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JP2008093228A - 中空糸膜型血液浄化装置 - Google Patents

中空糸膜型血液浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】疎水性高分子と親水性高分子からなる中空糸膜を充填したドライ或いはセミドライタイプと呼ばれる中空糸型血液浄化装置であって、電子線滅菌されているにも関わらず親水性高分子の溶出が少なく、血液適合性の低下をも抑制できる中空糸膜型血液浄化装置を提供することを課題とする。
【解決手段】中空糸膜を特定量の湿潤保護剤で保護しつつ、膜周辺の酸素濃度を制御することにより、ドライ或いはセミドライタイプの中空糸膜型血液浄化装置において、中空糸膜からの該親水性高分子の溶出量の増加、それに伴う血液適合性の低下を著しく抑制する。
【選択図】なし

Description

本発明は、体外循環式の血液浄化療法に用いられる中空糸膜型血液浄化装置に関するものである。さらに詳しくは、電子線照射により滅菌されたドライ或いはセミドライと呼ばれる血液浄化装置であって、軽量で取扱性に優れ、かつ親水性高分子の溶出が少なく、かつ血液適合性に優れた中空糸膜型血液浄化装置に関するものである。
従来、中空糸膜型血液浄化装置は、血液透析、血液濾過、血漿分離、血漿成分分画等の体外循環式の血液浄化療法に応じて各種のものが開発され、安全性や性能についても向上したものが実用化されてきている。
用いられる中空糸膜としては、主としてセルロース系高分子のものと合成高分子のものとに大別されるが、近年では、後者のうちポリスルホン系高分子が膜素材として広範に利用されている。ポリスルホン系高分子は、生体適合性に優れている点や、放射線、加熱、および酸、アルカリ等の化学薬品に対し優れた耐性を有する点が特徴であるが、疎水性高分子であるため、そのままでは血液との親和性を欠く。そこで、親水化剤として、血液に対する刺激が少ないポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性高分子を添加して用いられている。
中空糸膜型血液浄化装置は、中空糸膜の中空内部や容器との隙間が水性媒体で満たされたウェットタイプと、水性媒体で満たされていない非ウェットタイプとに大別される。後者は、さらに膜の含水率が数パーセント程度に低いドライタイプと、膜が水分や保湿剤等によって適度に湿潤化されているセミドライタイプ(ハーフウエットタイプと称されることもある)とに区分されることがある。ドライタイプやセミドライタイプはウェットタイプに比べて製品重量が軽く、しかも低温でも凍結し難いという特徴を有しており、運搬や保管という流通面で特に優れた製品形態といえる。
これらの中空糸膜型血液浄化装置は、使用前には密封包装状態のまま完全に滅菌処理されている必要がある。
実用化されている中空糸膜型血液浄化装置の滅菌方法は、エチレンオキサイドガス等によるガス滅菌法、高圧蒸気によるオートクレーブ法およびγ線照射法の3つが主流であったが、近年になり電子線照射法も実用化されるようになってきた。このうち、エチレンオキサイドガス法ではエチレンオキサイドガスの残留が問題となり、毒性を及ぼさないように十分な脱ガスを行う必要があった。さらに、加圧と減圧を繰り返し行うので処理時間が長く、材質によっては性能変化を起こす場合があった。また、オートクレーブ法及びγ線照射法では中空糸膜型血液浄化装置を構成する材料の性質に左右される問題があった。つまり、前者のオートクレーブ法では中空糸膜の湿潤状態での耐熱性が必要となり、材質によっては、滅菌時にその性能が著しく低下して使用できない場合があった。後者のγ線照射法では残留ガスや耐熱性の問題が無く、しかも照射線の透過力が高いので、血液浄化装置の滅菌法としては優れている。しかし、照射エネルギーにより材料の一部が化学変化を起こすことがよく知られている。例えば、疎水性高分子と親水性高分子からなる中空糸膜においては、主に親水性高分子が変性し、劣化して中空糸膜から溶出したり、架橋により構造変化を起こす結果、膜の透過性能や強度物性あるいは血液適合性が低下してしまうことがあった。
一方、電子線照射法ではエチレンオキサイドガス法のような残留毒性の心配が無く、オートクレーブ法、エチレンオキサイドガス法、γ線照射法のように滅菌処理時間が長くなく、短時間の滅菌処理が可能である。また、電源を切れば瞬時に照射が停止され、6MeVより低いエネルギーの加速器を使用する場合は、γ線の照射施設のような放射性物質の保管に関する配慮は不要で環境上の安全性が高く、コスト面からも安価である。さらに、γ線照射との大きな違いは、滅菌時に被照射物の温度上昇や材料劣化が小さいことである。このため、材料選択の範囲が広いという利点があり、今後さらなる実用化が期待されている。
しかし、電子線はγ線と比較して物体への透過力が小さく、その透過距離は照射される物質の密度に依存すると言われている。そのため、従来は手術用手袋や手術着等の比較的形状が均一で、単一部材からなるものにしか実用化されていなかった。例えば、肉厚で高密度の部分を含む被照射物として、中空糸膜型血液浄化装置に電子線を照射すると透過力が不足する部分が生じ、一製品中の各部位間の線量分布(最大線量と最小線量の比)が大きくなる。その結果、材料劣化や溶出物等の問題が顕在化することがあった。具体的には、照射基準を最大線量に合わせると最小線量位置での滅菌が不十分になり、反対に、照射基準を最小線量部位に合わせて確実に滅菌しようとすると最大線量位置で過大照射となり、材料の劣化や着色が生じてしまう。材料劣化が親水性高分子で起こると、膜の親水性が損なわれる結果、血液適合性の低下に繋がってしまう。このように、被照射物によっては、電子線を均一に照射することは容易ではなく、照射ムラに基づく問題を伴っていた。
そこで、複雑な形状の物体に対して電子線を均一に照射するために、滅菌工程からのアプローチと材料化学的なアプローチの主として2通りの観点から検討がなされてきた。
滅菌工程からのアプローチとしては、例えば特許文献1には、中空糸膜型の透析装置や人工肺を電子線滅菌する際に、高い加速電圧で照射するとともにシールド材を用いて線量分布を小さくする技術が、特許文献2には、全体照射工程と部分遮蔽工程からなる照射方法が開示されている。しかし、前者では、個々の製品毎に過照射部分にシールド材を貼付ける必要があるため、特定の吸収線量を有するシールドの形成や、製品への装着が面倒なものとなって作業効率が低かった。後者はその問題点の改善を試みたものであったが、依然として作業効率の低いものであった。また、特許文献3には、中空糸膜型のモジュールに電子線照射する際に、特定の密度と厚みの積を有する場合は3方向以上の方向から照射する技術が開示されているが、この場合も被照射物を回転させながら何度にも分けて電子線を照射する必要があり、大量生産品の滅菌方法としては採用し難いものであった。
一方、材料化学的なアプローチとしては、ラジカルトラップ剤や酸化防止剤のような添加剤を樹脂材料に混錬したり、樹脂の近傍に共存させる技術が数多く知られており、電子線をも含めた放射線照射時の劣化抑制方法として広く検討されてきた。これらの方法に依れば、照射設備を大幅に改修する必要がなく、照射のタクトタイムを延長しなくても効率よく生産できる等の利点がある。しかしながら、添加剤には、安全性の面から体外循環式の血液浄化装置には採用できないものが多く、中空糸膜型血液浄化装置に限定すると、専らγ線滅菌時の材料劣化に対する改善策として具体化されたものが殆どであった(例えば、特許文献4、5など)。
なお、本出願人は、特定のラジカルトラップ材料の付着率と水分率で保護された中空糸膜が、放射線滅菌されても溶出物の低減と血液適合性の維持に効果があることを見出し、先に特許出願した(特許文献8)。しかし、具体的にはγ線照射における詳細な知見に限定されており、電子線照射についても同様に、溶出物の低減と血液適合性の維持を両立させるには、さらに詳細な検討の余地が残っていた。
このように、中空糸膜型の血液浄化装置を電子線滅菌する際に特有な問題を、材料化学的なアプローチにより改善しようとする試みは殆ど知られていなかった。
ところで、上記のアプローチの他にも関連技術が幾つか知られている。例えば、特許文献6には、電子線照射されたポリスルホン系中空糸膜が血液適合性に優れることが開示されており、特許文献7には、中空糸膜を組み込んだモジュールに電子線を照射すると、膜中に残存する有機溶媒が分解されることが開示されている。しかし、前者の技術は膜内表面の凹凸構造と血液適合性との因果関係だけに着目したものであり、電子線照射による膜材料の劣化という視点を欠いている。また、後者の技術は溶出物という側面を捉えているものの、低分子量の残留溶剤の低減だけに着目した技術であり、樹脂材料である膜材料の劣化については全く触れられていなかった。
以上のように、従来、添加剤等の材料化学的手法に加え、電子線に特有の照射不均一性の改善という二本立てで材料劣化防止の検討が進められてきた。しかし、比較的簡便な材料化学的なアプローチにおいては、劣化を抑制しつつ血液適合性も満足するという観点で未だ技術的に不十分であり、さらなる改善が必要であった。
特開平8−275991号公報 特開2000−334028号公報 特開2000−135274号 特許第3076080号公報 特許第3432240号公報 特開2005−224604号公報 特開2000−218140号公報 特願2005−232154号
上記の問題点に鑑みて本発明の目的は、疎水性高分子と親水性高分子からなる中空糸膜を充填したセミドライタイプと呼ばれる軽量で取扱性に優れた中空糸型血液浄化装置であって、電子線滅菌されているにも関わらず親水性高分子の溶出が少なく、血液適合性の低下をも抑制できる中空糸膜型血液浄化装置を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、中空糸膜が電子線滅菌により発生するラジカルの攻撃から保護されることが極めて重要であると考えた。そのためには、中空糸膜を特定量の湿潤保護剤で保護しつつ、膜周辺の酸素濃度を制御することの必要性を見出した。これにより、ドライ或いはセミドライタイプの中空糸膜型血液浄化装置において、中空糸膜からの該親水性高分子の溶出量の増加、それに伴う血液適合性の低下を著しく抑制することに成功し、以って本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を提供するものである。
(1)疎水性高分子と親水性高分子からなる中空糸膜束が容器に充填され、該束の端部がポッティング層よって容器に保持されて中空糸膜内側室と中空糸膜外側室を形成し、中空糸膜内側室に通じる流体出入口および中空糸膜外側室に通じる流体出入口を持つ中空糸膜型血液浄化装置であって、該中空糸膜は、その乾燥重量に対して60%以上400%以下の湿潤保護剤によって覆われており、且つ、前記血液浄化装置内部の前記中空糸膜束及び前記湿潤保護剤が占有する以外の空間部分は0.01%以上の酸素濃度の気体で占められており、電子線で滅菌された中空糸膜型血液浄化装置。
(2)湿潤保護剤が水と多価アルコールの混合物である上記(1)に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
(3)水に対する多価アルコールの重量割合が0.2倍以上7.5倍以下である上記(2)に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
(4)湿潤保護剤を構成する水分の中空糸膜への付着率が中空糸膜の乾燥重量に対して40%以上100%未満であり、且つ多価アルコールの中空糸膜への付着率が20%以上300%以下である上記(2)又は(3)に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
(5)血液浄化装置内部の前記中空糸膜束及び前記湿潤保護剤が占有する以外の空間部分を占める気体が実質的に大気と同じ酸素濃度である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化装置。
(6)ポッティング層の厚みが7.0mm以上12.5mm以下であり、中空糸膜部の密度が0.05g/cm以上0.45g/cm以下である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化装置。
(7)ポッティング層を中空糸型人工腎臓承認基準の溶出物試験方法に従って試験した際に、湿潤保護剤とポッティング剤との反応物が溶出物として実質的に認められない上記(1)〜(6)に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
(8)中空糸膜への湿潤保護剤の付着が、ポッティング層の硬化後に中空糸内部への湿潤保護剤溶液を通液することにより行われる上記(7)に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
本発明の中空糸膜型血液浄化装置は、セミドライと呼ばれる軽量で取扱性に優れた中空糸膜型血液浄化装置であって、電子線滅菌されているにも関わらず滅菌による親水性高分子の溶出が少なく、かつ血液適合性に優れている。また、電子線滅菌の際にシールド材を用いる必要もなく、あらゆる方向から何度も照射する必要もないため、比較的簡便な工程で生産されるという利点もある。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の中空糸膜型血液浄化装置は、中空糸膜束が容器に充填され、束端と容器との間をポッティング剤によって保持されて中空糸膜内側室と中空糸膜外側室が形成され、中空糸膜内側室に通じる流体出入口および中空糸膜外側室に通じる流体出入口を有する。例示すると、市販されている中空糸膜型の血液透析器、血液濾過器、血液濾過透析器、血漿分離器、血漿成分分画器等がこれに相当する。このような構造により、体外循環式の血液浄化療法に好適に用いられる。
ここで言う中空糸膜は、その形状、寸法、分画特性は特に限定されるものでは無く、血液透析、血液濾過、血漿分離、蛋白分画等その目的に照らして適切なものを選択すれば良い。但し、材質については、製膜時に孔径制御がしやすく且つ血液適合性や化学的安定性に優れる理由から、疎水性高分子と親水性高分子からなるポリマーブレンド膜が最適である。
疎水性高分子としては、ポリスルホン系、ポリアクリロニトリル系、ポリメチルメタクリレート系、エチレンビニルアルコール共重合体を含むポリビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系等が挙げられる。上記の中でも、ポリスルホン系高分子は、芳香族化合物であることから放射線耐性に特に優れており、また、熱や化学的処理にも非常に強く、安全性にも優れている。従って、様々な製膜条件を採択できるとともに放射線滅菌が可能となり、血液浄化装置に用いる膜材質として特に好ましい。なお、「〜系」とは、ホモポリマーのみではなく、他のモノマーとの共重合体や化学修飾された類縁体も含むという意味である。
ここで言うポリスルホン系高分子(以下、PSfと称することがある)とは、スルホン結合を有する高分子化合物の総称であり、特に規定するものではないが、例えば、繰返し単位が下記の式(1)、式(2)、式(3)、式(4)および式(5)で示されるポリスルホン系ポリマーが挙げられる。これらの芳香環の一部に置換基が導入された修飾ポリマーであっても構わない。工業的に入手し易い点から、繰返し単位が式(1)、式(2)および式(3)で示される芳香族ポリスルホン系ポリマーが好ましく、中でも(1)式で示す化学構造を持つポリスルホンが特に好ましい。このビスフェノール型ポリスルホン樹脂は、例えばソルベイ・アドバンスド・ポリマーズより「ユーデル(登録商標)」の商品名で市販されており、重合度等によっていくつかの種類が存在するが特に限定するものではない。
Figure 2008093228
本発明において、親水性高分子は中空糸膜中に存在し、膜に親水性を施すために用いられている。親水性高分子として、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと称することがある)や、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、中でもPVPが親水化の効果や安全性の面より好ましい。PVPについても分子量等によっていくつかの種類が存在し、例えば、市販品としてPVPのK−15、30、90(いずれもアイ・エス・ピー(ISP)社製)等を挙げることができる。本発明で使用するPVPの分子量(粘度平均分子量)は1万〜200万、好ましくは5万〜150万である。親水性高分子の膜中の含有率はポリマー全量の3〜20%、好ましくは3〜10%である。含有率が3%以下の場合には親水化剤としての効果が薄れ、得られる中空糸膜が血液凝固を起こし易くなり、血液適合性が低下し易くなる。また含有率が20%を越えた場合には製膜原液の粘度が上がりすぎるため生産上好ましくない。
疎水性高分子および親水性高分子からなる中空糸膜の製造方法は、公知の乾湿式製膜技術を利用できる。すなわち、まず、疎水性高分子と親水性高分子を両方に共通の溶媒に溶解し、均一な紡糸原液を調製する。このような共通溶媒としては、疎水性高分子がポリスルホン系高分子、親水性高分子がポリビニルピロリドンの場合には、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMACと称する)、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒、あるいは上記溶媒2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。なお、孔径制御のため、紡糸原液には水などの添加物を加えても良い。
中空糸膜を製膜するに際しては、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、該紡糸口金のオリフィスから紡糸原液を、チューブから該紡糸原液を凝固させる為の中空内液とを同時に空中に吐出させる。中空内液は水、または水を主体とした凝固液が使用でき、目的とする中空糸膜の透過性能に応じてその組成等は決めていけば良く一概には決められないが、一般的には紡糸原液に使った溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。例えば、0〜65重量%のDMAC水溶液などが用いられる。
紡糸口金から中空内液とともに吐出された紡糸原液は、空走部を走行させ、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入、浸漬して凝固を完了させ、洗浄工程等を経て、湿潤状態の中空糸膜巻き取り機で巻き取り、中空糸膜の束を得、その後乾燥する。あるいは、洗浄工程を経て、続いて乾燥機内にて乾燥を行い、中空糸束を得ても良く、製造方法を特定するものではない。
中空糸膜の形状は通常円筒状の物が用いられるが、円筒の外側面にフィンの付いた形状のものも使用することができる。寸法として、膜厚が1〜100μm、好ましくは5〜50μm、内径が50〜500μm、好ましくは100〜300μm程度の中空糸膜が使用できる。分画特性についてはその用途によるが、透析或いは濾過用であれば、低分子量物質からアルブミンより小さい分子量の物質の透過性が高い中空糸膜、蛋白分画用であれば、低分子蛋白が透過し、高分子蛋白や免疫複合体の様な物質が透過し難い中空糸膜、血漿分離用であれば、血漿成分は透過するが血球成分は透過しない中空糸膜などが好適に用いられる。
中空糸膜型血液浄化装置の製造方法に関しても公知の方法を利用すればよい。例えば、中空糸膜束を流体の出入口を持つ筒状の容器へ挿入し、両束端にポリウレタン等のポッティング剤を注入してポッティング層を形成して両端をシールした後、硬化後の余分なポッティング剤を切断除去し中空糸端面を開口させ、流体の出入口を持つヘッダーを取り付けることにより製造できる。この方法により中空糸膜束が容器に充填され、中空糸膜内側室と中空糸膜外側室を形成し、中空糸膜内側室に通じる流体出入口および中空糸膜外側室に通じる流体出入口を持つ中空糸膜型血液浄化装置が製造できる。
本発明において、湿潤保護剤とは、中空糸膜の全体に表面を覆うように付着した液状成分で、電子線滅菌時に中空糸膜を構成している親水性高分子を劣化から保護する機能を持つものをいう。
湿潤保護剤による親水性高分子の劣化保護機能とは、具体的には電子線滅菌(電子線照射ともいう)により膜に発生するラジカルを捕捉する、または該ラジカルと反応してラジカルの反応活性を抑制あるいは喪失させることをいう。
そのような機能を有する化合物として、代表的には、アスコルビン酸、トコフェロールおよびポリフェノール類などの酸化防止剤、より具体的にはビタミンA(その誘導体ならびにアスコルビン酸ナトリウムおよびパルミトールアスコルビン酸)、ビタミンCおよびビタミンE(およびその誘導体ならびに酢酸トコフェロールおよびα−トコトリエノールなどの塩)などのビタミン類、グリセリン、マンニトール、グリコール類などの多価アルコール類、グルコース、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、トレハロースなどの糖類、およびオレイン酸、フラン脂肪酸、チオクト酸、リノール酸、パルミチン酸ならびにそれらの塩および誘導体を含めた脂肪酸類などの使用が望ましい。
本発明の湿潤保護剤は、上記の化合物が紛末状の場合は溶媒に溶解または分散させた状態で、油状または液状の場合はそのままか、あるいは溶媒に溶解または分散させた状態で用いられる。本発明では、溶解または分散させた状態も含めて湿潤保護剤と総称する。溶媒としては、生理食塩水、透析液、輸液および緩衝液等の生理的溶液、あるいは水、アルコール、アルコール水溶液が用いられる。
湿潤保護剤は、中空糸膜において、親水性高分子が存在する表面を全て覆うように付着しており、具体的には、中空糸膜の内表面と外表面ならびに膜厚部の細孔表面を覆っている。湿潤保護剤は、中空糸膜の細孔の内部を満たしてもよいが、中空内部については、重量の増加や液漏れの原因となるため、これを満たさない方がよい。
湿潤保護剤の中空糸膜への付着状態は特に限定されず、例えば、脂溶性物質の場合は膜表面への疎水的結合が、水溶性物質の場合は膜表面への単なる保持等が考えられる。しかし、湿潤保護剤は病院での使用時にはもはや必要とされないため、使用前には中空糸膜から容易に洗浄され、除去されるように付着していることが好ましい。そのためには、湿潤保護剤の大部分が共有結合やイオン結合等によって膜素材に強固に結合した状態や、膜表面で架橋して不溶化した状態ではなく、単に付着しただけの状態が好ましい。
なお、ここでいう洗浄および除去とは、使用前に行う一般的なプライミング操作、例えば、数百ミリリットル〜数リットルの生理食塩水や透析液等の生理的水溶液を用いた洗浄操作により、中空糸膜を覆っている保護剤の少なくとも95%が洗浄され、疎水性高分子と親水性高分子からなる膜表面を再現させることをいう。
以上のことから、湿潤保護剤としては、親水性高分子の劣化保護機能を有しつつ適度な粘性を帯びて膜表面に保持されやすく、疎水性高分子や親水性高分子とは強固な化学結合を形成せず、しかも生理的水溶液により洗浄されやすいという要件を同時に満たすものがより好ましい。具体的には、上記の化合物のうち、グリセリン、マンニトール、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール)、ポリグリコール類(例えば、ポリエチレングリコール)などの多価アルコール類が一分子あたりのラジカル捕捉能が高いばかりではなく、水や生理的溶液への溶解性も高いので、水溶液として膜表面を斑なく覆いやすく、しかも洗浄もされやすい。従ってこれらの水溶液が好ましく、中でも、血液浄化用中空糸膜の孔径保持剤や表面改質剤として実績がある点で、グリセリンまたはポリエチレングリコールの水溶液がより好ましく、グリセリン水溶液が最も好ましい。
本発明において、中空糸膜型血液浄化装置内の中空糸膜は、その乾燥重量に対し60%以上400%以下の湿潤保護剤で覆われていることが必要である。付着率が400%より多くなると、中空糸膜型血液浄化装置の重量が重くなり、セミドライタイプとしての利点が損なわれ、取扱性に欠ける。また、一般的に保管され流通される室温付近(例えば、20〜40℃程度)では容器内壁や滅菌袋内に液滴が付着する傾向が高まり、製品としての外観が悪くなる。
一方、製法上の問題もある。湿潤保護剤の中空糸膜への付着率が400%より多いと、束の状態で付着率を調製して組み立てる場合、中空糸膜の外表面がベタついて膜同士が固着しやすくなるので、ポッティング剤の侵入が妨げられてリークの原因となる。また、組み立て後に付着率を調製する場合、固着が生じ透析効率に支障をきたすこともあり得る。さらには、膜の部分が高密度化して電子線の透過力が弱まるので、滅菌に必要な最低線量を確保すると一製品中の線量分布が大きくなり、材料劣化が進んで溶出物が増加する。
また、製品状態での保管や移送を想定して、中空糸膜型血液浄化装置がカートン内に横置きされた状態での耐落下衝撃性を考慮すると、一般的に、ドライタイプは全体に軽いので耐衝撃性に優れている。しかし、ウェットタイプでは、落下衝撃により中空糸膜の周囲の水の移動が起こり、膜の端部に応力集中が生じて膜破損が起こるリスクがある。一方、セミドライタイプのように中空糸膜が適度に重量を帯びると、水平落下時の応力集中はドライタイプよりも起こりやすくなる。その観点からも、湿潤保護剤の付着率の上限を400%に留めることが重要である。
従って、湿潤保護剤の付着率は400%以下であることが必要であり、より好ましくは350%以下、特に好ましくは300%以下である。一方、保護効果の点から、下限値としては60%以上の付着率が必要である。より好ましくは80%以上であり、特に好ましくは100%以上である。
本発明において、前記の湿潤保護剤の付着率は、中空糸膜の乾燥重量に対する湿潤保護剤の総重量として算出される。測定方法は特に限定されないが、湿潤保護剤が脂溶性の場合は、その物質を溶解するが膜素材は溶解しない溶媒で抽出し、液体クロマトグラフィーや発色試薬等を用いて定量する。また、水溶性物質の場合は、温水や熱水により抽出し、同様に定量する。さらに、湿潤保護剤が水溶液の場合は、後述する水分率の測定手順により別途水分率も算出し、溶質部分の付着率と水分率との和として求めることもできる。
本発明において、湿潤保護剤が多価アルコール水溶液である場合、水に対する多価アルコールの割合は0.2倍以上7.5倍以下であることが好ましい。水に対する多価アルコールの割合が7.5倍より多くなると、膜表面や膜内部に付着している多価アルコールの局所的な濃度が高まって付着部位が粘稠になる結果、被覆状態が不均一になりやすいので、電子線照射からの保護効果が却って不十分になる。さらに、多価アルコール水溶液の凝固点が上昇し、膜の細孔中に含まれる水溶液が凍結しやすくなるので、中空糸膜の構造変化を伴うダメージを起こしやすくなる。
従って、水に対する多価アルコールの割合は7.5倍以下であることが好ましい。特に多価アルコールがグリセリンの場合、より好ましくは、グリセリン水溶液の凝固点が−10℃以下になる5.7倍以下であり、特に好ましくは、グリセリン水溶液の凝固点が−30℃以下になる3倍以下である。
一方、保護効果の点から、下限値としては0.2倍であることが好ましい。特に多価アルコールがグリセリンの場合、より好ましくは、グリセリン水溶液の凝固点が−10℃以下となる0.5倍以上であり、特に好ましくは、グリセリン水溶液の凝固点が−30℃以下となる1.2倍以上である。水に対する多価アルコールの割合は下記式(1)により求められる。
〔式1〕
水に対する多価アルコールの割合=グリセリン重量(g)/水重量(g) (1)
本発明において、湿潤保護剤が多価アルコール水溶液である場合、中空糸膜型血液浄化装置内の中空糸膜には、その乾燥重量に対し20%以上300%以下の多価アルコールが付着していることが好ましい。多価アルコールが水溶液として付着している場合は、その水成分を除外した多価アルコールの正味の重量の、中空糸膜の乾燥重量に対する比率を多価アルコールの付着率とする。
ここで中空糸膜の乾燥重量に対する多価アルコールの付着率が300%より多くなると、中空糸膜型血液浄化装置の重量が重くなり、セミドライタイプとしての利点が損なわれ、取扱性に欠ける。一般的に保管され流通される室温付近(例えば、20〜40℃程度)では容器内壁や滅菌袋内に液滴が付着する傾向が高まり、製品としての外観が悪くなる。また、膜表面や膜内部に付着している多価アルコールの局所的な濃度が高まって、付着部位が粘稠になる結果、被覆状態が不均一になりやすいので、電子線照射からの保護効果が却って不十分になる。一方、製法上の問題もある。束の状態で付着率を調製してから組み立てると、中空糸膜の外表面の粘着性が高くなり膜同士が固着しやすくなるので、ポッティング剤の侵入が妨げられてリークの原因となり、組み立て後に付着率を調製すると、固着が生じた場合に透析効率に支障をきたすこともあり得る。従って、多価アルコールの付着率は300%以下であることが好ましく、より好ましくは250%以下、特に好ましくは200%以下である。
一方、保護効果の点から、下限値としては20%以上の付着率が好ましい。本発明者らの知見によれば、γ線照射を伴う場合は80%以上の多価アルコール付着率が必要であったが、電子線は中空糸膜の親水性高分子に与えるダメージが小さいため、本発明においては20%まで下げることができた。多価アルコールの付着率をこのように低くすると、中空糸膜束全体の密度が低下するため、電子線の線量分布をより小さくできる。また、使用前のプライミング操作において、多価アルコールをより手早く確実に除去できる。膜の劣化保護効果の点から、より好ましくは50%以上であり、特に好ましくは80%以上である。
本発明においては、多価アルコールが前記の付着率の範囲にあると同時に、中空糸膜の乾燥重量に対する水分量の比率、すなわち水分率が40%以上100%未満であることが好ましい。水分率が40%以上であれば、血液との初期接触の段階で血小板の活性化を抑制できる。その詳細な理由は定かではないが、膜表面が適度に湿潤した状態になると親水性高分子が水和状態となり、極度に乾燥した膜に比較して使用開始初期での濡れ性が高まる結果、血液への親和性が良くなるからだと推定される。これは、セミドライタイプの血液浄化装置をプライミングして直ちに使う必要がある場合、非常に重要な特徴となる。しかし、水分率が100%以上になると、たとえ膜の周囲に水分がない状態であっても、膜の細孔中に含まれる水分が凍結することにより、中空糸膜の構造変化を伴うダメージを起こしやすくなる。また、水分率が膜の平衡水分率を超えると、過剰な水分が水滴となって容器内壁や滅菌袋内に付着し、製品としての外観が悪くなる。
一方、水分率が40%より少ないと、血液との初期接触の段階で血小板が活性化し、血液適合性が低下する傾向が高い。その詳細な理由は前記のとおり、膜表面が極度に乾燥した状態にあると親水性高分子の分子運動性が低下しているため、使用時に親水性高分子が水に濡れて水和状態に変化するのに時間がかかるからと推定される。特に、湿潤保持剤が多価アルコールの場合には、粘度が高くなることが原因で中空糸膜への付着率のバラツキが大きくなるため、親水性が極めて低い中空糸膜が現れやすくなり、結果として血液適合性の低下を引き起こす傾向となる。親水性高分子の粉末や濃厚液は瞬時に水に溶解せず、溶解に時間が掛かることを考慮すると、この推定根拠は妥当性が高いと思われる。水分率は60%以上であることがより好ましい。
本発明においては、湿潤保護剤の付着率、あるいは多価アルコールの付着率および水分率を上記の範囲に設定する方法は特に限定されない。例えば、中空糸膜に湿潤保護剤の高濃度溶液を接触させた後、通水して付着率や水分率を所定の範囲に調節する逐次的な方法が挙げられる。勿論、その逆の順番であってもよい。また、別の例としては、湿潤保護剤溶液を膜に接触させる際の接触時間や、該溶液の濃度、中空糸膜内への注入圧力、湿潤保護剤溶液を吹き飛ばすためのエアフラッシュ条件等を適正化して一段階で行う方法がある。後者の方がプロセス的な煩雑性は低く、また、高濃度の水溶液を使う必要がないので、より均一に被覆しやすいという利点があるため好ましい。特に、エアフラッシュは、湿潤保護剤の残余を吹き飛ばすのに効果的であるばかりか、例えば粘性のある湿潤保護剤を膜内表面に伸展させるので、より均一に被覆する効果もある。
これらの方法は、製膜工程の一部に取り入れて中空糸毎に行ったり、製膜後に集束した束の状態で行うこともできる。前者では製膜ラインに湿潤保護剤の浴を設けて中空糸膜を浸漬すればよく、後者では束を湿潤保護剤の浴に浸漬するか、束の端部から湿潤保護剤のシャワーをかければよい。あるいは、中空糸膜型血液浄化装置の半製品、すなわち組み立てる途中のヘッダーを取り付けていない状態で、ポッティング部の中空糸膜開口部からラジカルトラップ材料溶液を通液する方法、中空糸膜内部に通じる流体出入口を有するヘッダーを取り付けた後、ヘッダーの流体出入口から通液する方法、筒状容器の流体出入口(例えば、血液透析器なら透析液出入口)から通液する方法、の何れでもよい。これらの中では、高粘度の液であっても、血液との接触面である中空内部に確実に通液できることから、血液浄化装置の半製品の中空糸膜開口部又は血液浄化装置のヘッダーの流体出入口から通液する方法が好ましい。
このようにして湿潤保護剤を付着させると、例えば、湿潤保護剤として水酸基を有するグリセリン、ポッティング剤に芳香族化合物を使用した場合であっても、ポッティング剤が硬化しているためにグリセリンとポッティング剤との反応物が実質的に溶出しないですむ。よって、そのような副生成物が生ずることなく、溶出する可能性が低くなり、極めて清浄な中空糸膜型血液浄化装置が得られる。
なお、該反応物が溶出物として実質的に認められないとは、湿潤保護剤を付与している中空糸膜型血液浄化装置と、湿潤保護剤を付与していない中空糸膜型血液浄化装置のそれぞれ一本分のポッティング層を中空糸型人工腎臓承認基準の溶出物試験方法に従って試験した際に、湿潤保護剤を付与していないものの吸光度を対照として、波長240〜250nmにおける湿潤保護剤を付与したものの吸光度を測定した場合に、その値が0.005以下であることをいう。
本発明において、多価アルコールの付着率および水分率は以下の方法にて測定される。
中空糸膜型血液処理装置から5g分の中空糸膜を取り出し、乾燥前の中空糸膜の重量(A)を正確に測定する。その後、真空乾燥機にて水のみ除去し、乾燥後の中空糸膜の重量(B)を測定する。
その後、水のみを除去した上記乾燥後の中空糸膜試料を用い、該中空糸膜試料全量を細かく裁断した後、純水300mlを加え栓をして60分間、超音波洗浄装置にて洗浄することにより、付着している多価アルコールを抽出する。多価アルコールは、裁断された該中空糸膜試料を超音波洗浄装置にて抽出した後の抽出液を用いて液体クロマトグラフ法により定量を行い、標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、該抽出液中の多価アルコールの量(C)を求める。さらに、該抽出液から裁断された中空糸膜試料のみを取り出し、真空乾燥機にて乾燥後、乾燥した裁断された該中空糸膜試料の重量を測定し、これを多価アルコールおよび水分が付着されていない中空糸膜重量(D)とする。
以上の測定値に基づいて、下記の式(2)から算出される値が水分率であり、式(3)から算出される値が多価アルコールの付着率である。
なお、多価アルコール付着率は{(B−D)/D}×100でも求めることができる。
さらに、湿潤保護剤の付着率は、以下で求められる水分率と多価アルコール付着率の合計により求めることもでき、また、{(A−D)/D}×100によっても求めることができる。後述する実施例では、水分率は式(2)により、多価アルコール付着率は(3)により、湿潤保護剤の付着率は、これらを合計することにより求めた。
〔式〕
水分率(wt%)={(A−B)/D}×100 (2)
多価アルコール付着率(wt%)=(C/D)×100 (3)
本発明において、中空糸膜型血液浄化装置内の酸素濃度を制御することは、中空糸膜からの溶出物生成と血液適合性とのバランスをとる上で重要である。中空糸膜型血液浄化装置内の酸素濃度が低ければ低いほど、電子線照射による酸素ラジカル発生に起因する高分子主鎖切断、すなわち酸化分解を抑制することができ、結果として親水性高分子の溶出を抑制できる。その半面、親水性高分子の架橋が進んで膜表面が変性し、膜の血液適合性が大幅に低下することがある。また、中空糸膜の変性だけではなく、筒状容器やヘッダーが着色する問題もある。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、中空糸膜が、所定の湿潤保護剤で覆われているため、特に脱酸素することなく、電子線滅菌されていても上記の酸素に起因する問題が改善できる。すなわち、大気条件下であっても膜の酸化分解を抑制することができ、また、親水性高分子の架橋、筒状容器やヘッダーの着色も抑制することができる。
さらに、血液浄化装置内部の脱酸素をする場合には、膜の酸化分解をさらに抑制することができる。この場合、少なくとも血液浄化装置内部の中空糸膜束及び湿潤保護剤が占有する以外の空間部分は0.01%以上の酸素濃度の気体で占められていることが必要である。該気体中の酸素濃度が0.01%以上であれば、親水性高分子の劣化が抑制されて溶出物が低く抑えられると同時に、親水性高分子の過剰な架橋が抑えられるので優れた血液適合性が得られる。しかも、容器やヘッダーにおいては、たとえ着色しても一過性に留まり、保管中に間もなく退色する。反対に0.01%未満になると、容器やヘッダーの着色が殆ど退色せず、製品外観が悪くなるので好ましくない。
より好ましくは、気体中の酸素濃度を実質的に大気と同じ濃度とすることである。ここでいう実質的に大気と同じ酸素濃度とは、測定バラツキを考慮して20.0〜22.0%のことをいう。本発明では、中空糸膜が湿潤保護剤で覆われた状態で電子線滅菌されているため、従来一般的な脱酸素状態での放射線滅菌工程より酸素濃度が高くても、膜素材の劣化が十分に抑制される。従って、従来、放射線滅菌に併用されていた脱酸素剤や酸素不透過製包装材等の特殊な部材が不要となり、また、不活性ガスや窒素ガス等を空間部分に封入する工程も不要となるので非常に好ましい。
酸素濃度を大気濃度以下に調製する方法は中空糸膜型血液浄化装置を滅菌袋に包装する際に、この滅菌袋の内側内および中空糸膜型血液浄化装置内の酸素濃度を、N、He、CO、Ar、Heなどの不活性ガスにて空気を置換する方法、さらには酸素吸収剤を使用する方法により調整するが特にこれに限定するものではない。酸素吸収剤を使用する場合は、酸素の吸収時他のガス成分が発生したり、放射線照射により、酸素吸収剤の活性を失ったりしないものが好ましい。例えば、活性金属を主成分とし触媒によりその反応速度がコントロールされるタイプが好ましく、活性金属としては鉄、亜鉛、銅、錫等が挙げられる。特に、活性酸化鉄を主成分とするものが好ましい。このような酸素吸収剤として市販されている製品として、例えば、三菱ガス化学社製のエ−ジレス(登録商標)があるが特にこれに限定するものではない。
本発明によれば、これまで説明した湿潤保護剤の付着率と酸素濃度を特定範囲に制御して電子線滅菌することにより、親水性高分子の溶出が少なく、かつ血液適合性に優れる中空糸膜型血液浄化装置が得られる。しかし、電子線の透過力が比較的弱いことを考慮すると、以下のとおり血液浄化装置内の各部の密度を特定することも好ましい。
その一つは、血液浄化装置において最も高密度な塊部分であるポッティング層の厚みである。電子線滅菌を行う場合、血液浄化装置の中心軸に略水平に照射する場合、すなわち横置きの場合と、中心軸方向から照射する場合、すなわち縦置きの場合とがある。セミドライタイプの血液浄化装置を電子線滅菌する場合は、単位時間あたりの照射効率を高めるうえで縦置き照射が好ましいが、その場合、ポッティング層が電子線の透過を遮ってしまい、全体が均一に照射され難くなる。
そこで、本発明者らが検討したところ、本発明においては、ポッティング層の厚みが7.0mm以上12.5mm以下であることが好ましいことを知見した。ポッティング剤の厚みが12.5mmより厚いと電子線の透過力を弱め、一製品中の線量分布が大きくなることにより、材料劣化が進み、溶出物が増加する。より好ましくは12.3mm以下、特に好ましくは12.0mm以下である。反対に、ポッティング層の厚みが7.0mmより薄いと、血液が流れる方向に対し平行に電子線を照射する場合に、電子線の透過距離が増すという利点があるが、構造的に、ポッティング層が中空糸膜束を保持する力が弱くなったり、膜の収縮が起こった場合に血液の出入り口側のポッティング層が陥没しやすくなり、血液浄化性能が低下する傾向にある。従って、強度的な理由から下限値は7.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは7.5mm以上、特に好ましくは9.0mm以上である。
ポッティング層を形成するポッティング剤の材質は特に限定されるものでなく、血液透析器等に汎用されるポリウレタン樹脂の他に、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等も挙げられる。
他の一つは、血液浄化装置において最も重要な性能を規定する中空糸膜の密度である。電子線滅菌を行う場合、密度が上がると、電子線の透過を遮ってしまい、全体が均一に照射され難くなる。
そこで、本発明者らが検討したところ、本発明においては、中空糸膜部の密度が0.05g/cm以上0.45g/cm以下であることが好ましいと知見した。ここで言う中空糸膜部の密度とは、中空糸膜型血液浄化装置において中空糸膜とポッティング剤が含まれる部分のうち、中空糸膜のみが含まれる部分(この部分の長さを中空糸膜有効長という)の単位体積中の中空糸膜重量を言う。すなわち、下記式(4)により求めることができる。
〔式〕
中空糸膜部の密度=湿潤保護剤を含む中空糸膜重量/(容器内周側の断面積×中空糸膜有効長) (4)
中空糸膜部の密度が0.45g/cmより高いと電子線の透過力を弱め、一製品中の線量分布が大きくなることにより、材料の劣化が進み、溶出物が増加する。より好ましくは0.35g/cm以下、特に好ましくは0.31g/cm以下である。反対に、中空糸膜部の密度が0.05g/cmより低いと、中空糸膜内側室の体積と比較して中空糸膜外側室の体積の割合が大きくなることで、使用する透析液量が膨大になり、一施術にかかる透析液代が高価になる。従って、使用上の理由から下限値は0.05g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.08g/cm以上、特に好ましくは0.12g/cm以上である。
本発明で言う電子線滅菌とは、中空糸膜型血液浄化装置を滅菌袋に包装した後、照射滅菌することを言い、その線量は5〜50kGyが好ましく用いられる。より好ましくは15〜30kGyであり、特に好ましくは20kGy付近である。
[実施例]
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。先ず、実施例に用いた各種測定方法について説明する。
[酸素濃度の測定]
中空糸膜型血液浄化装置内の酸素濃度について、電子線滅菌処理前に、微量酸素分析計(飯島電子工業(株)製、RO−102型)を用い、中空糸膜型血液浄化装置が滅菌袋内に封入されている状態にて測定した。
測定時には、滅菌袋外の空気の流入を防ぐため、滅菌袋の外側に、粘着ゴム(飯島電子工業(株)製、粘着ゴムRG−1型)を貼り付け、粘着ゴムに測定装置の酸素吸入プローブを突き刺し、滅菌袋内の酸素濃度を測定した。中空糸膜は、気体透過性を有しているため、滅菌袋内の中空糸膜内外の酸素濃度は均一であると見なした。
[乳酸脱水素酵素(LDH)活性の測定]
中空糸膜の血液適合性は膜表面への血小板の付着性で評価し、膜に付着した血小板に含まれる乳酸脱水素酵素の活性を指標として定量化した。
血液浄化装置を分解して採取した血液浄化用中空糸膜を有効長15cm、膜内表面の面積が50mmとなるように両端をシリコンで加工し、ミニモジュールを作成した。このミニモジュールに対し、生理食塩水(大塚製薬株式会社、大塚生食注)10mlを中空糸内側に流し洗浄した(以下、「プライミング」と称す)。その後、ヘパリン加人血を7mlシリンジポンプにセットして、1.44ml/minの流速でミニモジュール内に通血した後、生理食塩水によりミニモジュールの内側を10ml、外側を10mlでそれぞれ洗浄した。洗浄したミニモジュールから長さ14cmの中空糸膜を全体の半数本採取後、これを細断してLDH測定用のスピッツ管に入れたものを測定用試料とした。
次に、燐酸緩衝溶液(PBS)(和光純薬工業(株)製)にTritonX−100(ナカライテスク社製)を溶解して得た0.5容量%のTritonX−100/PBS溶液をLDH測定用のスピッツ管に0.5ml添加後、超音波処理を60分行って中空糸膜に付着した細胞(主に血小板)を破壊し、細胞中のLDHを抽出した。この抽出液を0.05ml分取し、さらに0.6mMのピルビン酸ナトリウム溶液2.7ml、1.277mg/mlのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)溶液0.3mlを加えて反応させ、直ちにその0.5mlを分取して340nmの吸光度を測定した。残液をさらに37℃で1時間反応させた後に340nmの吸光度を測定し、反応直後からの吸光度の減少を測定した。同様に血液と反応させていない膜についても吸光度を測定し、下記式(5)により吸光度の差を算出した。本方法では、この減少幅が大きいほどLDH活性が高い、すなわち膜表面への血小板の付着量が多いことを意味する。

Δ340nm=(サンプルの反応直後吸光度−サンプルの60分後吸光度)−(ブランクの反応直後吸光度−ブランクの60分後吸光度) (5)
[PVP溶出量の測定]
中空糸膜型血液浄化装置を血液側及び透析液側共に1L以上の注射用水(日局)で十分に洗浄し、圧縮空気を吹き込んで十分に液を抜く。その後、血液処理装置の透析液側を封止した状態にて、70℃に加温された注射用水(日局)にて血液側に200ml/minにて1時間循環する。1時間循環後、回収した抽出液をポアサイズ0.45μmのフィルターにて濾過し、濾液中のPVP濃度をHPLC(島津製作所製:LC−10AD/SPD−10AV)にて測定する。
この時のHPLCの条件は以下のとおりである。
Column:Shoudex Asahipak GF−710HQ
Mobile phase:50mM NaCl水溶液
Flow rate:1.0ml/min
Temperature:30℃
Detection:220nm
Injection:50microlitter
[ポッティング層からの溶出物の測定]
ポッティング層からの溶出物の測定は、中空糸型人工腎臓承認基準の溶出物試験方法に従い以下のように行った。中空糸膜型血液浄化装置1本を解体し、両端部からポッティング層を採取した後、これらを約1cm角の大きさに裁断する。これに注射用水(日局)200mlを加え、40℃で2時間緩やかに振とうしながら加温する。冷却後、上澄液1.0mlをとり、水を加えて正確に50mlとする。この試験液をサンプルとし、湿潤保護剤を付与していない中空糸膜型血液浄化装置の試験液を対照として、層長10mmで波長240〜250nmにおける吸光度を測定する。
PSf(ソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ社製、P−1700)17重量部、PVP(アイ・エス・ピー社製、K−90)4重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)79重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。中空内液にはDMACの42%水溶液を用い、紡糸原液とともに、紡糸口金から吐出させた。その際、乾燥後の膜厚を45μm、内径を185μmに合わせるように紡糸原液および中空内液の吐出量を調整した。吐出した紡糸原液を50cm下方に設けた水よりなる60℃の凝固浴に浸漬し、30m/分の速度で凝固工程、水洗工程を通過させた後に乾燥機に導入し、160℃で乾燥後、クリンプを付与したポリスルホン系中空糸膜を巻き取った。
次に、巻き取った10000本の中空糸膜からなる束を、中空糸膜の有効膜面積が1.5mとなるように設計したプラスチック製筒状容器に装填し、その両端部をウレタン樹脂で接着固定し、両端面を切断して中空糸膜の開口端を形成した。開口端から濃度28.2%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に2.3秒間注入し、0.3MPaのエアーで10秒間フラッシュさせた後、両端部にヘッダーキャップを取り付けた。血液流出入側ノズルに栓を施した後、滅菌袋に脱酸素剤(三菱ガス化学社製 エージレス(登録商標))と共に入れ、酸素濃度を15.1%に調整後、電子線を20kGy照射して有効膜面積1.5mの中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリン付着率は31.1%、水分率は79.0%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。なお、中空糸膜の有効膜面積とは、中空糸膜型血液浄化装置において中空糸膜とポッティング剤が含まれる部分のうち、中空糸膜のみが含まれる部分の中空糸膜の面積をいう。
濃度60.5%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に5.2秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリン付着率は150.2%、水分率は98.0%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度63.0%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に5秒間注入したこと、および酸素濃度を10.2%に調整した以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリン付着率は151.8%、水分率は89.3%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度60.9%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に5.1秒間注入したこと、および酸素濃度を4.3%に調整した以外は実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリン付着率は148.3%、水分率は95.2%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度65.3%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に4.7秒間注入したこと、および酸素濃度を0.98%に調整した以外は実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリン付着率は146.2%、水分率は77.8%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度71.8%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に4.2秒間注入したこと、および酸素濃度を0.52%に調整した以外は実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリン付着率は146.1%、水分率は57.3%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度74.0%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に7.9秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリン付着率は280.1%、水分率は98.2%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度83.5%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に7.3秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリン付着率は290.9%、水分率は57.3%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度36.8%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に4.5秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるグリセリンの付着率は26.9%、水分率は46.1%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度69.9%のポリエチレングリコール(片山化学工業(株)製、一級、PEG600)水溶液を中空糸膜内に7.4秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるポリエチレングリコールの付着率は248.9%、水分率は97.0%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度64.2%のポリエチレングリコール(片山化学工業(株)製、一級、PEG600)水溶液を中空糸膜内に4.6秒間注入したこと、および酸素濃度を0.45%に調整した以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるポリエチレングリコールの付着率は141.9%、水分率は79.2%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度35.8%のテトラエチレングリコール(和光純薬工業(株)製、Tetraethylene glycol, 99%)水溶液を中空糸膜内に1.4秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるテトラエチレングリコールの付着率は25.1%、水分率は45.0%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
濃度61.8%のテトラエチレングリコール(和光純薬工業(株)製、Tetraethylene glycol, 99%)水溶液を中空糸膜内に5.1秒間注入したこと、および酸素濃度を1.03%に調整した以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置における湿潤保護剤の多価アルコールであるテトラエチレングリコールの付着率は152.2%、水分率は93.9%であった。諸性能を測定した結果を表1に示す。
Figure 2008093228
比較例1
濃度13.3%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に2.5秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるラジカルトラップ材料であるグリセリン付着率は16.1%、水分率は104.9%であった。諸性能を測定した結果を表2に示す。このとき、LDH活性が高くなっているが、この原因としては、中空糸膜に対し、ラジカルトラップ材料であるグリセリンは均一に被覆されていないことが推定される。
比較例2
濃度72.7%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に8.9秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるラジカルトラップ材料であるグリセリン付着率は309.2%、水分率は116.3%であった。諸性能を測定した結果を表2に示す。このとき、中空糸膜型血液処理装置内部および袋の内側にグリセリン水溶液が数箇所に付着していた。
比較例3
濃度27.6%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に1.1秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるラジカルトラップ材料であるグリセリン付着率は15.3%、水分率は40.1%であった。諸性能を測定した結果を表2に示す。このとき、LDH活性が高くなっているが、この原因としては、中空糸膜に対し、ラジカルトラップ材料であるグリセリンは均一に被覆されていないことが推定される。
比較例4
濃度80.3%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に1.7秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるラジカルトラップ材料であるグリセリン付着率は9.9%、水分率は70.4%であった。諸性能を測定した結果を表2に示す。このとき、LDH活性が高くなっているが、この原因としては、中空糸膜に対し、ラジカルトラップ材料であるグリセリンは均一に被覆されていないことが推定される。
比較例5
濃度82.9%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に7.8秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるラジカルトラップ材料であるグリセリン付着率は310.3%、水分率は63.8%であった。諸性能を測定した結果を表2に示す。このとき、中空糸膜型血液処理装置内部および袋の内側にグリセリン水溶液が数箇所に付着していた。
比較例6
濃度90.3%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に7.5秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるラジカルトラップ材料であるグリセリン付着率は325.9%、水分率は35.2%であった。諸性能を測定した結果を表2に示す。このとき、中空糸膜型血液処理装置内部および袋の内側にグリセリン水溶液が数箇所に付着していた。
比較例7
濃度85.1%のグリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を中空糸膜内に3.9秒間注入したこと、および酸素濃度を大気下濃度のままとした以外は、実施例1と同じ条件により中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるラジカルトラップ材料であるグリセリン付着率は159.2%、水分率は27.8%であった。諸性能を測定した結果を表2に示す。このとき、LDH活性が高くなっているが、この原因としては、中空糸膜に対し、ラジカルトラップ材料であるグリセリンは均一に被覆されていないことが推定される。
Figure 2008093228
産業上の利用の可能性
本発明の中空糸膜型血液浄化装置は、セミドライと呼ばれる軽量で取扱性に優れた中空糸膜型血液浄化装置であって、電子線滅菌されているにも関わらず滅菌による親水性高分子の溶出が少なく、かつ血液適合性に優れている。従って、血液透析、血液濾過、血漿分離、血漿成分分画等の体外循環式の血液浄化療法において、使用時のみではなく、運送時や保管時も含めて有用に用いることができる。

Claims (8)

  1. 疎水性高分子と親水性高分子からなる中空糸膜束が容器に充填され、該束の端部がポッティング層よって容器に保持されて中空糸膜内側室と中空糸膜外側室を形成し、中空糸膜内側室に通じる流体出入口および中空糸膜外側室に通じる流体出入口を持つ中空糸膜型血液浄化装置であって、該中空糸膜は、その乾燥重量に対して60%以上400%以下の湿潤保護剤によって覆われており、且つ、前記血液浄化装置内部の前記中空糸膜束及び前記湿潤保護剤が占有する以外の空間部分は0.01%以上の酸素濃度の気体で占められており、電子線で滅菌された中空糸膜型血液浄化装置。
  2. 湿潤保護剤が水と多価アルコールの混合物である請求項1に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
  3. 水に対する多価アルコールの重量割合が0.2倍以上7.5倍以下である請求項2に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
  4. 湿潤保護剤を構成する水分の中空糸膜への付着率が中空糸膜の乾燥重量に対して40%以上100%未満であり、且つ多価アルコールの中空糸膜への付着率が20%以上300%以下である請求項2又は3に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
  5. 血液浄化装置内部の前記中空糸膜束及び前記湿潤保護剤が占有する以外の空間部分を占める気体が実質的に大気と同じ酸素濃度である請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化装置。
  6. ポッティング層の厚みが7.0mm以上12.5mm以下であり、中空糸膜部の密度が0.05g/cm以上0.45g/cm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化装置。
  7. ポッティング層を中空糸型人工腎臓承認基準の溶出物試験方法に従って試験した際に、湿潤保護剤とポッティング剤との反応物が溶出物として実質的に認められない請求項1〜6のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化装置。
  8. 中空糸膜への湿潤保護剤の付着が、ポッティング層の硬化後に中空糸内部への湿潤保護剤溶液を通液することにより行われる請求項7に記載の中空糸膜型血液浄化装置。

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