以下、本発明のドラム式洗濯機を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
なお、本発明においてドラム式洗濯機とは、縦型ドラム式、水平ドラム式、斜めドラム式を含むと共に、ドラム式洗濯乾燥機を含む概念である。
以下の各実施形態では、箱体前面に洗濯物投入口を備えた斜めドラム式洗濯機を本発明の一適用例として説明する。
また、各実施形態においては、本発明の要旨と直接関わりのない構成要素、例えば箱体面に設ける操作部、表示部等の構成要素についての説明、及び図示は省略している。
[第1の実施形態]
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係るドラム式洗濯機の外観斜視図、(b)はこのドラム式洗濯機を防水パン上に設置した状態を示す側面図である。
このドラム式洗濯機は、外装体を構成し且つ前面に洗濯物の投入口4を備えた箱体1と、投入口4と連通する前面開口(開口)2aを有し、且つ箱体1内において前面開口2a側が斜め上向きに傾斜した姿勢にて支持された水槽2と、水槽2内に回転軸3aを中心として回転可能に支持されて洗濯物を収容し且つ洗いと脱水槽を兼用するドラム3と、ドラム3を回転駆動するための図示しないモータと、投入口4を開閉する扉5と、洗濯機の重量を支えるために箱体底部に突設した複数の前脚6、及び後脚7と、設置環境であるサニタリーの背面壁11に設けた水栓12から延びる給水ホース(配管)13を接続するために箱体1天面に設けた給水口8と、を備えている。
ドラム3は水槽2の前面開口2aと連通する洗濯物出入れ用のドラム開口を有し、ドラム開口は投入口4、水槽の前面開口2aを介して洗濯物を受入れ可能に構成されている。ドラム3の外周面には洗濯水を導入、排出するための孔が形成される。
箱体1内には、前記モータ等の駆動源、給排水機構、制御回路等が配置されており、箱体外面に設けた図示しない電源スイッチをユーザーがONし、操作スイッチ等を操作して任意の洗濯モード等を選択、実行することにより、選択されたモードによる洗濯が開始される。
乾燥ユニットを備えたドラム式洗濯機(ドラム式洗濯乾燥機)の場合には、例えば水槽2の下方のスペース内にヒータ、ヒートポンプ等の乾燥ユニットを配置する。乾燥ユニットによる乾燥工程は脱水を終了した洗濯物を収容したドラムを回転させながら温風を供給することにより実施される。
防水パン10は、平坦な設置面Aの外周全体を突状の外枠18によって包囲した構成を有している。箱体1底部の脚部6、7は、防水パン10の設置面A上に設置され、サニタリーを構成する背面壁11から突設された水栓12からの給水ホース13が給水口8に接続される。
本発明のドラム式洗濯機においては、防水パン10上に設置された箱体1の最上面の高さは従来のドラム式洗濯機の全高(水栓を超えない高さ、通常960mm程度)よりも高く(例えば、1100mm)設定されていると共に、水槽2も従来のドラム式洗濯機における水槽位置より高い位置に設けられているため、設置面(脚部6、7の底面)Aから水槽2の前面開口2aの中心位置(水槽径中心)までの高さH1を、従来のドラム式洗濯機の水槽径中心の高さ位置(通常、700mm程度)よりも十分に高く(例えば、800mm)設定することができる。
このように脚部6、7を含む全高が1000mmを越す高さを有した箱体1を防水パン10の設置面A上に据付けた場合には、背面壁11から突出する水栓12と箱体背面上部との干渉が避けられない状況となる筈であるが、本発明においては箱体1の上部後方の端辺に沿った位置に水栓12との干渉を回避するための空間Sを形成する切欠き部(凹所)9を設けて、この空間S内に水栓12を受け入れているため両者の相互の干渉を回避することができる。
換言すれば、本発明では箱体の上部後方に水栓を受け入れる切欠き部9を設けることによって箱体の高背化を実現する一方で、高背化することにより箱体内上部に新たに形成されるスペースを利用してより高い位置に水槽2を設けたので、その前面開口2a(投入口4)をより高い位置に設置することが可能となった。
一方、箱体1内の水槽2の後方に形成される内部空間内には部品類を通常配置しないため、この部分に相当する箱体外面に切欠き部9を形成することが可能となる。
なお、切欠き部9とは、箱体の上面、上面から背面にかけて、或いは背面に形成した凹所であり、水栓12、給水ホース13を収容するのに適した形状、容積を有した空間Sを形成することができるものであればどのような形態であってもよい。
図2はサニタリーにおける防水パンの設置状況の一例を示している。同図において、背面壁11と洗面台14と側面壁15との三面によって包囲された床面19上には、背面壁11に接して防水パン10が設置されている。背面壁11には水栓12が突設されている。防水パン10の設置面Aの縦横寸法は標準サイズの洗濯機の寸法に適合したサイズに設定されているため、設置面A上にドラム式洗濯機を据付ける場合には防水パン10の後方、及び左右両側には作業スペースを確保することができない。従って、据付け作業は防水パンの前方から行わざるを得ない。
図3は標準的な水栓の一例の構成を示す側面図であり、水栓12の各部寸法は、上端24から取付中心25までの高さをT1、取付中心25から蛇口先端26までの高さをT2、背面壁11からハンドル中心27までの距離をD1、ハンドル中心27から蛇口中心28までの距離をD2としたときに、T1は60mm、T2は55mm、D1は45mm、D2は38mmである。
標準的な水栓12の高さ寸法T1+T2は115mmであるため、切欠き部9の底面9aの高さ位置H3は、洗濯機の据付け作業中、及び据付け作業後に箱体背面が水栓と干渉しないように十分に低く設定する。
斜めドラム式の洗濯機にあっては箱体内の上部後方にデッドスペースとなる内部空間が形成されるため、この内部空間を利用してこのような高さ条件を備えた切欠き部を形成することが可能となる。また、水平タイプ、縦タイプのドラムを有した洗濯機にあっても水槽と箱体背面1aとの間に所要の内部空間を確保し得るようにレイアウトすることにより、この内部空間を利用して切欠き部を形成することが可能となる。
図4は本発明によるドラム式洗濯機を防水パン10の前方から移動させてきて設置面A上に据付ける作業途中の状況を示すものであり、箱体1の底面部20を防水パン10の外枠18の前縁18a上に載せた状態を示している。図5は設置面A上に据付けを完了した状態を示している。各図に基づいて据付け手順を説明する。
防水パンの外枠18の内側に形成された設置面Aは、例えば横幅750mm、奥行590mm、深さ45mm以上(例えば、非特許文献1参照)といった寸法を有しており、外枠18は高さ85mm以下に設定されている。この防水パン10内に、高さが1000mm以上で、横幅、及び奥行寸法が設置面A内に納まる寸法を有した箱体を備えたドラム式洗濯機を据付ける。
図2において説明したように背面壁11と洗面台14と側面壁15とによって前面を除いた三側面が近接して包囲された狭い場所では、作業者二人が箱体1の両側に立って作業を行うスペースを確保することができないため、防水パン10の前方に二人の作業員が立って箱体1を前方や後方に順次傾けながら押し込む必要がある。
前方のみからの作業による洗濯機の設置手順としては、例えばまず箱体1を前脚6を支点として前方に傾倒させることにより後脚7を床面19から持ち上げつつ箱体全体を後方へ直進させることにより、図4のように防水パン10の外枠18の前縁上に箱体1の底面部20を載せる。次いで、外枠前縁上に箱体1を載せたまま後方に傾斜させて後脚7を設置面A上に接地させ、前脚6を持ち上げて後方へ移動させつつ外枠前縁を乗り越えさせることにより設置面A上の適切な位置に据付けを完了する。
このような設置作業中においても、上部後方に切欠き部9を有する箱体1においては、箱体を前後に傾ける作業中に切欠き部9の空間S内に水栓12が常に収まるので物理的に干渉することなく据付け作業を完了することができる。
なお、図示の例では箱体の幅及び奥行き寸法が防水パンの設置面A内に納まる場合を示したが、脚部6、7の高さを外枠高さ以上とすることにより、設置面の幅、或いは奥行き寸法を超えた幅、奥行き寸法を有した大型の箱体を、外枠上にオーバーハングした状態で設置面上に据付けることが可能となる。このようなサイズの箱体においても、上部後方に切欠き部9を設けることにより、水栓の高さを超えた全高を有した洗濯機を実現できることは勿論である。
このように、本発明のドラム式洗濯機においては、箱体1の上部後方の適所、例えば上部後方端辺に沿った領域に、水栓12を受入れ可能な空間Sを形成するための切欠き部9を設けているので、防水パン10上への据付け作業中は勿論、据付け完了後においても箱体1が水栓12と干渉しない据付け状態とすることができる。また脚部6、7を含む箱体1の全高が1000mm以上の高さを有するので、それに伴って水槽2を高い位置に配置することが可能となり、ユーザーが投入口4から水槽2内へ洗濯物を出し入れするに際して、膝を曲げたり、腰を屈めたり、しゃがみ込んだりすることなく、立ち姿勢のまま楽に作業を行うことができる。さらに切欠き部9の空間S内に水栓12と給水ホース13の大半の部分が収納されて前方から視認されなくなることで、外観的にもすっきり見せる効果がある。
また、従来の洗濯機に比して、水槽2をより高い位置に設置したことに伴い洗濯機全体の重心位置が高くなり、洗濯機を防水パン上に載せる際に前方へ傾倒させて後脚7を浮かせる作業が容易になる。また、箱体上部後方に切欠き部9を設けた分だけ箱体上部の重量バランスを前方へ偏位させることができるため、洗濯機を前方へ傾倒させる際の作業性を更に高めることができる。
図示した切欠き部の構成例のように略直方体状の空間Sを形成する切欠き部9を箱体1の上部後方の端辺の全長に沿って形成した場合には、防水パン10の背面壁11上の水栓12の横方向位置がどこにあっても対応することができる。
なお、切欠き部9の形状、寸法は、図示した構成例に限らず、水栓12と給水ホース13との干渉を避けることができる範囲内で任意の形状、寸法とすればよい。例えば、背面壁上における水栓12の位置が防水パンの横幅中央より左側(右側)に配置されていることが予め判明している場合には、箱体の上部後方端縁上の左(右)半分側だけに切欠き部を設けたタイプの洗濯機を適用すればよい。このように切欠き部9は必ずしも端辺の全長に亘って形成する必要はなく、この場合には切欠き部を形成する範囲を必要最小限とすることができ、切欠き部を形成しないことにより広がった箱体内の容積や、天面29のスペースを有効利用することが可能となる。同様に、水栓12の位置が防水パンの横幅の中央部に設けられる設置環境に対応させるためには、箱体の上部後方端縁上の中央部にだけ所定幅の切欠き部を設けておけばよい。
なお、特開2000−271391公報のドラム式洗濯乾燥機には、ドラム回転駆動用モータの一部が箱体の背面側から突出する結果として箱体背面の一部に凸部が形成され、凸部とそれ以外の背面部分との間に段差が形成されているが、この凸部は箱体の奥行き寸法を最小限に抑えるために局部的に形成されているものに過ぎず、本発明のように水栓との干渉を避けることができるスペースを背面壁11と箱体背面との間に形成するに足るものではない。
また、特開2005−118607公報には、給水口と給水ホースとの接続部を収容するために箱体の背面に凹部を形成したドラム式洗濯機構成が開示されているが、このような小サイズの凹部によって水栓との干渉を回避することは不可能である。
[第2の実施形態]
第1の実施形態に係るドラム式洗濯機は、防水パン10への据付け時に水栓12との干渉を回避するために、箱体1の上部後方端縁の適所に切欠き部9を形成したが、第2の実施形態では第1の実施形態に対して更にドラム式洗濯機の据付性を向上させるとともに、脱水槽3の内外への洗濯物の出し入れ作業性をさらに向上させるための構成を付加した例を示す。
図5は第2の実施形態に係るドラム式洗濯機の構成を示す側面図であり、このドラム式洗濯機は、防水パン10の設置面Aから水槽2の径中心までの高さをH1、設置面Aから水槽2の前面開口2aの最上端までの高さをH2、設置面Aから切欠き部の底面(最下端部)9aまでの高さをH3、切欠き部9の奥行寸法(箱体背面1aから切欠き部の前内壁9bまでの幅)をE1とした場合に、H1は700mm超であり、H2は960mm超であり、H3は1000mm以下であり、E1は100mm以上とした点が特徴的である。
設置面Aから切欠き部底面9aまでの高さH3は、標準タイプの水栓12の最上部の高さ位置(例えば、1100mm)、及び水栓の高さ寸法(T1+T2、例えば115mm)に対応して種々選定可能ではあるが、例えば設置面Aから切欠き部の底面9aまでの高さH3を1000mm以下(例えば、960mm)とすることにより、標準的な高さ位置に設置された水栓12を収容可能な空間Sを形成することができる。
また、例えば設置面Aから箱体上面までの高さを1100mmとした場合に、設置面Aから水槽2の径中心までの高さH1を700mmを超えた値(例えば800mm)にすると共に、設置面Aから水槽2の前面開口2aの最上端までの高さH2を960mmを超えた値(1060mm)とすることができ、ユーザーは投入口4からの洗濯物の出入れ作業を立ち姿勢にて行うことが可能となる。このように例えば箱体上面の高さ位置が100mm高くなれば、投入口4の高さ位置もほぼ100mm高くすることが可能となり、洗濯物の出入れ作業性が格段に良くなることは明かである。
特に本発明では水槽後端部2bの上端部が前面開口2aの上端部よりも下方に位置していることにより箱体の上部後方に形成されるスペースを利用して切欠き部9を形成することができるため、切欠き部底面9aの高さH3を水槽の前面開口2aの上端部よりも更に低くすることができ、その分だけ空間Sの下端を低くして水栓12や給水ホース13を収容し易くすることができる。つまり、箱体上面までの高さを1000mmを超える任意の高さとした場合においても、切欠き部底面9aの高さH3を1000mm以下とすることが可能となり、その結果、標準の高さ位置にある標準サイズの水栓を切欠き部内に収容することができる。
また、切欠き部9の奥行寸法E1を100mm以上としたため、図3に示した如き突出長が100mm程度の標準サイズの水栓12を切欠き部9によって形成される空間S内に納めることができる。
なお、上記構成を備えたドラム式洗濯機を防水パン10上に据付ける作業手順は、第1の実施形態において述べた手順と同等であり、箱体1の背面上部に切欠き部9を設けているので、防水パン10への据付作業中、及び据付け完了後に水栓12と干渉することなく据付けることができる。また、洗濯機の重心を前方、且つ上部に位置させているため、前方へ傾倒させる際の作業性を良くすることができる。
このように第2の実施形態においては、水栓12との干渉を避けるために十分に低い底面高さH3と、十分な奥行き寸法E1を備えた切欠き部9を設けたことにより、ドラム式洗濯機の高背化に対する制約が解消され、洗濯機の全高を1000mmを大幅に超えた任意の高さまで高背化することができる。したがって水槽2も、従来のドラム式洗濯機の全高よりも高い位置に取り付けることが可能となる。特に、設置面から水槽内径の最上端までの高さH2を960mm超としたので、脱水槽3への洗濯物の出し入れ作業性をさらに向上させることができる。
また、切欠き部9内に水栓と給水ホースを完全に収納することで外観的にすっきり見せることができる。
[第3の実施形態]
第2の実施形態に係るドラム式洗濯機は、防水パン10への据付け時に水栓12、給水ホース13との干渉を回避したり、外観を向上させるために、切欠き部9の高さ位置や奥行き寸法を所定に寸法設定したが、第3の実施形態では第1及び第2の実施形態に対して更に外観を向上させ、天面スペースを広く活用できるようにするための構成を付加した例を示す。
図6は第3の実施形態に係るドラム式洗濯機を防水パン上に据付けた状態を示す側面図であり、給水口8を天面29ではなく、切欠き部9の前内壁9bの適所に設けて給水ホース13を接続するようにした構成が特徴的である。
なお、給水口8を切欠き部9の底面9aの適所に設けても良い。
この実施形態によれば、給水口8を切欠き部9内に設けることで、水栓12、給水ホース13及び給水口8が切欠き部9のスペース内に収納されることとなり、箱体1の天面29をフラット化することができ、外観的にさらにすっきり見せることができる。また天面29をフラット化することにより、天面29上に洗濯かご等の備品を置くスペースを広く確保できるようになる。
このドラム式洗濯機を防水パン10上に据付ける作業は、上記各実施形態と同様に、防水パン10の前方から箱体1を押し込むことによって行う。その手順としてはまず前脚6を支点として洗濯機全体を前方へ傾斜させてから防水パン10の外枠18の前縁18a上に箱体の底面部20を載せる。次いで、外枠前縁18aに箱体底面を載せたまま、後方に押し込み、最後に前脚6を持ち上げて防水パン10内の適切な位置に据付ける。その後、切欠き部9内に設けられた給水口8に給水ホース13を接続する。
[第4の実施形態]
図7(a)は第4の実施形態に係るドラム式洗濯機を前方側から見た斜視図、(b)はこのドラム式洗濯機の据付け途中の状態を示す側面図、(c)は後方側から見た斜視図である。
このドラム式洗濯機は、箱体1を前方に所定角度傾けた時にのみ床面に接地可能な形状、サイズを有した2つのキャスター(車輪)16を、最前部にある2個の前脚6よりも前方へ突出するように箱体下部に支持した構成と、切欠き部9の前内壁9bと、箱体1の上部前方位置に夫々箱体を前方に傾ける際の手掛かりとするための取手17a、17bを設けた構成が特徴的である。なお、取手17a、17bは何れか一方だけを設けても良い。
この実施形態においては、ドラム式洗濯機の据付け作業性を向上させるとともに、運搬性を向上させるための手段として、2つのキャスター16を活用している。各キャスター16は、箱体1の下部に設けた支持部材16aにより前後方向へ正逆回転自在に支持されている。図示のように洗濯機を前方へ所定角度傾けた時にキャスター16だけが床面19に接地して洗濯機の重量を支承するため、脚部6、7が床面から浮いた状態となる。このため、前傾状態で洗濯機を防水パンに向けて移動させる際にはキャスターの転がりを利用することができ、少ない労力により図7(b)の状態に移行させることができる。
取手17aは例えば凹部状とし、この取手17aを切欠き部9の前内壁の上部適所に設けることにより、洗濯機の前方に位置する作業員の手を取手17aに引っ掛け易くなり、洗濯機を前方へ傾倒させる作業性が向上する。
或いは、箱体1の上部前方、即ち、箱体の前面上部、或いは天面29の前端部に取手17bを設け、この取手を利用して洗濯機を前方へ傾倒させるようにしてもよい。
つまり、本実施形態は、キャスター16と取手17a、17bを用いて据付け作業性を向上させるものである。
この際、キャスター16と取手17a、17bとの間に洗濯機の重心が位置するように箱体内部の重量部品等のレイアウトを調整すれば、洗濯機を前方へ傾斜させる際の作業性が向上する。
また、キャスター16を図示した例のように定位置に固定してもよいが、図示の位置よりも前方、或いは下方へ突出するように進退自在に構成してもよい。即ち、例えば箱体下部に設けた図示しない突出量調整手段によって支持部材16aを前方、或いは下方へ進退させてキャスター16を図示した位置よりも突出させることによって、洗濯機を前傾させた際におけるキャスター16による支持安定性を高めるようにしても良い。
また、図7(b)のように洗濯機の前傾時にだけキャスター16が床面19に接地し得るように下方へ突出させた状態のまま洗濯機を防水パンの設置面A上に設置するとキャスター16が外枠18の前縁18aと干渉するケースも想定されるため、外枠との干渉を回避するために設置完了した段階ではキャスター16を後方、或いは上方に退避させるようにしてもよい。
或いは、キャスター16の位置、突出量はそのままとしつつ、前脚6の下方への突出長を伸縮調整可能に構成しておくことによって、洗濯機の設置後におけるキャスターと枠体前縁18aとの干渉を回避するようにしてもよい。即ち、防水パンへの設置前においては前脚6を短縮させておくことにより洗濯機の前傾時にキャスター16が床面19上に当接して重量を支承しつつ転動することにより箱体を移動し易く構成する一方で、設置面A上への移載完了時には前脚6を後脚7と同等の長さまで突出させることにより相対的にキャスター16を上方へ変位させて枠体前縁18aとの干渉を回避しつつ、箱体1を水平な姿勢に保持し得るように構成する。
なお、箱体1を前傾させたときにキャスター16が回転すると作業性、及び安全性が阻害されることがあるので、キャスターの回転を任意に停止させるためのストッパを設けても良い。
本実施形態に係るドラム式洗濯機を防水パン10上に据付ける際には、上記各実施形態の場合と同様に、背面壁11と流し台14と側面壁15とによって三側面が囲まれた狭い場所では、作業者が防水パン10の前方から箱体1を押し込んで設置面A上に設置することとなる。まず、箱体1の切欠き部9内の取手17a、或いは箱体1の前部に設けた取手17bを掴んで箱体1を前方に傾けて、キャスター16を床面19に接地させて転がしながら後方へ移動させて枠体前縁18aに箱体1の底面部20を載せる。最後に、枠体前縁18aを支点として洗濯機全体を後方に傾倒させつつ設置面上の適切な位置に移動させて据付けを完了する。このように洗濯機を前傾させることによるキャスターを利用した移動と、前傾姿勢のまま防水パンの外枠前縁18aに箱体底面を載せる作業を、中断することなく一連の作業として実施することが可能となる。
上部後方(背面上部)に切欠き部9を有する箱体1においては、据付け作業の際、前後に傾けても切欠き部9の部分に水栓12が収まるので物理的に干渉することがない。据付け完了後においても同様である。
以上のように本実施形態によれば、切欠き部9内、その他の適所に設けた取手17a、17bを把持して洗濯機を前傾させることができ、更に洗濯機を外枠前縁18aを乗り越えて防水パン10上に設置する際にキャスター16を用いるので、従来のキャスターを有しないドラム式洗濯機に比べて軽い力で、或いは一人の作業員のみで移動させ、据付けることができる。また、洗濯機を前方に傾けて前脚6、及び後脚7を床面19から浮かしたまま、防水パン10の外枠前縁18aを乗り越えさせることができ、かつ底面部20を前縁18aに載せて支えることができるため、その後の設置面A上への移載作業へスムーズに移行することができる。
前述したようにキャスター16を前後、上下方向へ突出入させたり、前脚6を突出入させることができる構造を採用する場合には、防水パン10内の設置面A上に設置した後でキャスター16を退避させるか、或いは前脚6を突出させることにより箱体を水平に戻せば、安定した据付け状態を得ることができる。
なお、前述のように、キャスター16の回転をロックさせたりロックを解除するストッパをキャスターの適所に設けておき、手動操作、或いは作業者の足先による操作によってキャスターの前方(防水パンから離間する方向)への回転を禁止し得るように構成してもよい。このストッパを設けることにより、例えばキャスターを支点として洗濯機を作業者側へ前傾させた後に、キャスターの前方への回転をロックしておけば、傾倒させる作業を円滑に実施し得るばかりでなく、傾倒させた後で洗濯機の重量によって前方へ戻り回転することがなくなる。このように前方への戻り回転をロックされた状態においてもキャスターは防水パン側へ向かう後方への回転は許容されているためキャスターを利用して洗濯機を後方へ移動させる作業への移行がスムーズとなる。
或いは、キャスターのロック、及びロック解除のためにスイッチを取手17a、17b、その他の箇所に設けて手動操作し得るようにしてもよい。
ユーザーが新規購入した洗濯機を自宅の防水パン上に設置する作業は担当業者が実施するのが通常ではあるが、引っ越し、大掃除等において洗濯機の移設、再設置をユーザー自らが実施することもあり得るので、このようにユーザーによる移設、再設置作業を考慮してキャスター、ストッパ、スイッチを設けることが好ましい。
特に、キャスター16を設けたことにより、専門の業者に限らずユーザーにとっても、防水パン上からの取外し、移動、再設置は著しく容易な作業となり、一人で安全に作業を実施することができる。
なお、特開2001−276481公報には、箱体を後方へ傾斜させたときに床面と接地する車輪を箱体底面の後部に設けたドラム式洗濯乾燥機が開示されているが、この従来例は据付け場所への移動性を高めるための提案であり、後傾させて防水パンの前方位置まで移動してきた洗濯機の底面を防水パンの外枠前縁に載せる際には、逆に洗濯機を前傾させて後部車輪側を持ち上げる必要がある。つまり、防水パンへの移動時には洗濯機を後方へ傾斜させることにより車輪を利用して移動する一方で、防水パンの外枠前縁に箱体底面を載せる際には今度は洗濯機を前傾させる必要があり、作業が中断するため作業性が悪く疲労度を増す原因となる。
これに対して本実施形態においては、洗濯機を前傾させてキャスター16を接地させることにより洗濯機を防水パンの前方へ移動することができるばかりでなく、箱体底面を外枠前縁18aに載置する作業もそのままの前傾姿勢で行うことができる。このため、据付け作業性を高めることができる。
[第5の実施形態]
第5の実施形態に係るドラム式洗濯機は、防水パン10の外枠前縁18a上に箱体底面を載せた状態から、箱体1を後方に押し込んで防水パンの設置面A上に移動させる際の作業性を高めるための構成を備える。
図8は第5の実施形態に係るドラム式洗濯機の据付け途中の状況を示す側面図である。本実施形態では、箱体1の底面部20を防水パン10の前縁18aに載せた状態で滑りやすくするために、防水パン10の前縁18aと接する底面部20の凹凸を無くし、全面的に平坦面にしている。
本実施形態に係る洗濯機の据付け手順は上記各実施形態と同様であるが、図8のように箱体の平坦な底面20を外枠前縁18a上に載せた状態に移行してから後方に押し込む際に、箱体1の底面部20に凹凸が無く、平坦面になっているので、防水パン10の外枠前縁18aとの間で引っ掛かりを生じることがなく、スムーズに後方にスライドさせて押し込むことができる。
このように本実施形態のドラム式洗濯機においては、箱体1の底面部20が平坦面となっているので、従来のドラム式洗濯機に比べて軽い力でスムーズに箱体1を後方に押し込むことができる。また当該作業において、箱体1の底面部20と防水パン10の外枠前縁18aとの引っ掛かりが無いため、外枠前縁18aや底面20に傷や割れが発生しにくいという効果を得ることができる。
[第6の実施形態]
第5の実施形態では、箱体1の底面部20を防水パン10の外枠前縁18a上に載せた状態で滑り易くするために箱体底面部20を平坦面化したが、第6の実施形態では更に滑り易くするための構成を提案する。
即ち、図9は第6の実施形態に係るドラム式洗濯機の据付途中の状況を示す側面図であり、箱体1の底面部20を防水パン10の外枠前縁18aに載せた状態で滑りやすくするために、4つの脚部6、7を除いて、防水パン10の外枠前縁18aと接する底面部20を平坦面化し、さらにこの底面部20に動摩擦係数の小さい低摩擦材料から成る保護膜21を被覆している。
保護膜21としては、例えばフッ素樹脂材を用いるが、動摩擦係数の小さい材料であれば、フッ素樹脂材に限らず、種々の材料を使用することができる。
本実施形態に係る洗濯機の据付け手順は上記各実施形態と同様であるが、図9のように箱体の平坦な底面20を外枠前縁18a上に載せた状態に移行してから後方に押し込む際に、凹凸のない平坦な底面部20には低摩擦材料から成る保護膜21が形成されているので、外枠前縁18aとの間で引っ掛かりを生じることがなく、円滑な滑りを確保することができ、スムーズに後方に押し込むことができる。
このように本実施形態のドラム式洗濯機においては、箱体1の底面部20が凹凸のない平坦面となっているばかりでなく、この平坦面に低摩擦材料から成る保護膜21を成膜したので、第5の実施形態に係るドラム式洗濯機に比べて更に軽い力でスムーズに箱体1を後方に押し込むことができる。また当該作業において、箱体底面部の保護膜21と防水パン10の外枠前縁18aとの引っ掛かりがなく、低摩擦抵抗であるため、外枠前縁18aや底面20に傷や割れが発生しにくいという効果を得ることができる。
[第7の実施形態]
第7の実施形態に係るドラム式洗濯機は、切欠き部9を有効に活用するための構成例に係るものである。
図10は第7の実施形態に係るドラム式洗濯機の外観斜視図である。この実施形態に係るドラム式洗濯機は、箱体1の上部後方の切欠き部9内に物品収納用のトレイ22を着脱自在に配置することにより、トレイ22内に洗剤、柔軟剤等を収納できるように構成している。
切欠き部9を箱体1の上部後方の端縁の全長に亘って設けた場合、水栓12とホース13が収納される限られた空間部分を除けば残りの他の空間部分は利用されないデッドスペースとなる。そこで、本実施形態では、水栓12等が占める一部の空間部分を除いた他の空間部分の任意の位置に任意のサイズ、形状のトレイ22を任意の個数だけ配置することにより、切欠き部9によって形成される空間S全体を有効に活用するようにしている。
即ち、本実施形態のドラム式洗濯機においては、箱体1の上部後方の切欠き部9の底面9a上に着脱可能なトレイ22が設けられており、トレイ22内に洗剤、柔軟剤等の物品を収納できる。また、トレイ22は水栓12を配置する空間部分を除いた他の任意の空間内に着脱することができるため、ユーザーにとって取り扱いやすい位置を選択することが可能である。トレイ22は、洗濯機の前方に位置するユーザーが手を伸ばせばすぐに届く位置にあるため、作業性を向上できるとともに、サニタリー空間を有効に活用することができる。
このように本実施形態においては、箱体1の背面上部の切欠き部9内に着脱可能なトレイ22を設け、その中に洗剤、柔軟剤等を収納することにより、デッドスペースとなる切欠き部9内の空間Sを有効に活用することができる。また各種サイズ、形状を有したトレイ22を、水栓12を避けた切欠き部内の任意の位置に任意の個数取り付けることができるため、ユーザーにとって取り扱いやすい位置を選択するとともに、収納する洗剤や柔軟剤等の大きさによって適正なトレイ22を選択することが可能となる。
[第8の実施形態]
第7の実施形態では、箱体1の背面上部の切欠き部9内に着脱可能なトレイ22を配置したドラム式洗濯機の例を示したが、第8の実施形態ではトレイ22の使い勝手を更に向上させるための構成例を示す。
図11は第8の実施形態に係るドラム式洗濯機の外観図である。この実施形態に係るドラム式洗濯機は、物品収納用のトレイ22を切欠き部9の長手方向へ沿って進退自在に支持するレール23を備えている。レール23は、切欠き部9の底面9a(或いは前内壁9b)に沿って設け、レール23上にトレイ22側に設けた被ガイド部22aを連結することにより、トレイ22を長手方向へスライドさせて、水栓12を回避した任意の位置にセットできるようにしている。このため、ユーザーにとって取り扱いやすい位置を選択してトレイ22をセットすることができる。
以上のように、第8の実施形態に係るドラム式洗濯機によれば、箱体1の背面上部の切欠き部9内に着脱可能なトレイ22を設け、その中に洗剤、柔軟剤等を収納することにより、そのままではデッドスペースとなってしまう切欠き部9内の空間Sを有効に活用することができる。また切欠き部9内にレール23を設け、トレイ22をレール23上でスライドさせることによって、水栓12を避けたユーザーにとって取り扱いやすい任意の位置にセットすることが可能である。使用するトレイ22のサイズ、形状は種々選択できる。またトレイ22は手を伸ばせばすぐに届く位置にあるため作業性を向上できるとともに、サニタリー空間を有効に活用することができる。
[第9の実施形態]
箱体1の上面端縁の一部に切欠き部9を形成した場合、切欠き部内に物品が落下したり、ゴミが溜まり易くなる一方で、物品の取り出しや、ゴミの清掃が煩雑化する可能性がある。また、箱体1の天面29の有効活用スペースが狭くなるという問題もある。
図12は上記不具合に対処するための構成例を提案するものであり、図12(a)は第9の実施形態に係るドラム式洗濯機の外観斜視図、(b)は設置状態を示す説明図、(c)は設置状態を示す要部側面図、(d)は変形例の要部構成図である。
この実施形態に係るドラム式洗濯機は、切欠き部9の上方に庇状に張り出したカバー30を設けた構成が特徴的である。このカバー30は天面29の後端縁29aに沿って後方へ向けて水平に一体的に、且つ天面上面とカバー上面とが面一状となるように突設されている。本実施形態に係るカバー30は、互いに連続的に配設された複数のカバー小片31からなり、各カバー小片31は上方、又は下方へ一定以上の力を加えることにより、或いはカッタにより天面後端縁29aに沿って切断することにより、天面後端縁29aとの間の固定部が破断して取り外しできるように構成されている。従って、設置場所における水栓12の位置と幅が判明した時点で図12(b)のように水栓12に対応する位置にあるカバー小片31を切除して開放部32を形成しておけば、開放部32から水栓12を切欠き部内に受入れつつ洗濯機を支障なく据付ける作業を実施することができる。
なお、水栓12の位置に合わせてカバー小片31を切断する箇所は天面後端縁29aに限らず、個々の小片31の任意の位置を切断してもよい。
切除されていないカバー小片31は切欠き部の蓋として機能するため、切欠き部9内に物品やゴミが落下することを防止することができるばかりでなく、その上面を天面29の一部として有効活用することができる。
或いは、各カバー小片31の一端部を天面後端縁29aに対して図示しないヒンジによって夫々個別に上下動可能に連結しておき、各カバー小片31が水平姿勢から下方へ90度退避した退避姿勢との間を個別に変位できるように構成しておいてもよい。この際、水平姿勢にある各カバー小片31を夫々十分な支持強度で水平姿勢に維持し続けることができるように各ヒンジに仮止め機構を併設する。このようにカバー小片31を切除することなく、水平姿勢に復帰できるように構成することにより、引っ越し等によって洗濯機の設置環境が変化して水栓の横方向位置が変わった場合に対応することができる。即ち、以前のサニタリーにおける水栓の位置に合わせて切欠き部内に退避させていたカバー小片31を、引っ越し後には水平姿勢に戻すとともに、引っ越し後のサニタリーにおける水栓の位置に合わせて他のカバー小片31を切欠き部内に退避させて新たな開放部32を形成することにより、カバー30を含む箱体上面の総面積を大きく減ずる虞が無くなる。
また、給水口8を切欠き部9の前内壁9bに設けることによりホース13もカバー30により覆うことができ、外観をすっきりさせて見栄えをよくできるばかりでなく、カバー上面を含めた箱体上面をカゴ等を置くためのスペースとして広く有効活用することができる。
なお、給水口8が天面29上に設けられている場合においても、開放部を介してホース13により水栓の蛇口との間を接続することができる。
或いは、カバー30として一枚の樹脂板を使用し、設置場所の水栓の位置が確定した時点でカッタによって水栓に対応するカバーの特定箇所を切除することによって形成した開放部から切欠き部内に水栓を受け入れることができるように構成してもよい。
この際、図12(d)に示すように水栓のハンドルの高さ位置がカバー30と干渉する場合にはハンドルだけを露出するに足りる必要最小限の開口面積を有した開放部32を切欠き形成し、切欠き部9の大半の部分をカバー30によって覆うようにしてもよい。
[第10の実施形態]
次に、図2に示した如きレイアウトを有したサニタリー中の防水パン上に本発明のドラム式洗濯機を設置した場合には洗濯機上方の空間はデッドスペースとなる。
第10の実施形態では、洗濯機の上部後方に設けた切欠き部を利用して洗濯機上方の空間内を収納スペース等として有効利用することを提案する。
即ち、図13(a)は第10の実施形態に係る洗濯機の設置状態を示す側面図であり、(b)は付属器具を取り外した状態の斜視図である。
この実施形態に係るドラム式洗濯機は、箱体1の上部後方に設けた切欠き部9の底面9aに支持部40を備えている。この支持部40は例えば穴であり、箱体1の上方の空間にオーバーハング状に配置される収納ケース(戸棚、カゴ等)45を支持する取付台46から延びる支柱47の下部を支持部40内に受入れて直立させるように構成されている。
この例に係る支柱47は、切欠き9内の支持部40に対して着脱可能なレール47aと、レール47aにより上下方向にスライド可能に支持されたスペーサ47bとを備え、取付台46により支持された収納ケース45の高さ調整が可能となっている。
収納ケース45と、取付台46、支柱47は、付属器具を構成している。
支持部40は図示のように一対だけでなく、形成位置を異ならせた他の支持部を設けることにより、水栓12を回避した最適な位置に設けた支持部により支柱を支持することが可能となる。
また、支持部を例えば切欠き部9の前内壁9bに設けたガイド溝とし、このガイド溝内に支柱47の下部を差込み挿着するようにしてもよい。
このように第10の実施形態に係るドラム式洗濯機にあっては、上部後方に設けた切欠き部9を利用して収納ケース等の付属器具を立設支持するようにしたので、洗濯機の上方に形成される空間を有効利用することが可能となる。洗濯機はその重量が大きいため、収納ケース45を上部に支持した支柱47を安定して支持することができる。
以上のように本実施形態によれば、箱体1の上部後方の切欠き部9内にレール47a、スペーサ47bから成る支柱を立設し、スペーサ47bの上端に連結された取付台46により洗濯物や洗剤等を収納するための収納ケース45を支持することにより、そのままではデッドスペースとなってしまう切欠き部9、及び天面29の上部空間を有効に活用することができる。また、スペーサ47bはユーザーの身長等に応じて収納ケース45を上下方向に任意の高さ位置で保持でき、ユーザーにとって取り扱いやすい位置を選択することが可能である。また運転中のドラム式洗濯機の天面29に洗濯かごを載せた場合は振動により落下してしまうが、収納ケース45はレール47a、スペーサ47b、取付台46を介して重量物であるドラム式洗濯機により保持されており、運転中の振動によっても落下することがない。従来のドラム式洗濯乾燥機では運転停止中にしか天面29に洗濯かご等を置くことができなかったが、本発明によれば、運転中もドラム式洗濯機の上部空間に収納ケース45を置き、その中に洗濯物を収納しておくことができ、サニタリー空間を有効に活用することができる。
なお、本実施形態に係る付属器具を立設支持するための切欠き部内の支持部構造は、第9の実施形態に係るカバー30を備えたドラム式洗濯機に適用することも可能である。即ち、例えばカバー小片31から成るカバー30によって切欠き部9を隠蔽するように構成したドラム式洗濯機にあっては、支持部40に対応するカバー小片31を除去することにより形成した開放部から支柱47を立設することができる。
[第11の実施形態]
以上の各実施形態では、ドラム式洗濯機を防水パン10上に据付ける時に箱体1の上部後方と背面壁11から突設した水栓12とが干渉することを防止するための構造を提案したが、サニタリーのレイアウトによっては洗濯機の左右側壁の何れか一方に水栓が位置することがあり、この場合には箱体の上部側方部と水栓との干渉を回避する必要が生じる。
第11の実施形態に係るドラム式洗濯機は、図14(a)(b)に示すように、水栓12が防水パン10の右側壁11aに設けられている場合に対応するために、箱体1の上部右側方の端縁に沿った位置に切欠き部9を設けて、切欠き部9によって形成される空間S内に水栓12を受け入れるように構成したものである。この場合には、給水口8も切欠き部9内、或いは切欠き部の近傍に設けることとなる。
このように箱体1の上部側方に切欠き部9を設ける場合には箱体内部に位置する水槽2の側方上部に形成される内部空間を利用して切欠き部9を形成することが可能となる。
これを更に詳述すると、箱体1内には前面開口を上向き傾斜させた水槽2が格納され、水槽2の前面開口2aに相当する箱体前面には洗濯物投入口4が設けられている。防水パン10の設置面Aから箱体1の天面29までの高さは、標準的な水栓の位置よりも全高を低く設定した従来のドラム式洗濯機よりも高く、水槽2は従来のドラム式洗濯機における水槽位置よりも高く、設置面Aから水槽径中心までの高さがH1となる位置に取り付けられている。箱体1の上部側方には切欠き部9が設けられ、切欠き部9の内壁9cに給水口8が設けられている。箱体1は、防水パン10の設置面A上に設置され、側壁11aに設置された水栓12からの給水ホース13が給水口8に接続される。
側壁11aに突設された水栓12がドラム式洗濯機の全高よりも低い位置にある場合には、箱体1の上部側面が水栓12と干渉してしまい、ドラム式洗濯機を防水パン10に据え付けできない可能性がある。これに対し、本実施形態では箱体の上部側方に切欠き部9を設けて、切欠き部9内の空間S内に水栓12が収まるように構成したので、両者を物理的に干渉させることなく、ドラム式洗濯機を設置面A上に据え付けることができる。
以上のように、本実施形態に係るドラム式洗濯機においては、箱体1の上部側方に切欠き部9を設けているので、防水パン10への据付作業時に側壁に突出した水栓12と干渉することなく据え付けることができる。また箱体1の全高が高いので、それにしたがって水槽2の高く配置することが可能となり、ユーザーが投入口4から洗濯物を出し入れするに際して、膝を曲げたり、腰を屈めたり、しゃがみ込んだりすることなく、立ち姿勢のまま楽に行うことができる。さらに切欠き部9のスペース内に水栓12と給水ホース13が収まることで、外観的にもすっきり見せる効果がある。切欠き部9の形状、長さは、水栓12と給水ホース13との干渉を避けることができる範囲で任意の形状としてよい。なお切欠き部9は水栓12の位置に応じて箱体1の左右いずれか一側方に設けるものとする。
[本発明についての付加的説明事項]
本発明は、上記各実施形態に示した斜めドラム式洗濯機に限らず、縦型ドラム式洗濯機、水平ドラム式洗濯機に広く適用することができる。
即ち、本発明は、外面に洗濯物投入口を備えた箱体と、投入口と連通する開口を有して箱体内に支持された水槽と、水槽内に回転可能に支持されて洗濯物を収容する脱水槽としてのドラムと、設置環境側に設けられた水栓からの配管が接続される給水口と、を備え、箱体の上部後方の端辺、或いは箱体の上部側方の端辺の少なくとも一部に、水栓との干渉を避けるための空間を形成する(水栓の少なくとも一部を受け入れるための)切欠き部を設けた洗濯機を広く含むものである。
ここで箱体の外面とは、前面、上面(天面)を含む外部露出した範囲を広く含む。水槽の開口とは、箱体の前面、上面を含む外側面に形成した洗濯物投入口と連通した開口を広く含む。ドラムは、投入口及び水槽の開口を介して投入された洗濯物を受け入れて回転する手段である。ドラム内に洗濯物を受け入れるドラム開口は水槽の開口と連通可能な位置にあればどの位置に形成してもよい。即ち、ドラム開口は筒状のドラムの軸方向端面であってもよいし、外周面、その他の如何なる位置であってもよい。利用者が洗濯物投入口の内外に洗濯物を出入れする際に対面する箱体面側を前方とした場合に、切欠き部はその反対側である後方且つ上部に位置する箱体の端辺(端縁)、或いは少なくとも左右何れか一方の側方且つ上部に位置する箱体の端辺に沿って形成される。この切欠き部は各端辺の全長に形成してもよいし、一部に形成してもよい。
また、上記各実施形態を含む本発明に係るドラム式洗濯機は、乾燥ユニットを備えたドラム式洗濯機(ドラム式洗濯乾燥機)をも含むものである。
なお、上記の各実施形態に示された特徴的な各構成要素は、互いに矛盾を来さない範囲内で任意に組合せることにより独立した他の実施形態を構成することができる。
1 箱体、1a 背面、2 水槽、2a 前面開口、3 脱水槽、4 投入口、5 扉、6 前脚、7 後脚、8 給水口、9 切欠き部、9a 底面、9b 前内壁、S 空間、10 防水パン、A 設置面、11 背面壁、12 水栓、13 給水ホース(配管)、14 洗面台、15 側面壁、16 キャスター、16a 支持部材、17a、17b 取手、18 外枠、18a 外枠前縁、19 床面、20 底面部、21 保護膜、22 トレイ、23 レール、24 水栓上端、25 取付中心、26 蛇口先端、27 ハンドル中心、28 蛇口中心、 29 天面、30 カバー、31 カバー小片、40 支持部、45 収納ケース、46 支柱、47 嵌合ピン、H1 設置面から水槽径中心までの高さ、H2 設置面から水槽内径の最上端までの高さ、H3 設置面から切欠き最下端までの高さ、E1 切欠き部の奥行寸法、T1 水栓上端から取付中心までの高さ、T2 取付中心から蛇口先端までの高さ、D1 背面壁からハンドル中心までの距離、D2 ハンドル中心から蛇口中心までの距離。