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JP2007033558A - グリッド偏光子及びその製法 - Google Patents

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JP2007033558A
JP2007033558A JP2005213100A JP2005213100A JP2007033558A JP 2007033558 A JP2007033558 A JP 2007033558A JP 2005213100 A JP2005213100 A JP 2005213100A JP 2005213100 A JP2005213100 A JP 2005213100A JP 2007033558 A JP2007033558 A JP 2007033558A
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Toshihide Murakami
俊秀 村上
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

【課題】 耐擦傷性、防汚性を有し、且つ十分なフレキシビリティーと強度を有するグリッド偏光子を提供する。
【解決手段】 透明材料からなる第一層の主面に、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層を、細長く線状に延び且つ離間して複数並べて形成し、第一層の主面に対し斜めから無機酸化物又は無機窒化物を蒸着することによって、離間した状態で隣接する第二層の頂部間に亘って当該離間部分を塞ぐ第三層を形成し、第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれている、グリッド偏光子を得る。
【選択図】 図7

Description

本発明は、光通信、光記録、センサー、画像表示装置等に使用されるグリッド偏光子及びその製法に関し、詳細には、耐擦傷性、防汚性を有し、且つ十分なフレキシビリティーと強度を有するグリッド偏光子及びその製法に関する。
偏光面を自由に設定することができる偏光子としてグリッド偏光子が知られている。これは、多数の線状金属(ワイヤ)を一定の周期で平行に配列したグリッド構造をもつ光学部材である。このような金属のグリッド構造を形成すると、グリッドの周期が入射光の波長より短い場合に、グリッド構造を形成している線状金属に対して平行な偏光成分は反射し、垂直な偏光成分は透過するため、単一偏光を作りだす偏光子として機能する。このグリッド偏光子は、光通信ではアイソレーターの光部品として、液晶表示装置では光の利用率を高め輝度を向上させるための部品として、利用することが提案されている。
特許文献1には、図17に示すような、 可視スペクトル用の埋込み型ワイヤ・グリッド偏光子であって、ある屈折率を有する第1の層410と、第1の層から分離した、ある屈折率を有する第2の層413と、第1の層と第2の層の間に挟まれ、要素間に複数のギャップ412を形成した、平行に離間した細長い要素のアレイ411であって、ギャップが第1の層の屈折率より低い屈折率を提供する、アレイと、を含む偏光子が提案されている。特許文献1ではこのギャップ412には空気、真空、水、フッ化マグネシウム、油、炭化水素を含むことができると開示している。特許文献1のグリッド偏光子は、第1の層411及び第2の層413と、アレイ411とが、フッ化マグネシウムなどの低屈折率物質を介して、結合している。
特許文献2には、図18に示すような、入射された光ビームを偏光する埋込み式ワイヤグリッド偏光子であって、一表面を有する基材414と、上記表面上に配置された上記入射光の波長よりも小さいグリッド間隔で隔てられる複合ワイヤ418の列と、を有しており、複合ワイヤ418間の溝部415の各々が、光学的な誘電材料で充填され、上記複合ワイヤの各々が、交互になった細長い金属層416及び細長い誘電層417からなるワイヤ内下部構造を有し、また、交互になった細長い金属ワイヤ416と細長い誘電層417とからなる上記ワイヤ内下部構造が、少なくとも2つの上記細長い金属ワイヤ416を有していることを特徴とする埋込み式ワイヤグリッド偏光子が開示されている。特許文献2には、溝部415に充填される光学的誘電材料として空気、光学的に透明な液体、接着剤又はゲルが挙げられている。そして、複合ワイヤの上に誘電部材419が積層されている。
特許文献3には、図19に示すような、偏光子を有する偏光デバイスであって、前記偏光子は、光透過基板420、前記基板上に配置される周囲環境に敏感なグリッドワイヤ421、及び前記偏光子を包囲する密封包囲部材423を有し、前記包囲部材は前記偏光素子を周囲環境から保護するために不活性雰囲気を有することを特徴とする偏光デバイスが開示されている。この不活性雰囲気として、真空、不活性ガスが開示されている。この密封包囲部材は偏光子の側部に取り付けられたスペーサー424を介して、グリッドワイヤに接しないように設けられている。
特開2003−519818号公報 特開2004−280050号公報 特開2005−513547号公報
本発明の目的は、耐擦傷性、防汚性を有し、且つ十分なフレキシビリティーと強度を有するグリッド偏光子を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために検討した結果、透明材料からなる第一層の主面に、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層を、細長く線状に延び且つ離間して複数並べて形成し、次いで第一層の主面に対し斜めから蒸着することによって、第二層の頂部双方を橋渡し且つ第二層間にある溝部の口を塞ぐ第三層を形成することによって、第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれ、且つ耐擦傷性、防汚性を有し、且つ十分なフレキシビリティーと強度を有するグリッド偏光子が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、
(1)透明材料からなる第一層と、
複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層と、
無機酸化物又は無機窒化物からなる第三層とを有し、
第二層は、
細長く線状に延び且つ離間して複数並んでおり、そして
第一層と第三層とに挟まれており、
且つ
第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれている、
グリッド偏光子が提供される。
また本発明によれば、
(2)透明材料からなる第一層と、
複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層と、
無機酸化物又は無機窒化物からなる第三層とを有し、
第一層は、
その表面に細長く線状に延びた凸部が複数並んで離間した状態で形成されており、
第二層は、
前記第一層の凸部の頂面上に、その凸部に沿って細長く線状に延びて設けられ、そして
該凸部の頂面と第三層とに挟まれており、
且つ
第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれている、
グリッド偏光子、
及び/又は
(3)さらに、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第四層が、第一層の凸部間に形成された溝部の底面上に、その溝部に沿って細長く線状に延びて設けられている前記グリッド偏光子が提供される。
また、本発明によれば、
(4)前記のグリッド偏光子と、他の偏光光学部材とを重ね合わせた偏光素子が提供され、好適な態様として(5)他の偏光光学部材が、吸収型偏光子であり、グリッド偏光子の偏光透過軸と吸収型偏光子の偏光透過軸とが略平行である前記偏光素子が提供され、さらに(6)前記グリッド偏光子又は偏光素子を備える液晶表示装置が提供される。
本発明のグリッド偏光子を構成する第一層は、透明材料からなるものであれば特に制限されない。
透明材料としては、ガラス、透明樹脂などが挙げられ、フレキシビリティーを考慮すると透明樹脂が好ましい。透明樹脂は、加工性の観点から樹脂のガラス転移温度が60〜200℃であることが好ましく、100〜180℃であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
透明樹脂の具体例としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、脂環式オレフィンポリマーなどが挙げられる。これらのうち、透明性、低吸湿性、寸法安定性、加工性の観点から脂環式オレフィンポリマーが好適である。脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体及びその水素添加物等が挙げられる。
本発明に用いる透明樹脂は、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤が適宜配合されたものであってもよい。
透明樹脂からなる第一層は、前記透明樹脂を公知の方法で成形することによって得られる。成形法としては、例えば、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。
第一層は、通常、シート又はフィルム状を成しており、400〜700nmの可視領域の光の透過率が80%以上で、平滑な面を有するものが好ましい。また第一層の平均厚みは、取り扱い性の観点から通常5μm〜1mm、好ましくは20〜200μmである。
また、第一層は、その波長550nmで測定したレターデーションRe(Re=d×(n−n)で定義される値、n、nは第一層の面内主屈折率;dは第一層の平均厚みである)によって特に制限されない。面内の任意2点のレターデーションReの差(レターデーションむら)は、好ましくは10nm以下であり、より好ましくは5nm以下である。レターデーションむらが大きいと、液晶表示装置に用いた場合に表示面の明るさにバラツキが生じやすくなる。
本発明のグリッド偏光子を構成する第二層は、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含むものである。
複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料は複素屈折率の実部と虚部のいずれかが大きく、その差の絶対値が1.0以上の材料の中から適宜選択することができる。複素屈折率の実部と虚部の差の絶対値が1.0以上の材料の具体例としては、金属;シリコン、ゲルマニウム等の無機半導体;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン等の導電性ポリマー、及びこれら導電性樹脂をヨウ素、三フッ化ホウ素、五フッ化ヒ素、過塩素酸等のドーパントを用いてドーピングした有機系導電性材料;絶縁性樹脂に金、銀などの導電性金属微粒子を分散した溶液を乾燥して得られる有機−無機複合系導電性材料、などが挙げられる。これらの中でも、グリッド偏光子の生産性、耐久性の観点からは金属材料が好ましい。可視域の光を効率よく偏光分離するためには、温度25℃、波長550nmにおける複素屈折率の実部n及び虚部κのそれぞれは、好ましくはnが4.0以下で、κが3.0以上で且つその差の絶対値|n−κ|が1.0以上のものであり、より好ましくはnが2.0以下で、κが4.5以上で且つ|n−κ|が3.0以上のものである。前記好ましい範囲にあるものとしては、銀、アルミニウム、クロム、インジウム、イリジウム、マグネシウム、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、スズ等が挙げられ、前記より好ましい範囲にあるものとしては、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、ロジウム、スズ等が挙げられる。また上記以外に、nが3.0以上で且つκが2.0以下の範囲にある材料、好ましくはnが4.0以上で且つκが1.0以下の範囲にある材料も好適に用いることができる。このような材料としてはシリコンなどが挙げられる。複素屈折率Nは、電磁波の理論的関係式であり、実部の屈折率nと虚部の消衰係数κを用いて、N=n−iκで表現されるものである。
詳細は不明であるが|n−κ|の値は次のような意義を持つ。まず、n<κの場合においては、κがより大きく、nがより小さいものほど好ましいということ示している。κが大きいものほど導電性が大きく、第二層の長手方向に振動できる自由電子が多くなるため、偏光(第二層の長手方向に(電場が)平行な方向の偏光)の入射により発生する電界が強くなり、前記偏光に対する反射率が高まる。第二層の幅が小さいので、第二層の長手方向と直交する方向には電子は動けず、第二層の長手方向と直交する方向の偏光に対しては上記の効果は生じず、前記偏光は透過する。またnが小さい方が入射した光の媒質中での波長が大きくなるため、相対的に微細凹凸構造のサイズ(線幅、ピッチ等)が小さくなり、散乱、回折等の影響を受け難くなり、光の透過率(第二層に直交する方向の偏光)、反射率(第二層に平行な方向の偏光)が高まる。
一方n>κの場合においては、nがより大きく、κがより小さいものほど好ましいということを示している。nが大きいものほど、第二層とそれに隣接する部分(図1では空気)との屈折率nの差が大きくなり、構造複屈折が発現しやすくなる。一方κが大きいと光の吸収が大きくなるため、光の損失を防ぐ意味でκは小さいほど好ましい。ここで|n−κ|が1.0以上というのは、nがより大きく、κがより小さいものほど好ましいということを示している。
第二層は、細長く線状に延びており、且つ離間して複数並んで設けられている。例えば、図5及び図6に示すように、細長く線状に伸びた凸部が複数離間した状態で並んでいる表面形状を有する透明材料からなる第一層310の凸部の頂面上に、第二層311が積層された構造を成している。第二層のピッチは使用する光の波長の1/2以下になっている。第二層の幅及び高さは細いほど透過方向の偏光成分の吸収が小さくなり、特性上好ましい。可視光線に用いるグリッド偏光子では、第二層のピッチが通常50〜600nmであり、第二層の幅が通常25〜300nm、第二層の高さは10〜500nmである。第二層は、通常光の波長より長く延びており、好ましくは800nm以上延びている。
本発明のグリッド偏光子は、第三層が無機酸化物又は無機窒化物からなるものである。無機酸化物又は無機窒化物は低屈折率のものが好ましい。
無機酸化物又は無機窒化物の具体例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
第三層は、その厚さによって特に限定されないが、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜300nmである。
本発明のグリッド偏光子は、第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれている。空気又は不活性ガスを、空間に含ませると、グリッド偏光子の偏光率が高くなる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどが挙げられる。
また、本発明によれば、
(7)透明材料からなる第一層の主面に、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層を、細長く線状に延ばし且つ離間して複数並べて形成し、
第一層の主面に対し斜めから無機酸化物又は無機窒化物を蒸着することによって、離間した状態で隣接する第二層の頂部間に亘って当該離間部分を塞ぐ第三層を形成し、
第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれているグリッド偏光子の製法、及び/又は
(8)細長く線状に伸びた凸部が複数並んで離間した状態で表面に形成された透明材料からなる第一層の凸部の頂面上に、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層を該凸部に沿って細長く線状に延ばして形成し、
第一層の主面に対し斜めから無機酸化物又は無機窒化物を蒸着することによって、離間した状態で隣接する第二層の頂部間に亘って当該離間部分を塞ぐ第三層を形成し、
第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれているグリッド偏光子の製法、
なお、これら(7)〜(8)に記載の製法は、前記(1)〜(6)に記載のグリッド偏光子を得るために好適な製法である。
本発明のグリッド偏光子の製法は、第一層の主面に対し斜めから無機酸化物又は無機窒化物を蒸着することによって、離間して並んだ第二層の頂部双方を橋渡し、第二層間にある溝部の口を塞ぐ第三層を形成することを特徴の一つとして含むものである。
蒸着は、第一層の主面に対して斜めから蒸着する。図1〜図3は、第三層を形成する工程の一例を示した図である。
先ず、離間して並んだ第二層311に対して、図中の紙面右上からの角度で斜め蒸着を行うと、無機酸化物又は無機窒化物が、第二層の頂部右上側に堆積し、図1に示すように蒸着膜316−1が右上に向って成長していく。次に、紙面左上からの角度で斜め蒸着を行うと、無機酸化物又は無機窒化物が第二層の頂部左上側に堆積し、図2に示すように蒸着膜316−2が左上に向って成長していく。そして、右上からの蒸着で成長した蒸着膜316−1と左上からの蒸着で成長した蒸着膜316−2とが接近し、離間した状態で隣接する第二層の頂部間に亘って当該離間部分を塞ぐようになる。そして、離間部分が塞がれると、図3に示すように、蒸着膜316−1及び蒸着膜316−2の上に蒸着膜316−3を成長させることができる。この斜め蒸着工程によって、第三層が形成され、第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれているグリッド偏光子が容易に得られる。
本発明のグリッド偏光子は、耐擦傷性、防汚性を有し、且つ十分なフレキシビリティーと強度を有するので、グリッド偏光子を液晶表示装置等に取り付ける際の取り扱いが楽になる。また、本発明のグリッド偏光子を液晶表示装置の液晶パネルとバックライト装置との間に配置すると、バックライトからの出光を有効利用でき、表示画面の輝度を向上させることができる。
次に本発明の実施態様を図面を参照しながら、詳細に説明する。
図7は、本発明のグリッド偏光子の第一実施態様を示す断面図である。図5及び図6は、図7に示すグリッド偏光子の第三層316を積層する前の状態の斜視図及び断面図である。
図7に示すグリッド偏光子は、第一層の表面に細長く線状に延びる凸部が複数並んで形成されている。この凸部頂面上に、細長く線状に延びた第二層311が該凸部に沿って設けられている。また、凸部間の溝部の底面に細長く線状に延びた第四層311’が該溝部に沿って設けられており、さらにその第二層の頂面上に第三層316が設けられている。
第一層の表面に形成された細長く線状に延びた凸部は、図5及び図6に示すような構造をなしている。第一層の表面に並んでいる凸部のピッチは、好ましくは50〜600nmであり、凸部の巾は、通常光の波長よりも短く、好ましくは25〜300nmであり、凸部の高さは、好ましくは50〜500nmである。凸部は線状に延びており、その長さは、通常光の波長より長く、通常800nm以上である。
細長く線状に延びた凸部を有する第一層は、その製法によって特に制限されない。該第一層の好適な製法は、線状に延びた凹部を有する転写用の型、好適には転写ロールを用いて長尺の樹脂フィルム表面に線状に延びた凸部を転写することを含むものである。
この好適な製法に用いられる転写用の型又は転写ロールは、転写面に細長く線状に延びた凹部を有するものであればその製法によって特に限定されない。例えば、モース硬度9以上の材料を高エネルギー線を用いて加工し、先端に巾600nm以下の突起を形成してなる工具を作製し、該工具を用いて型部材又はロール部材の表面にピッチが好ましくは50〜600nmで、凹部の巾が好ましくは25〜300nmで、凹部の深さが好ましくは50〜500nmである、細長く線状に延びた凹部を形成する方法が挙げられる。
図12は工具10の一例を示す図である。モース硬度9以上の直方体を高エネルギー線で加工し、先端の面に溝を彫り込み、先端に巾300nm以下、好ましくは200nm以下の直線状の突起11を形成している。図12では直線状突起が一定のピッチで複数本平行に並んでいる。
先端に形成される突起の形状は特に制限されず、例えば、直線状突起の長手に垂直な面で切断した断面が、長方形、三角形、半円形、台形、又はこれらの形状を若干変形させたような形状などを挙げることができる。これらの中で断面が長方形のものが、複素屈折率の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料の第二層を容易に形成できるので好適である。
工具の先端に形成される突起の算術平均粗さ(Ra)は好ましくは10nm以下、より好ましくは3nm以下である。
工具の突起(凸部)が型部材又はロール部材の表面では凹部となり、工具の凹部が型部材又はロール部材の表面では凸部となって形成される。突起断面形状が長方形である切削工具10(図16;巾W1、ピッチP1、高さH1)を用いた場合、型部材又はロール部材の表面の突起11の巾W2はP1−W1、突起11のピッチP2はP1、突起11の高さH2はH1以下となる。この関係と転写時の熱膨張などを考慮して、型部材又はロール部材の表面に形成したい凹部形状に対応する工具形状を決めることができる。工具の両側端の突起の巾eは、W1−25<e<W1+25(単位nm)又はe=0であることが、加工継ぎ目部分のピッチを設定どおりの値にすることができることから好ましい。
工具に用いられるモース硬度9以上の材料としては、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、コランダムなどが挙げられる。これらの材料は単結晶又は焼結体であることが好ましい。単結晶であれば、加工精度と工具寿命の面で好ましく、単結晶ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素が硬度が高いためにより好ましく、単結晶ダイヤモンドが特に好ましい。焼結体としては、例えば、コバルト、スチール、タングステン、ニッケル、ブロンズなどを焼結材とするメタルボンド;長石、可溶性粘土、耐火粘土、フリットなどを焼結材とするビトリファイドボンドなどを挙げることができる。これらの中でダイヤモンドメタルボンドが好適である。
工具の作製に用いられる高エネルギー線としては、例えば、レーザービーム、イオンビーム、電子ビームなどが挙げられる。これらの中でイオンビームと電子ビームが好適である。イオンビームによる加工では材料の表面にフロン、塩素などの活性ガスを吹き付けながらイオンビームを照射する方法(イオンビーム援用化学加工という。)が好ましい。電子ビーム加工では、材料の表面に酸素ガスなどの活性ガスを吹き付けながら電子ビームを照射する方法(電子ビーム援用化学加工という。)が好ましい。これらビーム援用化学加工によって、エッチング速度を速め、スパッタされた物質の再付着を防ぎ、且つナノオーダーの高精度で微細加工を効率よく行うことができる。
図13は、前記で得られた工具を用いてロール部材20の周面に細長く線状に延びた凹部21を形成する方法の一例を示す図である。図13では、工具10の直線状突起11をロール部材20周面に圧しあて、ロール部材を回転させて、ロール部材周面を切削又は研削している。
型部材又はロール部材の切削又は研削は、精密微細加工機を用いて行うことが好ましい。精密微細加工機は、X,Y,Z軸の移動精度が、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、特に好ましくは10nm以下のものである。精密微細加工機は、好ましくは0.5Hz以上の振動の変位が50μm以下に管理された室内、より好ましくは0.5Hz以上の振動の変位が10μm以下に管理された室内に設置して、上記加工を行う。また、型部材又はロール部材の切削又は研削は、好ましくは温度が±0.5℃以内に管理された恒温室、より好ましくは±0.3℃以内に管理された恒温室で行う。
微細加工に用いられる型部材又はロール部材は特に制限はないが型部材又はロール部材の表面は適度な硬度のある材料で形成されていることが好ましく、例えば、電着又は無電解めっきにより形成された金属膜で形成される。金属膜を構成する材料としてはビッカース硬度が好ましくは40〜350、より好ましくは200〜300の金属膜を得ることができるものがよく、具体的には、銅、ニッケル、ニッケル−リン合金、パラジウムなどが挙げられ、これらのうち、銅、ニッケル、ニッケル−リン合金が好ましい。
図13では、ロール部材に直接工具を圧し付けて、細長く線状に延びた凹部を形成させているが、金型に細長く線状に延びた凸部を形成させ、その金型の上に電鋳などで金属版を作製し、金属版を金型から引き剥がし、その金属版をロール部材周面に貼り付ける方法で、転写ロールを作製してもよい。
上記の方法などで得られた転写用型又は転写ロールを用いて樹脂フィルム表面に細長く線状に延びた凸部を形成する。図14は、転写ロールで樹脂フィルム30表面に細長く線状に延びた凸部を形成する工程の一例を示す図である。図14では、転写ロール20と、樹脂フィルムを挟んで反対側にあるロール21とで、樹脂フィルム30を圧し挟み、転写ロール周面の細長く線状に延びた凹部形状を樹脂フィルムに転写している。転写ロールとその反対側にあるロールによる挟み圧力は、好ましくは数MPa〜数十MPaである。また転写時の温度は、樹脂フィルムを構成している透明樹脂のガラス転移温度をTgとすると、好ましくはTg〜(Tg+100)℃である。樹脂フィルムと転写ロールとの接触時間は樹脂フィルムの送り速度、すなわちロール回転速度によって調整でき、好ましくは5〜600秒である。
樹脂フィルム表面に細長く線状に延びた凸部を形成する別の方法としては、転写用型又は転写ロールに感光性透明樹脂を圧しあて、露光して、細長く線状に延びた凸部を転写する方法が挙げられる。具体的には感光性透明樹脂溶液を流延して、溶媒を除去し、次いで前記転写ロールを圧しあてると同時に光を照射して、感光性透明樹脂を硬化させて、細長く線状に延びた凸部を形成する方法である。
次に、樹脂フィルム表面に形成された細長く線状に延びた凸部の頂面にアルミニウムやシリコンなどの複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層311を形成する。図6に示すように凸部の頂面に第二層及び凸部間の溝部の底面に第四層を形成させてもよいし、凸部頂面に第二層だけを形成させてもよい。
この第二層及び第四層を形成させる方法は特に制限されない。用いる材料に応じて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜プロセスや、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法、無電解めっき、電解めっき等のウェットプロセスによる各種コーティング法を用いることができる。これらのうちグリッド構造の均一性の観点から、真空蒸着法、スパッタリング法が好ましい。
以下、第二層又は第四層をスパッタリング法で形成する場合を例示する。図15は連続スパッタリング装置の一例を示す図である。図15の装置500は、巻き出しロール501に前記細長く線状に延びた凸部を形成させた樹脂フィルムを装填でき、ターゲット506に蒸着しようとする金属を装填できるようになった直流マグネトロンスパッタリング装置である。真空室を真空にして、巻き出しロール501からフィルムを巻き出し、清浄な成膜ロ−ル503にフィルムを巻きつけ、ターゲット506からのスパッタリングにより、フィルム表面に金属膜を形成させる。金属膜を形成させたフィルムは巻き取りロ−ル504に巻き取る。
金属をスパッタリングや蒸着するときの方向をフィルムに形成された細長く線状に延びた凸部に対して傾けることによって、金属膜が形成される部分と金属膜が形成されない部分とができる。例えば、細長く線状に延びた凸部が形成された樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルム法線方向からスパッタリング等を行うと凸部の頂面と凸部間の溝部の底面に金属膜が形成されるが、凸部側面には金属膜が形成されない。また同じ樹脂フィルムで、凸部が延びる方向に略直角な方向でフィルム面に対し斜めからスパッタリング等を行うと、凸部頂面と凸部の片側面の上半分の面に金属膜が形成されるが、凸部間の溝部の底面、凸部の片側面の下半分及びもう一方の片側面には金属膜が形成されない。このようなスパッタリングにより飛来する金属の直線性と、凸部及び凸部間の溝部とを利用して、第二層及び第四層を容易に得ることができる。
次に、第二層311の上に第三層を形成する。第三層は、図1〜図3に示す工程を経て得ることができる。
なお、第三層を形成する工程については、前述した通りである。
図8は本発明のグリッド偏光子の第二実施態様を示す断面図である。第二実施態様のグリッド偏光子は、第一実施態様のグリッド偏光子の第三層の上に第五層317が積層されているものである。図4は斜め蒸着によって得られた第三層の上に第五層が積層された状態を示す図である。
第五層317は、シートまたはフィルム状を成しているものが好ましい。第五層317は、図8の構造に限定されず、透明な材料からなる層であればよい。
第五層は光を透過できる層であることが好ましく、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等からなる透明樹脂からなる層;オルガノアルコキシシラン、無機微粒子分散アクリル等からなる有機・無機複合層;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ケイ素等からなる無機層等が挙げられる。第四層は、フレキシビリティーの観点から樹脂からなるものであることが好ましい。
第五層を積層する手法としては特に限定は無いが、フィルム状の第五層を貼り合わせて積層する方法、第五層を形成する組成物を含有するコーティング剤を塗布し、乾燥する又は熱若しくは光により硬化する方法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等が挙げられる。第五層の厚さは、特に制限されない。具体的には50nm〜500μmである。
図10は、本発明のグリッド偏光子の第三実施態様を示す図である。図9は図10に示すグリッド偏光子に第三層を積層する前の状態を示す図である。
図9に示すように、グリッド偏光子は、透明樹脂などの透明な材料からなるフィルム状の第一層310の上に、第二層311が積層されている。第二層311は、第一層310の面上に細長く線状に延びている。第二層を第一層310の上に形成する方法は特に限定されないが、例えば、フォトリソグラフ法によって得ることができる。フォトリソグラフ法の例として、(1)第一層上に金属膜を蒸着、めっきなどの方法で積層し、その金属膜の上に感光性レジスト膜を形成し、線状パターンの光を照射しレジスト膜をパターンに合わせて硬化させ、未硬化部分を取り除き、さらにレジストが取り除かれた金属膜部分をエッチングし、最後に硬化したレジストを取り除く方法や、(2)第一層上に感光性レジスト膜を形成し、線状パターンの光を照射しレジスト膜をパターンに合わせて硬化させ、未硬化部分を取り除き、そのパターンを形成されたレジスト上に蒸着、スパッタなどの方法で金属膜を形成し、最後に硬化したレジストを取り除く方法などが挙げられる。なお、第一層上に無機材料に結合する反応基及び有機材料に結合する反応基を有する化合物の層を形成し、その層の上に第二層を形成してもよい。
第三実施態様のグリッド偏光子では、第二層311の頂面に第三層が設けられている。第三層316は、第一実施態様で説明した方法と同じ方法で形成することができ。第一層、第二層及び第三層の間に空間312が形成されている。空間312には、空気又は不活性ガスが含まれている。
図11は、本発明グリッド偏光子の第四実施態様を示す断面図である。第四実施態様のグリッド偏光子は、第三実施態様のグリッド偏光子の第三層の上に第五層317が積層されているものである。第五層は第二実施態様の説明で示したものと同じものである。
本発明の偏光素子は、前記グリッド偏光子と、他の偏光光学部材とを重ね合わせてなるものである。他の偏光光学部材としては、吸収型偏光子、位相差素子、偏光回折素子などが挙げられる。特に、本発明の偏光素子を液晶表示装置の輝度向上素子として用いる場合には、他の偏光光学部材が吸収型偏光子であることが好ましい。
本発明に用いられる吸収型偏光子は、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過し、他方を吸収するものである。例えば、ポリビニルアルコールフィルムやエチレン酢酸ビニル部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたもの、前記親水性高分子フィルムを一軸延伸して二色性物質を吸着させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムなどが挙げられる。吸収型偏光子の厚さは、通常5〜80μmである。
グリッド偏光子と吸収型偏光子は、グリッド偏光子の偏光透過軸と吸収型偏光子の偏光透過軸とが略平行になるように重ね合わせることが好ましい。このような配置にすることによって、自然光を効率的に直線偏光に変換することができる。
本発明の偏光素子はその製法によって、特に限定されない。例えば、ロール状に巻かれた前記の長尺のグリッド偏光子及びロール状に巻かれた他の長尺の偏光光学部材を同時にロールから巻き出しながら、該グリッド偏光子と該他の偏光光学部材とを密着させることを含む方法が挙げられる。グリッド偏光子と他の偏光光学部材との密着面には接着剤を介在させることができる。グリッド偏光子と他の偏光光学部材とを密着させる方法としては、二本の平行に並べられたロールのニップにグリッド偏光子と他の偏光光学部材を一緒に通し圧し挟む方法が挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、前記のグリッド偏光子又は偏光素子を備えるものである。液晶表示装置は、偏光透過軸を電圧の調整で変化させることができる液晶パネルと、それを挟むように配置される二枚の吸収型偏光子とで構成される。そして、この液晶パネルに光を送りこむために、表示面の裏側に、透過型液晶表示装置ではバックライト装置が、反射型液晶表示装置では反射板が備えられる。
本発明のグリッド偏光子は、直交する直線偏光のうちの一方を透過し、他方を反射する性質を持っている。また本発明の偏光素子は、グリッド偏光子側から光を照射させた場合に、直交する直線偏光のうちの一方を透過し、他方を反射する性質を持っている。本発明の透過型液晶表示装置において、本発明のグリッド偏光子及び偏光素子(偏光素子のグリッド偏光子がバックライト側になるように配置する)を、バックライト装置と液晶パネルとの間に配置すると、バックライト装置で発光した光がグリッド偏光子によって、二つの直線偏光に分離され、一方の直線偏光は液晶パネルの方向へ進み、他方の直線偏光はバックライト装置の方向へ戻る。バックライト装置には反射板が通常備わっており、バックライト装置の方向へ戻った直線偏光は、その反射板により反射され、再びグリッド偏光子に戻ってくる。戻ってきた光はグリッド偏光子で再度二つの偏光に分離される。これを繰り返すことでバックライト装置で発光した光が有効に利用されることになる。その結果、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。反射型液晶表示装置においても同様の原理で画面を明るくすることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。また、部および%は、特に記載のない限り重量基準である。
(切削工具)
8mm×8mm×60mmのSUS製シャンクにろう付けされた寸法0.2mm×1mm×1mmの直方体単結晶ダイヤモンドの0.2mm×1mmの面に、アルゴンイオンビームを照射して切削加工を行って、長さ1mmの辺に平行な幅70nm、深さ130nmの溝をピッチ150nmで彫り込み、幅80nm、高さ130nmの直線状の突起約1300本をピッチ150nmで形成して、切削工具を得た。
(転写ロール)
直径200mmで長さ150mmのステンレス鋼SUS430製ロールの周面に、厚さ100μmのニッケル−リン無電解メッキを施した。次いで、先に作製した直線状突起を形成した切削工具を精密円筒研削盤に取付けて、該研削盤で、前記ロールのニッケル−リン無電解メッキ面に、ロール周方向に延びる、幅70nm、高さ130nm、ピッチ150nmの直線状の凸部を形成して、転写ロールを得た。
なお、集束イオンビーム加工による切削工具の作製と、ニッケル−リン無電解メッキ面の切削加工は、温度20.0±0.2℃、振動制御システムにより0.5Hz以上の振動の変位が10μm以下に管理された恒温低振動室内で行った。
比較例1(グリッド偏光子0)
直径70mmのゴム製ロールからなるニップロール及び上記転写ロールを備えた転写装置を用いて、転写ロールの表面温度170℃、ニップロールの表面温度100℃、フィルムの搬送テンション1MPa、及びニップ圧15MPaの条件で、厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム(商品名:ZF−14、日本ゼオン社製)表面上に転写ロール表面の凹凸形状を転写することにより、フィルムの流れ方向と平行に幅75nm、高さ120nm及びピッチ150nmの直線状に延びた凸部を有するフィルムを作製した。
次いで、フィルムの凸部を形成した面に法線方向からアルミニウムを真空蒸着することにより、凸部の頂面及び凸部間の溝部の底面に厚さ50nmのアルミニウムからなる第二層及び第四層を形成した。このグリッド偏光子を所定の形状に裁断して、図9に示すような枚葉のグリッド偏光子0を3枚得た。
次いで、導光板、光拡散シート、及びグリッド偏光子を順次積層し、線状光源を偏光板の端面に設置して偏光光源装置を得た。この偏光光源装置の上に吸収型偏光板をその偏光透過軸がグリッド偏光子の偏光透過軸と平行になるように載置し、さらに透過型のTN液晶パネルを載せ、その上に別の吸収型偏光板を(偏光透過軸が前記吸収型偏光板のものと直交するように)載せて、液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置の初期正面輝度を輝度計(商品名:BM−7、トプコン社製)を用いて測定した。結果を表1に示した。
また、二枚目のグリッド偏光子の一方の端を固定冶具に、もう一方の端を可動冶具にセットし、グリッド偏光子を±150度(グリッド偏光子が真っ直ぐな状態を0度)の角度に折り曲がるように可動冶具を動かし、−150度折り曲げ及び+150度折り曲げの動作1回を1サイクル(動作速度は2秒/サイクル)とし、200サイクル行った。200サイクルの折り曲げ後でもグリッド偏光子に剥がれなどの異常は目視では認められなかった。この200サイクルの折り曲げを行った後のグリッド偏光子を用いて前記同様にして液晶表示装置を組み立て、屈曲後正面輝度を測定した。結果を表1に示した。
次に三枚目のグリッド偏光子の第二層を形成した面にスチールウール#0000を荷重0.02MPaで接触させ20往復させグリッド偏光子の全面を擦った。スチールウールで擦った後のグリッド偏光子には細かい傷などの異常が目視で認められ、反射率又は透過率が面内でばらついていた。スチールウールで擦った後のグリッド偏光子を用いて前記同様にして液晶表示装置を組み立て、摩擦後正面輝度を測定した。結果を表1に示した。
(ハードコート剤)
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:NK オリゴ U−6HA、新中村化学社製)30部、ブチルアクリレート40部、イソボルニルメタクリレート30部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン10部をホモジナイザーで混合して紫外線硬化性のハードコート剤を得た。
実施例1
比較例1と同様にしてグリッド偏光子0を得た。グリッド偏光子0の第二層を形成した面に、第二層が延びる方向に直角で且つグリッド偏光子0の法線に対して+75°傾けた方向(図9の紙面右上方向)からSiOを蒸着した。SiOの蒸着膜は第二層の側面及び頂面に堆積し図9の紙面右上方向に成長していた。
次に第二層が延びる方向に直角で且つグリッド偏光子0の法線に対して−60°傾けた方向(図9の紙面左上方向)からSiOを蒸着した。SiOの蒸着膜は第二層の側面及び頂面に堆積し図9の紙面左上方向に成長していた。最後にグリッド偏光子0の法線方向(図9の紙面真上方向)からSiOを蒸着した。SiOの蒸着膜が、第二層頂面から60nmの平均厚さで堆積し、第二層頂部双方を橋渡し且つ第二層間にある溝部の口を塞いでいることを透過型電子顕微鏡で確認した。SiOの蒸着膜は第二層の側面にも堆積しており、その量はグリッド偏光子0の第二層間にあった溝部容積の15%を占めていた。SiOの蒸着膜によって閉ざされた空間(溝部容積の85%)は空気で占められていた。
次に、SiO蒸着膜を形成した側の表面に、前記ハードコート剤を、硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで80℃で5分間乾燥させ、紫外線を照射(積算光量300mJ/cm)して、ハードコート剤を硬化させ、グリッド偏光子1を得た。
200サイクルの折り曲げ後及びスチールウールで擦った後のグリッド偏光子1には剥離や傷などの異常が目視では認められなかった。これらのグリッド偏光子1を用いて比較例1と同様にして液晶表示装置を組み立てて輝度を測定した。結果を表1に示した。
比較例2
比較例1と同様にしてグリッド偏光子0を得た。ウレタンアクリレート系接着剤(屈折率1.48)が塗布されている、厚さ80μmの脂環式オレフィン重合体からなる透明熱可塑性樹脂フィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム)を、グリッド偏光子0の第二層を形成した面に、真空引き15秒、熱圧着温度80℃、圧着圧力1MPa、保持時間300秒間の条件で、加熱圧着して、3枚のグリッド偏光子2を作成した。
グリッド偏光子0表面の凹部にはウレタンアクリレート系接着剤が満たされていた。200サイクルの折り曲げ後のグリッド偏光子2には実施例1と同様に剥離などの異常が目視では認められなかった。スチールウールで擦った後のグリッド偏光子2には細かい傷がついていることが目視で認められた。これらのグリッド偏光子2を用いて実施例1と同様にして液晶表示装置を組み立てて輝度を測定した。結果を表1に示した。
比較例3
実施例1において、グリッド偏光子1を配置しない状態で液晶表示装置の正面輝度を測定した。結果を第1表に示す。
Figure 2007033558
表中の略号は、Al=アルミニウム、HD=ハードコート層、UA=ウレタンアクリレート系接着剤、Air=空気、SiO=蒸着膜、である。
以上の結果から、
1)基材が樹脂フィルムなので、何れの場合も(比較例含め)屈曲耐性があり、加工における「曲げ」の工程で性能が劣化しないことがわかる。
2)実施例では、第一層、第二層及び第三層に囲まれた空間が保持され、その空間が空気で満たされている。グリッド偏光子を使わない場合(比較例3)の正面輝度と比べ、輝度が高くなっている。またスチールウールで擦った後でも正面輝度がほとんど低下しない。液晶表示装置への組み込み作業時などに不用意に生じる摩擦等で性能が劣化したりすることが無くなることがわかる。
3)比較例1は、初期の輝度が一番大きい。しかし、摩擦後に正面輝度が大幅に低下することがわかる。
4)比較例2では、微細構造の凹部が屈折率の大きい物質で満たされている。初期の輝度が低い。またスチールウールで摩擦した後の輝度低下が大きいことがわかる。
本発明のグリッド偏光子の第三層が斜め蒸着によって堆積した状態を示す図である。 本発明のグリッド偏光子の第三層が斜め蒸着によって堆積した状態を示す図である。 本発明のグリッド偏光子の第三層が斜め蒸着によって堆積した状態を示す図である。 本発明のグリッド偏光子の第三層の上に第五層を積層した状態を示す図である。 本発明のグリッド偏光子の第一実施態様に第三層を積層する前の状態を示す斜視図である。 本発明のグリッド偏光子の第一実施態様に第三層を積層する前の状態を示す断面図である。 本発明のグリッド偏光子の第一実施態様を示す断面図である。 本発明のグリッド偏光子の第二実施態様を示す断面図である。 本発明のグリッド偏光子の第三実施態様に第三層を積層する前の状態を示す断面図である。 本発明のグリッド偏光子の第三実施態様を示す断面図である。 本発明のグリッド偏光子の第四実施態様を示す断面図である。 グリッド偏光層の製法に用いる転写ロールを製造するために用いられる研削工具の一例を示す図である。 研削工具を用いてロールの周面にナノオーダーの凹凸形状を形成する方法の一例を示す図である。 転写ロールで樹脂フィルム表面に凹凸形状を形成する工程の一例を示す図である。 連続スパッタリング装置の一例を示す図である。 切削工具の先端構造の一例を示す図である。 従来の埋込み型ワイヤ・グリッド偏光子を示す図である。 従来の埋込み式ワイヤグリッド偏光子を示す図である。 従来のグリッド偏光子を示す図である。
符号の説明
310:第一層
311:第二層
311’:第四層
316:第三層
316−1、316−2、316−3:蒸着膜
327:第五層

Claims (8)

  1. 透明材料からなる第一層と、
    複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層と、
    無機酸化物又は無機窒化物からなる第三層とを有し、
    第二層は、
    細長く線状に延び且つ離間して複数並んでおり、そして
    第一層と第三層とに挟まれており、
    且つ
    第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれている、
    グリッド偏光子。
  2. 透明材料からなる第一層と、
    複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層と、
    無機酸化物又は無機窒化物からなる第三層とを有し、
    第一層は、
    その表面に細長く線状に延びた凸部が複数並んで離間した状態で形成されており、
    第二層は、
    前記第一層の凸部の頂面上に、その凸部に沿って細長く線状に延びて設けられ、そして
    該凸部の頂面と第三層とに挟まれており、
    且つ
    第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれている、
    グリッド偏光子。
  3. さらに複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第四層が、第一層の凸部間に形成された溝部の底面上に、その溝部に沿って細長く線状に延びて設けられている請求項2記載のグリッド偏光子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のグリッド偏光子と、他の偏光光学部材とを重ね合わせた偏光素子。
  5. 他の偏光光学部材が吸収型偏光子であり、グリッド偏光子の偏光透過軸と吸収型偏光子の偏光透過軸とが略平行である、請求項4記載の偏光素子。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のグリッド偏光子又は請求項4〜5のいずれかに記載の偏光素子を備える液晶表示装置。
  7. 透明材料からなる第一層の主面に、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層を、細長く線状に延ばし且つ離間して複数並べて形成し、
    第一層の主面に対し斜めから無機酸化物又は無機窒化物を蒸着することによって、離間した状態で隣接する第二層の頂部間に亘って当該離間部分を塞ぐ第三層を形成し、
    第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれているグリッド偏光子の製法。
  8. 細長く線状に伸びた凸部が複数並んで離間した状態で表面に形成された透明材料からなる第一層の凸部の頂面上に、複素屈折率(N=n−iκ)の実部nと虚部κの差の絶対値が1.0以上の材料を含む第二層を該凸部に沿って細長く線状に延ばして形成し、
    第一層の主面に対し斜めから無機酸化物又は無機窒化物を蒸着することによって、離間した状態で隣接する第二層の頂部間に亘って当該離間部分を塞ぐ第三層を形成し、
    第一層と第二層と第三層とに囲まれた空間に空気または不活性ガスが含まれているグリッド偏光子の製法。
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