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JP2007194004A - 固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法および膜電極接合体 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法および膜電極接合体 Download PDF

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JP2007194004A
JP2007194004A JP2006009474A JP2006009474A JP2007194004A JP 2007194004 A JP2007194004 A JP 2007194004A JP 2006009474 A JP2006009474 A JP 2006009474A JP 2006009474 A JP2006009474 A JP 2006009474A JP 2007194004 A JP2007194004 A JP 2007194004A
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electrolyte fuel
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Yasuhiro Kunisa
康弘 国狭
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】高い撥水性を長期間維持できる固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法、および固体高分子形燃料電池を長期間安定して作動できる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を提供する。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレンが水に分散した水性分散液を、ガス拡散層基材に含浸させた後、カーボンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンが分散媒に分散した塗工液を、ガス拡散層基材14上に塗布し、塗工液が塗布されたガス拡散層基材14を焼成することによってガス拡散層13を製造する方法であって、水性分散液および/または塗工液が、空気中における質量半減温度が100〜300℃である非イオン系界面活性剤を、ポリテトラフルオロエチレンと当該界面活性剤との合量に対して0.5〜10質量%含有することを特徴とする方法で得られたガス拡散層13を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法および膜電極接合体に関する。
固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極(カソード(空気極)およびアノード(燃料極))を配置した膜電極接合体を、セパレータを介して複数スタックして構成される。電極は、固体高分子電解質膜に接する触媒層と、該触媒層の外側に配置された多孔質のガス拡散層とから構成される。
固体高分子形燃料電池は、以下の理由から、電極が水で濡れやすく、ガス拡散層の細孔が水で閉塞する現象(フラッディング)を起こしやすい。
(1)固体高分子形燃料電池は、80℃程度の低温作動のため、電池反応によりカソード(空気極)で生成する水が凝縮しやすい。
(2)固体高分子電解質膜の導電性を保つため、固体高分子電解質膜が乾燥しないように、空気および燃料ガスは、湿潤した状態で供給される。
フラッディングが起きると、空気または燃料ガスが触媒層に到達できずに電圧が大きく落ち込むことがある。よって、固体高分子形燃料電池を長期間安定して作動させるためには、フラッディングが起こらないように、ガス拡散層に撥水性を付与することが必要である。
撥水性が付与されたガス拡散層としては、ポリテトラフルオロエチレンで撥水性が付与されたガス拡散層が知られている。該ガス拡散層の製造方法としては、たとえば、以下の方法が提案されている。
ポリテトラフルオロエチレンが水に分散した水性分散液を、ガス拡散層基材に含浸させた後、該ガス拡散層基材を350℃で焼成して、水性分散液中の水および界面活性剤を除去し、ガス拡散層基材を撥水処理する。さらに撥水処理されたガス拡散層基材上に、カーボンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンが水に分散した塗工液を塗布した後、該ガス拡散層基材を焼成して、塗工液中の水および界面活性剤を除去し、撥水性カーボン層を形成する(特許文献1)。
しかし、該方法で得られたガス拡散層は、撥水性を長期間維持できず、しだいにガス拡散層が濡れてきてフラッディングを起こし、電圧が大きく低下するという問題がある。
特開2005−019298号公報(実施例)
本発明の目的は、高い撥水性を長期間維持できる固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法、および固体高分子形燃料電池を長期間安定して作動できる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を提供することにある。
本発明の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレンが水に分散した水性分散液を、ガス拡散層基材に含浸させた後、カーボンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンが分散媒に分散した塗工液を、ガス拡散層基材上に塗布し、塗工液が塗布されたガス拡散層基材を焼成することによって固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を製造する方法であって、前記水性分散液および/または塗工液が、空気中における質量半減温度が100〜300℃である非イオン系界面活性剤を、ポリテトラフルオロエチレンと前記界面活性剤との合量に対して0.5〜10質量%含有することを特徴とする。
前記非イオン系界面活性剤は、下式(1)で表される化合物であることが好ましい。
1 O−A−H ・・・(1)。
ただし、R1 は、炭素数8〜18の1級または2級のアルキル基であり、Aは、5〜20個のオキシエチレン基と0〜2個のオキシプロピレン基とからなるポリオキシアルキレン基である。
前記非イオン系界面活性剤は、C1327O−(C24O)8(C36O)−H、C1327O−(C24O)9−H、C1327O−(C24O)10−H、C1021CH(CH3)CH2O−(C24O)10−H、C613CH(C613)O−(C24O)9−H、C1021CH(CH3)CH2O−(C24O)8(C36O)−H、C1225O−(C24O)9−HおよびC817O−(C24O)6−Hからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
塗工液が塗布されたガス拡散層基材を焼成する温度は、300〜390℃であることが好ましい。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に配置された触媒層と、触媒層の外側に配置されたガス拡散層とを具備し、2つのガス拡散層のうち少なくとも一方が、本発明の製造方法で得られた固体高分子形燃料電池用ガス拡散層であることを特徴とする。
本発明の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法によれば、高い撥水性を長期間維持できる固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を得ることができる。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体によれば、固体高分子形燃料電池を長期間安定して作動できる。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
(ガス拡散層)
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層(以下、ガス拡散層と記す。)の製造は、以下の(a)〜(d)の各工程を順に行うことにより実施できる。
(a)ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)が水に分散した水性分散液を、ガス拡散層基材に含浸させる。
(b)必要に応じて、ガス拡散層基材に含浸した水性分散液の水の一部または全部を蒸発させる、または水性分散液が含浸したガス拡散層基材を焼成する。
(c)カーボンブラックおよびPTFEが分散媒に分散した塗工液を、(a)または(b)工程で得たガス拡散層基材上に塗布する。
(d)塗工液が塗布されたガス拡散層基材を焼成する。
(a)工程:
水性分散液をガス拡散層基材に含浸させる方法としては、以下の方法が挙げられ、操作が簡易であることから、(a−1)の方法が好ましい。
(a−1)ガス拡散層基材を水性分散液に浸漬させた後、水性分散液から引き上げる方法。
(a−2)過剰の水性分散液をガス拡散層基材に塗布し、含浸させた後、余分な水性分散液を除去する方法。
ガス拡散層基材は、導電性を有する多孔質基材である。ガス拡散層基材としては、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等が挙げられる。
水性分散液は、PTFEが水に分散した液であり、PTFEを水に分散させるための界面活性剤を含む。
PTFEは、乳化重合法で得られるPTFE微粒子である。PTFEは、テトラフルオロエチレンの単独重合体であってもよく、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化オレフィン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の他のフッ素系単量体に由来する単位を含む変性PTFEであってもよい。ただし、他のフッ素系単量体の量は、得られる変性PTFEが実質的に溶融加工できない量に抑える必要がある。
PTFEの平均粒子径は、0.1〜0.5μmが好ましく、0.15〜0.4μmがより好ましく、0.2〜0.35μmが特に好ましい。PTFEの平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、PTFEの収量が高くなる。PTFEの平均粒子径を0.5μm以下とすることにより、PTFEが沈降しにくくなり、保存安定性が良好となる。
PTFEは、たとえば、ふっ素樹脂ハンドブック(里川編、日刊工業新聞社、1990年)の第28頁に記載されるような公知の乳化重合法により製造できる。
界面活性剤としては、質量半減温度が100〜300℃の非イオン系界面活性剤(以下、低温熱分解型非イオン系界面活性剤と記す。)が好ましい。後述の塗工液が低温熱分解型非イオン系界面活性剤を含む場合、水性分散液は低温熱分解型非イオン系界面活性剤を含まなくてもよいが、ガス拡散層の撥水性の点から、水性分散液および塗工液の両方が低温熱分解型非イオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
低温熱分解型非イオン系界面活性剤の質量半減温度は、100〜300℃であり、150〜290℃が好ましく、200〜280℃がより好ましい。低温熱分解型非イオン系界面活性剤の質量半減温度を100℃以上とすることにより、焼成による熱分解ガスの急激な発生が抑えられ、PTFEとガス拡散層基材との密着性の低下が抑えられる。低温熱分解型非イオン系界面活性剤の質量半減温度を300℃以下とすることにより、焼成によって低温熱分解型非イオン系界面活性剤が充分に熱分解され、PTFE表面に非イオン系界面活性剤が残存することなく、ガス拡散層が高い撥水性を長期間維持できる。
低温熱分解型非イオン系界面活性剤の含有量は、PTFEと界面活性剤との合量に対して0.5〜10質量%であり、1〜8質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。低温熱分解型非イオン系界面活性剤の含有量をPTFEと界面活性剤との合量に対して0.5質量%以上とすることにより、PTFE微粒子が水に安定に分散し、PTFE微粒子の凝集や沈降が抑えられる。低温熱分解型非イオン系界面活性剤の含有量をPTFEと界面活性剤との合量に対して10質量%以下とすることにより、焼成によって非イオン系界面活性剤を充分に除去できる。
PTFEに対する低温熱分解型非イオン系界面活性剤の含有量は、以下のようにして求める。
JIS K6893に準じて、水性分散液の10gをアルミ皿にとり、120℃で1時間乾燥した後における、水性分散液(100質量%)に対する残存質量x(質量%)および380℃で35分焼き付けた後における、水性分散液(100質量%)に対する残存質量y(質量%)を求め、(x−y)/x×100をPTFEと界面活性剤との合量に対する低温熱分解型非イオン系界面活性剤の含有量(質量%)とする。
低温熱分解型非イオン系界面活性剤としては、PTFE微粒子の安定化効果が高く、ぬれ性が良好であることから、化合物(1)が好ましい。
1 O−A−H ・・・(1)。
ただし、R1 は、炭素数8〜18の1級または2級のアルキル基であり、Aは、5〜20個のオキシエチレン基と0〜2個のオキシプロピレン基とからなるポリオキシアルキレン基である。
1 の炭素数は、8〜18であり、10〜16が好ましく、12〜15がより好ましい。R1 の炭素数を8以上とすることにより、水性分散液のぬれ性が良好となる。R1 の炭素数を18以下とすることにより、水性分散液の粘度が安定する。R1 としては、塗布時にはじき、あばた、厚みむら等の不具合を生じにくいことから、分岐を有するアルキル基が好ましい。
Aのオキシエチレン基の数は、5〜20であり、ぬれ性の点から、7〜12が好ましい。オキシエチレン基の数を5以上とすることにより、水性分散液の粘度が安定する。オキシエチレン基の数を20以下とすることにより、水性分散液のぬれ性が良好となる。
Aのオキシプロピレン基の数は、0〜2であり、消泡性が良好になることから、1〜2が好ましい。
化合物(1)としては、以下の化合物が好ましい。
1327O−(C24O)8(C36O)−H、
1327O−(C24O)9−H、
1327O−(C24O)10−H、
1021CH(CH3)CH2O−(C24O)10−H、
613CH(C613)O−(C24O)9−H、
1021CH(CH3)CH2O−(C24O)8(C36O)−H、
1225O−(C24O)9−H、
817O−(C24O)6−H。
低温熱分解型非イオン系界面活性剤の市販品としては、たとえば、日本乳化剤社製のニューコール1308FA、ニューコール1100、ダウケミカル社製のタージトール15−S−9、日本触媒社製のソフタノールシリーズ、ライオン社製のライオノールTD2007等が挙げられる。
低温熱分解型非イオン系界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、R1 の炭素原子数、Aのオキシエチレン基の数、オキシプロピレン基の数等は、平均値であり、各数値は整数に限らない。
水性分散液は、たとえば、乳化重合法で得られた、PTFEの含有量が10〜40質量%の乳化重合液に、低温熱分解型非イオン系界面活性剤を添加し、電気濃縮法、加熱濃縮法等の公知の濃縮法で濃縮した後、水、および必要に応じて低温熱分解型非イオン系界面活性剤を追加して調製される。乳化重合液には、乳化重合時に用いたフッ素系界面活性剤が含まれていてもよい。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロオクタン酸アンモニウム等が挙げられる。
水性分散液に含まれる水は、乳化重合液に含まれる水であってもよく、濃縮後に追加される水であってもよい。
水性分散液には、必要に応じて、フッ素化された脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の非イオン系界面活性剤;ポリエチレンオキサイド系増粘剤、ポリウレタン会合型増粘剤、シリコーン系添加剤、フッ素系添加剤、防腐剤、等が微量含まれていてもよい。
(b)工程:
(a)工程で得られたガス拡散層基材は、水性分散液で濡れた状態のまま(c)工程に供されてもよく、必要に応じて、(b−1)ガス拡散層基材に含浸した水性分散液の水の一部または全部を蒸発させた後、(c)工程に供されてもよく、(b−2)焼成された後、(c)工程に供されてもよい。
ただし、(a)工程で得られたガス拡散層基材を焼成すると、ガス拡散層基材の撥水性が高くなりすぎるため、塗工液の分散媒が水の場合、塗工液をガス拡散層基材上に塗布できないおそれがある。
よって、(a)工程で得られたガス拡散層基材は、水性分散液で濡れた状態のまま、または室温〜80℃の雰囲気下で、ガス拡散層基材に含浸した水性分散液の水の一部を蒸発させた後、(c)工程に供されることが好ましい。
(c)工程:
(a)または(b)工程で得たガス拡散層基材上に塗工液を塗布する。
塗工液は、カーボンブラックおよびPTFEが分散媒に分散した液であり、PTFEを水に分散させるための界面活性剤を含む。
PTFEとしては、上述の水性分散液に用いたPTFEと同様のものが挙げられる。
カーボンブラックは、得られる塗膜に導電性を付与するものである。カーボンブラックの市販品としては、ライオン社製のケッチェンブラックEC、キャボット社製のバルカンXC−72、電気化学工業社製のアセチレンブラック等が挙げられる。カーボンブラックは、黒鉛化されたグラファイトカーボンであってもよい。
界面活性剤としては、上述の低温熱分解型非イオン系界面活性剤が好ましい。また、ガス拡散層の撥水性の点から、水性分散液および塗工液の両方が低温熱分解型非イオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
低温熱分解型非イオン系界面活性剤の含有量は、PTFEと界面活性剤との合量に対して0.5〜10質量%であり、1〜8質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。低温熱分解型非イオン系界面活性剤の含有量をPTFEと界面活性剤との合量に対して0.5質量%以上とすることにより、PTFE微粒子が水に安定に分散し、PTFE微粒子の凝集や沈降が抑えられる。低温熱分解型非イオン系界面活性剤の含有量をPTFEと界面活性剤との合量に対して10質量%以下とすることにより、焼成によって非イオン系界面活性剤を充分に除去できる。
分散媒としては、水、pH調整のためのアンモニア水等が挙げられ、通常は水が用いられる。
塗工液は、たとえば、上述の水性分散液にカーボンブラックを添加し、充分に撹拌することによって調製できる。
塗布方法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ダイコート法等が挙げられ、平坦な塗膜が得られることから、ドクターブレード法が好ましい。ガス拡散層基材の表面が平坦な塗膜(後述の撥水性カーボン層)で覆われることにより、ガス拡散層に接する触媒層に機械的な損傷を与えにくくなる。
(d)工程:
(c)工程にて塗工液が塗布されたガス拡散層基材を焼成することにより、水性分散液から水および非イオン系界面活性剤を除去して、ガス拡散層基材にPTFEを付着させてガス拡散層基材を撥水処理すると同時に、塗工液から水および非イオン系界面活性剤を除去して、ガス拡散層基材の表面およびカーボンブラックにPTFEを付着させてカーボンブラックおよびPTFEからなる塗膜、すなわち撥水性カーボン層を形成する。
撥水性カーボン層は、撥水性およびガス拡散機能を有する多孔質層(マイクロポーラス層)であり、以下の利点を有する。
(i)ガス拡散層基材の表面にカーボン繊維等による毛羽立ちがある場合、固体高分子膜または触媒層を損傷するおそれがあるが、撥水性カーボン層を形成することによって固体高分子膜および触媒層を保護できる。
(ii)ガス拡散層基材より緻密であり、触媒層と充分な接触を保つことができるため、集電に有利である。
(iii)電池反応により生成した水滴状の水を細かく砕いてガス拡散層基材側に送り出すことができ、水の排出がスムーズになるため、高電流密度領域においてもフラッディングが起こりにくく燃料電池性能が安定する。
撥水性カーボン層は、アンカー効果により撥水性カーボン層とガス拡散層基材との密着性が高くなることから、撥水性カーボン層の一部がガス拡散層基材の細孔に侵入していることが好ましい。
焼成雰囲気としては、空気、窒素ガス等の不活性雰囲気が挙げられ、酸化物のカーボン表面への吸着を防止する点から、不活性雰囲気が好ましい。
焼成温度は、300〜390℃が好ましく、350〜390℃が特に好ましい。焼成温度を300℃以上とすることにより、非イオン系界面活性剤が充分に除去され、ガス拡散層が高い撥水性を長期間維持できる。焼成温度を390℃以下とすることにより、PTFEの分解が抑えられ、ガス拡散層が高い撥水性を発揮できる。
焼成時間は、30分〜3時間が好ましく、1〜2時間が特に好ましい。焼成時間を30分以上とすることにより、非イオン系界面活性剤が充分に除去される。焼成時間を3時間以下とすることにより、PTFEの分解が抑えられる。
以上説明した本発明のガス拡散層の製造方法にあっては、水性分散液および/または塗工液が、空気中における質量半減温度が100〜300℃である非イオン系界面活性剤を、ポリテトラフルオロエチレンと界面活性剤との合量に対して0.5〜10質量%含有しているため、高い撥水性を長期間維持できる固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を得ることができる。
すなわち、従来のガス拡散層の製造方法においては、水性分散液および/または塗工液に含まれる界面活性剤は、焼成によって完全に除去されると思われていた。しかし、PTFEを水に分散するための公知の界面活性剤(たとえば、ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤。)は、350℃〜390℃で焼成しても完全に除去できないことが、本発明者によってはじめて明らかになった。そして、従来の製造方法で得られたガス拡散層の表面に付着したPTFE微粒子の表面に界面活性剤が残存するため、該ガス拡散層は、撥水性を長期間維持できなかった。
これに対し、本発明の製造方法で用いた、空気中における質量半減温度が100〜300℃である非イオン系界面活性剤は、300〜390℃で焼成した場合、完全に除去されるため、PTFE微粒子の表面に界面活性剤が残存することなく、得られるガス拡散層は、高い撥水性を長期間維持できる。
(膜電極接合体)
図1は、本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、膜電極接合体と記す。)の一例を示す概略断面図である。膜電極接合体10は、固体高分子電解質膜11と、固体高分子電解質膜11の両面に配置された触媒層12と、触媒層12の外側に配置されたガス拡散層13とを具備し、2つのガス拡散層13のうち少なくとも一方が、本発明の製造方法で得られたガス拡散層である。
ガス拡散層13は、ガス拡散層基材14と、ガス拡散層基材14の表面に形成された撥水性カーボン層15とからなり、撥水性カーボン層15が触媒層12と接する。
電極(空気極および燃料極)は、触媒層12とガス拡散層13とから構成される。
本発明の製造方法にて得られたガス拡散層は、電池反応によって水が多く生じる空気極に用いることが好ましく、空気極および燃料極の両方に用いることがより好ましい。
固体高分子電解質膜としては、公知の膜電極接合体に用いられる固体高分子電解質膜が挙げられる。
触媒層としては、公知の膜電極接合体に用いられる触媒層が挙げられる。
膜電極接合体は、たとえば、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を配置し、2つの触媒層のうち少なくとも一方の触媒層の外側に、本発明の製造方法で得られた固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を、撥水性カーボン層が触媒層側となるように配置することにより製造される。
以上説明した本発明の膜電極接合体にあっては、ガス拡散層として、高い撥水性を長期間維持できる、本発明の製造方法で得られたガス拡散層を用いているため、固体高分子形燃料電池を長期間作動させても、ガス拡散層がフラッディングを起こしにくく、電圧が大きく低下することがない。よって、固体高分子形燃料電池を長期間安定して作動できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1〜3は実施例であり、例4は比較例である。
界面活性剤として表1に示す化合物(1−1)〜(1−3)、化合物(2)および化合物(3)を用意した。
Figure 2007194004
化合物(1−1)は、アルキル基が分岐状であるC1021CH(CH3)CH2O(C24O)8(C36O)Hと、アルキル基が直鎖状であるC1327O(C24O)8(C36O)Hとの1:1(質量比)の混合物である。
化合物(1−2)における「(C24O)9-10」は、エチレンオキシド(C24O)付加モル数の平均値が9〜10モルであることを示している。
化合物(1−3)は、C1225O(C24O)9Hと、C1327O(C24O)9Hと、C1429O(C24O)9Hとの混合物であるが、「(C24O)9」は、化合物(1−2)同様にエチレンオキシド(C24O)付加モル数の平均値が9モルであることを示している。
化合物(3)のC64は、フェニレン基である。
実施例における各種測定は、以下のように行った。
(界面活性剤の質量半減温度)
熱分析装置(パーキンエルマー社製、TGA7)を用い、白金容器に入れた約10mgの界面活性剤を、空気雰囲気中で毎分10℃で昇温させ、熱分解曲線を得た後、質量残存率が50%となる温度を読み取った。
(PTFEおよび界面活性の含有量)
JIS K6893に準じて、PTFEの水性分散液の10gをアルミ皿にとり、120℃で1時間乾燥した後における、水性分散液(100質量%)に対する残存質量x(質量%)および380℃で35分焼き付けた後における、水性分散液(100質量%)に対する残存質量y(質量%)を求めた。yをPTFEの含有量(質量%)とした。また、(x−y)/x×100をPTFEと界面活性剤との合量に対する界面活性剤の含有量(質量%)とした。
(PTFEの平均粒子径)
PTFEの水性分散液を希釈し、該希釈液についてレーザー散乱方式の粒度測定機(堀場製作所社製、LA920)を用いてメジアン径を測定し、これを平均粒子径とした。
〔例1〕
乳化重合法により、PTFEの平均粒子径が0.25μmであり、PTFEの含有量が25質量%であり、パーフルオロオクタン酸アンモニウムをPTFEに対し約2000ppm含有する乳化重合液(A)を得た。
乳化重合液(A)に、表1に示す化合物(1−1)をPTFE(100質量%)に対して4質量%添加し、電気濃縮法で濃縮した。得られた濃縮液のうち、電極近傍の比重の大きい高濃度液を採取して、PTFE粒子を含まない上澄み液(化合物(1−1)を含む)を除去した。その後、28質量%のアンモニア水を濃縮直後の液に対して0.3質量%添加し、PTFEの含有量が66.0質量%であり、化合物(1−1)の含有量がPTFEと化合物(1−1)との合量に対して2.5質量%である水性分散液(1)を得た。
水性分散液(1)を、PTFEの含有量が5質量%になるまで蒸留水で希釈し、化合物(1−1)の含有量がPTFEと化合物(1−1)との合量に対して2.5質量%である水性分散液(2)を得た。水性分散液(2)にカーボンペーパー(東レ社製、TGP−H−120、厚さ360μm)を、PTFEの付着量が2mg/cm2 となるように浸漬した。水性分散液(2)からカーボンペーパーを引き上げた後、水性分散液(2)含浸カーボンペーパーを、濡れた状態のまま室温で保管した。
水性分散液(1)を、PTFEの含有量が2.7質量%になるまで蒸留水で希釈し、水性分散液(3)を得た。PTFEが6.3g含まれるように水性分散液(3)を233.34g秤量した。該水性分散液(3)に、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を14.7g添加した。充分な撹拌を行い、化合物(1−1)の含有量がPTFEと化合物(1−1)との合量に対して2.5質量%である、スラリー状の塗工液(4)を得た。
塗工液(4)を、水性分散液(2)含浸カーボンペーパー上にダイコーターにより塗布しした。塗工液(4)が塗布されたカーボンペーパーを、窒素ガス中、350℃で、2時間焼成し、撥水性カーボン層を形成してガス拡散層を得た。撥水性カーボン層の厚さは約40μmであった。
フレミオン(登録商標)樹脂(旭硝子社製、イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂のパーフルオロカーボンスルホン酸型イオン交換樹脂(テトラフルオロエチレンに由来する単位とCF2=CFOCF(CF3)O(CF32SO3Hに由来する単位とからなる共重合体))と、ケッチェンブラックEC(ライオン社製)を担持カーボンに用いた白金担持カーボン(田中貴金属社製TEC10E50E、Pt担持率45.7質量%。)とを26.8:73.2(質量比)で含み、固形分濃度が9質量%であり、エタノールと水との混合溶媒(エタノール:水=1:1(質量比))を溶媒とする、触媒層形成インクを用意した。
触媒層形成インクを、Pt付着量が0.5mg/cm2 となるように、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEと記す。)シート上に塗布し、空気中80℃、20分で乾燥させて溶媒を除去し、触媒層付きETFEシートを得た。
固体高分子電解質膜としては、フレミオン(登録商標)CSH25(旭硝子社製、イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂、キャスト成型法で作製したパーフルオロカーボンスルホン酸型イオン交換樹脂膜、厚さ25μm)を用いた。
2枚の触媒層付きのETFEシートで、触媒層側が固体高分子電解質膜側となるように固体高分子電解質膜を挟み、130℃、3MPaで、5分間ホットプレスし、触媒層を固体高分子電解質膜に転写し、ETFEシートのみを剥離した。有効電極面積は25cm2 とした。充分に加熱処理を施して乾燥させ、膜触媒層接合体(CCM)を得た。
膜触媒層接合体の両面に、ガス拡散層を、撥水性カーボン層が触媒層側となるように押し当て、膜電極接合体(以下、MEAと記す。)を得た。該MEAについて、電池特性の評価を行った。結果を表2に示す。
(電池特性の評価)
MEAを固体高分子形燃料電池用セルに組み込み、MEAの両外側にセパレータを配置して測定セルとし、電子負荷装置(高砂製作所社製、FK400L)および直流電源装置(高砂製作所社製、EX750L)を用い、下記測定条件にて電流電圧特性を測定し、定電流駆動させたときのセル電圧の経時変化を観察した。
(測定条件)水素出口圧力;0.1MPa(常圧)、空気出口圧力;0.1MPa(常圧)、測定セルの作動温度;80℃、燃料極に供給する水素ガスを通すバブラータンク内の温水の温度;80℃、空気極に供給する空気のバブラータンク内の温水の温度;80℃、電流密度;0.8A/cm2 で維持、燃料極側の燃料利用率;70%、空気極側の燃料利用率;40%。
〔例2〕
界面活性剤として化合物(1−1)の代わりに表1に示す化合物(1−2)を用いた以外は、例1と同様にしてガス拡散層およびMEAを得た。該MEAについて、例1と同様にして電池特性の評価を行った。結果を表2に示す。
〔例3〕
界面活性剤として化合物(1−1)の代わりに表1に示す化合物(1−3)を用いた以外は、例1と同様にしてガス拡散層およびMEAを得た。該MEAについて、例1と同様にして電池特性の評価を行った。結果を表2に示す。
〔例4(比較例)〕
界面活性剤として化合物(1−1)の代わりに表1に示す化合物(3)を用いた以外は、例1と同様にしてガス拡散層およびMEAを得た。該MEAについて、例1と同様にして電池特性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2007194004
例1のMEAのセル電圧の低下は、例2のMEAに比べて少なかった。すなわち、例1のMEAでは、ガス拡散層中に存在する非イオン形界面活性剤が焼成により完全に除去され、PTFEの表面が完全に撥水性を維持しているのに対し、例2のMEAでは、ガス拡散層中に存在する界面活性剤が焼成により完全に分解除去されず、PTFEの表面に界面活性剤が残存しているために、PTFE表面の撥水性が維持できずに濡れやすくなっていた。よって、例2のMEAは、ガス拡散層(ガス拡散層基材および撥水性カーボン層)において濡れやすくなり、電池反応で生ずる水および加湿水の排出がスムーズに行われなくなり、細孔が閉塞がちになった。そして、燃料ガスおよび空気の供給が妨げられることにより、濃度過電圧が増大し、結果としてセル電圧が低下した。
本発明の製造方法によって得られたガス拡散層は、高い撥水性を長期間維持できることから、固体高分子形燃料電池を長期間安定して作動できる膜電極接合体に好適に用いることができる。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10 膜電極接合体
11 固体高分子電解質膜
12 触媒層
13 ガス拡散層
14 ガス拡散層基材
15 撥水性カーボン層

Claims (7)

  1. ポリテトラフルオロエチレンが水に分散した水性分散液を、ガス拡散層基材に含浸させた後、
    カーボンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンが分散媒に分散した塗工液を、ガス拡散層基材上に塗布し、
    塗工液が塗布されたガス拡散層基材を焼成することによって固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を製造する方法であって、
    前記水性分散液が、空気中における質量半減温度が100〜300℃である非イオン系界面活性剤を、ポリテトラフルオロエチレンと前記界面活性剤との合量に対して0.5〜10質量%含有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  2. ポリテトラフルオロエチレンが水に分散した水性分散液を、ガス拡散層基材に含浸させた後、
    カーボンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンが分散媒に分散した塗工液を、ガス拡散層基材上に塗布し、
    塗工液が塗布されたガス拡散層基材を焼成することによって固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を製造する方法であって、
    前記塗工液が、空気中における質量半減温度が100〜300℃である非イオン系界面活性剤を、ポリテトラフルオロエチレンと前記界面活性剤との合量に対して0.5〜10質量%含有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  3. ポリテトラフルオロエチレンが水に分散した水性分散液を、ガス拡散層基材に含浸させた後、
    カーボンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンが分散媒に分散した塗工液を、ガス拡散層基材上に塗布し、
    塗工液が塗布されたガス拡散層基材を焼成することによって固体高分子形燃料電池用ガス拡散層を製造する方法であって、
    前記水性分散液および塗工液のそれぞれが、空気中における質量半減温度が100〜300℃である非イオン系界面活性剤を、ポリテトラフルオロエチレンと前記界面活性剤との合量に対して0.5〜10質量%含有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  4. 前記非イオン系界面活性剤が、下式(1)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
    1 O−A−H ・・・(1)
    ただし、R1 は、炭素数8〜18の1級または2級のアルキル基であり、Aは、5〜20個のオキシエチレン基と0〜2個のオキシプロピレン基とからなるポリオキシアルキレン基である。
  5. 前記非イオン系界面活性剤が、C1327O−(C24O)8(C36O)−H、C1327O−(C24O)9−H、C1327O−(C24O)10−H、C1021CH(CH3)CH2O−(C24O)10−H、C613CH(C613)O−(C24O)9−H、C1021CH(CH3)CH2O−(C24O)8(C36O)−H、C1225O−(C24O)9−HおよびC817O−(C24O)6−Hからなる群から選ばれる1種以上である、請求項4に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  6. 塗工液が塗布されたガス拡散層基材を焼成する温度が、300〜390℃である、請求項1〜5のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  7. 固体高分子電解質膜と、
    固体高分子電解質膜の両面に配置された触媒層と、
    触媒層の外側に配置されたガス拡散層とを具備し、
    2つのガス拡散層のうち少なくとも一方が、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られた固体高分子形燃料電池用ガス拡散層である、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
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