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JP2007169755A - 方向性電磁鋼板コイルおよびその製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板コイルおよびその製造方法 Download PDF

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JP2007169755A JP2005372190A JP2005372190A JP2007169755A JP 2007169755 A JP2007169755 A JP 2007169755A JP 2005372190 A JP2005372190 A JP 2005372190A JP 2005372190 A JP2005372190 A JP 2005372190A JP 2007169755 A JP2007169755 A JP 2007169755A
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Makoto Watanabe
誠 渡辺
Toshito Takamiya
俊人 高宮
Yasuyuki Hayakawa
康之 早川
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JFE Steel Corp
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Abstract

【課題】コイル全長にわたって均一かつ良好な磁気特性を有する方向性電磁鋼板を提供する。
【解決手段】Si含有量が1.0〜5.0mass%の、フォルステライト質下地被膜の表面にガラス質の無機コーティングをそなえる方向性電磁鋼板コイルにおいて、コイル幅方向端部における地鉄部のTi,Mo,W,Ta,V,NbおよびZr濃度を合計で150ppm以下、コイル幅方向端部での被膜を含めたC濃度を30ppm以下で抑制し、かつコイル幅方向端部の幅方向中央部に対する被膜を含めたC濃度の差を20ppm以内に制限することにより、コイル全幅にわたり歪取焼鈍前後の鉄損の比率を1.2以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、方向性電磁鋼板コイルおよびその製造方法に関し、特にコイル端部での鉄損の劣化要因である炭化物の生成を効果的に抑制することによって磁気特性の劣化を防ぎ、コイル全幅にわたって良好な磁気特性を得ようとするものである。
変圧器や発電機の鉄心材料として使用される方向性電磁鋼板には、高磁束密度でかつ低鉄損であることが求められる。そのためには、最終仕上焼鈍後の鋼板の結晶方位をゴス方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積させることが重要である。というのは、鉄結晶の磁化容易軸方向である結晶方位<001>が圧延方向に高度に集積することにより、圧延方向への磁化に要する磁化力が小さくなり、保磁力が低下する結果、ヒステリシス損が低下し、鉄損が低下するからである。
このようなゴス方位は、最終仕上焼鈍中に二次再結晶と呼ばれる、ゴス方位がマトリックスの方位を蚕食して優先的に成長する現象を利用して形成させる。この仕上焼鈍は、通常、高温で長時間行われるために、コイル状に巻かれた状態でバッチ炉で熱処理される。また、高温での融着防止のために主に酸化マグネシウム(マグネシア)による焼鈍分離剤が塗布される。
ところが、上記の製造方法では、コイルをバッチ炉で熱処理するために、鋼板の品質がコイルの各位置で不均一になるという問題が生じ易い。例えば、コイルの下端部では座屈により変形が起こったり、最外巻部では被膜欠陥や磁気特性の不良が発生するというものである。
このような原因としては、コイルの表面部と内部での温度ムラや、コイル表面部と内部での焼鈍雰囲気に対する晒され方の違いに起因した酸化や窒化、その他元素の挙動変化等が考えられており、これらに対して種々の対策がとられてきた。
コイル下端部の座屈変形の防止策については、例えば特許文献1に、仕上焼鈍前に端部に歪を導入することにより仕上焼鈍中の二次再結晶を早めて変形を抑制する方法が、また特許文献2には、インナーカバー内のコイル受台にコイル巻軸方向を垂直向きに載置して焼鈍を行う際、コイル受台の外周端面部を断熱材で被覆して焼鈍する方法等が提案されている。
また、コイル炉頂部での被膜欠陥の防止については、例えば特許文献3に、電解脱脂後の電着Siの量をエッジ部と中央部で少なくする方法が提案されている。
さらに、磁気特性の均一性については、特許文献4に、脱炭焼鈍時の酸素目付け量をコイルの外巻部から内巻部にかけて連続的ないし段階的に増加させることにより、インヒビターの抑制力をコイル全長で一定にして均一な二次再結晶を起こさせて磁気特性を均一化する方法が開示されている。
特開平10−204542号年報 特開平5−51643号公報 特開2002−266027号公報 特開平5−117756号公報
ところで、磁気特性に関しては、二次再結晶によるゴス方位への集積度だけでなく、微細析出物が存在することにより鋼板を磁化させたときに磁壁移動が妨げられ、これによって鉄損が増大するという問題もある。このような析出物は、二次再結晶焼鈍後に引続いて行われる純化焼鈍によりある程度除去されるが、製品にしてトランス等に組み立てたのち歪取焼鈍を行ったときに析出物が再び生成して磁気特性が劣化する、という問題が指摘されていた。
この問題に対しては、特許文献5に、チタン化合物分離剤添加物量と仕上焼鈍冷却速度との関係を特定してTiNやTiCの析出を抑える方法が、また特許文献6に、焼鈍分離剤および鋼中のC量を低減して炭化物の析出を抑える方法が開示されている。さらに、特許文献7には、焼鈍分離剤中にTi化合物を添加した上で、仕上焼鈍の雰囲気にN2を含有させる方法、また特許文献8には、方向性珪素鋼製品のフォルステライト被膜を含めたTi濃度、N濃度を特定する方法がそれぞれ開示されている。
特開昭63−162814公報 特開平2−93021公報 特許第2574607号公報 特開平6−179977号公報
これらの種々の方法により、仕上焼鈍に起因したコイル長手方向および幅方向の不均一さ、さらに歪取焼鈍による鉄損の劣化の両方がとも改善されてきた。
しかしながら、これらはいずれも十分ではなく、歪取焼鈍後にコイル幅方向の端部で鉄損が劣化するという問題が散発していた。このような劣化は、ユーザー側でトランスを製造した後に判明するため、大きな問題となることが少なくない。
さらに近年、方向性電磁鋼板の需要量の増大に伴い、生産ロットを大規模化してコイルの容量が大きくなってきたことにより、上記のような歪取焼鈍後のコイル幅方向端部の鉄損劣化が再び頻発してきた。特に最近では、省エネルギーに対する関心の高まりから鉄損の改善に対する要求が強まり、わずかな鉄損の劣化も許容されなくなってきている。
従って、歪取焼鈍後に鉄損の劣化がなくコイル全幅で均一な特性を得ることが急務となっている。
本発明は、上記したような、コイルの幅方向において磁気特性、特に鉄損が歪取焼鈍により劣化するという問題を有利に解決して、コイル全長にわたって均一かつ良好な磁気特性を有する方向性電磁鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)フォルステライト質下地被膜の表面にガラス質の無機コーティングをそなえる方向性電磁鋼板コイルであって、Siを1.0〜5.0mass%含有し、さらにコイル幅方向端部における地鉄部のTi,Mo,W,Ta,V,NbおよびZr濃度が合計で150ppm以下、コイル幅方向端部での被膜を含めたC濃度が30ppm以下で、かつコイル幅方向端部の幅方向中央部に対する被膜を含めたC濃度の差が20ppm以内であり、コイル全幅にわたり歪取焼鈍前後の鉄損の比率が1.2以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板コイル。
(2)Siを1.0〜5.0mass%含有する珪素鋼スラブを、熱間圧延し、ついで焼鈍処理を含む1回もしくは2回以上の冷間圧延で最終板厚にした後、一次再結晶焼鈍を施し、ついで焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布してから最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
焼鈍分離剤の主剤として、少なくとも50%のマグネシアを含有し、かつ微量含有物として下記の組成になるチタン酸化合物を、マグネシア:100質量部に対して1〜10質量部含有するものを用いることを特徴とする方向性電磁鋼板コイルの製造方法。

(M+ a,M2+ b,M3+ c)TixOy
但し、0≦a≦4, 0≦b≦2, 0≦c≦2
1≦x≦4, 2≦y≦9
+ :Li,Na,Kのうちから選んだいずれか1種
2+:Mg,Ca,Sr,Ba,Cr,Co,Mn,Zn,Feのうちから選んだいずれか1種
3+:Fe,Al,Cr,Mnのうちから選んだいずれか1種
(3)Siを1.0〜5.0mass%含有する珪素鋼スラブを、熱間圧延し、ついで焼鈍処理を含む1回もしくは2回以上の冷間圧延で最終板厚にした後、一次再結晶焼鈍を施し、ついで焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布してから最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
最終仕上焼鈍前のコイル受け台もしくはコイル上部またはその両方に、下記の組成になるチタン酸化合物を、コイル表面積当たり0.02kg/m2以上 0.7kg/m2以下散布することを特徴とする方向性電磁鋼板コイルの製造方法。

(M+ a,M2+ b,M3+ c)TixOy
但し、0≦a≦4, 0≦b≦2, 0≦c≦2
1≦x≦4, 2≦y≦9
+ :Li,Na,Kのうちから選んだいずれか1種
2+:Mg,Ca,Sr,Ba,Cr,Co,Mn,Zn,Feのうちから選んだいずれか1種
3+:Fe,Al,Cr,Mnのうちから選んだいずれか1種
本発明によれば、コイル端部での鉄損の劣化要因である炭化物の生成を抑制することによって、該端部における磁気特性の劣化を防ぎ、もってコイル全幅にわたって良好な磁気特性を得ることができる。
さて、発明者らは、歪取焼鈍による鉄損の劣化が幅方向の位置で異なる原因について調査を行った結果、幅方向端部でC濃度が増大すること、しかもこの現象は素材および焼鈍分離剤中のC量を低減した条件でも起こることを新たに見出した。
以下、この知見を得るに至った経緯について述べる。
C:0.06mass%(以下、単に%で示す)、Si:3.25%、Mn:0.07%、Al:0.023%、Se:0.018%、Cu:0.05%、N:0.0070%およびSb:0.035%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる複数の珪素鋼スラブを、1400℃で30分間加熱したのち、熱間圧延した。その後、1000℃,1分間の熱延板焼鈍を施し、酸洗後、一次冷間圧延を施して厚さ:1.6mmの中間厚とした後、1000℃、1分間の中間焼鈍を施してから、酸洗後、二次冷間圧延により0.23mmの最終板厚とした。ついで、雰囲気の酸化性(P[H20]/P[H2])が0.45の雰囲気中にて850℃,100秒間の脱炭焼鈍を施したのち、MgO:100質量部に対してTiO2を7質量部、水酸化ストロンチウムを3質量部含有する焼鈍分離剤を、鋼板両面当たりの塗布量で14g/m2塗布してから、コイルに巻き取った。この時、焼鈍分離剤に用いたMgOはC含有量が0.1mass%以下のものを選別して用い、また脱炭焼鈍板のC含有量はいずれも8ppm以下であった。従って、全体を鋼板含有量に換算すると15ppm以下となる。これを1〜数日間コイルヤードに滞留させた後、コイル受け台に融着防止のためにMgOを1kg散布して仕上焼鈍を施し、ついで未反応分離剤を除去してから、張力コーティングを塗布し、焼き付けたのち、平坦化焼鈍を施して、コイルに巻き取った。
得られた製品コイルの外巻部から100m入った位置で、(1) コイル中央部(板幅中央部)と、(2) 最端部を10mm落とした部分(板幅端部)から、400×100mmのサンプルを採取し、N2雰囲気中にて800℃,3時間の歪取焼鈍を行った。
かくして得られた製品コイルについて、歪取焼鈍前後の鉄損を測定すると共に、その比(歪取焼鈍後/歪取焼鈍前)を算出した。また、歪取焼鈍後のサンプルを磁気測定した後に、被膜を含めたC量および地鉄部の微量添加元素量を測定した。
得られた結果を表1に示す。
なお、歪取焼鈍前のサンプルの磁気特性はいずれも、B8=1.915〜1.925T、W17/50=0.80〜0.85W/kgの範囲内で一定あった。また、歪取焼鈍後のコイル幅方向端部における地鉄部のTi,Mo,W,Ta,V,NbおよびZr濃度の合計はいずれも150ppm以下であり、特にTi量はいずれも50〜80ppmの範囲内で一定であった。
Figure 2007169755
同表から明らかなように、仕上焼鈍前では鋼板の板幅中央部および板幅端部ともC換算量で15ppm以内に入り、特許文献6に記載された程度の良好なC量が達成されているにもかかわらず、製品板の端部サンプルではC濃度が異常に高いものがあり、その場合には歪取焼鈍後の鉄損も劣化している。
これに対し、歪取焼鈍後、板幅中央部および板幅端部でともにC濃度の低いサンプルでは鉄損の劣化はなく、板幅端部〜中央部で均一な鉄損が得られている。
このように鋼板と焼鈍分離剤中のC含有量を低下させても、最終製品板のC含有量が端部において増大し、それに伴って鉄損が低下するという、従来知見にない新しい現象が見出された。
そこで、発明者らは、この原因を解明し、最終製品時点でのC含有量を低下させる方法について鋭意検討を行った。以下、この検討結果について述べる。
先の実験結果から、複数のコイルについてほぼ同一の処理を行っているにもかかわらず、板幅端部のC濃度が増大した原因について、脱炭焼鈍後、仕上焼鈍するまでの間にコイルヤードに滞留させた時間がコイルごとに異なっていることに着目した。そこで、コイルヤードに数日間滞留させたコイルから焼鈍分離剤を掻き取り、これを化学分析し、ガスマス分析(試料を加熱しつつ、そのとき発生するガスを質量分析する方法)を行った。
表2に化学分析の結果を示す。
Figure 2007169755
同表に示したとおり、巻取り直後に比べ、コイルヤードに7日間滞留させたコイルから採取した粉体は著しくC含有量が増大していることが分かる。このことから、滞留中にCを焼鈍分離剤が吸収したことが分かる。
図1に、上記の2検体のガスマス分析の結果を比較して示す。2検体とも、300℃付近と、600℃付近でCO2のピークが現れている。
この二つの温度域は、それぞれMg(OH)2とMgCO3の分解温度に対応しているが、このうち600℃付近のピークは検体間の差はあまりないのに対し、300℃付近ではコイルヤードで長時間滞留させたサンプルは、巻き取り直後のサンプルに比べて顕著に大きいピークを持っている。
以上の結果から、発明者らは、コイル端部のみに浸炭が起こる現象について以下のように推察した。
焼鈍分離剤のMgOは、水でスラリー化して塗布、乾燥されることにより、表面が水和することが知られている。これは急速な水和反応であるために、水和生成物は完全な水酸化マグネシウムの結晶にはなっておらず、分解中間体の状態で、化学的に活性な物質となっている。このような物質が大気中に晒されると、雰囲気中の炭酸ガスを吸収して、次式
Mg(OH)2+xCO2 → Mg(CO3)x・(OH)2-2x+xH2O
の反応により、炭酸水酸化マグネシウムが生成したものと考えられる。
この炭酸水酸化マグネシウムが、仕上焼鈍途中で再び熱分解し、CO2ガスが発生することによって鋼中にCが侵入するものと考えられる。このような炭酸水酸化マグネシウムへの反応は、外気に直接晒されているコイルの最外内巻部や上下板幅端面で起こり、仕上焼鈍中のCO2ガスの発生、浸炭もこの外気に接した面で起こるために、コイル幅方向端部でC濃度が高まり、中央部ではC量は増大しなかったものと考えられる。
以上の点から、コイルの、コイルヤード内での滞留時間中に焼鈍分離剤がCO2ガスを吸 収することにより浸炭が起こることが明らかになったので、次に、これを回避する方法について検討した。
単純に考えると、コイル滞留時間中に炭酸の吸収が起こることから、滞留時間を短くすればよいと考えられるが、このやり方は、操業上、仕上焼鈍設備の稼動状況による都合やトラブル対応のための在庫の確保等の問題で容易ではない。
また、コイルヤード全体で湿度やCO2濃度を管理することも考えられるが、設備投資に莫大なコストがかかり現実的でない。
従って、発明者らは、炭酸水酸化マグネシウムの生成を抑制するよりも、この生成によって発生するCO2を吸収する方法について検討した。その結果、チタン酸化合物を用いることが、極めて有効であることが究明された。
以下、上記の知見を得るに至った経緯について説明する。
C:0.07%、Si:3.5%、Mn:0.06%、solAl:50ppm、N:25ppm、S:10ppm、Se:0.1ppm、O:10ppm、Sb:0.02%、Sn:0.02%およびCu:0.15%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、1150℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.0mmの熱延板とした。ついで、1000℃で30秒間の熱延板焼鈍後、冷間圧延により0.30mmの最終板厚に仕上げたのち、雰囲気の酸化性(P[H20]/P[H2])が0.45の雰囲気中にて、850℃,100秒間の脱炭焼鈍を施し、引き続きMgO:100質量部に対し、TiO2:2質量部、水酸化ストロンチウム:3質量部さらにはBa2TiO4を0〜20質量部含有する焼鈍分離剤を鋼板両面当たりの塗布量で14g/m2塗布してから、コイルに巻き取った。この時、焼鈍分離剤塗布後の鋼板と分離剤中のC濃度は鋼板換算でいずれも10〜15ppmであった。
その後、このコイルを数日間コイルヤードに滞留させた後に、コイル受け台に融着防止のためにMgOを1kg散布して仕上焼鈍を施し、ついで未反応分離剤を除去後、張力コーティングを塗布し、焼き付けたのち、平坦化焼鈍を施して、コイルに巻取った。
得られた製品コイルの外巻部から100m入った位置で、(1) コイル中央部(板幅中央部)と、(2) 最端部を10mm落とした部分(板幅端部)から、400×100mmのサンプルを採取し、N2雰囲気中にて800℃,3時間の歪取焼鈍を行った。
かくして得られた製品コイルについて、歪取焼鈍前後の鉄損を測定すると共に、その比(歪取焼鈍後/歪取焼鈍前)を算出した。また、歪取焼鈍後のサンプルを磁気測定した後に、被膜を含めたC量および地鉄部の微量添加元素量を測定した。
得られた結果を表3に示す。
なお、歪取焼鈍前のサンプルの磁気特性はいずれも、B8=1.895〜1.905T、W17/50=0.98〜1.03W/kgの範囲内で一定あった。また、歪取焼鈍後のコイル幅方向端部における地鉄部のTi,Mo,W,Ta,V,NbおよびZr濃度の合計はいずれも150ppm以下であり、特にTi量はいずれも50〜70ppmの範囲内で一定であった。
Figure 2007169755
同表から明らかなように、Ba2TiO4を適度に添加することにより、板幅端部のC濃度が大幅に低下し、それに伴い磁気特性も改善されることが分かる。しかしながら、Ba2TiO4添加量を20質量部まで増加させた場合にはかえって板幅端部のC濃度が増大し、歪取焼鈍による鉄損の劣化も増大した。
このようなチタン酸化合物の炭酸吸収効果については、今回のBa2TiO4の例では
Ba2TiO4+CO2→BaCO3+BaTiO3
のように、BaイオンがCO2を吸収して炭酸塩を作るためと考えられる。
しかしながら、添加量が多すぎると、MgO分が相対的に低下するために被膜が劣化し、C以外の酸素や窒素などが侵入して析出物を作り易くなることが原因で歪取焼鈍後の鉄損が却って劣化するものと考えられる。
いずれにしても、Ba2TiO4を初めとするチタン酸塩を用いることによって浸炭が顕著に抑えられ、板幅方向で均一かつ良好な磁気特性が歪取焼鈍後も得られるようになる。
以下、本発明の方向性電磁鋼板の成分組成や製造方法に関して、本発明の効果を得るための要件とその範囲および作用について述べる。
まず、本発明で対象とする方向性電磁鋼板コイルは、ガラス質の無機コーティングとフォルステライト質下地被膜付きの方向性電磁鋼板コイルである。
このコイル端部での地鉄部のTi,Mo,W,Ta,V,NbおよびZr濃度が合計で150ppm以下とする。というのは、これらの濃度が150ppmを超えると炭化物が析出して歪取焼鈍による鉄損劣化が起こり易くなるからである。
次に、コイル幅方向端部での被膜を含めたC濃度を、30ppm以下に抑制すると共に、コイル幅方向端部の幅方向中央部に対する被膜を含めたC濃度の差が20ppm以内になるように制御する。Cについては、たとえ被膜中であっても歪取焼鈍中に鋼中に侵入する可能性があるため、地鉄成分のみでは不十分で、被膜を含めたC濃度を低下させる必要がある。この被膜を含めたC濃度が30ppmを超えると劣化が顕著になってくるため、幅方向端部におけるC濃度は30ppm以下とする。また、コイル幅方向端部と幅方向中央部のC濃度差が 20ppmを超えると、磁気特性の劣化が目立ち始め、幅方向で均一な磁気特性が達成できないため、幅方向端部と中央部のC濃度差は20ppm以下とする。
以上のように、成分を調整することにより、コイル全幅にわたって歪取焼鈍前後の鉄損の比率が1.2以下の均一な方向性電磁鋼板コイルを得ることができる。
次に、上述したコイルを得るための製造方法について述べる。
まず、成分としてSiを1.0〜5.0%含有させる。このSiは、電気抵抗を高めて鉄損を低下させると共に、鉄のα相を安定化させて高温の熱処理を可能とするために必要な元素であり、少なくとも1.0%を必要とするが、5.0%を超えると冷延が困難となるので、Si含有量は1.0〜5.0mass%の範囲に限定した。
次に、CはC:0.01〜0.10%とすることが好ましい。このCは、変態を利用して熱延組織を改善するのに有用な元素であるだけでなく、ゴス方位結晶粒の発生に有用な元素であり、0.01%以上の含有を必要とするが、0.10%を超えると効果が強くなりすぎてかえって集合組織が劣化してしまうので、Cは0.01〜0.10%の範囲とすることが好ましい。
C,Siの他に、従来はインヒビター構成成分を添加していたが、最近はインヒビターを使用しない方法も行われており、本発明はいずれの方法に対しても有利に適合する。
インヒビターを用いる場合は、インヒビターとしてはAlN,BN,MnS,MnSe等がよく知られているが、これらのいずれを用いてもよく、またこれらを二種類以上を複合して使用してもよい。インヒビターとしてMnSおよび/またはMnSeを用いる場合には、Mn:0.03〜0.10%、SとSeの合計量:0.01〜00.03%とすることが好ましい。また、AlNをインヒビターとして用いる場合には、Al:0.01〜0.04%、N:30〜120ppm、さらにBNをインヒビターとして用いる場合には、B:0.001〜00.015%、N:30〜120ppmとすることが好ましい。いずれの場合も、これらの範囲よりも低いとインヒビターとして効果に乏しく、一方高いと二次再結晶が不安定になる。
なお、上記した主インヒビターの他に、補助インヒビターとして、Niを0.01〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、P:0.005〜0.50%、Cr:0.02〜1.50%、Te:0.003〜1.50%、Bi:0.003〜1.50%、Pb:0.003〜1.50%およびCu:0.01〜0.10%のうちから選んだ1種または2種以上を用いることもできる。これらは、一次再結晶粒の粒界に優先的に濃化し、焼鈍中の粒界の移動差を低下させることにより、二次再結晶開始温度を上昇させ磁束密度を向上させる作用がある。またこれらは、MnSe,MnS,CuxS,CuxSe,AlN,BNのような析出分散型のインヒビターと同時に鋼中に存在させることにより、磁気特性の向上に一層寄与する。
他方、インヒビターを用いない場合は、Alは100ppm以下、N,S,Seについては50ppm以下に低減することが良好に二次再結晶させる上で好適である。その他、Ti,Mo,W,Ta,V,Nb,Zr等の炭化物形成元素についてもそれぞれ50ppm以下に低減することが、歪取焼鈍後の鉄損の劣化を防ぎ、かつ良好な加工性を確保する上で有効である。
次に、本発明に従う、好適製造条件について説明する。
上記のような成分に調整した珪素鋼スラブを、熱間圧延し、ついで焼鈍処理を含む1回もしくは2回以上の冷間圧延で最終板厚にした後、一次再結晶焼鈍を施す。この一次再結晶焼鈍において、均熱領域の温度は750〜950℃とするのが望ましい。というのは、950℃を超えると一次再結晶粒の粒成長が進行しすぎて二次再結晶不良となり、一方750℃未満では逆に一次再結晶粒の粒成長が進まずに二次再結晶粒方位が不安定になるからである。この一次再結晶焼鈍における昇温速度は、室温から700℃までは5〜80℃/sとすることが好ましい。いうのは、昇温速度が5℃/sより低いと脱炭が加熱領域で進行しすぎて望ましい集合組織が得られず、一方80℃/sより速いと、初期酸化が不安定となり良好な被膜形成が行われなくなるからである。また、均熱時間は20〜240sとするのが好ましい。というのは、均熱時間が20s未満では一次再結晶不良となり、一方240sを超えると一次再結晶粒成長が進行して、いずれも磁気特性劣化の要因となるからである。さらに、焼鈍時の雰囲気酸化性(P[H20]/P[H2])は0.05〜0.85とすることが好ましい。というのは、この雰囲気酸化性(P[H20]/P[H2])が0.05未満では良好な酸化膜が得られずに被膜が劣化し、一方0.85超ではFeOを主体とする過酸化な膜が形成され、やはり被膜が劣化するからである。
なお、本発明では、チタン酸化合物を用いることにより、仕上焼鈍中での脱炭が可能になったので、一次再結晶焼鈍時の制約条件を少なくすることができる。例えば、従来、均熱時間は脱炭のために50s以上が必要であったが、今回の技術により、50s以下でも脱炭できるようになった。このため、板厚の厚い材料で脱炭のために焼鈍時間を延ばさざるを得なかった鋼種でも、本技術を用いることにより、短時間で焼鈍できるようになり、生産性の向上を図ることができる。また、雰囲気酸化性(P[H20]/P[H2])は、従来は脱炭のために0.20以上が必要であったが、本技術により0.20以下でも焼鈍できるようになり、焼鈍によるピックアップの発生や酸化物の剥落による焼鈍炉ヒーターの短絡がなくなり、品質向上、生産ロスの削減に寄与することができる。さらに、故意に脱炭させないまま仕上焼鈍を行うことにより、Cを抑制力として用いることもできる。
上記の一次再結晶焼鈍が終了した後は焼鈍分散剤を塗布する。焼鈍分離剤の主剤としては少なくとも50%のマグネシアを用いる。好ましくは80%以上である。焼鈍分離剤の添加剤としては、公知の添加剤として、TiO2やMg,Sr,Sb,Cu,Zn等の硫酸塩、Li,Na等のホウ酸塩、その他水酸化物、塩化物など様々な化合物が用いられる。本発明ではこれらの添加剤を用いることも可能である。但し、TiO2やMo,W,Ta,Zr,V,Nb等の化合物を用いる場合、鋼中に侵入すると炭化物を生成し、歪取焼鈍による劣化の原因となるので、MgO:100質量部に対して10質量部以下に抑えておくことが望ましい。その他の化合物の場合は、添加量としてはマグネシア:100質量部に対して0.5〜15質量部程度が適当である。その他、焼鈍分離剤の塗布量や水和量については、従来どおり、5〜15g/m2(両面)、0.5〜5%程度でよい。
なお、上述した主剤としてのマグネシア、各種添加剤および後述するチタン酸化合物の他には、アルミナ、酸化カルシウム等を含有させることができる。
さて、本発明では、焼鈍分離剤中に、上記した成分の他、下記の化学式

(M+ a,M2+ b,M3+ c)TixOy
但し、0≦a≦4, 0≦b≦2, 0≦c≦2
1≦x≦4, 2≦y≦9
+ :Li,Na,Kのうちから選んだいずれか1種
2+:Mg,Ca,Sr,Ba,Cr,Co,Mn,Zn,Feのうちから選んだいずれか1種
3+:Fe,Al,Cr,Mnのうちから選んだいずれか1種
で示されるチタン酸化合物を、マグネシア:100質量部に対して1〜10質量部含有させることが重要である。
上記の化学式において、TixOyのxを1〜4、yを2〜9の範囲としたのは、Xが4より大、yが9より大であれば、相対的に炭酸を吸収する元素M+,M2+,M3+が少なくなることにより炭素の鋼中侵入を防ぐ効果が小さくなり、一方xが1より小、yが2より小であれば、チタン酸化合物が不安定となって炭酸を吸収する前に分解し、他の化合物となってしまうため、やはり炭酸を吸収する効果が小さくなるためである。
かようなチタン酸化合物を含有させることにより、仕上焼鈍中の脱炭を促進させ、歪取焼鈍での磁気特性の劣化を抑制することができる。ここに、チタン酸化合物の配合量が、マグネシア:100質量部に対して1質量部に満たないと、その添加効果に乏しく、一方10質量部を超えると主剤のMgOの比率が相対的に低下して被膜の劣化を招く。
また、本発明では、仕上焼鈍前のコイル受け台もしくはコイル上部またはその両方に、(M+ a,M2+ b,M3+ c)4TixOyの組成になるチタン酸化含物を、コイル表面積当たり、0.02kg/m2以上 0.7kg/m2以下散布することによっても、同等の効果を挙げることができる。
ここで、コイル表面積とは、コイル上端面、下端面および側面の面積の合計である。例えば外径:1.5m、内径:0.5m(いずれも直径)、高さ:1mのコイルであれば、表面積はπ・(0.752−0.252)×2+π×1.5×1+π×0.5×1=9.4m2となる。
すなわち、これを行うことにより、仕上焼鈍中に放出するCO2が効果的に吸収され、歪取焼鈍前後の鉄損劣化を抑えることができる。
ここに、散布量が0.2kgに満たないとCO2の吸収効果に乏しく、一方7kgを超えるとコストアップとなるため、この範囲に限定した。
なお、仕上焼鈍のその他の条件については公知の方法でよい。
上記の仕上焼鈍後、必要に応じて張力付与コーティングや絶縁コーティングを鋼板表面に形成したのち、平坦化焼鈍を施して製品とする。
また、磁区細分化による鉄損低減を目的として、平坦化焼鈍後の鋼板にプラズマジェットやレーザー照射を線状に施したり、突起ロールにより線状の凹みを設けたり、あるいは最終冷延後にエッチングなどにより圧延方向とほぼ直行する溝を形成させる処理を施すこともできる。
さらに、最終仕上焼鈍後、ゾルゲル法、TiN蒸着など公知の方法で張力被膜を形成させる技術を組み合わせることも、鉄損の低減のために有効である。
実施例1
C:0.06%,Si:3.35%,Mn:0.07%,S:0.003%,Al:0.005%,Cu:0.1%,N:0.0035%およびSb:0.040%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼スラブを、ガス加熱炉に装入し1230℃まで加熱し60分保定した後、熱間圧延により2.0mm厚の熱延板とした。ついで、1000℃,1分間の熱延板焼鈍を施し、酸洗後、冷間圧延により0.30mmの最終板厚に仕上げたのち、雰囲気の酸化性(P[H20]/P[H2])が0.40の雰囲気中にて850℃,100秒間の脱炭焼鈍を施したのち、MgO:100質量部、TiO2:2質量部、水酸化ストロンチウム:3質量部の焼鈍分離剤を、鋼板両面当たりの塗布量で14g/m2塗布してから、コイルに巻き取った。その後、仕上焼鈍コイル受け台とコイル上部に0〜0.7kg/m2のSr2TiO4を散布して仕上焼鈍を行った。なお、ここでコイル受け台にSr2TiO4を散布していない条件では、コイルの受け台との融着防止のためにMgOを0.1kg/m2散布した。
その後、未反応の分離剤を水洗により除去した後、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張力コーティングを塗布し、焼き付けたのち、平坦化焼鈍を施して、製品とした。
得られた製品コイルの外巻部から100m入った位置で、(1) コイル中央部(板幅中央部)と、(2) 最端部を10mm落とした部分(板幅端部)から、400×100mmのサンプルを採取し、N2雰囲気中にて800℃,3時間の歪取焼鈍を行った。
かくして得られた製品コイルについて、歪取焼鈍前後の鉄損を測定すると共に、その比(歪取焼鈍後/歪取焼鈍前)を算出した。また、歪取焼鈍後のサンプルを磁気測定した後に、被膜を含めたC量および地鉄部の微量添加元素量を測定した。
このときのSr2TiO4散布量とC濃度および歪取焼鈍前後の鉄損の比を表4に示す。
なお、歪取焼鈍前のサンプルの磁気特性はいずれも、B8=1.895〜1.905T、W17/50=0.98〜1.03W/kgの範囲内で一定あった。また、歪取焼鈍後のコイル幅方向端部における地鉄部のTi,Mo,W,Ta,V,NbおよびZr濃度の合計はいずれも150ppm以下であり、特にTi量はいずれも40〜60ppmの範囲内で一定であった。
Figure 2007169755
同表から明らかなように、適量のSr2TiO4を散布することにより、浸炭が効果的に抑えられ、歪取焼鈍前後の鉄損差も低下していることが分かる。
実施例2
C:0.07%,Si:3.31%,Mn:0.07%,P:0.002%,Se:0.02%,Al:0.025%,Cu:0.10%およびN:0.0082%を含み、かつ副インヒビターとしてTi,Mo,W,Ta,V,NbおよびZrを0〜200ppmの範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼スラブを、1200℃で60分間加熱したのち、熱間圧延により2.2mm厚の熱延板とした。ついで、950℃,1分間の熱延板焼鈍を施し、酸洗後、一次冷間圧延により厚さ:1.5mmの中間厚としたのち、1050℃、1分間の中間焼鈍を施し、酸洗後、 最高板温:210℃の二次冷間圧延により0.35mmの最終板厚に仕上げた。ついで、雰囲気の酸化性(P[H20]/P[H2])が0.44の雰囲気中にて850℃,100秒間の保定焼鈍を施した。この時の脱炭焼純後の鋼板のC含有量は100ppmであった。その後、焼鈍分離剤として、MgO:100質量部に対してLi4TiO4を0質量部または3質量部添加したものを用い、水和を20℃,30分、目付け量:両面当たり14g/m2で塗布した。ついで、仕上焼鈍後、未反応の分離剤を水洗により除去してから、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張力コーティングを塗布し、焼付けた。
得られた製品コイルの外巻部から100m入った位置で、(1) コイル中央部(板幅中央部)と、(2) 最端部を10mm落とした部分(板幅端部)から、400×100mmのサンプルを採取し、N2雰囲気中にて800℃,3時間の歪取焼鈍を行った。
かくして得られた製品コイルについて、歪取焼鈍前後の鉄損を測定すると共に、その比(歪取焼鈍後/歪取焼鈍前)を算出した。また、歪取焼鈍後のサンプルを磁気測定した後に、被膜を含めたC量および地鉄部の微量添加元素量を測定した。
このときの鋼中微量添加元素、Sr2TiO4添加量、C濃度および歪取焼鈍前後の鉄損の比(板幅端部)を表5に示す。
なお、歪取焼鈍前のサンプルの磁気特性はいずれも、B8=1.925〜1.935T、W17/50=1.15〜1.20W/kgの範囲内で一定あった。また、発明例においては、板幅中央部と板幅端部の被膜を含めたC量の濃度差はいずれも20ppm以下であった。
Figure 2007169755
同表に示したとおり、鋼中にTi,Mo,W等の炭化物形成元素含有量が少ない場合には、Li4TiO4を添加することにより、脱炭が不十分であった鋼板でも効果的にCの低減が達成できており、歪取焼鈍による鉄損劣化も少なくなっている。この点、炭化物形成元素量が多い場合には、Li4TiO4を添加しても十分な脱炭と鉄損劣化効果が得られていない。さらに、Li4TiO4を添加していない場合にはほとんど脱炭が生じてなく、鉄損も顕著に劣化している。
以上から、Ti,Mo,W等の炭化物形成元素は合計量で0.015%以下に抑える必要があることが分かる。
実施例3
C:0.06%,Si:3.35%,Mn:0.07%,S:0.003%,Al:0.005%,Cu:0.1%,N:0.0035%およびSb:0.040%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼スラブを、1230℃まで加熱し60分保定した後、熱間圧延により2.0mm厚の熱延板とした。ついで、1000℃,1分間の熱延板焼鈍を施し、酸洗後、冷間圧延により0.30mmの最終板厚に仕上げたのち、雰囲気の酸化性(P[H20]/P[H2])が0.10の雰囲気中にて830℃に100秒間保定する脱炭焼鈍を行った。このとき、脱炭焼鈍後のC含有量は120ppmであった。その後、焼純分離剤として、MgO:100 質量部に対してTiO2:2質量部と硫酸マグネシウム:2質量部および各種チタン酸化合物を0質量部または3質量部添加した粉体を塗布してから、仕上焼鈍を施し、引き続き未反応の分離剤を水洗により除去した後、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張力コーティングを塗布し、焼き付けた。
得られた製品コイルの外巻部から100m入った位置で、(1) コイル中央部(板幅中央部)と、(2) 最端部を10mm落とした部分(板幅端部)から、400×100mmのサンプルを採取し、N2雰囲気中にて800℃,3時間の歪取焼鈍を行った。
かくして得られた製品コイルについて、歪取焼鈍前後の鉄損を測定すると共に、その比(歪取焼鈍後/歪取焼鈍前)を算出した。また、歪取焼鈍後のサンプルを磁気測定した後に、被膜を含めたC量および地鉄部の微量添加元素量を測定した。
このときの各種チタン酸化合物の添加量、C濃度および歪取焼鈍前後の鉄損の比(板幅端部)を表6に示す。
なお、歪取焼鈍前のサンプルの磁気特性はいずれも、B8=1.900〜1.910T、W17/50=0.95〜1.02W/kgの範囲内で一定あり、発明例においては、板幅中央部と板幅端部の被膜を含めたC量の濃度差は20ppm以下だった。また、歪取焼鈍後のコイル幅方向端部における Ti,Mo,W,Ta,V,NbおよびZr濃度の合計はいずれも150ppm以下であり、特にTi量は表6に示すとおり、いずれも40〜80ppmの範囲内で一定であった。
Figure 2007169755
表6に示したとおり、本発明に従い、各種のチタン酸化合物を適量添加した場合には、脱炭が進行し、歪取焼鈍による劣化をほとんど抑制できていることが分かる。
コイルヤード内滞留時間の異なるコイルから採取した焼鈍分離剤の熱分析結果を示す図である。

Claims (3)

  1. フォルステライト質下地被膜の表面にガラス質の無機コーティングをそなえる方向性電磁鋼板コイルであって、Siを1.0〜5.0mass%含有し、さらにコイル幅方向端部における地鉄部のTi,Mo,W,Ta,V,NbおよびZr濃度が合計で150ppm以下、コイル幅方向端部での被膜を含めたC濃度が30ppm以下で、かつコイル幅方向端部の幅方向中央部に対する被膜を含めたC濃度の差が20ppm以内であり、コイル全幅にわたり歪取焼鈍前後の鉄損の比率が1.2以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板コイル。
  2. Siを1.0〜5.0mass%含有する珪素鋼スラブを、熱間圧延し、ついで焼鈍処理を含む1回もしくは2回以上の冷間圧延で最終板厚にした後、一次再結晶焼鈍を施し、ついで焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布してから最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    焼鈍分離剤の主剤として、少なくとも50%のマグネシアを含有し、かつ微量含有物として下記の組成になるチタン酸化合物を、マグネシア:100質量部に対して1〜10質量部含有するものを用いることを特徴とする方向性電磁鋼板コイルの製造方法。

    (M+ a,M2+ b,M3+ c)TixOy
    但し、0≦a≦4, 0≦b≦2, 0≦c≦2
    1≦x≦4, 2≦y≦9
    + :Li,Na,Kのうちから選んだいずれか1種
    2+:Mg,Ca,Sr,Ba,Cr,Co,Mn,Zn,Feのうちから選んだいずれか1種
    3+:Fe,Al,Cr,Mnのうちから選んだいずれか1種
  3. Siを1.0〜5.0mass%含有する珪素鋼スラブを、熱間圧延し、ついで焼鈍処理を含む1回もしくは2回以上の冷間圧延で最終板厚にした後、一次再結晶焼鈍を施し、ついで焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布してから最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    最終仕上焼鈍前のコイル受け台もしくはコイル上部またはその両方に、下記の組成になるチタン酸化合物を、コイル表面積当たり0.02kg/m2以上 0.7kg/m2以下散布することを特徴とする方向性電磁鋼板コイルの製造方法。

    (M+ a,M2+ b,M3+ c)TixOy
    但し、
    0≦a≦4, 0≦b≦2, 0≦c≦2
    1≦x≦4, 2≦y≦9
    + :Li,Na,Kのうちから選んだいずれか1種
    2+:Mg,Ca,Sr,Ba,Cr,Co,Mn,Zn,Feのうちから選んだいずれか1種
    3+:Fe,Al,Cr,Mnのうちから選んだいずれか1種
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