JP2008019110A - ガラス流路用材料、ガラス製造用装置及びガラス製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】白金系材料であって鉄族金属含有率が60ppm以下であるガラス流路用材料。
【選択図】なし
Description
異物はガラス製造工程におけるガラス溶解炉等の構成材料である耐火物の小片や、製造工程において混入した金属片等である。また、脈理はマトリックスと異なる組成を有する筋状の非晶質体である。また、気泡はガラス製造工程においてガラス原料等から溶融ガラスに混入し、清澄工程等によっても分離できずにガラス製品中の残存したものである。
異物や気泡を有するガラス製品を表示部材として用いると、その部分は光を遮断することとなり、表示性能が不十分となる。また、脈理を有するガラス製品(基板)を例えば表示部材として用いると、屈折率に影響し像を歪めることになる。
そこで、製造工程において溶融ガラスと接触する部分に用いる材料として、耐火物に代わり、白金系材料等のような特定の高融点貴金属を用いる場合がある。この場合、異物、脈理及び気泡の欠陥の発生が高度に抑制されるので、製造されるガラス製品中の欠陥は格段に減少する。
特許文献1には、白金又は白金合金から形成され、自由表面を有するようにしながら溶融ガラスを水平方向に流すための溶融ガラス用導管であって、その断面の幅Wがその断面の高さHよりも大きく、かつ、その断面輪郭が凸曲線であることを特徴とするもの、及びその溶融ガラス用導管を用いた脱泡装置が記載されている。そして、このような脱泡装置によれば、溶融ガラスに侵入する不純物を極力少なくでき、更に高い脱泡効率が得られるのでガラス内の品質欠点を少なくできると記載されている。
本発明の目的は、溶融ガラスと接する部位に白金系材料を用いることで、ガラス製品中に残存する気泡の量を従来よりも低減することができる特定の白金系材料であるガラス流路用材料、及びそれを用いたガラス製品の製造方法を提供することにある。なお、減圧脱泡装置を用いることで、さらに高位で上記効果を発揮できる。
(1)白金系材料であって鉄族金属含有率が60ppm以下であるガラス流路用材料。
(2)前記鉄族金属含有率が40ppm以下である、上記(1)に記載のガラス流路用材料。
(3)上記(1)又は(2)に記載のガラス流路用材料を、溶融ガラスと接触する部材の少なくとも一部に用いたガラス流路用装置。
(4)減圧脱泡槽と、前記減圧脱泡槽に溶融ガラスを導入する上昇管と、前記減圧脱泡槽から前記溶融ガラスを排出するための下降管とを有する減圧脱泡装置であって、前記減圧脱泡槽、前記上昇管及び前記下降管からなる群から選ばれる少なくとも1つが、上記(1)又は(2)に記載のガラス流路用材料からなる、減圧脱泡装置。
(5)上記(4)に記載の減圧脱泡装置を用いて溶融ガラスの脱泡を行う清澄工程を具備する、ガラス製品の製造方法。
初めに、本発明のガラス流路用材料について説明する。
本発明のガラス流路用材料は、白金系材料であって鉄族金属含有率が60ppm以下であるガラス流路用材料である。
例えば、特許文献1及び2の記載されているような減圧脱泡装置において、溶融ガラスと接する部位である減圧脱泡槽、上昇管、下降管等の材料に、本発明のガラス流路用材料を用いることができる。また、例えば、一般的なガラス製造工程が具備する溶融工程において、溶融したガラスが貯留する槽の内面に用いられている耐火物や耐火レンガ等の代わりに、本発明のガラス流路用材料を用いることができる。
また、特許文献3の図1に記載されているようなガラス装置10における白金コンポーネント16、18、20、22、24、26および28にも本発明のガラス流路用材料を用いることができる。
さらに、フュージョン法でガラスを製造する場合におけるスウォード(sword)の部分の材料にも、本発明のガラス流路用材料を用いることができる。
更にこの白金合金は白金と他の貴金属元素との合金であり、他の貴金属元素とは、例えば、白金と、Rh、Au、Ir及びRuからなる群から選択される少なくとも1つとの合金が挙げられる。なお、これらの金属は溶融ガラスと接しても、白金と同様ほとんど溶出しない。白金合金における白金以外の貴金属成分(ロジウム等)の含有率は、特に限定されないものの、20質量%以下であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、5〜12質量%であることが更に好ましい。理由は、少なすぎると目的とする固溶強化の効果が十分には得られず、多すぎると材料としての加工性が損なわれるからである。
不純物としては、例えばCu、Fe、Ni、Co、Ag、Al、B、Ca、Cr、Mg、Mn、Mo、Pb、Si、Sn、Ti、Zn等が挙げられる。このような不純物を通常、0.1質量%以下程度含む。
この含有率は40ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましい。
本発明のガラス流路用材料を用いると、ガラス製品中に少量残存する気泡の発生を抑制して、従来よりもガラス製品中の気泡の量を低減することができる。
また、鉄族金属元素の中では、通常Feの含有量が最も大きくなる。このFeの含有率は50ppm、特に40ppmであることが好ましい。
ガラス流路用材料として前記白金系材料を用いた場合、これに微量に含まれるFeが溶融ガラス中へ溶解する。溶融ガラス中でFeは二価又は三価のイオンとして存在し、その量比は溶融ガラスの特質に影響を及ぼすが、このように前記白金系材料からFeが溶解すると、局部的にこの二価又は三価のFeイオンの量比が変化する。この変化の結果、溶融ガラス中の酸化物の酸素が一部離脱したり、特質が異なる溶融ガラスが生じることによる溶融ガラス中の溶存ガスの析出が生じ、気泡が発生すると考える。
また、Fe以外の鉄族金属についても、同様に作用すると考えられる。
なお、鉄族金属元素以外の不純物(Cu、Ag、Al、B、Ca、Mg、Mn、Mo、Pb、Si、Sn、Ti、Zn等)の合計含有量は、ガラス流路に用いる場合における耐久性やガラスの汚染等を考慮すると、100ppm以下、特に50ppm以下であることが好ましい。
具体的には、鉄族金属元素の含有率が上記のような値よりも高い白金系材料、すわなち、従来のガラス製造工程で用いられる白金系材料は、例えば、溶解法、溶媒抽出法、電解法等の精製法によって製造することができるが、本発明のガラス流路用材料は、同様の精製法を、従来用いられる白金系材料を製造する場合よりも、更に数回、繰り返して行うことで製造することができる。
本発明のガラス製造用装置は、上記の本発明のガラス流路用材料を、溶融ガラスと接触する部材の少なくとも一部に用いたガラス製造用装置である。
このようなガラス製造用装置としては、例えば、減圧脱泡槽と、前記減圧脱泡槽に溶融ガラスを導入する上昇管と、前記減圧脱泡槽から前記溶融ガラスを排出するための下降管とを有する減圧脱泡装置であって、前記減圧脱泡槽、前記上昇管及び前記下降管からなる群から選ばれる少なくとも1つが、本発明のガラス流路用材料からなる減圧脱泡装置が挙げられる。
図1に示した態様の減圧脱泡装置10は、溶融された溶融ガラス21を供給する上流側移送槽30A、上流側移送槽30Aの下流側端部において垂直上方へ溶融ガラス21を上昇させる上昇管22U、上昇管22Uの上端から略水平に設けられた減圧脱泡槽20、減圧脱泡槽20の下流側端部から溶融ガラス21を垂直に下方へ導く下降管22L、下降管22Lから更に下流側へ溶融ガラス21を導く下流側移送槽30Bを備えている。
そして、これら上昇管22U、減圧脱泡槽20及び下降管22Lは全体門型状に形成されており、サイフォンの原理で溶融ガラス21を減圧脱泡槽20まで持ち上げ、差圧により溶融ガラス21に含まれている泡を除去する。また、脱泡された溶融ガラス21は下降管22Lを経て下流側移送槽30Bに導かれて成形工程へ移送される。
また、上流側移送槽30Aには第1スターラー31aが設けられており、下流側移送槽30Bには第2スターラー31bが設けられている。そして、上流側移送槽30Aから供給されつつある溶融ガラス21は、途中第1スターラー31aで撹拌されて溶存ガスを微小泡化するとともに溶融ガラス21を均一化する。
このような本発明の減圧脱泡装置において、前記減圧脱泡槽、前記上昇管及び前記下降管を構成するガラス流路の肉厚寸法、形状等は特に限定されない。例えば減圧脱泡槽においては、肉厚寸法0.4〜1.6mm、断面径状が楕円形のものを好ましく用いることができる。
本発明のガラス製品の製造方法は、上記の本発明のガラス流路用材料を用いた減圧脱泡装置を用いて、溶融ガラスの脱泡を行う清澄工程を具備するガラス製品の製造方法である。
ガラス製品を製造するためには、このような清澄工程の他に、通常、前工程として溶解工程、及び後工程として成形工程が必要であるが、本発明のガラス製品の製造方法において、清澄工程以外のこれらの工程は特に限定されず、例えば従来公知の方法を適用することができる。
例えば従来公知の溶解工程としては、通常用いられるガラス原料を溶解炉へ投入し、1500〜1650℃程度の温度で溶解する工程が挙げられる。
また、例えば従来公知の成形工程としてはフロート成形工程が挙げられる。
例えば前記減圧脱泡槽の中を自由表面を有するようにしながら溶融ガラスを水平方向に流し、前記自由表面上の雰囲気の圧力を0.05〜0.6atm、好ましくは0.08〜0.5atm、更に好ましくは0.12〜0.3atmに保持して溶融ガラスを脱泡することができる。このような圧力で脱泡を行うと、減圧脱泡を効率よく行うことができるので好ましいが、一方で、減圧脱泡槽を形成する白金系材料中に鉄族金属が含有することに起因する気泡の発生量が増加する傾向にある。ここで、この減圧脱泡槽を形成する白金系材料を本発明のガラス流路用材料ではなく、鉄族金属含有率が60ppm超のものであると、この気泡の発生量が特に顕著になる。そこで、この鉄族金属含有率が60ppm以下であると本発明のガラス流路用材料からなる減圧脱泡槽を用いる、上記のような圧力で脱泡を行っても、減圧脱泡槽を形成する材質中に鉄族金属が含有することに起因する気泡の発生が抑制されるので、より気泡を含まないガラス製品を製造することができるので好ましい。
本発明のガラス製品において、対象となるガラスは、加熱溶融法により製造されるガラスである限り、組成的には制約されない。したがって、ライムシリカ系ガラスやホウケイ酸ガラスのようなアルカリガラスであってもよい。ただし、減圧脱泡の際に気泡が除去されにくく、しかも、ディスプレイガラス基板等、特に欠点が少ないことが要求される用途に使用されることから、無アルカリガラス(アルカリ分を実質的に含有していないガラス)が好適である。具体的には、無アルカリガラス(歪点が600℃以上のガラス)であれば、通常のガラスよりも高温での溶解が要求されるため、本発明のようなガラス流路用材料を好適に用いることが可能である。
以下、具体的に説明する。
鉄族金属含有率は試料1が25ppm、試料2が37ppm、試料3が73ppmである。なお、各成分の含有率は、各試料表面を深さ0.2mm程度機械的に削り取った後の面に対してGDMS分析(グロー放電質量分析)を行い求めた。第1表中の「n.d.」は分析限界以下であることを示している。
図2に示す気泡発生数計測装置50は、電気炉44の内部に二重坩堝43が設置され、その二重坩堝43の内側の坩堝43aに満たされた溶融ガラス42(溶融ガラスA)に浸漬された試料41から発生する気泡を、電気炉44の上部に設置されたビデオカメラ45によって観察し、記録用コンピューター46に記録できる装置である。
20 減圧脱泡槽
21 溶融ガラス
22U 上昇管
22L 下降管
23 ケーシング
30A 上流側移送槽
30B 下流側移送槽
31a 第1スターラー
31b 第2スターラー
41 試料
42 溶融ガラス
43 二重坩堝
43a 内側の坩堝
43b 外側の坩堝
44 電気炉
45 ビデオカメラ
46 記録用コンピューター
47 流入口
48 流出口
49 観察用のぞき窓
50 気泡発生数計測装置
Claims (5)
- 白金系材料であって鉄族金属含有率が60ppm以下であるガラス流路用材料。
- 前記鉄族金属含有率が40ppm以下である、請求項1に記載のガラス流路用材料。
- 請求項1又は2に記載のガラス流路用材料を、溶融ガラスと接触する部材の少なくとも一部に用いたガラス製造用装置。
- 減圧脱泡槽と、前記減圧脱泡槽に溶融ガラスを導入する上昇管と、前記減圧脱泡槽から前記溶融ガラスを排出するための下降管とを有する減圧脱泡装置であって、
前記減圧脱泡槽、前記上昇管及び前記下降管からなる群から選ばれる少なくとも1つが、請求項1又は2に記載のガラス流路用材料からなる、減圧脱泡装置。 - 請求項4に記載の減圧脱泡装置を用いて溶融ガラスの脱泡を行う清澄工程を具備する、ガラス製品の製造方法。
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