[A.第1の実施の形態]
[A.1.基本的構成]
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態であるデータ読取装置について説明する。まず、本実施の形態におけるデータ読取装置の基本的構成の例を説明する。
図1は、データ読取装置の基本的構成の例を示す機能ブロック図である。
データ読取装置1は、リーダ/ライタ制御装置10と、このリーダ/ライタ制御装置10に接続されたリーダ/ライタ20と、リーダ/ライタ20に接続されたアンテナユニット30とで構成される。
リーダ/ライタ制御装置10は、リーダ/ライタ20に読み取り動作を実行する様命令し、また、リーダ/ライタ20に無線ICタグ40から読み取ったデータを送信する様命令し、リーダ/ライタ20から受け取ったデータを記憶し、所定の情報処理(例えば、在庫状況の一覧表示など)を行う機能を有する。リーダ/ライタ制御装置10は、例えば、コンピュータや各種コントローラなどである。
リーダ/ライタ20は、制御部21と、制御部21に接続された送受信部22とを有ししている。制御部21は、リーダ/ライタ制御装置10からの命令を受け取り、これに応じて送受信部22を駆動させ、また送受信部22から出力されたデータ(無線ICタグ40から読み取ったもの)をリーダ/ライタ制御装置10に渡す機能を有している。
送受信部22は、アンテナユニット30を介して無線ICタグ40と無線により交信を行う機能を有する。送受信部22は、変調部23と復調部24とを有している。変調部23は、キャリア波を制御部21から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報により所定の変調方式で変調して変調されたキャリア波(変調信号)を生成し、アンテナユニット30に供給する。復調部24は、無線ICタグ40が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式で変調された変調信号を復調し、当該データに応じた信号を取り出し、制御部21に渡す。
アンテナユニット30は、リーダ/ライタ20、より詳しくは変調部23から受け取った変調されたキャリア波を空中に放射し、電波を無線ICタグ40に向けて放射すると共に、無線ICタグから放射された変調信号を受信し、この変調信号をリーダ/ライタ20、より詳しくは復調部24に供給する。アンテナユニット30は、送信用アンテナ/受信用アンテナ(図略)とこれを保護するためのケース(図略)で構成されている。アンテナユニット30は、リーダ/ライタ20とは別体の装置になっており、リーダ/ライタ20とはケーブルなどで接続される。従って、アンテナユニット30は、リーダ/ライタ20から離れた場所であっても設置できる様になっている。また、別の構成例としては、リーダ/ライタ20に接続される複数のアンテナユニット30のうちの一つのアンテナユニットをリーダ/ライタ20内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
無線ICタグ40は、メモリ41と、制御部42と、送受信部43と、アンテナ44とを有している。メモリ41は、商品情報、発送者情報などの識別コードなど、読み取り対象となる情報を記憶している記憶装置である。制御部42は、リーダ/ライタ20からのコマンド、リクエスト、命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部43は、リーダ/ライタ20と同様に変調部(図略)、復調部(図略)を有しており、リーダ/ライタ20と交信を行うために信号の変調/復調を行う。アンテナ44はリーダ/ライタ20からの変調信号を受信し、これを送受信部43に給電すると共に、送受信部43からの変調された変調波を受け取り、これをリーダ/ライタ20に受信させる様、空中に放射する。
なお、本データ読取装置1は、複数のアンテナユニット30を有し、これら複数のアンテナユニット30を切り替えて使用する構成としても良い。
図2は、複数のアンテナユニット30を有しているデータ読取装置1の構成例を示す機能ブロック図である。このデータ読取装置1は、N個のアンテナユニット301、302、…、30Nがリーダ/ライタ20に接続されている。リーダ/ライタ20はさらにアンテナ切替部25を有しており、アンテナ切替部25は制御部21からの制御に応じてN個のアンテナユニット301、302、…、30Nと送受信部22とを選択的に接続し、所望のアンテナユニット30を用いて無線ICタグ40との交信を行う。なお、本図において、図1に示す構成と同一の部材、構成要素については、図1と同一の参照符号を付し、これらの説明は省略することとする。
図3は、複数のリーダ/ライタ20,アンテナユニット30を有しているデータ読取装置1の構成例を示す機能ブロック図である。このデータ読取装置1においては、N個のリーダライタ201、…、20Nがリーダ/ライタ制御装置10に接続されており、N個のアンテナユニット301、…、30Nが対応するリーダ/ライタ201、…、20Nに接続されている。リーダ/ライタ制御装置10はリーダ/ライタ201、…、20Nを互いに独立して動作させる様にリーダ/ライタ201、…、20Nを制御できる。その結果、このデータ読取装置1は、リーダ/ライタ201、…、20Nに選択的に命令を送ることにより、N個のアンテナユニット301、302、…、30Nから所望のアンテナユニット30を選択して無線ICタグ40との交信を行うことができる。なお、本図において図1に示す構成と同一の部材、構成要素については、図1と同一の参照符号を付し、これらの説明は省略することとする。
[A.2.デッドスポットの発生とその解消]
次に、データ読取装置1を使用した場合に、環境条件によって生じうる、読取用電波の干渉により生ずる読取不可能若しくは困難な箇所/領域(以下、デッドスポットと呼ぶ)について説明する。
図4(A)は、ある閉鎖された空間(例えば倉庫やビルの一室)400にリーダ/ライタ20及びアンテナユニット30が配置された場合の電界パターン及びデッドスポットを示す図である。リーダ/ライタ20から変調されたキャリア波の供給を受けたアンテナユニットは電波を空中に放出する。アンテナユニット30に格納されたアンテナ(図略)は、特有の放射の方向特性を有し、この水平方向における方向特性を電界パターン401として図示する。また、アンテナユニット30のビーム方向を矢印406により示す。
アンテナユニット30から放出された電波は、様々な方向に向けて放出される。空間400内のある位置Pには、アンテナユニット30から直接到達する電波である直接波402Aが到達すると共に、アンテナユニット30から空間400の壁に向かった別の直接波403Aが壁によって反射されて生じた反射波404Aも到達する。このとき、反射波404Aは、十分な電界強度を有した状態で位置Pに到達する。そのため電波の波長と、直接波402A及び反射波404Aの進行距離の関係によっては、直接波402A及び反射波404Aが逆位相となり、互いに打ち消しあって位置P周辺にデッドスポット405Aが発生する。
一方、空間400内の別の地点である位置Qにおいても、アンテナユニット30から直接到達する電波である直接波402Bが位置Qに到達すると共に、アンテナユニット30から空間400の壁に向かった別の直接波403Bが壁によって反射されて生じた反射波404Bも位置Qに到達する。しかし、別の直接波403Bの電界強度は弱く、従ってその反射波404Bの電界強度も弱い状態となる。そのため、直接波402Bと反射波404Bが位置Qにおいて逆位相となっても、直接波402Bが打ち消されることはなく位置Q周辺にデッドスポットは生じていない。
なお、図4(A)では、一カ所のみデッドスポット405Aを図示したが、複数箇所でデッドスポットが発生しうる。かかるデッドスポット405Aに無線ICタグ40が位置した場合には、その無線ICタグ40はリーダ/ライタ20との交信ができず、その結果リーダ/ライタ20はデッドスポット405内に位置する無線ICタグ40のデータの読み取りができない。
図5は、ある条件下におけるアンテナユニット30からの距離とアンテナユニットが放出する電波の電界強度の関係を示すグラフである。図中、曲線501は、デッドスポットの発生がないと仮定した場合の電界強度を示す。また、曲線502は、デッドスポットの発生を考慮した場合の電界強度を示す。また、直線503は、無線ICタグ40が受信可能な電波の最低電界強度を示す。
デッドスポットの発生がないと仮定した場合は、アンテナユニット30からの距離が離れるにつれて電界強度はなだらかに減少していく。一方、実際にはデッドスポットが発生するため、曲線502のような電界強度の変化が起こる。この場合、領域504においては、本来は直線503が示す最低電界強度を上回る電波の領域であるため、リーダ/ライタ20は無線ICタグ40からのデータ読み取りができるはずであるが、実際には、曲線502が示す様に、無線ICタグ40が受け取る電波の電界強度が直線503が示す最低電界強度を下回るため、無線ICタグ40からのデータ読み取りができない領域となる。すなわち、領域504はデッドスポットとなる。
図4(B)は、図4(A)の状態で生じたデッドスポット405Aを解消するため、アンテナユニット30の放射特性を変化させた状態を示す図である。アンテナユニット30に搭載するアンテナは、リーダ/ライタ20若しくはリーダ/ライタ制御装置10の制御によりその放射特性を可変できるアンテナ、例えばフェイズドアレイ・アンテナとする。
図4(B)に示す例では、アンテナの放射特性を変化させたことにより、ビーム方向406及び電界パターン401が変えられた状態である。電界パターン401が変位するため、位置P、位置Qに到達する反射波の電界強度も変化する。すなわち、位置Pに到達する反射波404Aの電界強度は弱くなり、一方位置Qに到達する反射波404Bの電界強度は強まる。その結果、この例では位置P周辺のデッドスポット405Aは消滅するが、位置Q周辺に新たなデッドスポット405Bが発生する。
位置Pに置かれている無線ICタグ40は、図4(A)の状態においては読み取り不可能であるが、アンテナユニットの放射特性を変更し、図4(B)の状態になった後は、読み取り可能となる。
本実施の形態にかかるデータ読取装置1は、例えば図4(A)、図4(B)ようにアンテナの放射特性を変更しながら無線ICタグ40の読み取り処理を行うことにより、デッドスポット405における読み取り不可能状態を回避しつつ、無線ICタグ40の読み取り処理を行うことができる。
また、変形例として、2以上のアンテナユニット30を順次又は同時に駆動させるようにデータ読取装置1を構成しても良い。このときの条件として、各アンテナユニット30の電界パターンが重ならないか、或いは重なる領域が最小になる様にそれぞれのアンテナの放射特性(ビーム方向、ビーム幅など)を変更させる様に、リーダ/ライタ制御装置10が各アンテナユニット30の駆動制御を行う様にしても良い。
[A.3.直接波による干渉発生の回避]
無線ICタグ40の読み取りには、複数のアンテナを用いることもある。倉庫などの広い領域内の無線ICタグ40の読み取りには、有効通信距離の関係から広い領域を小区画に分割して、小区画毎に複数のアンテナを設けて無線ICタグ40の読み取りを行うこともある。また、複数の部屋に無線ICタグ40を付した物品が格納されている場合にも、各部屋に複数のアンテナを設けて無線ICタグ40の読み取りを行う。
図6は、隣接する2つの空間400A,400B(小区画や部屋などに相当する)のそれぞれに4つのアンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4を設けているデータ読取装置1の例を示す図である。アンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4はリーダ/ライタ20A、20Bに接続され、リーダ/ライタ20A、20Bはリーダ/ライタ制御装置10によって制御される。リーダ/ライタ制御装置10はリーダ/ライタ20A、20Bを介してアンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4を独立して駆動(電波の放射、受信)させることができる様になっている。
また、図6において、アンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4は、空間400A、400Bの中心に向かって電波を放射するように放射特性が与えられており、そのビーム方向を矢印406A1〜406A4、406B1〜406B4によって示す。
図7は、図6に示すアンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4の配置において、直接波によるデッドスポットの発生例を示す図である。今、そのビーム方向が同一方向となるアンテナユニット30A1、30A3、30B1,30B3が同時に駆動されたとする。このとき、アンテナユニットの電波放射強度にもよるが、これらのアンテナユニット30A1、30A3、30B1,30B3が放射する電波は、無線ICタグ40が返す微弱な電波より強力なため、無線ICタグ40が返す微弱な電波を妨害し無線ICタグ40の読み取りができなくなるおそれがある。領域700は、アンテナユニット30A1が放射した電波が無線ICタグ40が返す微弱な電波を妨害し無線ICタグ40の読み取りができなくなるおそれがある領域を示している。すなわち、この領域700においては、上述のような無線ICタグ40の発する電波の妨害が生じて読み取りができないおそれが生ずる。
本実施の形態にかかるデータ読取装置1は、上記の様な無線ICタグ40の読取不能若しくは読取不可(読み出しエラーともいう)の発生を回避するため、ビーム方向が同一方向となるアンテナユニットを同時に駆動させない態様で、アンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4を駆動制御することを特徴とする。すなわち、アンテナユニット30が読み取りを行おうとする領域内に、他のアンテナユニット30の発する強い電波が到達し、当該領域内に存在する無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することを回避するように、アンテナユニット30の駆動を制御する。
図8(A)(B)、図9(A)(B)に、上記空間400A,400Bにおいての無線ICタグ40の読取不能若しくは読取不可発生を回避しながら無線ICタグの読み取りを行うデータ読取装置1の動作例を示す。
本データ読取装置1は、まず図8(A)に示す様に、空間400Aにおいては、アンテナユニット30A1のみ駆動させ、同時に空間400Bにおいては、アンテナユニット30B2のみ駆動させる。このとき、アンテナユニット30A1、アンテナユニット30B2のビーム方向は異なっているため、空間400A,400Bのいずれにおいても一方のアンテナユニット30から放射された電波が、他方のアンテナユニット30が読み取りを行おうとしている領域に強い電界強度で到達することはなく、その結果、当該領域における無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することを回避できる。
次に、本データ読取装置1は、図8(B)に示す様に、空間400Aにおいてアンテナユニット30A2のみ駆動させ、同時に空間400Bにおいてアンテナユニット30B3のみ駆動させる。このとき、アンテナユニット30A2、アンテナユニット30B3のビーム方向406A2、406B3は異なっているため、空間400A,400Bのいずれにおいても、一方のアンテナユニット30から放射された電波が、他方のアンテナユニット30が読み取りを行おうとしている領域に強い電界強度で到達することはなく、その結果、当該領域における無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することを回避できる。
次に、本データ読取装置1は、図9(A)に示す様に、空間400Aにおいてアンテナユニット30A3のみ駆動させ、同時に空間400Bにおいてアンテナユニット30B4のみ駆動させる。このとき、アンテナユニット30A3、アンテナユニット30B4のビーム方向406A3、406B4は異なっているため、空間400A,400Bのいずれにおいても一方のアンテナユニット30から放射された電波が、他方のアンテナユニット30が読み取りを行おうとしている領域に強い電界強度で到達することはなく、その結果、当該領域における無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することを回避できる。
最後に、本データ読取装置1は、図9(B)に示す様に、空間400Aにおいてアンテナユニット30A4のみ駆動させ、同時に空間400Bにおいてアンテナユニット30B1のみ駆動させる。このとき、アンテナユニット30A4、アンテナユニット30B1のビーム方向406A4、406B1は異なっているため、空間400A,400Bのいずれにおいても一方のアンテナユニット30から放射された電波が、他方のアンテナユニット30が読み取りを行おうとしている領域に強い電界強度で到達することはなく、その結果、当該領域における無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することを回避できる。
以上のようにアンテナユニット30を駆動制御することにより、各空間400A,400Bのために設けられたすべてのアンテナユニット30を駆動させつつ、他のアンテナユニット30が発する電波が、アンテナユニット30が読み取りを行おうとしている領域に強い電界強度で到達することはなく、その結果、当該領域における無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することを回避できる。
なお、アンテナユニット30は方形の空間において対角線方向にビーム方向が向く様に設けられても良く、この場合には互いに対角線方向に隣接する空間において、ビーム方向が同一方向となるアンテナユニットが同時に駆動させない態様で、アンテナユニット30を駆動制御すれば良い。
上記のアンテナユニットの駆動制御は、3以上の空間が隣接している場合であっても有効である。図10は、連続する3つの空間400A,400B、400C(小区画や部屋などに相当する)における無線ICタグ40の読み取りを行うデータ読取装置1の例を示している。このデータ読取装置1は、3つの空間400A,400B、400Cそれぞれに4つのアンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4、30C1〜30C4を設けている。アンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4、30C1〜30C4はリーダ/ライタ20A、20B、20Cに接続され、リーダ/ライタ20A、20B、20Cはリーダ/ライタ制御装置10によって制御される。リーダ/ライタ制御装置10はリーダ/ライタ20A、20B、20Cを介してアンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4、30C1〜30C4を独立して駆動(電波の放射、受信)させることができる様になっている。
また、図10において、アンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4、30C1〜30C4は、空間400A、400B、400Cの中心に向かって電波を放射する様放射特性が与えられており、そのビーム方向を矢印406A1〜406A4、406B1〜406B4、406C1〜406C4によって示す。
図11は、図10に示すデータ読取装置1の動作例を示す、タイミングチャートであって、リーダ/ライタ制御装置10によるアンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4、30C1〜30C4の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
図11に示す様に、4個一組のアンテナユニット30A1〜30A4、30B1〜30B4、30C1〜30C4は、周期T1で同一組のいずれかのアンテナユニットが駆動され、その駆動時間はT2(但し、T2≦T1/N、Nはアンテナユニットの組数)である。図11に示す例では、リーダ/ライタ制御装置10又はリーダ/ライタ20Aは、最初に空間400Aにおいてアンテナユニット30A1を時間T2だけ駆動し、同時に空間400Cにおいてアンテナユニット30C1を時間T2だけ駆動する(時刻t1)。このとき、アンテナユニット30A1、30C1から放射される強い電波によって、無線ICタグ40が発する微弱な電波の妨害が生ずるおそれのある空間400Bでは、いずれのアンテナユニット30も駆動させない。そのため、いずれの空間400A,400B,400Cにおいても、アンテナユニット30が発する電波が無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することによる無線ICタグ40の読取不能若しくは読取不可は発生しない。
次に、リーダ/ライタ制御装置10は、アンテナユニット30A1、30C1の駆動時間T2経過後、空間400Bにおいてアンテナユニット30B1を時間T2だけ駆動させる(時刻t2)。このとき、アンテナユニット30B1から放射される電波による干渉が生ずるであろう空間400A、400Cでは、いずれのアンテナユニット30も駆動させない。そのため、いずれの空間400A,400B,400Cにおいても、アンテナユニット30が発する電波が無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することによる無線ICタグ40の読み出しエラーは発生しない。
次に、リーダ/ライタ制御装置10は、アンテナユニット30B1の駆動時間T2が終了した後であって、先の時刻t1から時間T1だけ経過した時刻t3において、空間400Aにおいてアンテナユニット30A2を、空間400Cにおいてアンテナユニット30C2をそれぞれ同時に時間T2だけ駆動する。このとき、アンテナユニット30A2、30C2から放射される電波による干渉が生ずるであろう空間400Bでは、いずれのアンテナユニットも駆動させない。そのため、いずれの空間400A,400B,400Cにおいてもアンテナユニット30が発する電波が無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することによる無線ICタグ40の読み出しエラーは発生しない。なお、アンテナユニット30A2、30C2の放射特性(例えば、ビーム方向が空間400Bとは異なる方向に向いている)によっては、空間400Bにアンテナユニット30A2、30C2からの直接波が及ばないため、空間400Bのいずれかのアンテナユニットを駆動させても良い。
次に、リーダ/ライタ制御装置10は、アンテナユニット30A2、30C2の駆動時間T2が終了した後であって、先の時刻t2から時間T1だけ経過した時刻t4において、空間400Bにおいてアンテナユニット30B2を時間T2だけ駆動する。このとき、アンテナユニット30B2から放射される電波による妨害(干渉)が生ずるであろう空間400A,400Cでは、いずれのアンテナユニットも駆動させない。そのため、いずれの空間400A,400B,400Cにおいてもアンテナユニット30が発する電波が無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することによる無線ICタグ40の読み出しエラーは発生しない。なお、アンテナユニット30B2の放射特性(例えば、ビーム方向が空間400A,400Cとは異なる方向に向いている)によっては、空間400A、400Cにアンテナユニット30B2からの直接波が及ばないため、空間400A,400Cのいずれかのアンテナユニットを駆動させても良い。
以下同様の方法で、順次アンテナユニット30の駆動制御を行うことにより、他のアンテナユニット30が発する電波が無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することによる無線ICタグ40の読み出しエラーを回避することが可能となる。
なお、上記のデータ読取装置1では、アンテナユニット30の駆動タイミングによってリーダ/ライタ20と無線ICタグ40との電波干渉の発生を防ぐとしたが、リーダ/ライタ20と無線ICタグ40との交信に複数の周波数若しくはチャネルが使用可能である場合は、駆動タイミングと周波数の選択若しくは変更を組み合わせることにより、他のアンテナユニット30が発する電波が無線ICタグ40が発する微弱な電波を妨害することによる無線ICタグ40の読み出しエラーを回避する構成としても本発明は成立する。
[B.第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、リーダ/ライタ20がアンテナユニット30から放射する読取用電波の位相を変化させることで、干渉波との合成により生ずるデッドスポット(ヌル点)の位置を変化させ、読み取り対象範囲内に存在する無線ICタグ40の読み落としを防止する。
第2の実施の形態にかかるデータ読取装置の構成は、基本的に第1の実施の形態にかかるデータ読取装置1と同様であるが、リーダ/ライタ20の変調部23がキャリア(搬送波)の位相を移相させる位相調整機能を有する点で異なっている。
図12は、第2の実施の形態にかかるリーダ/ライタ20の構成例を示す機能ブロック図である。
変調部23は、キャリア信号を生成する発振回路1201と、発振回路1201が生成したキャリア信号の位相を変化させることが可能な位相調整回路1202と、位相調整回路1202から出力されたキャリア信号を、制御部21から供給される情報信号に基づいて変調信号を生成する変調回路1203と、変調回路1203から出力された変調信号を増幅する増幅回路1204とを有している。
また、復調部24は、無線ICタグ40からアンテナユニット30を介して受信した信号を復調可能なレベルまで増幅する増幅回路1205と、増幅回路1205によって増幅された信号を、所定の復調方式により復調し、情報又はデータを取り出す復調回路1206とを有している。
変調部23に含まれる発振回路1201は、そのデータ読取装置1が使用する読取用無線周波数帯に応じた周波数のキャリア波を発生する。位相調整回路1202は、制御部21からの制御信号に応じて、キャリア波の位相を変化させて出力する回路であって、例えばプログラマブル位相シフト機能を備えたPLL回路、移相器などである。位相調整回路1202は、キャリア波の位相調整を複数の異なる位相変化量で行う。例えば、位相調整回路1202は、制御部21からの制御信号に応じて、π/2だけ位相を進めたキャリア波を一定期間出力し、次にπだけ位相を進めたキャリア波を一定期間出力し、次に3π/2だけ位相を進めたキャリア波を一定期間出力するように、位相調整を行う。なお、この例では、π/2刻みで位相変化を行ったが、π/4,π/8など、どのような刻み幅で位相調整を行うようにしても良い。
図13(A)〜(D)は、本実施の形態にかかるデータ読取装置1が位相を変えながら読取用電波を放射した場合に生じるデッドスポット(ヌル点)を説明する図である。図13(A)〜(D)において、実線は読取用電波1301を示し、点線は干渉波1302を示し、破線は読取用電波1301と干渉波1302との合成波1303を示す。また、縦軸は強度(振幅)を示し、横軸は基準点O(例えば、アンテナユニットの位置)からの距離を示す。
図13(A)は、位相調整回路1202が発振回路1201が生成したキャリア波に位相調整を行わない状態で、読取用電波1301が放射された状態を示す図である。この状態で読取用電波1301と干渉波1302の合成波1303の振幅が0となる点がデッドスポットとなる。図13(A)に示す例では、位置P11〜P17においてデッドスポットが生じている。
図13(B)は、位相調整回路1202が発振回路1201が生成したキャリア波をπ/2だけ進ませる位相調整を行った状態で、読取用電波1301が放射された状態を示す図である。図13(B)では、読取用電波1301は、図13(A)に比べてπ/2だけ進んだ状態で放射されている。干渉波1302は、図13(A)の場合と同様で変化はしていない。この状態で読取用電波1301と干渉波1302の合成波1303の振幅が0となる点がデッドスポットとなる。図13(B)に示す例では、位置P21〜P26においてデッドスポットが生じている。
図13(C)は、位相調整回路1202が発振回路1201が生成したキャリア波をさらにπ/2だけ進ませる位相調整を行った状態で、読取用電波1301が放射された状態を示す図である。図13(C)では、読取用電波1301は、図13(B)に比べてπ/2だけ、図13(A)に比べてπだけ進んだ状態で放射されている。干渉波1302は、図13(A)、図13(B)の場合と同様で変化はしていない。この状態で読取用電波1301と干渉波1302の合成波1303の振幅が0となる点がデッドスポットとなる。図13(C)に示す例では、位置P31〜P37にデッドスポットが生じている。
図13(D)は、位相調整回路1202が発振回路1201が生成したキャリア波をさらにπ/2だけ進ませる位相調整を行った状態で、読取用電波1301が放射された状態を示す図である。図13(D)では、読取用電波1301は、図13(C)に比べてπ/2だけ、図13(A)に比べて3π/2だけ進んだ状態で放射されている。干渉波1302は、図13(A)、図13(B)、図13(C)の場合と同様で変化はしていない。この状態で読取用電波1301と干渉波1302の合成波1303の振幅が0となる点がデッドスポットとなる。図13(D)に示す例では、位置P41〜P46にデッドスポットが生じている。
上記の図13(A)〜図13(D)のそれぞれの場合において生じているデッドスポットの位置の比較を図14(A)〜(D)に示す。図14(A)は、図13(A)に示す例において生じたデッドスポットの位置P11〜P17を示し、図14(B)は、図13(B)に示す例において生じたデッドスポットの位置P21〜P26を示し、図14(C)は、図13(C)に示す例において生じたデッドスポットの位置P31〜P37を示し、図14(D)は、図13(D)に示す例において生じたデッドスポットの位置P41〜P46を示している。
図14(A)〜(D)に示すように、読取用電波1301の位相を変えることにより、デッドスポットの生じる位置も、多くの場合変化する。例えば、図14(A)の位置P11において生じていたデッドスポットは、図14(B)の場合(位相をπ/2進めた場合)には解消する。位置P11に無線ICタグが存在している場合、図13(A)に示す位相で読取用電波が放射されている場合には、この位置P11に存在する無線ICタグの読み取りはできないが、キャリア波の位相をπ/2進めて図13(B)に示す位相で読取用電波が放射された場合は、位置P11はデッドスポットではなくなり(図14(B)参照)、この位置P11に存在する無線ICタグの読み取りはできるようになる。このことは、他の位置P12〜P17,P21〜26,P31〜P37、P41〜46についても当てはまる。すなわち、キャリア波の位相を変えて読取用電波を放射することで、データ読取装置は、デッドスポットの生ずる位置を変更させ、読み取り範囲に含まれるすべての位置で無線ICタグの読み取りを成功させることができる。
[C.第3の実施の形態]
第1、第2の実施の形態は、無線ICタグ40の位置を特定する位置特定システムに適用することも可能である。本発明の第3の態様は、無線ICタグ40の位置を特定する位置特定システムにおいて、デッドスポットに対処しながら無線ICタグ40の読み取りを行うことにより、より高い精度で位置特定を実現するシステムとして提案される。
図15に、本発明の第3の実施の形態である、位置特定システムの構成例を示す。
この位置特定システム1500は、無線ICタグ40の読み取りを行うアンテナユニット30及びリーダ/ライタ20Xと、リーダ/ライタ20Xの読み取り動作を制御するリーダ/ライタ制御装置10と、リーダ/ライタ20が読み取った無線ICタグ40からの無線信号の強度に基づいて、その無線ICタグ40の位置を特定する位置特定装置50とを有している。なお、第1及び第2の実施の形態と同一の装置、構成要素については同一の参照符号を付し、それらについては詳細な説明は省略する。
[C.1.リーダ/ライタ]
図16に、リーダ/ライタ20Xの構成例を示す機能ブロック図を掲げる。
リーダ/ライタ20Xは、CPUなどで構成される制御部21と、制御部21に接続された回路であって、変調、復調、増幅など無線送受信を実行する回路である送受信部22と、送受信部22から供給される変調された搬送波を、アンテナユニット301、302、303、304に選択的に供給するアンテナ切替部25とを有している。このアンテナ切替部25は、アンテナユニット301、302、303、304に接続されている。
制御部21は、リーダ/ライタ制御装置10からの命令を受け取り、これに応じて送受信部22を駆動させ、また送受信部22から出力されたデータ(無線ICタグ40から読み取った固有IDなど)をリーダ/ライタ制御装置30に渡す機能を有している。また、制御部21は、アンテナユニット301、302、303、304を選択的に駆動させるよう、アンテナ切替部25に切り替え命令を送る。また、制御部21は、各アンテナユニット301、302、303、304の放射特性(例えば、電界パターン、ビーム方向、ビーム幅、偏波方向(垂直偏波、水平偏波、左回り円偏波、右回り円偏波)など)を変更させる。アンテナユニット30が備えているアンテナ(図略)は、第1の実施の形態において述べた通り制御によりその放射特性を可変できるアンテナ、例えばフェイズドアレイ・アンテナなどである。
送受信部22は、アンテナユニット301、302、303、304を介して無線ICタグ40と無線により交信を行う機能を有する。送受信部22は、変調部23と復調部24とを有している。変調部23は、制御部21から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報に応じた信号を所定の変調方式で変調して送信信号(変調されたキャリア波)を生成する。復調部24は、無線ICタグ40が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式で変調されたキャリア波を復調し、当該無線ICタグ40が記憶しているデータに応じた信号を取り出し、制御部21に渡す。
また、各アンテナユニット301、302、303、304(それぞれを区別しない場合は、単に「アンテナユニット30」と呼ぶ)の構成の変形としては、各アンテナユニット30は、偏波の方向が互いに異なる電波を放射する複数のアンテナを備えており、これらをリーダ/ライタ20X若しくはリーダ/ライタ制御装置10からの制御命令に応じて選択的に駆動させる構成としてもよい。例えば、各アンテナユニット30は、縦(垂直)方向の偏波を放射するダイポールアンテナ、横(水平)方向の偏波を放射するダイポールアンテナ、右回り円偏波を放射する円偏波パッチアンテナ、は左回り円偏波を放射する円偏波パッチアンテナの4つのアンテナを備えており、これらを選択的に駆動させて所望の偏波方向を有する電波を送信できるようにしてもよい。
これら4つのアンテナには、変調されたキャリア波がアンテナ切替部25によって選択的に供給される。選択されたアンテナは、送受信部22、より詳しくは変調部23から受け取った変調されたキャリア波を空中に放射し、選択された偏波の方向を有する電波を無線ICタグ40に向けて放射すると共に、無線ICタグ40からの送信信号(例えば、負荷変調により生じた電磁界の変化による信号)を受信し、この信号を送受信部22、より詳しくは復調部24に供給する。復調部24は、無線ICタグ40から送信される信号、負荷変調などにより変化させられた電磁界の受信強度を測定する機能を有し、復調の結果得られた信号と共に、その受信強度を制御部21に渡す。
なお、アンテナユニット30は、必ずしもリーダ/ライタ20Xと別体になっている必要はなく、リーダ/ライタ20Xの筐体内に格納されていてもよい。アンテナユニット30は、送信用アンテナ/受信用アンテナとこれを保護するためのケースで構成されている。アンテナユニット30は、制御部21及び送受信部22を格納したリーダ/ライタ本体(図略)とは、別体の装置又はユニットになっており、リーダ/ライタ本体とケーブルなどで接続される。従って、アンテナユニット30は、リーダ/ライタ本体から離れた場所であっても設置できる様になっている。一つのリーダ/ライタ本体に、複数のアンテナユニット30であって、それぞれ異なる場所に設置されたアンテナユニット30を接続し、リーダ/ライタ本体が複数のアンテナユニット30を切り替えながら使用するようにしてもよい。
また、別の構成例としては、リーダ/ライタ20Xに接続される複数のアンテナユニット30のうちの一つのアンテナユニット30をリーダ/ライタ20X内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
リーダ/ライタ20X、より詳しくは制御部21は、無線ICタグ40の読み出しをアンテナユニット301、302、303、304の切り替えを行いながら行う。また、リーダ/ライタ20X、より詳しくは制御部21は各アンテナユニット301、302、303、304ごとに、読み出しを行った場合に無線ICタグ40から返答として送信された電波の受信強度を記録する。
[C.2.無線ICタグ]
無線ICタグ40の構成は、第1、第2の実施の形態のものと同様であるので、ここではその説明は省略する。
[C.3.リーダ/ライタ制御装置]
リーダ/ライタ制御装置10の構成は、第1、第2の実施の形態のものと同様であるので、ここではその説明は省略する。
[C.4.位置特定装置]
位置特定装置50は、各アンテナユニット30において受信した、無線ICタグ40からの電波の受信強度に基づいて、その無線ICタグ40の位置を特定する機能を有する。
位置特定装置50は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置などの外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに情報処理装置を位置特定装置50として機能させるためのプログラム、又は位置特定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより位置特定装置50が実現され、若しくは位置特定方法が実行される。なお、図15に示す構成例では、リーダ/ライタ制御装置10と、位置特定装置50を別個の装置として表示したが、本発明はかかる構成に限定される趣旨ではなく、同一の情報処理装置(パーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)をリーダ/ライタ制御装置10及び位置特定装置50として機能させても、本発明は成立する。
図17に、位置特定装置50の一例を示す機能ブロック図を掲げる。
位置特定装置50は、読み取り指示部501と、読み取り結果記憶部502と、位置算出部503とを有している。
読み取り指示部501は、位置特定を行う場合に、まず各リーダ/ライタ制御装置10を介して、リーダ/ライタ20Xに読み取り処理を実行するよう命令を出す機能を有する。リーダ/ライタ20Xは、この命令に応じて、各アンテナユニット30について、アンテナの放射特性(例えば、電界パターン、ビーム方向、ビーム幅)を変化させつつ、偏波の方向の異なる電波を切り替えながら読み取り処理を実行する。例えば、リーダ/ライタ20Xは、各アンテナユニット30について、ビーム方向が第1の方向となるようにアンテナの放射特性を変化させておき、偏波の方向の異なる電波を切り替えながら送信して読み取り処理を実行し、つぎに各アンテナユニット30について、ビーム方向が前述の第1の方向とは異なる方向である第2の方向となるようにアンテナの放射特性を変化させておき、偏波の方向の異なる電波を切り替えながら送信して読み取り処理を実行する。このとき位置特定システム1500,より詳しくはリーダ/ライタ20Xは、読み取り処理において無線ICタグ40からの信号の受信強度を測定し、記憶しておく。
偏波の方向の異なる電波を切り替えながら送信して読み取り処理を行う処理とは、以下の通りである。すなわち、上述のアンテナ構成例においては、各アンテナユニット30につき、アンテナの放射特性を変化させながら垂直偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ40の読み取りが実行され、次に、アンテナの放射特性を変化させながら水平偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ40の読み取りが実行され、次に、アンテナの放射特性を変化させながら右回り円偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ40の読み取りが実行され、最後にアンテナの放射特性を変化させながら右回り円偏波を用いて交信領域内にあるすべての無線ICタグ40の読み取りが実行される。また、必要に応じて、リーダ/ライタ20の読取り周波数として使用するチャネルを切替えながら、上記偏波の切替を行うことも効果的である。
アンテナの放射特性を変化させながら各偏波を用いる読み取り処理において、リーダ/ライタ20Xは、アンテナの放射特性ごとに各アンテナユニット30の交信領域に存在するすべての無線ICタグ40と交信を行い、交信の結果読み取りに成功した固有IDすべてをリーダ/ライタ制御装置10を介して位置特定装置50、より詳しくは読み取り結果記憶部502に通知する。
読み取り結果記憶部502は、リーダ/ライタ20Xから通知された読み取り結果を記憶する機能を有する。図18に、読み取り結果記憶部502が記憶する読み取り結果データの一例を示す。図18に示す読み取り結果データは、ある一つのアンテナユニット30からの読み取り結果をテーブル1800として記憶している例を示している。このようなテーブル1800は、各アンテナユニット30又はアンテナユニットが備えている各アンテナについて、一つずつ読み取り結果記憶部502に記憶される。
テーブル1800は、リーダ/ライタ20Xが読み取った固有IDごとに一つのレコード1801を有している。各レコード1801は、固有IDを格納する固有IDフィールド1802,垂直偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ40から受信した電波強度を格納する垂直偏波フィールド1803,水平偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ40から受信した電波強度を格納する水平偏波フィールド1804、右回り円偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ40から受信した電波強度を格納する右回り円偏波フィールド1805、左回り円偏波を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ40から受信した電波強度を格納する左回り円偏波フィールド1806、各偏波を用いた場合の電波強度を総合的に判断して決定した電波強度を格納する評価電波強度フィールド1807,及び評価電波強度に基づいて決定される推定距離を格納する推定距離フィールド1808を有している。なお、各偏波を用いた場合の電波強度を総合的に判断する方法はいろいろ考えられるが、この実施の形態では、最も強い電波強度を評価電波強度とする。
さて、固有IDフィールド1802には、リーダ/ライタ20Xから通知された固有IDが格納される。なお、一のレコードには一つの固有IDが格納されるため、一回の読み取り操作で、例えば50個の固有IDが読み取られた場合には、50個のレコード1801がテーブル1800に作られることとなる。
各偏波フィールド1803〜1806には受信した電波の強度に相当する情報或いはデータが格納される。なお、位置特定システム1500は、アンテナの放射特性を変化させて、各放射特性ごとにそれぞれの偏波を送信した場合に受信する無線ICタグ40からの応答の電波強度を測定するものである。位置特定システム1500、より詳しくは位置特定装置50は、各放射特性において測定された電波強度を用いてその偏波を用いた場合の電波強度を決定し、対応するフィールドに格納する。例えば、位置特定システム1500があるアンテナユニット30について、ビーム方向が第1の方向となるようにアンテナの放射特性を制御しつつ垂直偏波を放射させた場合に、無線ICタグ40から受信した電波強度がX1であり、また、ビーム方向が第2の方向となるようにアンテナの放射特性を制御しつつ、縦偏波を放射させた場合に、無線ICタグ40から受信した応答の電波強度がX2であるとすると、位置特定システム1500、より詳しくは位置特定装置50は、そのアンテナユニット30に対応するテーブル1800のレコード1801であって、その無線ICタグ40に対応するレコード1801の垂直偏波フィールド1803に、前述の電波強度X1,X2に基づいて定めた値を格納する。格納する値を定める方法は任意であるが、一例としては位置特定システム1500、より詳しくは位置特定装置50は、電波強度X1、X2のいずれか大きい方を垂直偏波フィールド1803に格納する。
推定距離フィールド1808は、評価電波強度フィールド1807に格納された評価電波強度に基づいて推定される距離、すなわち、そのレコードに対応する固有IDを有する無線ICタグと、テーブル1800に対応するアンテナユニット30との推定距離が格納される。なお、推定距離は、後述する位置算出部503によって算出される情報であって、この例ではテーブル1800の一部としているが、必ずしもテーブル1800の一部である必要はない。
先にも述べているが、上記テーブル1800は、各アンテナユニット30又はアンテナユニット30が備える各アンテナについて一つ作成される。従って、一つの無線ICタグ40と各アンテナユニット30又はアンテナユニット30が備える各アンテナ間のそれぞれの推定距離が最終的に読み取り結果記憶部502に記憶される。
図17に戻り、位置特定装置50の構成例の説明を続ける。
位置算出部503は、評価電波強度フィールド1807に格納された評価電波強度に基づいて各アンテナユニット30又はアンテナユニット30が備える各アンテナと各固有IDを有する無線ICタグ40の間の推定距離を算出し、各推定距離に基づいて、各固有IDを有する無線ICタグ40を算出する。
図19は、位置算出部503が評価電波強度から推定距離を算出するために用いるデータの一例を示す。図に示すデータは、評価電波強度(縦軸)の値に応じて、推定距離を一意に定めるためのグラフである。例えば、評価電波強度100(単位は例えば、dB,μVなど)であれば推定距離は0,評価電波強度50であれば推定距離L、評価電波強度25であれば、推定距離2Lというように定めることができる。かかるデータは、無線ICタグ40とリーダ/ライタ20との距離を変えながら電波強度の統計を取るなどして、作成する方法が考えられるが、その他の方法によってこのようなデータを作成しても構わない。
図20は、位置算出部503が、評価電波強度から算出された推定距離に基づいて、無線ICタグ40の推定位置を算出した結果を格納するテーブルの例を示す。なお、この例では、2つの異なるアンテナユニット30(以下、アンテナユニットA,アンテナユニットBと呼んで区別する)を用いて位置特定を行うものとする。このテーブル2000は、固有IDごとに一つのレコード2001を有している。各レコード2001は、固有IDを格納する固有IDフィールド2002,アンテナユニットAとの推定距離を格納する第1推定距離フィールド2003,アンテナユニットBとの推定距離を格納する第2推定距離フィールド2004,及び固有IDに対応する無線ICタグ40の推定位置を格納する推定位置フィールド2005を有している。
推定位置フィールド2005に格納される推定位置は、第1推定距離フィールド2003及び第2推定距離フィールド2004に格納される推定距離に基づいて、位置算出部303が算出する。図21は、第1推定距離フィールド2003及び第2推定距離フィールド2004に格納される推定距離に基づいて推定位置を算出する方法の概念図である。この例では、ある空間(例えば、倉庫)に2つのアンテナユニットA,Bが設けられている。アンテナユニットAの位置を点P、アンテナユニットBの位置を点Qとする。
ある無線ICタグ40とリーダ/ライタAの推定距離がL1であって、その無線ICタグ40とアンテナユニットBの推定距離がL2であるとする。すると、この無線ICタグは点Pを中心とした半径L1の円801上であって、かつ点Pを中心とした半径L2の円802上を満たす位置に存在すると考えられる。すなわち、円801と円802の交点を求めることにより、無線ICタグ40の推定位置を得ることができる。
なお、推定位置は必ずしも座標情報でなくともよく、ある広がりを持ったエリア(例えば、空間を16の区画に分割して得られる個々の区画)を特定する情報を推定位置としてもよい。図21に示す例では、交点が2つ(点R,S)存在するため、一意に座標を定めることができない。このような場合には、これら2つの交点R,Sを含むエリアを推定位置とするようにしてもよい。
図20に戻り、推定位置を算出した結果を格納するテーブル2000の例の説明を続ける。
上記のようにして算出した推定位置は、それぞれのレコード2001の推定位置フィールド2005に格納される。位置特定装置50は、このテーブル2000を参照することにより、固有IDごとの推定位置を出力し、ユーザに各無線ICタグ40の推定位置を提供することが可能となる。さらに、本位置特定システム1500によって得られた推定位置は、デッドスポットによる読み落としの影響を排除した、より精度の高いものとなる。
[D.第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態は、無線ICタグ40の位置を特定する位置特定システムにおいて、デッドスポットに対処しながら無線ICタグ40の読み取りを行うことにより、より高い精度で位置特定を実現するシステムとして提案される
この位置特定システムは、リーダ/ライタが放射する読み取り用電波の周波数(周期、波長でもよい)を切り替えて交信領域内の無線ICタグ40の読み取りを行い、読み取りの際に無線ICタグ40から受信する信号の強度を測定し、測定した信号の受信強度に基づいてその無線ICタグ40の位置を特定することを特徴としている。
第4の実施の形態にかかる位置特定システムの構成は、第3の実施の形態と同様であるので、位置特定システムの構成の説明は省略する。
[D.1.リーダ/ライタ]
図22は、第4の実施の形態にかかるリーダ/ライタ20Yの構成例を示す機能ブロック図である。なお、第4の実施の形態にかかるリーダ/ライタ20Xと同様の構成要素については、同じ参照番号を付す。
リーダ/ライタ20Yは、CPUなどで構成される制御部21と、制御部21に接続された回路であって、変調、復調、増幅など無線送受信を実行する回路である送受信部22Yとを有している。送受信部22Yにはアンテナユニット30が接続されている。制御部21は、リーダ/ライタ制御装置10又は位置特定装置50からの命令を受け取り、これに応じて送受信部22を駆動させ、また送受信部22Yから出力されたデータ(無線ICタグ40から読み取った固有IDなど)を位置特定装置50に渡す機能を有している。また、制御部21は、アンテナユニット30の放射特性(例えば、電界パターン、ビーム方向、ビーム幅、偏波方向(垂直偏波、水平偏波、左回り円偏波、右回り円偏波)など)を変更させる機能を有している。アンテナユニット30が備えているアンテナ(図略)は、第1の実施の形態、或いは第3の実施の形態において述べた通り制御によりその放射特性を可変できるアンテナ、例えばフェイズドアレイ・アンテナなどである。
送受信部22Yは、アンテナユニット30を介して無線ICタグ40と無線により交信を行う機能を有する。送受信部22Yは、変調部23Yと復調部24とを有している。変調部23Yは、キャリア波を、制御部21から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報に応じた信号で所定の変調方式により変調して送信信号(変調されたキャリア波)を生成する。この変調部23Yは、キャリア波の周波数を選択的に切り替えて変調を行うことができる。
図23に変調部23Yの構成例を示す機能ブロック図を掲げる。図23に示す構成例では、変調部23Yは複数のキャリア波発生部23011〜23019を有している。この例では、UHF帯(952.0MHz〜954MHz)のリーダ/ライタ20Yであって、上記の帯域を200KHzステップで分けた9つのチャネルにそれぞれのキャリア波発生部23011〜23019が対応している。従って、キャリア波発生部23011〜23019が発生するキャリア波の波長はそれぞれ異なっており、各キャリア波発生部23011〜23019の選択時に、交信領域内に生ずるデッドスポットの位置が波長に応じて変化すると予測できる。
なお、上記構成例では、チャネル毎にキャリア波発生部を設けるとしたが、1つの周波数シンセサイザ回路によりキャリア波の周波数を切り替える構成としても構わない。
スイッチ部2302は、キャリア波発生部23011〜23019のいずれか一の出力をキャリア波として選択し、変調回路2303に渡す。なお、どのキャリア波発生部23011〜23019からの出力信号を選択するかは、制御回路2305からの指令によって決定される。
変調回路2303は、スイッチ部2302によって選択されたキャリア波発生部2301からの出力信号を、制御回路2305から受け取った情報信号(例えば、メッセージ、コマンド、などを表すビット列)により所定の変調方式を用いて変調する。
増幅回路2304は、変調回路2303によって変調された出力信号(キャリア波)をアンテナより放射できる出力レベルに増幅して、アンテナユニット30に給電する。
すなわち、上記構成を有する変調部23Yは無線ICタグ40の読み取り信号をその周波数、すなわち波長を変えて出力することが可能である。本位置特定システム1500は、波長が異なるキャリア波ごとに無線ICタグ40の読み取りを行う。
図22に戻り、リーダ/ライタ20Yの説明を続ける。
復調部24は、無線ICタグ40が記憶しているデータに応じた信号に基づいて所定の変調方式(例えば負荷変調など)で変調されたキャリア波を復調し、当該データに応じた信号を取り出し、制御部21に渡す。また、復調部24は、無線ICタグ40から送信される、負荷変調などのによる信号の受信強度を測定する機能を有し、復調の結果得られた信号と共に、その測定により得られた受信強度を制御部21に渡す。
アンテナユニット30は、第3の実施のものと同様であり、すなわちアンテナユニット30は送受信部22、より詳しくは変調部23Yから受け取った、変調されたキャリア波を空中に放射し、電波を無線ICタグ40に向けて放射すると共に、無線ICタグ40から送信された負荷変調などのキャリア波を受信し、このキャリア波を送受信部102、より詳しくは復調部105に供給する。アンテナユニット30が備えているアンテナ(図略)は、第1の実施の形態において述べたところと同様に、制御によりその放射特性を可変できるアンテナ、例えばフェイズドアレイ・アンテナなどである。
なお、アンテナユニット30は、必ずしもリーダ/ライタ20Yと別体になっている必要はなく、リーダ/ライタ20Yの筐体内に格納されていてもよい。アンテナユニット30は、送信用アンテナ/受信用アンテナとこれを保護するためのケースで構成されている。アンテナユニットは、制御部21及び送受信部22Yを格納したリーダ/ライタ本体とは、別体の装置又はユニットになっており、リーダ/ライタ本体とケーブルなどで接続される。従って、アンテナユニット30は、リーダ/ライタ本体から離れた場所であっても設置できる様になっている。一つのリーダ/ライタ本体に、複数のアンテナユニット30であって、それぞれ異なる場所に設置されたアンテナユニット30を接続し、リーダ/ライタ本体が複数のアンテナユニット30を切り替えながら使用するようにしてもよい。
また、別の構成例としては、リーダ/ライタ20Yに接続される複数のアンテナユニット30のうちのいずれか一つのアンテナユニット30をリーダ/ライタ20Y内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
また、別の構成例としては、リーダ/ライタ20Yに接続される複数のアンテナユニット30のうちの一つのアンテナユニットをリーダ/ライタ20Y内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
制御部21は、無線ICタグ40の読み出しをスイッチ部2302にキャリア波発生部23011〜23019の切り替えを行わせながら行わせる。また、制御部21はキャリア波(この例ではチャネル)ごとに、読み出しを行った場合に無線ICタグ40から返答として返信された電波の受信強度を記録する。記録された電波の受信強度は、リーダ/ライタ制御装置10を介して位置特定装置50に渡される。
[D.2.位置特定装置]
第4の実施の形態における位置特定装置50は、第3の実施の形態にかかる位置特定装置50と基本的構成は同じであり、異なる点は、読み取り結果記憶部302に記憶されるデータである。
図24は、第4の実施の形態における読み取り結果記憶部502(図17参照)に記憶されるデータ(読み取り結果データ)の例を示す図である。図24に示す読み取り結果データは、ある一つのリーダ/ライタ20Yからの読み取り結果をテーブルとして記憶している例を示している。このようなテーブル2400は、各アンテナユニット30又はアンテナユニット30が備える各アンテナについて、一つずつ読み取り結果記憶部302に記憶される。
テーブル2400は、リーダ/ライタ20Yが読み取った固有IDごとに一つのレコード2401を有している。各レコード2401は、固有IDを格納する固有IDフィールド2402,キャリア波発生部23011(チャネル1に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ40から受信した電波強度を格納するチャネル1フィールド2403、キャリア波発生部23012(チャネル2に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ40から受信した電波強度を格納するチャネル2フィールド2404、…、キャリア波発生部23019(チャネル9に対応する周波数のキャリア波を発生する)を用いた読み取り処理において、対応する固有IDを有する無線ICタグ40から受信した電波強度を格納するチャネル9フィールド2405、各チャネルのキャリア波を用いた場合の電波強度を総合的に判断して決定した評価電波強度フィールド2406,及び評価電波強度に基づいて決定される推定距離フィールド2407を有している。なお、テーブル2400はチャネル3〜8に対応するチャネルフィールドを有するものであるが、図24中では省略している。
さて、固有IDフィールド2402には、リーダ/ライタ20Yから通知された固有IDが格納される。なお、一のレコードには一つの固有IDが格納されるため、一回の読み取り操作で例えば、50個の固有IDが読み取られた場合には、50個のレコード1101がテーブル50に作られることとなる。
各チャネルフィールド2403〜2405には、該当チャネル使用時における受信した電波の強度に相当する情報が格納される。
評価電波強度フィールド2406には、各アンテナユニット30について、アンテナの放射特性(例えば、電界パターン、ビーム方向、ビーム幅)を変化させつつ、各チャネルのキャリア波を用いて読み取り処理を実行した場合の電波強度を総合的に判断して得られた値が格納される。例えば、リーダ/ライタ20Yは、各アンテナユニット30について、ビーム方向が第1の方向となるようにアンテナの放射特性を変化させておき、チャネルを切り替えながら送信して読み取り処理を実行し、つぎに各アンテナユニット30について、ビーム方向が前述の第1の方向とは異なる方向である第2の方向となるようにアンテナの放射特性を変化させておき、チャネルを切り替えながら送信して読み取り処理を実行する。このとき位置特定システム1500,より詳しくはリーダ/ライタ20Yは、読み取り処理において無線ICタグ40からの信号の受信強度を測定し、記憶しておく。各チャネルのキャリア波を用いた場合に無線ICタグから受信する電波強度を総合的に判断する方法はいろいろ考えられるが、この実施の形態では、最も強い電波強度を評価電波強度とする。
推定距離フィールド2407は、評価電波強度フィールド2406に格納された評価電波強度に基づいて推定される距離、すなわち、そのレコードに対応する固有IDを有する無線ICタグ40と、アンテナユニット30との推定距離が格納される。なお、推定距離は、位置算出部503によって算出される情報であって、この例ではテーブル2400の一部としているが、必ずしもテーブル2400の一部である必要はない。
先にも述べているが、上記テーブル2400は、各アンテナユニット30又はアンテナユニット30が備える各アンテナについて一つ作成される。従って、一つの無線ICタグ40と各アンテナユニット30又はアンテナユニット30が備える各アンテナ間のそれぞれの推定距離が最終的に読み取り結果記憶部502に記憶される。
位置算出部503は、評価電波強度フィールド2407に格納された評価電波強度に基づいてアンテナユニット30又はアンテナユニット30が備える各アンテナと各固有IDを有する無線ICタグ40の間の推定距離を算出し、各推定距離に基づいて、各固有IDを有する無線ICタグ40を算出する。
この推定位置の算出方法については、第3の実施の形態と同様なので、その詳細は省略する。
このように、本実施の形態にかかる位置特定システム1500及び位置特定装置50は、アンテナの放射特性を変化させつつ、無線ICタグ40に送信する読み取り電波のキャリア周波数を切り替えながら読み取り処理を行うため、読み取り電波のデッドスポットを変化させることができる。そのため、ある周波数のキャリア波を用いた読み取り時においては、デッドスポットに位置するため、リーダ/ライタ20Yに応答しなかった無線ICタグ40であっても、別の周波数のキャリア波を用いた読み取り時においては、デッドスポットからはずれる可能性があり、いずれかの周波数では無線ICタグ40からの受信強度が正しく得られることが期待できる。そして、それぞれのキャリア波を用いた場合に得られた受信強度を総合的判断することにより、正しい無線ICタグ40からの受信強度を得ることができ、より正確若しくは適切な無線ICタグ40の位置特定が可能となる。
[E.第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。本発明の第5の実施の形態は、無線ICタグ40の位置を特定する位置特定システムにおいて、デッドスポットに対処しながら無線ICタグ40の読み取りを行うことにより、より高い精度で位置特定を実現するシステムとして提案される
第5の実施の形態にかかる位置特定システムは、無線ICタグ40の読み取りを行うリーダ/ライタ20と、リーダ/ライタ20の読み取り動作を制御するリーダ/ライタ制御装置10と、リーダ/ライタ20が読み取った無線ICタグ40の固有IDに関する読み取り成功回数又は成功率に基づいて、その無線ICタグの位置を特定する位置特定装置50Zを有していることを特徴としている。
第5の実施の形態にかかる位置特定システムは、位置特定装置50に代えて位置特定装置50Zを有している点を除いて、第3の実施の形態にかかる位置特定システム1500と同様の構成を有している(図15参照)。
[E.1.リーダ/ライタ、無線ICタグ]
第5の実施の形態にかかる位置特定システムに用いられるリーダ/ライタ制御装置10,リーダ/ライタ20、無線ICタグ40,の構成は、第3の実施の形態にかかるこれら装置と同様なので、これらの詳細な説明は省略する。
[E.2.位置特定装置]
位置特定装置50Zは、リーダ/ライタ20が読み取った無線ICタグ40の固有IDに関する読み取り成功回数又は成功率に基づいて、その無線ICタグの位置を特定する機能を有する。
位置特定装置50Zは、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置などの外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに情報処理装置を位置特定装置50Zとして機能させるためのプログラム、又は位置特定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより位置特定装置50Zが実現され、若しくは位置特定方法が実行される。
図25に、位置特定装置50Zの一例を示す機能ブロック図を掲げる。
位置特定装置50Zは、読み取り指示部501Zと、読み取り結果記憶部502Zと、位置算出部503Zとを有している。
読み取り指示部501Zは、位置特定を行う場合に、まず各リーダ/ライタ20に、所定回数の読み取り処理を実行するよう命令を出す機能を有する。各リーダ/ライタ20は、この命令に従ってアンテナの放射特性を変化させつつ、所定回数の読み取り処理を実行する。例えば、リーダ/ライタ20は、アンテナのビーム方向が第1の方向となるようにアンテナの放射特性を変化させて読み取りを行い、つぎに、アンテナのビーム方向が第1の方向とは異なる方向である第2の方向なるようにアンテナの放射特性を変化させて読み取りを行い、これで一回の読み取り処理を行ったこととする。いずれかのビーム方向において読み取りが成功していれば、その回の読み取り処理は成功したものとして位置特定装置50Zに通知する。
なお、この実施の形態では、所定回数は100回であるものとして説明するが、この回数に限定されない。また、所定回数は固定された回数でなくともよく、位置特定システム1500が設置されている環境における通信環境などに応じて、適宜所定回数を変更するようにしてもよい。また、各リーダ/ライタ20又はアンテナユニット30ごとに所定回数を異なる設定にしても構わない。
各回の読み取り処理において、各リーダ/ライタ20は、そのリーダ/ライタ20の交信領域に存在するすべての無線ICタグ40と交信を行い、交信の結果読み取りに成功した固有IDすべてを位置特定装置50Z、より詳しくは読み取り結果記憶部502Zに通知する。
読み取り結果記憶部502Zは、各リーダ/ライタ20が通知した読み取り結果を記憶する機能を有する。図26に、読み取り結果記憶部502Zが記憶する読み取り結果データの一例を示す。図26に示す読み取り結果データは、ある一つのリーダ/ライタからの読み取り結果をテーブルとして記憶している例を示している。このようなテーブル50は、各アンテナユニット30について、一つずつ読み取り結果記憶部502Zに記憶される。
テーブル2600は、リーダ/ライタ20が読み取った固有IDごとに一つのレコード2601を有している。各レコード2601は、固有IDを格納する固有IDフィールド2602,1回目の読み取り処理の結果、対応する固有IDの読み取りが成功したか否かを格納する1回目フィールド2603,2回目の読み取り処理の結果、対応する固有IDの読み取りが成功したか否かを格納する2回目フィールド2604,3回目の読み取り処理の結果、対応する固有IDの読み取りが成功したか否かを格納する3回目フィールド2605,…(4回目フィールドから99回目フィールドは図略)、所定回数である100回目の読み取り処理の結果、対応する固有IDの読み取りが成功したか否かを格納する100回目フィールド2606、1回目から100回目までの読み取り処理結果のうち、読み取り成功回数を格納する成功回数フィールド2607,及び成功回数に基づいて決定される推定距離フィールド2608を有している。
固有IDフィールド2602には、リーダ/ライタ20から通知された固有IDが格納される。なお、一のレコードには一つの固有IDが格納されるため、一回の読み取り操作で例えば、50個の固有IDが読み取られた場合には、50個のレコード2601がテーブル2600に作られることとなる。
1回目フィールド2603から100回目フィールド2606には、その回の読み取り処理の結果、対応する固有IDがリーダ/ライタ20から通知されたか否かを示す情報が格納される。この例では、「1」は、その回の読み取り処理結果において、対応する固有IDがリーダ/ライタ20から通知されたこと、すなわち「0」はその回の読み取り処理結果において、対応する固有IDがリーダ/ライタ20から通知されなかったこと、すなわち、固有IDを有する無線ICタグ40の読み取りに失敗したことを示す。
成功回数フィールド2607は、1回目フィールド2603から100回目フィールド2606のうち、対応する固有IDがリーダ/ライタ20から通知されたことを示す情報が格納されているフィールドの数、すなわち、そのレコード2601に対応する固有IDを有する無線ICタグの読み取り成功回数を格納する。
推定距離フィールド2608は、成功回数フィールド2607に格納された成功回数に基づいて推定される距離、すなわち、そのレコードに対応する固有IDを有する無線ICタグと、アンテナユニット30との推定距離が格納される。なお、推定距離は、後述する位置算出部503Zによって算出される情報であって、この例ではテーブル2600の一部としているが、必ずしもテーブル2600の一部である必要はない。
先にも述べているが、上記テーブル2600は、各アンテナユニット30について一つ作成される。
位置算出部503Zは、成功回数フィールド2607に格納された成功回数に基づいて各リーダ/ライタ20と各固有IDを有する無線ICタグ40の間の推定距離を算出し、各推定距離に基づいて、各固有IDを有する無線ICタグ40を算出する。
図27は、位置算出部503Zが成功回数から推定距離を算出するために用いるデータの一例を示す。図に示すデータは、成功回数(縦軸)の値に応じて、推定距離を一意に定めるためのグラフである。例えば、成功回数100であれば推定距離は0,成功回数50回であれば推定距離L、成功回数25であれば、推定距離2Lというように定めることができる。かかるデータは、無線ICタグ40とリーダ/ライタ20との距離を変えながら成功回数の統計を取るなどして、作成する方法が考えられるが、その他の方法によってこのようなデータを作成しても構わない。
図28は、位置算出部503Zが、成功回数から算出された推定距離に基づいて、無線ICタグ40の推定位置を算出した結果を格納するテーブルの例を示す。なお、この例では、2つの異なるアンテナユニット30(以下、アンテナユニットA,アンテナユニットBと呼んで区別する)を用いて位置特定を行うものとする。このテーブル2800は、固有IDごとに一つのレコード2801を有している。各レコード2801は、固有IDを格納する固有IDフィールド2802,アンテナユニットAとの推定距離を格納する第1推定距離フィールド2803,アンテナユニットBとの推定距離を格納する第2推定距離フィールド2804,及び固有IDに対応する無線ICタグ40の推定位置を格納する推定位置フィールド2805を有している。
上記のようにして算出した推定位置は、それぞれのレコード2801の推定位置フィールド2805に格納される。位置特定装置50Zは、このテーブル2800を参照することにより、固有IDごとの推定位置を出力し、ユーザに各無線ICタグの推定位置を提供することが可能となる。
本実施の形態によれば、無線ICタグ40の読み取りによる位置検出を、電波伝搬状況の変動に影響されることなく、より高い精度で行うことが可能となる。
[F.変形例、その他]
(1)リーダ/ライタ20X,20Yが出力する受信強度を示すデータにタイムスタンプ(時刻情報)を付して位置特定装置50に渡し、位置特定装置50は時刻ごとにテーブル2400を生成し、時刻ごとの無線ICタグ40の推定位置を出力するようにしてもよい。
(2)第3の実施の形態と第4の実施の形態を組み合わせても本発明は成立する。すなわち、アンテナの放射特性を切り替えつつ、各周波数のキャリア波ごとに、偏波の方向を切り替えながら無線ICタグ40の読み取りを行い、無線ICタグ40からリーダ/ライタ20X(20Y)へ返される信号の強度(受信信号強度)を測定して、測定結果に基づいて無線ICタグ40の推定位置を出力するようにしてもよい。
(3) 上記第5の実施の形態では、成功回数に基づいて推定距離を決定するとして説明したが、成功確率(成功回数/全読み取り処理回数)に基づいて推定距離を決定するようにしても、本発明は成立する。
(4) 上記の読み取り成功回数に加えて、各読み取り成功時の無線ICタグ40からの応答送信時の電波強度を記録しておき、成功回数と電波強度のそれぞれに基づいて推定距離を算出して、両者の推定距離から位置の推定距離を算出するようにしてもよい。