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JP2008081772A - 金属微粒子の製造方法及び装置 - Google Patents

金属微粒子の製造方法及び装置 Download PDF

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Yasunori Ichikawa
靖典 市川
Fumiko Shiraishi
文子 白石
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Abstract

【課題】分解性を有する還元剤、例えば、経時的に分解して副生ガスを発生する還元剤を用いた反応において、還元剤の分解自体を抑止することにより副生ガスによる混合場の不均一化を抑制し、微小サイズで単分散性に優れた金属微粒子を安定的に製造することができる。
【解決手段】
分解性の還元剤と析出性物質とを少なくとも含有する第1の溶液L1と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液L2とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合工程を備えた金属微粒子の製造方法であって、第1の溶液L1を調製すると共に、該調製した第1の溶液L1を析出性物質の析出温度よりも高く且つ還元剤の分解温度よりも低い第1の温度に予め冷却しておく第1冷却工程と、混合工程の直前で、第1の溶液L1を第1の温度よりも低い第2の温度まで冷却する第2冷却工程と、の2段階冷却を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属微粒子の製造方法及び装置に係り、特に多元系合金を生成させる金属微粒子の製造であって、該金属微粒子形成の初期反応の前後において、還元剤が経時的に分解して副生ガスを伴う金属微粒子の製造方法及び装置に関する。
磁気記録媒体を構成する磁性層の保磁力を高めることのできる磁性粒子として、多元系合金の金属微粒子が注目されている。このような金属微粒子の製造においては、金属微粒子形成の過程で副生ガスの発生を伴う場合がある。この副生ガスとしては、例えば、初期反応に使用される還元剤の経時的な分解により発生するガスや、反応の副生成物として発生するガスがある。
このように副生ガスを伴う反応は、一般的に連続処理が難しいことが知られている。この理由としては、副生ガスを連続処理の流れの中で効率的に除去できないと、連続処理の流れが不安定になって混合場や反応場が不均一になることや、反応のための液温制御を行う場合、気体は熱伝導率が小さいので、反応温度を精度良く制御できないこと等がある。
この対策として、例えば、多元系合金の金属微粒子の製造を連続的に行う装置において、初期反応を行うための複数種の溶液を混合する第1の混合装置と、該初期反応で生成された金属微粒子を含む反応液に更に別の溶液を混合して金属微粒子に異種金属原子を導入する第2の混合装置との間に気液分離装置を設け、初期反応で生成した副生ガスを安定的に除去して反応液の流れを安定化し、反応を均一化することが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2005−133135号公報
しかしながら、特許文献1は、反応の副生成物として発生した副生ガスを除去できても、還元剤の分解自体を抑制するものではなかった。このため、反応に利用されない還元剤が多く、反応場に大過剰の還元剤を供給しなければならないという問題があった。
また、液相反応を行う混合場において、還元剤が経時的に分解して気泡を発生すると、混合場を不均一にし、混合性能を低下させるという問題があった。
また、還元剤の分解自体を抑制する方法として、還元剤を冷却する方法があるが、冷却温度によっては還元剤溶液に含まれる物質の溶解度が低下し、析出が生じることがあった。
このような弊害の結果、製造された金属微粒子は、粒子サイズが大きく、分散性の悪いものが多かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、分解性を有する還元剤、例えば、経時的に分解して副生ガスを発生する還元剤を用いた反応において、還元剤の分解自体を抑止することにより副生ガスによる混合場の不均一化を抑制し、微小サイズで単分散性に優れた金属微粒子を安定的に製造することができる金属微粒子の製造方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、分解性の還元剤と析出性物質とを少なくとも含有する第1の溶液と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合工程を備えた金属微粒子の製造方法であって、前記第1の溶液を調製すると共に、該調製した第1の溶液を前記析出性物質の析出温度よりも高く且つ前記還元剤の分解温度よりも低い第1の温度に予め冷却しておく第1冷却工程と、前記混合工程の直前で、前記第1の溶液を前記第1の温度よりも低い第2の温度まで冷却する第2冷却工程と、の2段階冷却を行うことを特徴とする金属微粒子の製造方法を提供する。
請求項1によれば、還元剤を含有する第1の溶液の調製時には、溶液中に析出を生じさせない範囲で緩やかに冷却し、混合・反応させる直前で更に低い温度に急冷するようにしたので、析出を生じさせることなく還元剤を充分に冷却してから混合・反応させることができる。これにより、混合工程で混合熱や反応熱等の発熱があっても還元剤が分解するのを抑制できる。したがって、例えば、経時的に分解して副生ガスを発生する還元剤を用いる場合、混合・反応前後で還元剤の分解自体を抑止できるので、混合場に副生ガスが混入するのを抑制し、微小サイズで単分散性に優れた金属微粒子を安定的に製造することができる。ここで、分解性の還元剤としては、経時的に分解して副生ガスを発生する還元剤、副生ガスを発生しない還元剤、のいずれも含まれる。ここで、析出性物質とは、溶液の温度低下で容易に析出する物質を言い、例えば界面活性剤等が挙げられる。また、分解温度とはJISK7210で測定した温度をいう。
請求項2は請求項1において、前記混合工程は、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを瞬間的に混合して反応させる瞬間混合であることを特徴とする。
瞬間混合であるため、第1、第2の溶液間の反応が開始する前に、反応場を均一にすることができ、微粒子の粒径を制御しやすくなる。
請求項3は請求項1又は2において、前記液相法は、逆ミセル法であると共に、前記第1の溶液は、前記析出性物質として界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と前記還元剤を含有する還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(溶液L1)であり、且つ前記第2の溶液は、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と前記金属原子又は金属イオンを含有する金属塩水溶液とを混合した逆ミセル溶液(溶液L2)であることを特徴とする。
請求項3によれば、液相法を逆ミセル法で行うことにより作製される金属微粒子の粒径を制御し易くなる。
請求項4は請求項1〜3の何れか1項において、前記第2冷却工程における前記第1の溶液の滞留時間は、前記第1の溶液を前記第2の温度に設定した後、前記第1の溶液中の析出性物質が析出し始めるまでの時間よりも短くすることを特徴とする。
請求項5は請求項4において、前記滞留時間は、1分以下であることを特徴とする。
請求項4及び5によれば、還元剤を含有する第1の溶液を、混合工程の前に析出を生じさせることなく十分に冷却できる。ここで、析出性物質が析出し始めるまでの時間は、溶液の組成により変わるため、事前に溶液の組成に応じて析出温度を測定しておくことにより求めることができる。
請求項6は請求項1〜5の何れか1項において、前記混合工程の前段に、前記第1の溶液のpHを調整するpH調整工程を備えたことを特徴とする。
請求項6によれば、混合・反応前に還元剤が分解しないpH領域に調整することにより、混合場においても還元剤の分解を抑制できる。
本発明の請求項7は前記目的を達成するために、分解性の還元剤を少なくとも含有する第1の溶液と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合工程を備えた金属微粒子の製造方法であって、前記混合工程の前に、前記第1の溶液のpHを前記還元剤の分解しないpH領域に調整するpH調整工程を備えたことを特徴とする金属微粒子の製造方法を提供する。
請求項7によれば、混合・反応前に還元剤が分解しないpH領域に調整するので、混合場においても還元剤が分解するのを抑制できる。
請求項8は請求項1〜7の何れか1項において、前記混合工程は、前記第1の溶液又は第2の溶液のうち何れか1以上が1MPa以上の高圧ジェット流で混合されることを特徴とする。
請求項8によれば、第1の溶液又は第2の溶液のうち何れか1以上を1MPa以上の高圧ジェット流として衝突させるようにしたもので、衝突のエネルギーにより第1、第2の溶液同士を瞬時に且つ効率的に混合反応させることができる。
請求項9は請求項1〜8の何れか1項において、前記金属微粒子は、合金粒子であることを特徴とする。
請求項10は請求項1〜9の何れか1項において、前記合金粒子は、CuAu型又はCuAu型の硬磁性規則合金相を形成し得る合金粒子であることを特徴とする。
本発明の請求項11は前記目的を達成するために、分解性の還元剤と析出性物質とを少なくとも含有する第1の溶液と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合部を備えた金属微粒子の製造装置であって、前記第1の溶液を調製すると共に調製された第1の溶液を予め冷却しておく1段目の第1冷却部と、前記混合部の直前に設けられ、前記第1の冷却部での冷却された第1の溶液を冷却する2段目の第2冷却部と、前記第1冷却部と前記第2冷却部における冷却温度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする金属微粒子の製造装置を提供する。
請求項11は、本発明を装置として構成したものである。
請求項12は請求項11において、前記制御手段は、前記第1冷却部において前記調製した第1の溶液が前記析出性物質の析出温度よりも高く且つ前記還元剤が分解する分解温度よりも低い第1の温度になるように制御すると共に、前記第2冷却部において前記第1の溶液を前記第1の温度よりも低い第2の温度に制御することを特徴とする。
請求項13は請求項11又は12において、前記混合部は、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを瞬間的に混合して反応させる瞬間混合部であることを特徴とする。
本発明の請求項14は前記目的を達成するために、分解性の還元剤を少なくとも含有する第1の溶液と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合部を備えた金属微粒子の製造装置であって、前記混合部の直前に設けられ、前記第1の溶液のpHを調整するpH調整部と、前記第1の溶液を前記還元剤が分解しないpH領域になるように前記pH調整部を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする金属微粒子の製造装置を提供する。
本発明によれば、分解性を有する還元剤、例えば、経時的に分解して副生ガスを発生する還元剤を用いた反応において、還元剤の分解自体を抑止することにより副生ガスによる混合場の不均一化を抑制し、微小サイズで単分散性に優れた金属微粒子を安定的に製造することができる。
以下添付図面に従って、本発明に係る金属微粒子の製造方法及び装置の好ましい実施の形態について説明する。本発明の金属微粒子の製造方法及び装置は、液相反応法(液液反応)による金属微粒子の製造方法であって、経時的に分解する還元剤を用いた場合であれば、どのような金属微粒子の製造にも適用できる。
合金粒子等の金属微粒子は、液相法以外の気相法でも作製することができるが、量産性に優れていることを考慮すると液相法が好ましい。液相法としては従来から知られている種々の方法を適用できるが、これらに改良を加えた還元法を適用することが好ましく、還元法の中でも合金粒子の粒子サイズを制御し易い逆ミセル法が特に好ましい。
第1の溶液L1としては、還元剤溶液を好適に使用することができる。また、第2の溶液L2としては、周期律表の8、9、及び10族から選ばれる2種類以上の金属イオンを含有する溶液を好適に使用することができ、Fe,Pt,Co,Ni,Pdの金属イオンが好ましい。第3の溶液L3としては、周期率表の11、12、13、14、及び15族から選ばれる1種以上の金属イオンを含有する溶液を好適に使用することができ、Cu,Ag,Au,Al,Zn、Snの金属イオンが好ましい。
また、液相反応法の中でも金属微粒子の粒子サイズを制御し易い逆ミセル法が好ましく、第1、第2の溶液L1、L2を界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒を使用して逆ミセル溶液として調製することが好ましい。使用する界面活性剤としては油溶性界面活性剤が用いられる。具体的には、スルホン酸塩型(例えば、エーロゾルOT(和光純薬製)、4級アンモニウム塩型(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、エーテル型(例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル)等が挙げられる。また、界面活性剤を溶解する非水溶性有機溶媒として好ましいものは、アルカン、エーテル及びアルコール等が挙げられる。アルカンとしては、炭素数7〜12のアルカン類であることが好ましい。具体的には、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等が好ましい。エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が好ましい。アルコールとしては、エトキシエタノール、エトキシプロパノール等が好ましい。また、還元剤溶液中の還元剤としては、アルコール類;ポリアルコール類;H;HCHO、S 2−、HPO -、BH 、N +、HPO -等を含む化合物を単独で使用することができるが、2種以上を併用することが好ましい。
上記各種溶液を用いて、金属微粒子を製造する方法及び装置の好ましい形態について以下説明する。
まず、本発明に係る第1の実施形態について説明する。本実施形態は、金属微粒子を製造するための初期反応を行う前に、還元剤、界面活性剤を含む溶液を2段階で冷却することにより、初期反応の前から還元剤の分解を抑制する方法である。
図1は、本発明に係る金属微粒子の連続製造装置10の概略構成図である。以下、磁気記録媒体の磁性層に含有させる多元系合金の金属微粒子を製造するための溶液を使用した例について説明する。
図1に示すように、金属微粒子の連続製造装置10は、主として、初期反応を行うための第1及び第2の溶液を連続的に供給して混合する第1の混合装置12と、初期反応で生成された金属微粒子を含む反応液に第3の溶液を連続的に供給混合して該金属微粒子の結晶格子に異種金属原子を導入する第2の混合装置14と、より構成される。
第1の混合装置12の上流側には、第1の溶液を冷却しながら調製する第1の調製タンク16(後述する温調ジャケット24と合わせて第1の冷却部に相当)と、該第1の調製タンク16と第1の混合装置12との間で第1の溶液を冷却するためのスタチックミキサ18(後述する温調ジャケット25と合わせて第2の冷却部に相当)と、第1の調製タンク16とスタチックミキサ18の冷却温度を制御する制御手段20(制御手段)と、が備えられる。第1の混合装置12の近傍には、第2の溶液の調製を行う第2の調製タンク22が備えられる。また、第2の混合装置14の近傍には、第3の溶液を調製する第3の調製タンク23が備えられる。
第1の調製タンク16では、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを攪拌機16aで混合し、第1の溶液L1の逆ミセル溶液を調製する。
第2の調製タンク22では、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と周期律表の8、9、10族から選ばれる2種類以上の金属イオンを含有する金属塩水溶液とを攪拌機22aで混合して第2の溶液L2の逆ミセル溶液を調製する。また、第1の調製タンク16の外周には、温調ジャケット24が設けられる。また、温調ジャケット24には、該温調ジャケット24の温度を測定する温度測定部27が備えられ、測定結果を制御手段20に出力できるようになっている。これにより、第1の調製タンク16内の第1の溶液が第1の温度に冷却される。また、第2の調製タンク22の外周には、温調ジャケット26が設けられ、初期反応に適切な温度に調節される。
第3の調製タンク23では、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と周期律表の11、12、13、14、及び15族から選ばれる1種以上の金属イオンを含有する金属水溶液とを攪拌機23aで混合して第3の溶液L3の逆ミセル溶液を調製する。また、第3の調製タンク23の外周には、温調ジャケット28が設けられ、第2の混合装置14内の反応に適切な温度に調節される。
スタチックミキサ18は、第1の混合装置12の直前に隣設されており、外周には温調ジャケット25が巻回されている。また、温調ジャケット25には、該温調ジャケット25の温度を測定する温度測定部29が設けられるとともに、該温度測定部29からの測定結果が制御手段20に出力されるようになっている。
制御手段20は、温度測定部29における測定結果に基づいて、スタチックミキサ18の外周に形成された温調ジャケット25の冷却温度を調節する。また、制御手段20は、温度測定部27における測定結果に基づいて、第1の調製タンク16の外周に形成された温調ジャケット24の冷却温度を調節する。このような制御手段としては、公知公用のものが使用でき、例えば、一体形恒温水循環装置(登録商標名:クールニクス)が使用できる。これにより、第1の調製タンク16で調製した第1の溶液を第1の混合装置12に供給する直前までに段階的に冷却する。
スタチックミキサ18としては、公知公用のものが使用できる。なお、本実施形態では、第1の調製タンク16、及びスタチックミキサ18における温度制御を1つの制御手段20で行う例を示したが、これに限定されず、別々に制御手段を備えてもよい。
本実施形態では、第1の調製タンク16内における第1の溶液の温度(第1の温度)は、析出性物質(本実施形態では、界面活性剤)の析出温度よりも高く且つ還元剤の分解温度よりも低い温度に設定される。界面活性剤の析出温度は、溶液の組成や種類によって変わるので、事前に液温と溶解度の関係を測定しておくことで決定できる。ここで、還元剤の分解温度とは、JISK7210で測定した値をいう。
スタチックミキサ18内における第1の溶液の温度(第2の温度)は、第1の調製タンク16内における温度(第1の温度)よりも更に低くなるように冷却される。具体的には、第2の温度は、高圧ジェット流で混合させる混合場のように、混合熱や反応熱が発生し易い混合場においても還元剤が分解しない温度に設定される。この温度は、混合場の条件、液組成、液粘度等によって決定される。このため、上記第2の温度は、混合場と同程度の攪拌力、摩擦熱を想定した攪拌条件下において、還元剤の分解が起こらない温度を事前に実験又はシミュレーションにより求めておくことで決定される。なお、還元剤の分解の有無は、回収される粒子サイズ、粒度分布等で判断することができる。また、分解により気泡を発生する還元剤であれば、その気泡の発生の有無を目視で判断することにより行える。
この場合、上記第2の温度を第1の温度よりも低くすると、所定時間経過後に界面活性剤が析出し始めることがある。このため、スタチックミキサ18内の第1の溶液の滞留時間は、界面活性剤が析出し始めるまでの時間よりも短くなるように設定される。たとえば、後述する実施例に用いる還元剤(NaBH)の場合、液温8℃下で析出し始めるまでに約1分間要するため、滞留時間は1分以下に設定される。このように、スタチックミキサ18内の第1の溶液の滞留時間は、スタチックミキサ18の長さや第1の溶液の供給流速を調節することによりなされる。
なお、本実施形態では、第1の混合装置12の直前にスタチックミキサ12を備える例を示したが、スタチックミキサ12を設けずに、第1の混合装置12の直前の配管を冷却する構成としてもよい。また、図1では、第1の調製タンク16と第1の混合装置12とを連通する配管のうち、第1の混合装置12の直前部分のみを更に冷却する例について示したが、これに限定されず、析出が生じない範囲で第1の調製タンク16と第1の混合装置12とを連通する配管全体を第1の調製タンク16よりも更に冷却するようにしてもよい。また、第1、第2の混合装置12、14を連通する配管36も第1の調製タンク16よりも更に冷却し、配管36内を流通する還元剤の分解を抑制するようにしてもよい。また、本実施形態では、第1の混合装置12に供給する前に、冷却温度を2段階で調節する例を示したが、これに限定されず、3段階以上に調節してもよい。
次に、図1を参照して本発明に係る金属微粒子の連続製造装置10の作用について説明する。
第1及び第2の調製タンク16、22で調製された第1及び第2の溶液L1、L2は、それぞれの供給配管30、32を介して第1の混合装置12に供給ポンプ34、34で供給される。このとき、第1の調製タンク16内の還元剤を含む第1の溶液は、温調ジャケット24により、界面活性剤の析出温度よりも高く、且つ還元剤の分解温度よりも低い温度(第1の温度)に設定される(第1の冷却工程)。すなわち、還元剤が分解しない上限温度に設定されるので、第1の溶液の溶解度が極端に低下せず、析出が生じない。
その後、第1の溶液は、温調ジャケット25が巻回されたスタチックミキサ18により更に低い温度(第2の温度)に冷却される(第2の冷却工程)。スタチックミキサ18における第1の溶液の滞留時間は、第1の溶液中の界面活性剤等が析出し始めるまでの時間よりも短く設定されるので、第1の溶液は、析出を生じないうちに第1の混合装置12に供給される。
このように、第1の溶液の調製時から第1の混合装置12に供給する直前までの間に、析出を生じることなく、還元剤が含有される第1の溶液が十分に冷却される。
一方、金属塩を含む第2の溶液は、温調ジャケット26により第1の混合装置12内で行う初期反応に適切な温度に加熱される。
第1の混合装置12では、この2つの溶液L1、L2を瞬時に混合して反応させる。このように、フロー系反応の場合には、反応前から連続的に進行する還元剤の分解により発生する副生ガスを、混合装置12内に混入させないようにすることで、混合装置12内における2液の混合性能を向上させ、反応の安定化及び均一化を図ることが非常に重要になる。本発明では、2液を混合及び反応させる前に、析出物を生成させることなく還元剤を十分に冷却するので、高圧ジェット流で混合させる混合場52においても、還元剤の分解を抑制することができる。これにより、反応の不均一化を防止し、微小サイズで単分散性に優れた金属微粒子を形成できる。
配管36の長さは第1の混合装置12での混合により開始された初期反応が第2の混合装置14に到達するまでに終了するのに十分な長さに設定される。第2の混合装置14では、反応液LMに第3の調製タンク23で調製された第3の溶液L3を供給配管38を介して連続的に供給混合して、初期反応で形成した金属微粒子の結晶格子に異種金属原子を連続的に導入(ドーピング)する。これにより、多元系合金の金属微粒子が製造される。
この場合、第2の混合装置14の後段に、該第2の混合装置14で混合された混合液を回収し、キレート剤溶液と還元剤溶液を混ぜた第4の溶液L4を添加混合する混合タンク40を設けることが好ましい。
第2の混合装置14で混合された混合液は混合タンク40に回収され、添加タンク42から上記第3の溶液を添加してから約5分後に攪拌機40aで緩やかに攪拌しながら約40°Cまで昇温した後、第4の溶液L4を添加して120分間熟成する。これにより、第2の混合装置14でのドーピングを終結させる。また、混合タンク40の外周には、加熱ジャケット44が設けられ、適切な温度まで加熱される。
以上により、還元剤を含有する第1の溶液を、混合場でも分解しない温度以下に冷却するので、反応の前後にわたり還元剤の分解自体(気泡の発生)を抑制できる。これにより、混合場における反応を均一化でき、微小で単分散性に優れた金属微粒子を製造することができる。また、還元剤の利用率を向上できるだけでなく、金属微粒子の収率も向上できる。また、第1の溶液を冷却する際に、界面活性剤等の析出を伴わないので、オリフィスを詰まらせたり、逆ミセルのサイズを不均一にしたり等の不具合をなくすことができる。
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。本実施形態は、金属微粒子を製造するための初期反応を行う前に、還元剤、界面活性剤を含む溶液のpHを調整することにより、初期反応における還元剤の分解を抑制する方法である。
図2は、本発明に係る金属微粒子の連続製造装置10’の概略構成図である。
図2に示す連続製造装置10’は、図1において、第1の調製タンク16、スタチックミキサ18における温度制御機構(温度測定部27、29等)の代わりに、pH調整機構(pH調整部46、pH測定部47及び制御手段48)を備えたこと以外は同様に構成されている。
pH調製部46は、酸又はアルカリ溶液の貯留部からバルブ付きの添加配管、ポンプ(いずれも不図示)を介して第1の溶液に添加できるようになっている。pH調整部46には、pH測定部47が設けられ、該pH測定部47の測定結果は、制御手段48に出力されるようになっている。制御手段48は、上記測定結果に基づいて、pH調整部46を制御できるようになっている。
これにより、第1の溶液は、還元剤が分解しないpH領域に調整された後、第1の混合装置12に供給される。
なお、pH調整部46で使用されるpH調整用の酸、アルカリ溶液としては、目的とする第1、2の溶液の反応を著しく阻害するものでなければ、任意のものを使用できる。また、図2の実施形態では、第1の溶液を調整した後にpH調整を行う例について示したが、これに限定されず、第1の調製タンク16内で第1の溶液を調製する際に、最初からpH調整を行うこともできる。また、図2において、冷却機能を備えた図1のスタチックミキサ18を更に第1の混合装置12の直前に設けて、第1の溶液のpH調製工程と冷却工程とを組み合わせてもよい。
次に、図2を参照して本発明に係る金属微粒子の連続製造装置10の作用について説明する。
第1及び第2の調製タンク16、22で調製された第1及び第2の溶液L1、L2は、それぞれの供給配管30、32を介して第1の混合装置12に供給ポンプ34、34で供給される。還元剤を含む第1の溶液は、第1の調製タンク16における調製時から既に分解を開始するため、pH調製部46において還元剤が分解しないpH領域に調整される。
このように、第1の溶液が調製される時から第1の混合装置12に供給される直前までの間で、析出が生じることなく、還元剤が十分に冷却される。
一方、金属塩を含む第2の溶液は、温調ジャケット26により第1の混合装置12内で行う初期反応に適切な温度に加熱される。
第1の混合装置12では、この2つの溶液L1、L2を瞬時に混合して反応させる。本発明では、2液を混合させる前に、還元剤を含有する第1の溶液を還元剤が分解しないpH領域に調整するので、混合場52における還元剤の分解を抑制できる。これにより、反応の不均一化を防止し、微小サイズで単分散性に優れた金属微粒子を形成できる。また、還元剤の利用率を向上できるだけでなく、金属微粒子の収率も向上できる。
次に、上記各実施形態において、金属微粒子の連続製造装置10、10’に使用する第1の混合装置12として好適な装置構成について説明する。なお、以下に説明する第1の混合装置12は、第2の混合装置14にも適用できるものとする。
本発明で使用する混合装置としては、混合場で瞬時に混合でき且つ混合により反応する反応液LMを混合場に滞留させることなく速やかに排出できるものが、微小サイズで単分散性の良い金属微粒子を形成する上で好ましい。このような混合装置としては、高圧混合方式、高速攪拌混合方式、微小ギャップ混合方式の混合装置を好適に使用することができる。本実施形態では、特に好ましい高圧混合方式の混合装置について説明する。
(1)高圧混合方式
高圧混合方式の種類は、ワンジェット型、T字型・Y字型、ツージェット対向型を好適に使用することができ、こられの方式を混合装置12に適用した例で説明する。
a)ワンジェット型
図3は、ワンジェット型の第1の混合装置12の概念を示した断面図である。
図3に示すように、第1の混合装置12は、第1及び第2の溶液L1と溶液L2とを混合して反応させる筒状の混合場52が形成された混合器54の一端側開口に、第1の溶液L1を混合場52に導入する第1の導管56が接続されると共に、他端側開口に混合場52で混合され反応する反応液の排出管58が接続される。また、混合器54の側面側で第1の導管56の出口近傍に、第2の溶液L2を混合場52に導入する第2の導管60が接続される。第1の導管56と第2の導管60の先端内部には、それぞれ第1のオリフィス62と第2のオリフィス64が形成され、これにより、第1の導管56と第2の導管60には乱流の液体を噴射する第1のノズル66と第2のノズル68が形成される。図3では、第1の導管56から第1の溶液L1を導入し、第2の導管60から第2の溶液L2を導入するようにしたが、両液を逆にすることができる。また、排出管58の接続位置は、混合器54の他端側近傍であれば、混合器54の側面部に接続してもよい。
また、混合器54の外周には、水やオイル等の熱容量が比較的大きな熱媒体が流れるジャケット70が巻回され、ジャケットの熱媒体流入口70Aと熱媒体流出口70Bとが図示しない熱媒体供給装置に接続される。混合反応温度は、第1及び第2の溶液L1、L2の種類等によって、初期反応に適した所定温度に適宜設定することが好ましい。
ブロック状のオリフィス材72に、第1及び第2のオリフィス材72、74を穿設加工する方法としては、金属、セラミックス、ガラス等のオリフィス材72に100μm程度の噴出孔を精密に開ける加工方法として公知のマイクロ切削加工、マイクロ研削加工、噴射加工、マイクロ放電加工、LIGA法、レーザー加工、SPM加工等を好適に使用できる。
オリフィス材72の材質としては、加工性が良く、硬度がダイヤモンドに近い材質のものが好ましい。従って、ダイヤモンド以外の材質としては、種々の金属や金属合金に焼入れ、窒化処理、焼結処理等の硬化処理したものを好適に使用することができる。また、セラミックスも硬度が高く、ダイヤモンドよりも加工性が優れているので好適に使用できる。尚、本実施の形態では、第1のノズル66及び第2のノズル68の絞り構造としてオリフィスの例で説明するが、乱流の液体を噴射する機能を有するものであれば、オリフィスに限らず他の方法を用いることができる。
また、第1の導管56と第2の導管60には、図示しない加圧手段が設けられ、第1の溶液L1と第2の溶液L2とが第1及び第2のノズル66、68に加圧供給される。但し、第2のノズル68から混合場52に噴出する圧力は、第1のノズル66から混合場52に噴出する高圧ジェット流の圧力よりも小さくする。液体に高圧力をかける加圧手段としては、種々の手段が知られており何れの手段も使用可能であるが、比較的入手し易く安価な手段としてはプランジャーポンプや増圧ポンプのような往復ポンプを使用することが好ましい。また、往復ポンプほど高圧を発生することはできないが、ロータリポンプの中にも高圧発生型のものがあるので、このようなポンプを使用することもできる。
そして、第1のノズル66から第1の溶液L1が1MPa以上の高圧ジェット流で且つ混合場52に流入する時のレイノルズ数が10000以上の乱流として混合場52に噴出され、第2のノズル68から圧力が第1の溶液L1よりも低い第2の溶液L2が第1の溶液L1に対して略直交する直交流として混合場52に噴出する。この場合、第2の溶液L2が第1の溶液L1に対して90°の角度で完全に直交しなくても、直交する速度ベクトル成分を主成分とするものであればよい。これにより、第1の溶液L1と第2の溶液L2とを適切な混合反応温度条件下で瞬時に且つ効率的に混合し、混合により反応する反応液LMは排出管58から配管36へ直ちに排出される。この結果、微小サイズで単分散性のよい金属微粒子が形成される。
かかる混合反応は、図4に模式的に示すように、乱流の高速な高圧ジェット流の第1の溶液L1に、第1の溶液L1に対して略直交方向から噴出される第2の溶液L2を同伴させるように巻き込むことにより、第1の溶液L1と第2の溶液L2とが混ざり合って発生する大きな渦粘性を利用することで高性能な混合効率を得るものであり、第1の混合装置12の上記した混合場52、第1及び第2のノズル66、68、排出管58は次の関係を有するように形成される。
即ち、混合場52に渦粘性が形成されることが必要であり、図3に示すように混合場52の筒径D1が第1のノズル66のオリフィス径D2、第2のノズル68のオリフィス径D3よりも大径に形成される。特に直進流Aである第1の溶液L1の作る渦粘性は混合効率を良くする上で重要であり、第1のノズル66のオリフィス径D2に対する混合場52の筒径D1 の寸法比は、1.1倍〜50倍の範囲が好ましく、更に好ましくは1.1倍〜20倍の範囲である。また、直進流Aに対して直交する直交流Bである第2の溶液L2が直進流Aの溶液L1に巻き込まれ易くするためには、直交流Bの圧力を直進流Aの圧力よりも低くして、噴出流速が直進流Aの噴出流速以下になるようにすることが好ましい。具体的には直進流Aの噴出流速に対する直交流Bの噴出流速の流速比は、0.05倍〜0.4倍、更に好ましくは0.1倍〜0.3倍がよい。
また、直進流Aが小径な第1のノズル66からそれよりも大径な混合場52に噴出されることにより形成される渦粘性Cが最大になる以前の位置で直交流Bを混合場52に噴出させることが必要であり、第1のノズル66と渦粘性Cの最大位置との間に第2のノズル68を配置することが必要である。従って、渦粘性Cが最大になる位置を知る必要があるが、渦粘性Cが最大になる混合場52の位置は、流動解析ソフトとsして既に日本で市販されて流動解析ソフトとして良く知られているアールフロー社製の数値解析ソフト、R−Flowを用いて予めシミュレーションを行うことによって把握することができる。この場合、図4から分かるように、渦粘性Cが最大になる位置はピンポイントではなく領域を有するので、渦粘性Cの最大位置を渦粘性Cの略中心部であるポイントPとすればよい。従って、ポイントP以前に第2のノズル68を位置決めすればよいが、より好ましくは渦粘性Cの形成初期の段階で直交流Bを噴出できるように第2のノズル68を位置決めするのが好ましい。
また、上記の数値解析ソフトで解析すると、渦粘性Cが出現する領域の中心ポイントPは直進流Aの流速と関係があり、直進流Aの最大流速(通常は第1のノズル位置での流速)が1/10に減少する位置に略相当する。従って、直進流Aの最大流速が1/10に減少する位置を計算して、そのポイント以前に直交流Bを噴出できるように第2のノズル68を位置決めすれば、ポイントPを計算する必要もない。
また、最大の渦粘性Cを混合場52に形成するために必要な混合場52の長さL(図3参照)を確保する必要があるが、あまり長すぎると反応液LMが混合場52で滞留や逆流が生じ易くなり、金属微粒子の粒子サイズの微粒子化や単分散性に悪影響を及ぼす。従って、混合場52の長さLは第1のノズル66から渦粘性Cの最大位置であるポイントPまでの距離の2倍〜5倍が好ましく、更に好ましくは2倍〜3倍がよい。
更に、小径な第1のノズル66や第2のノズル68からそれよりも大径な混合場52に高速流で液体が噴出されると、キャビテーションを起こし易く、このキャビテーションにより混合場52に気液界面が形成されて混合効率を低下させる。従って、渦粘性Cを利用して混合効率を上げるためには、混合場52に気液界面が形成されないようにすることが必要である。従って、図3のように、排出管58の口径D4を第3のオリフィス74で絞って混合場52の筒径D1よりも小さくし、混合場52の圧力を上げた状態で混合することが必要である。これにより、キャビテーションを解消できるので、混合効率が一層向上する。尚、排出管58内の混合に寄与しない部分での滞留時間を極力短くする為、混合場52内の出口を絞ると共に、少なくとも混合場52の筒径D1よりも小さな内径の排出管58を極力短くして配管36に接続するとよい。
また、第1のノズル66から混合場52へ噴出される噴出流形状は第1のノズル66に設けた第1のオリフィス62により規制され、この噴出流形状は混合性能に影響する。従って、混合反応の目的に応じて、糸線状、円錐状、スリット状、扇状等の噴出流形状を形成する第1のオリフィス62を適宜使用することが好ましい。例えば、ミリ秒オーダーの非常に反応速度の速い反応の場合には、瞬時にできるだけ狭い範囲で渦粘性Cが最大になるように直進流Aと直交流Bを噴出させることが必要であり、糸線状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス62が好ましい。また、反応速度が比較的遅い場合には、できるだけ広い範囲で渦粘性Cが最大になるように直進流Aと直交流Bを噴出させて、直進流Aが作る同伴界面積を増やす方がよく、この場合には薄膜な噴出流形状を形成する第1のオリフィス62が好ましい。また、ミリ秒オーダーの非常に反応速度と比較的遅い反応速度との中間的な反応速度の場合には、円錐状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス62が好ましい。
図5〜図8は糸線状、円錐状、スリット状、扇状の各噴出流形状を形成するための第1のオリフィス62を図示したものであり、それぞれの図における(a)はオリフィスを先端側から見た図、(b)はオリフィスの縦断面図、(c)はオリフィスの横断面図である。
図5は、糸線状の直進流Aを混合場52に噴出するための第1のオリフィス62であり糸線状に形成される。図6は、円錐状の直進流Aを混合場52に噴出するための第1のオリフィス62であり、先端部が開いたラッパ管状に形成される。図7は、薄膜の直進流Aを混合場52に噴出するための第1のオリフィス62であり矩形なスリット状に形成される。図8は、扇状な薄膜の直進流Aを混合場52に噴出するための第1のオリフィス62であり、先端部が扇状に拡径して形成される。
なお、ワンジェット混合方式の第1の混合装置12は上述した図3に限定するものではなく、第1の溶液L1と第2の溶液L2とをそれぞれのノズルから該ノズルの口径よりも大径な混合場に噴出して混合反応させると共に混合反応液を前記混合場の径よりも小径な排出口から排出する静的混合装置を使用し、溶液L1と溶液L2の少なくとも一つの溶液を1MPa以上の高圧ジェット流で且つ混合場に流入する時のレイノルズ数が10000以上の乱流として混合場に噴出し、該高圧ジェット流が流れ方向に対して形成する渦粘性が最大になる以前の位置に、残りの溶液を前記高圧ジェット流よりも低い圧力で添加することのできるものであればよい。
b)T字型・Y字型
図9及び図10は、T字型・Y字型の第1の混合装置12の断面図であり、図9はT字管、図10はY字管の場合である。
図9及び図10に示すように、T字管やY字管のような非常に細い配管の交点(混合場)で、第1の溶液L1と第2の溶液L2とを1MPa以上の高圧ジェット流で衝突させることにより両液を瞬時に混合させ、反応した反応液を排出管から短時間で排出する。即ち、第1の添加配管76から第1の溶液L1を1MPa以上の高圧ジェット流で混合場78に噴出させると共に、第2の添加配管80から第2の溶液L2を1MPa以上の高圧ジェット流で混合場78に噴出させて両溶液を衝突させる。衝突によるエネルギーで混合され、混合により反応する反応液LMを排出管82から短時間で排出する。尚、第1の溶液L1と第2の溶液L2の圧力は1MPa以上であれば、同じでも異なっていてもよい。また、第1の添加配管76、第2の添加配管80、及び排出管82の外周にはジャケット84が巻回され、混合場78における第1及び第2の溶液L1、L2との混合反応温度が制御される。
なお、図9、図10の符号84Aはジャケット84の熱媒体入口であり、符号84Bは熱媒体出口である。
これにより、第1の溶液L1と第2の溶液L2とは適切な混合反応温度条件下で瞬時に且つ効率的に混合して反応し、反応液が直ちに排出管82から排出されるので、微小サイズで単分散性の良い金属微粒子を形成することができる。
c)ツージエット対向型
図11は、T字型に渦粘性の概念を加味した混合法であり、図3と同じ部材には同符号を付して説明する。この混合法は、第1の溶液L1と第2の溶液L2を対向する方向から1MPa以上の高圧ジェット流で、該L1溶液とL2溶液を噴出するノズル径よりも大径な混合場52噴出して衝突させ、両溶液に発生する渦粘性を利用して混合し、反応液LMを混合場52の径よりも小径な排出管58から排出するものである。
図11の第1の混合装置12は、第1の溶液L1と第2の溶液L2とを混合して反応させる筒状の混合場52が形成された混合器54の一端側開口に、第1の溶液L1を混合場52に導入する第1の導管56が接続されると共に、他端側開口に第2の溶液L2を混合場52に導入する第2の導管60が接続される。また、混合器54の中央部開口には、混合場52で混合されて反応した反応液LMを該混合場52から排出する排出管58が接続される。
第1の導管56と第2の導管60の先端内部には、それぞれ第1のオリフィス62と第2のオリフィス64が設けられ、これにより、第1の導管56と第2の導管60には乱流の直進流A1、A2を噴射する第1のノズル66と第2のノズル68が形成される。なお、本実施の形態では、第1のノズル66から第1の溶液L1を噴出し、第2のノズル68から第2の溶液L2を噴出する例で説明するが、逆にしてもよい。
また、混合器54の外周にはジャケット70が巻回され、図3で説明したと同様に、混合器54内における第1及び第2の溶液L1、L2との混合反応温度が制御される。
また、混合場52の筒径D1、第1のノズル66のオリフィス径D2、第2のノズル68のオリフィス径D3、及びこれらの寸法関係はワンジェット型と同様である。更に、第1及び第2のオリフィス62、64を形成する方法、オリフィス材72の材質、加圧手段もワンジェット型で説明したのと同様である。また、直進流A1、A2の形状もワンジェット型で説明した糸線状、円錐状、スリット状、扇状の各噴出流形状を形成することができる。
そして、図12に示すように、第1のノズル66と第2のノズル68から第1の溶液L1と第2の溶液L2とを1MPa以上の高圧ジェット流で混合場52の一方端と他方端から噴出し、対向する乱流の直進流A1、A2として混合場52で衝突させる。この2本の直進流A1、A2によって形成させる2つの渦粘性C、Dをオーバーラップさせることにより溶液L1と溶液L2とを適切な混合反応温度条件下で瞬時に混合され、混合により反応する反応液LMは排出管58から配管36へ直ちに排出される。これにより、微小サイズで単分散性の良い金属微粒子を形成することができる。
かかる混合反応は、対向する乱流の高速な2本の直進流A1、A2によって混合場52に形成されるそれぞれの渦粘性C、Dが最大になった時点で、重なる部分Eが極力大きくなるようにオーバーラップさせることで高性能な混合効率を得るものである。従って、直進流A1、A2は、混合場52に噴出直後で衝突することなく、且つ直進流A1、A2によって混合場52に形成される2つの渦粘性C、Dがオーバーラップする部分Eを極力大きくすることが好ましい。このためには、対向する第1のノズル66と第2のノズル68の離間距離L(図11参照)を、換言すると混合場の長さを適切に設定することが好ましい。このように、第1のノズル66と第2のノズル68の離間距離Lを適切に設定することで、最大になった渦粘性C、D同士のオーバーラップする部分Eを確実に大きくすることができ、2つの渦粘性C、D同士を略完全にオーバーラップさせることも可能である。従って、渦粘性C、Dが最大になる位置を知る必要があるが、渦粘性C、Dが最大になる混合場52の位置は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されて流動解析ソフトとして良く知られているアールフロー社製の数値解析ソフト、R−Flowを用いて予めシミュレーションすることで、第1のノズル66から渦粘性Cまでの距離、及び第2のノズル68から渦粘性Dまでの距離を把握することができる。この場合、図12から分かるように、渦粘性C、Dが最大になる位置はピンポイントではなく領域を有する。従って、第1のノズル66と第2のノズル68の離間距離Lは、渦粘性C、Dの最大位置を渦粘性C、Dの略中心部であるポイントP1、P2とし、ポイントP1とポイントP2とを一致させたときの第1のノズル66からポイントP11までと第2のノズル68からポイントP2までの合計値とすればよい。また、ポイントP1、P2を把握する別の方法としては、上記の数値解析ソフトで解析すると、直進流A1、A2による渦粘性C,Dが最大になるポイントP1、P2は直進流A1、A2の流速と関係があり、直進流A1、A2の最大流速(通常は第1又は第2のノズル位置での流速)が1/10に減少する位置に略相当する。従って、直進流A1、A2の最大流速が1/10に減少する位置を計算して、ポイントP1、P2を把握してもよい。このように、渦粘性C、Dが最大になった位置で渦粘性C、D同士をオーバーラップさせることで、直進流A1と直進流A2の液液界面での接触効率を大きくして混合反応性能を向上させる効果の他に、直進流A1と直進流A2が衝突することによる液液摩擦に伴う発熱を抑制する効果もある。
高純度の窒素ガス中で下記の操作を行った。なお、本例では、特に還元剤の分解が起こり易い初期反応(図1において、第1の混合装置12における第1、第2の溶液同士の反応)で金属微粒子を生成させるところまでを実験し、得られた金属微粒子の粒子サイズや粒度分布を評価した。
(実施例A)
(1)予備実験1
NaBH(和光純薬製)5.7gをHO(脱酸素処理済み)270mLに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT278gをデカン(和光純薬製)2700mLに溶解したアルカン溶液を添加、混合して第1の溶液L1の逆ミセル溶液を調製した。第1の溶液L1の還元剤NaBHの濃度は、26mmol/Lであった。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH)(C))(和光純薬製)5.3gと塩化白金酸カリウム(KPtCl)(和光純薬製)4.8gとを、HO(脱酸素処理済み)144mLに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)148gをデカン(和光純薬製)1440mLに溶解したアルカン溶液を添加、混合して第2の溶液L2の逆ミセル溶液を調製した。第2の溶液L2の金属イオン濃度は、8mmol/Lであった。
第1の溶液L1を調製したとき、常時気泡が発生していた。そこで、この気泡を捕集し、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、Hであることが判明した。NaBHは、加水分解してHを発生することが知られていることから、第1の溶液L1の調製時から既にNaBHの加水分解が進行していることが推察された。
そこで、NaBHを含有する第1の溶液L1の冷却温度を変えて、NaBHの加水分解が起こらない領域を調べた。NaBHの加水分解の有無は、気泡の発生の有無を目視で観察することにより行った。すなわち、第1の溶液L1を100mLビーカーに入れ、マグネチックスターラで一定の回転数(泡が巻き込まれず、液の層分離が起きない程度の回転数)でゆっくりと攪拌し、冷却温度を変えた。この結果、第1の溶液L1を11.5℃以下に冷却すると気泡が発生しなくなることを確認した。
次に、上記の結果に基づいて、2Lの第1の溶液L1と、1Lの第2の溶液L2と、をタンク内に投入し、10分間低速で混合させて(初期反応させて)、測定用金属ナノ粒子を調製した。このとき、タンク内の溶液の液温を11.5℃に冷却した(実施例1)。そして、得られた金属ナノ粒子の収率、体積平均粒径及び粒径分布を測定した。
収率は、理論生成量に対して実際に生成した金属微粒子量とした。実際に生成した金属微粒子量は、ICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)により測定した。
体積平均粒径と粒径分布は、動的光散乱法(日機装(株)製、UPA−EX)により求めた。
比較例1は、タンク内の溶液を冷却しなかった以外は、実施例1と同様にした場合である。
さらに、実施例2、3及び4は、第1の溶液L1中のNaBHの濃度を5.7g(26mmol/L)からそれぞれ2.9g(14mmol/L)、1.4g(7mmol/L)、0.7g(3mmol/L)に変更した以外は実施例1と同様にした場合である。この結果を表1に示す。
Figure 2008081772
表1に示すように、混合前に冷却した実施例1では、混合前に冷却しなかった比較例1よりも、粒子サイズが小さく、単分散の優れた金属ナノ粒子が得られた。
さらに、混合前に第1の溶液L1を11.5℃に冷却した場合、NaBH濃度が7mmol/Lでも収率はほとんど低下しないことがわかった(実施例1〜4)。
また、NaBHから8電子放出されるとして計算した理論値によると、NaBHの冷却を行わない比較例1では、理論値の10倍に相当するNaBHを供給する必要があるのに対して、NaBHの冷却を行う実施例1〜4では、理論値の約2.5倍に相当するNaBHを供給する程度で済むことがわかった。
以上より、NaBHを含有する第1の溶液を混合及び反応させる前に冷却することにより、混合場におけるNaBHの分解を抑制でき、金属ナノ粒子の収率や単分散性を向上できることを確認した。
(2)本実験1
次に、上記予備実験1の結果に基づいて、スタチックミキサ18を除外した図1の第1の混合装置12において、第1、第2の溶液L1、L2同士を混合して初期反応させ、金属ナノ粒子を作製した。
温調ジャケット24を調節して、第1の調製タンク16内における第1の溶液L1を11.5℃に冷却した後、第1の混合装置12に供給した(実施例5)。
第1の混合装置12としては、第1のオリフィス62が直径0.2mmであり、混合場52の直径D1が4mmであり、混合場52の長さLが90mmであるワンジェット型の混合器を用いた。そして、第1の溶液L1(26mmol/L)を高圧ジェット流で混合場52内に供給し、第2の溶液L2を流量0.05m/秒で混合場52内に供給した。
比較例2は、第1の溶液L1を反応前に冷却しなかったこと以外は、実施例5と同様とした場合である。この結果を表2に示す。
Figure 2008081772
表2に示すように、第1の溶液L1を混合前に冷却した実施例5では、混合前に冷却しなかった(室温の)比較例2よりも、粒度分布が狭くなり単分散性が向上した。しかし、2液をタンク内でゆっくりと混合した場合(実施例1では収率25%)よりも収率が低下した。これは、高圧ジェット流で混合させる場合は、タンク内でゆっくりと混合する場合と違って、摩擦熱等によってNaBHの分解が進み易くなっているためであることが推察される。
(3)予備実験2
図1における第1の混合装置12の混合場を模擬して、高速回転羽根(30mm径、2000rpm)を用いた攪拌タンク内で第1、2の溶液L1、L2を初期反応させて、測定用金属ナノ粒子を調製した。このとき、NaBHを含有する第1の溶液の冷却温度を変えたときの、混合場におけるNaBHの分解の有無について検証した。同時に、第1の溶液の冷却に伴う界面活性剤(エーロゾルOT)の析出の有無についても観察した。
まず、上記実験に先立って、水のみを攪拌タンク内で攪拌して気泡が生じないことを確認した。また、NaBHを含有する第1の溶液を室温下で攪拌したところ気泡が発生することを確認した。そして、攪拌タンク内における第1の溶液L1の冷却温度を表4のように変えた(実施例6〜9)。この結果を表3に示す。
Figure 2008081772
表3に示すように、本実施例の条件下では、第1の調製タンク16での冷却温度を8.0℃以下にすると、気泡の発生はなくNaBHの分解は起こらなかったが、9.0℃以上にすると気泡が発生した。これは、表1の実施例1において11.5℃に冷却すると気泡が発生しなかったこととは異なり、高速攪拌下では摩擦熱が生じたり、反応表面積が増加したりすることで、NaBHの分解し易くなるためと推察される。したがって、表3のように2液を高圧ジェット流で混合させるような高流速場では(特に摩擦熱で発熱しているワンジェット混合器内では)、NaBHの分解が起こり易くなり、これにより収率が低下したものと考えられる。
一方、第1の調製タンク16での冷却温度を9.0℃以下にすると、約1分経過後に、第1の溶液L1中の界面活性剤(エーロゾルOT)が析出し始めた(実施例6、7)。このような析出を生じたまま混合場52で反応させても、析出物が第1のオリフィス62を詰まらせたり、逆ミセル法における逆ミセルのサイズを不均一化したりする要因となり、好ましくない。
このように、界面活性剤の析出を抑制し、且つNaBHの分解を抑制するためには、1)第1の溶液を調製する段階で、NaBHの分解を最小限に抑える範囲で界面活性剤が析出しない温度に維持し(第1の冷却工程)、2)混合場52に供給する直前に、混合場52におけるNaBHの分解温度よりも低い温度に冷却する(第2の冷却工程)、という2段階の冷却ステップを採ることが重要であることがわかった。なお、第2の冷却工程では、温度を下げてから界面活性剤が析出し始めるまでの間にタイムラグがあるため、この第2の冷却工程における第1の溶液の滞留時間を、タイムラグよりも短く設定する必要がある。
これにより、調製時には析出を生じることなく均一に攪拌できると共に、混合場においてNaBHの分解を確実に抑制できる。
(4)本実験2
次に、上記知見に基づいて、図1の第1の混合装置12において、第1、第2の溶液L1、L2同士を混合して初期反応させ、金属ナノ粒子を作製した。
実施例12は、第1の調製タンク16内の第1の溶液L1の液温(第1の温度)を、気泡が発生しない臨界温度である11.5℃に冷却した後(第1の冷却工程)、第1の混合装置12に供給する直前に、スタチックミキサ18により第1の温度よりも更に低い液温(第2の温度)に冷却した(第2の冷却工程)場合である。このとき、第2の温度は、上記予備実験2において気泡が発生しなかった温度(8.0℃)とした。
第1の混合装置12としては、前述した本実験(2)と同様に、オリフィス62が直径0.2mmであり、混合場52の直径D1が4mmであり、混合場52の長さLが90mmであるワンジェット型の混合器を用いた。そして、第1の溶液L1(26mmol/L)を高圧ジェット流で混合場52内に供給し、第2の溶液L2を流量0.05m/秒で混合場52内に供給した。
また、第1の溶液L1のスタチックミキサ18内の滞留時間を18秒とし、スタチックミキサ18の出口にて第1の溶液L1の液温をK熱電対により測定できるようにした。
比較例3は、実施例12において、第1の混合装置12の直前に、8.0℃まで冷却する第2の冷却工程を設けなかったこと以外は、実施例12と同様である。
さらに、実施例11、12及び13は、第1の溶液L1中のNaBHの濃度を5.7g(26mmol/L)からそれぞれ2.9g(14mmol/L)、1.4g(7mmol/L)、0.7g(3mmol/L)に変更した以外は実施例10と同様とした場合である。この結果を表4に示す。
Figure 2008081772
表4に示されるように、第1の冷却工程で第1の溶液を11.5℃に冷却し、更に第2の冷却工程で8.0℃に冷却した実施例10では、収率が高く、粒子サイズが小さく単分散性の優れた金属ナノ粒子が得られた。一方、第2の冷却工程を設けなかった比較例3では、収率は67%と低いだけでなく、金属ナノ粒子の単分散性も低かった。これより、第2の冷却工程を設けることで、混合場52におけるNaBHの分解を効果的に抑制できたことを確認した。
さらに、第1の溶液を第1の冷却工程で11.5℃に冷却し、更に第2の冷却工程で8.0℃に冷却した場合、NaBH濃度が7mmol/Lでも収率はほとんど低下しないことがわかった(実施例10〜13)。
以上より、NaBHを含有する第1の溶液を混合及び反応させる前に2段階で冷却することにより、界面活性剤等の析出物が生じるのを抑制しつつ、混合場におけるNaBHの分解を確実に抑制でき、金属ナノ粒子の収率や単分散性を向上できることが確認できた。
(実施例B)
(1)予備実験
NaBH(和光純薬製)5.7gをHO(脱酸素処理済み)270mLに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT278gをデカン(和光純薬製)2700mLに溶解したアルカン溶液を添加、混合して第1の溶液L1の逆ミセル溶液を調製した。第1の溶液L1の還元剤NaBHの濃度は、26mmol/Lであった。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH)(C))(和光純薬製)5.3gと塩化白金酸カリウム(KPtCl)(和光純薬製)4.8gとを、HO(脱酸素処理済み)144mLに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)148gをデカン(和光純薬製)1440mLに溶解したアルカン溶液を添加、混合して第2の溶液L2の逆ミセル溶液を調製した。第2の溶液L2の金属イオン濃度は、8mmol/Lであった。
NaBHの加水分解速度はpHに依存し、特にpHが7以下で加水分解速度が大きくなることが知られている。そこで、第1の溶液L1のpHを変えたときのNaBHの加水分解(気泡の発生)の有無を観察した。この結果、第1の溶液L1(pH無調整時、pH:11.3)200mLに、NaOH(1規定)を0.6mL添加してpHを12にしたとき、NaBHの加水分解による気泡は発生しなかった。
(2)本実験
次に、上記の結果に基づいて、図2の第1の混合装置12において、第1、第2の溶液L1、L2同士を混合して初期反応させ、金属ナノ粒子を作製した。
図2のpH調整部46において、第1の溶液L1のpHを12に調整した(実施例14)。
第1の混合装置12としては、前述した実施例Aと同様に、オリフィス62が直径0.2mmであり、混合場52の直径D1が4mmであり、混合場52の長さLが90mmであるワンジェット型の混合器を用いた。そして、第1の溶液L1(26mmol/L)を高圧ジェット流で混合場52内に供給し、第2の溶液L2を流量0.05m/秒で混合場52内に供給した。
実施例15、16は、混合前の第1の溶液L1のpHをそれぞれ13、14に調整した以外は実施例14と同様にした場合である。
比較例4は、混合前にpHの調整を行わなかった以外は実施例14と同様にした場合である。この結果を表5に示す。
Figure 2008081772
表5に示されるように、pHを調整した実施例14、15は、pHを調整しなかった比較例4よりも収率が高く、特にpHが12のとき最も収率が高かった。一方、pHを13を超えるように調整すると、収率は低下する傾向がみられた。これは、pHが13を超えると水酸化物が生成し易くなり、還元反応効率が低下するためであると推測される。
以上より、第1、第2の溶液を混合場において混合及び反応させる前に、第1の溶液L1のpHを調製しておくことにより、NaBHの加水分解速度を低減でき、収率を向上できることがわかった。
本発明に係る金属微粒子の連続製造装置の構成を示す概念図である。 本発明に係る別態様の金属微粒子の連続製造装置の構成を示す概念図である。 ワンジェット型の高圧混合方式の混合装置を示す断面図である。 ワンジェット型の高圧混合方式の混合理論を説明する説明図である。 ワンジェット型の高圧混合方式の混合装置の第1のノズルの形状を説明する説明図である。 第1のノズルの別の形状を説明する説明図である。 第1のノズルの更に別の形状を説明する説明図である。 第1のノズルの他の形状を説明する説明図である。 T字型の高圧混合方式の混合装置を示す断面図である。 Y字型の高圧混合方式の混合装置を示す断面図である。 ツージェット対向型の高圧混合方式の混合装置を示す断面図である。 ツージェット対向型の高圧混合方式の混合理論を説明する説明図である。
符号の説明
10、10’…連続製造装置、12…第1の混合装置、14…第2の混合装置、16…第1の調製タンク、18…スタチックミキサ、20…制御手段(温度)、22…第2の調製タンク、23…第3の調製タンク、24、25…温調ジャケット、27、29…温度測定部、46…pH調整部、47…pH測定部、48…制御手段(pH)、52…混合場

Claims (14)

  1. 分解性の還元剤と析出性物質とを少なくとも含有する第1の溶液と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合工程を備えた金属微粒子の製造方法であって、
    前記第1の溶液を調製すると共に、該調製した第1の溶液を前記析出性物質の析出温度よりも高く且つ前記還元剤の分解温度よりも低い第1の温度に予め冷却しておく第1冷却工程と、
    前記混合工程の直前で、前記第1の溶液を前記第1の温度よりも低い第2の温度まで冷却する第2冷却工程と、の2段階冷却を行うことを特徴とする金属微粒子の製造方法。
  2. 前記混合工程は、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを瞬間的に混合して反応させる瞬間混合であることを特徴とする請求項1の金属微粒子の製造方法。
  3. 前記液相法は、逆ミセル法であると共に、
    前記第1の溶液は、前記析出性物質として界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と前記還元剤を含有する還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(溶液L1)であり、且つ前記第2の溶液は、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と前記金属原子又は金属イオンを含有する金属塩水溶液とを混合した逆ミセル溶液(溶液L2)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属微粒子の製造方法。
  4. 前記第2冷却工程における前記第1の溶液の滞留時間は、前記第1の溶液を前記第2の温度に設定した後、前記第1の溶液中の析出性物質が析出し始めるまでの時間よりも短くすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  5. 前記滞留時間は、1分以下であることを特徴とする請求項4に記載の金属微粒子の製造方法。
  6. 前記混合工程の前段に、前記第1の溶液のpHを調整するpH調整工程を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  7. 分解性の還元剤を少なくとも含有する第1の溶液と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合工程を備えた金属微粒子の製造方法であって、
    前記混合工程の前に、前記第1の溶液のpHを前記還元剤の分解しないpH領域に調整するpH調整工程を備えたことを特徴とする金属微粒子の製造方法。
  8. 前記混合工程は、前記第1の溶液又は第2の溶液のうち何れか1以上が1MPa以上の高圧ジェット流で混合されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  9. 前記金属微粒子は、合金粒子であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  10. 前記合金粒子は、CuAu型又はCu3Au型の硬磁性規則合金相を形成し得る合金粒子であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
  11. 分解性の還元剤と析出性物質とを少なくとも含有する第1の溶液と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合部を備えた金属微粒子の製造装置であって、
    前記第1の溶液を調製すると共に調製された第1の溶液を予め冷却しておく1段目の第1冷却部と、
    前記混合部の直前に設けられ、前記第1の冷却部での冷却された第1の溶液を冷却する2段目の第2冷却部と、
    前記第1冷却部と前記第2冷却部における冷却温度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする金属微粒子の製造装置。
  12. 前記制御手段は、前記第1冷却部において前記調製した第1の溶液が前記析出性物質の析出温度よりも高く且つ前記還元剤が分解する分解温度よりも低い第1の温度になるように制御すると共に、前記第2冷却部において前記第1の溶液を前記第1の温度よりも低い第2の温度に制御することを特徴とする請求項11に記載の金属微粒子の製造装置。
  13. 前記混合部は、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを瞬間的に混合して反応させる瞬間混合部であることを特徴とする請求項11又は12に記載の金属微粒子の製造装置。
  14. 分解性の還元剤を少なくとも含有する第1の溶液と、金属微粒子を作製する金属原子又は金属イオンを含有する第2の溶液とを液相法により混合反応させて金属微粒子を形成する混合部を備えた金属微粒子の製造装置であって、
    前記混合部の直前に設けられ、前記第1の溶液のpHを調整するpH調整部と、
    前記第1の溶液を前記還元剤が分解しないpH領域になるように前記pH調整部を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする金属微粒子の製造装置。
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