JP2008082541A - 加振反力低減機構およびその設定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造体(外基礎2)と振動体(浮き基礎1)との間に、振動体への加振によって作動して回転体6を回転させることにより回転慣性質量ψを生じる回転慣性質量ダンパー5をバネ要素(バネ3)と並列に設置し、回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と、バネ要素のバネ剛性(バネ定数k)とによって定まる角振動数を、振動体への卓越加振角振動数ω1に一致させる。
【選択図】図1
Description
(a)に示すような振動系は(b)に示すような1質点系の振動モデルとして考えることができる。いま、浮き基礎1の質量がm=1500ton、浮き基礎1の固有振動数がf0=1Hz(固有角振動数ω0=2πf0)、バネ3のバネ定数がk=60t/cm、減衰要素としてのダッシュポット4の減衰係数がc=0.95t/kine、減衰定数がh=0.05、振動源としての機械振動による加振力fが10tonの正弦波であり、その加振力fが卓越加振振動数f1=8Hzにおいて卓越する場合、加振力fに対する反力Rの大きさを表す反力倍率R/fは(c)に示すようなものとなる。
すなわち、反力倍率は浮き基礎1の固有振動数(f0=1Hz)においてピークとなってそれ以上の振動数領域では漸減するものの、m=1500tonもの巨大な質量の浮き基礎1としているにも拘わらず、卓越加振振動数f1=8Hzにおける反力倍率はR/f=0.02程度に過ぎず、したがって卓越加振振動数f1においては必ずしも充分な反力低減効果が得られないことがわかる。
このような場合、浮き基礎1上に設置される機器類の質量は通常はせいぜい数ton〜十数ton程度であって浮き基礎1の質量のわずか1%程度にしか過ぎないから、このことは卓越加振振動数f1における反力倍率を充分に低減するためには、加振源である機器の質量に対して著しく巨大な質量の浮き基礎1を設置する必要があることを意味している。このことは、上記のような大規模な浮き基礎1の場合のみならず、各種の機器を設置するための架台をバネにより支持した防振架台の類においても同様である。
また、上述したような回転慣性質量ダンパーを単に設けることでは、振動低減効果は得られるとしても充分な反力低減効果までは期待できないし、浮き基礎や防振架台およびそこに設置される機器への有効な手法としては確立しておらず、広く普及するに至っていない。
請求項2記載の発明は、構造体に対してバネ要素を介して振動可能に設置された振動体が加振されることで前記構造体に作用する反力を低減させるための加振反力低減機構の設定方法であって、前記構造体と前記振動体との間に、前記振動体への加振によって作動して回転体を回転させることにより回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを前記バネ要素と並列に設置するとともに、該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と、前記バネ要素のバネ剛性とによって定まる固有振動数を、前記振動体への卓越加振振動数に一致させることを特徴とする。
特に、本発明によれば、回転慣性質量を考慮した固有振動数を回転慣性質量とバネ剛性のみで設定するので振動体の質量には依存せず、したがって制御対象の卓越加振振動数をいったん設定してしまえばそれ以降に振動体の質量や積載荷重が変化しても反力低減効果は変わることなく発揮され、その後の再設定を必要としない。
また、回転慣性質量ダンパーを振動体を支持するバネ要素と並列に設置するので振動体の自重は従来どうりバネにより支持できるし、実質的に従来一般の振動系に対して軽微な回転慣性質量ダンパーを付加するだけで済むので何等特殊な装置や技能、施工法は不要であるし、コスト増も些少で済む。
本実施形態の加振反力低減機構は、図1(a)、(b)に示すように、外基礎2上にバネ3およびダッシュポット4を介して浮き基礎1を振動可能に設置するとともに、それら外基礎2と浮き基礎1との間には回転慣性質量ダンパー5をバネ3およびダッシュポット4と並列に付加したことを基本とする。
これは、ボールネジ機構を構成しているネジ軸7およびボールナット8をそれぞれ浮き基礎1の下面および外基礎2の上面に固定し、ネジ軸7にはフライホイールとして機能する回転体6を固定したものであって、浮き基礎1と外基礎2との間で上下方向の相対振動が生じると、ネジ軸7がボールナット8に対して軸方向(上下方向)に相対変位しつつ自転して回転体6を回転させるように構成されている。そして、そのような回転慣性質量ダンパー5が作動した場合には、回転体6の回転慣性モーメントIθとそれに加わる回転加速度によって、回転体6の実際の質量に対して遙かに大きな回転慣性質量ψが生じるようになっている。
x=αθ
なる関係がある場合(すなわち、単位回転角に対する軸方向変位量の比がαの場合)、回転慣性質量ダンパー5における回転体6の慣性モーメントをIθとすると、回転慣性質量ダンパー5が作動した際に生じる回転慣性質量ψは
ψ=Iθ/α2
で表され、この回転慣性質量ψは回転体6の実際の質量の10〜500倍以上にも大きくすることができる。
ψ=Iθ/α2=k/( ̄ω0)2
上式から
( ̄ω0)2=k/ψ=k/(Iθ/α2)=kα2/Iθ
以下に本実施形態における解析手法とそれによる解析結果を示す。
x=x0eiωt
ω0 2=k/m
h0=c/(2mω0)
ξ=ω/ω0
とすると、反力Rは次式で求められる。
図2(a)は浮き基礎の質量mとバネ定数kを一定とし、回転慣性質量ψを変化させた場合の結果である。横軸ξは浮き基礎1の回転慣性質量を無視した固有角振動数ω0に対する加振角振動数ωの比である。
これに示されるように、回転慣性質量ψを考慮した角振動数( ̄ω0)は回転慣性質量比( ̄ψ)を変化させることで変化するものの、いずれにしてもその角振動数( ̄ω0)の近傍において反力倍率は極小になる。したがって、その角振動数( ̄ω0)が制御対象角振動数である卓越加振角振動数ω1に一致するように回転慣性質量比( ̄ψ)を設定すれば、卓越加振角振動数ω1における反力倍率を極小にできることになる。また、回転慣性質量ψが大きくなるほど固有角振動数は小さくなる(長周期化する)ことがわかる。
図2(b)は、回転慣性質量ψとバネ定数kを一定にして、浮き基礎1の質量mを変化させた場合の結果を示す。横軸ηは回転慣性質量ψを考慮した浮き基礎1の角振動数( ̄ω0)に対する加振角振動数ωの比である。
これに示されるように、回転慣性質量比( ̄ψ)を大きくするほど(つまり、質量mを小さくするほど)反力低減効果はやや小さくなるものの、いずれの場合も角振動数( ̄ω0)において反力倍率が顕著に低減するので、浮き基礎1への積載荷重が変化しても常に安定した反力低減効果が得られる。
本図に示すように、従来においては卓越加振角振動数ω1における応答倍率がR/f=0.02に過ぎないものであったのに対し、本実施形態では制御対象角振動数である卓越加振角振動数ω1の前後の領域における反力倍率をR/f=0.009程度にまで充分に低減させることができる(ただし、制御対象角振動数である卓越加振角振動数ω1の前後を除く他の領域では反力倍率は従来よりも大きくなる)。
そして、その場合、浮き基礎1の質量は従来においてはm=1500tonも必要であったのに対し、従来と同じバネ定数k=60t/cmを使った本実施形態では、重力加速度g=980cm/s2として、
m/g=k/ω0 2、
ω0=ω1/2.24=2π×8.0/2.24=22.4
の関係から、m=117ton程度で済み、したがって浮き基礎1の所要質量や所要体積を従来よりも1/10以下にまで削減することが可能である。さらに、この場合において必要な回転慣性質量ψは23.4tonであれば良く、そのような回転慣性質量ψを得るために必要な回転体6の実際の質量はさらにその1/10〜1/500程度の2〜0.04ton程度で良い。
したがって軽微な回転慣性質量ダンパー5を付加することのみで外基礎2に作用する反力Rを極めて有効に低減させることが可能であるし、特に、図1(a)に示しているように複数の回転慣性質量ダンパー5を分散配置すれば、個々の回転慣性ダンパー5は充分に小形軽量のもので済む。
たとえば、上記実施形態は浮き基礎1への加振が上下方向である場合の適用例であるが、回転慣性質量ダンパー5を水平方向の振動に対して作動するように設置すれば、加振方向が水平方向であっても同様に機能し、水平方向の反力を有効に低減することができる。
勿論、本発明は基礎自体を振動可能に支持した大規模な浮き基礎1に適用するのみならず、単なる機器設置のための小規模な防振架台に対しても同様に適用できることは言うまでもない。
図3に示すものは、天秤型の回転慣性質量ダンパー10を防振架台11に対して適用したものである。本例における回転慣性質量ダンパー10は、回転体としての対の錘12の間の中心位置を支点13により揺動自在に支持するとともに、一方の錘12を防振架台11に連結具14により連結して、双方の錘12を防振架台11とともに鉛直面内において微小回転させる(つまり、天秤のように支点13を中心として両側を上下方向に揺動させる)構成としたものである。この場合も、上記実施形態と同様に小さな質量の錘12の回転(揺動)により大きな回転慣性質量ψを生じ、その回転慣性質量ψとバネ3のバネ定数kとにより定まる角振動数( ̄ω0)を防振架台11の卓越加振角振動数(制御対象角振動数)ω1に一致させ、回転慣性質量比( ̄ψ)を適正に設定することにより、上記と同様に優れた反力低減効果を得ることができる。
この場合、錘12を防振架台11に連結する代わりに、錘12と防振架台11とを離間させて、破線で示しているように防振架台11を連結具15により支点13付近に対してで連結することも考えられ、それによりさらに大きな回転慣性質量を得ることができる。
図4(a)〜(b)は防振架台11への加振方向が水平方向である場合に、回転ドラム型の回転慣性質量ダンパー20を適用した場合の例である。本例における回転慣性質量ダンパー20は、支柱21により自転可能に設置された回転体としての回転ドラム22によって防振架台11を支持して、防振架台11の水平振動により回転ドラム22を回転させることで回転慣性質量を得て側壁に作用する水平方向の反力を低減するようにしたものであり、上記と同様の効果が得られる。この場合、(c)に示すように回転ドラム22の両端にドラム径より大きいフライホイール23を設けることで、さらに大きな回転慣性質量を得ることもできる。
2 外基礎(構造体)
3 バネ(バネ要素)
4 ダッシュポット(減衰要素)
5 回転慣性質量ダンパー
6 回転体
7 ネジ軸
8 ボールナット
10 回転慣性質量ダンパー
11 防振架台(振動体)
12 錘(回転体)
13 支点
14,15 連結具
20 回転慣性質量ダンパー
21 支柱
22 回転ドラム(回転体)
23 フライホイール
Claims (2)
- 構造体に対してバネ要素を介して振動可能に設置された振動体が加振されることで前記構造体に作用する反力を低減させるための加振反力低減機構であって、
前記構造体と前記振動体との間に、前記振動体への加振によって作動して回転体を回転させることにより回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを前記バネ要素と並列に設置するとともに、
該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と、前記バネ要素のバネ剛性とによって定まる固有振動数を、前記振動体への卓越加振振動数に一致させてなることを特徴とする加振反力低減機構。 - 構造体に対してバネ要素を介して振動可能に設置された振動体が加振されることで前記構造体に作用する反力を低減させるための加振反力低減機構の設定方法であって、
前記構造体と前記振動体との間に、前記振動体への加振によって作動して回転体を回転させることにより回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを前記バネ要素と並列に設置するとともに、
該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と、前記バネ要素のバネ剛性とによって定まる固有振動数を、前記振動体への卓越加振振動数に一致させることを特徴とする加振反力低減機構の設定方法。
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