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JP2007160395A - 高張力鋼の冷間タンデム圧延方法 - Google Patents

高張力鋼の冷間タンデム圧延方法 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は4基以上の圧延スタンドからなる冷間タンデム圧延機で、第1スタンド入側における0.2%耐力が350MPa以上の金属ストリップを冷間圧延する冷間タンデム圧延機において、スリップを防止しかつ高圧下を可能とする圧延方法を提供する。
【解決手段】4基以上の圧延スタンドからなる冷間タンデム圧延機において、第1スタンド入側における0.2%耐力が350MPa以上の金属ストリップを冷間圧延する際、スリップが生じる圧延スタンドにおいて上下のワークロール周速度を5%以上10%以下で冷間圧延すること、また、上記冷間タンデム圧延方法において複数の圧延スタンドで異周速冷間圧延する際、高速側ワークロールをスタンド間で交互に設定し、好ましくは、最終スタンドの冷間圧延は同周速で行い、その際の摩擦係数を0.1以上でかつ圧下率5%以上とすることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

この発明は4基以上の圧延スタンドからなる冷間タンデム圧延機で、第1スタンド入側における0.2%耐力が350MPa以上の高張力鋼の金属ストリップを冷間圧延する冷間タンデム圧延機において、スリップを防止しかつ高圧下を可能とする圧延方法に関する。
一般にハイテンと呼ばれる高張力鋼板や電磁鋼等の硬質な金属ストリップを、ワークロール径が400mm以上の圧延スタンドからなる冷間タンデム圧延機で圧延する際、普通鋼に比べてスリップしやすい状況にある。
このスリップとは先進率が負となる状況のことを言い、ワークロール周速度の方が圧延スタンド出側の金属ストリップの板速度よりも速いことである。
圧延時にスリップが発生すると、張力AGCの効果が得られなくなるので板厚精度が悪化したり、ロールバイト内での相対滑り速度が増加するのでヒートスクラッチと呼ばれる焼き付き疵が発生したりするという問題がある。
また、残留応力分布の上下差や表裏面の粗度や光沢の差等の材質のバラツキが生じるという問題もある。
このようなスリップを防止する方法として、潤滑油供給量などを制御して摩擦係数を調整してスリップを防止する方法(例えば、特許文献1参照)や圧延スタンド入・出側の張力を調整する方法(例えば、特許文献2参照)がある。
普通鋼のような軟質材の場合には摩擦係数を調整することは非常に有効であるものの、ハイテン等のような硬質材の場合にはスリップに及ぼす圧延潤滑条件変更による効果は小さくなり、スリップを防止できなくなる。また、張力条件の変更は、44キロハイテンと呼ばれるような普通鋼にくらべてやや硬質な材料には有効な場合はあるものの、それ以上硬質な例えば80キロ超ハイテンと呼ばれるような0.2%耐力が350MPa以上ある材料ではその効果は期待できなくなる。スリップに一番効果があるのは、圧下率を下げることであるが、そうすると冷間タンデム圧延機出側における目標とする板厚が得られなくなるために、第1スタンド入側の金属ストリップの素材の板厚を薄くするか、もしくは、他の圧延スタンドの圧下率を上げる必要があり、素材の板厚を薄くすると熱延や酸洗などの上流工程の生産性を阻害することとなり、また、他の圧延スタンドの圧下率を上げるとモーターパワーネックやその圧延スタンドのスリップを新たに誘発することとなる。
特開昭61−199507号公報 特開平11−197725号公報
この発明は、4基以上の圧延スタンドからなる冷間タンデム圧延機で、第1スタンド入側における0.2%耐力が350MPa以上の金属ストリップを冷間圧延する冷間タンデム圧延機において、スリップを防止しかつ高圧下を可能とする圧延方法を提供することを課題としている。
本発明は、上記課題を解決するために成され、要旨は下記の通りである。
(1)4基以上の圧延スタンドからなる冷間タンデム圧延機を用いて第1スタンド入側における0.2%耐力が350MPa以上の金属ストリップを冷間圧延する方法であって、少なくとも1圧延スタンドにおいて、上下のワークロール周速度の差を異速率5%以上10%以下とした異周速で冷間圧延することを特徴とする高張力鋼の冷間タンデム圧延方法。
(2)前記周速差を付与した圧延スタンドの圧延条件が、スリップの生じる恐れのある圧延条件となっていることを特徴とする前記(1)に記載の高張力鋼の冷間タンデム圧延方法。
(3)複数の圧延スタンドで異周速冷間圧延する際、高速側ワークロールを1ないし3スタンド毎の交互に設定することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の冷間タンデム圧延方法。
(4)最終スタンドの冷間圧延は同周速で行い、その際の摩擦係数を0.1以上でかつ圧下率を5%以上10%以下とすることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の冷間タンデム圧延方法。
この発明の冷間タンデム圧延方法では、潤滑条件や張力条件を変更することなく硬質材のスリップを防止し、かつ、圧下率を増大することが可能である。これにより、熱延工程や酸洗工程などの生産性を向上させることができるとともに、硬質材の金属ストリップを冷間タンデム圧延機で安定して製造することができる。
また、この発明の冷間タンデム圧延方法では、異周速圧延時の反りの発生や板厚方向の残留応力分布の上下差や表裏面での粗度や光沢差等の材質のバラツキを防止できるので、品質を劣化させることなく安定した品質の製品を供給することができる。
一般に冷間タンデム圧延機では、反りや表裏面性状の差の影響をなくすために、同周速圧延が行われている。この同周速圧延で硬質材を圧延するとスリップが生じやすくなる。
図2は、上記現象を具体的に示す図であり、図1に示す圧延機で圧延実験を行った結果である。図1において、圧延機は1基の圧延スタンド11から構成されており、この例では4重圧延機である。圧延機はワークロール16〜17およびバックアップロール21〜22から構成されている。ワークロール16〜17にはスピンドル(図示しない)が連結されており、それぞれ別々の電動機(図示しない)によって駆動されている。なお、この圧延機では上記それぞれの電動機の回転速度を変えることによって、上下ワークロールの周速度が異なる圧延(異周速圧延)が可能である。
ワークロール16〜17の回転速度はそれらを駆動する電動機の回転速度を検出し、減速機の比およびワークロール径を考慮して演算することによって検出される。また、形状制御手段として、上下ワークロールチョック(図示しない)を支点として上下ワークロール16〜17の垂直方向の撓みを制御するためのインクリースおよびディクリースベンダー力を付与することが可能なワークロールベンダー51が具備されている。
上バックアップロールチョック(図示しない)の上部には、圧延荷重検出装置36が配置され、ワークサイドおよびドライブサイドの荷重が検出される。また、圧延荷重検出装置36の上部には電動圧下装置37が配置されており、金属ストリップSを圧延する際のパスライン調整が行われる。さらに、下バックアップロールチョック(図示しない)の下部には、圧延力を付与するための油圧圧下装置31が配置されている。
圧延機11の入側にペイオフリール61が、圧延機11の出側にテンションリール62が配備されている。図示はしていないが、これらのリールは、電動機(図示しない)によって駆動され、圧延機入側および出側の張力を目標値に制御している。また、圧延機11の入側に入側デフレクターロール41が、圧延機11の出側には出側デフレクターロール兼形状検出器42が配置されており、金属ストリップSに作用する張力と圧延機出側の張力分布(形状)を測定している。圧延機11の入側には圧延潤滑油供給装置45〜46がそれぞれ配置され、圧延潤滑油(ここでは、動物系2%エマルション潤滑油:温度50℃)が供給されている。
前述の、圧延機11の出側に配置された出側デフレクターロール兼形状検出器42にはPLGが取り付けられており、出側デフレクターロール兼形状検出器42の回転数を検出し、そのロール径を用いて演算することにより、圧延後の金属ストリップSの板速度が検出されている。
先進率(スリップ(forward slip ratio))fsはこの板速度と上述したワークロールの速度を用い演算することによって求まる。
ワークロール径は400mmで胴長は1500mmである。バックアップロール径は1450mmで胴長は1500mmである。この圧延機の圧延速度は最高速度で1000m/minである。
金属ストリップとして普通鋼(板厚3mm、板幅1000mm、酸洗材:記号SPHC)と44キロハイテン(板厚3mm、板幅1000mm、酸洗材:記号SAPH440)および80キロハイテン(板厚3mm、板幅1000mm、酸洗材:記号DP800)を用い、圧下率を10%、20%、30%で張力条件を変えて圧延した。図2に先進率(スリップ)に及ぼす圧下率、鋼種の影響を示す。
図2から明らかなように、同周速圧延の場合、普通鋼(SPHC)では圧下率rを増大すると先進率は高くなる傾向があり、このため圧下率を増大してもスリップは生じにくい、また入・出側張力条件を大幅に変更しても先進率は正であり、スリップは発生しないので、安定した圧延が可能であることが分かる。
これに対し、44キロハイテン(SAPH440)では低圧下(圧下率r:10%)では、入・出側張力条件を大幅に変更しても先進率は正であり、スリップは発生しない安定した圧延が可能であるが、中圧下(圧下率r:20%)では張力条件によってはスリップが生じている。この場合、出側張力を入側張力よりも大きくするとこのスリップは回避できる場合がある。例えば、入側張力(back tension)σb=74MPaの場合で、出側張力(front tension)σf=45MPaのときスリップが生じたが、出側張力σf=98MPaのときスリップが生じなかった。
さらに、圧下率を大きくすると(圧下率r:30%)殆どの条件でスリップが生じ、極端に出側張力を入側張力よりも大きくすると、このスリップは回避できる場合がある。例えば、入側張力σb=74MPaの場合で、出側張力σf=98MPaのときスリップが生じたが、出側張力σf=125MPaのときスリップが生じなかった。
80キロハイテン(DP800)の場合、圧下率10%および20%の傾向は44キロハイテンと同様であるが、圧下率30%の場合には入・出側張力条件を大幅に変えてもスリップを防止することはできなかった。
このように、従来の同周速圧延をする場合、材料が硬質になるほどスリップが生じやすくなり、これを回避するためには出側張力を入側張力よりも大幅に大きくするか、圧下率を下げる必要があった。
出側張力を上げた場合には、板破断が生じやすくなり生産性を低下させるという問題が生じるほかに、特に最終スタンドの出側張力を上げる場合には大がかりな張力付加装置を新設する必要があり製造コストの増加を引き起こすという問題が生じる。したがって、圧下率を下げるためには熱延出側厚を薄くしなければならず、熱延や酸洗の負担が増えるため好ましくない。
少なくとも、材質がハイテンであり、20%以上の圧下率で、前方張力が100MPa未満、後方張力74MPaであるような圧延条件や、材質がハイテンであり、30%以上の圧下率であるような圧延条件ではスリップの生じる恐れがあると言える。
このようなスリップの問題は、上下ワークロールの2つの中立点が、両方ともロールバイトから飛び出すことが元凶であると予想した。そこで、少なくとも1つの中立点がロールバイト内にある異周速圧延にはスリップ防止に効果があるものと考え、上述の硬質材(DP800)について実験を行った。実験は図1に示した圧延機を用い、上述した実験と同じ条件で実施した。但し、上ワークロールを高速とし、上下ワークロールの周速度(VU、VL)の差の比率(異速率(speed ratio)X=(VU−VL)/VU*100(%))を1〜15%変化させて実験した。圧下率は30%、張力は入側と出側で、100Mpaと100MPaおよび200Mpaと50MPaとした。
図3に異周速圧延圧延時の下ワークロールである低速側の先進率(スリップ)に及ぼす張力と異速率の影響を示す。図3より、明らかなように硬質材でも異周速圧延をすることによって中立点の片方(低速側)はロールバイト内に入れることができ、安定した圧延が可能となる。張力条件を変更しても異速率5%以上であればスリップのない安定した圧延が可能となることから、本発明の異速率は5%以上とした。また、このとき、異速率10%を越えると、焼き付き疵が発生したり、大きな反りが発生したり、上下のモータ負荷に大きなアンバランスが生じたので上限は10%とした。
複数のパスで異周速圧延を行う場合、異周速圧延の高速ロールを金属ストリップの片方のみに集中させると、上記反りや、表裏面の性状差が促進されるので、高速側ワークロールをスタンド間で交互に設定するほうが好ましいことが確認された。しかしながら、上述のような交互の異周速圧延を実施しても、完全には反りや表裏面性状差を解消させることはできなかった。そこで、最終パスで同周速圧延を行い上記問題を解消する条件を探索した。
その結果、潤滑条件や張力条件が上述した条件と同様な場合には、ロール粗度が小さい(摩擦係数が小さい)場合には圧下率20%以上の高圧下が、ロール粗度が大きい(摩擦係数が大きい)場合には4%以上の圧下が必要なことが判明した。ただし、当然のことながらロール粗度が小さく(摩擦係数が小さく)、圧下率20%以上の高圧下の場合にはスリップが発生した。
圧下率4〜15%で、ロール粗度を変えて実験を行った結果、ロールバイト内でのワークロールの剛体域をも考慮可能な圧延解析モデル(参考文献、日本鉄鋼協会、材料とプロセス17−5(2004)、「調質圧延特性に及ぼす圧延条件の影響」、1005〜1008頁)にて、摩擦係数を求めた結果、摩擦係数は0.1以上必要でることが判明した。この場合のロール粗度としては一般にダルロールと呼ばれるレベルのものであり、摩擦係数の上限は特にはないが、上記圧下率の範囲(5%以上)で圧延機の荷重限界以下になるロール粗度であればよい。なお、最終パスでは第1スタンド等の前のパスより加工硬化が進んでおり、スリップが生じやすくなっているので、スリップを回避するために圧下率は10%以下であることが望ましい。
このように本発明では硬質材を圧延する際に、異周速圧延をすることによって高圧下率でもスリップを防止できるため、生産性を向上させることができるのである。また、複数のパスで異周速圧延を行う場合、高速側ワークロールをスタンド間で交互に設定することや、最終パスの冷間圧延は同周速で行い、その際の摩擦係数を0.1以上でかつ圧下率5%以上にすることによって、前パスの反りおよび表裏面の性状差の増長を防止または解消することができる。
図4は、この発明を実施する冷間タンデム圧延機の一例を示す構成図である。冷間タンデム圧延機は 5基の圧延スタンドから構成されており、この例ではすべて同じ型式の6重圧延機である。各圧延機のロールはワークロール1a〜5aおよび1b〜5b、中間ロール1c〜5cおよび1d〜5d並びにバックアップロール1e〜5eおよび1f〜5fから構成されている。ワークロール1a〜5aおよび1b〜5bにはスピンドル(図示しない)が連結されており、それぞれ独立した電動機(図示しない)によって駆動されている。図示していないが、この冷間タンデム圧延機の上流にはコイル接合装置があり酸洗後のコイルが接合され、連続的に冷間タンデム圧延機に供給される。また、図示していないが、この冷間タンデム圧延機の出側にはカローゼルリールがあり、連続的に圧延された金属ストリップが巻き取られる。
この冷間タンデム圧延機では第1〜第4中間スタンド(第2〜第4スタンド)で異周速圧延が行われる。そのなかの1つ目は、異速率は第1スタンド〜第4スタンドまで8%であり、第1、第3スタンドは上ワークロールが、第2、第4スタンドは下ワークロールが高速ロールとなっている。2つ目は、異速率は第1スタンド〜第4スタンドまで8%であり、第1と第2スタンドは上ワークロールが、第3、第4スタンドは下ワークロールが高速ロールとなっている。3つ目は、異速率は第1スタンド〜第4スタンドまで8%であり、第1と第4スタンドは上ワークロールが、第2、第3スタンドは下ワークロールが高速ロールとなっている。いずれの圧延においても、最終スタンドの第5スタンドでは同周速圧延であり、圧下率は7%である。
上バックアップロールチョック(図示しない)の上部には、圧延荷重検出装置が配置され、ワークサイドおよびドライブサイドの荷重が検出される。また、圧延荷重検出装置の上部には電動圧下装置(図示しない)が配置されており、金属ストリップSを圧延する際のパスライン調整が行われる。さらに、下バックアップロールチョック(図示しない)の下部には、圧延力を付与するための油圧圧下装置(図示しない)が配置されている。
各圧延スタンドの入側に圧延潤滑油供給装置(図示しない)が配置されている。最終圧延スタンド(第5スタンド)を除く各圧延スタンドの出側にはロール冷却をするためのロール冷却装置(図示しない)が配置されており、入側と同じエマルションが供給されている。
第5圧延スタンドの出側に板厚検出装置(図示しない)と板形状検出装置(図示しない)が配置されている。金属ストリップは次の2種類を用いた。
1)材質:80キロハイテン、板幅:1200mm、板厚:2.5mm、コイル単重:20ton、2)材質:80キロハイテン、板幅:1200mm、板厚:3.5mm、コイル単重:20ton、ともに熱延後、酸洗したものである。
表1に圧延条件を示す。冷間タンデム圧延機出側で、それぞれ板厚1.06mmまで圧延している。ロール粗度は、第5スタンドは他のスタンドよりも粗く2.3μmRaである。
まず、従来技術である比較例1として、入側板厚2.5mm、80キロハイテンのコイルを表1の1)の圧下スケジュールでかつ同周速で圧延した。この条件は圧下率が低いので問題なく圧延できた。
次に、比較例2として入側板厚3.5mm、80キロハイテンのコイルを表1の2)の圧下スケジュールでかつ同周速で圧延した。この条件では1)のときより圧下率が高かったので、スリップが生じ、板厚精度が悪化するとともに焼き付き疵が発生した。
3番目に、本発明例1として、入側板厚3.5mm、80キロハイテンのコイルを表1の2)の圧下スケジュールでかつ異周速で圧延した。異周速の条件は先に挙げたように、異速率を第1スタンド〜第4スタンドまで8%とし、第1、第3スタンドで上ワークロールを、第2、第4スタンドで下ワークロールを高速ロールとし、最終スタンドである第5スタンドで同周速圧延とし、圧下率を5%とした。この条件では問題なく圧延できた。また、圧延後の板には、反りや表裏面の表面性状差は生じなかった。
4番目に、本発明例2として、入側板厚3.5mm、80キロハイテンのコイルを表1の2)の圧下スケジュールでかつ異周速で圧延した。異周速の条件は、第1スタンド〜第4スタンドまでの異速率を本発明例1と同様に8%とし、本発明例1と変えて第1、第2スタンドで上ワークロールを、第3、第4スタンドで下ワークロールを高速ロールとし、第5スタンドで同周速圧延とし、圧下率を5%とした。この条件では問題なく圧延できた。また、圧延後の板には、反りや表裏面の表面性状差は生じなかった。
5番目に、本発明例3として、入側板厚3.5mm、80キロハイテンのコイルを表1の2)の圧下スケジュールでかつ異周速で圧延した。異周速の条件は、第1スタンド〜第4スタンドまでの異速率を本発明例1と同様に8%とし、本発明例1と変えて第1、第4スタンドで上ワークロールを、第2、第3スタンドで下ワークロールを高速ロールとし、第5スタンドで同周速圧延とし、圧下率を5%とした。この条件では問題なく圧延できた。また、圧延後の板には、反りや表裏面の表面性状差は生じなかった。
6番目に、比較例3として、本発明例1に対し、異速率を第1スタンド〜第4スタンドまで3%とし、これ以外本発明例1と同じ条件で圧延した。この条件では比較例2ほどではないがスリップが生じ、板厚精度が悪化するとともに焼き付き疵が発生した。
7番目に、本発明例4として、本発明例1の条件に対し、異速率を第1スタンド〜第5スタンドまで8%、最終スタンドである第5スタンドで上ロール側を高速とした異周速圧延とし、これ以外本発明例1と同じ条件で圧延した。この条件では、わずかに反りが生じ、わずかに表面性状差が生じたが、スリップや板厚精度に関しては、ほとんど問題なく圧延でき、焼き付き疵も生じていなかった。ただし、最終パスは同周速の方が好ましいと言える。
このように、スリップの生じる恐れのある圧下スケジュールの圧延において、異周速圧延を導入することによって潤滑条件や張力条件を変更することなく硬質材のスリップを防止し、かつ、圧下率を増大することが可能となる。また、製造された鋼板は粗度や光沢等の上下表面性状差がないものを製造できる。さらに、これにより、熱延仕上げ厚さを厚くすることができ、熱延や酸洗などの生産性を向上させることができる。
なお、上記の実施例は5スタンドであったので、1ないし3スタンド毎の交互に異周速の高速側と低速側を設定したものであった。しかし、例えば、6スタンドで圧下する場合、第1,2,3スタンドの上ワークロールを、第4,5,6スタンドの下ワークロールを高速ロールとしたり、第1,2スタンドの上ワークロールを、第3,4,5スタンドの下ロールを高速ロールとして第6スタンドを同周速としたり、するなど3スタンド毎で交互に異周速の高速側と低速側を設定することもできる。
Figure 2007160395
本発明に関する実験を行った圧延機を模式的に示す装置構成図である。 同周速圧延時の先進率に及ぼす張力と材質と圧下率の関係を示す図である。 異周速圧延時の先進率に及ぼす張力の関係を示す図である 本発明の1実施例を模式的に示す図である。
符号の説明
11 圧延機
16〜17 ワークロール
21〜22 バックアップロール
31 油圧圧下装置
36 圧延荷重検出装置
37 電動圧下装置
51 ワークロールベンダー
41 デフレクターロール
42 デフレクターロール兼形状検出器
61 ペイオフリール
62 テンションリール
45〜46 潤滑油供給装置
S 金属ストリップ
1a〜5a,1b〜5b ワークロール
1c〜5c,1d〜5d 中間ロール
1e〜5e,1f〜5f バックアップロール

Claims (4)

  1. 4基以上の圧延スタンドからなる冷間タンデム圧延機を用いて第1スタンド入側における0.2%耐力が350MPa以上の金属ストリップを冷間圧延する方法であって、少なくとも1圧延スタンドにおいて、上下のワークロール周速度の差を異速率5%以上10%以下とした異周速で冷間圧延することを特徴とする高張力鋼の冷間タンデム圧延方法。
  2. 前記周速差を付与した圧延スタンドの圧延条件がスリップの生じる恐れのある圧延条件となっていることを特徴とする請求項1に記載の高張力鋼の冷間タンデム圧延方法。
  3. 複数の圧延スタンドで異周速冷間圧延する際、高速側ワークロールを1ないし3スタンド毎の交互に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の冷間タンデム圧延方法。
  4. 最終スタンドの冷間圧延は同周速で行い、その際の摩擦係数を0.1以上でかつ圧下率を5%以上10%以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷間タンデム圧延方法。
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