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JP2008071898A - カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ及びその製造方法 Download PDF

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JP2008071898A JP2006248495A JP2006248495A JP2008071898A JP 2008071898 A JP2008071898 A JP 2008071898A JP 2006248495 A JP2006248495 A JP 2006248495A JP 2006248495 A JP2006248495 A JP 2006248495A JP 2008071898 A JP2008071898 A JP 2008071898A
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Seiji Shiraishi
誠司 白石
Megumi Oishi
恵 大石
Yoshihiro Kubozono
芳博 久保園
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Osaka University NUC
Okayama University NUC
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Abstract

【課題】ソース電極とドレイン電極の間を流れる電流のゲート電圧依存性に出現するヒステリシスを抑制することによって、高速スイッチングが可能となるカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】本発明のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタは、ソース電極2とドレイン電極3間を電気的に接続するチャネル部4をカーボンナノチューブによって構成すると共に、ゲート電極1上に形成されたゲート絶縁膜5表面に配置し、前記ゲート絶縁膜5の材料として、SiOよりも高い比誘電率を有する誘電材料を用いた。
【選択図】図9

Description

本発明は、ソース電極とドレイン電極間を電気的に接続するチャネル部がカーボンナノチューブにより構成されているカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ及びその製造方法に関するものである。
従来のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極を構成するシリコン基板表面に、ゲート絶縁膜としてのSiO膜が形成されており、該ゲート絶縁膜表面にソース電極、ドレイン電極、及びソース電極とドレイン電極間を電気的に接続するチャネル部が配置され、チャネル部がカーボンナノチューブから形成されている。
この様なカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの駆動時において、ゲート電極にゲート電圧が印加され、ゲート電圧の変化によって、ソース電極とドレイン電極間のチャネル部を流れる電流の大きさが変化する(例えば、非特許文献1)。
Woong Kim et al., Nano Lett., Vol.3, No.2 (2003) p.193-p.198
しかしながら、従来のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいて、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流の変化の様子は、ゲート電圧をマイナス側からプラス側へ変化させた場合と、ゲート電圧をプラス側からマイナス側へ変化させた場合とで大きく異なっている。即ち、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流のゲート電圧依存性には、大きなヒステリシスが出現する。このようなヒステリシスによって、電界効果トランジスタの高速スイッチングが妨げられる。
そこで本発明は、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流のゲート電圧依存性に出現するヒステリシスを抑制することによって、高速スイッチングが可能となるカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを提供することを目的とする。
本発明のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタは、ソース電極(2)とドレイン電極(3)間を電気的に接続するチャネル部(4)を、カーボンナノチューブによって構成すると共に、ゲート電極(1)上に形成されたゲート絶縁膜(5)の表面に配置し、更に、前記ゲート絶縁膜(5)の材料としてSiOよりも高い比誘電率を有する誘電材料を用いた。
上記本発明のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいては、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に一定の電圧が印加され、ゲート電極(1)に印加されるゲート電圧の変化によって、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流が変化する。
これは、チャネル部(4)とドレイン電極(3)との界面、及びチャネル部(4)とソース電極(2)との界面に実効的なショットキー障壁が形成されており、又、ゲート電圧の変化によってチャネル部(4)のバンド曲がり(band bending)が変化し、チャネル部(4)のバンド曲がりの変化によって、チャネル部(4)とドレイン電極(3)との界面、及びチャネル部(4)とソース電極(2)との界面の実効的なショットキー障壁の厚さが変化するためである。
ところで、従来のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいて、SiOを材料として用いたゲート絶縁膜の表面には、水分子等の吸着成分が多く存在している。ゲート電圧の印加によってチャネル部から漏れ電界が発生するので、イオン化した吸着成分がチャネル部に引き寄せられる。そして、チャネル部に到達した吸着成分は、チャネル部の電荷トラップとして作用する。この様な電荷トラップの存在は、ソース電極とドレイン電極の間を流れる電流に影響を及ぼし、このことがヒステリシスの要因になっていると考えられる。
一方、上記本発明のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタによれば、ゲート絶縁膜(5)の表面において、SiOを材料として用いたゲート絶縁膜に比べて、吸着成分が生じ難く、且つ吸着成分が除去され易いことが、ゲート絶縁膜の容量測定(C-V測定)から明らかとなっている。
従って、チャネル部(4)における吸着成分による電荷トラップの発生が抑制され、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流が電荷トラップの存在によって大きな影響を受けることがないので、ヒステリシスが抑制され、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタの高速スイッチングが可能となる。
具体的な構成において、前記誘電材料の比誘電率が50以上であり、更に具体的な構成において、前記ゲート絶縁膜(5)の材料として、Ba0.4Sr0.6Ti0.96が用いられている。
該具体的な構成によれば、ヒステリシスの抑制効果が更に高められる。
更に具体的な構成において、前記チャネル部(4)は、1本、或いは複数本の単層カーボンナノチューブによって構成されている。
1本のカーボンナノチューブによって構成されたチャネル部(4)の移動度は、複数本のカーボンナノチューブによって構成されたチャネル部(4)の移動度に比較して大きい。
一方、複数本のカーボンナノチューブにより構成されたチャネル部(4)は、一般的に、1本のカーボンナノチューブにより構成されたチャネル部(4)に比べて低温のプロセスにより作製することが出来る。
具体的な構成において、前記ゲート電極(1)を構成するシリコン基板を具え、該シリコン基板表面にゲート絶縁膜(5)が形成されている。
他の具体的な構成において、前記ゲート電極(1)が可撓性を有する基板上に形成されている。更に具体的には、前記可撓性基板は透明であり、ポリエチレンテレフタレートから形成されている。
上記カーボンナノチューブ電界効果トランジスタの製造方法は、ゲート電極(1)上にSiOよりも高い比誘電率を有する誘電体材料を用いてゲート絶縁膜(5)を成膜する第1工程と、該ゲート絶縁膜(5)表面にソース電極(2)とドレイン電極(3)を作製する第2工程と、前記ゲート絶縁膜(5)表面にチャネル部(4)を形成する第3工程とを有する。
具体的な構成において、前記ゲート絶縁膜(5)の材料としてBa0.4Sr0.6Ti0.96を用い、該ゲート絶縁膜(5)をゾル−ゲル法により作製する。
具体的な構成において、複数のカーボンナノチューブを有機溶媒中に分散させた溶液を、ゲート絶縁膜(5)表面のソース電極(2)とドレイン電極(3)間に滴下する。更に具体的な構成において、前記有機溶媒は、エタノール、ジメチルフォルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、或いはデオキシコール酸ナトリウムの何れかである。
該具体的な構成によれば、低温プロセスによって、複数のカーボンナノチューブによって構成されたチャネル部(4)を形成することが出来る。
他の具体的な構成において、カーボンナノチューブを化学気相成長法により前記ゲート絶縁膜(5)の表面に成長させる。
該具体的な構成によれば、1本のカーボンナノチューブにより構成されたチャネル部(4)を形成することが出来る。
本発明に係るカーボンナノチューブ電界効果トランジスタによれば、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流のゲート電圧依存性のヒステリシスが抑制され、高速スイッチングが可能となる。
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。本発明のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタは、図1に示す如く、ゲート電極(1)の上表面がゲート絶縁膜(5)に覆われており、該ゲート絶縁膜(5)の表面に、ソース電極(2)、ドレイン電極(3)、及びソース電極(2)とドレイン電極(3)間を電気的に接続するチャネル部(4)が形成されている。このチャネル部(4)は、複数本のカーボンナノチューブ束(40)により構成されている。
ゲート電極(1)はp型のシリコン基板によって構成されており、該シリコン基板は、非常に高いホールドープ濃度によって、金属的な性質を有している。尚、シリコン基板の極性はn型でもよく、ゲート電極(1)として金属的な性質を有することが重要である。
又、図2に示す様に、ゲート電極(1)の裏面に、銀ペーストからなる金属電極部(11)が形成されている。尚、図2において、簡略化のために、チャネル部(4)を1本のカーボンナノチューブとして模式的に図示している。
ゲート絶縁膜(5)の材料として、100程度の高い比誘電率を有するBa0.4Sr0.6Ti0.96(BST)が用いられている。これに対して、従来からゲート絶縁膜の材料として用いられているSiOの比誘電率は4程度である。尚、ゲート絶縁膜(5)の厚さは270nmである。
図3に示す様に、ソース電極(2)とドレイン電極(3)は、互いに等しい矩形状のパターンに形成されている。この様なソース電極(2)とドレイン電極(3)の間隔、即ちゲート長(LSD)は5μmであり、該ゲート長方向と直交する方向についてのソース電極(2)とドレイン電極(3)の寸法、即ちゲート幅(W)は50μmである。
ソース電極(2)とドレイン電極(3)は共に、ゲート絶縁膜(5)の表面に形成された金薄膜と、該金薄膜の表面に形成されたクロム薄膜とからなる積層体であり、金薄膜とクロムの薄膜厚さはそれぞれ、50nmと10nmである。尚、図3において、簡略化のために、チャネル部(4)を1本のカーボンナノチューブとして模式的に図示している。
図1に示す様に、チャネル部(4)は、複数本のカーボンナノチューブ束(40)により構成されており、これらカーボンナノチューブ束(40)は、それぞれ複数本のカーボンナノチューブによって構成されている。これらカーボンナノチューブは、直径約1.4nm程度の単層カーボンナノチューブである。
これらカーボンナノチューブ束(40)は、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間でランダムに配置されている。そして、ソース電極(2)に接触している一部のカーボンナノチューブ束(40)、ドレイン電極(3)に接触している一部のカーボンナノチューブ束(40)、及びソース電極(2)とドレイン電極(3)の間で互いに接触する複数のカーボンナノチューブ束(40)によって、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間が連結されている。
次に、図1に示す本発明に係るカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの製造方法について説明する。まず、ゲート電極(1)として用いるシリコン基板を用意する。シリコン基板の表面は、空気中の酸素により酸化されたSiO膜により覆われているので、シリコン基板にフッ酸処理を施してSiO膜を除去する。SiO膜を除去した後のシリコン基板を洗浄し、350℃に加熱する熱処理を施した後、露出したシリコン基板の表面に、ゲート絶縁膜(5)を形成する。
ゲート絶縁膜(5)の形成工程において、ゲート絶縁膜(5)とするBST膜をゾル−ゲル法により作製する。先ず、BST膜を作製するためのゾル−ゲル溶液を用意し、このゾル−ゲル溶液を、シリコン基板の表面にスピンコーティングにより塗布する。次に、塗布されたゾル−ゲル溶液膜に350℃の熱処理を施し、その後、熱処理された膜にアニール処理を施す。アニール処理は、100ml/分の酸素ガス流中で行ない、処理温度は700℃である。
引き続き、アニール処理後の膜の上に更にゾル−ゲル溶液を塗布し、更に塗布した膜についても、上記と同条件の熱処理、及びアニール処理を施す。この様にして、アニール処理後の膜の上に更にゾル−ゲル溶液を塗布する工程を繰り返し、所望の膜厚(270nm)のゲート絶縁膜(5)を形成する。例えば、1回で形成される膜の厚さが90nmであれば、ゾル−ゲル溶液の塗布を3回繰り返すこととなる。
ゲート絶縁膜(5)を形成した後、該ゲート絶縁膜(5)の表面にソース電極(2)とドレイン電極(3)を形成する。ソース電極(2)とドレイン電極(3)の形成工程において、ゲート絶縁膜(5)の表面に、蒸着法により金薄膜を形成した後、該金薄膜の表面に、同じく蒸着法によりクロム薄膜を形成する。そして、金薄膜と、該金薄膜の表面に形成されたクロムの薄膜を、フォトリソエッチングによって、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の形状に加工する。
ゲート絶縁膜(5)の表面にソース電極(2)とドレイン電極(3)を形成した後、ゲート絶縁膜(5)の表面にチャネル部(4)を形成する。チャネル部(4)の形成工程において、先ず、複数のカーボンナノチューブ束(40)をシート状に成形したカーボンナノチューブシートを用意する。カーボンナノチューブシートを構成する複数のカーボンナノチューブ束(40)は、それぞれ複数の単層カーボンナノチューブにより構成されており、ニッケルとコバルトを触媒金属としてレーザ蒸発法により合成された後、精製されたものである。
ところで、単層カーボンナノチューブの2/3は半導体的な性質を示し、残り1/3の単層カーボンナノチューブは金属的な性質を示すので、適切な処理、例えば電気的破壊により金属的な性質を示す単層カーボンチューブを除去し、半導体的な性質を示す単層カーボンナノチューブのみを利用している。尚、カーボンナノチューブシートの大きさは、5mm×5mmである。
カーボンナノチューブ束(40)が有機溶媒中に分散した分散溶液を作製するために、有機溶媒とするジメチルフォルアミド中に前記カーボンナノチューブシートを浸す。
そして、カーボンナノチューブシートが浸されたジメチルフォルアミドに超音波を5時間照射することによって、カーボンナノチューブ束(40)をジメチルフォルアミド中に分散させる。尚、有機溶媒としては、ジメチルフォルアミドの他にエタノール、ラウリル硫酸ナトリウム、或いはデオキシコール酸ナトリウムを用いることも可能である。
更に、上記分散溶液を遠心分離し、この分散溶液から、カーボンナノチューブ束(40)が一様に分散していると考えられる上澄み部分を抽出する。そして、抽出された分散溶液をソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に滴下する。尚、抽出された分散溶液は、10〜20μlずつ、数回滴下する。尚、抽出された分散溶液において、ジメチルフォルアミドに対するカーボンナノチューブの重量比は5.8×10−6である。
抽出された分散溶液をソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に滴下した後、敵下された分散溶液を80℃に加熱して、分散溶液中のジメチルフォルアミドを蒸発させる。この様に、低温プロセスによってチャネル部(4)が完成する。
以上の製造方法によって、図1に示す如きカーボンナノチューブ電界効果トランジスタが完成する。又、このカーボンナノチューブ電界効果トランジスタのゲート電極(1)をゲート電圧印加用の端子(図示省略)に接続する際、ゲート電極(1)の裏面に銀ペーストを塗布して端子に接続すべき金属電極部(11)を形成する。
次に、図1に示す本発明に係るカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの動作について説明する。該カーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいては、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に一定の電圧が印加され、ゲート電極(1)に、金属電極部(11)からゲート電圧が印加される。そして、ゲート電圧の変化によって、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流の大きさが変化する。
ここで、ゲート電極(1)に印加されるゲート電圧の変化によって、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流の大きさが変化する原理について簡単に説明する。
チャネル部(4)は半導体的な性質を有しており、チャネル部(4)とドレイン電極(3)との界面、及びチャネル部(4)とソース電極(2)との界面に実効的なショットキー障壁が形成されている。又、チャネル部(4)はゲート絶縁膜(5)を挟んでゲート電極(1)と対向しており、ゲート電極(1)に印加されるゲート電圧の変化によってチャネル部(4)のバンド曲がり(band bending)が変化する。そして、チャネル部(4)のバンド曲がりの変化によって、チャネル部(4)とドレイン電極(3)との界面、及びチャネル部(4)とソース電極(2)との界面の実効的なショットキー障壁の厚さが変化する。
例えば、マイナス方向に大きなゲート電圧を印加した場合、チャネル部(4)のバンド曲がりが大きくなり、チャネル部(4)とドレイン電極(3)との界面のショットキー障壁が実効的に薄くなる。従って、ドレイン電極(3)からチャネル部(4)にホールが注入され易くなり、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を、ホールによる電流が流れる。
この状態からゲート電圧をプラス側に向けて変化させると、ある値のゲート電圧付近において、チャネル部(4)のバンド曲がりが消失するため、チャネル部(4)とドレイン電極(3)との界面の実効的なショットキー障壁が厚くなる。このとき、チャネル部(4)へのホール注入が困難となるので、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に電流が流れない。この状態がオフ状態である。
オフ状態から、ゲート電圧を更にプラス側に向けて変化させ、プラス方向に大きなゲート電圧を印加した場合、チャネル部(4)のバンドは、マイナス方向に大きなゲート電圧を印加した場合と逆向きに曲がる。このとき、チャネル部(4)とドレイン電極(3)との界面のショットキー障壁は実効的に更に厚くなるが、チャネル部(4)とソース電極(2)との界面のショットキー障壁が実効的に薄くなる。従って、ソース電極(2)からチャネル部(4)に電子が注入され易くなり、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を、電子による電流が流れる。ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を、ホール、又は電子による電流が流れる状態がオン状態である。
ここでは、ゲート電圧をマイナス側からプラス側へと変化させた例を挙げたが、プラス側からマイナス側へと変化させた場合も、後述のヒステリシスの存在による複雑さはあるものの、基本的な動作原理は同じである。
次に、本発明に係るカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの実施例について、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電極のゲート電圧依存性を説明する。ここでは、ドレイン電極(3)を直流電源に接続し、ソース電極(2)を接地することによって、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に0.1Vの電圧を印加し、ゲート電極(1)に印加するゲート電圧を−4Vから+4V、或いは+4Vから−4Vへと変化させた。
尚、実施例とするカーボンナノチューブ電界効果トランジスタのゲート絶縁膜(5)の材料として用いたBa0.4Sr0.6Ti0.96の比誘電率は、このゲート絶縁膜(5)が平行平板であることを仮定して、このゲート絶縁膜(5)の容量測定の結果から、大気中で128、真空中で100と算出された。
図4のグラフは、ゲート電圧を−4Vから+4Vへと変化させた場合の、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流のゲート電圧依存性を示している。図4のグラフからわかる様に、−4Vから−2.5Vのゲート電圧を印加したとき、ホールによる電流が流れるオン状態が現れており、−2.5Vから−2Vのゲート電圧を印加したとき、電流が殆ど流れなくなるオフ状態が現れている。そして、−1Vから+4Vのゲート電圧を印加したとき、電子による電流が流れるオン状態が現れている。このことから、実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの駆動において、必要なゲート電圧の大きさが約2.5V以上であることがわかる。
尚、ゲート電圧を一定としたとき、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流は、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に印加される電圧に依存する。図5のグラフに示す様に、−4V或いは+4Vのゲート電圧を印加したとき、ソース電極(2)とドレイン電極(3)間を流れる電流は、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間の電圧の増大と共に増大する。一方、ゲート電圧をオフ状態に相当する−2Vとしたとき、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間の電圧を増大させても、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に電流は殆ど流れない。
比較例として、ゲート絶縁膜の材料としてSiOを用いたカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを作製した。比較例とするカーボンナノチューブ電界効果トランジスタのゲート絶縁膜の厚さは、200nmである。尚、比較例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタは、ゲート絶縁膜のみが本発明の実施例と異なり、他の構成及び材料は本発明の実施例と同じである。
図6のグラフは、比較例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタについて、ゲート電圧を−40Vから+40Vへと変化させた場合のソース電極とドレイン電極の間を流れる電流のゲート電圧依存性を示している。図6のグラフからわかる様に、−30Vから−20Vのゲート電圧を印加したとき、電流が殆ど流れなくなるオフ状態が現れており、0Vから+40Vのゲート電圧を印加したとき、オン状態が現れている。このことから、実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいては、必要なゲート電圧の大きさが約30V以上であることがわかる。
この様に、実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタは、比較例とするカーボンナノチューブ電界効果トランジスタに比べて、低ゲート電圧での駆動が可能である。又、比較例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタでは、相互コンダクタンス(ゲート電圧の変化に対するソース電極とドレイン電極間の電流の変化)が0.015μSであったのに対し、実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの相互コンダクタンスは0.18μSであり、10倍以上増大している。
次に、実施例とするカーボンナノチューブ電界効果トランジスタのソース電極(2)とドレイン電極(3)との間を流れる電流の変化の様子について、ゲート電圧をマイナス側からプラス側へと変化させた場合と、ゲート電圧をプラス側からマイナス側へと変化させた場合との差異、即ち、ヒステリシスについて説明する。
大気中に設置された実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタについて、ゲート電圧を−4Vから+4Vへと変化させた場合と、ゲート電圧を+4Vから−4Vへと変化させた場合とで、それぞれソース電極(2)とドレイン電極(3)間を流れる電流を測定した。その結果を図7のグラフに示す。該グラフからわかる様に、ソース電極(2)とドレイン電極(3)間を流れる電流のゲート電圧依存性にはヒステリシスが出現しており、ゲート電圧を−4Vから+4Vへと変化させた場合、−3Vから−2Vのゲート電圧を印加したときにオフ状態が現れているのに対し、ゲート電圧を+4Vから−4Vへと変化させた場合には、+1Vから0Vのゲート電圧を印加したときにオフ状態が現れている。尚、測定時の周囲温度は室温である。
一方、前記比較例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタについても、上記と同様の大気中、周囲温度下に設置し、ゲート電圧を−40Vから+40Vへと変化させた場合と、ゲート電圧を+40Vから−40Vへと変化させた場合とで、それぞれソース電極とドレイン電極間を流れる電流を測定した。その結果を図8のグラフに示す。該グラフからわかる様に、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流のゲート電圧依存性には大きなヒステリシスが出現しており、ゲート電圧を−40Vから+40Vへと変化させた場合、−20V付近のゲート電圧を印加したときにオフ状態が現れているのに対し、ゲート電圧を+40Vから−40Vへと変化させた場合には、+22V付近のゲート電圧を印加したときにオフ状態が現れている。
この様なヒステリシスの出現は、ゲート絶縁膜の表面に吸着した水分子等の吸着成分の存在に関係していると考えられる。ここで、ヒステリシスと吸着成分との関係について説明する。
カーボンナノチューブ電界効果トランジスタの駆動状態において、ゲート電圧の印加によって、チャネル部の両側のゲート絶縁膜表面に漏れ電界が発生する。尚、漏れ電界が発生する領域のチャネル部を中央とする幅寸法は、ゲート絶縁膜の厚さ寸法とほぼ一致する。
この様な漏れ電界の発生によって、イオン化した吸着成分がチャネル部に引き寄せられる。そして、チャネル部に到達した吸着成分が、チャネル部の電荷トラップとして作用することとなる。
例えば、吸着成分としての水分子は、ホールトラップとして作用することとなる。この様な電荷トラップの存在は、ソース電極とドレイン電極の間を流れる電流に影響を及ぼし、このことがヒステリシス出現の要因になっていると考えられる。
従って、ゲート絶縁膜表面の吸着成分を除去することによって、ヒステリシスを抑制することができると考えられる。そこで、真空中に実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを設置し、ゲート電圧を−4Vから+4Vへと変化させた場合と、ゲート電圧を+4Vから−4Vへと変化させた場合において、それぞれソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流を測定した。その結果を図9のグラフに示す。該グラフからわかる様に、ゲート電圧を−4Vから+4Vへと変化させた場合のソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流の変化の様子は、ゲート電圧を+4Vから−4Vへと変化させた場合のソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流の変化の様子と略同じであり、図6のグラフに示す空気中での測定結果に比べて、ヒステリシスが大幅に減少している。尚、測定時の真空度は5×10−6torr程度であり、測定時の周囲温度は室温である。
このことから、真空中においてゲート絶縁膜(5)の表面の吸着成分が除去されたと考えられる。又、半導体パラメータアナライザを用いて大気中と真空中におけるゲート絶縁膜(5)の容量を算出した結果、空気中におけるゲート絶縁膜(5)の容量が21pFであったのに対し、真空中におけるゲート絶縁膜(5)の容量は16pFであった。この様なゲート絶縁膜(5)の容量の差は、大気中においてゲート絶縁膜(5)の表面の吸着成分がゲート絶縁膜(5)の容量に連結された微小容量として振舞うのに対し、真空中において、ゲート絶縁膜(5)表面の吸着成分が除去されたものと考えられる。
一方、比較例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを、上記と同様の真空中、周囲温度下に設置し、ゲート電圧を−40Vから+40Vへと変化させた場合、及びゲート電圧を+40Vから−40Vへと変化させた場合のソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流のゲート電圧依存性を測定した。その結果を図10のグラフに示す。図10のグラフからわかる様に、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流のゲート電圧依存性には大きなヒステリシスが出現しており、このヒステリシスの大きさは、図8のグラフに示す空気中での測定結果と略同じである。
このことから、SiOを用いたゲート絶縁膜の表面の吸着成分は、真空中においても除去されないと考えられる。この様なSiOを用いたゲート絶縁膜に比べて、BSTを用いたゲート絶縁膜(5)の表面には吸着成分が生じ難い、若しくはゲート絶縁膜(5)の表面から吸着成分が除去され易いと考えられる。
この様なゲート絶縁膜(5)の表面特性は、ゲート絶縁膜(5)の材料であるBSTの高い比誘電率と何らかの関係があると考えられる。従って、ゲート絶縁膜(5)の材料として、少なくともSiOよりも高い比誘電率を有する誘電材料を用いることによって、ゲート絶縁膜の材料としてSiOを用いた場合に比べてヒステリシスが抑制されると考えられる。
ヒステリシスの抑制効果を更に高めるためには、ゲート絶縁膜の材料として50以上の比誘電率を有する材料を用いることが好ましいと考えられる。50以上の比誘電率を有する材料としては、例えば、PbZrTiOが挙げられる。
この様に、本発明のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいては、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を流れる電流のゲート電圧依存性に出現するヒステリシスが抑制されているので、高速のスイッチングを実現することが出来る。
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいては、シリコン基板によりゲート電極(1)を構成したが、可撓性を有するフィルム上にゲート電極膜を配置し、該ゲート電極膜の表面を覆うゲート絶縁膜(5)の表面にチャネル部(4)を形成してもよい。この様なフィルム型のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタは、有機ELディスプレイ等の薄膜ディスプレイや無線タグの駆動用トランジスタとしての応用が考えられる。又、可撓性を有する透明なフィルムを用いることも可能である。可撓性を有する透明なフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
又、チャネル部は、1本のカーボンナノチューブから形成されていてもよい。1本のカーボンナノチューブからなるチャネル部を作製するためには、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)を用いて、ゲート絶縁膜(5)の表面にカーボンナノチューブを直接成長させる。
本発明のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの斜視図である。 図1に示すカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの断面図である。 図1に示すカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ平面図である。 実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを流れる電流のゲート電圧依存性を示すグラフである。 各ゲート電圧において、実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを流れる電流のドレイン電極に印加される電圧による変化を示すグラフである。 比較例とするカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを流れる電流のゲート電圧依存性を示すグラフである。 大気中で、実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを流れる電流のゲート電圧依存性に出現するヒステリシスを示すグラフである。 大気中で、比較例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを流れる電流のゲート電圧依存性に出現するヒステリシスを示すグラフである。 真空中で、実施例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを流れる電流のゲート電圧依存性に出現するヒステリシスを示すグラフである。 真空中で、比較例のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを流れる電流のゲート電圧依存性に出現するヒステリシスを示すグラフである。
符号の説明
(1) ゲート電極
(2) ソース電極
(3) ドレイン電極
(4) チャネル部
(5) ゲート絶縁膜

Claims (14)

  1. ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を電気的に接続するチャネル部(4)が、ゲート電極(1)上に形成されたゲート絶縁膜(5)の表面に配置されており、該チャネル部(4)がカーボンナノチューブによって構成されているカーボンナノチューブ電界効果トランジスタにおいて、
    前記ゲート絶縁膜(5)の材料として、SiOよりも高い比誘電率を有する誘電材料が用いられていることを特徴とするカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  2. 前記誘電材料の比誘電率が50以上である請求項1に記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  3. 前記ゲート絶縁膜(5)の材料として、Ba0.4Sr0.6Ti0.96が用いられている請求項2に記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  4. 前記チャネル部(4)は、複数本の単層カーボンナノチューブにより構成されている請求項1乃至3の何れかに記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  5. 前記チャネル部(4)は、1本の単層カーボンナノチューブにより構成されている請求項1乃至3の何れかに記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  6. 前記ゲート電極(1)を構成するシリコン基板を具え、該シリコン基板の表面にゲート絶縁膜(5)が形成されている請求項1乃至5の何れかに記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  7. 前記ゲート電極(1)が可撓性を有する基板上に形成されている請求項1乃至5の何れかに記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  8. 前記可撓性基板は、透明である請求項7に記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  9. 前記可撓性基板の材料として、ポリエチレンテレフタレートが用いられている請求項8に記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ。
  10. ゲート電極(1)上にゲート絶縁膜(5)が形成されており、該ゲート絶縁膜(5)の表面にソース電極(2)とドレイン電極(3)が形成され、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間を電気的に接続するチャネル部(4)がカーボンナノチューブによって構成されているカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの製造方法であり、
    ゲート電極(1)の表面に、SiOよりも高い比誘電率を有する誘電体材料を用いてゲート絶縁膜(5)を成膜する第1工程と、
    ゲート絶縁膜(5)の表面にソース電極(2)とドレイン電極(3)を作製する第2工程と、
    ゲート絶縁膜(5)の表面にチャネル部(4)を形成する第3工程
    とを有するカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの製造方法。
  11. 第1工程において、前記ゲート絶縁膜(5)の材料としてBa0.4Sr0.6Ti0.96を用い、該ゲート絶縁膜(5)をゾル−ゲル法により作製する請求項10に記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの製造方法。
  12. 第3工程において、複数のカーボンナノチューブを有機溶媒中に分散させた溶液を、ゲート絶縁膜(5)表面のソース電極(2)とドレイン電極(3)の間に滴下する請求項10又は11に記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの製造方法。
  13. 前記有機溶媒は、エタノール、ジメチルフォルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、或いはデオキシコール酸ナトリウムの何れかである請求項12に記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの製造方法。
  14. 前記第3工程において、カーボンナノチューブを化学気相成長法により前記ゲート絶縁膜(5)の表面に成長させる請求項10又は11に記載のカーボンナノチューブ電界効果トランジスタの製造方法。
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