本発明は、塗工紙用組成物及び塗工紙に関する。更に詳しくは、白紙光沢が低く且つ白色度に優れ、インキ汚れが発生し難い塗工紙用組成物及び塗工紙に関する。
近年、塗工紙として、白紙光沢が低く且つ白色度に優れた塗工紙、例えば、艶消し塗工紙等が、ポスター、カレンダー、広告をはじめ、雑誌の表紙あるいは本文などの書籍等にも幅広く使用されている。このような塗工紙は、文字が読み易く、印刷物に質感や高級感を与えることができる。
このような塗工紙(例えば、艶消し塗工紙)は、グロス調の塗工紙と比較して白紙光沢を低くし且つ白色度を向上させることにより独特の風合いを持ち合わせたものであり、近年、グロス調の塗工紙よりも、その質感から需要が高まっている。
従来、このような塗工紙としては、白紙光沢を低くするために、粒子の粗い重質炭酸カルシウムが多く配合された顔料とバインダーとを含有する塗工紙用組成物を塗工原紙に塗工して製造されたものが用いられていた。
このような塗工紙は、白紙光沢を低くし且つ白色度を向上させることができるものの、顔料に配合された粒子の粗い重質炭酸カルシウムにより、塗工紙の表面(印刷を行う面)に凹凸ができてしまう。このような塗工紙の表面に印刷を行って印刷物を製造し、例えば、この印刷物が枚葉で積み重ねられた状態で輸送したり、枚葉で積み重ねられた状態のまま使用した場合に、この印刷物の表面の印刷面と、重ねられた印刷物の裏面(例えば、白紙面)とが接触して擦れてしまい、印刷面のインキが重ねられた印刷物の裏面に転移し、印刷物の品質を大きく損ねるトラブル(以下、「インキ汚れ」という)が発生していた。
このようなことから、例えば、平板形状のクレーを塗工紙用組成物に配合して、塗工紙(艶消し塗工紙)の表面を平準化してインキ汚れを防ぐという方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、塗工原紙上に、特定の粒子径のポリオレフィン樹脂粒子やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子を含む塗被層を設けることによって、塗工紙(艶消し塗工紙)の表面のインキ汚れを防止する方法も提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
特開2002−194698号公報
特許第2973853号公報
特許第3257418号公報
しかしながら、上記特許文献1のようなクレーを用いる方法では、インキ汚れを低減させることは可能であるが、このような塗工紙に必要とされる白紙光沢を低くすることが困難となり、塗工紙の艶消し効果が減少してしまうという問題があった。また、このようなクレーは、黄色味の色彩を帯びているため、塗工紙の白色度が低下してしまうという問題もあった。
また、特許文献2及び3に示す塗工紙(艶消し塗工紙)は、塗被層を構成するための塗工液中における、ポリオレフィン樹脂粒子やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子の分散性が悪く、また、このような粒子は、その製造上の問題から粒子径分布がシャープなものを得ることができないために、インキ汚れを十分に防止する効果を得ることができないという問題があった。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、白紙光沢が低く且つ白色度に優れ、インキ汚れが発生し難い塗工紙用組成物及び塗工紙を提供するものである。
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、スチレン系モノマーに由来する構造単位を少なくとも有する特定のポリマー粒子を更に含有させることにより、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の塗工紙用組成物及び塗工紙が提供される。
[1] (A)重質炭酸カルシウムを30質量%以上含む顔料と、(B)少なくともスチレン系モノマーに由来する構造単位を有し、その平均粒子径が、2〜30μmで且つ前記(A)顔料の平均粒子径の2倍以上であるポリマー粒子と、(C)バインダーと、を含有し、前記(A)顔料100質量部(固形分)に対して、前記(B)ポリマー粒子を0.2〜30質量部(固形分)含有する塗工紙用組成物。
[2] 前記ポリマー粒子を構成する前記ポリマーのガラス転移温度が、50〜120℃である前記[1]に記載の塗工紙用組成物。
[3] 前記ポリマー粒子の粒子径分布の変動係数が、25%以下である前記[1]又は[2]に記載の塗工紙用組成物。
[4] 塗工原紙と、前記塗工原紙に塗工された前記[1]〜[3]のいずれかに記載の塗工紙用組成物から形成された塗工層と、を備えた塗工紙。
[5] 前記塗工層の塗工量が、前記塗工原紙片面あたり2〜50g/m2である[4]に記載の塗工紙。
本発明の塗工紙用組成物は、塗工原紙に塗工することにより、白紙光沢が低く且つ白色度に優れ、インキ汚れが発生し難い塗工紙を得ることができる。また、本発明の塗工紙は、塗工原紙に上記した本発明の塗工紙用組成物を塗工したものであり、白紙光沢が低く且つ白色度に優れ、インキ汚れが発生し難いものである。
以下、本発明の塗工紙用組成物及び塗工紙を具体的な実施形態に基づいて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
[1]塗工紙用組成物:
本発明の塗工紙用組成物は、(A)重質炭酸カルシウムを30質量%以上含む顔料(以下、「(A)顔料」ということがある)と、(B)少なくともスチレン系モノマーに由来する構造単位を有し、その平均粒子径が、2〜30μmで且つ前記(A)顔料の平均粒子径の2倍以上であるポリマー粒子(以下、「(B)ポリマー粒子」ということがある)と、(C)バインダーと、を含有し、前記(A)顔料100質量部(固形分)に対して、前記(B)ポリマー粒子を0.2〜30質量部(固形分)含有する塗工紙用組成物である。
本発明の塗工紙用組成物は、塗工原紙に塗工して塗工層を形成した場合に、(A)顔料に含まれる粒子の粗い重質炭酸カルシウムの間に、上記した(B)ポリマー粒子が配置されることとなり、塗工紙の表面(印刷を行う面)を平準化することができる。このため、白紙光沢が低く且つ白色度に優れ、インキ汚れが発生し難い塗工紙、例えば、艶消し塗工紙を得ることができる。
なお、従来、塗工原紙上に、特定の粒子径のポリオレフィン樹脂粒子やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子を含む塗被層を設ける方法(例えば、特許文献2及び3参照)が提案されているが、このようなポリオレフィン樹脂粒子やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子は分散性が悪く、また、その製造上の問題から粒子径分布がシャープなものを得ることができないために、インキ汚れを十分に防止する効果を得ることができないという問題があった。
本発明の塗工紙用組成物においては、少なくともスチレン系モノマーに由来する構造単位を有し、その平均粒子径が2〜30μmで且つ(A)顔料の平均粒子径の2倍以上である(B)ポリマー粒子を、上記した割合で用いている。このようにスチレン系モノマーに由来する構造単位を用いてポリマーを形成することにより、粒子径の揃った真球度の高いポリマー粒子を良好に得ることができる。このようなポリマー粒子のうち、平均粒子径が、2〜30μmで且つ(A)顔料の平均粒子径の2倍以上である(B)ポリマー粒子を、(A)顔料100質量部(固形分)に対して、0.2〜30質量部(固形分)含有させることにより、塗工紙の表面の平準化を好適に行うことができる。
なお、(B)ポリマー粒子の平均粒子径が2μm未満であると、(B)ポリマー粒子が小さすぎて、重質炭酸カルシウム等の顔料同士によって形成される空隙に(B)ポリマー粒子が埋没してしまうため、塗工紙の表面の凹凸を平準化することができず、インキ汚れを防止することができない。また、この(B)ポリマー粒子の平均粒子径が30μmを超えると、インキ汚れを防止する効果は増大するが、着肉ムラ、インク転移不良等が多く発生し、塗工紙の印刷適性が悪くなる。また、(B)ポリマー粒子の平均粒子径が(A)顔料の平均粒子径の2倍未満であると、重質炭酸カルシウム等の顔料同士によって形成される空隙に(B)ポリマー粒子が埋没してしまい、インキ汚れを防止する効果を得ることができなくなる。
なお、本発明における(B)ポリマー粒子の平均粒子径とは、レーザー回折法によりポリマー粒子の粒度分布を測定し、累積質量が50%となる粒子径のことである。このような(B)ポリマー粒子の平均粒子径を測定することが可能なレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、大塚電子社製の商品名「FPAR−1000」を挙げることができる。
また、本発明における(A)顔料の平均粒子径とは、沈降法により粒度分布を測定し、累積質量が50%となる粒子径のことである。このような(A)顔料の平均粒子径を測定することが可能な粒度分布測定装置としては、例えば、島津製作所製の商品名「セディグラフ−5000」を挙げることができる。
本発明の塗工紙用組成物においては、(A)顔料100質量部(固形分)に対して、このような(B)ポリマー粒子を0.2〜30質量部(固形分)含有させることが必要である。(B)ポリマー粒子が0.2質量部未満であると、(B)ポリマー粒子が少なすぎて、重質炭酸カルシウムによって生じる塗工紙の表面の凹凸を平準化することができず、インキ汚れを防止することができない。一方、(B)ポリマー粒子の使用量を多くするほど、インキ汚れを防止する効果は増大するが、30質量部を超えると、着肉ムラ、インク転移不良等が多く発生し、塗工紙の印刷適性が悪くなる。
また、本発明の塗工紙用組成物に用いられる(B)ポリマー粒子は、密実の粒子であってもよいし、中空の粒子であってもよい。例えば、(B)ポリマー粒子が中空の粒子である場合には、その光散乱係数の高さから、透明性のあるポリオレフィン樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂と比較し、白色度の向上も期待することができる。また、密実の(B)ポリマー粒子は、製造が簡便であり、また、得られる密実の(B)ポリマー粒子の粒子径分布がシャープで変動係数が小さく、インキ汚れを防止する効果が増大する。
[1−1](A)顔料:
本発明の塗工紙用組成物に含有される(A)顔料は、(A)顔料100質量%に対して重質炭酸カルシウムを30質量%以上含むものである。このように構成することによって、塗工原紙に塗工した場合に、塗工層の白紙光沢を低くすることができ、塗工紙の艶消し効果を良好に発現させることができる。なお、重質炭酸カルシウムが30質量%未満では、白紙光沢を低くすることができず、更に白色度も低下してしまうため、塗工紙の艶消しの効果を得ることができなくなる。
なお、上記したように重質炭酸カルシウムは、(A)顔料100質量%に対して30質量%以上含まれているものであるが、35質量%以上含まれていることが好ましく、40〜97質量%の範囲で含まれていることが更に好ましい。このように構成することによって、白紙光沢が低く且つ白色度に優れた塗工紙を得ることができる。
本発明の塗工紙用組成物の(A)顔料に用いられる重質炭酸カルシウムは、特に限定されないが、紙塗工に使用される通常の重質炭酸カルシウムを適宜使用することができる。一般的には、平均粒子径2μmの粒子の割合が60体積%以下のもの、75体積%以下のもの、90体積%以下のもの、95体積%以下のもの等が市販されており、これらの重質炭酸カルシウムを好適に用いることができる。
本発明の塗工紙用組成物に含有される(A)顔料には、上記した重質炭酸カルシウムの他に、カオリン、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、及び従来公知の塗工紙用組成物等に用いられる有機顔料等を含んだものであってもよい。これらの中でも、重質炭酸カルシウム単独又は重質炭酸カルシウムとカオリンとを含んだ顔料を好適に用いることができる。
[1−2](C)バインダー:
本発明の塗工紙用組成物に用いられる(C)バインダーとしては、従来公知の塗工紙用組成物等に用いられるバインダーを好適に用いることができる。例えば、このような(C)バインダーとしては、ラテックス、例えば、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス等を好適例として挙げることができる。このようなラテックスとしては、例えば、ガラス転移温度が−80〜80℃のポリマーを含むラテックスであることが好ましく、ガラス転移温度が−60〜40℃のポリマーを含むラテックスであることが更に好ましい。
なお、この(C)バインダーに含まれるラテックスのガラス転移温度(Tg)は、このラテックスを130℃で30分間加熱乾燥してフィルムを作製し、この乾燥フィルムのガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定した値のことである。
また、本発明の塗工紙用組成物に用いられる(C)バインダーとしては、上述したラテックスの以外にも、澱粉、カゼイン、大豆蛋白、カルボキシメチルセルロース、PVA等のバインダーを含んでいてもよい。これらの中では、澱粉が好ましい。澱粉としては、燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉等の加工澱粉を使用することができる。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このような(C)バインダーの含有量は、(A)顔料100質量部(固形分)に対して、3〜25質量部(固形分)であることが好ましく、5〜20質量部(固形分)であることが更に好ましく、7〜15質量部(固形分)であることが特に好ましい。3質量部未満であると、バインダーとしての十分な接着機能を発現し難くなる。また、25質量部を超えると、過度な粘着性に起因する塗工紙の製造プロセスや印刷プロセスでの操業トラブルの原因となることがある。なお、(C)バインダーの固形分とは、共重合体ラテックス等のバインダーから、分散媒あるいは溶媒である水を除いた成分をいう。
[1−3](B)ポリマー粒子:
本発明の塗工紙用組成物に用いられる(B)ポリマー粒子は、少なくともスチレン系モノマーに由来する構造単位を有し、その平均粒子径が2〜30μmで且つ上述した(A)顔料の平均粒子径の2倍以上であるポリマー粒子である。そして、本発明の塗工紙用組成物においては、(A)顔料100質量部(固形分)に対して、このような(B)ポリマー粒子を0.2〜30質量部(固形分)含有している。
スチレン系モノマーに由来する構造単位を有するポリマーからなる(B)ポリマー粒子としては、例えば、ポリスチレンからなる粒子、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスからなる粒子、スチレン系モノマーを用いたコアシェル型共重合体ラテックスからなる粒子等を好適例として挙げることができる。
(B)ポリマー粒子を構成するためのスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレン等のアルキルスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、3−ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン、更に3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、1−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる(B)ポリマー粒子を構成するポリマーは、上記したスチレン系モノマーに由来する構造単位を、ポリマー全体100質量%(固形分)に対して、20〜100質量%(固形分)含むことが好ましく、30〜100質量%(固形分)含むことが更に好ましく、40〜100質量%(固形分)含むことが特に好ましい。なお、スチレン系モノマーに由来する構造単位が30質量%未満である場合には、他の共重合モノマーとしてスチレンと同程度のガラス転移温度を有するものを用いることが好ましい。このように構成することによって、(B)ポリマー粒子を構成するポリマーとしてのガラス転移温度を高くすることができる。
本発明の塗工紙用組成物に用いられる(B)ポリマー粒子は、上記したように平均粒子径が2〜30μmの粒子であるが、2〜20μmの粒子であることが好ましく、3〜15μmの粒子であることが更に好ましい。なお、(B)ポリマー粒子の平均粒子径が2μm未満であると、(B)ポリマー粒子が小さすぎて、重質炭酸カルシウム等の顔料同士によって形成される空隙に(B)ポリマー粒子が埋没してしまうため、塗工紙の表面の凹凸を平準化することができず、インキ汚れを防止することができない。また、この(B)ポリマー粒子の平均粒子径が30μmを超えると、インキ汚れを防止する効果は増大するが、着肉ムラ、インク転移不良等が多く発生し、塗工紙の印刷適性が悪くなる。
また、上記した(B)ポリマー粒子を含有させることによるインキ汚れを防止する効果は、(B)ポリマー粒子の平均粒子径と(A)顔料の平均粒子径との関係によっても影響を受ける。このため、本発明の塗工紙用組成物においては、(B)ポリマー粒子の平均粒子径は、(A)顔料の平均粒子径の2倍以上とする。なお、(B)ポリマー粒子の平均粒子径は、(A)顔料の平均粒子径の2〜300倍であることが好ましく、2〜100倍であることが更に好ましい。
(B)ポリマー粒子の平均粒子径が上記したように2〜30μmの範囲内であったとしても、(B)ポリマー粒子の平均粒子径が(A)顔料の平均粒子径の2倍未満である場合には、重質炭酸カルシウム等の顔料同士によって形成される空隙に(B)ポリマー粒子が埋没してしまい、インキ汚れを防止する効果を得ることができなくなる。
例えば、本発明の塗工紙用組成物に用いられる(A)顔料の平均粒子径が5μmである場合には、平均粒子径が10〜30μmの(B)ポリマー粒子を用いることにより、インキ汚れを防止する効果を良好に得ることができる。
本発明の塗工紙用組成物は、上記したような(B)ポリマー粒子の含有量が、(A)顔料100質量部(固形分)に対して、0.2〜30質量部(固形分)となっている。このように構成することによって、重質炭酸カルシウム等の顔料同士によって形成される空隙や塗工紙の表面に形成される凹凸に十分に(B)ポリマー粒子が行き渡り、塗工紙の表面を平準化して、塗工紙のインキ汚れを有効に防止することができる。なお、特に限定されることはないが、(B)ポリマー粒子の含有量は、(A)顔料100質量部(固形分)に対して、0.5〜25質量部(固形分)であることが好ましく、1〜20質量部(固形分)であることが更に好ましい。なお、(B)ポリマー粒子の含有量が0.2質量部未満ではインキ汚れを防止する効果が小さく、一方、30質量部を越えるとインキ汚れを防止する効果は増大するが、着肉ムラ、インク転移不良等が多く発生し、塗工紙の印刷適性が悪くなる。
また、本発明の塗工紙用組成物においては、(B)ポリマー粒子を構成するポリマーのガラス転移温度が、50〜120℃であることが好ましく、55〜120℃であることが更に好ましく、60〜120℃であることが特に好ましい。(B)ポリマー粒子を構成するポリマーのガラス転移温度が上記範囲以外であると、塗工紙用組成物を塗工原紙に塗工する際に、塗工紙用組成物が可塑化やフィルム化してしまうことがあり好ましくない。
なお、(B)ポリマー粒子を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)は、測定対象のポリマーを含むラテックスを130℃で30分間加熱乾燥してフィルムを作製し、この乾燥フィルムのガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定した値のことである。
また、(B)ポリマー粒子は、その粒子径分布の変動係数が25%以下であることが好ましく、20%未満であることが更に好ましく、18%未満であることが特に好ましい。(B)ポリマー粒子の変動係数とは、この(B)ポリマー粒子の標準偏差を、(B)ポリマー粒子の平均粒子径で除算した値を百分率で表したものである。
(B)ポリマー粒子の粒子径分布の変動係数が25%以下であると、(B)ポリマー粒子の粒子径分布がシャープであり、(B)ポリマー粒子の粒子径が揃っているということが分かる。このような(B)ポリマー粒子を用いることによって、より少ない使用量でインキ汚れを防止する効果を得ることができる。
本発明の塗工紙用組成物に用いられる(B)ポリマー粒子は、従来公知の懸濁重合法や乳化重合法によって得られたポリマー粒子を好適に用いることができる。なお、(B)ポリマー粒子の製造方法については、上記した方法に限定されることはないが、このような懸濁重合法や乳化重合法によって得られたポリマー粒子は、粒子径が揃っており、真球度の高いポリマー粒子であるため、より少ない使用量でインキ汚れを良好に防止することができる。
(B)ポリマー粒子を製造する具体的な方法としては、例えば、密実のポリマー粒子の場合には、少なくともスチレン系モノマーを所定量含む単量体成分としてスチレンを92質量部、その他の単量体成分として、メタクリル酸メチル5質量部、イタコン酸1質量部、及びアクリル酸2質量部を用い、これらを、乳化剤の使用部数によって粒子径を調整し、重合開始剤などを用いて乳化重合する方法を挙げることができる。また、中空のポリマー粒子は、例えば、スチレン83.4質量部、メタクリル酸メチル11.5質量部、メタクリル酸4.6質量部、アクリル酸0.4質量部、及びジビニルベンゼン0.1質量部を用いて製造することができ、更に、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBラテックス)からなる密実のポリマー粒子は、例えば、スチレン81質量部、ブタジエン7質量部、メタクリル酸メチル10質量部、イタコン酸1質量部、アクリル酸1質量部を用いて製造することができる。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを単独で、あるいは二種以上を併用して使用できる。ここで、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などを、それぞれ単独であるいは二種以上を組み合わせで使用できる。
また、分子量調節剤、キレート化剤、無機電解質なども公知のものが使用できる。分子量調節剤としては、クロロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン類、ターピノーレン(商品名)、α−メチルスチレンダイマー、1,1−ジフェニルエチレンなど通常の乳化重合で使用可能なものを全て使用できる。
また、中空の(B)ポリマー粒子としては、例えば、スチレン系モノマーを用いた公知のコアシェル型共重合体ラテックスを好適に用いることができる。具体的な製造方法としては、例えば、まず、スチレン系モノマー(a−1)20〜95質量%と、不飽和カルボン酸5〜80質量%(a−2)(但し、(a−1)+(a−2)=100質量%)からなる第1重合性モノマー(a)を乳化重合させて第1ポリマー粒子(I)を得る。
次に、得られた第1ポリマー粒子(I)5〜1000質量部の存在下で、スチレン系モノマー(b−1)0〜100質量%、及び不飽和カルボン酸(b−2)0〜20質量%(但し、(b−1)+(b−2)=100質量%)からなる第2重合性モノマー(b)100質量部を乳化重合させて、第1ポリマー粒子(I)の表層を第2重合性モノマー(b)に由来する第2ポリマーと未反応の第2重合性モノマー(b)とを含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(II)を得る。
次に、得られたコアシェル状のポリマー粒子(II)の分散体のpHを、例えば、揮発性塩基によって7以上に調整し、コアシェル状のポリマー粒子(II)を中和膨潤させたのち、未反応の第2重合性モノマー(b)を重合させて中空のポリマー粒子(III)を製造する。このように構成することによって、粒子径が均一で、かつ中空率の高い中空の(B)ポリマー粒子を得ることができる。
[1−4]その他添加剤:
本発明の塗工紙用組成物には、上記した(A)顔料、(B)ポリマー粒子、及び(C)バインダーに加えて、耐水性改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料及びpH調節剤等、一般に使用されている種々の添加剤を任意に配合することができる。
[2]塗工紙:
次に、本発明の塗工紙について説明する。本発明の塗工紙は、塗工原紙と、この塗工原紙に塗工された上記した本発明の塗工紙用組成物から形成された塗工層と、を備えた塗工紙である。
このような本発明の塗工紙は、白紙光沢が低く且つ白色度に優れるとともに、塗工紙用組成物に含まれる(B)ポリマー粒子によって塗工層表面が平準化されており、インキ汚れが発生し難くなっている。本発明の塗工紙は、白紙光沢が低く且つ白色度に優れているため、例えば、艶消し塗工紙等として好適に用いることができる。
本発明の塗工紙の白紙光沢は、75度白紙光沢で、50%以下であることが好ましい。これは、50%を超えると、塗工紙の艶消し効果が不十分になることがあるからである。なお、塗工紙の白紙光沢は、JIS P 8142に準じて測定することができる。
また、本発明の塗工紙の白色度は、83.5%以上、より好ましくは、84.0%以上、更に好ましくは、84.5%以上である。なお、白色度は、JIS 8148に準じて測定することができる。
なお、本発明の塗工紙は、インキ汚れが発生し難くなっているため、特に枚葉オフセット印刷用として、また輪転オフセット印刷用としても好適に使用することができる。更に、その他の平版印刷用、グラビア印刷等の凹版印刷用、及び凸版印刷用としても使用することができる。
[2−1]塗工原紙:
本発明の塗工紙を構成する塗工原紙は特に限定されず、上記した本発明の塗工紙用組成物を塗工することにより、白紙光沢が低く且つ白色度に優れた塗工紙が得られるものであればよい。塗工原紙の原料パルプの種類は特に限定されず、例えば、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ(DIP)等が挙げられる。また、塗工原紙には、内添剤として炭酸カルシウム、クレー及びタルク等の顔料、アルキルケテンダイマー、ロジン酸石鹸及び硫酸バンド等のサイズ剤、カチオン澱粉及びポリアクリルアミド等の紙力増強剤、並びに嵩高剤等を使用することもできる。更に、上記塗工原紙の表面には、サイズプレス、ゲートロールコーター、メータードサイズプレス等を使用して、アクリルアミド又はアクリル−スチレンポリマー等の表面サイズ剤を塗布することもできる。
[2−2]塗工層:
本発明の塗工紙を構成する塗工層は、本発明の塗工紙用組成物を塗工原紙に塗工して形成されたものである。本発明における塗工層は、塗工紙用組成物の塗工量が、塗工原紙片面あたり2〜50g/m2であることが好ましく、4〜40g/m2であることが更に好ましく、5〜30g/m2であることが特に好ましい。塗工原紙片面あたりの塗工量が2g/m2より少ないと、塗工層が薄すぎて塗工紙の印刷適性が悪くなることがある。一方、50g/m2よりも多くなると、コストが高くなるだけではなく、インク吸収性が不十分となるとともに、表面層の強度が低下し好ましくない。なお、上記した塗工紙用組成物の塗工量は、塗工層中の水分が5質量%になるまで乾燥した後の乾燥質量である。
[2−3]塗工紙の製造:
本発明の塗工紙の製造方法は、上述した塗工紙用組成物を塗工原紙に、下記塗工方法により塗工するものである。塗工紙用組成物を塗工原紙に塗工する塗工方法としては、一般の塗工紙の製造方法において用いられている方法を採用することができる。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、チャンプレックスコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等を使用して塗工することができる。
本発明の塗工紙を製造する方法としては、塗工工程以外に、塗工紙用組成物を塗工して未乾燥塗工紙を作製した後に、その未乾燥塗工紙を乾燥させる乾燥工程を有することが好ましい。乾燥工程における乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、一般の塗工紙の製造方法において用いられている方法を採用することができる。例えば、熱風乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を採用することができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の塗工紙を製造する方法としては、上記乾燥工程の後にさらに、カレンダー工程を設けてもよい。カレンダーはマット用カレンダーを用いるのが望ましいがスーパーカレンダーを軽く掛けてカレンダー処理を行うこともできる。更に、本発明の塗工紙を製造する方法においては、上述の工程以外に適宜所望の工程を有してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び評価方法を以下に示す。
[顔料の平均粒子径]:顔料の平均粒子径は、粒度分布測定装置(商品名「セディグラフ−5000」:島津製作所製)を用いて、沈降法により粒度分布を測定し、累積重量が50%となる粒子径を顔料の平均粒子径とした。
[ポリマー粒子の平均粒子径]:(B)ポリマー粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名「FPAR−1000」:大塚電子社製)を用いて、レーザー回折法により粒度分布を測定し、累積重量が50%となる粒子径を平均粒子径とした。
[ガラス転移温度]:(B)ポリマー粒子を構成するポリマーを130℃で30分間加熱乾燥してフィルムを作製し、示差走査熱量計(商品名「DSC−220C」:セイコー電子社製)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定した。
[変動係数]:使用した(B)ポリマー粒子の粒子径分布の標準偏差を、この(B)ポリマー粒子の平均粒子径で除算した値を百分率によって算出した。
[インキ汚れ]:RI−I型印刷試験機(明製作所製)を用い、オフセット印刷用インキ(商品名「Values−G」:大日本インキ社製)を0.3cc使用して、塗工紙に印刷を行い、3日間放置後、染色物摩擦堅牢度試験機(東洋精機製作所製)を用い、荷重600gで5往復の摩擦を行い、印刷した塗工紙から白紙に転移したインキの濃度を目視により評価した。
◎:インキの転移がまったくない
○:インキが僅かに転移している(印刷面の面積を100%とした場合に、インキの転移した面積が10%未満である)
△:インキが転移している(印刷面の面積を100%とした場合に、インキの転移した面積が10〜30%である(使用上は問題のない程度である))
×:インキの転移が多く問題である(印刷面の面積を100%とした場合に、インキの転移した面積が30%超である)
[白紙光沢]:JIS P 8142に準じて、角度75度で、塗工紙の白紙面の白紙光沢を測定した。また、この白紙面の視覚的な光沢感を目視により評価した。
◎:非常に良い
○:良い
×:悪い
[白色度]:JIS 8148に準じて、塗工紙の白紙面の白色度を測定した。また、この白紙面の視覚的な白さを目視により評価した。
◎:真白に見える
○:白く見える
△:僅かに黄みを帯びている
×:黄みを帯びている
[印刷適性]:インキ汚れの評価と同様の方法によって塗工紙に印刷を行い、印刷面を目視により評価した。
◎:着肉ムラ、インク転移不良等が目視確認できない
○:着肉ムラ、インク転移不良等が僅かにある
△:着肉ムラ、インク転移不良等があるが、使用上問題ない
×:着肉ムラ、インク転移不良等が多い
(実施例1)
(A)顔料と、少なくともスチレン系モノマーに由来する構造単位を有するポリマーからなる(B)ポリマー粒子と、(C)バインダーと、分散剤とに、水を加えて固形分濃度60%の塗工紙用組成物を調製した。
具体的には、(A)顔料として、平均粒子径が0.57μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業社製、商品名「ハイドロカーブ−90」:以下、[顔料a]という)80部、及び平均粒子径が0.55μmであるカオリン(エンゲルハード社製、商品名「HT」:以下、「顔料b」という)20部(顔料a+顔料b=100部)を用い、(C)バインダーとして、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス15部、及び予め糊化した酸化澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名「エースC」)3部を用いた。また、(B)ポリマー粒子として、平均粒子径が6.30μmのポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(以下、「ポリマー粒子(PST−A)」ということがある)4部、及び分散剤として、三洋化成社製、商品名「アロンT−40」0.1部を用いた。表1に、塗工紙用組成物に用いた(A)顔料の組成とその平均粒子径、及び(B)ポリマー粒子の種類とその物性値を示す。
なお、このポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(PST−A)は、以下のようにして製造した。まず、容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水200部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名「F65」)0.1部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム1.0部、重亜硫酸ナトリウム0.5部、および1段目成分として、スチレン23部、メタクリル酸メチル1.25部、およびt−ドデシルメルカプタン0.7部を一括して仕込み、45℃で4時間反応させ、重合転化率が70%以上であることを確認した(1段目の重合)。
その後、2段目成分として、スチレン69部、メタクリル酸メチル3.75部、イタコン酸1部、アクリル酸2部を8時間にわたって連続的に添加しながら60℃で重合を継続した。連続添加終了後も、さらに70℃で3時間反応させ(2段目の重合)、共重合体からなる粒子を含む密実のポリマー粒子(PST−A)の前駆体を得た。最終的な重合転化率は99%であった。得られた密実のポリマー粒子前駆体を、水酸化ナトリウムを用いてpH7.5(常温)に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、密実のポリマー粒子(PST−A)を得た。なお、後述する密実のポリマー粒子(PST−B、C、H、及びI)は上述した密実のポリマー粒子(PST−A)と同様の方法によって調整した。ここで、得られた密実のポリマーの粒子径の調整は、主として乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の量を調整することにより行った。
このようにして得られた塗工紙用組成物を、米坪75g/m2の塗工原紙上に片面当たり乾燥質量で15g/m2になるようにブレードコーターで両面塗工、乾燥を行い、乾燥後の塗工層の水分が5質量%である塗工紙を得た。
得られた塗工紙を用いて、上記したインキ汚れ、白紙光沢、白色度、及び印刷適性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例2)
ポリマー粒子(PST−A)の使用量を、(A)顔料100部に対して0.2部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(実施例3)
ポリマー粒子(PST−A)の使用量を、(A)顔料100部に対して10.0部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(実施例4)
ポリマー粒子(PST−A)の使用量を、(A)顔料100部に対して30.0部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(実施例5)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径2.00μmのポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(以下、「ポリマー粒子(PST−B)」ということがある)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(実施例6)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径9.40μmのポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(以下、「ポリマー粒子(PST−C)」ということがある)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(実施例7)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径30.00μmのポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(以下、「ポリマー粒子(PST−D)」ということがある)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
なお、このポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(PST−D)は、以下のようにして製造した。まず、容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水200部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名「F65」)0.1部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム1.0部、重亜硫酸ナトリウム0.5部、スチレン95部、メタクリル酸メチル5部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を一括して仕込み、45℃で4時間反応させ、第1ポリマー粒子(I)を調整した。
次に、得られた第1ポリマー粒子(I)を含む水性分散体をシード粒子として10部(固形分)仕込み、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入し、スチレン95部、メタクリル酸メチル5部を50℃で4時間にわたって連続的に添加しながら反応させ、第2ポリマー粒子(II)を調整した。さらに、得られた第2ポリマー粒子(II)を含む水性分散体をシード粒子として10部(固形分)仕込み、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入し、スチレン92部、メタクリル酸メチル5部、イタコン酸1部、アクリル酸2部を8時間にわたって連続的に添加しながら60℃で重合を継続した。連続添加終了後も、さらに70℃で3時間反応させ、共重合体からなる粒子を含む密実のポリマー粒子(PST−D)の前駆体を得た。最終的な重合転化率は99%であった。得られた密実のポリマー粒子前駆体を、水酸化ナトリウムを用いてpH7.5(常温)に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、密実のポリマー粒子(PST−D)を得た。なお、後述する密実のポリマー粒子(PST−J)は上述した密実のポリマー粒子(PST−D)と同様の方法によって調整した。ここで、得られた密実のポリマーの粒子径の調整は、主として乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の量を調整することにより行った。
(実施例8)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径2.10μmの中空のポリマー粒子粒子(以下、「ポリマー粒子(HP−E)」ということがある)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
この中空のポリマー粒子(HP−E)は、以下のようにして製造した。まず、容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水109.5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名「F65」)0.2部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。その一方で、メタクリル酸メチル90部、メタクリル酸10部、分子量調整剤としてオクチルチオグリコレート0.5部、乳化剤(花王社製、商品名「F65」)0.1部及び水40部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。
このモノマー混合物の水性分散体の20%を上記反応容器に投入し、反応容器内の液を攪拌しながら温度75℃まで昇温して1時間重合反応を行い、その後温度を75℃に保ちながら残りのモノマー混合物の水性分散体を連続的に2時間かけて反応容器に添加し、更に、2時間熟成を行い、固形分40%、粒子径250nmのポリマー粒子(i)(シード粒子)の水性分散体を得た。
次に、別の容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水186部を投入し、これに上記したポリマー粒子(i)(シード粒子)を含む水性分散体を7部(固形分)仕込み、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。その一方で、メタクリル酸メチル69.5部、メタクリル酸30部、ジビニルベンゼン0.5部(純度55%)、乳化剤(花王社製、商品名「F65」)0.1部及び水40部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。
次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持し、上記モノマー混合物の水性分散体を反応容器に連続的に3時間かけて投入した。その後、更に2時間熟成を行ない、粒子径1000nmのポリマー粒子(ii)の水性分散体を得た。
次に、更に別の容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水240部を投入し、これに上記したポリマー粒子(ii)の水性分散体を固形分で18部、スチレン20部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.4部を投入した。その一方で、スチレン69.5部、乳化剤(花王社製、商品名「F65」)0.1部及び水40部を混合攪拌してモノマーの水性分散体を調製した。
次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持して30分間でスチレンの重合を行い、ポリマー粒子(ii)にスチレンが複合したポリマー粒子を得た、続けてこの反応容器内の液を攪拌しながら80℃に保持して上記モノマーの水性分散体を反応容器に連続的に4時間かけて投入した。この際、モノマーの水性分散体を投入開始後2時間経過時に、アクリル酸0.5部を反応容器に一括投入してスチレンと共重合させた。更に上記モノマーの水性分散体をすべて反応容器に投入した直後に、スチレン10部を一括投入し、ポリマー粒子(ii)の表層にスチレン、アクリル酸を重合・積層させたコアシェル状のポリマー粒子を得た。すべてのモノマーの投入終およそ15分後に攪拌しながら25%水酸化アンモニウムを2.0部一括投入して、温度を90℃に上げ、2時間攪拌熟成し中空のポリマー粒子(HP−E)を得た。
(実施例9)
(A)顔料として、顔料bを用いずに、顔料aのみを100部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(実施例10)
(A)顔料として、顔料b20部と、平均粒子径が1.2μmである重質炭酸カルシウム(備北粉化工業社製、商品名「ハイドロカーブ−60」:以下、[顔料c]という)80部とを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(実施例11)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径が6.00μmであるスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスからなる密実のポリマー粒子(以下、[ポリマー粒子(BP−F)]ということがある)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
なお、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスからなる密実のポリマー粒子(BP−F)は、以下のようにして製造した。まず、容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水200部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名「F65」)0.1部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム1.0部、重亜硫酸ナトリウム0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を予め仕込んだ。次に、1段目成分として、1,3−ブタジエン1.4部、スチレン16.2部、メタクリル酸メチル2部を一括して仕込み、50℃で3時間反応させ、重合転化率が90%以上であることを確認した(1段目の重合)。その後、2段目成分として、1,3−ブタジエン5.6部、スチレン64.8部、メタクリル酸メチル8部、イタコン酸1部、アクリル酸1部を12時間にわたって連続的に添加しながら65℃で重合を継続した。連続添加終了後も、さらに70℃で3時間反応させ(2段目の重合)、共重合体からなる粒子を含む密実のポリマー粒子(BP−F)の前駆体を得た。最終的な重合転化率は99.5%であった。得られた密実のポリマー粒子前駆体を、水酸化ナトリウムを用いてpH7.5(常温)に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、密実のポリマー粒子(BP−F)を得た。なお、後述する密実のポリマー粒子(BP−G)は上述した密実のポリマー粒子(BP−F)と同様の方法によって調整した。ここで、得られた密実のポリマーの粒子径の調整は、主として乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の量を調整することにより行った。
(実施例12)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径が3.50μmであるスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスからなる密実のポリマー粒子(以下、[ポリマー粒子(BP−G)]ということがある)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(実施例13)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径2.00μmで、変動係数が30.0のポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(以下、「ポリマー粒子(PST−L)」ということがある)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
なお、このポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(PST−L)は、以下のようにして製造した。まず、容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水200部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名「F65」)0.5部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム1.0部、重亜硫酸ナトリウム0.5部、および1段目成分として、スチレン23部、メタクリル酸メチル1.25部、およびt−ドデシルメルカプタン0.7部を一括して仕込み、45℃で30分反応させ、さらに乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を添加し、45℃で3.5時間反応させ、重合転化率が70%以上であることを確認した(1段目の重合)。
その後、2段目成分として、スチレン69部、メタクリル酸メチル3.75部、イタコン酸1部、アクリル酸2部を8時間にわたって連続的に添加しながら60℃で重合を継続した。連続添加終了後も、さらに70℃で3時間反応させ(2段目の重合)、共重合体からなる粒子を含む密実のポリマー粒子(PST−L)の前駆体を得た。最終的な重合転化率は99%であった。得られた密実のポリマー粒子前駆体を、水酸化ナトリウムを用いてpH7.5(常温)に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、密実のポリマー粒子(PST−L)を得た。
(比較例1)
ポリマー粒子(PST−A)を用いないこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(比較例2)
ポリマー粒子(PST−A)を用いず、更に、(A)顔料として、顔料a25部と顔料b75部とを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(比較例3)
ポリマー粒子(PST−A)を用いず、更に、(A)顔料として、顔料a100部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(比較例4)
ポリマー粒子(PST−A)の使用量を、(A)顔料100部に対して0.1部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(比較例5)
ポリマー粒子(PST−A)の使用量を、(A)顔料100部に対して40.0部とした以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(比較例6)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径0.45μmのポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(PST−H)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(比較例7)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径0.23μmのポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(PST−I)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(比較例8)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径40.0μmのポリスチレンからなる密実のポリマー粒子(PST−J)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
(比較例9)
ポリマー粒子(PST−A)の変わりに、平均粒子径0.52μmの中空のポリマー粒子(以下、「ポリマー粒子(HP−K)」ということがある)を、(A)顔料100部に対して4.0部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
上記した中空のポリマー粒子(HP−K)は、以下のようにして製造した。容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水240部を投入し、これに、中空粒子(HP−E)を調製する際に用いたポリマー粒子(i)の水性分散体を固形分で18部、スチレン20部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.4部を投入した。その一方で、スチレン69.5部、乳化剤(花王社製、商品名「F65」)0.1部及び水40部を混合攪拌してモノマーの水性分散体を調製した。
次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持して30分間でスチレンの重合を行い、ポリマー粒子(i)にスチレンが複合したポリマー粒子を得た、続けてこの反応容器内の液を攪拌しながら80℃に保持して上記モノマーの水性分散体を反応容器に連続的に4時間かけて投入した。この際、モノマーの水性分散体を投入開始後2時間経過時に、アクリル酸0.5部を反応容器に一括投入してスチレンと共重合させた。更に上記モノマーの水性分散体をすべて反応容器に投入した直後に、スチレン10部を一括投入し、ポリマー粒子(i)の表層にスチレン、アクリル酸を重合・積層させたコアシェル状のポリマー粒子を得た。すべてのモノマーの投入終およそ15分後に攪拌しながら25%水酸化アンモニウムを1.5部一括投入して、温度を90℃に上げ、2時間攪拌熟成し中空のポリマー粒子(HP−K)を得た。
(比較例10)
(A)顔料として、顔料b20部と、平均粒子径が3.9μmである重質炭酸カルシウム(備北粉化工業社製、商品名「ソフトン1200」:以下、[顔料d]という)80部とを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙用組成物を得、得られた塗工紙用組成物を用いて、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
実施例2〜13及び比較例1〜10において用いた(A)顔料の組成とその平均粒子径、及び(B)ポリマー粒子の種類とその物性値を表1に示す。また、実施例2〜13及び比較例1〜10にて得られたそれぞれの塗工紙を用いて、上記したインキ汚れ、白紙光沢、白色度、及び印刷適性の評価を行った結果を表2に示す。
(考察)
本発明の塗工紙用組成物を用いて得られた実施例1〜13の塗工紙は、インキ汚れについては、使用上は問題のない程度であり、特に、実施例1〜12の塗工紙は、インキ汚れを良好に防止することができた。また、実施例1〜15の塗工紙は、白紙光沢、白色度、及び印刷適性においても良好な結果を得ることができた。
一方、(B)ポリマー粒子を用いなかった比較例1及び3、(B)ポリマー粒子の添加量が0.1部の比較例4、(B)ポリマー粒子の平均粒子径が2μm以下であった比較例6、7及び9については、インキ汚れの評価において、インキの転移が多く問題があった。
また、比較例2においては、重質炭酸カルシウム(顔料a)の配合割合を25部と少なくしているため、(B)ポリマー粒子を用いずともインキ汚れを防止することができたが、白紙光沢が高く、白色度が低いため、艶消し効果が低く不適切なものであった。
また、(B)ポリマー粒子を多く添加した(添加量:40.0部)比較例5と、平均粒子径が大きな(B)ポリマー粒子を用いた(平均粒子径:40.00μm)比較例8は、インキ汚れを防止することができたが、着肉ムラ、インク転移不良等が多く、印刷適性が悪かった。
本発明の塗工紙用組成物及び塗工紙は、白紙光沢が低く且つ白色度に優れ、インキ汚れが発生し難いため、例えば、ポスター、カレンダー、広告、雑誌の表紙等の書籍等に好適に用いることができる。