜5の何れか一に記載の方法。
  7. 特定タンパク質が、リン酸化タンパク質である請求項1〜5の何れか一に記載の方法。
  8. 検出方法が以下の何れか一から選ばれる請求項1〜7の何れか一に記載の方法。
    1)蛍光相関分析法、2)蛍光強度分布解析法
  9. 抗原性物質が、肝炎ウイルスである請求項6に記載の方法。
  10. 抗原性物質が、植物花成誘導因子である請求項6に記載の方法。
  11. 抗原性物質が、Epstein-Barr virus(EBV)である請求項6に記載の方法。
  12. リン酸化タンパク質が、プロテインカイネースである請求項7に記載の方法。
  13. 請求項1〜12の何れか一に記載の方法に使用する検出キット。
  14. 請求項1〜12の何れか一に記載の方法で得られた融合タンパク質を含む検出用試薬又は試薬キット。
  15. 以下の工程を含む無細胞タンパク質合成手段によって調製した特定タンパク質のスクリーニング方法。
    1)所望の候補遺伝子の選択された領域である候補特定タンパク質及び蛍光標識タンパク質をコードする遺伝子(融合タンパク質をコード
    するタンパク質)を調製する工程
    2)1)で調製した遺伝子からmRNAを合成する工程
    3)2)で合成されたmRNAを翻訳鋳型として無細胞タンパク質合成手段で翻訳する工程
    4)3)で合成され融合タンパク質を精製することなく、試験検体と接触させ、抗体反応を検出する工程
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