以下に添付図面を参照して、この発明にかかる焦点調整機構および撮像装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。実施の形態は、この発明にかかる焦点調整機構をバリフォーカルレンズに適用した例である。バリフォーカルレンズは、たとえば、デジタルカメラなどの撮像装置に連結して使用される。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のバリフォーカルレンズを示す斜視図である。図1に示したように、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100は、バリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動可能なレンズ101を備えている。レンズ101は、バリフォーカルレンズ100の光軸を軸心とする円筒形状の鏡筒102に保持されている。
鏡筒102は、図示を省略するマウントに取り付けられる後方側鏡筒103と、後方側鏡筒103に取り付けられる前方側鏡筒104と、を備えている。前方側鏡筒104は、後方側鏡筒103を間にしてマウントとは反対側に設けられる。上述したレンズ101は、前方側鏡筒104によって保持されている。
前方側鏡筒104の外周部分には、調整リングとしてのフォーカスリング105と調整部材としての微調整リング106とが設けられている。フォーカスリング105は、バリフォーカルレンズ100の光軸を軸心方向とする円筒形状を有して当該光軸周りに回転自在に設けられている。微調整リング106は、バリフォーカルレンズ100の光軸周りに回転可能に設けられている。図1中符号107は、フォーカスリング105の回転を規制するフォーカスロックビスである。
図2は、バリフォーカルレンズ100を示す縦断側面図である。図2には、前方側鏡筒104および前方側鏡筒104に保持される各部材を、光軸を通る平面に沿って切断した状態を示している。図2に示した前方側鏡筒104においては、当該前方側鏡筒104に対して図2中紙面右側に後方側鏡筒103が取り付けられる。また、図3は、バリフォーカルレンズ100を示す横断正面図である。
図2および図3に示したように、前方側鏡筒104は、上述した後方側鏡筒103に連結されて、バリフォーカルレンズ100の光軸を軸心とする円筒形状の主鏡筒201を備えている。主鏡筒201には、バリフォーカルレンズ100の光軸に直交する方向に主鏡筒201を貫通し、バリフォーカルレンズ100の光軸方向を長手方向とする第1直進孔202が設けられている。
主鏡筒201の外周側には、バリフォーカルレンズ100の光軸を軸心とする円筒形状の第1鏡筒203が設けられている。第1鏡筒203には、バリフォーカルレンズ100の光軸に直交する方向に第1鏡筒203を貫通し、バリフォーカルレンズ100の光軸方向を長手方向とする第2直進孔204が設けられている。上述したフォーカスリング105は、第1鏡筒203の外周側において、バリフォーカルレンズ100の光軸周りに第1鏡筒203に対して回転自在に設けられている。
フォーカスリング105の内周面には、バリフォーカルレンズ100の光軸を軸心とする螺旋状の溝としてのカム溝205が設けられている。カム溝205は、たとえば、3ピッチ分など、軸心周りに複数周分設けられている。カム溝205には、上述したレンズ101を保持するレンズ保持枠206に設けられた係合部材としてのコマ部材207が係合している。
コマ部材207は、上述した第1直進孔202および第2直進孔204を介して、カム溝205に係合している。実施の形態1では、第1鏡筒203およびフォーカスリング105によって副鏡筒が実現されている。レンズ保持枠206の外周面と主鏡筒201の内周面との間には空間が設けられており、レンズ保持枠206はコマ部材207によって主鏡筒201内で吊られた状態とされている。
第1鏡筒203に対してフォーカスリング105が光軸周りに回転すると、フォーカスリング105の回転にともなってコマ部材207が光軸周りに連れ回ろうとするが、コマ部材207は、第1直進孔202および第2直進孔204によって光軸周りへ回転する方向への移動が規制されているため、カム溝205に対する係合位置を変化させながら、バリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動する。
このように、バリフォーカルレンズ100においては、第1鏡筒203に対してフォーカスリング105が光軸周りに回転することで、レンズ101の位置をバリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動させることができる。実施の形態1では、主鏡筒201,第1鏡筒203,フォーカスリング105,カム溝205,およびコマ部材207によって第1の調整機構が実現されている。
フォーカスリング105は、上述したフォーカスロックビス107によって第1鏡筒203に固定された場合に、第1鏡筒203に対する回転が規制される。フォーカスロックビス107は、バリフォーカルレンズ100の光軸に直交する方向を軸心方向として、フォーカスリング105に設けられたビス孔208に螺合されている。ビス孔208は、フォーカスロックビス107の軸心方向にフォーカスリング105を貫通している。これによって、フォーカスロックビス107の先端は第1鏡筒203に当接可能とされている。
ここで、図3を用いて、コマ部材207およびフォーカスロックビス107の位置関係について説明する。図3に示したように、バリフォーカルレンズ100は、3つのコマ部材207を備えている。コマ部材207は、光軸を中心とする同心円上に均等な間隔を開けて配置されている。これによって、バリフォーカルレンズ100の光軸に対するレンズ101の光軸の傾きを防止するとともに、コマ部材207の移動に際してコマ部材207に加わる負荷を必要最小限とすることができる。上述したフォーカスロックビス107は、3つのコマ部材207のうちのいずれか2つのコマ部材207の中間位置に設けられている。
上述した微調整リング106は、主鏡筒201において、後方側鏡筒103とは反対側の端部に設けられている。微調整リング106は、主鏡筒201の外周側において、バリフォーカルレンズ100の光軸周りに主鏡筒201に対して回転自在に設けられている。微調整リング106は、微調整リング106の内周面に設けられたネジ209を、主鏡筒201の外周面に設けられたネジ210に螺合させることによって、主鏡筒201に対して回転自在に連結されている。微調整リング106の内周面に設けられたネジ209および主鏡筒201の外周面に設けられたネジ210のピッチは、上述したカム溝205のピッチよりも小さい。
主鏡筒201における後方側鏡筒103側の端部および第1鏡筒203における後方側鏡筒側103の端部には、フランジ211,212が設けられている。フランジ211とフランジ212との間には、付勢部材としての片寄せバネ213が設けられている。片寄せバネ213は、光軸方向において第1鏡筒203が微調整リング106に当接する方向(図2中紙面右側から左側へ向かう方向)に第1鏡筒203を付勢する。片寄せバネ213は、たとえば、ウェーブワッシャなどを用いることができる。なお、片寄せバネ213は、ウェーブワッシャに限るものではなく、上述した付勢力を第1鏡筒203に作用させる部材であれば形状および材質を限定しない。
主鏡筒201に対して微調整リング106が光軸周りに回転すると、微調整リング106の回転にともなって微調整リング106と主鏡筒201との螺合状態が変化して、バリフォーカルレンズ100の光軸方向における微調整リング106の主鏡筒201に対する位置が変化する。このように、微調整リング106は、主鏡筒201に対する螺合状態を変化させることで、バリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動する。
第1鏡筒203は、片寄せバネ213によって微調整リング106に当接する方向へ付勢されているため、微調整リング106がバリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動すると、微調整リング106の移動にともなってバリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動する。
上述したように、微調整リング106の内周面に設けられたネジ209および主鏡筒201の外周面に設けられたネジ210のピッチはカム溝205のピッチよりも小さいため、フォーカスリング105および微調整リング106の主鏡筒201に対する回転量が同じてあれば、バリフォーカルレンズ100の光軸方向において、フォーカスリング105を回転することによる第1鏡筒203の移動量よりも微調整リング106を回転することによる第1鏡筒203の移動量の方が小さくなる。
実施の形態1では、たとえば、微調整リング106,主鏡筒201,第1鏡筒203,レンズ保持枠206などのバリフォーカルレンズ100を構成する各部は、プラスチック材料を用いて形成されている。プラスチック材料を用いることによって、金属材料を用いる場合と比較して、バリフォーカルレンズ100の製造コストを低減することができる。
図示を省略するが、バリフォーカルレンズ100の製造に際しては、バリフォーカルレンズ100がCCDなどの撮像素子を備えるデジタルカメラの本体あるいは検査機器などに連結された状態で、レンズ101の焦点位置を調整する。レンズ101の焦点位置は、バリフォーカルレンズ100を通過した外光を上述した撮像素子に入射させて、撮像素子が光電変換することによって生成した画像データまたは当該画像データに基づく画像を用いて調整する。レンズ101の焦点位置の調整に際しては、具体的には、作業者は、まず、微調整リング106を主鏡筒201に対して一定量締め込んだ状態でフォーカスロックビス107を緩める。ここで、一定量とは、たとえば、双方のネジ209,210が半分程度螺合する量である。
作業者は、フォーカスロックビス107を緩めた後、第1鏡筒203に対してフォーカスリング105を回転させる。これによって、レンズ保持枠206がバリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動し、レンズ保持枠206の移動にともなってレンズ101がバリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動する。作業者は、レンズ101の焦点位置がおおよそ合っている状態で、フォーカスロックビス107を締める。フォーカスロックビス107を締めることによって、カム溝205に対するコマ部材207の係合位置が固定される。
つづいて、作業者は、主鏡筒201に対して微調整リング106を回転させる。これによって、バリフォーカルレンズ100の光軸方向において、主鏡筒201に対して第1鏡筒203が移動する。主鏡筒201に対して第1鏡筒203が移動することによって、主鏡筒201に対してレンズ保持枠206がバリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動し、レンズ保持枠206の移動にともなってレンズ101がバリフォーカルレンズ100の光軸方向に移動する。作業者は、レンズ101の焦点位置が合っている状態で微調整リング106の回転を停止して、レンズ101の焦点位置の調整を終了する。
上述したように、フォーカスリング105および微調整リング106の主鏡筒201に対する回転量が等しい場合には、フォーカスリング105の回転にともなうレンズ保持枠206の光軸方向における移動量よりも、微調整リング106の回転にともなって第1鏡筒203が光軸方向に移動することによるレンズ保持枠206の光軸方向における移動量の方が小さい。これによって、作業者は、主鏡筒201に対してフォーカスリング105を回転させることで光軸方向におけるレンズ101の焦点位置をおおまかに調整し、主鏡筒201に対して微調整リング106を回転させることで光軸方向におけるレンズ101の焦点位置を微調整することができる。
このように、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、バリフォーカルレンズ100が搭載するレンズ101の解像力や明るさに拘わらず、レンズ101の焦点位置を迅速かつ高精度に調整することができる。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、レンズ101の焦点位置の開始に当たって、双方のネジ209,210を半分程度螺合させてから微調整リング106と主鏡筒201とを螺合した状態とすることで、レンズ101の焦点位置の微調整に際しては、レンズ101を微調整リング106側にも片寄せバネ213側にも移動させることができる。これによって、レンズ101の焦点位置の調整作業の一層の迅速化を図ることができる。
一般的な監視カメラは、たとえば、天井や室内の奥まった部分などのように、手が届きにくい場所に設置される。このため、作業者は、作業しづらい環境で監視カメラのレンズ調整をおこなわなくてはならないことがあり、調整精度を確保するためにフォーカスリングを微量ずつ回転させることが困難である状況が想定される。
これに対し、実施の形態のバリフォーカルレンズ100を搭載する監視カメラによれば、レンズ101の焦点位置をおおまかに調整した後、微調整リング106を回転させることで、光軸方向におけるレンズ101の焦点位置を微調整することができるので、作業環境が整っていない状況下でもレンズ101の焦点位置を迅速かつ高精度に調整することができる。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、レンズ101の焦点位置の調整に際しては、微調整リング106をフォーカスリング105と同様に回転させることでレンズ101の焦点位置を微調整することができるので、調整作業をおこなう作業者の習熟度や勘などに依存せず、バリフォーカルレンズ100が搭載するレンズ101の解像力や明るさに拘わらず、レンズ101の焦点位置を迅速かつ高精度に調整することができる。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、レンズ101の焦点位置を調整する代わりに画像データを補正したり、モータを用いてレンズ保持枠206を移動させてレンズ101の焦点位置を調整したりすることなく、レンズ101の焦点位置を微調整することができるので、バリフォーカルレンズ100の製造コストの増加を抑えつつ、レンズ101の解像力や明るさに拘わらず、レンズ101の焦点位置を迅速かつ高精度に調整することができる。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、バリフォーカルレンズ100を構成する各部をプラスチック材料を用いて形成した場合にも、バリフォーカルレンズ100が搭載するレンズ101の解像力や明るさに拘わらず、レンズ101の焦点位置を迅速かつ高精度に調整することができるので、たとえば、FAレンズなどの市場と比較して廉価帯市場に位置づけられるバリフォーカルレンズ100において、製造コストを抑えつつ高い調整精度を維持することができる。
なお、実施の形態1では、バリフォーカルレンズ100を構成する各部をプラスチック材料を用いて形成したが、バリフォーカルレンズ100を構成する各部を形成する材料は、プラスチック材料に限るものではなく、金属材料であってもよい。バリフォーカルレンズ100を構成する各部を金属材料によって形成することで、各部品の製造精度を向上させることができるので、バリフォーカルレンズ100が搭載するレンズ101の解像力や明るさに拘わらず、レンズ101の焦点位置を迅速かつ一層高精度に調整することができる。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、フランジ211とフランジ212との間に設けられた片寄せバネ213によって、第1鏡筒203を微調整リング106に対して安定して当接させることで、光軸方向における第1鏡筒203のがたつきを抑えることができるので、第1鏡筒203のがたつきから来るレンズ101のがたつきに起因するレンズ101の焦点位置のずれを防止することができる。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、第1鏡筒に設けられたカム溝205に対するコマ部材207の係合位置を変化させることで、簡易な構成によって主鏡筒201に対してレンズ保持枠206を光軸方向に移動させることができるので、バリフォーカルレンズ100の構造の簡易化を図り、製造コストの増加を抑制することができる。
なお、実施の形態1では、カム溝205に対するコマ部材207の係合位置を変化させることで、レンズ保持枠206を光軸方向に移動させるようにしたが、これに限るものではない。たとえば、光軸を軸芯とする螺旋状のネジを有するヘリコイドネジ機構によって第1鏡筒203とレンズ保持枠206とを連結し、第1鏡筒203に対してレンズ保持枠206を光軸周りに回転させることで、レンズ保持枠206を光軸方向に移動させるようにしてもよい。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、カム溝205のピッチよりも小さいピッチのネジ209,210を有するネジ機構によって、主鏡筒201と微調整リング106との連結と、主鏡筒201に対する微調整リング106の位置の微調整とをおこなうことができるので、少ない部品点数かつ簡易な構成によって、レンズ101の解像力や明るさに拘わらず、レンズ101の焦点位置を迅速かつ高精度に調整することができる。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、第1および第2直進孔202,204を介してコマ部材207がカム溝205に係合しているため、コマ部材207の移動範囲を第1および第2直進孔202,204によって規制してレンズ保持枠206を光軸方向にのみ移動させることで、レンズ保持枠206の移動にともなってレンズ101の光軸が正規の光軸からずれることを防止することができるので、簡易な構成によってレンズ101の移動にともなうレンズ101の光軸ずれを防止することができる。
また、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100によれば、主鏡筒201と微調整リング106とがネジ機構を介して連結されているため、レンズ101の焦点位置の微調整に際してはレンズ101を光軸方向になめらかに移動させることができる。
図示を省略するが、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100を搭載するデジタルカメラなどの撮像装置によれば、撮像装置が備えるCCDなどの撮像素子にレンズの焦点位置を高精度に合わせることができるので、解像力や明るさを高めたレンズ101を用いて、高画質の画像データを生成することができる。
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2のバリフォーカルレンズを示す縦断側面図である。つぎに、図4を用いて、実施の形態2のバリフォーカルレンズについて説明する。実施の形態2では、上述した実施の形態1における前方側鏡筒104に代えて、前方側鏡筒400を備えている。なお、実施の形態2では、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図4には、実施の形態2のバリフォーカルレンズにおける前方側鏡筒400および前方側鏡筒400に保持される各部材を、光軸を通る平面に沿って断面した状態が示されている。図4に示したように、主鏡筒201の外周側には、上述した実施の形態1における第1鏡筒203に代えて、バリフォーカルレンズの光軸を軸心とする円筒形状のカム筒401が設けられている。カム筒401は、主鏡筒201に対してバリフォーカルレンズの光軸周りに回転自在に設けられている。
カム筒401には、バリフォーカルレンズの光軸を軸心とする螺旋状の溝としてのカム溝402が設けられている。カム溝402のピッチは、微調整リング106の内周面に設けられたネジ209および主鏡筒201の外周面に設けられたネジ210のピッチよりも大きい。カム溝402は、バリフォーカルレンズの光軸に直交する方向にカム筒401を貫通しており、光軸から離反するほど大きく拡開するテーパー形状を有している。
カム溝402には、レンズ保持枠403に設けられたコマ部材404が係合している。コマ部材404は、カム溝402に対してスライド自在であって、レンズ保持枠403に螺合される固定ビス405によってレンズ保持枠403に固定されている。コマ部材404は、カム筒401の外周側から第1直進孔202を介してレンズ保持枠403に挿入された状態固定されている。カム筒401の外周側には、カム筒401の外周側を覆うカバーリング406が設けられている。
図4中符号407は、カム筒401およびカバーリング406に設けられたビス孔(符号を省略)に螺合されたフォーカスロックビスである。レンズ101の焦点位置の調整に際して、作業者が、フォーカスロックビス407を光軸周りに回転させると、フォーカスロックビス407に連れ回りしてカム筒401およびカバーリング406が光軸周りに回転する。フォーカスロックビス407は、カム筒401およびカバーリング406に対する螺合状態に応じて、先端が主鏡筒201に接離自在に設けられており、主鏡筒201に当接した状態において主鏡筒201に対するカム筒401およびカバーリング406の回転を規制する。
バリフォーカルレンズにおいては、主鏡筒201に対してカバーリング406が光軸周りに回転すると、カバーリング406の回転にともなってコマ部材404が連れ回ろうとするが、コマ部材404は第1直進孔202によって光軸周りへ回転する方向への移動が規制されている。このため、コマ部材404は、カム溝402に対する係合位置を変化させながら、バリフォーカルレンズの光軸方向に移動する。
このように、バリフォーカルレンズにおいては、カム筒401に対してカバーリング406が光軸周りに回転することで、レンズ101の位置をバリフォーカルレンズの光軸方向に移動させることができる。実施の形態2では、主鏡筒201,カム筒401,カム溝402,およびコマ部材404によって第1の調整機構が実現されている。
上述したように、カム溝402のピッチが、微調整リング106の内周面に設けられたネジ209および主鏡筒201の外周面に設けられたネジ210のピッチよりも大きいことから、カバーリング406および微調整リング106の主鏡筒201に対する回転量が等しい場合には、カバーリング406の回転にともなうレンズ保持枠206の光軸方向における移動量よりも、微調整リング106の回転にともなってカム筒401が光軸方向に移動することによるレンズ保持枠206の光軸方向における移動量の方が小さくなる。
このように、実施の形態2では、作業者は、主鏡筒201に対してカバーリング406を回転させることで光軸方向におけるレンズ101の焦点位置をおおまかに調整し、主鏡筒201に対して微調整リング106を回転させることで光軸方向におけるレンズ101の焦点位置を微調整することができる。これによって、実施の形態2のバリフォーカルレンズによれば、バリフォーカルレンズが搭載するレンズ101の解像力や明るさに拘わらず、レンズ101の焦点位置を迅速かつ高精度に調整することができる。
図示を省略するが、実施の形態2のバリフォーカルレンズを搭載するデジタルカメラなどの撮像装置によれば、実施の形態1のバリフォーカルレンズ100と同様に、撮像装置が備えるCCDなどの撮像素子にレンズの焦点位置を高精度に合わせることができるので、解像力や明るさを高めたレンズを用いて、高画質の画像データを生成することができる。
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3のバリフォーカルレンズを示す斜視図である。つぎに、図5を用いて、実施の形態3のバリフォーカルレンズについて説明する。実施の形態3では、上述した実施の形態1または2と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。図5に示したように、実施の形態3のバリフォーカルレンズ500は、後方側鏡筒501と、後方側鏡筒501に取り付けられる前方側鏡筒502と、を備えている。
前方側鏡筒502には、バリフォーカルレンズ500の光軸周りに回転自在に設けられたフォーカスリング503および微調整リング504を備えている。フォーカスリング503は、フォーカスリング503に対するフォーカスロックビス107の螺合状態に応じて、バリフォーカルレンズ500の光軸周りに回転自在とされる。
図5中符号505は、フォーカスリング503の回転量を案内する指標となるフォーカスカバー指標マーク(以下、「Fカバー指標マーク」という)である。Fカバー指標マーク505は、フォーカスリング503の回転にともなって、光軸周りに変位する。図示を省略するが、フォーカスリング503とカム筒(図6中符号401を参照)との間には、光軸周りに回転するフォーカスリング503が基準位置に位置付けられた場合に係合する凹部および凸部が設けられている。
凹部および凸部の係合の有無によって、作業者は、フォーカスリング503が基準位置に位置付けられているか否かを判断することができる。なお、凹部および凸部の係合力は、作業者によるフォーカスリング503の回転作業に支障をきたすことのないように設定されている。
また、図5中符号506は、微調整リング504の回転量を案内する指標となる指標位置案内マークである。指標位置案内マーク506は、微調整リング504の回転にともなって、光軸周りに変位する。Fカバー指標マーク505と指標位置案内マーク506との位置関係によって、フォーカスリング503に対する微調整リング504の回転量を案内することができる。
図5中符号507は、微調整リング504をフォーカスリング503に固定する微調整リングロックビスである。微調整リングロックビス507の先端部は、微調整リング504に対する螺合状態に応じてフォーカスリング503に対して接離するように設けられており、フォーカスリング503に当接した状態においてはフォーカスリング503に対する微調整リング504の回転を規制する。図示を省略するが、バリフォーカルレンズ500は、入射された外光の強度に応じた電気信号を生成するCCDなどの撮像素子を備える撮像装置に連結される。
また、図5中符号508は、レンズ101とは異なるレンズ(図6符号605を参照)を光軸方向に移動させる第2ロックビスである。第2ロックビス508を緩めた状態で、第2ロックビス508をバリフォーカルレンズ500の光軸周りに移動させることで、当該レンズを移動させることができる。
図6は、バリフォーカルレンズ500を示す縦断側面図である。図6には、バリフォーカルレンズ500を、バリフォーカルレンズ500の光軸を通る平面に沿って断面した状態が示されている。図6に示したように、微調整リング504は、主鏡筒201の一端側に嵌合されており、主鏡筒201に対してバリフォーカルレンズ500の光軸周りに回転自在とされている。
微調整リング504には、光軸方向においてカム筒(図6符号401を参照)に対向する位置に、バリフォーカルレンズ500の光軸に直交する平面に対して傾斜する傾斜面601が設けられている。傾斜面601は、バリフォーカルレンズ500の光軸に直交する平面に対する角度が、当該平面と上述したカム溝402とがなす角度よりも小さくなるように設けられている。
傾斜面601は、バリフォーカルレンズ500の光軸を中心とする同心円周上に複数箇所設けられている。傾斜面601によって、微調整リング504においてカム筒401側となる端面の形状は、当該端面における任意の位置から当該端面上を光軸周りにたどった場合に、光軸方向において徐々にカム筒401から離反する(あるいは接近する)方向に傾斜し、別の傾斜面601に差し掛かった時点で一気にカム筒に接近(あるいは離反)する、という鋸歯形状となっている。各傾斜面601のバリフォーカルレンズ500の光軸に直交する平面に対する傾斜角度はそれぞれ等しい。
カム筒401において、バリフォーカルレンズ500の光軸方向で微調整リング504に対向する面には、微調整リング504の傾斜面601に当接する突起602が設けられている。実施の形態3では、傾斜面601および突起602によって第2の調整機構が実現されている。図6中符号603は、主鏡筒201からの微調整リング504の脱落を防止する脱落防止ビスである。脱落防止ビス603は、微調整リング504を介して、主鏡筒201の外周面に設けられた溝604に係合されている。
脱落防止ビス603は、溝604に対してスライド自在に係合しており、主鏡筒201に対する微調整リング504の回転量に応じて、溝604における任意の位置で溝604に係合する。溝604および脱落防止ビス603によって、主鏡筒201に対する微調整リング504の回転量に拘わらず、主鏡筒201に対して微調整リング504を連結することができる。
図6中符号605は、レンズ101に入射した外光を、CCDなどの図示しない撮像素子側に透過させるレンズである。レンズ605は、上述したレンズ101と同様に、レンズ605を支持するレンズ保持枠606に設けられたコマ部材607を、カム筒608に設けられたカム溝609に係合させることによって、バリフォーカルレンズ500の光軸方向に移動自在に設けられている。カム筒608の外周側には、バリフォーカルレンズ500の光軸周りにカム筒608に対して回転自在な円筒形状のズームリング610が設けられている。ズームリング610は、上述した第2ロックビス508の操作に応じて光軸周りに回転する。
図7〜図9は、レンズ101の焦点位置の調整手順について説明する説明図(その1)〜(その3)である。図7〜図9は、レンズ101の焦点位置の調整手順を順を追って示している。レンズ101の焦点位置の調整に際して、作業者は、まず、フォーカスリング503および微調整リング504を光軸周りに回転させて、図7に示したように、フォーカスリング503を基準位置に位置付け、この状態のFカバー指標マーク505に指標位置案内マーク506が合う位置に微調整リング504を位置付ける(図7中符号701参照)。
つづいて、作業者は、微調整リングロックビス507を締め、フォーカスロックビス107を緩めた状態でフォーカスリング503を光軸周りに回転させ、光軸方向にレンズ保持枠403を移動させる。このとき、微調整リングロックビス507が締まった状態であるので、微調整リング504は、図8に示したように、フォーカスリング503の回転にともなって回転する。作業者は、レンズ101の焦点位置がおおよそ合っている位置までレンズ保持枠403を移動させた状態で、フォーカスロックビス107を締める。
つづいて、作業者は、微調整リングロックビス507を緩めて、カム筒401に対して微調整リング504を回転させ、レンズ101の焦点位置の微調整をおこなう。このとき、フォーカスロックビス107が締まった状態であるので、微調整リング504は、図9に示したように、フォーカスリング503およびカム筒401に対して回転する。カム筒401に対して微調整リング504が光軸周りに回転すると、微調整リング504の回転にともなって傾斜面601における突起602の当接位置が変化する。
傾斜面601における突起602の当接位置が変化すると、主鏡筒201に対してカム筒401がバリフォーカルレンズ500の光軸方向に移動する。このとき、主鏡筒201に対する微調整リング504の光軸方向の位置は一定である。カム筒401が移動すると、当該移動にともなってレンズ保持枠403が光軸方向に移動する。
上述したように、傾斜面601は、バリフォーカルレンズ500の光軸に直交する平面に対する角度が、当該平面と上述したカム溝402とがなす角度よりも小さくなるように設けられているため、カム筒401および微調整リング504の主鏡筒201に対する回転量が等しい場合には、カム筒401の回転にともなうレンズ保持枠403の光軸方向における移動量よりも、微調整リング504の回転にともなってカム筒401が光軸方向に移動することによるレンズ保持枠403の光軸方向における移動量の方が小さい。作業者は、レンズ101の焦点位置の微調整が完了した時点で微調整リングロックビス507を締める。このような作業手順によって、バリフォーカルレンズ500におけるレンズ101の焦点位置を調整することができる。
上述したように、バリフォーカルレンズ500においては、主鏡筒201に対して微調整リング504が光軸周りに回転することで、バリフォーカルレンズ500の光軸方向におけるレンズ101の焦点位置を微調整することができる。実施の形態3では、微調整リング504,傾斜面601,カム筒401,および突起602によって第2の調整機構が実現されている。これによって、作業者は、主鏡筒201に対してカム筒401を回転させることで光軸方向におけるレンズ101の焦点位置をおおまかに調整し、主鏡筒201に対して微調整リング504を回転させることで光軸方向におけるレンズ101の焦点位置を微調整することができる。
上述した実施の形態1または2と同様に、実施の形態3のバリフォーカルレンズ500によれば、微調整に際して、或る傾斜面601に突起602が当接した状態から微調整リング504を回転させると突起602が傾斜面601に沿って移動するので、レンズ101を光軸方向になめらかに移動させることができる。加えて、実施の形態3のバリフォーカルレンズ500は、微調整リング504を同一方向に回転し続けた場合にも、カム筒401と微調整リング504との距離を一定範囲内に保つことができるので、レンズ101の焦点位置が光軸方向において正規の焦点位置から大きくかけ離れることを防止できる。
なお、実施の形態3のバリフォーカルレンズ500では、微調整リング504を回転させ続けると、突起602が当接する傾斜面601が別の傾斜面601に切り替わった時点で光軸方向におけるレンズ101の位置が急激に変化するが、作業者が、Fカバー指標マーク505に対する指標位置案内マーク506の位置を目視によって確認しながら微調整リング504を回転させることで、光軸方向におけるレンズの位置の急激な変化を防止することができる。
なお、図示を省略するが、微調整リング504の回転にともなって突起602が或る傾斜面601から別の傾斜面601へ移動することがないように、各傾斜面601の境界部分に突起602の移動を規制するリブなどを設けてもよい。この場合、リブに当たるまでにレンズ101の焦点位置の調整が完了しない場合には、上述した図7〜図9に示した手順を再度おこなって、レンズ101の焦点位置を微調整する。
上述したように、実施の形態3のバリフォーカルレンズ500によれば、傾斜面601に対する突起602の当接位置を変化させることでレンズ101の焦点位置を微調整することができるので、簡易な構成によって、レンズ101の解像力や明るさに拘わらず、レンズ101の焦点位置を迅速かつ高精度に調整することができる。
図示を省略するが、実施の形態3のバリフォーカルレンズ500を搭載する撮像装置によれば、撮像装置が備えるCCDなどの撮像素子にレンズ101の焦点位置を高精度に合わせることができるので、解像力や明るさを高めたレンズ101を用いて、高画質の画像データを生成することができる。