しかし、上述の如き構成のヒステリシスブレーキでは、磁界を発生させるエアギャップをヒステリシス部材と磁界発生部材との間に必ず形成しなければならない。ここで、ヒステリシス部材はヒステリシス損失によって発熱するが、エアギャップ内の空気は断熱層として働くため、ヒステリシス部材からは熱が逃げ難い。しかも、バルブタイミング調整装置に用いられるヒステリシスブレーキでは、内燃機関の運転に合わせてブレーキトルクを逐次変化させることになるため、ヒステリシス部材には、発熱を生むヒステリシス損失が略絶え間なく発生することになる。これらのことから、ヒステリシス部材は高温となり易いため、耐久性の低下が問題となっている。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、高耐久のバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明によると、機関位相の調整のために回転体から位相調整機構へ入力されるブレーキトルクは、回転体が機能性流体に接触することによって回転体へ付与される。故に、回転体がブレーキトルクの発生等に起因して発熱したとしても、機能性流体を通じて放熱可能となるので、そうした放熱作用により回転体の熱変形、熱劣化を抑制して、耐久性を高めることができる。しかも、ブレーキトルクは、粘度制御手段により可変制御される機能性流体の粘度に応じて回転体へ付与されるので、当該粘度制御によって、ブレーキトルクに従う機関位相、ひいてはバルブタイミングを高精度に調整することができる。
機能性流体の一種である磁気粘性流体(Magneto-Rheological Fluid)は、印加磁界に対する粘度の変化率が大きい。そこで、請求項2に記載の発明によると、粘度制御手段は、機能性流体としての磁気粘性流体へ印加する磁界により磁気粘性流体の粘度を可変制御するので、印加磁界の制御値増大に従って大きなブレーキトルクを発生することができる。したがって、回転体に磁気粘性流体を接触させて所望のブレーキトルクを付与するのに必要な接触面積が小さくて済むので、回転体の小型化を図ることができる。
請求項3に記載の発明によると、磁気粘性流体は、オイルに磁性粒子を懸濁させてなる機能性流体であるので、例えばベースオイルとして内燃機関の潤滑オイルと同様な成分のオイルを採用することによって、地球環境に配慮することができる。尚、磁気粘性流体としては、オイル以外の液状のベース材に磁性粒子を懸濁させてなるものであってもよいし、磁性流体が混合されてなるもの(Magnetic Compound Fluid)であってもよい。
請求項4に記載の発明によると、粘度制御手段において通電制御回路は、磁気粘性流体への印加磁界を発生するソレノイドコイルへの通電電流を制御するので、当該通電電流に対して印加磁界を一義的に定めることができる。したがって、磁界の印加により磁気粘性流体の粘度を精確に制御して、バルブタイミングの調整精度を高めることができる。
請求項5に記載の発明によると、支持体は、ソレノイドコイルが磁界を発生させる磁気ギャップを回転体との間に形成するが、当該磁界の発生は、磁気ギャップに磁気粘性流体が介在する状態下、実現されることとなる。ここで、ブレーキトルクを生む磁気粘性流体のせん断応力は、磁気粘性流体の存在スペースのサイズ減少に伴って大きくなるので、支持体及び回転体間の限られた磁気ギャップ内の磁気粘性流体によれば、大きなブレーキトルクを発生することができる。しかも、磁気粘性流体を通じた放熱作用により回転体の発熱が軽減されるので、回転体を回転自在に支持する支持体が回転体からの熱伝達によって変形、劣化することを抑制できる。
先述の特許文献1に開示されるようなヒステリシスブレーキでは、透磁率の低い空気が介在するエアギャップに磁界を発生させるため、エアギャップのサイズを十分に小さくする必要がある。それ故、エアギャップを間に形成するヒステリシス部材及び磁界発生部材の製造公差を厳しく管理しなければならず、またそれらの部材を適確に配置しなければならないため、生産性を高めることが難しい。また、一般にバルブタイミング調整装置は車両等の振動環境下において使用されるので、小さなエアギャップを挟むヒステリシス部材と磁界発生部材との衝突によって耐久性が低下するという問題もある。これに対して、請求項5に記載の発明によると、一般に透磁率が高く且つ印加磁界に対する粘度変化率の大きい磁気粘性流体が磁気ギャップに介在する状態下、磁気ギャップに磁界を発生させるので、磁気ギャップのサイズを可及的に大きくすることができる。したがって、回転体や支持体の製造公差及び配置精度に関する要求レベルを下げることができると共に、振動環境下で使用される場合であっても回転体及び支持体の衝突による耐久性の低下を防止することができる。
請求項6に記載の発明によると、回転体及び支持体の一方の内部には、他方が収容されると共に磁気粘性流体が封入されるので、回転体及び支持体間の磁気ギャップに磁気粘性流体を介在させ易くなる。したがって、磁気ギャップ内の磁気粘性流体が不足することによるブレーキトルクの低下を抑制しつつ、特別な冷却機構を必要とすることなく磁気粘性流体によって熱変形、熱劣化を抑制することができる。
回転体及び支持体の界面からは、磁気粘性流体が外部へ漏出するおそれがある。そこで、請求項7に記載の発明によると、回転体及び支持体の少なくとも一方は、回転体及び支持体の界面に沿って磁極を形成するので、当該界面から外部へ漏出しようとする磁気粘性流体を当該磁極に引き付けることができる。したがって、磁気粘性流体の漏出を抑制することができる。
請求項8に記載の発明によると、回転体は支持体内部に収容されるので、回転体の発生熱を磁気粘性流体を通じて支持体へ伝達し、当該伝達熱を支持体から外部へ放射することができる。また、支持体内部に収容される回転体は支持体に比して小型になるので、回転体の回転イナーシャを低減して回転体の支持ガタによる振動を抑えることができる。
請求項9に記載の発明によると、回転体において支持体内部に収容される回転磁性部と、支持体において回転磁性部を回転軸方向に挟む両側の支持磁性部並びにそれら支持磁性部間を接続するコイル保持部とは、いずれも磁性材により形成される。故に、回転磁性部の外周側においてコイル保持部が保持するソレノイドコイルによれば、回転磁性部及び各支持磁性部の間の磁気ギャップに磁束を通過させる磁界を確実に発生することができる。即ち、回転磁性部の回転軸方向両側の磁気ギャップに磁界を発生させることができるので、当該磁界の発生によって回転磁性部を回転軸方向の正規の位置に保持することができる。
請求項10に記載の発明によると、回転体において支持体内部に収容される回転磁性部と、支持体においてソレノイドコイルを保持するコイル保持部とは、いずれも磁性材により形成される。故に、磁気ギャップを挟んで回転磁性部と回転軸方向に向き合う箇所においてコイル保持部により保持されるソレノイドコイルによれば、回転磁性部とコイル保持部との間の磁気ギャップに磁束が通過する磁界を確実に発生させることができる。
請求項10に記載の発明の支持体において、その内部に収容される回転磁性部を回転軸方向に挟んでコイル保持部と反対側に位置する部分は、例えば回転磁性部及びコイル保持部間の磁気ギャップにおける磁界発生に実質的に寄与しない構成とすることができる。そこで、請求項11に記載の発明のように、回転磁性部を回転軸方向に挟んでソレノイドコイルとは反対側に設けられる支持体の放熱部については、例えば支持体内部の熱を外部へ放射するのに適した構成として、支持体内部の回転磁性部からの放熱作用を高めることができる。
磁気ギャップへの介在状態にある磁気粘性流体は、磁気ギャップに磁界が発生しないときにも、流体自体の基底粘度によってブレーキトルクを回転体へ付与し得る。ここで磁気粘性流体の基底粘度は、通常、環境温度が低下するほど上昇するものであるため、例えば低温環境下においては、基底粘度の上昇によりブレーキトルクが増大してバルブタイミングが目標から外れるおそれがある。そこで、請求項12に記載の発明によると、ソレノイドコイルが磁界の発生を中止することによって、磁気ギャップから、それに連通する流体溜めへと磁気粘性流体が排出されるので、当該排出流体は流体溜めにトラップされて磁気ギャップから隔離されることになる。故に磁界の発生中止時には、磁気ギャップ内の磁気粘性流体によって回転体へ付与されるブレーキトルクを低温環境下にあっても抑えることができる。しかも、請求項12に記載の発明によると、ソレノイドコイルが磁界を発生することによって、磁気粘性流体が流体溜めから磁気ギャップへ吸引される。故に磁界の発生時には、磁気ギャップに磁気粘性流体を確実に介在させた状態下、当該発生磁界より磁気粘性流体の粘度を制御して所望のブレーキトルクを得ることができる。これらのことから、ソレノイドコイルによる磁界の発生時及び中止時のいずれにおいても、目標のバルブタイミングを精確に実現することができる。
請求項13に記載の発明によると、支持体は内部の回転体との間に磁気ギャップ及び流体溜めの双方を形成するので、支持体内部に回転体を配置するだけで容易に、それら磁気ギャップ及び流体留めを形成することができる。
請求項14に記載の発明によると、磁気粘性流体は、回転体を収容する支持体内部に部分充填されるので、支持体が内部の回転体との間に形成する磁気ギャップ及び流体溜めの間において確実に磁気粘性流体を移動させることができる。
請求項15に記載の発明によると、支持体は、磁気ギャップに対して鉛直方向の下側に流体溜めを形成するので、磁界の発生中止時には、自然の重力作用によって磁気ギャップから流体留めへの磁気粘性流体の排出を促進することができる。したがって、磁気粘性流体を磁気ギャップから排出するための構成を簡素化することができる。
請求項16に記載の発明によると、支持体は、磁気ギャップに対して回転体の回転径方向の外側に流体溜めを形成するので、磁界の発生中止時には、回転体に不可避的に発生する遠心力の作用によって磁気ギャップから流体留めへの磁気粘性流体の排出を促進することができる。したがって、磁気粘性流体を磁気ギャップから排出するための構成を簡素化することができる。尚、磁気ギャップの回転径方向外側の流体溜めについては、例えば請求項17に記載の発明のように回転体の回転方向に沿って延伸する環状に形成してもよいし、請求項18に記載の発明のように回転体の回転方向に沿って複数形成してもよい。
請求項19に記載の発明によると、支持体は流体溜めの周囲に磁極を形成するので、ソレノイドコイルが磁界の発生を中止する間は、磁気粘性流体を流体溜めに引き付けて磁気粘性流体が磁気ギャップへ戻ることを防止できる。
請求項20に記載の発明によると、磁気ギャップと流体溜めとの連通箇所に流体溜めの周囲磁極が発生する磁界の強度は、当該連通箇所にソレノイドコイルが発生する磁界の強度よりも弱い。故に、ソレノイドコイルが磁界の発生を中止する間は、磁気粘性流体を流体溜めに十分に引き付けてトラップし、逆にソレノイドコイルが磁界を発生するときには、当該発生磁界によって磁気粘性流体を磁気ギャップまで確実に吸引することができる。したがって、ソレノイドコイルによる磁界の発生時及び中止時のいずれにおいても、目標のバルブタイミングをより精確に実現することができる。
請求項21に記載の発明によると、磁気ギャップの幅変化部は、流体溜めに近いほど、ソレノイドコイルの発生磁界の磁束が通過するギャップ方向に拡幅する。このような幅変化部によれば、ソレノイドコイルの発生磁界により粘度上昇した磁気粘性流体が磁気ギャップの流体溜め近傍箇所において詰まり、磁気ギャップの流体溜めから離れた箇所へ磁気粘性流体が行きわたり難くなることを阻止できる。
請求項22に記載の発明によると、回転体の回転テーパ部は磁気ギャップの幅変化部を挟んで支持体と回転軸方向に向き合うので、当該回転軸方向は磁気ギャップのギャップ方向と略一致する。故に、回転径方向の外側へ向かうほど支持体から離間する回転テーパ部と支持体との間の幅変化部について、支持体内部に回転体を配置するだけで容易に上記拡幅形状を得ることができる。
請求項23に記載の発明によると、支持体の支持テーパ部は磁気ギャップの幅変化部を挟んで回転体と回転軸方向に向き合うので、当該回転軸方向は磁気ギャップのギャップ方向と略一致する。故に、回転径方向の外側へ向かうほど回転体から離間する支持テーパ部と回転体との間の幅変化部について、支持体内部に回転体を配置するだけで容易に上記拡幅形状を得ることができる。
請求項24に記載の発明によると、機能性流体の一種である電気粘性流体(Electro-Rheological Fluid)は、印加電界に対する粘度の変化速度が速い。そこで、請求項24に記載の発明によると、粘度制御手段は、機能性流体としての電気粘性流体へ印加する電界により電気粘性流体の粘度を可変制御するので、印加電界の制御値変更に対してブレーキトルクを素早く変化させることができる。したがって、バルブタイミングの調整応答性が高くなる。尚、電気粘性流体としては、液状のベース材に誘電性粒子を懸濁させてなるもの(分散系)であってもよいし、単一の誘電性流体からなるもの(均一系)であってもよい。
請求項25に記載の発明によると、粘度制御手段において通電制御回路は、電気粘性流体への印加電界を発生する複数電極への通電電圧を制御するので、当該通電電圧に対して印加電界を一義的に定めることができる。したがって、電界の印加により電気粘性流体の粘度を精確に制御して、バルブタイミングの調整精度を高めることができる。
請求項26に記載の発明によると、支持体は、電極が電界を発生させる電気的ギャップを回転体との間に形成するが、当該電界の発生は、電気的ギャップに電気粘性流体が介在する状態下、実現されることとなる。ここで、ブレーキトルクを生む電気粘性流体のせん断応力は、電気粘性流体の存在スペースのサイズ減少に伴って大きくなるので、支持体及び回転体間の限られた電気的ギャップ内の電気粘性流体によれば、大きなブレーキトルクを発生することができる。しかも、電気粘性流体を通じた放熱作用により回転体の発熱が軽減されるので、回転体を回転自在に支持する支持体が回転体からの熱伝達によって変形、劣化することを抑制できる。
請求項27に記載の発明によると、回転体及び支持体の一方の内部には、他方が収容されると共に電気粘性流体が封入されるので、回転体及び支持体間の電気的ギャップに電気粘性流体を介在させ易くなる。したがって、電気的ギャップ内の電気粘性流体が不足することによるブレーキトルクの低下を抑制しつつ、特別な冷却機構を必要とすることなく電気粘性流体によって熱変形、熱劣化を抑制することができる。
一般に低粘度の電気粘性流体は、回転体及び支持体の界面から外部へ漏出し易い。そこで、請求項28に記載の発明によると、シール部材が回転体及び支持体の界面をシールするので、当該界面から外部へ漏出しようとする電気粘性流体を止めることができる。
請求項29,32に記載の発明によると、回転体は支持体内部に収容されるので、回転体の発生熱を電気粘性流体を通じて支持体へ伝達し、当該伝達熱を支持体から外部へ放射することができる。また、支持体内部に収容される回転体は支持体に比して小型になるので、回転体の回転イナーシャを低減して、回転体の支持ガタによる振動を抑えることができる。
請求項30に記載の発明によると、支持体の電極保持部は、電気的ギャップを挟んで回転体と回転軸方向に向き合う箇所において、電極としての正及び負電極を回転体の回転径方向に交互に保持するので、当該回転径方向の広い範囲で電界を発生させることができる。したがって、所望のブレーキトルクを得るのに必要な体格を小さくすることができる。また、回転体を支持する支持体に正及び負電極の双方が保持されることによれば、回転体及び支持体にそれぞれ正及び負電極が振り分けられる場合と異なり、回転体及び支持体の界面に放電防止用の電気絶縁材を設ける必要がなくなるので、構成を簡素化できる。
請求項31に記載の発明によると、回転体及び支持体の一方の内部には、他方が収容されると共に電気粘性流体が完全充填されるので、回転体及び支持体間の電気的ギャップに電気粘性流体を常時介在させることができる。したがって、電気的ギャップ内の電気粘性流体が不足することによるブレーキトルクの低下を抑制しつつ、特別な冷却機構を必要とすることなく電気粘性流体によって熱変形、熱劣化を抑制することができ、しかも正及び負電極の間での放電が生じ難くなる。
請求項32に記載の発明によると、正及び負電極を保持する支持体の電極保持部は、支持体内部の回転体を回転軸方向に挟む両側に設けられ、それぞれ回転体との間に電気的ギャップを形成する。これによれば、回転体に対してブレーキトルクを回転軸方向の両側から付与することができるので、ブレーキトルクが増大する。
請求項33に記載の発明のように磁気粘性流体が部分充填される支持体内部において、環境温度の変化により空気が膨縮することで当該内部の圧力が増減すると、支持体や回転体の変形を招いて耐久性を低下させることが懸念される。しかし、請求項33に記載の発明によると、支持体及びそれを貫通して位相調整機構に連繋する回転体の軸部のうち少なくとも一方が形成する通気孔は、それが連通させた支持体の内部及び外部間での空気の出し入れを、環境温度変化による空気の膨縮に応じて可能にする。これによれば、支持体内部の圧力増減により支持体や回転体が変形して耐久性が低下する事態を、抑制することができる。
請求項34に記載の発明のように磁気粘性流体が部分充填される支持体の内部に露出して、回転体の軸部を支持する支持体の転がり軸受には、支持体内部の圧力増大によって磁気粘性流体が浸入する事態が、懸念される。しかし、通気孔の働きによれば、支持体内部の圧力が変化し難くなるので、磁気粘性流体の浸入に起因して転がり軸受の耐久性が低下する事態を抑制することができる。
請求項35に記載の発明のように支持体内部に露出する転がり軸受では、それに封入された潤滑液が支持体内部の圧力減少によって漏出する事態が、懸念される。しかし、通気孔の働きによれば、支持体内部の圧力が変化し難くなるので、潤滑液の漏出に起因して転がり軸受の耐久性が低下する事態を抑制することができる。
請求項36に記載の発明のように支持体及び回転体の軸部の間をシールするシール部材は、支持体内部の圧力が増大するほど、軸部に対する接触圧を高める必要がある。ここで、軸部に対するシール部材の接触圧が高くなると、磁気ギャップに磁界が発生していない状態下、当該接触圧に起因するブレーキトルクが軸部に作用して、バルブタイミングがずれるおそれが生じる。しかし、通気孔の働きによれば、支持体内部の圧力増大を抑えて、軸部に対するシール部材の接触圧を可及的に低下させることができる。これによれば、シール部材の接触圧に起因して軸部に作用するブレーキトルクを低減することができるのである。
請求項37に記載の発明によると、支持体内部に露出する通気孔の端部は、回転体の停止状態において磁気粘性流体の液面よりも鉛直方向の上側に位置することになるので、当該端部には、支持体内部の磁気粘性流体が流入し難くなる。これによれば、磁気粘性流体が支持体内部から通気孔を通じて支持体外部へと流出する事態を、抑制することができる。
請求項38に記載の発明によると、支持体内部に露出する通気孔の端部には、気体の通過を許容すると共に液体の通過を拒絶するフィルタが設けられるので、当該端部に支持体内部の磁気粘性流体が流入することを阻止し得る。これによれば、磁気粘性流体が支持体内部から通気孔を通じて支持体外部へと流出する事態を、回避することができる。
請求項39に記載の発明によると、回転体の軸部に形成される通気孔は、支持体の内部と、支持体の外部となる位相調整機構の内部との間を連通するので、異物が入り込み難い。したがって、通気孔を通じた空気の出し入れが異物によって阻害されることで耐久性の低下に繋がる事態を、回避することができる。
請求項40に記載の発明によると、回転体の軸部は、通気孔が回転軸方向に貫通すると共に支持体内部への露出端面に当該通気孔の端部が開口する筒状を呈するので、形成が容易となる。
請求項41に記載の発明によると、回転体の軸部において支持体内部への露出端面に開口する通気孔の端部には、気体の通過を許容すると共に液体の通過を拒絶するフィルタが設けられるので、当該端部に支持体内部の磁気粘性流体が流入することを阻止し得る。これによれば、磁気粘性流体が支持体内部から通気孔を通じて支持体外部へと流出する事態を、回避することができる。また、フィルタが設けられる通気孔の端部は、回転する回転体の軸部端面に開口するので、フィルタに付着した磁気粘性流体を軸部の回転遠心力により飛ばして、磁気粘性流体によるフィルタの劣化を抑制することができる。さらにフィルタは、支持体内部に露出する軸部端面に開口した通気孔端部に設けられて当該支持体により保護されることになるので、支持体外部の異物の衝突によってフィルタが破損する事態を防止することができる。
請求項42に記載の発明によると、回転体の軸部を、通気孔の開口する端面よりも位相調整機構との連繋側において支持体に片持ち支持させるので、当該端面を支持体内部に確実に露出させて空気の出し入れ口を確保することができる。
請求項43に記載の発明によると、ギャップ方向の幅が磁気ギャップよりも拡大された拡大ギャップが回転体及び支持体間に形成されるので、当該拡大ギャップに磁気粘性流体を流入させることで、支持体内部の磁気粘性流体を部分充填の範囲で可及的に増量できる。これによれば、支持体内部の磁気粘性流体にて吸収可能な熱エネルギー量を増大して、磁気粘性流体の劣化を抑制することができる。
請求項44に記載の発明によると、拡大ギャップに露出して回転体の軸部を支持する転がり軸受は、ソレノイドコイルが磁界を発生させる磁気ギャップからは離間するものとなるので、当該磁界により磁気粘性流体が誘導されて転がり軸受に浸入する事態を、抑制することができる。
請求項45に記載の発明によると、回転体において拡大ギャップを形成する部分の肉抜き孔に当該拡大ギャップから磁気粘性流体が流入するようにして、支持体内部における磁気粘性流体の増量効果を高めることができる。また、肉抜き孔の存在により回転体の回転イナーシャを低減して、当該回転体の応答性、ひいてはバルブタイミングの調整応答性を高めることもできる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
図1〜3は、本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を示している。バルブタイミング調整装置1は車両に搭載され、内燃機関のクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設けられている。バルブタイミング調整装置1はブレーキ系4及び位相調整機構8等を組み合わせてなり、機関位相を調整することによって内燃機関に適したバルブタイミングを逐次実現する。尚、本実施形態においてカム軸2は内燃機関の吸気弁(図示しない)を開閉するものであり、バルブタイミング調整装置1は当該吸気弁のバルブタイミングを調整する。
まず、ブレーキ系4について説明する。図1に示すようにブレーキ系4は、流体ブレーキ100及び通電制御回路160を備えている。流体ブレーキ100は、支持体110の内部に収容した回転体130へ付与するブレーキトルクを、支持体110の内部に封入した磁気粘性流体150によって発生する。この流体ブレーキ100には、通電電流に従う磁界を支持体110内部の磁気粘性流体150へ印加するソレノイドコイル140が設けられており、当該印加磁界によって磁気粘性流体150の見かけ上の粘度が変化し、それに応じて回転体130への付与ブレーキトルクが変化する。通電制御回路160はマイクロコンピュータ等から構成されており、流体ブレーキ100の外部に配置されてソレノイドコイル140と電気的に接続されている。通電制御回路160は、内燃機関の運転時においてソレノイドコイル140への通電電流を制御する。この制御を受けて流体ブレーキ100は、磁気粘性流体150の粘度を可変制御して回転体130への付与ブレーキトルクを保持又は増減する。
次に、位相調整機構8について説明する。位相調整機構8は、駆動側回転体10、従動側回転体20、付勢部材30、遊星キャリア40及び遊星歯車50を備えている。
図1に示すように、駆動側回転体10は、共に筒状に形成された歯車部材12及びスプロケット13を同軸上に螺子止めしてなる。歯車部材12の内周部は駆動側内歯車部14を形成している。スプロケット13には、回転径方向の外側へ突出する複数の歯16が設けられている。スプロケット13は、それらの歯16とクランク軸の複数の歯との間で環状のタイミングチェーンが巻き掛けられることにより、クランク軸と連繋している。したがって、クランク軸から出力された機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケット13に入力されるとき、駆動側回転体10は、クランク軸と連動して当該クランク軸に対する相対位相を保ちつつ回転する。このとき駆動側回転体10の回転方向は、図2,3の反時計方向となる。
図1,3に示すように、従動側回転体20は有底筒状に形成され、スプロケット13の内周側に同心的に配置されている。従動側回転体20の周壁部は従動側内歯車部22を形成している。従動側内歯車部22の歯数は駆動側内歯車部14の歯数(図2参照)よりも多く設定されている。従動側内歯車部22は、駆動側内歯車部14に対し回転軸方向へずれて隣接する形態でスプロケット13の内周側に嵌合している。
図1に示すように、従動側回転体20の底壁部は、カム軸2に同軸上にボルト固定されて連繋する連繋部24を形成している。この連繋により従動側回転体20は、カム軸2と連動して当該カム軸2に対する相対位相を保ちつつ回転可能となっており、また駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。尚、駆動側回転体10に対して従動側回転体20が進角する相対回転方向が図2,3の方向Xであり、駆動側回転体10に対して従動側回転体20が遅角する相対回転方向が図2,3の方向Yである。
図1に示すように、付勢部材30はねじりコイルばねからなり、スプロケット13の内周側に同心的に配置されている。付勢部材30の一端部31はスプロケット13により係止され、また付勢部材30の他端部32は連繋部24により係止されている。これらの連繋により付勢部材30は、従動側回転体20を駆動側回転体10に対する遅角側(即ち、図2,3の方向Y)へ付勢している。
図1〜3に示すように、遊星キャリア40は筒状に形成され、流体ブレーキ100の回転体130からブレーキトルクが入力される入力部41を内周部によって形成している。回転体10,20及び回転体130に対して同心的な入力部41には複数の溝部42が開口しており、それら溝部42に嵌合する継手43を介して遊星キャリア40が回転体130の軸部131に連繋している。この連繋により遊星キャリア40は回転体130と一体に回転可能となっており、また駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。
遊星キャリア40は、歯車部14,22に対して偏心する偏心部44を外周部によって形成している。偏心部44は、遊星歯車50の中心孔部51の内周側にベアリング45を介して嵌合している。この嵌合により遊星歯車50は、偏心部44の偏心中心周りに自転しつつ偏心部44の回転方向へ公転する遊星運動を実現可能となっている。
遊星歯車50は二段の段付筒状に形成され、偏心部44に対して同心的に配置されている。即ち遊星歯車50は、歯車部14,22に対しては偏心して配置されている。遊星歯車50は、駆動側外歯車部52及び従動側外歯車部54をそれぞれ小径部分及び大径部分によって形成している。駆動側外歯車部52の歯数は駆動側内歯車部14の歯数よりも所定数N少なく設定され、また従動側外歯車部54の歯数は従動側内歯車部22よりも所定数N少なく設定されている。したがって、従動側外歯車部54の歯数は駆動側外歯車部52の歯数よりも多くなっている。駆動側外歯車部52は駆動側内歯車部14の内周側に配置されて当該歯車部14と噛合しており、また従動側外歯車部54は従動側内歯車部22の内周側に配置されて当該歯車部22と噛合している。
以上の構成により、歯車部14,22に噛合する遊星歯車50が遊星運動することによって遊星キャリア40の回転をカム軸2へ減速して伝達する差動歯車部60が形成されている。この差動歯車部60を備えた位相調整機構8は、遊星キャリア40へ付与されるブレーキトルクと、差動歯車部60を通じて遊星キャリア40へ伝達される付勢部材30の付勢トルク及びカム軸2の変動トルクの平均トルクとの大小関係に従って、位相調整作動を実施する。尚、カム軸2の変動トルクとは、内燃機関の運転に伴って位相調整機構8へ伝達されるトルクであり、その平均トルクによって従動側回転体20は、本実施形態では駆動側回転体10に対する遅角側(即ち、図2,3の方向Y)へと付勢される。
具体的に位相調整作動としては、回転体130へ付与されるブレーキトルクの保持等により遊星キャリア40が駆動側回転体10に対して相対回転しないときには、遊星歯車50が歯車部14,22との噛合位置を保ちつつ、回転体10,20と一体に回転する。したがって、機関位相は変化せず、その結果としてバルブタイミングが一定に保たれる。
回転体130へ付与されるブレーキトルクの増大等により遊星キャリア40が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転するときには、遊星歯車50が歯車部14,22との噛合位置を変化させつつ遊星運動することにより、従動側回転体20が駆動側回転体10に対して方向Xへと相対回転する。したがって、機関位相は進角側へ変化し、その結果としてバルブタイミングが進角する。
回転体130へ付与されるブレーキトルクの減少等により遊星キャリア40が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転するときには、遊星歯車50が歯車部14,22との噛合位置を変化させつつ遊星運動することにより、従動側回転体20が駆動側回転体10に対して方向Yへと相対回転する。したがって、機関位相は遅角側へ変化し、その結果としてバルブタイミングが遅角する。
次に、ブレーキ系4の特徴部分について詳細に説明する。図4に示すように、回転体130は、軸部131及びロータ部132を有している。本実施形態において軸部131とロータ部132とは鉄等の強磁性材によって一体に形成されているが、例えば軸部131とロータ部132とを別体化して、それらのうち少なくともロータ部132を強磁性材によって形成するようにしてもよい。軸部131はシャフト状であり、その一端部において位相調整機構8の入力部41(図1参照)に連繋している。ロータ部132は環板状であり、軸部131の軸方向中間部の外周側に同心的に設けられている。ロータ部132の外周部134は、その内周側よりも厚肉に形成されている。
支持体110は固定部材111、カバー部材112及び軸受113,114からなり、全体として中空形状である。本実施形態において固定部材111とカバー部材112とは、いずれも鉄等の強磁性材によって形成されている。固定部材111は、固定節である内燃機関にステー(図示しない)を介して固定される。固定部材111はカップ状に形成され、その底壁部115を軸部131が貫通している。固定部材111の底壁部115には、軸受113が設けられている。軸受113は、ロータ部132よりも位相調整機構8側において軸部131を回転自在に支持している。カバー部材112はカップ状に形成され、その周壁部116が固定部材111の周壁部117に液密に接合されている。これによりカバー部材112の周壁部116は、固定部材111の底壁部115とカバー部材112の底壁部118との間を接続した形となっている。カバー部材112の周壁部116は、その内周面によってソレノイドコイル140を保持している。カバー部材112の底壁部118には、軸受114が設けられている。軸受114は、ロータ部132を挟んで位相調整機構8とは反対側において軸部131を回転自在に支持している。
以上の構成により、支持体110の内部空間119にはロータ部132が収容され、ロータ部132の外周部134と、各部材111,112において外周部134を回転軸方向に挟んだ両側の底壁部115,118との間に、磁気ギャップ120,121が形成されている。ここで磁気ギャップ120は、内部空間119のうち、ロータ部132の外周部134の一端面と固定部材111の底壁部115の内面とによって挟まれた部分である。また、磁気ギャップ121は、内部空間119のうち、ロータ部132の外周部134の他端面とカバー部材112の底壁部118の内面とによって挟まれた部分である。これら磁気ギャップ120,121のギャップ方向はロータ部132の回転軸方向と略一致しており、当該ギャップ方向における各磁気ギャップ120,121の幅が一定となっている。
支持体110の内部空間119には、磁気粘性流体150が完全充填状態で封入されている。これにより、支持体110が回転体130との間に形成する磁気ギャップ120,121には、磁気粘性流体150が常時介在するようになっている。ここで、磁気粘性流体150は「機能性流体」の一種であり、液状のベース材に磁性粒子を懸濁させてなる。磁気粘性流体150のベース材としては、例えばオイル等の液状の非磁性材が使用され、より好ましくは内燃機関の潤滑オイルと同種のオイルが使用される。尚、一般に潤滑オイルは地球環境に優しい成分であることから、それと同種のオイルを使用することによって環境汚染の抑制に貢献することができる。磁気粘性流体150の磁性粒子としては、例えばカルボニル鉄等の粉状の磁性材が使用される。こうした成分構成の磁気粘性流体150は、印加される磁界の強度に追従して見かけ上の粘度が図5に示すように上昇し、当該粘度に比例して且つ磁気粘性流体150の存在スペースのサイズに反比例してせん断応力が増大する特性を現出する。
図4に示すように、ソレノイドコイル140は、カバー部材112の周壁部116によってロータ部132の外周側に同心的に保持されている。かかる保持形態のソレノイドコイル140が通電されると、図4の破線矢印の如く磁束が固定部材111、磁気ギャップ120、ロータ部132の外周部134、磁気ギャップ121及びカバー部材112を順に通過するように、磁界が発生する。その結果、ソレノイドコイル140の発生磁界が磁気ギャップ120,121内の磁気粘性流体150へ印加されるため、磁気粘性流体150は当該発生磁界の強度に対応する粘度状態となる。故に、磁気ギャップ120,121を挟んで向き合う要素110,132間では、流体粘度に比例のせん断応力によって、ロータ部132を支持体110に対して制動させる方向(例えば内燃機関の運転時は、図2,3の方向Y)にブレーキトルクを発生することができる。以上より本実施形態では、図6に示すようにソレノイドコイル140への通電電流に追従して変化するブレーキトルクを回転体130へ付与することができるのである。
このような第一実施形態によると、ソレノイドコイル140への通電電流を通電制御回路160で制御することにより、回転体130におけるブレーキトルクを図6の相関に従って一義的に定めることができる。したがって、ソレノイドコイル140への通電電流を緻密に制御することによって、ブレーキトルクに従う機関位相の調整精度、ひいてはバルブタイミングの調整精度を向上することができる。
また、第一実施形態によると、ロータ部132の回転軸方向両側に形成された磁気ギャップ120,121を図4の破線矢印の如く磁束がギャップ方向へ通過するように、磁界を発生させることができる。故に、この発生磁界の磁束に沿ってロータ部132及び支持体110が磁化されることによれば、ロータ部132が回転軸方向の正規の位置に磁気的に保持されるようになるので、磁気ギャップ120,121の幅が車両振動等によらず安定する。その結果、磁気ギャップ120,121の幅に相関する磁気粘性流体150のせん断応力に誤差が生じ難くなるので、目標のバルブタイミングを精確に達成することができる。
さらに第一実施形態では、印加磁界に対する粘度変化率の大きい磁気粘性流体150を用いているので、磁気粘性流体150との接触によりブレーキトルクの発生に寄与するロータ部132の外周部134について両端面面積を小さくしつつ、大きなブレーキトルクを発生することができる。しかも、磁気粘性流体150のせん断応力は当該流体150の存在スペースのサイズに反比例するので、幅の制限された磁気ギャップ120,121内の磁気粘性流体150によっても、大きなブレーキトルクを発生することができる。これらのことから、所望のブレーキトルクを得るのに必要な流体ブレーキ100の体格を小さくすることができる。
またさらに第一実施形態によると、ロータ部132が収容される支持体110の内部には、空気に比べて伝熱性の高い磁気粘性流体150が封入されている。故に、ブレーキトルクの発生等に起因してロータ部132が発熱したとしても、磁気粘性流体150を経由して支持体110から外部へと放熱することができる。したがって、ロータ部132を有する回転体130やその支持体110の熱変形、熱劣化を抑制して、流体ブレーキ100の耐久性を高めることができる。しかも、そうした熱変形及び熱劣化の抑制機能は、特別な冷却機構を用いることなく、ブレーキトルク発生用の磁気粘性流体150を利用することによって実現されるので、流体ブレーキ100の大型化並びに複雑化を伴うことがない。
加えて第一実施形態によると、磁気粘性流体150は、印加磁界に対する粘度変化率が大きいことに加え、透磁率も当然に高くなる。故に、磁気粘性流体150を介在させる磁気ギャップ120,121の幅については、所望のブレーキトルクが得られる限りにおいて拡大することができる。したがって、支持体110や回転体130の製造公差、配置精度等に関する要求レベルを下げることができるばかりでなく、車両という振動環境下にあっても、支持体110と回転体130とが磁気ギャップ120,121において相互に衝突する事態を回避して、耐久性を高めることができる。
尚、ここまで説明した第一実施形態では、ソレノイドコイル140及び通電制御回路160が共同して「粘度制御手段」を構成し、ロータ部132が「回転磁性部」に相当し、固定部材111及びカバー部材112の各底壁部115,118がそれぞれ「支持磁性部」に相当し、カバー部材112の周壁部116が「コイル保持部」に相当する。
(第二実施形態)
図7に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態の回転体200では、強磁性材からなるロータ部202の内周部204が予め着磁されて磁極を形成している。この磁極は、支持体110において軸部131が貫通している軸受113と、ロータ部202の内周部204との接触界面に沿って形成されている。尚、図7においては、磁極を形成するロータ部202の着磁部206を網掛けによって模式的に示している。
このような第二実施形態によると、ロータ部202及び軸受113の接触界面へ入り込んだ磁気粘性流体150を着磁部206の磁極によって引き付けて、トラップすることができる。これによれば、磁気粘性流体150がロータ部202及び軸受113の接触界面から軸部131及び軸受113の接触界面を抜けて外部へ漏出することが困難となるので、磁気ギャップ120,121内の磁気粘性流体150が減少してブレーキトルクが低下する事態を回避することができる。
尚、ここまで説明した第二実施形態では、ロータ部202が「回転磁性部」に相当する。
(第三実施形態)
図8に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例である。第三実施形態では、回転体250のロータ部252が一定厚の環板状に形成されている。支持体260の固定部材261は環板状に形成され、その外周縁部にカバー部材262の周壁部264が液密に接合されている。ソレノイドコイル140は、支持体110の内部空間268を形成する固定部材261の内壁部266に保持されている。ここで本実施形態では、ソレノイドコイル140が内壁部266に同心的に埋設されており、内壁部266の内面とソレノイドコイル140の一端面とが略面一となっている。これにより、内壁部266の内面及びソレノイドコイル140の一端面は、ロータ部252の一端面との間に磁気ギャップ270を形成している。したがって、ソレノイドコイル140の発生磁界の磁束は、図8の破線矢印の如く固定部材261、磁気ギャップ270、ロータ部252及び磁気ギャップ270を順に通過するものとなる。尚、第三実施形態においても磁気ギャップ270は支持体260の内部空間268の一部をなしているので、内部空間268に完全充填された磁気粘性流体150が磁気ギャップ270に常時介在することとなる。
このような第三実施形態によると、ロータ部252を回転軸方向に挟んで固定部材261とは反対側に底壁部269を有し且つロータ部252の外周側に周壁部264を有するカバー部材262については、磁気ギャップ270での磁界発生に実質的に寄与しないように構成可能である。この場合、例えば非磁性材等でカバー部材262を形成したり、プレス成形によって磁気飽和し易い薄型にカバー部材262を形成することによって、軽量化並びに低コスト化を図ることができる。
尚、ここまで説明した第三実施形態では、ロータ部252が「回転磁性部」に相当する。また、図8に示すように固定部材261の内壁部266は、磁気ギャップ270を挟んでロータ部252と回転軸方向に向き合う箇所においてソレノイドコイル140を保持した形となっているので、当該内壁部266が「コイル保持部」に相当する。
(第四実施形態)
図9,10に示すように、本発明の第四実施形態は第三実施形態の変形例である。第三実施形態では、支持体300のカバー部材302がアルミニウム等の非磁性材によって形成され、複数の放熱フィン304を有している。各放熱フィン304は、カバー部材302の底壁部306から外部へ向かって突出する平板状であり、互いに平行に等間隔に設けられている。
このような第四実施形態によると、支持体300内部の回転体250から磁気粘性流体150を通じてカバー部材302の底壁部306へ伝達された熱を、複数の放熱フィン304から外部へ放射することができる。ここで複数の放熱フィン304によれば、カバー部材302の空冷効果が高くなるので、外部への放熱量を増加させて耐久性をさらにアップさせることができる。
尚、ここまで説明した第四実施形態では、カバー部材302の底壁部306及び放熱フィン304が「放熱部」に相当する。
(第五実施形態)
図11,12に示すように、本発明の第五実施形態は第三実施形態の変形例である。第五実施形態において回転体350のロータ部352の外周部354は、その内周側の平板部分よりも薄肉且つ回転径方向の外側へ向かうほど漸次薄肉となるように形成されている。これによりロータ部352の外周部354は、回転径方向の外側へ向かうほど支持体360の固定部材361の内壁部362から漸次離間するテーパ状を呈している。固定部材361の内壁部362においてソレノイドコイル140の保持部分よりも外周側となる外周部364は、ロータ部352の外周部354と回転軸方向に向き合っている。この固定部材361の外周部364は、回転径方向の外側へ向かうほど漸次厚肉となるように形成されている。これにより固定部材361の外周部364は、回転径方向の外側へ向かうほど回転体350のロータ部352から漸次離間するテーパを呈している。ここで固定部材361の外周部364は、そのテーパ角がロータ部352の外周部354のテーパ角よりも大きくなるように形成されている。
以上により、ロータ部352の一端面が固定部材361の内壁部362の内面及びソレノイドコイル140の一端面との間に形成する磁気ギャップ370は、ロータ部352及び固定部材361の各外周部354,364間に挟まれた箇所において、回転径方向の外側へ向かうほどギャップ方向に拡幅する幅変化部372を形成している。ここで磁気ギャップ370は、幅変化部372をロータ部352の回転方向に沿う環状に形成しており、さらにその内周側において、ギャップ方向の幅が一定の定幅部374を形成している。したがって、ソレノイドコイル140の発生磁界の磁束は、図13(a)の破線矢印の如く固定部材361、磁気ギャップ370の定幅部374、ロータ部352及び磁気ギャップ370の幅変化部372を順に通過するものとなる。
図11,12に示すように、支持体360のカバー部材365の底壁部366は、ロータ部352よりも外周側において固定部材361の外周部364と軸方向に向き合う箇所に溝部367を有している。この溝部367は、ロータ部352の回転方向に沿って延伸する環状に形成されており、カバー部材365の底壁部366の内面に開口している。これにより溝部367は、カバー部材365の周壁部368及び固定部材361の外周部364と共同して、磁気ギャップ370の幅変化部372に連通する流体溜め376をロータ部352の回転径方向の外側に形成している。ここで流体溜め376は、磁気ギャップ370と共に支持体360の内部空間369の一部をなしており、ロータ部352の回転方向に沿う環状の空間として幅変化部372よりも大きな容積を有している。そして特に本実施形態では、支持体360の内部空間369に磁気粘性流体150が部分充填状態で封入されており、磁気粘性流体150が磁気ギャップ370及び流体溜め376の間で移動可能となっている。
そこで以下では、磁気ギャップ370及び流体溜め376の間における磁気粘性流体150の移動について、図13を参照しつつ詳しく説明する。尚、図13の上下方向は、実際の鉛直方向と略一致している。
図13(b)に示すように磁気粘性流体150が流体溜め376内にトラップされた状態下、ソレノイドコイル140が通電によって磁界を発生すると、図13(a)の如く磁気ギャップ370をギャップ方向へ通過する磁束に沿ってロータ部352及び固定部材361が磁化する。これにより、ロータ部352及び固定部材361間の磁気ギャップ370側に流体溜め376内の磁気粘性流体150が引き付けられて、当該流体150が図13(a)の如く幅変化部372側から磁気ギャップ370内へと吸引される。こうして吸引された磁気粘性流体150は、発生磁界に応じた粘度となることによってブレーキトルクをロータ部352へ付与することができる。
図13(a)に示すように磁気粘性流体150が磁気ギャップ370内へ吸引された状態下、通電の停止によってソレノイドコイル140が磁界の発生を中止すると、ロータ部352及び固定部材361の磁化が解かれることになる。これにより、磁気ギャップ370内の磁気粘性流体150は重力の作用を受けて、流体溜め376の磁気ギャップ370よりも鉛直方向下側箇所へ滴下して排出される。尚、このとき、内燃機関の運転により回転体350がスプロケット13(図1参照)と連れ回りしている場合には、遠心力の作用を受けて磁気粘性流体150が流体溜め376の鉛直方向下側以外の箇所へも排出される。但し、図13(b)に示すように環状の流体溜め376の軸方向は略水平方向となっているので、最終的には流体溜め376の鉛直方向下側箇所へ流れ込む。以上のようにして流体溜め376へ排出された磁気粘性流体150は、次の磁界発生まで当該流体溜め376内にトラップされて磁気ギャップ370から隔離されるため、自身の基底粘度によってブレーキトルクをロータ部352へ与えることはない。
このような第五実施形態によると、ソレノイドコイル140が磁界の発生を中止するときに限って、磁気粘性流体150を磁気ギャップ370内から隔離してブレーキトルクの発生を規制することができる。したがって、低温環境下において、図14に示すように磁気粘性流体150の基底粘度が上昇したとしても、磁界の発生中止時には、ブレーキトルクの発生を規制して目標のバルブタイミングを精確に実現することができる。また、ブレーキトルクについては、その発生規制によって、例えば実質的に零にまで減少させることができる。故に磁界の発生中止時には、付勢部材30の付勢トルクやカム軸2の変動トルクの平均トルクにより従動側回転体20を駆動側回転体10に対して迅速に遅角させることができるので、バルブタイミングの遅角応答性が高くなる。
また、第五実施形態によると、磁界の発生中止時には、自然の重力作用や内燃機関運転時の不可避的な遠心力作用を利用して、磁気粘性流体150を磁気ギャップ270から流体留め376へ排出させている。したがって、磁気粘性流体150の排出作用を促すような新たな装置を追加する必要がないので、構成の簡素化を図ることができる。
さらに第五実施形態によると、磁気ギャップ370の幅変化部372は、ロータ部352の回転径方向の外側へ向かうほど、即ち流体溜め376に近いほどギャップ方向に拡幅している。このため、幅変化部372では、磁気粘性流体150の吸引時の流動抵抗が流体溜め376に近いほど小さくなると共に、磁気粘性流体150へ印加される磁界の強度が流体溜め376に近いほど弱くなる。こうした特性によれば、磁気粘性流体150が磁界により粘度上昇して幅変化部372の流体溜め376近傍箇所において詰まることを防止できるので、当該近傍箇所よりも内周側の磁気ギャップ370まで磁気粘性流体150を行きわたらせることができる。したがって、磁気ギャップ370内の磁気粘性流体150が不足してブレーキトルクが低下する事態を回避することができる。しかも、幅変化部372の流体溜め376からの離間箇所では、磁気粘性流体150へ印加される磁界の強度が強くなるので、所望のブレーキトルクを確実に発生することもできる。これらのことから、磁界の発生時には、目標のバルブタイミングを精確に実現することができる。
またさらに第五実施形態によると、図11に示すように支持体360は、その内部のロータ部352との間に磁気ギャップ370及び流体溜め376の双方を形成した形となっている。これによれば、支持体360内部にロータ部352を配置するだけで容易に磁気ギャップ370及び流体留め376を形成することができるので、生産性が向上する。
尚、ここまで説明した第五実施形態では、ロータ部352が「回転磁性部」に相当し、ロータ部352の外周部354が「回転テーパ部」に相当する。また、固定部材361の内壁部362が「コイル保持部」に相当し、固定部材361の内壁部362の外周部364が「支持テーパ部」に相当する。
(第六実施形態)
図15,16に示すように、本発明の第六実施形態は第五実施形態の変形例である。第六実施形態において支持体400の固定部材401の外周部404は、そのテーパ角がロータ部352の外周部354のテーパ角と一致するように形成されており、当該外周部354と平行に向き合っている。これにより、ロータ部352の一端面が固定部材401の内壁部403の内面及びソレノイドコイル140の一端面との間に形成する磁気ギャップ410は、ロータ部352及び固定部材401の各外周部354,404間に挟まれた箇所において、ギャップ方向の幅が一定且つ内周側の定幅部374よりも拡幅された定幅部412を形成している。
また、第六実施形態において支持体400のカバー部材405の底壁部406は、ロータ部352よりも外周側において固定部材401の外周部404と軸方向に向き合う箇所に複数の溝部407を有している。各溝部407は、ロータ部352の回転方向に沿って等間隔に並んでおり、カバー部材405の底壁部406の内面に開口している。本実施形態において各溝部407は、いずれもロータ部352の回転方向に沿う円弧状であり、鉛直方向(図16の略上下方向)の二箇所及び水平方向(図16の略左右方向)の二箇所にそれぞれ配設されている。これにより各溝部407は、カバー部材405の周壁部408及び固定部材401の外周部404と共同して、磁気ギャップ410の定幅部412に連通する流体溜め416をロータ部352の回転径方向の外側に複数形成している。ここで各流体溜め416は、磁気ギャップ410と共に支持体400の内部空間409の一部をなしており、ロータ部352の回転方向に並ぶ複数の空間として、総容積が定幅部412の容積よりも大きく設定されている。そして本実施形態においても、支持体400の内部空間409に磁気粘性流体150が部分充填状態で封入されており、磁気粘性流体150が磁気ギャップ410及び各流体溜め416の間で移動可能となっている。
このような第六実施形態では、図16に示すように磁気粘性流体150が各流体溜め406内にトラップ状態された下、ソレノイドコイル140が磁界を発生すると、磁気粘性流体150が磁気ギャップ410側に引き付けられる。したがって、磁気粘性流体150が定幅部412側から磁気ギャップ410内に吸引されて発生磁界に応じた粘度となるので、ブレーキトルクがロータ部352へと付与される。
また、磁気ギャップ410内への磁気粘性流体150の吸引状態下、ソレノイドコイル140が磁界の発生を中止すると、図16に示すように、重力の作用によって磁気粘性流体150が磁気ギャップ410よりも鉛直方向下側の流体溜め416へ排出される。またこのとき、内燃機関の運転時であれば、遠心力の作用によって磁気粘性流体150は鉛直方向下側以外の流体溜め416へも排出されるが、図16に示すように、それら流体溜め416の両端部によって他の流体溜め416への流出を規制される。こうして各流体溜め416へと排出された磁気粘性流体150は、それら各流体溜め416内にトラップされて磁気ギャップ410から隔離されることになる。即ち、磁気粘性流体150のトラップ容積が増大しているので、磁界の発生中止時には、ブレーキトルクの発生を十分に抑制して目標から外れたバルブタイミングの実現を回避することができる。
尚、ここまで説明した第六実施形態では、固定部材401の内壁部403が「コイル保持部」に相当し、固定部材401の内壁部403の外周部404が「支持テーパ部」に相当する。
(第七実施形態)
図17,18に示すように、本発明の第七実施形態は第六実施形態の変形例である。第六実施形態において支持体450のカバー部材451の底壁部452には、強磁性材が予め着磁されてなる永久磁石454が埋設されている。この支持体450の永久磁石454は溝部407よりも小径の環状に形成され、流体溜め416の内周側に同心的に配置されている。永久磁石454は、流体溜め416の周囲となる外周面側に磁極を形成している。この永久磁石454の磁極が磁気ギャップ410及び流体溜め416の連通箇所に発生する磁界の強度は、通電によってソレノイドコイル140が当該連通箇所に発生する磁界の強度よりも弱くなるように設定されている。
このような第七実施形態では、ソレノイドコイル140が磁界の発生を中止することにより各流体溜め416へ排出された磁気粘性流体150は、永久磁石454の磁極に引き付けられて各流体溜め416内に確実にトラップされる。しかも、ソレノイドコイル140が磁界を発生するときには、上述した磁極の位置並びに磁界強度の設定により、永久磁石454の磁力に抗して磁気粘性流体150を磁気ギャップ410まで確実に吸引することができる。以上によれば、磁界の発生中止時にはブレーキトルクの発生を抑制し、逆に磁界の発生時には所望のブレーキトルクを発生して、より高精度なバルブタイミング調整を実現することができる。
(第八実施形態)
図19に示すように、本発明の第八実施形態は第五実施形態の変形例である。第八実施形態において支持体500のカバー部材501は板状に形成され、その内壁部502が第五実施形態のカバー部材365の底壁部366に準ずる構成を有している。固定部材503はカップ状に形成され、その周壁部504がカバー部材501の外周縁部に液密に接合されている。固定部材503の周壁部504は、固定部材503の底壁部505及びカバー部材501の内壁部502の間を接続した形となっており、その内周面によってソレノイドコイル140をロータ部352の外周側において保持している。固定部材503においてロータ部352を挟んでカバー部材501とは反対側の底壁部505は、ソレノイドコイル140が埋設されない点を除いて、第五実施形態の固定部材361の内壁部362に準ずる構成を有している。
以上の構成により、ロータ部352の一端面と固定部材503の底壁部505の内面との間には、幅変化部372及び定幅部374を有する磁気ギャップ370が形成されている。また、ロータ部352の他端面とカバー部材501の内壁部502の内面との間には、一定幅の磁気ギャップ510が形成されている。さらに、カバー部材501の内壁部502の溝部367、ソレノイドコイル140の内周部及び固定部材503の外周部364の共同により、磁気ギャップ370,510に連通する流体溜め376が形成されている。したがって、ソレノイドコイル140の発生磁界の磁束は、図19の破線矢印の如く固定部材503、磁気ギャップ370、ロータ部352、磁気ギャップ510及びカバー部材501を順に通過するものとなる。
このような第八実施形態では、ソレノイドコイル140による磁界の発生並びに中止に伴い、支持体500の内部空間508をなす磁気ギャップ370及び流体溜め376の間において、磁気粘性流体150の移動が第五実施形態と同様に生じる。また、磁気ギャップ510及び流体溜め376の間でも、ソレノイドコイル140の磁界の発生並びに中止に伴い、磁気粘性流体150の移動が生じる。したがって、磁界の発生時には、磁気ギャップ370,510内の磁気粘性流体150によって所望のブレーキトルクを発生し、逆に磁界の発生中止時にはブレーキトルクの発生を抑制することで、高精度なバルブタイミング調整を実現できる。
尚、ここまで説明した第八実施形態では、カバー部材501の内壁部502及び固定部材503の底壁部505がそれぞれ「支持磁性部」に相当し、固定部材503の周壁部504が「コイル保持部」に相当する。
(第九実施形態)
図20に示すように、本発明の第九実施形態は第一実施形態の変形例である。第九実施形態では、ソレノイドコイル140が設けられず、その代わりに一対の電極プレート600,601が設けられている。電極プレート600,601は、回転体660のロータ部662の外周部664を回転軸方向に挟む両側において支持体610の各部材611,612の底壁部613,614にそれぞれ埋設されている。これにより、ロータ部662の外周部664と各電極プレート600,601との間には、電気的ギャップ620,621が形成されている。ここで電気的ギャップ620は、支持体610の内部空間615のうち、ロータ部662の外周部664の一端面と固定部材611側の電極プレート600のプレート面とによって挟まれた部分である。また、電気的ギャップ621は、支持体610の内部空間615のうち、ロータ部662の外周部664の一端面とカバー部材612側の電極プレート601のプレート面とによって挟まれた部分である。これら電気的ギャップ620,621のギャップ方向はロータ部662の回転軸方向と略一致し、当該ギャップ方向における各電気的ギャップ620,621の幅が一定となっている。
こうした電気的ギャップ620,621を含む支持体610の内部空間615には、磁気粘性流体150に代えて電気粘性流体630が完全充填状態で封入されており、それらの電気的ギャップ620,621に電気粘性流体630が常時介在している。ここで、電気粘性流体630は「機能性流体」の一種であり、液状のベース材に誘電性粒子を懸濁させてなる。電気粘性流体630のベース材としては、第一実施形態の磁気粘性流体150の場合と同様なオイル等の材料が使用される。電気粘性流体630の誘電性粒子としては、例えばTiO2やチタン酸バリウム等の粉状の誘電材が使用される。こうした成分構成の電気粘性流体630は、印加される電界の強度に追従して見かけ上の粘度が上昇し、当該粘度に比例して且つ電気粘性流体630の存在スペースのサイズに反比例してせん断応力が増大する特性を現出する。尚、第九実施形態では、電界の非印加時における基底粘度が比較的低い電気粘性流体630が支持体610外部へ漏出することを抑制するために、支持体610において回転体660が貫通している軸受113と回転体130との接触界面に、Oリング状のシール部材640が介装されている。
各電極プレート600,601は、図21(同図は電極プレート600の例)に示すように、支持体610の一部をなす母材603に正電極604と負電極605とを保持させてなる。ここで母材603は、例えば四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等の電気絶縁材により形成されている。正電極604及び負電極605は、ロータ部132の回転方向に沿った円弧状に金属等で形成されてロータ部662の回転径方向に交互に且つ等間隔に配設されており、特に本実施形態では同電位同士で串型形状に接続されている。さらに正電極604及び負電極605は、それら電極604,605への通電電圧を制御する通電制御回路650と電気的に接続されている。尚、一電極プレートにおける正電極604及び負電極605の内外関係については、図21に示すように、最内周側に正電極604且つ最外周側に負電極605を配設するようにしてもよいし、図示はしないが、最内周側に負電極605且つ最外周側に正電極604を配設するようにしてもよい。
通電制御回路650から電圧が印加されることによって電極プレート600の電極604,605間には、電気的ギャップ620内の電気粘性流体630を通過する電界が発生し、当該ギャップ620内において電気粘性流体630が発生電界に対応する粘度状態となる。同様に、通電制御回路650からの電圧の印加によって電極プレート601の電極604,605間には、電気的ギャップ621内の電気粘性流体630を通過する電界が発生し、当該ギャップ621内において電気粘性流体630が発生電界に対応する粘度状態となる。これらの結果、電気的ギャップ620,621を挟んで回転軸方向に向き合う要素610,662間では、流体粘度に比例のせん断応力によって、ロータ部662を支持体610に対して制動させる方向のブレーキトルクを発生することができる。以上より本実施形態では、各電極プレート600,601への通電電圧に追従して変化するブレーキトルクを回転体660へ付与することができるのである。
このような第九実施形態によると、各電極プレート600,601への通電電圧を通電制御回路650で制御することにより、ロータ部662と接触する電気粘性流体630の粘度を可変制御して、回転体660におけるブレーキトルクを一義的に定めることができる。したがって、各電極プレート600,601への通電電圧の緻密な制御によって、ブレーキトルクに従う機関位相の調整精度、ひいてはバルブタイミングの調整精度を向上することができる。
また、第九実施形態によると、印加電界に対する粘度の変化速度が速い電気粘性流体630によってブレーキトルクを発生させているので、バルブタイミングの調整応答性を高めることができる。
さらに第九実施形態によると、電気粘性流体630のせん断応力は当該流体630の存在スペースのサイズに反比例するので、幅の制限された電気的ギャップ620,621内の電気粘性流体630によっても、大きなブレーキトルクを発生することができる。また、支持体610の内部には、ロータ部662を回転軸方向に挟む両側に電極プレート600,601が設けられ、それらロータ部662及び電極プレート600,601の間に電気的ギャップ620,621が形成されている。これによりロータ部662に対しては、回転軸方向の両側からブレーキトルクを付与することができるので、支持体610の内部空間615を有効に利用しつつ、ブレーキトルクの増大を図ることができる。しかも、各電極プレート600,601の母材603は、電極604,605をロータ部662の回転径方向に交互に保持しているので、当該回転径方向の広い範囲で電界を発生させることができる。故に、このことによっても支持体610の内部空間615を有効に利用しつつ、ブレーキトルクの増大並びに安定化を図ることができる。以上のことから、所望のブレーキトルクを得るのに必要な体格を小さくすることができる。
またさらに第九実施形態によると、回転体660及び支持体610のうち後者のみに電極604,605が保持されているので、それら要素660,610の界面に放電防止用の絶縁材を設ける必要がない。しかも、支持体610の内部空間615に電気粘性流体630が完全充填されることによって、各電気的ギャップ620,621が電気粘性流体630で常時満たされた状態となっている。これによれば、電極604,605間における放電が生じ難くなる。
加えて第九実施形態によると、ロータ部662が収容される支持体610の内部には、空気に比べて高伝熱性の流体630が封入されているので、第一実施形態と同様に回転体660やその支持体610の熱変形、熱劣化を抑制して、耐久性を高めることができる。しかも、そうした熱変形及び熱劣化の抑制機能は、特別な冷却機構を用いることなく、ブレーキトルク発生用の電気粘性流体630を利用することによって実現されるので、大型化並びに複雑化を伴うことがない。
さらに加えて第九実施形態では、支持体610の各部材611,612及び回転体660について、第一〜第八実施形態の如く磁束が通過する磁気回路を構成する必要がないので、材料の選択自由度を高めたり、構成を簡素化することができる。
尚、ここまで説明した第九実施形態では、電極604,605及び通電制御回路650が共同して「粘度制御手段」を構成し、各電極プレート600,601の母材603が「電極保持部」に相当する。
(第十実施形態)
図22に示すように、本発明の第十実施形態は第一実施形態の変形例である。第十実施形態において回転体700のロータ部701は、一定厚の環板状に形成されており、位相調整機構8の入力部41と連繋する軸部702の当該機構8とは反対側の端部に同心的に設けられている。これにより軸部702は、ロータ部701に対して位相調整機構8との連繋側には突出するが、当該機構8と反対側には突出しない形となっている。
支持体710の固定部材711は、軸部702が同心貫通する略環板状に形成されている。固定部材711には、軸受713が支持体710の内部空間712に露出する形態で設けられており、この軸受713によって軸部702は、ロータ部701よりも位相調整機構8側において回転自在に支持されている。ここで軸受713は、ラジアル式の転がり軸受であり、グリース等の潤滑液が内部に予封入されたものとなっている。
支持体710のカバー部材714は、略カップ状に形成されている。上述したようにロータ部701に対して軸部702が位相調整機構8と反対側には突出していない本実施形態では、カバー部材714の底壁部717に軸受が設けられていない。したがって、支持体710は、位相調整機構8とは反対側の端面703よりも当該機構8との連繋側において軸部702を片持ち支持した形となっている。
カバー部材714の周壁部715は、固定部材711の外周縁部に液密に接合されている。これによりカバー部材714の周壁部715は、カバー部材714の底壁部717及び固定部材711の内壁部716の間を接続した形となっている。そして本実施形態では、カバー部材714の底壁部717の内面及び固定部材711の内壁部716の内面と共にカバー部材714の周壁部715の内周面が、ソレノイドコイル140のボビン720をロータ部701の外周側において保持しているのである。
カバー部材714の底壁部717の内面及び固定部材711の内壁部716の内面は、それぞれ一定幅の磁気ギャップ730,731をロータ部701の外周部704との間に形成している。したがって、ソレノイドコイル140の発生磁界の磁束は、図23の破線矢印の如く固定部材711、磁気ギャップ731、ロータ部701の外周部704、磁気ギャップ730及びカバー部材714を順に通過するものとなる。
図22に示すように、カバー部材714の底壁部717の内面及び固定部材711の内壁部716の内面には、凹部718,719がロータ部701の外周部704よりも内周側部分705に対向する形態で設けられている。各凹部718,719は壁部717,716と同心の円形断面をもって凹んでおり、それぞれ磁気ギャップ730,731よりもギャップ方向の幅が拡大された拡大ギャップ732,733をロータ部701との間に形成している。これにより、各拡大ギャップ732,733の外周部にはそれぞれ磁気ギャップ730,731が連通していると共に、ロータ部701よりも位相調整機構8側の拡大ギャップ733の内周部には軸受713が露出しているのである。
図22,24に示すように、ロータ部701において拡大ギャップ732,733を形成する部分705には、複数(本実施形態では三つ)の肉抜き孔706が回転方向に等間隔に設けられている。各肉抜き孔706はロータ部701を回転軸方向に貫通しており、それによって拡大ギャップ732,733間を連通している。したがって、各肉抜き孔706は、拡大ギャップ732,733及びそれらギャップ732,733に連通する磁気ギャップ730,731と共に、支持体710の内部空間712を構成している。
このような支持体710の内部空間712には、図22,23に示すように、磁気粘性流体150が部分充填状態で封入されている。ここで、図22の如き回転体700の停止状態において磁気粘性流体150は、磁気ギャップ730,731の軸部702よりも鉛直方向下側部分に加え、拡大ギャップ732,733の軸部702よりも鉛直方向下側部分や、軸部702よりも鉛直方向下側に位置する肉抜き孔706にも流入した状態となる。また、回転体700の回転中にソレノイドコイル140が通電によって磁界を発生すると、図23の如く磁気ギャップ730,731をギャップ方向へ通過する磁束に沿って、支持体710の各部材711,714及び回転体700のロータ部701が磁化する。これにより磁気粘性流体150は、肉抜き孔706及び拡大ギャップ732,733からは流出しつつ、磁気ギャップ730,731内を流動し、ロータ部701に与えるブレーキトルクを発生することになる。尚、このとき磁気粘性流体150は、磁気ギャップ731から離れた拡大ギャップ733の内周部には誘導され難くなるので、当該内周部に露出する軸受713への磁気粘性流体150の浸入が抑制されるのである。
さて、上述したように磁気粘性流体150が支持体710の内部空間712に部分充填される構成では、環境温度の変化により空気が膨縮することで当該の内部空間712の圧力が増減し易くなる。こうした圧力の増減は、支持体710や回転体700の変形を招いて耐久性を低下させることが懸念されるため、抑制することが望ましい。そこで、図22,24に示すように本実施形態では、支持体710の内部空間712と、支持体710の外部となる位相調整機構8の内部との間を連通する通気孔740を設けている。
具体的に通気孔740は、円筒状を呈する軸部702の内周面により、当該軸部702を回転軸方向に貫通する形態に形成されている。通気孔740の一端部741は、位相調整機構8の入力部41の内周側に位置する軸部702の一端面707に開口している。また一方、通気孔740の他端部742は、回転体700の停止状態において拡大ギャップ732内の磁気粘性流体150の液面743よりも鉛直方向上側に位置する軸部702の他端面703(図22参照)に開口している。
こうした構成により支持体710の内部空間712に露出した形となっている通気孔740の端部742には、フィルタ750がホルダ752を介して保持されており、それらフィルタ750及びホルダ752が軸部702と共に回転可能となっている。ここでフィルタ750は、例えばフッ素樹脂及びウレタン樹脂の複合膜等から薄状に形成された通気性液体フィルタであり、気体の通過を許容するが、液体の通過を拒絶する特性を備えている。ゴム製のホルダ752と共にフィルタ750は、通気孔740の端部742を液密に覆蓋しており、それによって内部空間712の磁気粘性流体150が通気孔740の端部742内へ流入することを阻止している。
以上の第十実施形態によると、軸部702が形成する通気孔740は、支持体710の内部空間712と入力部41の内周側との間での空気の出し入れを、環境温度変化による空気の膨縮に応じて可能にする。即ち、内部空間712の空気が膨張した場合には、通気孔740を通じて当該空気が入力部41の内周側へ排出され、また一方、内部空間712の空気が収縮した場合には、入力部41の内周側の外気が通気孔740に異物を取り込むことなく、通気孔740を通じて内部空間712へと吸入される。このような通気孔740の働きによれば、内部空間712の圧力の増減を抑制することができるので、支持体710や回転体700の変形に起因する耐久性の低下が生じ難くなる。また、内部空間712の圧力増減が抑制される結果、内部空間712に露出する軸受713について、磁気粘性流体150の浸入や封入潤滑液の漏出による耐久性の低下が生じ難くなるのである。
さらに、こうした効果をもたらす通気孔740の端部742は、磁気粘性流体150の封入された内部空間712に露出しているにも拘らず、回転体700の停止状態における磁気粘性流体150の液面743よりも上側に位置して、通気性液体フィルタ750を保持している。したがって、磁気粘性流体150が通気孔740へ流入して入力部41の内周側へ流出する事態を、回避することができる。また、フィルタ750が通気孔740への流入を阻止することでフィルタ750に付着した磁気粘性流体150については、重力のみならず、フィルタ750と共に回転する軸部702の回転遠心力によって飛ばすことができるので、磁気粘性流体150の付着に起因するフィルタ750の劣化が抑えられる。さらにまた、フィルタ750は、内部空間712に露出する通気孔740の端部742に設けられることで支持体710によって保護された形となっているので、支持体710外部の異物が衝突することによりフィルタ750が破損する事態を防止できるのである。
加えて第十実施形態によると、磁気ギャップ730,731の他に、拡大ギャップ732,733及び肉抜き孔706が支持体710の内部空間712として形成されているので、当該空間712に部分充填される磁気粘性流体150を可及的に増量することができる。これによれば、磁気粘性流体150が吸収可能な熱エネルギー量を増大して、磁気粘性流体150の劣化を抑制することができる。また、ロータ部701を回転軸方向に貫通して拡大ギャップ732,733間を連通する肉抜き孔706によれば、それらギャップ732,733間での磁気粘性流体150の流動性が高められることになるので、磁気粘性流体150の局部的劣化を抑制することもできる。さらにまた、ロータ部701に複数の肉抜き孔706が設けられることによれば、回転体700の回転イナーシャが大幅に低減することになるので、バルブタイミングの調整応答性の向上が可能となるのである。
尚、ここまで説明した第十実施形態では、ロータ部701が「回転磁性部」に相当し、固定部材711の内壁部716及びカバー部材714の底壁部717がそれぞれ「支持磁性部」に相当し、カバー部材714の周壁部715が「コイル保持部」に相当する。
(第十一実施形態)
図25に示すように、本発明の第十一実施形態は第十実施形態の変形例である。第十一実施形態において、回転体700の軸部702と支持体710の内壁部716との間には、オイルシール800が介装されている。
具体的に、オイルシール800はゴム等で形成され、円筒部801とテーパ筒部802とを同軸上に有している。円筒部801の内周面は、軸部702の外周面に摺動可能に接触している。円筒部801とは反対側の端面となるテーパ筒部802の大径側端面は、軸受713の外周側において支持体710の内壁部716の内面に接触している。これらの構成によりオイルシール800は、軸受713を含む支持体710と軸部702との間を液密にシールしているのある。
このような第十一実施形態においても、通気孔740の働きによって支持体710の内部空間712での圧力増減が抑制されることになるので、オイルシール800について、軸部702に対する円筒部801の接触圧を可及的に低下させることができる。したがって、ソレノイドコイル140が磁界の発生を中止したときに、オイルシール800の接触圧に起因するブレーキトルクが軸部702に作用してバルブタイミングの調整精度が悪化する事態を抑制できるのである。
尚、ここまで説明した第十一実施形態では、オイルシール800が「シール部材(請求項36)」に相当している。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明してきたが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
例えば第一〜第九実施形態では、位相調整機構8に連繋する回転体130,200,250,350,660を支持体110,260,300,360,400,450,500,610の内部に収容して小型化することにより、回転体130,200,250,350,660の回転イナーシャが低減しているが、位相調整機構8に連繋する回転体の内部に支持体を収容することもできる。また、第一〜第十一実施形態における位相調整機構8としては、上述したように遊星キャリア40をブレーキトルクの入力回転体とする差動歯車部60を備えたもの以外にも、本発明の作用効果が得られる限りにおいて、各種構成の機構を採用することができる。
第二実施形態では、予め着磁したロータ部202によって磁極を形成する代わりに、ロータ部202に埋設した永久磁石によって磁極を形成してもよい。また、磁極の形成形態がいずれの場合にも、ロータ部202に代えて又はロータ部202に加えて、軸部131や軸受113等に磁極を形成することにより、接触界面からの磁気粘性流体150の漏出を阻止してもよい。さらに第三〜第八、第十及び第十一実施形態では、第二実施形態又は上記変形形態に準じて磁極を形成することにより、磁気粘性流体150の漏出を阻止してもよい。
第三及び第四実施形態では、カバー部材262,302を磁性材で形成して、磁気ギャップ270における磁界発生にカバー部材262,302を寄与させてもよい。また、第一、第五〜第十一実施形態では、第四実施形態又は上記変形形態に準じてカバー部材112,365,405,451,501,612,714に放熱フィン304を設けてもよい。
第六及び第七実施形態では、定幅部412に代えて、第五実施形態に準ずる幅変化部372を形成してもよい。また、第六及び第七実施形態では、ロータ部352の回転方向に沿って並ぶ複数の流体溜め416に代え、第六実施形態に準じてロータ部352の回転方向に沿って延伸する環状の流体溜め376を形成してもよい。
第七実施形態では、カバー部材451に埋設した永久磁石454によって磁極を形成する代わりに、予め着磁したカバー部材451によって磁極を形成してもよい。また、磁極の形成形態がいずれの場合にも、流体溜め416の外周側において磁極を形成してもよい。さらに第五及び第八実施形態では、第七実施形態又は上記変形形態に準じてカバー部材365,501に磁極を形成することにより、流体溜め376に磁気粘性流体150を確実にトラップさせるようにしてもよい。
第八実施形態では、幅変化部372に代えて、第六実施形態に準ずる定幅部412を形成してもよい。また、第八実施形態では、ロータ部352の回転方向に沿って延伸する環状の流体溜め376に代え、第六実施形態に準じてロータ部352の回転方向に沿って並ぶ複数の流体溜め416を形成してもよい。
第九実施形態では、液状のベース材に誘電粒子を懸濁させてなる分散系の電気粘性流体630に代えて、単一の流体からなる均一系の電気粘性流体を使用してもよい。また、第九実施形態では、電極プレート600,601のうち一方を省略してもよい。さらに第九実施形態では、支持体610及び回転体660の接触界面にシール部材640を設けないで、シール部材640の磨耗粉による電気粘性流体630の特性劣化を未然に防止してもよい。
第十及び第十一実施形態では、第三実施形態に準じて支持体710の固定部材711の内壁部716にソレノイドコイル140を埋設して、ロータ部701の位相調整機構8側のみに磁気ギャップ731を形成するようにしてもよい。また、第十及び第十一実施形態では、第五〜第八実施形態のうちいずれかに準ずる構成を採用してもよい。さらに、第十及び第十一実施形態では、軸部702に通気孔740を設けるのに加えて又はその代わりに、支持体710の内部及び外部間を連通する通気孔を支持体710に設けるようにしてもよく、その場合には、支持体710の通気孔に通気性液体フィルタ750を設けることが望ましい。またさらに、第十及び第十一実施形態では、軸部702を片持ち支持する軸受713を固定部材711に複数設けて軸部702の支持性を高めるようにしてよい。加えて、第十及び第十一実施形態では、ロータ部701に対して位相調整機構8と反対側に突出させた軸部702をカバー部材714に設けた軸受により支持して軸部702の支持性を高めるようにしてもよく、その場合には、通気孔740を軸部702の外周面の複数個所にて開口させて当該開口を覆蓋する形態で通気性液体フィルタ750を設けるようにしてもよい。
そして、本発明は、第一〜第十一実施形態の如く吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適用することができる。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、4 ブレーキ系、8 位相調整機構、60 差動歯車部、100 流体ブレーキ、110,260,300,360,400,450,500,610,710 支持体、111,261,361,401,503,611,711 固定部材、112,262,302,365,405,451,501,612,714 カバー部材、113,114 軸受、115,118,505,717 底壁部(支持磁性部)、116,504,715 周壁部(コイル保持部)、117 周壁部、119、268,369,409,508,615,712 内部空間、120,121,270,370,410,510,730,731 磁気ギャップ、130,200,250,350,660,700 回転体、131,702 軸部、132,202,252,352,701 ロータ部(回転磁性部)、134,704 外周部、140 ソレノイドコイル(粘性制御手段)、150 磁気粘性流体、160,650 通電制御回路(粘性制御手段)、204 内周部、206 着磁部、264,368,408 周壁部、266,362,403 内壁部(コイル保持部)、269,366,406,452,613,614 底壁部、304 放熱フィン(放熱部)、306 底壁部(放熱部)、354 外周部(回転テーパ部)、364,404 外周部(支持テーパ部)、367,407 溝部、372 幅変化部、374,412 定幅部、376,416 流体溜め、454 永久磁石、502,716 内壁部(支持磁性部)、600,601 電極プレート、603 母材(電極保持部)、604 正電極(電極・粘性制御手段)、605 負電極(電極・粘性制御手段)、620,621 電気的ギャップ、630 電気粘性流体、640 シール部材、662 ロータ部、664 外周部、703 端面、705 部分、706 肉抜き孔、713 軸受(転がり軸受)、718,719 凹部、720 ボビン、732,733 拡大ギャップ、740 通気孔、742 端部、743 液面、750 フィルタ、752 ホルダ、800 オイルシール(シール部材)、801 円筒部、802 テーパ筒部