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JP2008016192A - 非水電解液二次電池用負極 - Google Patents

非水電解液二次電池用負極 Download PDF

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JP2008016192A JP2006182809A JP2006182809A JP2008016192A JP 2008016192 A JP2008016192 A JP 2008016192A JP 2006182809 A JP2006182809 A JP 2006182809A JP 2006182809 A JP2006182809 A JP 2006182809A JP 2008016192 A JP2008016192 A JP 2008016192A
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JP2006182809A
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Akihiro Motegi
暁宏 茂出木
Hideaki Matsushima
英明 松嶋
Kiyotaka Yasuda
清隆 安田
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Mitsui Kinzoku Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Abstract

【課題】初期充電の過電圧が低く、且つサイクル特性が良好な非水電解液二次電池用負極を提供すること。
【解決手段】非水電解液二次電池用負極10は、活物質の粒子12aを含む活物質層12を備える。粒子12aの表面の少なくとも一部が金属材料13及び固体電解質膜(SEI)14で被覆されている。これと共に、該金属材料13の層で被覆された該粒子12aどうしの間に空隙が形成されている。SEI14は金属材料13の一部を取り込んだ状態で、粒子12aの表面の少なくとも一部を被覆していることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池などの非水電解液二次電池用の負極に関する。
本出願人は先に、表面が電解液と接する一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む活物質層とを備えた非水電解液二次電池用負極を提案した(特許文献1参照)。この負極の活物質層には、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が浸透しており、浸透した該金属材料中に活物質の粒子が存在している。活物質層がこのような構造になっているので、この負極においては、充放電によって該粒子が膨張収縮することに起因して微粉化しても、その脱落が起こりづらくなる。その結果、この負極を用いると、電池のサイクル寿命が長くなるという利点がある。
前記の活物質層中の粒子がリチウムイオンを首尾良く吸蔵放出するためには、リチウムイオンを含む非水電解液が活物質層内を円滑に流通できることが必要である。そのためには活物質層内に非水電解液の流通が可能な経路を設けることが有利である。活物質層中における前記の金属材料の浸透量を多くし過ぎた場合には、前記の経路が十分に形成されず、リチウムイオンが活物質の粒子にまで到達しづらく、初期充電の過電圧が高くなる傾向にある。過電圧が高くなることは、負極の表面でリチウムのデンドライトの発生や、非水電解液の分解の原因となる。また、活物質層の厚み方向における電極反応が不均一となってしまう。逆に、活物質層中における前記の金属材料の浸透量が少なすぎる場合には、充放電による活物質の膨張収縮に起因して活物質が微粉化して脱落し、サイクル特性が低下してしまう。
特許第3612669号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術の負極よりも性能が一層向上した非水電解液二次電池用負極を提供することにある。
本発明は、活物質の粒子を含む活物質層を備え、該粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料及び固体電解質膜で被覆されていると共に、該粒子どうしの間に空隙が形成されている非水電解液二次電池用負極を提供するものである。
また本発明は、活物質の粒子を含む活物質層を備え、該粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料で被覆されていると共に、該粒子どうしの間に空隙が形成されており、該金属材料の平均厚みが0.05〜1μmであり、且つ該金属材料が、前記活物質層の厚み方向全域にわたって前記粒子の表面に存在している非水電解液二次電池用負極を提供するものである。
また本発明は、活物質の粒子を含むスラリーを集電体上に塗布し塗膜を形成し、
前記塗膜を50〜500MPaのプレス処理に付し、
プレス後の前記塗膜を、リチウム形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行い、前記粒子の表面に前記金属材料を析出させる非水電解液二次電池用負極の製造方法を提供するものである。
充放電によって活物質の粒子が膨張収縮した場合、その膨張収縮に追従して固体電解質膜が変形し、その変形に追従してリチウム化合物の形成能の低い金属材料も変形するので、該金属材料の被覆が該粒子の表面から剥離しづらくなる。その結果、サイクル特性が良好になる。特に、金属材料の被覆の厚みを小さな値に設定すると、リチウムイオンを含む非水電解液が活物質の粒子表面へ容易に到達するようになり、初期充電の過電圧が低くなる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の非水電解液二次電池用負極の一実施形態の断面構造の模式図が示されている。本実施形態の負極10は、集電体11と、その少なくとも一面に形成された活物質層12を備えている。なお図1においては、便宜的に集電体11の片面にのみ活物質層12が形成されている状態が示されているが、活物質層は集電体の両面に形成されていてもよい。
活物質層12は、活物質の粒子12aを含んでいる。活物質層12は例えば、活物質の粒子12aを含むスラリーを塗布して形成されている。活物質としては、例えばシリコン系材料やスズ系材料、アルミニウム系材料、ゲルマニウム系材料など、リチウムを吸蔵し得る材料が挙げられる。スズ系材料としては、例えばスズと、コバルトと、炭素と、ニッケル及びクロムのうちの少なくとも一方とを含む合金が好ましく用いられる。負極重量あたりの容量密度を向上させる上では、特にシリコン系材料が好ましい。
シリコン系材料としては、リチウムの吸蔵が可能で且つシリコンを含有する材料、例えばシリコン、シリコンと金属との合金、シリコン酸化物などを用いることができる。これらの材料はそれぞれ単独で、或いはこれらを混合して用いることができる。前記の金属としては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe、Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる。これらの金属のうち、Cu、Ni、Coが好ましく、特に電子伝導性に優れる点、及びリチウム化合物の形成能の低さの点から、Cu、Niを用いることが望ましい。また、負極を電池に組み込む前に、又は組み込んだ後に、シリコン系材料からなる活物質に対してリチウムを吸蔵させてもよい。特に好ましいシリコン系材料は、リチウムの吸蔵量の高さの点からシリコンはシリコン酸化物である。
活物質層12においては、粒子12aの表面の少なくとも一部が金属材料13の層で被覆されている。この金属材料13は、粒子12aの構成材料と異なる材料である。該金属材料13の層で被覆された該粒子12aの間には空隙が形成されている。つまり該金属材料13の層は、リチウムイオンを含む非水電解液が粒子12aへ到達可能なような隙間を確保した状態で該粒子12aの表面を被覆している。図1中、金属材料13の層は、粒子12aの周囲を取り囲む太線として便宜的に表されている。なお同図においては、活物質層12に含まれる粒子12aのうち、他の粒子との間に接触がないように描かれているものが存在するが、これは活物質層12を二次元的にみたことに起因するものであり、実際は各粒子は他の粒子と直接又は金属材料13を介して接触している。
金属材料13は、活物質層12の厚み方向全域にわたって存在していることが好ましい。そして金属材料13のマトリックス中に活物質の粒子12aが存在していることが好ましい。これによって、充放電によって該粒子12aが膨張収縮することに起因して微粉化しても、その脱落が起こりづらくなる。また、金属材料13を通じて活物質層12全体の電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した活物質の粒子12aが生成すること、特に活物質層12の深部に電気的に孤立した活物質の粒子12aが生成することが効果的に防止される。このことは、活物質として半導体であり電子伝導性の乏しい材料、例えばシリコン系材料を用いる場合に特に有利である。金属材料13が活物質層12の厚み方向全域にわたって活物質の粒子12aの表面に存在していることは、該材料13を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって確認できる。
金属材料13の層は、粒子12aの表面を連続に又は不連続に被覆している。金属材料13の層が粒子12aの表面を連続に被覆している場合には、金属材料13の層に、非水電解液の流通が可能な微細な空隙を形成することが好ましい。金属材料13の層が粒子12aの表面を不連続に被覆している場合には、粒子12aの表面のうち、金属材料13の層で被覆されていない部位を通じて該粒子12aへ非水電解液が供給される。このような構造の金属材料13の層を形成するためには、例えば後述する条件に従う電解めっきによって金属材料13を粒子12aの表面に析出させればよい。
金属材料13の層で被覆された粒子12aどうしの間には空隙が形成されている。この空隙は、リチウムイオンを含む非水電解液の流通の経路としての働きを有している。この空隙の存在によって非水電解液が活物質の粒子12aへ容易に到達するので、初期充電の過電圧を低くすることができる。その結果、負極の表面でリチウムのデンドライトが発生することが防止される。デンドライトの発生は両極の短絡の原因となる。過電圧を低くできることは、非水電解液の分解防止の点からも有利である。非水電解液が分解すると不可逆容量が増大するからである。更に、過電圧を低くできることは、正極がダメージを受けにくくなる点からも有利である。
更に、粒子12a間に形成されている空隙は、充放電で活物質の粒子12aが体積変化することに起因する応力を緩和するための空間としての働きも有する。充電によって体積が増加した活物質の粒子12aの体積の増加分は、この空隙に吸収される。その結果、該粒子12aの微粉化が起こりづらくなり、また負極10の著しい変形が効果的に防止される。
図2(a)には、活物質層12に含まれる活物質の粒子12aの要部を拡大した模式図が示されている。粒子12aは、その表面の一部が金属材料13によって薄い層状に被覆されている。また粒子12aは、その表面の一部が、固体電解質膜(solid electrolyte interface、以下「SEI」ともいう)14によって被覆されている。SEIは一般に、非水電解液の還元分解物であると考えられている。SEIはリチウムイオン透過性を有しているが、電子伝導性は有していないと言われている。そして、非水電解液の種類や活物質の種類、更には添加剤の種類等に応じ、種々の種類のSEIが形成されることが判明している。粒子12aの表面にSEIが形成されることで、粒子12aの表面が不活性化・安定化し、非水電解液の還元に起因する不可逆容量の増大が防止される。
金属材料13及びSEI14による被覆の状態は、これらの形成の方法に応じて種々の態様がある。例えば、粒子12aの表面を、金属材料13及びSEI14が別個に被覆している態様や、金属材料13とSEI14が層状に上下積層されている態様が挙げられる。後者の場合、下側に金属材料が位置し、上側にSEI14が位置する場合と、その逆の場合とがある。特に好ましい態様は、後述する理由により、SEI14が金属材料13の一部を取り込んだ状態で、粒子12aの表面の少なくとも一部を被覆している態様である。SEI14及び金属材料13による粒子12aの被覆の状態は、例えば活物質層12の断面をSEM観察することで確認することができる。
図2(b)には、リチウムイオンの放出(放電)によって図2(a)に示す粒子12aが収縮した状態が示されている。粒子12aが収縮すると、その表面を被覆していたSEI14が粒子12aの収縮に追従して変形する。つまりSEI14は粒子12aの表面から剥離することなく変形する。このSEI14の変形に追従して、金属材料13の被覆も変形する。つまり、SEIは粒子12aと金属材料13との結着剤的な働きをする。その結果、粒子12aはその収縮後の状態においても、その表面がSEI14及び金属材料13によって被覆されている。
このように本実施形態に負極10においては、活物質の粒子12aが充放電によって膨張収縮を繰り返しても、SEI14及び金属材料13によって該粒子12aの表面が被覆された状態が維持される。その結果、粒子12aの脱落が効果的に防止される。また粒子12aどうしの電気的接触が保たれる。これらの理由によってサイクル特性が向上する。
活物質の粒子12aの収縮に追従して金属材料13を確実に変形させる観点から、SEI14は金属材料13の一部を取り込んだ状態で、粒子12aの表面の少なくとも一部を被覆していることが好ましい。
また、活物質の粒子12aの収縮に追従して金属材料13を確実に変形させる観点から、金属材料13による被覆は過度に厚くないことが好ましい。金属材料13による被覆が厚すぎると、粒子12aの収縮に追従して金属材料13の被覆が変形した場合、その変形を吸収する空間が少ないことに起因して、金属材料13の被覆の変形が活物質の粒子12aの収縮に追従しきれず、結果的に粒子12aの表面から剥離してしまうからである。この観点から、金属材料13の被覆の平均厚みは0.05〜1μm、特に0.05〜0.25μmであることが好ましい。また、この範囲の厚みとすることで、リチウムイオンを含む非水電解液が、金属材料13の被覆を円滑に透過して粒子12aの表面に到達することができる。それによって初期充電の過電圧を低くすることができる。また、この範囲の厚みの被覆は、粒子12aが膨張収縮することに起因して微粉化した場合に、その脱落を効果的に防止し得るものである。金属材料13の被覆の平均厚みは、例えば活物質層12の断面をSEM観察することで測定できる。
金属材料13の被覆の厚みを前記の範囲内に設定した場合であっても、活物質の粒子12aの粒径が過度に小さい場合には、活物質層12における粒子12aの充填率が高くなることから、やはり金属材料13の被覆の変形が活物質の粒子12aの収縮に追従しきれず、結果的に粒子12aの表面から金属材料13の被覆が剥離してしまうことがある。これを防止する観点から、金属材料13の被覆の平均厚みと粒子12aの平均粒径との比(前者/後者)を1/50〜1/2、特に1/50〜1/5に設定することが好ましい。粒子12aの平均粒径それ自体は0.1〜8μm、特に1〜5μmであることが好ましい。ここでいう平均粒径はD50の値であり、例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定、電子顕微鏡観察(SEM観察)によって測定される。金属材料13の被覆の厚みは、後述するめっきの条件を調整することでコントロールできる。
活物質層12は、後述するように、好適には粒子12a及び結着剤を含むスラリーを集電体上に塗布し乾燥させて得られた塗膜に対し、所定のめっき浴を用いた電解めっきを行い、粒子12a間に金属材料13を析出させることで形成される。SEI14は、このようにして形成された活物質層12を、非水電解液に浸漬して充電を行うことで形成される。充電の条件に特に制限はない。通常の充電条件を用いればSEI14を容易に形成できる。
非水電解液の流通が可能な空隙を活物質層内に必要且つ十分に形成するためには、前記の塗膜内にめっき液を十分浸透させることが好ましい。これに加えて、該めっき液を用いた電解めっきによって金属材料13を析出させるための条件を適切なものとすることが好ましい。めっきの条件にはめっき浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。めっき浴のpHは7.1〜11に調整することが好ましい。pHをこの範囲内とすることで、活物質の粒子12aの溶解が抑制されつつ、該粒子12aの表面が清浄化されて、粒子表面へのめっきが促進され、同時に粒子12a間に適度な空隙が形成される。pHの値は、めっき時の温度において測定されたものである。なお、前記の特許文献1に開示されているような酸性浴では、活物質層の全域にわたって活物質の粒子12aの表面を薄く均一に金属材料13で被覆することは容易ではない。
めっきの金属材料13として銅を用いる場合には、ピロリン酸銅浴を用いることが好ましい。また該金属材料としてニッケルを用いる場合には、例えばアルカリニッケル浴を用いることが好ましい。特に、ピロリン酸銅浴を用いると、活物質層12を厚くした場合であっても、該層の厚み方向全域にわたって、前記の空隙を容易に形成し得るので好ましい。また、活物質の粒子12aの表面には金属材料13が析出し、且つ該粒子12a間では金属材料13の析出が起こりづらくなるので、該粒子12a間の空隙が首尾良く形成されるという点でも好ましい。ピロリン酸銅浴を用いる場合、その浴組成、電解条件及びpHは次の通りであることが好ましい。
・ピロリン酸銅三水和物:85〜120g/l
・ピロリン酸カリウム:300〜600g/l
・硝酸カリウム:15〜65g/l
・浴温度:45〜60℃
・電流密度:2〜7A/dm2
・pH:アンモニア水とポリリン酸を添加してpH7.1〜9.5になるように調整する。
ピロリン酸銅浴を用いる場合には特に、P27の重量とCuの重量との比(P27/Cu)で定義されるP比が5〜12であるものを用いることが好ましい。P比が5未満のものを用いると、活物質の粒子12aを被覆する金属材料が厚くなる傾向となり、粒子12a間に所望の空隙を形成させづらい場合がある。また、P比が12を超えるものを用いると、電流効率が悪くなり、ガス発生などが生じやすくなることから生産安定性が低下する場合がある。更に好ましいピロリン酸銅浴として、P比が6.5〜10.5であるものを用いると、活物質の粒子12a間に形成される空隙のサイズ及び数が、活物質層12内での非水電解液の流通に非常に有利になる。
アルカリニッケル浴を用いる場合には、その浴組成、電解条件及びpHは次の通りであることが好ましい。
・硫酸ニッケル:100〜250g/l
・塩化アンモニウム:15〜30g/l
・ホウ酸:15〜45g/l
・浴温度:45〜60℃
・電流密度:1〜7A/dm2
・pH:25重量%アンモニア水:100〜300g/lの範囲でpH8〜11となるように調整する。
このアルカリニッケル浴と前述のピロリン酸銅浴とを比べると、ピロリン酸銅浴を用いた場合の方が活物質層12内に適度な空隙が形成される傾向があり、負極の長寿命化を図りやすいので好ましい。
前記の各種めっき浴に、タンパク質、活性硫黄化合物、セルロース等の銅箔製造用電解液に用いられる各種添加剤を加えることにより、金属材料13の特性を適宜調整することも可能である。
上述の各種方法によって形成される活物質層12における空隙の割合、つまり空隙率は、15〜45体積%程度、特に20〜40体積%程度であることが好ましい。空隙率をこの範囲内とすることで、非水電解液の流通が可能な空隙を活物質層12内に必要且つ十分に形成することが可能となる。空隙率は次の(1)〜(7)の手順で測定される。
(1)前記のスラリーの塗布によって形成された塗膜の単位面積当たりの重量を測定し、粒子12aの重量及び結着剤の重量を、スラリーの配合比から算出する。
(2)電解めっき後の単位面積当たりの重量変化から、析出しためっき金属種の重量を算出する。
(3)電解めっき後、負極の断面をSEM観察することで、活物質層12の厚さを求める。
(4)活物質層12の厚さから、単位面積当たりの活物質層12の体積を算出する。
(5)粒子12aの重量、結着剤の重量、めっき金属種の重量と、それぞれの配合比から、それぞれの体積を算出する。
(6)単位面積当たりの活物質層12の体積から、粒子12aの体積、結着剤の体積、めっき金属種の体積を減じて、空隙の体積を算出する。
(7)このようにして算出された空隙の体積を、単位面積当たりの活物質層12の体積で除し、それに100を乗じた値を空隙率(%)とする。
負極全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると強度が低下し活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質層の厚みは10〜40μm、好ましくは15〜30μm、更に好ましくは18〜25μmである。
活物質層12中に析出しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料13は導電性を有するものであり、その例としては銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などが挙げられる。特に金属材料13は、活物質の粒子12aが膨張収縮しても該粒子12aの表面の被覆が破壊されにくい延性の高い材料であることが好ましい。そのような材料としては銅を用いることが好ましい。
本実施形態の負極10においては、活物質層12の表面に薄い表面層(図示せず)が形成されていてもよい。また負極10はそのような表面層を有していなくてもよい。表面層の厚みは、0.25μm以下、好ましくは0.1μm以下という薄いものである。表面層の厚みの下限値に制限はない。
負極10が前記の厚みの薄い表面層を有するか又は該表面層を有していないことによって、負極10を用いて二次電池を組み立て、当該電池の初期充電を行うときの過電圧を低くすることができる。このことは、二次電池の充電時に負極10の表面でリチウムが還元することを防止できることを意味する。リチウムの還元は、両極の短絡の原因となるデンドライトの発生につながる。
負極10が表面層を有している場合、該表面層は活物質層12の表面を連続又は不連続に被覆している。表面層が活物質層12の表面を連続に被覆している場合、該表面層は、その表面において開孔し且つ活物質層12と通ずる多数の微細空隙(図示せず)を有していることが好ましい。微細空隙は表面層の厚さ方向へ延びるように表面層中に存在していることが好ましい。微細空隙は非水電解液の流通が可能なものである。微細空隙の役割は、活物質層12内に非水電解液を供給することにある。微細空隙は、負極10の表面を電子顕微鏡観察により平面視したとき、金属材料13で被覆されている面積の割合、即ち被覆率が95%以下、特に80%以下、とりわけ60%以下となるような大きさであることが好ましい。
表面層は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料から構成されている。この金属材料は、活物質層12中に存在している金属材料13と同種でもよく、或いは異種でもよい。また表面層は、異なる2種以上の金属材料からなる2層以上の構造であってもよい。負極10の製造の容易さを考慮すると、活物質層12中に存在している金属材料13と、表面層を構成する金属材料とは同種であることが好ましい。
負極10における集電体11としては、非水電解液二次電池用負極の集電体として従来用いられているものと同様のものを用いることができる。集電体11は、先に述べたリチウム化合物の形成能の低い金属材料から構成されていることが好ましい。そのような金属材料の例は既に述べた通りである。特に、銅、ニッケル、ステンレス等からなることが好ましい。また、コルソン合金箔に代表されるような銅合金箔の使用も可能である。更に集電体として、常態抗張力(JIS C 2318)が好ましくは500MPa以上である金属箔、例えば前記のコルソン合金箔の少なくとも一方の面に銅被膜層を形成したものを用いることもできる。更に集電体として常態伸度(JIS C 2318)が4%以上のものを用いることも好ましい。抗張力が低いと活物質が膨張した際の応力によりシワが生じ、伸び率が低いと該応力により集電体に亀裂が入ることがあるからである。集電体11の厚みは本実施形態において臨界的ではない。負極10の強度維持と、エネルギー密度向上とのバランスを考慮すると、9〜35μmであることが好ましい。なお、集電体11として銅箔を使用する場合には、クロメート処理や、トリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物などの有機化合物を用いた防錆処理を施しておくことが好ましい。
次に、本実施形態の負極10の好ましい製造方法について、図3を参照しながら説明する。本製造方法では、活物質の粒子及び結着剤を含むスラリーを用いて集電体11上に塗膜を形成し、次いでその塗膜に対して電解めっきが行われる。
先ず図3(a)に示すように集電体11を用意する。そして集電体11上に、活物質の粒子12aを含むスラリーを塗布して塗膜15を形成する。スラリーは、活物質の粒子の他に、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。またスラリーはアセチレンブラックやグラファイトなどの導電性炭素材料の粒子を少量含んでいてもよい。特に、活物質の粒子12aがシリコン系材料から構成されている場合には、該活物質の粒子12aの重量に対して導電性炭素材料を1〜3重量%含有することが好ましい。導電性炭素材料の含有量が1重量%未満であると、スラリーの粘度が低下して活物質の粒子12aの沈降が促進されるため、良好な塗膜15及び均一な空隙を形成しにくくなる。また導電性炭素材料の含有量が3重量%を超えると、該導電性炭素材料の表面にめっき核が集中し、良好な被覆を形成しにくくなる。
結着剤としてはスチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の粒子12aの量は30〜70重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。これらに希釈溶媒を加えてスラリーとする。
形成された塗膜15は、粒子12a間に多数の微小空間を有する。この塗膜15をプレス処理に付す。プレス処理は、粒子12a間の微小空間を減少させるが、該微小空間が消失しない程度の圧力下に行う。次に、プレス処理が施された塗膜15を有する集電体11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬する。めっき浴への浸漬によって、めっき液が塗膜15内の前記微小空間に浸入して、塗膜15と集電体11との界面にまで達する。その状態下に電解めっきを行い、めっき金属種を粒子12aの表面に析出させる(以下、このめっきを浸透めっきともいう)。浸透めっきは、集電体11をカソードとして用い、めっき浴中にアノードとしての対極を浸漬し、両極を電源に接続して行う。
浸透めっきを行う前に塗膜15をプレス処理に付すことで、めっきの進行を早めることができ、活物質の粒子12aの表面に薄く且つ均一な金属材料13の被覆を形成し得ることが本発明者らの検討の結果判明した。この理由は、プレス処理によって粒子12aどうしの接触の程度が高まり、それによって塗膜15内での電子伝導性が良好になって、めっき核が生成する領域が、塗膜15の厚み方向で増大することに起因するものと考えられる。この観点から、プレス処理の圧力は50〜500MPa、特に100〜500MPaであることが好ましい。
浸透めっきによる金属材料の析出は、塗膜15の一方の側から他方の側に向かって進行させることが好ましい。具体的には、図3(b)ないし(d)に示すように、塗膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向けて金属材料13の析出が進行するように電解めっきを行う。金属材料13をこのように析出させることで、活物質の粒子12aの表面を金属材料13で首尾よく被覆することができると共に、金属材料13で被覆された粒子12a間に空隙を首尾よく形成することができる。しかも、該空隙の空隙率を前述した好ましい範囲にすることが容易となる。
前述のように金属材料13を析出させるための浸透めっきの条件には、めっき浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。このような条件については既に述べた通りである。
図3(b)ないし(d)に示されているように、塗膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向けて金属材料13の析出が進行するようにめっきを行うと、析出反応の最前面部においては、ほぼ一定の厚みで金属材料13のめっき核からなる微小粒子13aが層状に存在している。金属材料13の析出が進行すると、隣り合う微小粒子13aどうしが結合して更に大きな粒子となり、更に析出が進行すると、該粒子どうしが結合して活物質の粒子12aの表面を連続的に被覆するようになる。
浸透めっきは、塗膜15の厚み方向全域に金属材料13が析出した時点で終了させる。めっきの終了時点を調節することで、活物質層12の上面に表面層(図示せず)を形成することができる。このようにして、図3(d)に示すように、活物質の粒子12aの表面に金属材料13の被覆が形成されてなる構造の負極が得られる。
次にこの負極を、リチウムイオンを含む非水電解液に浸漬して充電を行う。この充電によって活物質の粒子12aの表面にSEI14が形成される。この場合、上述のプレス処理を施すことで粒子12aの表面に析出した金属材料13は薄く均一なものなので、SEI14は該金属材料13の一部を取り込んだ状態で形成されやすくなる。
先に述べた通り、非水電解液の種類や活物質の種類、更には添加剤の種類等に応じ、種々の種類のSEIが形成される。リチウムイオン透過性の高いSEI14を形成する観点からは、非水電解液としてエチレンカーボネートを主体とする有機溶媒にリチウム塩を溶解させた溶液を用いることが好ましい。エチレンカーボネートと併用される他の有機溶媒としては、例えばジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これらの有機溶媒を含む非水電解液に、例えばビニレンカーボネート等の添加剤を添加すると、リチウムイオン透過性の一層高いSEIを形成しやすくなることから好ましい。リチウム塩としては、LiClO4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiSCN、LiCl、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC49SO3等が例示される。特に、非水電解液全体に対し0.5 〜5重量%のビニレンカーボネート及び0.1〜1重量%のジビニルスルホン、0.1〜1.5重量%の1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートを含有させることが充放電サイクル特性を更に向上する観点から好ましい。その理由について詳細は明らかでないが、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートとジビニルスルホンが段階的に分解して、正極上に被膜を形成することにより、硫黄を含有する被膜がより緻密なものになるためであると考えられる。
特に非水電解液としては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン ,4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン或いは4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどのハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体のような比誘電率が30以上の高誘電率溶媒を用いることも好ましい。耐還元性が高く、分解されにくいからである。また、上記高誘電率溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、或いはメチルエチルカーボネートなどの粘度が1mPa・s以下である低粘度溶媒を混合した電解液も好ましい。より高いイオン伝導性を得ることができるからである。更に、電解液中のフッ素イオンの含有量が14質量ppm以上1290質量ppm以下の範囲内であることも好ましい。電解液に適量なフッ素イオンが含まれていると、フッ素イオンに由来するフッ化リチウムなどの被膜が負極に形成され、負極における電解液の分解反応を抑制することができると考えられるからである。更に、酸無水物及びその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種の添加物が0.001質量%〜10質量%含まれていることが好ましい。これにより負極の表面に被膜が形成され、電解液の分解反応を抑制することができるからである。この添加物としては、環に−C(=O)−O−C(=O)−基を含む環式化合物が好ましく、例えば無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−スルホ安息香酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、無水ヘキサフルオログルタル酸、無水3−フルオロフタル酸、無水4−フルオロフタル酸などの無水フタル酸誘導体、又は無水3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、無水1,8−ナフタル酸、無水2,3−ナフタレンカルボン酸、無水1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの無水1,2−シクロアルカンジカルボン酸、又はシス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物或いは3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物などのテトラヒドロフタル酸無水物、又はヘキサヒドロフタル酸無水物(シス異性体、トランス異性体)、3,4,5,6−テトラクロロフタル酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、二無水ピロメリット酸、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
このようにして得られた負極10は、例えばリチウム二次電池等の非水電解液二次電池用の負極として好適に用いられる。この場合、電池の正極は、正極活物質並びに必要により導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電体に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスし、更に裁断、打ち抜きすることにより得られる。正極活物質としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等の含リチウム金属複合酸化物を始めとする従来公知の正極活物質が用いられる。また、正極活物質として、LiCoO2に少なくともZrとMgの両方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物と、層状構造を有し、少なくともMnとNiの両方を含有するリチウム遷移金属複合酸化物と混合したものも好ましく用いることができる。かかる正極活物質を用いることで充放電サイクル特性及び熱安定性の低下を伴うことなく、充電終止電圧を高めることが期待できる。正極活物質の一次粒子径の平均値は5μm以上10μm以下であることが、充填密度と反応面積との兼ね合いから好ましく、正極に使用する結着剤の重量平均分子量は350,000 以上2,000,000以下のポリフッ化ビニリデンであることが好ましい。低温環境での放電特性を向上させることが期待できるからである。
電池のセパレータとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、又はポリテトラフルオロエチレンの多孔質フィルム等が好ましく用いられる。特にセパレータとして、例えば多孔性ポリエチレンフィルム(旭化成ケミカルズ製;N9420G)が好ましく使用できる。電池の過充電時に生じる電極の発熱を抑制する観点からは、ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面にフェロセン誘導体の薄膜が形成されてなるセパレータを用いることが好ましい。セパレータは、突刺強度が0.2N/μm厚以上0.49N/μm厚以下であり、巻回軸方向の引張強度が40MPa以上150MPa以下であることが好ましい。充放電に伴い大きく膨張・収縮する負極活物質を用いても、セパレータの損傷を抑制することができ、内部短絡の発生を抑制することができるからである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
厚さ18μmの電解銅箔からなる集電体を室温で30秒間酸洗浄した。処理後、15秒間純水洗浄した。集電体上にSiの粒子を含むスラリーを膜厚20μmになるように塗布し塗膜を形成した。スラリーの組成は、粒子:スチレンブタジエンラバー(結着剤):アセチレンブラック=100:1.7:2(重量比)であった。Siの粒子の平均粒径D50は2.5μmであった。平均粒径D50は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布測定装置(No.9320−X100)を使用して測定した。
塗膜が形成された集電体をロールプレス機に通し、該塗膜にプレス加工を施した。プレス圧は300MPaであった。プレス加工が施された塗膜を有する集電体を、以下の浴組成を有するピロリン酸銅浴に浸漬させ、電解により、塗膜に対して銅の浸透めっきを行い、活物質層を形成した。電解の条件は以下の通りとした。陽極にはDSEを用いた。電源は直流電源を用いた。浸透めっきは、塗膜の厚み方向全域にわたって銅が析出した時点で終了させた。このようにして、Siの粒子の表面に銅の被覆が形成された活物質層を備えた構造の負極を得た。得られた負極における初回充電前の活物質層の縦断面のSEM像を図4(a)に示す。図4(a)から明らかなように、Si粒子の表面は銅で被覆されており、またSiの粒子間には適度な空隙が形成されていた。
・ピロリン酸銅三水和物:105g/l
・ピロリン酸カリウム:450g/l
・硝酸カリウム:30g/l
・P比:7.7
・浴温度:50℃
・電流密度:3A/dm2
・pH:アンモニア水とポリリン酸を添加してpH8.2になるように調整した。
得られた負極を用いてリチウム二次電池を製造した。正極としてはLiCo1/3Ni1/3Mn1/32を用いた。電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの1:1体積%混合溶媒に1mol/lのLiPF6を溶解した溶液に対して、ビニレンカーボネートを2体積%外添したものを用いた。セパレータとしては、20μm厚のポリプロピレン製多孔質フィルムを用いた。得られた二次電池について初回の充電を行い、Siの粒子の表面にSEIを形成した。このようにして得られた負極における初回充電後の活物質層の縦断面のSEM像を図4(b)に示す。SEM観察の結果、SEIが銅の一部を取り込んだ状態で、Siの粒子の表面を被覆していることが確認された。銅の被覆の平均厚みは0.2μmであり、銅の被覆の平均厚みとSiの粒子の平均粒径との比(前者/後者)は1/5であった。
〔比較例1〕
浸透めっきの浴としてピロリン酸銅浴を用いることに代えて、前記の特許文献1に開示された以下の組成を有する硫酸銅の浴を用いた。電流密度は5A/dm2、浴温は40℃であった。陽極にはDSE電極を用いた。電源は直流電源を用いた。また、塗膜に対してプレス処理を施さなかった。これら以外は実施例1と同様にして負極を得た。このようにして得られた負極における初回充電前の活物質層の縦断面のSEM像を図5(a)に示す。図5(a)から明らかなように、Siの粒子間は殆ど銅で満たされていた。この負極を実施例と同様に充放電し、その断面をSEM観察したところ、SEIの生成は認められなかった。
・CuSO4・5H2O 250g/l
・H2SO4 70g/l
〔比較例2〕
浸透めっきの浴としてピロリン酸銅浴を用いることに代えて、前記の特許文献1に開示された以下の組成を有するワット浴を用いた。電解の条件は以下の通りとした。陽極にはニッケル電極を用いた。電源は直流電源を用いた。また、塗膜に対してプレス処理を施さなかった。これら以外は実施例1と同様にして負極を得た。このようにして得られた負極における初回充電前の活物質層の縦断面のSEM像を図5(b)に示す。図5(b)から明らかなように、Siの粒子間は殆ど銅で満たされていた。この負極を実施例と同様に充放電し、その断面をSEM観察したところ、SEIの生成は認められなかった。
・NiSO4・6H2O 250g/l
・NiCl2・6H2O 45g/l
・H3BO4 30g/l
・浴温度 50℃
・電流密度 5A/dm2
・pH:5
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた負極を用いて得られた上述の二次電池について100サイクル目の容量維持率を測定した。容量維持率は、100サイクル目の放電容量を測定し、それらの値を初期放電容量で除し、100を乗じて算出した。充電条件は0.5C、4.2Vで、定電流・定電圧とした。放電条件は0.5C、2.7Vで、定電流とした。但し、1サイクル目は0.05Cとし、2〜4サイクル目は0.1C、5〜7サイクル目は0.5C、8〜10サイクル目は1Cとした。その結果、実施例1における容量維持率が88%であったのに対し、比較例1では60%、比較例2では70%となり、実施例1よりも容量維持率が大幅に低下した。なお、ここでいう1サイクル目は、SEIの形成工程を兼ねている。
容量維持率の測定と共に、上述の電池について、負極最大容量の50%にあたる充放電を1サイクル行った後に、電池から負極を取り出し、活物質層の厚み方向を十等分する間隔でSiのラマンスペクトルを測定した。充電終止電圧は4.2V、放電終止電圧は2.7Vとした。充放電のレートは0.05Cとした。測定装置として日本分光(株)製のレーザラマン分光光度計「NRS−2100」(商品名)を用いた。励起波長は514.5nmとした。測定結果を図6に示す。
図6に示す測定結果から、活物質層の厚み方向全域にわたって活物質が均一に電極反応に寄与しているか否かを判断することができる。詳細には次の通りである。Siは電極反応によってその構造が結晶質からアモルファスへと変化する。ラマンスペクトルを用いた分析では、Siの結晶性の違いに起因してスペクトルが相違するので、結晶質に由来するスペクトル(521cm-1付近)とアモルファスに由来するスペクトル(480cm-1付近)との面積比を求めることで、活物質がどの程度電極反応に寄与したかを知ることができる。
図6において、実施例1では、結晶質に由来するスペクトルとアモルファスに由来するスペクトルとの比が、活物質層の厚み方向によらずほぼ一定になっている。このことは、活物質層の厚み方向全域にわたって活物質が均一に電極反応に寄与していることを意味している。この理由は、Siの粒子の表面が薄く被覆していることに起因して、活物質層中での非水電解液の流通が円滑に行われているからであると考えられる。これに対して比較例1及び2では、活物質層の表面側ではアモルファス化したSiが多いのに対し、集電体側では結晶質のままのSiが多い。このことは、電極反応が活物質層の表面及びその近傍でのみ起こっており、活物質層の深部に存在する活物質は電極反応に寄与していないことを意味している。この理由は、Siの粒子間が銅又はニッケルで殆ど満たされていることに起因して、活物質層中に、非水電解液の流通が可能な空隙が十分に形成されていないことによるものと考えられる。
本発明の非水電解液二次電池用負極の一実施形態の断面構造を示す模式図である。 図1に示す負極における活物質層に含まれる活物質の粒子の要部を拡大して示す模式図である。 図1に示す負極の製造方法を示す工程図である。 実施例で得られた負極における活物質層の縦断面のSEM像である。 比較例で得られた負極における活物質層の縦断面のSEM像である。 実施例及び比較例で得られた負極の活物質層における厚み方向でのラマンスペクトルを示すグラフである。
符号の説明
10 非水電解液二次電池用負極
11 集電体
12 活物質層
12a 活物質の粒子
13 金属材料
14 SEI
15 塗膜

Claims (8)

  1. 活物質の粒子を含む活物質層を備え、該粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料及び固体電解質膜で被覆されていると共に、該粒子どうしの間に空隙が形成されている非水電解液二次電池用負極。
  2. 前記固体電解質膜が前記金属材料の一部を取り込んだ状態で、前記粒子の表面の少なくとも一部を被覆している請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  3. 前記金属材料の平均厚みが0.05〜1μmである請求項1又は2記載の非水電解液二次電池用負極。
  4. 前記金属材料の平均厚みと前記粒子の平均粒径との比(前者/後者)が1/50〜1/2である請求項1ないし3の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  5. 前記金属材料が、前記活物質層の厚み方向全域にわたって前記粒子の表面に存在している請求項1ないし4の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  6. 請求項1ないし5の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極を備えた非水電
    解液二次電池。
  7. 活物質の粒子を含む活物質層を備え、該粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料で被覆されていると共に、該粒子どうしの間に空隙が形成されており、該金属材料の平均厚みが0.05〜1μmであり、且つ該金属材料が、前記活物質層の厚み方向全域にわたって前記粒子の表面に存在している非水電解液二次電池用負極。
  8. 請求項7に記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法であって、
    活物質の粒子を含むスラリーを集電体上に塗布し塗膜を形成し、
    前記塗膜を50〜500MPaのプレス処理に付し、
    プレス後の前記塗膜を、リチウム形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行い、前記粒子の表面に前記金属材料を析出させる非水電解液二次電池用負極の製造方法。
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