以下、図面を参照して、本発明に係る運転模擬試験装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本実施の形態では、本発明に係る運転模擬試験装置を、被験者の運転操作に応じて車両の運動を模擬するドライビングシミュレータに適用する。本実施の形態に係るドライビングシミュレータは、車両モデルが内部に設置されるドームを備え、ドームを並進運動するためのXY並進機構、ドームをチルト運動するためのヘキサポッドを備えている。特に、本実施の形態に係るドライビングシミュレータでは、ドームがリミッタの作動限界域を超えないように、並進運動において減速を行うとともに、チルト運動においてその減速度に応じたチルト角を付加する。本実施の形態には、減速制御の違いにより4つの形態があり、第1の実施の形態がリミッタ作動限界域に到達するまでの時間に応じて並進制御及びチルト制御を切替制御する形態であり、第2の実施の形態が第1の実施の形態に対してリミッタ作動限界域に到達するまでの時間を求める際にローパスフィルタを用いる形態であり、第3の実施の形態が第1の実施の形態に対してリミッタ作動限界域に到達するまでの時間を求める際にリミッタ作動限界域のコーナ部を曲線とする形態であり、第4の実施の形態がリミッタ作動限界域に到達するまでの時間による並進制御及びチルト制御を連続制御する形態である。
図1〜図4を参照して、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1について説明する。図1は、本実施の形態に係るドライビングシミュレータの全体を示す斜視図である。図2は、図1のドームの内部及びヘキサポッドを示す正面図である。図3は、本実施の形態に係るドライビングシミュレータの構成図である。図4は、並進運動におけるリミッタ作動限界域を示す図である。
ドライビングシミュレータ1は、被験者の運転操作に応じて車両の運動状態を算出し、その算出した運動状態を被験者が体感できるようにドーム(車両モデル)に対して各種運動を行う。特に、ドライビングシミュレータ1では、ドームがリミッタ作動限界域を超えることを防止するために、リミッタ到達時間が基準時間以上の場合には目標加速度に応じた通常の並進制御及びチルト制御を行い、リミッタ到達時間が基準時間未満になった場合にはリミッタ到達時間に応じて減速する並進制御を行うとともにその減速度に応じてピッチ方向のチルト角を付加するチルト制御を行う。そのために、ドライビングシミュレータ1は、主なものとして、ドーム2、XY並進機構3、ヘキサポッド4、基板5、支持部6、車両モデル7、スクリーン8、プロジェクタ9、スピーカ10、データベース11、X方向位置検出センサ12、Y方向位置検出センサ13、コンピュータ14を備えている。
なお、第1の実施の形態では、ドライビングシミュレータ1が特許請求の範囲に記載する運転模擬試験装置に相当し、XY並進機構3が特許請求の範囲に記載する並進運動手段に相当し、ヘキサポッド4が特許請求の範囲に記載するチルト運動手段に相当し、車両モデル7が特許請求の範囲に記載する運転体感手段に相当し、コンピュータ14が特許請求の範囲に記載する制御手段に相当する。
ドーム2は、略円筒形状であり、底面に円形状の基板5が設けられる。基板5の上面には、車両モデル7の4輪の位置にそれぞれ支持部6,・・・が設置され、この4個の支持部6,・・・によって車両モデル7が支持される。ドーム2内の車両モデル7の周りには、スクリーン8,・・・が設けられる。スクリーン8,・・・は、車両モデル7の前方、両側方、後方などに設けられる。また、ドーム2内の上方には、各スクリーン8,・・・に投影可能な位置及び角度でプロジェクタ9,・・・がそれぞれ設けられる。
XY並進機構3は、ドーム2をX方向及びX方向に直交するY方向にそれぞれ並進運動させるための機構である。XY並進機構3には、X方向に沿って6対のレール3a,・・・が敷設され、各レール3a,・・・の間にベルト3b,・・・がそれぞれ1本づつ設けられる。また、XY並進機構3には、6対のレール3a,・・・の上にY方向に沿って1対のレール3cが配置され、レール3cの間にベルト3dが設けられる。レール3cは、レール3a,・・・上をX方向に沿って移動自在に設けられ、下部に6本のベルト3b,・・・が取り付けられている。レール3c上には、ヘキサポッド4の台座となる移動台3eが配置される。移動台3eは、レール3c上をY方向に沿って移動自在に設けられ、下面にベルト3dが取り付けられている。
6本のベルト3b,・・・は、X並進駆動モータ3f,・・・によってそれぞれ回転駆動され、レール3cをX方向に並進移動させる。X並進駆動モータ3f,・・・は、モータ制御部3g,・・・から駆動電流がそれぞれ供給されると、駆動電流に応じてそれぞれ回転する。モータ制御部3g,・・・は、コンピュータ14からのX並進制御信号をそれぞれ受信すると、そのX並進制御信号に応じて駆動電流をそれぞれ供給する。ベルト3dは、Y並進駆動モータ3hによって回転駆動され、移動台3eをY方向に並進移動させる。Y並進駆動モータ3hは、モータ制御部3iから駆動電流が供給されると、駆動電流に応じて回転する。モータ制御部3iは、コンピュータ14からのY並進制御信号を受信すると、そのY並進制御信号に応じて駆動電流を供給する。
並進運動には、X方向のレール3a,・・・とY方向のレール3cの長さによって規定されるドーム2の運動範囲が設定され、この運動範囲の限界域にリミッタを作動させるリミッタ作動限界域が設定されている。リミッタ作動限界域は、X方向では0、Xmaxが限界域であり、Y方向では0,Ymaxが限界域である(図4参照)。XY並進機構3には、ハード的なリミッタとして、ドーム2がリミッタ作動限界域を超えたか否かを判定するセンサ(図示せず)が設けられ、このセンサによってドーム2がリミッタ作動限界域を超えたと判定した場合にドーム2を停止させる停止装置(図示せず)が設けられている。停止装置としては、例えば、X並進駆動モータ3f及びY並進駆動モータ3hへの電力供給を遮断する装置である。
ヘキサポッド4は、ドーム2をピッチ方向、ロール方向、ヨー方向にそれぞれチルト運動するための機構である。ヘキサポッド4は、6本の油圧シリンダ4a,・・・を備えており、油圧シリンダ4a,・・・が移動台3eと基板5の支持台5aとの間に配設される。油圧シリンダ4a,・・・は、油圧制御部4b,・・・から作動油圧がそれぞれ供給されると、作動油圧に応じてそれぞれ伸縮する。油圧制御部4b,・・・は、コンピュータ14からのヘキサポッドシリンダ制御信号をそれぞれ受信すると、そのヘキサポッドシリンダ制御信号に応じて作動油圧をそれぞれ供給する。6本の油圧シリンダ4a,・・・がそれぞれ伸縮することによって、基板5(ドーム2)が移動台3eに対して三次元的に傾く。なお、図3には、油圧シリンダ4a及び油圧制御部4bを1個づつしか描いていないが、実際には6個づつある。
車両モデル7は、車両の車体及び車両の内装などを備えており、被験者が着座して各種運転操作を行うことができる。そのために、車両モデル7には、操作部7aやメータ7bなどが装備されている。操作部7aは、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール、シフトレバーなどから構成される。また、操作部7aには、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイールの各操作量を検出するための各センサやシフトレバーのシフトポジションを検出するためのセンサが設けられている。操作部7aの各センサでは、それぞれ検出した検出値を検出信号としてコンピュータ14にそれぞれ送信する。また、操作部7aのアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール、シフトレバーには、操作反力発生部7cによって被験者が体感する操作反力が与えられる。操作反力発生部7cは、コンピュータ14から操作反力信号をそれぞれ受信すると、各操作反力信号に応じて操作反力をそれぞれ発生させる。メータ7bは、スペードメータ、タコメータ、シフトポジションの表示部などから構成される。メータ7bでは、コンピュータ14から各メータや表示部に対する各車両情報信号をそれぞれ受信すると、各車両情報信号に応じて各メータをそれぞれ駆動したり、表示部を表示する。
プロジェクタ9,・・・では、コンピュータ14から画像信号をそれぞれ受信すると、各画像信号に応じて模擬画像(模擬走行路を走行した場合に車両内から見える景色の画像)を各スクリーン8,・・・にそれぞれ投影する。被験者は、スクリーン8,・・・に投影されている模擬画像を見ながら走行路や標識、信号、他車両、歩行者などの情報を取得し、その情報に応じた運転操作を行う。スピーカ10では、コンピュータ14から音信号を受信すると、各音信号に応じて模擬音(走行中に運転者に聞こえる音(排気音、エンジン音、風切音、ロードノイズなどを合成した音))を出力する。データベース11は、模擬走行路を走行した場合の各走行位置における車両内から見える景色の画像情報、模擬走行路を走行した場合の道路情報(勾配、凹凸、路面摩擦係数など)、走行中に運転者に聞こえる音情報などを格納したデータベースであり、コンピュータ14に接続される。
X方向位置検出センサ12は、ドーム2(車両モデル7)のX方向の位置xを検出するセンサであり、その検出値をX方向位置信号としてコンピュータ14に送信する。位置xの取りうる範囲は、0からXmaxまでの値をとる。Y方向位置検出センサ13は、ドーム2(車両モデル7)のY方向の位置yを検出するセンサであり、その検出値をY方向位置信号としてコンピュータ14に送信する。位置yの取りうる範囲は、0からYmaxまでの値をとる。
コンピュータ14は、ドライビングシミュレータ1を統括制御するコンピュータである。コンピュータ14では、車両運動算出、被験者に運転操作を体感させるための運転制御、プロジェクタ9による画像表示をするための画像処理、スピーカ10から音出力するための音処理、ドーム2(車両モデル7)に対する各種運動するための駆動制御などを行う。
車両運動算出について説明する。コンピュータ14では、操作部7aの各センサからの検出信号を受信するとともに、データベース11から模擬走行路において現在走行中の道路の環境情報を取り入れる。そして、コンピュータ14では、一定時間毎に、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイールの各操作量やシフトポジション及び現在走行している道路の環境情報に基づいて、車体の運動方程式により模擬走行路を走行している車両の運動を算出する。車両の運動としては、車両に作用する加速度(直進走行の場合には前後加速度のみが発生、旋回走行の場合には前後加速度及び横加速度が発生)、車両のピッチ角、ロール角、ヨー角、車速、エンジン回転数などである。
運転制御について説明する。コンピュータ14では、算出によって求めた車速やエンジン回転数及びシフトポジションなどを車両情報信号としてメータ7bに送信する。また、コンピュータ14では、算出によって求めた車両の運動情報に基づいて、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール及びシフトレバーの各操作反力をそれぞれ算出し、各操作反力を操作反力信号として操作反力発生部7cにそれぞれ送信する。
画像処理について説明する。コンピュータ14では、算出によって求めた車両の運動情報に基づいて、模擬走行路における現在の走行位置を算出する。そして、コンピュータ14では、データベース11から現在の走行位置における車両内から見える景色の画像情報を取得する。そして、コンピュータ14では、取得した画像情報に基づいて各プロジェクタ9,・・・用の画像信号をそれぞれ生成し、各画像信号をプロジェクタ9,・・・にそれぞれ送信する。
音処理について説明する。コンピュータ14では、データベース11から走行中に運転者に聞こえる音情報を取り入れる。そして、コンピュータ14では、取り入れた音情報に基づいて、車速や道路の環境情報などに応じて運転者に聞こえる合成音を生成し、その合成音を音信号としてスピーカ10に送信する。
駆動制御について説明する。コンピュータ14では、車両に作用する加速度が求められると、この加速度を目標加速度fAA(s)とする。また、コンピュータ14では、一定時間毎に、X方向位置検出センサ12からのX方向位置信号に示されるX方向の位置xを取得するとともに、Y方向位置検出センサ13からのY方向位置信号に示されるY方向の位置yを取得する。そして、コンピュータ14では、位置xを時間微分してドーム2(車両モデル7)のX方向の並進速度Vxを算出するとともに、位置yを時間微分してドーム2のY方向の並進速度Vyを算出する。
ここで、この並進速度(Vx,Vy)でドーム2が並進移動している場合のドーム2がリミッタ作動限界域に到達するまでの時間(リミッタ到達時間T)を求める。リミッタ作動限界域は、上記したように、四角形の4辺からなり、X方向の0とXmax、Y方向の0とYmaxが各辺の限界域となっている(図4参照)。そこで、ドーム2がこの各辺の限界域に到達するまでの時間T1,T2,T3,T4をそれぞれ算出し、その4つの時間の中で最も早く到達する時間をリミッタ到達時間Tとする。具体的には、コンピュータ14では、X方向の並進速度Vxが0より大きいか否か(つまり、リミッタ作動限界域のX方向においてXmaxの限界域に向かっているか否か)を判定し、0より大きい場合(限界域Xmaxに向かっている場合)には式(1)によりX方向の限界域Xmaxに到達するまでの時間T1を算出し、0より小さい場合(限界域0に向かっている場合)には式(2)によりX方向の限界域0に到達するまでの時間T2を算出し、算出されない場合にはT1,T2に無限大を設定する。また、コンピュータ14では、Y方向の並進速度Vyが0より大きいか否か(つまり、リミッタ作動限界域のY方向においてYmaxの限界域に向かっているか否か)を判定し、0より大きい場合(限界域Ymaxに向かっている場合)には式(3)によりY方向の限界域Ymaxに到達するまでの時間T3を算出し、0より小さい場合(限界域0に向かっている場合)には式(4)によりY方向の限界域0に到達するまでの時間T4を算出し、算出されない場合にはT3,T4に無限大を設定する。そして、コンピュータ14では、式(5)により、T1,T2,T3,T4の中から最小時間を選択し、リミッタ到達時間Tとする。
そして、コンピュータ14では、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上か否かを判定する。基準時間Tsは、ドーム2がリミッタ作動限界域を超えないように(つまり、リミッタが作動しないように)減速制御を開始する基準となる時間であり、リミッタ作動限界域などを考慮して設定される。この基準時間Tsが小さいほど、リミッタ作動限界域に近い位置で減速制御が開始し、通常の並進制御とチルト制御との組み合わせるによる制御を行う範囲が広がる。
リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上の場合、コンピュータ14では、式(6)により目標加速度fAA(s)に応じた並進模擬加速度fSA(s)を算出するとともに、式(7)により目標加速度fAA(s)に応じたチルト模擬加速度fTA(s)を算出する。LP(s)はローパスフィルタであり、HP(s)はハイパスフィルタである。
リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合、コンピュータ14では、式(8)により並進速度(Vx,Vy)から車両モデル7の並進速度Vを算出し、式(9)により並進速度Vとリミッタ到達時間Tを用いてリミッタ到達減速度Aを算出する。リミッタ到達減速度Aは、車両モデル7が進行している方向とは反対方向の加速度であり、車両モデル7がリミッタ作動限界域に達したときにその並進速度を0にするための減速度である。
リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合、ドーム2(車両モデル7)がリミッタ作動限界域に接近しているので、リミッタ到達減速度Aにより、並進運動において車両モデル7の並進速度を減速させる。そのために、コンピュータ14では、(10)により、目標加速度fAA(s)に応じた並進模擬加速度(fAA(s)[1−LP(s)]HP(s))に対して反対方向のリミッタ到達減速度Aを作用させた並進模擬加速度fSA(s)を算出する。
この並進模擬加速度fSA(s)には進行方向とは反対方向のリミッタ到達減速度Aが作用するので、このリミッタ到達減速度Aによる減速感を被験者が感じないようにする必要がある。そこで、リミッタ到達減速度Aをキャンセルするような加速感を発生させるために、車両モデル7に対してチルト運動によるピッチ方向のチルト角を付加する。そのために、コンピュータ14では、式(11)により、目標加速度fAA(s)に応じたチルト模擬加速度(fAA(s)LP(s))に対してリミッタ到達減速度A分を付加したチルト模擬加速度fTA(s)を算出する。
さらに、コンピュータ14では、式(12)によりチルト模擬加速度fTA(s)からチルト角αを算出する。
9.8は、重力加速度である。このチルト角αには車両モデル7の前方側を高くするチルト角が付加されているので、この増分のチルト角によりリミッタ到達減速度Aに応じた加速度感が発生することになる。
コンピュータ14では、並進模擬加速度fSA(s)を進行方向に応じてX方向の加速度とY方向の加速度に分解する。そして、コンピュータ14では、X方向の並進模擬加速度からX方向の並進制御量を算出するとともに、Y方向の並進模擬加速度からY方向の並進制御量を算出する。さらに、コンピュータ14では、X方向の並進制御量を与えるために必要なX並進駆動モータ3fのモータトルクを算出し、X並進駆動モータ3fのモータトルクに応じてX並進制御信号を設定し、各X並進制御信号を対応するモータ制御部3g,・・・にそれぞれ送信する。また、コンピュータ14では、Y方向の並進制御量を与えるために必要なY並進駆動モータ3hのモータトルクを算出し、Y並進駆動モータ3hのモータトルクに応じてY並進制御信号を設定し、Y並進制御信号をモータ制御部3iに送信する。
また、コンピュータ14では、チルト角αを与えるために必要なヘキサポッド4の各油圧シリンダ4a,・・・のシリンダ長をそれぞれ算出する。さらに、コンピュータ14では、各シリンダ長に応じてヘキサポッドシリンダ制御信号をそれぞれ設定し、各ヘキサポッドシリンダ制御信号を対応する油圧制御部4b,・・・にそれぞれ送信する。
なお、車両運動としてピッチ角、ロール角、ヨー角などが求められている場合、コンピュータ14では、車両運動の加速度(目標加速度fAA(s))を模擬するためのチルト角αにその求められたピッチ角などを加味する。そして、コンピュータ14では、その加味したチルト角を与えるために必要なヘキサポッド4の各油圧シリンダ4a,・・・のシリンダ長をそれぞれ算出し、各シリンダ長に応じてヘキサポッドシリンダ制御信号をそれぞれ設定し、各ヘキサポッドシリンダ制御信号を対応する油圧制御部4b,・・・にそれぞれ送信する。
また、コンピュータ14では、位置検出センサ12,13から取得したドーム2の位置(x,y)により、ドーム2がリミッタ作動限界域を超えたか否かを判定する。ドーム2がリミッタ作動限界域を超えていない場合、コンピュータ14では、駆動制御を継続する。ドーム2がリミッタ作動限界域を超えた場合、コンピュータ14では、モータトルクを0としたX並進制御信号、Y並進制御信号をモータ制御部3g,3iにそれぞれ送信し、駆動制御を停止する。
図1〜図4を参照して、ドライビングシミュレータ1の動作について説明する。特に、コンピュータ14における駆動制御については図5のフローチャートに沿って説明する。図5は、第1の実施の形態に係るコンピュータにおける駆動制御の流れを示すフローチャートである。
被験者が、車両モデル7のシートに着座し、操作部7aに対して所定操作を行う。操作部7aでは、各センサによってアクセルペダルなどの各操作量を検出するとともにシフトレバーのシフトポジションを検出し、その各検出信号をコンピュータ14にそれぞれ送信する。また、X方向位置検出センサ12では、ドーム2のX方向の位置xを検出し、X方向位置信号をコンピュータ14に送信する。Y方向位置検出センサ13では、ドーム2のY方向の位置yを検出し、Y方向位置信号をコンピュータ14に送信する。
コンピュータ14では、一定時間毎に、各検出信号を受信すると、各検出信号に示される各操作量やシフトポジションに基づいて車体の運動方程式を算出し、車両運動として加速度(目標加速度fAA(s))、車両のピッチ角、ロール角、ヨー角、車速、エンジン回転数などを導出する(S10)。
コンピュータ14では、車速、エンジン回転数、シフトポジションなどの情報を車両情報信号としてメータ7bに送信する。メータ7bでは、車両情報信号を受信すると、車両情報信号に応じて、各メータを駆動するとともに現在のシフトポジションを表示する。また、コンピュータ14では、車両運動に基づいて、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール及びシフトレバーの各操作反力をそれぞれ演算し、各操作反力を操作反力信号として操作反力発生部7cにそれぞれ送信する。操作反力発生部7cでは、各操作反力信号を受信すると、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール及びシフトレバーに対して各操作反力をそれぞれ与える。
また、コンピュータ14では、車両運動に基づいて模擬走行路における現在の走行位置を演算し、データベース11から現在の走行位置に対応する画像情報を取得する。そして、コンピュータ14では、その画像情報に基づいて各画像信号をそれぞれ生成し、各画像信号をプロジェクタ9,・・・にそれぞれ送信する。各プロジェクタ9,・・・では、コンピュータ14から画像信号をそれぞれ受信すると、各画像信号に応じて模擬画像を各スクリーン8,・・・にそれぞれ投影する。
また、コンピュータ14では、データベース11から音情報を取り入れ、その音情報に基づいて車速や道路情報などに応じて合成音を生成し、その合成音を音信号としてスピーカ10に送信する。スピーカ10では、コンピュータ14から音信号を受信すると、各音声信号に応じて擬似音を出力する。
コンピュータ14では、一定時間毎に、X方向位置信号及びY方向位置信号を受信し、ドーム2(車両モデル7)の位置(x,y)を取得する(S11)。そして、コンピュータ14では、一定時間毎に、車両モデル7の位置(x,y)を時間微分してX方向とY方向の並進速度(Vx,Vy)を算出する(S12)。
コンピュータ14では、X方向の並進速度Vxを用いて、Vx>0の場合には式(1)により車両モデル7がX方向のリミッタ作動限界域Xmaxに到達するまでの時間T1を算出し、Vx<0の場合には式(2)により車両モデル7がX方向のリミッタ作動限界域0に到達するまでの時間T2を算出する(S13)。また、コンピュータ14では、Y方向の並進速度Vyを用いて、Vy>0の場合には式(3)により車両モデル7がY方向のリミッタ作動限界域Ymaxに到達するまでの時間T3を算出し、Vy<0の場合には式(4)により車両モデル7がY方向のリミッタ作動限界域0に到達するまでの時間T4を算出する(S13)。コンピュータ14では、式(5)によりT1,T2,T3,T4の中から最小となるリミッタ到達時間Tを選択する(S13)。そして、コンピュータ14では、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上か否かを判定する(S14)。
S14にてリミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上と判定した場合、コンピュータ14では、式(6)により目標加速度fAA(s)にハイパスフィルタをかけた出力によって並進模擬加速度fSA(s)を算出する(S15)。また、コンピュータ14では、式(7)により目標加速度fAA(s)にローパスフィルタをかけた出力によってチルト模擬加速度fTA(s)を算出する(S16)。
S14にてリミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満と判定した場合、コンピュータ14では、式(8)により並進速度(Vx,Vy)から車両モデル7の並進速度Vを算出し、式(9)により並進速度Vからリミッタ到達減速度Aを算出する(S17)。そして、コンピュータ14では、式(10)により目標加速度fAA(s)にハイパスフィルタをかけた出力に対してリミッタ到達減速度Aによって減速させた並進模擬加速度fSA(s)を算出する(S18)。また、コンピュータ14では、式(11)により目標加速度fAA(s)にローパスフィルタをかけた出力に対してリミッタ到達減速度Aによって増速させたチルト模擬加速度fTA(s)を算出する(S19)。
コンピュータ14では、式(12)によりチルト模擬加速度fTA(s)からチルト角αを算出する(S20)。
コンピュータ14では、並進模擬加速度fSA(s)からX方向の並進制御量とY方向の並進制御量を算出する(S21)。そして、コンピュータ14では、X方向の並進制御量からX並進駆動モータ3fのモータトルクを算出し、このモータトルクに応じてX並進制御信号を設定し、各X並進制御信号を対応するモータ制御部3g,・・・にそれぞれ送信する(S21)。モータ制御部3g,・・・では、コンピュータ14からのX並進制御信号をそれぞれ受信すると、そのX並進制御信号に応じて駆動電流をX並進駆動モータ3f,・・・にそれぞれ供給する。X並進駆動モータ3f,・・・では、各駆動電流に応じてそれぞれ回転駆動し、各ベルト3b,・・・を回転させる。この6本のベルト3b,・・・の回転によって、レール3c及びベルト3dなどをX方向に平行移動させる。また、コンピュータ14では、Y方向の並進制御量からY並進駆動モータ3hのモータトルクを算出し、このモータトルクに応じてY並進制御信号を設定し、Y並進制御信号をモータ制御部3iに送信する(S21)。モータ制御部3iでは、コンピュータ14からのY並進制御信号を受信すると、そのY並進制御信号に応じて駆動電流をY並進駆動モータ3hに供給する。Y並進駆動モータ3hでは、駆動電流に応じて回転駆動し、ベルト3dを回転させる。このベルト3dの回転によって、ドーム2をY方向に平行移動させる。これによって、XY並進機構3では、ドーム2(車両モデル7)を求めた並進模擬加速度fSA(s)で並進運動させる。この並進運動では、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上の場合(車両モデル7がリミッタ作動限界域からある程度離れている場合)には目標加速度fAA(s)に応じた通常の並進模擬加速度fSA(s)で車両モデル7が移動し、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合(車両モデル7がリミッタ作動限界域にある程度近づいている場合)には目標加速度fAA(s)に応じた通常の並進模擬加速度よりリミッタ減速度A分小さい並進模擬加速度fSA(s)で車両モデル7が移動する。そして、車両モデル7がリミッタ作動限界域に達した時点で車両モデル7の並進速度が0となり、車両モデル7が停止する。被験者には、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上の場合には通常の並進模擬加速度fSA(s)が作用し、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合にはリミッタ到達減速Aで減速した並進模擬加速度fSA(s)が作用する。
コンピュータ14では、チルト角αに基づいてヘキサポッド4の各油圧シリンダ4a,・・・のシリンダ長をそれぞれ演算し、各シリンダ長に応じてヘキサポッドシリンダ制御信号をそれぞれ設定し、各ヘキサポッドシリンダ制御信号を対応する油圧制御部4b,・・・にそれぞれ送信する(S21)。各油圧制御部4b,・・・では、各ヘキサポッドシリンダ制御信号をそれぞれ受信すると、そのヘキサポッドシリンダ制御信号に応じて作動油圧を各油圧シリンダ4a,・・・にそれぞれ供給する。各油圧シリンダ4a,・・・では作動油圧に応じてそれぞれ伸縮し、ヘキサポッド4ではドーム2(車両モデル7)に対してチルト角αを与える。このチルト運動では、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上の場合には目標加速度fAA(s)に応じた通常のチルト角で車両モデル7を傾け、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合には目標加速度fAA(s)に応じた通常のチルト角よりリミッタ到達減速度Aに応じたピッチ角が加わった角度で車両モデル7を傾ける。そのため、被験者には、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上の場合には通常のチルト模擬加速度fTA(s)が作用し、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合には通常のチルト模擬加速度よりリミッタ到達減速度Aで増速したチルト模擬加速度fTA(s)が作用する。その結果、被験者には、並進模擬加速度fSA(s)とチルト模擬加速度fTA(s)からなる加速度が作用し、常時、目標加速度fAA(s)に相当する加速感を体感する。
このドライビングシミュレータ1によれば、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合にはリミッタ到達減速度Aによって減速させたことにより、ドーム2(車両モデル7)をリミッタ到達限界域で停止させることができる。したがって、リミッタが作動することなく、リミッタ作動時のショックが発生することはない。また、ドライビングシミュレータ1によれば、ミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合にはリミッタ到達減速度Aによって増速させたチルト模擬加速度fTA(s)を発生させるチルト角でチルト運動を行うことにより、並進運動における減速感を補って目標加速度fAA(S)に相当する加速感を発生させることができ、加速度を精度良く模擬することができる。さらに、ドライビングシミュレータ1では、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上の場合には通常の目標加速度fAA(s)に応じた並進制御とチルト制御を行うので、加速度を高精度に模擬することができる。
図1〜図4を参照して、第2の実施の形態に係るドライビングシミュレータ21について説明する。ドライビングシミュレータ21では、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1と同様の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。
ドライビングシミュレータ21は、ドライビングシミュレータ1と比較すると、リミッタ到達時間の求め方のみが異なる。ドライビングシミュレータ21では、リミッタ到達時間が不連続に変化することを防止するために、リミッタ到達時間を求める際にローパスフィルタを用いる。ドライビングシミュレータ21は、ドライビングシミュレータ1とはコンピュータにおける制御のみが異なり、第1の実施の形態に係るコンピュータ14の代わりにコンピュータ24を備えている。なお、第2の実施の形態では、ドライビングシミュレータ21が特許請求の範囲に記載する運転模擬試験装置に相当し、コンピュータ24が特許請求の範囲に記載する制御手段に相当する。
上記したように、リミッタ作動限界域は、4つの辺からなる四角形状の範囲である(図4参照)。そのため、第1の実施の形態のように、リミッタ到達時間Tを求める場合、その4つの各辺の限界域に到達するまでの時間T1,T2,T3,T4をそれぞれ求め、その中から最小の時間を選択する。したがって、車両モデル7が進行方向を変え、車両モデル7が向かっている辺が変わると、選択する時間T1,T2,T3,T4が切り替わり、リミッタ到達時間Tが不連続に変化する。その結果、減速制御を行う際のリミッタ到達減速度Aも不連続に変化し、並進模擬加速度及びチルト模擬加速度が急に変化し、被験者に違和感を与えてしまう。そこで、時間T1,T2,T3,T4の中から選択する対象が変わった場合でも、その値の変化を緩和するために、ローパルフィルタを利用する。
コンピュータ24は、ドライビングシミュレータ21を統括制御するコンピュータであり、コンピュータ14と同様のコンピュータである。コンピュータ24は、コンピュータ14と駆動制御においてリミッタ到達時間の求めた方のみが異なる。そこで、リミッタ到達時間の求め方について詳細に説明する。
コンピュータ24では、第1の実施の形態と同様に、式(1)〜式(4)によりリミッタ作動限界域に到達するまでの時間T1,T2,T3,T4を算出し、式(5)により時間T1,T2,T3,T4の中から最小のリミッタ到達時間Tを選択する。そして、コンピュータ24では、式(13)により、選択したリミッタ到達時間TをローパスフィルタLP(s)に通してリミッタ到達時間TFを求める。リミッタ到達時間TFは、リミッタ到達時間Tの値の急激な変化が取り除かれ値となり、到達するまでの時間T1,T2,T3,T4の中から選択される対象が切り替わった場合でもその値の変化が緩和された値となる。
リミッタ到達時間TFを求めると、第1の実施の形態と同様に、基準時間Tsとの比較を行い、リミッタ到達時間TFが基準時間Ts以上の場合又はリミッタ到達時間TFが基準時間Ts未満の場合の並進模擬加速度fSA(s)及びチルト模擬加速度fTA(s)を算出する。この際、リミッタ到達時間TFが基準時間Ts未満の場合、コンピュータ24では、式(14)により、並進速度Vとリミッタ到達時間TFを用いてリミッタ到達減速度Aを算出する。
到達するまでの時間T1,T2,T3,T4の中から選択される対象が切り替わった場合でも、リミッタ到達時間TFが滑らかな変化しているので、このリミッタ到達減速度Aも滑らかな変化となる。
図1〜図4を参照して、ドライビングシミュレータ21の動作について説明する。特に、コンピュータ24における駆動制御については図6のフローチャートに沿って説明する。図6は、第2の実施の形態に係るコンピュータにおける駆動制御の流れを示すフローチャートである。ドライビングシミュレータ21における動作としては、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1における動作と比較すると、リミッタ到達時間を求める動作だけが異なるので、その点について詳細に説明する。
コンピュータ24では、一定時間毎に、被験者の運転操作に応じて目標加速度fAA(s)を算出する(S30)。コンピュータ24では、一定時間毎に、X方向位置信号及びY方向位置信号を受信し、車両モデル7の位置(x,y)を取得し(S31)、その位置(x,y)を時間微分して並進速度(Vx,Vy)を算出する(S32)。そして、コンピュータ24では、並進速度(Vx,Vy)を用いてリミッタ作動限界域に到達するまでの時間T1,T2,T3,T4をそれぞれ算出し、そのT1,T2,T3,T4中から最小のリミッタ到達時間Tを選択する(S33)。さらに、コンピュータ24では、式(13)によりリミッタ到達時間Tをローパスフィルタに通し、リミッタ到達時間TFを得る(S34)。このリミッタ到達時間TFは、T1,T2,T3,T4が切り替わった場合でも、滑らかに変化する。
そして、コンピュータ24では、リミッタ到達時間TFが基準時間Ts以上か否かを判定する(S35)。S35にてリミッタ到達時間TFが基準時間Ts以上と判定した場合、コンピュータ24では、目標加速度fAA(s)に基づいて、並進模擬加速度fSA(s)を算出するとともに(S36)、チルト模擬加速度fTA(s)を算出する(S37)。S35にてリミッタ到達時間TFが基準時間Ts未満と判定した場合、コンピュータ24では、式(14)により、並進速度Vをリミッタ到達時間TFで除算してリミッタ到達減速度Aを算出する(S38)。このリミッタ到達減速度Aは、T1,T2,T3,T4が切り替わった場合でも、リミッタ到達時間TFに応じて滑らかに変化する。そして、コンピュータ24では、目標加速度fAA(S)に基づいて、リミッタ到達減速度Aによって減速させた並進模擬加速度fSA(s)を算出するとともに(S39)、リミッタ到達減速度Aによって増速させたチルト模擬加速度fTA(s)を算出する(S40)。コンピュータ24では、チルト模擬加速度fTA(s)からチルト角αを算出する(S41)。
そして、コンピュータ24では、第1の実施の形態と同様に、並進模擬加速度fSA(s)に基づいて並進制御を行うとともに、チルト角αに基づいてチルト制御を行う(S42)。すると、XY並進機構3では、第1の実施の形態と同様に、ドーム2(車両モデル7)を求めた並進模擬加速度fSA(s)で並進運動させる。この並進運動では、リミッタ到達時間TFが基準時間Ts未満の場合に車両モデル7が進行方向を変えても(つまり、車両モデル7が向かっているリミッタ作動限界域の辺が変わっても)、並進模擬加速度fSA(s)は滑らかに変化する。また、ヘキサポッド4では、ドーム2(車両モデル7)に対してチルト角αを与える。このチルト運動では、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合に車両モデル7が進行方向を変えても、チルト角(チルト模擬加速度fTA(s))が滑らかに変化する。そのため、被験者は、車両モデル7が進行方向を変えても、模擬加速度が急激に変化するという違和感を感じない。
このドライビングシミュレータ21によれば、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1と同様の効果を有する。さらに、ドライビングシミュレータ21によれば、ローパスフィルタを用いてリミッタ到達時間を求めることにより、各辺に対する到達時間T1,T2,T3,T4を選択する際の切り替わりによるリミッタ到達時間Tの不連続性を緩和し、リミッタ到達時間TFを滑らかに変化させる。そのため、リミッタ到達減速度Aも滑らかに変化し、並進模擬加速度fSA(s)及びチルト模擬加速度fTA(s)も滑らかに変化する。したがって、被験者は、模擬加速度が急に変化することによる違和感を感じない。
図1〜図3及び図7を参照して、第3の実施の形態に係るドライビングシミュレータ31について説明する。図7は、並進運動におけるリミッタ作動限界域に対してコーナ部を曲線に設定した場合の図である。ドライビングシミュレータ31では、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1と同様の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。
ドライビングシミュレータ31は、ドライビングシミュレータ1と比較すると、リミッタ到達時間の求め方のみが異なる。ドライビングシミュレータ31では、リミッタ到達時間が不連続に変化することを防止するために、リミッタ作動限界域の設定を変更し、その変更したリミッタ作動限界域に応じてリミッタ到達時間を求める。ドライビングシミュレータ31は、ドライビングシミュレータ1とはコンピュータにおける制御のみが異なり、第1の実施の形態に係るコンピュータ14の代わりにコンピュータ34を備えている。なお、第3の実施の形態では、ドライビングシミュレータ31が特許請求の範囲に記載する運転模擬試験装置に相当し、コンピュータ34が特許請求の範囲に記載する制御手段に相当する。
第2の実施の形態で説明したように、四角形状のリミッタ作動限界域の場合、車両モデル7が進行方向を変え、車両モデル7が向かっている辺が変わると、選択する時間T1,T2,T3,T4が切り替わり、リミッタ到達時間Tが不連続に変化する。そこで、第3の実施の形態では、リミッタ作動限界域を、4つのコーナ部を同一の半径を持つ曲線する(図7参照)。これによって、リミッタ作動限界域が4つの直線部とその直線部間を曲線で繋げるコーナ部とからなり、車両モデル7が進行方向を変えた場合に車両モデル7が向かっている辺が変わるときでも連続的に辺が変わっていく。
コンピュータ34は、ドライビングシミュレータ31を統括制御するコンピュータであり、コンピュータ14と同様のコンピュータである。コンピュータ34は、コンピュータ14と駆動制御においてリミッタ到達時間の求めた方のみが異なる。そこで、リミッタ到達時間の求め方について詳細に説明する。
上記したように、リミッタ作動限界域は、4つの直線部と4つの曲線のコーナ部とからなる。そこで、ドーム2がこの各直線部に到達するまでの時間T1,T2,T3,T4をそれぞれ算出するとともにドーム2がこの各コーナ部に到達するまでの時間TR1,TR2,TR3,TR4をそれぞれ算出し、その8つの時間の中で最も早く到達する時間をリミッタ到達時間Tとする。
コンピュータ34では、第1の実施の形態と同様の方法により、各直線部の限界域に到達するまでの時間T1,T2,T3,T4をそれぞれ算出する。
コンピュータ34では、式(15)により車両モデル7とコーナ部R1との距離D1を算出し、式(16)により車両モデル7とコーナ部R2との距離D2を算出し、式(17)により車両モデル7とコーナ部R3との距離D3を算出し、式(18)により車両モデル7とコーナ部R4との距離D4を算出する。
F1(R1)、F2(R2)、F3(R3)、F4(R4)は、コーナ部R1,R2,R3,R4の曲線を示す関数である。f(x,y)は、車両モデル7の位置を示す関数である。
そして、コンピュータ34では、上記の式(8)により、車両モデル7の並進速度(Vx,Vy)から並進速度Vを算出する。さらに、コンピュータ34では、式(19)により距離D1を用いてコーナ部R1に到達するまでの時間TR1を算出し、式(20)により距離D2を用いてコーナ部R2に到達するまでの時間TR2を算出し、式(21)により距離D3を用いてコーナ部R3に到達するまでの時間TR3を算出し、式(22)により距離D4を用いてコーナ部R4に到達するまでの時間TR4を算出する。
そして、コンピュータ34では、式(23)により、T1,T2,T3,T4,TR1,TR2,TR3,TR4の中から最小時間を選択し、リミッタ到達時間Tとする。到達するまでの時間T1とT4との間はTR1によって連続的な時間となり、T4とT2との間はTR2によって連続的な時間となり、T3とT1との間はTR3によって連続的な時間となり、T2とT3との間はTR4によって連続的な時間となる。したがって、T1,T2,T3,T4,TR1,TR2,TR3,TR4の中から選択する対象が切り替わった場合でも、リミッタ到達時間Tは連続的な時間となる。
リミッタ到達時間Tを求めると、コンピュータ34では、第1の実施の形態と同様に、基準時間Tsとの比較を行い、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上の場合又はリミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合の並進模擬加速度fSA(s)及びチルト模擬加速度fTA(s)を算出する。この際、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合、コンピュータ34では、上記の式(9)により、並進速度Vとリミッタ到達時間Tを用いてリミッタ到達減速度Aを算出する。T1,T2,T3,T4,TR1,TR2,TR3,TR4の中から選択する対象が切り替わった場合でも、リミッタ到達時間Tは連続的な時間となるので、このリミッタ到達減速度Aも連続的に変化する。
図1〜図3及び図7を参照して、ドライビングシミュレータ31の動作について説明する。特に、コンピュータ34における駆動制御については図8のフローチャートに沿って説明する。図8は、第3の実施の形態に係るコンピュータにおける駆動制御の流れを示すフローチャートである。ドライビングシミュレータ31における動作としては、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1における動作と比較すると、リミッタ到達時間を求める動作だけが異なるので、その点について詳細に説明する。
コンピュータ34では、一定時間毎に、被験者の運転操作に応じて目標加速度fAA(s)を算出する(S50)。コンピュータ34では、一定時間毎に、X方向位置信号及びY方向位置信号を受信し、車両モデル7の位置(x,y)を取得し(S51)、その位置(x,y)を時間微分して並進速度(Vx,Vy)を算出する(S52)。
コンピュータ34では、式(15)〜式(18)により車両モデル7がリミッタ作動限界域のコーナ部R1,R2,R3,R3に到達するまでの到達距離D1,D2,D3,D4をそれぞれ算出し、式(19)〜式(22)により車両モデル7がコーナ部R1,R2,R3,R3に到達するまでの到達時間TR1,TR2,TR3,TR4をそれぞれ算出する(S53)。また、コンピュータ34では、式(1)〜式(4)によりリミッタ作動限界域の各直線部に到達するまでの時間T1,T2,T3,T4をそれぞれ算出する(S54)。そして、コンピュータ34では、式(23)により、そのT1,T2,T3,T4,TR1,TR2,TR3,TR4中から最小のリミッタ到達時間Tを選択する(S55)。このリミッタ到達時間Tは、T1,T2,T3,T4,TR1,TR2,TR3,TR4が切り替わった場合でも連続的に変化する。
そして、コンピュータ34では、第1の実施の形態と同様に、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上か否かを判定し(S56)、S56にてリミッタ到達時間Tが基準時間Ts以上と判定した場合には目標加速度fAA(s)に基づいて並進模擬加速度fSA(s)、チルト模擬加速度fTA(s)を算出し(S57,S58)、S56にてリミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満と判定した場合にはリミッタ到達減速度Aを算出し(S59)、リミッタ到達減速度Aを考慮して並進模擬加速度fSA(s)、チルト模擬加速度fTA(s)を算出する(S60,S61)。リミッタ到達減速度Aは、T1,T2,T3,T4,TR1,TR2,TR3,TR4が切り替わった場合でも、リミッタ到達時間Tに応じて連続的に変化する。そして、コンピュータ34では、チルト模擬加速度fTA(s)からチルト角αを算出する(S62)。
そして、コンピュータ34では、第1の実施の形態と同様に、並進模擬加速度fSA(s)に基づいて並進制御を行うとともに、チルト角αに基づいてチルト制御を行う(S63)。すると、XY並進機構3では、第1の実施の形態と同様に、ドーム2(車両モデル7)を求めた並進模擬加速度fSA(s)で並進運動させる。この並進運動では、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合に車両モデル7が進行方向を変えても、並進模擬加速度fSA(s)は連続的に変化する。また、ヘキサポッド4では、ドーム2(車両モデル7)に対してチルト角αを与える。このチルト運動では、リミッタ到達時間Tが基準時間Ts未満の場合に車両モデル7が進行方向を変えても、チルト角(チルト模擬加速度fTA(s))が連続的に変化する。そのため、被験者は、車両モデル7が進行方向を変えても、模擬加速度が急激に変化するという違和感を感じない。
このドライビングシミュレータ31によれば、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1と同様の効果を有する。さらに、ドライビングシミュレータ31によれば、リミッタ作動限界域のコーナ部を曲線としてリミッタ到達時間を求めることにより、到達時間が切り替わった場合でもリミッタ到達時間Tが連続的に変化する。そのため、リミッタ到達減速度Aも連続的に変化し、並進模擬加速度fSA(s)及びチルト模擬加速度fTA(s)も連続的に変化する。したがって、被験者は、模擬加速度が急に変化することによる違和感を感じない。
図1〜図4を参照して、第4の実施の形態に係るドライビングシミュレータ41について説明する。ドライビングシミュレータ41では、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1と同様の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。
ドライビングシミュレータ41は、ドライビングシミュレータ1と比較すると、リミッタ到達時間による並進制御及びチルト制御の切替制御を行わない連続制御である点が異なる。ドライビングシミュレータ41では、ドームがリミッタ作動限界域を超えないことを防止するために、常時、リミッタ到達時間に応じて減速する並進制御を行うとともにその減速度に応じてピッチ方向のチルト角を付加するチルト制御を行う。ドライビングシミュレータ41は、ドライビングシミュレータ1とはコンピュータにおける制御のみが異なり、第1の実施の形態に係るコンピュータ14の代わりにコンピュータ44を備えている。なお、第4の実施の形態では、ドライビングシミュレータ41が特許請求の範囲に記載する運転模擬試験装置に相当し、コンピュータ44が特許請求の範囲に記載する制御手段に相当する。
コンピュータ44は、ドライビングシミュレータ41を統括制御するコンピュータであり、コンピュータ14と同様のコンピュータである。コンピュータ44は、コンピュータ14と駆動制御において連続制御である点が異なる。そこで、連続制御について詳細に説明する。
コンピュータ44では、第1の実施の形態と同様の方法により、一定時間毎に、リミッタ到達時間Tを算出する。そして、コンピュータ44では、上記の式(8)により並進速度(Vx,Vy)から車両モデル7の並進速度Vを算出し、上記の式(9)により並進速度Vとリミッタ到達時間Tからリミッタ到達減速度Aを算出する。
さらに、コンピュータ44では、上記の式(10)により、目標加速度fAA(s)に応じた並進模擬加速度(fAA(s)[1−LP(s)]HP(s))に対して反対方向のリミッタ到達減速度Aを作用させた並進模擬加速度fSA(s)を算出する。また、コンピュータ44では、上記の式(11)により、目標加速度fAA(s)に応じたチルト模擬加速度(fAA(s)LP(s))に対してリミッタ到達減速度A分を付加したチルト模擬加速度fTA(s)を算出する。さらに、コンピュータ44では、上記の式(12)によりチルト模擬加速度fTA(s)からチルト角αを算出する。そして、コンピュータ44では、第1の実施の形態と同様に、並進模擬加速度fSA(s)に基づいて並進制御を行い、チルト角αに基づいてチルト制御を行う。このように、コンピュータ44では、常時、リミッタ到達時間Tからリミッタ到達減速度Aを求めて、並進制御において連続的に減速制御を行う。
図1〜図4を参照して、ドライビングシミュレータ41の動作について説明する。特に、コンピュータ44における駆動制御については図9のフローチャートに沿って説明する。図9は、第4の実施の形態に係るコンピュータにおける駆動制御の流れを示すフローチャートである。ドライビングシミュレータ41における動作としては、第1の実施の形態に係るドライビングシミュレータ1における動作と比較すると、駆動制御の連続制御の動作だけが異なるので、その点について詳細に説明する。
コンピュータ44では、一定時間毎に、被験者の運転操作に応じて目標加速度fAA(s)を算出する(S70)。コンピュータ44では、一定時間毎に、X方向位置信号及びY方向位置信号を受信し、車両モデル7の位置(x,y)を取得し(S71)、その位置(x,y)を時間微分して並進速度(Vx,Vy)を算出する(S72)。そして、コンピュータ44では、並進速度(Vx,Vy)を用いてリミッタ作動限界域に到達するまでの時間T1,T2,T3,T4をそれぞれ算出し、そのT1,T2,T3,T4中から最小のリミッタ到達時間Tを選択する(S73)。さらに、コンピュータ44では、並進速度(Vx,Vy)から車両モデル7の並進速度Vを算出し、並進速度Vをリミッタ到達時間Tで除算してリミッタ到達減速度Aを算出する(S74)。コンピュータ44では、目標加速度fAA(s)にハイパスフィルタをかけた出力に対してリミッタ到達減速度Aによって減速させた並進模擬加速度fSA(s)を算出する(S75)。また、コンピュータ44では、目標加速度fAA(s)にローパスフィルタをかけた出力に対してリミッタ到達減速度Aによって増速させたチルト模擬加速度fTA(s)を算出する(S76)。コンピュータ44では、チルト模擬加速度fTA(s)からチルト角αを算出する(S77)。
そして、コンピュータ44では、第1の実施の形態と同様に、並進模擬加速度fSA(s)に基づいて並進制御を行うとともに、チルト角αに基づいてチルト制御を行う(S78)。すると、XY並進機構3では、第1の実施の形態と同様に、ドーム2(車両モデル7)を求めた並進模擬加速度fSA(s)で並進運動させる。この並進運動では、常時、目標加速度fAA(s)に応じた通常の並進模擬加速度よりリミッタ減速度A分小さい並進模擬加速度fSA(s)で車両モデル7が移動する。そして、車両モデル7がリミッタ作動限界域に達した時点で車両モデル7の並進速度が0となり、車両モデル7が停止する。被験者には、常時、リミッタ到達減速度Aで減速した並進模擬加速度fSA(s)が作用する。また、ヘキサポッド4では、第1の実施の形態と同様に、ドーム2(車両モデル7)に対してチルト角αを与える。このチルト運動では、目標加速度fAA(s)に応じた通常のチルト角よりリミッタ到達減速度Aに応じたピッチ角が加わった角度で車両モデル7を傾ける。そのため、被験者には、常時、通常のチルト模擬加速度よりリミッタ到達減速度Aで増速したチルト模擬加速度fTA(s)が作用する。その結果、被験者には、並進模擬加速度fSA(s)とチルト模擬加速度fTA(s)からなる加速度が作用し、常時、目標加速度fAA(s)に相当する加速感を体感する。
このドライビングシミュレータ41によれば、常時、リミッタ到達減速度Aによって減速させたことにより、ドーム2(車両モデル7)をリミッタ到達限界域で停止させることができる。したがって、リミッタが作動することなく、リミッタ作動時のショックが発生することはない。また、ドライビングシミュレータ41によれば、常時、リミッタ到達減速度Aによって増速させたチルト模擬加速度fTA(s)を発生させるチルト角でチルト運動を行うことにより、並進運動における減速感を補って目標加速度fAA(S)に相当する加速感を発生させることができ、加速度を精度良く模擬することができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では1つのコンピュータで構成しているが、車両運動演算用のコンピュータ、XY並進機構などの駆動制御用のコンピュータ、画像処理用のコンピュータ、音処理用のコンピュータなどの複数のコンピュータで構成してもよい。
また、第1〜第3の実施の形態ではリミッタ到達時間が基準時間未満になったか否かによって並進制御及びチルト制御を切り替える構成としたが、車両モデルの現在位置からリミッタ作動限界までの距離を求め、このリミッタ到達距離が基準距離未満になったか否かによって並進制御及びチルト制御を切り替える構成としてもよい。
また、第4の実施の形態では第1の実施の形態と同様の方法によりリミッタ到達時間を求める構成としたが、第2の実施の形態のようにローパスフィルタを用いてもよいし、あるいは、第3の実施の形態のようにリミッタ作動限界域のコーナ部を曲線としてもよい。
1,21,31,41…ドライビングシミュレータ、2…ドーム、3…XY並進機構、3a,3c…レール、3b,3d…ベルト、3e…移動台、3f…X並進駆動モータ、3g,3i…モータ制御部、3h…Y並進駆動モータ、4…ヘキサポッド、4a…油圧シリンダ、4b…油圧制御部、5…基板、5a…支持台、6…支持部、7…車両モデル、7a…操作部、7b…メータ、7c…操作反力発生部、8…スクリーン、9…プロジェクタ、10…スピーカ、11…データベース、12…X方向位置検出センサ、13…Y方向位置検出センサ、14,24,34,44…コンピュータ