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JP2008008750A - 原子炉冷却水の腐食環境定量方法およびその装置 - Google Patents

原子炉冷却水の腐食環境定量方法およびその装置 Download PDF

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JP2008008750A JP2006179429A JP2006179429A JP2008008750A JP 2008008750 A JP2008008750 A JP 2008008750A JP 2006179429 A JP2006179429 A JP 2006179429A JP 2006179429 A JP2006179429 A JP 2006179429A JP 2008008750 A JP2008008750 A JP 2008008750A
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Shunsuke Uchida
俊介 内田
Yoshiyuki Sato
義之 佐藤
Yoichi Wada
陽一 和田
Motomasa Fuse
元正 布施
Naoshi Usui
直志 碓井
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Tohoku University NUC
Hitachi Ltd
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Abstract

【課題】腐食環境指標として、過酸化水素濃度を選定し、高温水中で過酸化水素濃度を直接定量化する方法及び装置を提供すること。
【解決手段】一対の電極と参照電極とを絶縁材により支持するプローブを原子炉又は原子炉に連通された配管内の冷却水中に配置し、その一対の電極の一方を参照電極に対して自然電位に保ち、他方の電極に交流電圧を印加し、周波数を変化させて一対の電極間の複素インピーダンスを測定する。そして、求められた複素インピーダンスのコールコールプロットから低周波数側の半円の径を求め、その求められた径により原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軽水炉冷却型原子炉の構造材の腐食に関わる冷却水の腐食環境を高温水中で直接測定し、定量化する方法およびその装置に関する。
原子力発電所の運用寿命は、米国では原子力発電所の建設許可が下りてから40年と決められているが、わが国では特に明確なプラント寿命は規定されておらず、毎年実施される定期点検で、翌年までの運用が認可され、それが繰り返し、継続される。ここで、プラントの経年化により、主要構造材をはじめ、補機系統材料、機能材料にも、年々少しずつではあるが劣化が見られるようになるのが実情で、プラントの安全性と信頼性の確保のために、必要に応じて、主要機器の機能および主要構造材料の劣化度を点検し、劣化した機器、材料を補修、交換している。しかしながら、1年毎の点検では、原子炉内すべての機器、材料の点検は不可能である。このため、定期点検時の点検のみでなく、運転中にも、プラント全体の状態監視を継続することが望まれる。
原子炉、特に現在の発電炉の主流である軽水冷却型原子炉は、国内では加圧水方原子炉(PWR)と沸騰水型原子炉(BWR)がほぼ同数稼動しているが、プラントの損傷事例としては、構造材と冷却水(以下、炉水ともいう)の相互作用、具体的には腐食による損傷がもっとも多く発生している。この腐食損傷の代用的なものが、応力腐食割れ(SCC)である。
応力腐食割れ(SCC)は、構造材であるステンレス鋼の主として溶接部において、(1)溶接後の冷却過程で発生する局所的な引っ張り応力、すなわち残留応力、および、(2)ステンレス鋼構成元素であるクロム(Cr)の溶接熱影響部での析出による局部的な濃度低下によるSCC感受性発現などの構造材の局所的な劣化に、(3)冷却水の腐食性環境、が運悪く重畳した場合に発生することが知られている。残留応力やSCC感受性は、主としてプラント製造時に決まってしまうものであるが、冷却水の腐食環境はプラントの管理、運用により、時々刻々変化する。このため、構造材の健全性を確保するためには、構造材の劣化を監視すると同時に、冷却水水質の保全、冷却水の腐食環境の監視と、腐食環境に不具合が生じた場合の迅速な対応が要求される。原子炉冷却水の腐食環境は、冷却水中に微量含まれる酸素、過酸化水素、Cl、SO 2−など各種アニオンなどの酸化種の濃度で決まる。
従来から、原子炉冷却水中の酸化種濃度の測定、定量化には、高温高圧の冷却水をまず冷却減圧過程を経て採取し、採取された冷却水中の溶存酸素濃度、その他アニオン種の濃度を測定する間接的な手法、あるいは冷却水を採取水として外に取り出すことは無くとも、冷却水を冷却、減圧過程を経て、インラインで酸化種濃度を測定する半直接的な定量手法が用いられている。すなわち、ポーラログラフ法による溶存酸素濃度計などを用いて、インラインで冷却水中の溶存酸素濃度を測定し、電気信号として連続的に溶存酸素濃度をモニタするもので、すでに原子力発電所でも広く採用されている。
冷却水の腐食環境緩和策として、PWRでは、従来から水素注入が採用され、冷却水中の酸素濃度を抑制して、腐食環境を緩和する方策が採用されている。一方、最近は、BWRにおいても、構造材の健全性を確保するために、腐食環境を緩和することを目指して、冷却水中に若干量の水素を添加して、溶存酸素濃度を低減する水素注入水化学(WHC:Hydrogen Water Chemistry)が広く採用されている。
水素注入においては、図1に示すように、まず給水系5から一定濃度の水素を注入し、溶存酸素濃度を目標値以下まで低下させる。プラントの炉型、運転履歴などによって微妙に異なる溶存酸素濃度低減に必要な水素量を把握するために、水素注入量を変えながら溶存酸素濃度を測定し、プラント固有の水素注入量を決定する。BWRでは、水素注入量が過大になると原子炉内で水の構成要素である酸素の放射化、すなわち16O(n,p)16N反応の結果生成する放射能の16Nが水素と反応して揮発性のアンモニア形に変わるため、主蒸気に同伴してタービン系に移行する16Nの割合が増加し、タービンの表面線量率が増大するという問題を生ずる。
そこで、プラントの運転中における従事者の放射線被曝増大を抑制するとともに発電所敷地境界での線量率上昇を抑制するため、水素注入量にはプラント固有の上限値が設けられている。つまり、図2に示すように、溶存酸素濃度低減とタービン線量率上昇抑制という異なるターゲットに対して水素注入量を最適化することが一般的に行われている。ここで、図2の縦軸の酸素濃度[O]effは、後述するが、冷却水に含まれる酸素と過酸化水素の混合物としての酸素濃度([O]eff=[O]+1/2[HO])を示している。
最近の知見では、応力腐食割れの指標として、旧来の溶存酸素濃度では十分でなく、酸化種濃度と構造材の表面の電流バランスで決まる腐食電位(ECP:Electrochemical corrosion Potential)が適切であるという説が有力となり、水素注入量決定のパラメータとして、原子炉冷却系の高温水中で測定した腐食電位を指標として、腐食電位を目標値以下に低減し、同時にタービン線量率の増大を抑制する最適化が採用されるに至っている。この際、図3に示すように、溶存酸素濃度が十分に低下しても、腐食電位が必ずしも低下しないケースが見られることがある。この場合、例えば、炉水への貴金属注入(NMCA:Noble Metal Chemical Addition)により白金、ロジウムなどの貴金属錯体を炉水中に注入し、構造材表面に金属単体として付着させることで、腐食電位を低下させる方法が行われている。
さらにその後の研究で、溶存酸素濃度と腐食電位の挙動の差異が、原子炉内で水の放射線分解により生成される過酸化水素によることが明らかにされた。しかし、過酸化水素は、高温水中では安定ではなく、従来の測定手法では、原子炉冷却水を測定のために減温する過程で熱分解し、消失することから、定量化はできなかった。このため、原子炉冷却水中の過酸化水素濃度を知る方法としては、水の放射線分解(ラジオリシス)モデルを用いた理論計算に頼っていた。
ラジオリシスモデルを用いて求めた水素注入量と酸素、過酸化水素との相関を図4に示す。これによれば、水素注入量を増やすことにより、例えば、炉水中の酸素濃度は急激に低下するが、過酸化水素の低下は酸素に比べて遅れるため、酸素濃度低減とタービン線量率上昇抑制のバランスで決められる最適量の水素注入の場合においても、10ppb近くの過酸化水素が残存する。一方、図5に表面を機械研磨して予め表面の酸化被膜を脱離したステンレス鋼試験片について、酸素及び過酸化水素雰囲気で腐食電位を測定した結果を示す。図5から酸素と過酸化水素の腐食電位に及ぼす差異は、非常に大きいことが判る。
このように、BWRでは、水素を注入しない通常水化学(NWC:Normal Water Chemistry)では200ppbの酸素と100ppbの過酸化水素が共存し、腐食環境を決めるのに対し、水素注入水化学(HWC)では10ppbの過酸化水素が腐食環境を決める。
さらに最近の研究では、上記のNWCの条件では、腐食電位は共存する酸素に影響されること無く、100ppbの過酸化水素のみで決まることが示されている。図6に、200ppbの酸素と100ppbの過酸化水素が共存した場合の腐食電位と100ppbの過酸化水素が単独で存在する場合の腐食電位を比較して示す。図6から両者の間には優位な差異は認められず、腐食環境は100ppbの過酸化水素が単独で決まることが判る。このように、これまで腐食環境決定因子として酸素濃度がモニタされてきたが、原子炉構造材の保全という視点では、酸素濃度の測定だけでは十分ではなく、過酸化水素の測定が不可欠であることが明らかになった。
腐食電位は、高温水中で直接測定可能であり、これまで原子炉内での実測実績が積み重ねられ、測定装置の信頼性も十分に高まっている。このため、現在の水素注入量の評価においては、腐食電位を指標とするものが主流となっている。また、き裂進展速度などの基礎データも腐食電位を指標としたものが主流である。しかし、腐食電位を指標としたき裂進展速度などの基礎データも、実際には、酸素濃度と腐食電位を変えて実験したものが主である。そして、過酸化水素濃度をパラメータとして得られたき裂進展速度のデータ自体が少ないため、腐食電位をパラメータと称しても、過酸化水素濃度をプライマリーパラメータとして、腐食電位をパラメータにしたき裂進展速度のデータも少ない。特に、最近得られた知見では、図7に示すように、同じ腐食電位(ECP)でも酸素雰囲気と過酸化水素雰囲気では、異なったき裂進展速度(CGR)、つまり、過酸化水素雰囲気の方が酸素雰囲気よりも小さなき裂進展速度を与える(例えば、特許文献1参照)。
このような技術背景のもとでは、高温水中で腐食電位を測定しても腐食電位単独ではき裂進展速度の予測は難しく、腐食電位とあわせて過酸化水素濃度の情報を得ることが不可欠となる。過酸化水素濃度測定に関しては、サブppbの濃度にまで感度を持つ過酸化水素濃度測定装置が開発されている。しかし、先にも示したように、原子炉冷却水中では過酸化水素が主であっても、冷却水を分析のため、冷却減圧して採取すると、その過程で過酸化水素の大半は熱分解して消失し、過酸化水素の分解生成種である酸素のみが測定される。
また、過酸化水素濃度と腐食電位の相関においては、図5にも示したように、10ppb付近を中心にフラットな領域が広く、広範な過酸化水素濃度領域で一定の腐食電位を示すことが知られている。また、過酸化水素雰囲気でステンレス鋼試験片の浸漬実験により、腐食電位は過酸化水素濃度の変化に対し、ヒステリシス効果を示すことが知られている。
図8に、100ppbの過酸化水素に300時間浸漬した後、いったんループを開放し、再び浸漬して連続的に過酸化水素濃度を変化させた場合の腐食電位を示す。100ppbの過酸化水素での浸漬にもかかわらず、腐食電位は再浸漬開始直後は暫時低い値を示すが、20時間余で再び元の値に復した。その後過酸化水素濃度を10ppb、5ppb、1ppbと連続的に低減させた。これにより、100ppbから10ppbへの低減においては、腐食電位は一定値を示し、10ppbから5ppbへの低減においても腐食電位の変化は、ほとんど見られず、1ppbに低減して、ようやく腐食電位の優位な低下が観測された。この測定結果は、過酸化水素濃度が10ppb、5ppbの場合の単独浸漬についても観測されている。
図9に、腐食電位と過酸化水素濃度の相関を示す。図に示すように、腐食電位は過酸化水素濃度が10ppbから100ppbまでの広い範囲にわたって、ほぼ一定値を示す。したがって、高温水中で腐食電位を測定しても、この値から過酸化水素濃度を逆算することはできない。一方、き裂進展との観点では、図7に示したように、腐食電位が同じでも過酸化水素濃度によりき裂進展速度が異なり、き裂進展速度の把握と抑制のためには、過酸化水素濃度の把握が強く望まれる。
酸素雰囲気と過酸化水素雰囲気では、酸化種濃度と腐食電位の相関に大きな差異があることが判ったが、その原因はこれまで必ずしも明確ではなかった。腐食電位は構造材表面での酸化種の還元反応に伴うカソード電流と金属の酸化、溶解反応に伴うアノード電流がバランスして、表面での正味の電流がゼロとなる状態であると理解されている。さらに、表面に形成された酸化被膜による電気抵抗あるいは酸化、溶解反応に対する抵抗がアノード電流、またカソード電流に影響を及ぼすために、両電流のバランスが酸化被膜の有無、厚さによって異なることも定性的には知られている。しかし、これまでこれらを、特に過酸化水素雰囲気で測定された例は報告されていない。
図10には、酸素雰囲気で測定されたアノード分極特性及びカソード分極特性を示す。分極特性には表面状態、特に酸化被膜の厚さ性状が影響することがわかっているため、本測定では、電圧の掃引には十分に配慮し、従来の分極特性測定に見られたような、mV/秒オーダの掃引ではなく、mV/10分程度のゆっくりした掃引により電位に見合った酸化被膜が安定することを確認しながら、電位−電流特性を測定したものである。この測定結果より、アノード分極特性は酸素濃度によらず一定であること、及び、カソード分極特性も酸素濃度200ppbと2.4ppmとでは大きな差異が見られないことが確認された。アノード分極特性が酸素濃度によらないのは、表面の酸化被膜の影響が酸素濃度に大きく左右されないためと推定される。一方、カソード分極特性の酸素濃度依存性が小さいのは、高濃度では酸素の還元反応が拡散律速ではなく反応律速となっているためと推測される。この結果、図5に示したような酸素濃度に依存しない腐食電位は、アノード分極特性、カソード分極特性共に酸素濃度依存性が少ないことが原因と考えられる。このことは、腐食電位のみでなく腐食電流も酸素濃度依存性がなく、腐食電位が同じということは、腐食電流が同じであることを意味している。
図11には、過酸化水素酸雰囲気で測定されたアノード分極特性およびカソード分極特性を示す。図10の酸素雰囲気の場合と同じく、mV/10分程度のゆっくりした掃引により電位に見合った酸化被膜が安定することを確認しながら、電位−電流特性を測定したものである。過酸化水素雰囲気での分極特性が酸素雰囲気での分極特性と大きく異なる点は、アノード分極特性、カソード分極特性ともに、過酸化水素濃度に依存することが確認された点である。アノード分極特性の過酸化水素濃度依存性は、酸化被膜の厚さ及び性状が過酸化水素濃度によって異なることによる。同時に、表面での過酸化水素の酸化反応が進行し、この酸化反応がアノード分極特性を高電流側に押し上げることに寄与している。酸化被膜の性状変化は比較的ゆっくりで、いったん形成された酸化被膜は酸化種濃度を減少させた場合、数時間オーダでゆっくりとその酸化種濃度に見合った平衡状態に遷移する。過酸化水素濃度を100ppbから10ppbに下げた場合、酸化被膜性状がアノード分極特性を決める第1要因であれば、アノード分極特性の変化はゆっくりで、カソード分極特性の変化は十分に速いため、腐食電位にアンダーシュートが見られるはずであるが、図8に見られた濃度遷移では、過酸化水素濃度の変化に対し、腐食電位は変化が見られない。このことから、アノード分極特性を決める第1要因は、過酸化水素の酸化反応と考えることができる。過酸化水素濃度を10ppbから5ppmに下げた場合、腐食電位の低下が見られ始めていることから、アノード分極特性は10ppb付近で金属本来の酸化、溶解反応に起因するアノード分極特性になるものと推察される。
一方、カソード分極特性の過酸化水素濃度依存性はこの濃度領域では、反応律速ではなく拡散律速であることを示している。酸素雰囲気の場合のように、アノード分極特性が過酸化水素濃度によって変わらなければ、過酸化水素濃度の増大に伴い、カソード分極特性が変化して腐食電位は増大するはずであるが、アノード分極特性が過酸化水素濃度とともに変化するため、結果として腐食電位は一定値を示したものである。
図12は、アノード分極特性を考慮して腐食電位と腐食電流の相関を概念的に示したものである。腐食電位と腐食電流は、アノード分極曲線とカソード分極曲線の交点で定義される。過酸化水素濃度100ppbの場合、金属の酸化、溶解反応で決まるアノード分極電流に、過酸化水素の酸化反応による電流が重畳して、アノード分極特性が求まるが、腐食本来の腐食電流は、金属の酸化、溶解反応で決まるアノード分極電流である。
簡便的な求め方ではあるが、例えば、過酸化水素濃度10ppbの場合、アノード分極特性は金属の酸化、溶解反応で決まるため、過酸化水素の酸化反応による電流はこの電流に重畳しているものと考えることができる。したがって、例えば、過酸化水素濃度100ppbでの腐食電位は、測定されたアノード分極曲線とカソード分極曲線との交点で求まるが、過酸化水素濃度100ppbでの真の腐食電流は、腐食電位と同じ電位での10ppbのアノード分極曲線上での電流として定義することができる。さらに、この電流を酸素雰囲気での等価腐食電位に置きなおすと、酸素雰囲気でのアノード分極曲線上の同電位を与える電位として等価腐食電位を定義することができる。
図13では、こうして求めた等価腐食電位とき裂進展速度の相関を示す。このように、等価腐食電位の関数として表示することによって、き裂進展速度を過酸化水素雰囲気で測定されたままの腐食電位の関数として表示することに比べて、より関数としてのばらつきが小さくなり、き裂進展速度に指標としての意義が大きくなる。
特開2000−28789号公報(第2−4頁、第2,6図)
上記のように、従来の技術においては、腐食環境を示す指標として酸素濃度が使用されてきたが、これでは十分な腐食情報が得られないという問題がある。また、最近使用されている腐食電位は、酸素雰囲気での実験ではき裂進展速度を一意に決定し得る腐食環境指標として有効であるが、実機のように、過酸化水素が主となる腐食環境下では、き裂進展速度を一意に決定し得る腐食環境指標とはなり得ない。すなわち、酸素雰囲気、過酸化水素雰囲気を包含する体系では、等価腐食電位によるき裂進展速度の評価が重要であり、この等価腐食電位を求めるためには腐食電位の測定だけでなく、過酸化水素濃度の定量が必須となる。
本発明は、原子炉内での構造材に生じたあるいは生じつつある応力腐食割れのき裂の進展量を予測し、その対応策の有効性を把握することを目標とし、腐食環境指標として、腐食電位とともに過酸化水素濃度を選定し、高温水中で過酸化水素濃度を直接定量化する方法及び装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、一対の電極を絶縁材を介して支持するプローブを原子炉又は原子炉に連通された配管内の冷却水中に配置し、電極間に交流電圧を印加し、周波数を変化させて前記電極間の複素インピーダンスを測定し、求められた複素インピーダンスのコールコールプロットから低周波数側の半円の径を求め、求められた径より原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量することを特徴とする。
このように、原子炉冷却水中に配置された一対の電極間の複素インピーダンスのコールコールプロットから、酸化種濃度に敏感な低周波数側の半円径を取り出すことにより、あらかじめ求めておいた半円形と過酸化水素濃度の相関に基づいて、原子炉冷却水の過酸化水素濃度を直接定量することができる。
また、本発明は、一対の電極と参照電極とを絶縁材を介して支持するプローブを原子炉又は原子炉に連通された配管内の冷却水中に配置し、一対の電極の一方を参照電極に対して自然電位に保ち、他方の電極に交流電圧を印加し、周波数を変化させて一対の電極間の複素インピーダンスを測定し、求められた複素インピーダンスのコールコールプロットから低周波数側の半円の径を求め、求められた径により原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量することを特徴とする。
すなわち、参照電極と複素インピーダンス測定のための一対の電極とを原子炉冷却水中の測定対象部位に挿入し、参照電極を基準として電極対の一方の腐食電位を測定するとともに、複素インピーダンスの測定時には、電極対の一方または他方の電位を、参照電極に対して腐食電位と同じ電位に保ち、腐食電位と同じ電位に保った電極と対を成す電極に対して、測定可能な限り低い電圧で、周波数を変えながら交流電圧を印加する。これにより、両電極の電気化学的な腐食加速の抑制および表面酸化被膜性状の変質の影響を排除して、プラントの運転サイクルに見合った長期的に安定な過酸化水素濃度の直接定量を実現することができる。
このように、本発明によれば、原子炉冷却水中で過酸化水素濃度を直接定量化可能となり、測定箇所での腐食環境を腐食電位測定単独による把握と比べて、過酸化水素濃度と腐食電位との複合により、高度に把握することができ、当該部位での応力腐食割れのき裂進展速度の定量的な把握を高精度で行うことができる。また、本発明によれば、一過性の測定結果を提供するだけでなく、測定による電極の変質を抑制することができ、プラントの運転サイクル間の過酸化水素濃度を安定的に長期にわたって連続的に定量できる。
ここで、上記の方法に代えて、求められた複素インピーダンスの低周波数成分の虚数部を積算し、この積算値又はその逆数から原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量するようにしてもよい。
また、複素インピーダンスのコールコールプロットから低周波数側の半円の径あるいは複素インピーダンスの低周波数成分の虚数部を積算して求めた積算値又はその逆数から定量した冷却水の過酸化水素濃度を、ラジオリシスモデルによる冷却水の過酸化水素濃度の理論予測値を冷却水を冷却採取した水中の酸素濃度、導電率、pHに基づいて校正した理論濃度と比較し、この理論濃度を複素インピーダンスにより測定した過酸化水素濃度の値で校正することにより、測定箇所だけでなく、原子炉冷却系全体にわたって、冷却水中の過酸化水素濃度を高精度で定量的に把握することができる。
また、本発明の腐食環境定量装置は、例えば、原子炉又は原子炉に連通された配管内に配置される一対の電極と参照電極とからなるプローブと、参照電極を基準電位とし、一対の電極に外部から周波数が変化する交流電圧を印加して一対の電極間の複素インピーダンスを測定する測定手段と、この測定手段により測定された複素インピーダンスのコールコールプロットによる低周波数側の半円の径、あるいは、複素インピーダンスの低周波数成分の虚数部の積算値又はその逆数を求める演算手段とを備えた構成により上記課題を実現できる。
本発明によれば、原子炉冷却水中で過酸化水素濃度を直接定量することができるため、原子炉内での構造材に生じたあるいは生じつつある応力腐食割れのき裂の進展量を高い精度で把握することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図14は、本発明の実施の形態による高温水中過酸化水素濃度定量方法の基本的な装置構成を示す図である。本装置は、容器20、容器20内の高温水中に浸漬される内部参照電極R、設定間隔で平行に配置された作用電極と対極からなる電極対25、高温水中から電気信号を計測部まで輸送するための電線(ワイヤ)21、腐食電位と複素インピーダンスとを測定のためのポテンシオスタット22、周波数応答解析器23、データ解析と収録のためのパソコン(PC)24を備えて構成される。容器20は、例えば、原子炉に連通する配管内を想定して形成され、内部には所定の温度に調整された高温の冷却水が充満している。
ここで、図14において、原子炉内での複素インピーダンスを測定する手順を図15に示す。まず、内部参照電極Rと電極対のうちの一方(ここでは、作用電極とよぶ)A´との間で、電流がゼロとなる腐食電位を測定する。次いで、A(電位はA´と同じ)を内部参照電極Rに対して腐食電位に等しい電位に固定する。さらに、対極のBには、Aに対して測定可能で可能な限り低い交流電圧Vを印加する。具体的には、10mVが適切であるが、電線21などの信号線での電流損失を考慮して、任意に差ってすることが必要である。電圧が低すぎると電流測定が難しく、電圧が高すぎると電極対の表面での電気化学的効果により表面の酸化被膜は変質し、正しい測定が困難となるためである。
次いで、上記交流電圧の周波数を変えて複素インピーダンスを測定する。周波数の可変範囲は1mHzあるいは0.1mHzから最大で100kHzが適当であるが、実用上は最大で10kHz程度で十分である。実験装置であれば100kHzの電圧供給及び電流測定が可能であるが、原子炉に適用する場合、周波数が増大すると損失が増大し、ノイズの影響を受けやすくなる。各周波数に対する複素インピーダンスをコールコールプロット(X−Y座標上に複素インピーダンス実数部の値と虚数部の値の負値でプロットしたもの)で表示し、グラフ上に2つの半円が猫けることを確認する。ここで、低周波数側、つまりコールコールプロットの高実数部側に表示される半円に注目する。
そして、この低周波数側半円の半径に対応するインピーダンスをその場の指標インピーダンスとして取り出し、これを用いて過酸化水素濃度を導出する。この測定操作は、最初の腐食電位の測定まで立ち戻って繰り返し実施する。
実際に過酸化水素濃度を変えて測定した複素インピーダンスのコールコールプロットの例として、先に図8に示した腐食電位測定と同時に測定したものを図16図に示す。図16は、過酸化水素濃度を変えた場合の複素インピーダンスのコールコールプロットにおける低周波数側半円の径の変化を示したもので、横軸は実数成分、縦軸は虚数成分を表している。図8で示した腐食電位は過酸化水素濃度を変えても顕著な変化を示さず、図9に示すように10ppb以上の広範な範囲で一様な値を示したが、図16に示すコールコールプロットにおける低周波数側半円の径は、腐食電位とは異なり過酸化水素濃度の変化に敏感に対応している。
図17は、測定された複素インピーダンスの解析を目的とする等価回路解析のための基本等価回路図である。図に示す等価回路では2枚の平行平板の幾何学的条件及び水化学的条件は等しく、表面に発達する酸化被膜も、両者でほぼ同じと考えることができる。また、複素インピーダンスをコールコールプロットした場合、低周波数側の半円は、酸化被膜の電気抵抗と酸化被膜の溶解抵抗で決まるのに対し、高周波数側の半円はレドックス反応で決まることが知られている。
低周波数側の半円を決める酸化被膜の電気抵抗と酸化被膜の溶解抵抗とは分離が容易ではないが、図16において高温水中で酸化被膜の電気抵抗を直接測定した結果、図18に示すように、比被膜抵抗は腐食電位が一定に達した後はほぼ5×10Ωcmとあることから、被膜全体の抵抗値は8kΩ/cmとなることが判った。また、酸素雰囲気で形成された酸化被膜の電気抵抗は過酸化水素雰囲気で形成されたものと比べて1/10以下であることが確認されている。
ここで、発明者らがJournal of NUCLEAR SCIENCE and TECHNOLOGY : Vol.42.No.1,p.66−74(2005)において報告した、コールコールプロットの低周波数側の半円から求めた酸化被膜の溶解抵抗を酸素及び過酸化水素濃度について図示したものが、図19、図20である。
図21に腐食電位および酸化被膜溶解抵抗と過酸化水素濃度の相関を示す。図21に示すように、低周波数側半円の径は過酸化水素濃度により一意に決定される。このように腐食電位(ECP)からでは過酸化水素濃度は一意に決定されないが、複素インピーダンスのコールコールプロットにおける低周波数側半円の径からでは、過酸化水素の濃度は一意に決定することができる。また、例えば、図6に示したように、BWRの通常運転状態の水化学条件に対応する100ppbの過酸化水素と200ppbの酸素の混在場では、腐食電位が共存する酸素の影響を受けることなく、100ppbの過酸化水素単独の場合と同じ値を示すが、複素インピーダンスのコールコールプロットにおける低周波数側半円の径も共存する酸素の影響を受けないことが確認されている。このように、BWRの一次冷却系の過酸化水素濃度は、高温水中での複素インピーダンスを測定し、そのコールコールプロットの低周波数側半円の径から容易に求めることができる。
次に、図14に示した基本的な測定手法を用いて、実際にBWR原子炉の冷却系に適用する測定系の実施例について説明する。
本実施例では、BWRの原子炉又は原子炉に接続された配管内の冷却水中に、複数の電極とその取り付け手段からなるプローブを配置して冷却水中の腐食電位及び過酸化水素濃度を測定するものであり、図1は、BWRの一次冷却系を説明する図である。図1において、BWRの一次冷却系統は、原子炉圧力容器1、復水系3、給水系5、再循環系7、主蒸気系9、タービン11、炉浄化系13などから構成される。
ここで、プローブの設置場所としては、例えば、再循環系7や炉浄化系13などの配管系のほか、原子炉圧力容器1内、特に原子炉炉心15の下部の領域などが望まれる。原子炉内へプローブを直接挿入する場合は、例えば、通常原子炉炉心15において中性子束を測定するための中性子束計測器を原子炉内に導くために設置される炉内中性子束計測器案内管31を利用することが得策である。
図22は、BWRの原子炉内にプローブを挿入して、インピーダンスを測定する際の一態様を説明する図である。炉内中性子束計測器案内管31内に腐食電位測定のための内部参照電極32を収納するとともに、内部参照電極32の上流側又は下流側に一対のインピーダンス測定用(例えば、ステンレス鋼製)の平行平板の電極対33を収納する。内部参照電極32はリード線R、電極対33はリード線A,Bを通じて、それぞれ外部に設置される、図示しないポテンシオスタットに接続される。なお、ポテンシオスタットは、図14の構成と同様、周波数応答解析器と接続され、周波数応答解析器にて処理されたデータは、パソコン(PC)にて処理される。また、腐食電位の測定及びインピーダンスの測定手法は、図15に示す手順と同じである。
図23は、図22の電極対33の取り付け部分の拡大図である。電極対33の電極間の距離を一定に保つとともに、電極間に十分な電気抵抗を確保するため、両電極間に所定の厚みを有するセラミック製のスペーサ34を挟持し、同じくセラミック製のボルト35とナット36で固定する。絶縁抵抗をさらに向上させるため、スペーサ34と各電極の間には表面を酸化処理し、ZrO膜を形成させたジルコニウム合金の薄板37を介在させる。電極対33(例えば、ステンレス製)は二枚の電極(作用電極38、対極39)の間の距離が広すぎると水の電気抵抗の影響が測定の妨げとなるため、広すぎず、逆に狭すぎると電極間の直接容量が測定の妨げになるため、狭すぎず、例えば、3mm程度に保つことが安定な測定を行う上で好ましい。各電極から信号を取り出すリード線は、少なくとも、原子炉内の高温部においては、熱起電力による妨害信号の発生を抑制するため、例えば、電極対33と同じ組成のステンレス鋼ワイヤを採用することが好ましい。なお、内部参照電極32及び電極対33は、いずれも炉内中性子束計測器案内管31の内壁に絶縁されて取り付けられている。
図24は、原子炉圧力容器において一次冷却系のサンプル水の間接測定と本発明による炉水中の直接測定との結合例を説明する図である。
原子炉圧力容器1内には、下方から、炉心41、セパレータ42、ドライヤ43が配置され、炉内中性子束計測器案内管31は原子炉圧力容器1の底部から貫通させて差し込まれ、先端部は炉水が充満する炉心41の位置まで挿入される。
本発明における炉内中性子束計測器案内管31を用いた炉水の腐食電位と周波数依存複素インピーダンス測定による過酸化水素濃度の直接測定では、高温高圧水中のデータが直接得られるが、問題点は測定系の校正が難しい点にある。これに対し、従来法において再循環系からの冷却したサンプル水の酸素濃度、導電率、pHなどの間接測定では、適宜校正を行い得るが、腐食環境として、ほしい情報を正しく得ることには限界がある。
そのため、両者を組み合わせて過酸化水素が分解して生ずる酸素濃度とオリジナルの酸素濃度の和を理論予測し、酸素濃度測定値としてモニタする。これにより、測定系の妥当性を常時検証することができ、測定の信頼性向上が期待できる。
次に、コールコールプロットに代わるデータ処理法の実施例について説明する。図25は、周波数依存複素インピーダンス測定の生データを示すものであり、周波数を変えて、複素インピーダンスの実数部と虚数部のマイナスをプロットしたものである。図のように、過酸化水素濃度が100ppbから1ppbまで変えても、このままでは明確ではない。
図26は、図25のデータを実数部と虚数部の相関、すなわちコールコールプロットとして書き直したものを示す。このように生データを処理することによって、低周波数側となる高実数側の半円の径が濃度依存性を示す。実機で本測定をする際に、留意すべき課題の一つがノイズ対策である。測定系の測定による外乱を避けるために電極対は一方を自然電位とし、他方の対極にミニマム電位を与えて電流を測定することはすでに記載した通りであるが、発電所内では、各種電磁遮蔽を施しても、さまざまな電磁ノイズを完全に避けることが難しい。特に50Hz以上の高周波数側の測定は、動力源をはじめとする高周波ノイズにさらされるため、図26に示すようなきれいなコールコールプロットを得ることは難しい。その対策として、本実施例では、周波数10Hz以下の虚数部に負の積算を持ってコールコールプロットの低周波数側の円の面積積分等価値を導出し、この積分値を指標に過酸化水素濃度を求めるようにする。
図27は、図25のデータのうち10Hz以下の虚数部の負の積算値を過酸化水素濃度の関数として表したものである。図から明らかなように、この積算値によれば、過酸化水素濃度を的確に表示することができる。ただし、過酸化水素濃度が低下するにしたがって、低周波数側の半径が大きくなるため、本積算値では全面積を表示できず、過酸化水素濃度の定量誤差が大きくなる。このため、本積算値の逆数を過酸化水素濃度の関数として示したものを、同じく図27に示す。このように、積算値の逆数を取ることによって、絶対誤差は小さくなり、濃度定量の観点では好ましい表示となる。
図28は、BWRの原子炉内にプローブを挿入してインピーダンスを測定する際の他の態様を説明する図である。本発明のひとつのポイントは参照電極の信頼性を確保し、長期にわたって安定な過酸化水素濃度を求める手段を示したものである。
この構成においては、プローブの参照電極53と電極対55(作用電極51,対極52)がセラミックス製のスペーサ54によって設定間隔で平行に隣接して配置されている点で、図23の実施形態と相違する。これにより、例えば、炉内中性子束計測器案内管31内におけるプローブの収納性や取り扱い性が向上するという利点がある。ここで、電極対の2枚は、図23の実施形態と同様であるが、参照電極53は、白金(Pt)の板、ワイヤあるいはメッシュとなっている点で相違する。白金は酸素に対して十分な水素が存在する場合、基準電位として使用することができ、水素濃度が十分でない場合には、正しい基準電極とはならないが、酸素、過酸化水素濃度に対応した電位を安定して示す。
本実施形態では、Pt電極に対して、電極対のうち一方の電極を電流ゼロの状態に保持し、この場合のそのPt電極に対する電位を記録する。そして、当該電極の電位を測定された電位に保持しつつ、他方の対極に対して一定の電圧の交流を付加することにより、周波数依存複素インピーダンスを測定する。後の解析および過酸化水素濃度の定量化プロセスは既に述べた通りである。 HWCの条件下では、Pt電極が参照電極となり、過酸化水素濃度の測定と同時に腐食電位の測定が可能となる。 NWCの場合には、Ptの絶対電位を別に測定した測定値により校正し、近似的なECPを得ることができる。
沸騰水型原子力発電プラントの1次冷却系における水素注入と水化学測定を示す図である。 水素注入量と酸素濃度、主蒸気線量及び腐食電位の相関を示す図である。 水素注入量と酸素濃度、主蒸気線量及び腐食電位の相関を示す図である。 ラジオリシス計算で求めた水素注入量と酸素、過酸化水素との相関を示す図である。 高温高圧過酸化水素水ループで実測された酸素と過酸化水素の腐食電位に及ぼす差異を示す図である。 高温高圧過酸化水素水ループで実測された過酸化水素100ppb単独と200ppbの酸素共存の場合の腐食電位を示す図である。 腐食電位とき裂進展速度の相関を示す図である。 過酸化水素濃度を変えた場合の腐食電位の変化を示す図である。 腐食電位と過酸化水素濃度の相関を示す図である。 酸素雰囲気でのアノード及びカソード分極特性測定の結果を示す図である。 過酸化水素雰囲気でのアノード及びカソード分極特性測定の結果を示す図である。 アノード分極を用いて補正した腐食電位と腐食電流(電流密度)の相関を示す図である。 補正された腐食電位とき裂進展速度の相関を示す図である。 腐食電位及び複素インピーダンスの測定系の構成を示す図である。 原子炉内での複素インピーダンスの測定手順の一例を示す図である。 過酸化水素濃度を変えた場合の複素インピーダンスのコールコールプロットにおける低周波数側半円の径の変化を示す図である。 複素インピーダンスの等価回路解析のための基本等価回路図である。 酸化被膜の電気抵抗測定結果(100ppb:H浸漬試料(200時間))を示す図である。 酸素雰囲気での複素インピーダンス測定結果の等価回路解析による酸化被膜溶解抵抗を示す図である。 過酸化水素雰囲気での複素インピーダンス測定結果の等価回路解析による酸化被膜溶解抵抗を示す図である。 腐食電位及び酸化被膜溶解抵抗と過酸化水素濃度の相関を示す図である。 BWRの原子炉内でのインピーダンスを測定する際の実施形態を説明する図である。 図22の電極対の取り付け部分の拡大図である。 原子炉圧力容器において一次冷却系(再循環系)のサンプル水の間接測定と本発明による炉水中の直接測定との結合例を説明する図である。 周波数依存のインピーダンスの実数部と虚数部を示すものであり、(a)〜(d)は、それぞれ過酸化水素の濃度を100ppb,10ppb,5ppb,1ppbと変えたときのデータを表したものである。 図25のデータをコールコールプロットとして書き直したものであり、コールコールプロットの過酸化水素濃度の依存性を示す図である。 周波数10Hz以下のインピーダンスにおける虚数部の積分値と過酸化水素濃度の相関を示す図である。 BWRの原子炉内にプローブを挿入してインピーダンスを測定する際のプローブの他の実施形態を説明する図である。
符号の説明
1 原子炉圧力容器
3 復水系
5 給水系
7 再循環系
13 炉浄化系
15 炉心
22 ポテンシオスタット
23 周波数応答解析器
25 電極対
31 炉内中性子束計測器案内管
32 内部参照電極
33 電極対
34 スペーサ

Claims (9)

  1. 一対の電極を絶縁材を介して支持するプローブを原子炉又は原子炉に連通された配管内の冷却水中に配置し、前記電極間に交流電圧を印加し、周波数を変化させて前記電極間の複素インピーダンスを測定し、求められた複素インピーダンスのコールコールプロットから低周波数側の半円の径を求め、求められた径より原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量することを特徴とする原子炉冷却水の腐食環境定量方法。
  2. 一対の電極と参照電極とを絶縁材を介して支持するプローブを原子炉又は原子炉に連通された配管内の冷却水中に配置し、前記一対の電極の一方を前記参照電極に対して自然電位に保ち、他方の電極に交流電圧を印加し、周波数を変化させて前記一対の電極間の複素インピーダンスを測定し、求められた複素インピーダンスのコールコールプロットから低周波数側の半円の径を求め、求められた径より原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量することを特徴とする原子炉冷却水の腐食環境定量方法。
  3. 一対の電極を絶縁材を介して支持するプローブを原子炉又は原子炉に連通された配管内の冷却水中に配置し、前記電極間に交流電圧を印加し、周波数を変化させて前記電極間の複素インピーダンスを測定し、求められた複素インピーダンスの低周波数成分の虚数部を積算し、この積算値又はその逆数から原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量することを特徴とする原子炉冷却水の腐食環境定量方法。
  4. 一対の電極と参照電極とを絶縁材を介して支持するプローブを原子炉又は原子炉に連通された配管内の冷却水中に配置し、前記一対の電極の一方を前記参照電極に対して自然電位に保ち、他方の電極に交流電圧を印加し、周波数を変化させて前記一対の電極間の複素インピーダンスを測定し、求められた複素インピーダンスの低周波数成分の虚数部を積算し、この積算値又はその逆数から原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量することを特徴とする原子炉冷却水の腐食環境定量方法。
  5. 一対の電極と参照電極とを絶縁材を介して支持するプローブを原子炉又は原子炉に連通された配管内の冷却水中に配置し、前記一対の電極の一方を前記参照電極に対して自然電位に保ち、他方の電極に交流電圧を印加し、周波数を変化させて前記一対の電極間の複素インピーダンスを測定し、求められた複素インピーダンスのコールコールプロットから低周波数側の半円の径あるいは前記複素インピーダンスの低周波数成分の虚数部を積算して求めた積算値又はその逆数から定量した前記冷却水の過酸化水素濃度を、ラジオリシスモデルによる前記冷却水の過酸化水素濃度の理論予測値を前記冷却水を冷却採取した水中の酸素濃度、導電率、pHに基づいて校正した理論濃度と比較し、この理論濃度を前記複素インピーダンスにより測定した過酸化水素濃度の値で校正することにより原子炉冷却水の過酸化水素濃度を定量することを特徴とする原子炉冷却水の腐食環境定量方法。
  6. 原子炉又は原子炉に連通された配管内に配置される一対の電極からなるプローブと、前記電極に外部から周波数が変化する交流電圧を印加して該電極間の複素インピーダンスを測定する測定手段と、該測定手段により測定された前記複素インピーダンスのコールコールプロットによる低周波数側の半円の径、あるいは、前記複素インピーダンスの低周波数成分の虚数部の積算値又はその逆数を求める演算手段とを備えることを特徴とする原子炉冷却水の腐食環境定量装置。
  7. 原子炉又は原子炉に連通された配管内に配置される一対の電極と参照電極とからなるプローブと、前記参照電極を基準電位とし、前記一対の電極に外部から周波数が変化する交流電圧を印加して前記一対の電極間の複素インピーダンスを測定する測定手段と、該測定手段により測定された前記複素インピーダンスのコールコールプロットによる低周波数側の半円の径、あるいは、前記複素インピーダンスの低周波数成分の虚数部の積算値又はその逆数を求める演算手段とを備えることを特徴とする原子炉冷却水の腐食環境定量装置。
  8. 前記参照電極はPt電極であることを特徴とする請求項7に記載の原子炉冷却水の腐食環境定量装置。
  9. 前記プローブは、前記原子炉の圧力容器内に挿入される炉内中性子束計測器の案内管に収納されることを特徴とする請求項6又は7に記載の原子炉冷却水の腐食環境定量装置。
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