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JP2007067115A - 有機太陽電池 - Google Patents

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亨 志賀
Kensuke Takechi
憲典 武市
Tomomi Motohiro
友美 元廣
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Abstract

【課題】 太陽光の吸収波長領域を広げて光電変換効率を十分に向上できる有機太陽電池を提供すること。
【解決手段】 電子供与性を有するp型共役高分子及び電子受容性を有するn型のフラーレン誘導体を含むヘテロ接合層、へテロ接合層の両側にそれぞれ設けられる2つの電極とを有し、フラーレン誘導体が下記一般式(1):
Figure 2007067115

(上記一般式(1)中、Fuはフラーレンからなる2価以上の基、Rは炭素数1〜4のアルキル基等、Xは、チオフェン等の2〜6量体、nは1〜6の整数を表す)で表されることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機太陽電池に関する。
排出炭酸ガスによる地球温暖化問題やクリーンエネルギー技術への要望が高まり、太陽光を電力に変換する太陽電池の研究、実用化の動きはめざましい。現在実用に供されている光電変換素子は通常、無機半導体であるシリコン、砒化ガリウム、硫化カドミウムを主とした材料などから製造されている。しかし、これらの物質は、コストが掛かる高温処理工程を必要とし、また材料自体のコストも高い。このような理由から、有機材料を用いた太陽電池について古くから研究されている。
有機太陽電池は様々な方式に分類されるが、無機太陽電池の方式を模した、銅フタロシアニンとペリレン顔料を基板上に順次積層したPN接合型有機太陽電池について報告されている(例えば非特許文献1参照)。また、p型半導体とn型半導体を混合してなる膜を用いたバルクへテロ接合型太陽電池が提案され(例えば特許文献1参照)、最近特に注目を浴びている。これは、この種の太陽電池が、一方の有機材料を他方の有機材料中に分散させているため、接合面積が広く、電荷分離する領域も広くなっており、高い光電変換効率が期待されるためである。このような有機太陽電池においては、具体的に、p型半導体として、ポリフェニレンビニレンの誘導体であるポリ[(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロキシ)1−4−フェニレンビニレン]やポリへキシルチオフェンなどのp型共役高分子が用いられ、n型半導体として、大きな電子親和性をもち、電子受容体として機能するn型のフラーレン誘導体(例えばC60、非特許文献2、3参照)やCdSe、CdTeなどのナノ粒子(例えば非特許文献4参照)を用いたものが利用されている。また、p型半導体としてのチオフェン重合体と、n型半導体としてのシアノ化フラーレンを結合してなる材料を用いた有機太陽電池が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上述した有機太陽電池のいずれにおいても、光電変換が行われる波長領域は、p型半導体とn型半導体の吸収しうる光の波長領域に限られることから、太陽光を十分に利用できず、光電変換効率が不十分であるという欠点があった。
そこで、光の吸収波長範囲を広げる工夫として、p型半導体とn型半導体との間に電荷移動錯体を形成させる手法が報告されている(例えば非特許文献5参照)。
C.W.Tang,[Applied Physics Letters], Vol.48, p183 G.Yu,[Science],No.270, p 789(1995) N.S.Sariciftci,[Advanced Functional Materials], Vol.13, p85(2003) W.Huynh,[Science],No.295, p2425(2002) C.Giusca,[Carbon], Vol.40, p1565(2002) 米国特許第5331183号明細書 特開2004−277736号公報
しかしながら、上記非特許文献5に記載の有機太陽電池であっても、光の吸収波長範囲が、p型半導体とn型半導体のそれぞれの光吸収波長範囲よりもわずかに広がっているにすぎず、十分な光電変換効率が得られなかった。
そこで、本発明は、太陽光の吸収する波長領域を広げて光電変換効率を十分に向上できる有機太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、有機太陽電池を構成するヘテロ接合層において、電子受容体であるn型のフラーレン誘導体の側鎖として、共役しうる特定の化学構造を導入することにより、光の吸収波長範囲をより広くでき、光電変換効率を十分向上できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、電子供与性を有するp型共役高分子及び電子受容性を有するn型のフラーレン誘導体を含むヘテロ接合層と、前記へテロ接合層の一面側に設けられる第1電極と、前記へテロ接合層の他面側に設けられる第2電極とを有し、前記フラーレン誘導体が下記一般式(1):
Figure 2007067115

(上記式(1)中、Fuはフラーレンからなる2価以上の基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基を表し、Xが、チオフェン、ピロール、フラン、セレニウム又はこれらの水素原子の少なくとも一部がアルキル基で置換されたアルキルチオフェンの2〜6量体を表し、nは1〜6の整数を表す)
で表されることを特徴とする有機太陽電池である。
この有機太陽電池によれば、p型共役高分子とn型フラーレン誘導体のそれぞれの光吸収波長から予想される光電変換波長よりもかなり長い波長、具体的には800nmを超える長波長域まで実際に光電変換でき、光電変換効率を十分に向上させることができる。このように長い波長域まで光電変換できる理由は明らかではないが、n型フラーレン誘導体とp型共役高分子とが特異な電荷移動錯体を形成し、p型共役高分子の共役構造と、n型フラーレン誘導体Xの共役構造とが大きな相互作用を起こしているためではないかと推察される。
上記有機太陽電池においては、p型共役高分子がポリフェニレンビニレンであり、n型フラーレン誘導体が、上記一般式(1)においてFuがC60、Rがメチル基又はエチル基、Xがチオフェンの2量体〜4量体となっているものであることが好ましい。この場合、光電変換効率がより十分に向上する傾向がある。
また上記有機太陽電池においては、ヘテロ接合層の厚さが50〜300nmであることが好ましい。この場合、上記範囲を外れる場合と比較して、入射光の透過する割合が低くなり、入射光を多く利用できるという利点があると共に、光電変換により発生するキャリアの失活が小さくなり、光電変換能がより十分に向上する。
本発明の有機太陽電池によれば、太陽光の吸収波長領域を広げて光電変換効率を十分に向上できる。
以下、本発明の有機太陽電池の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の有機太陽電池の一実施形態を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の有機太陽電池10は、主として基板1、透明電極(第1電極)2、ヘテロ接合層3及び対向電極(第2電極)4がこの順に積層されて構成される。ここで、透明電極2は、ヘテロ接合層3の一面3a側に設けられており、対向電極4は、ヘテロ接合層3に対し、一面3aと反対側の面3b側に設けられている。
ヘテロ接合層3は、電子供与性を有するp型共役高分子と、電子受容性を有するn型のフラーレン誘導体とを含む。ここで、n型のフラーレン誘導体は、下記一般式(1):
Figure 2007067115

で表される。
上記一般式(1)中、Fuはフラーレンからなる2価以上の基を表す。ここで、フラーレンとしては、C60、C70、C84等が挙げられ、フラーレンはこれらのうちのいずれでもかまわないが、C60が最も入手しやすく、またコスト面で有利であるという理由から特に好ましい。また、上記フラーレンは、電子受容性が高められたシアノ化フラーレンであるとより好ましい。この場合、光吸収波長領域がより広がり、光電変換効率がより十分に向上する。なお、Fuに結合している基は、Fuとともに、窒素原子を含む5員環を形成している。
Rは炭素数1〜4のアルキル基又は、このアルキル基中の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基を表す。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子などが挙げられ、ハロゲン化アルキル基中に導入されるハロゲン原子の数は、後述のスピンコート溶液調製時に溶解性を損わない程度の数とする。またRは、直鎖状または分岐状であってもよい。またアルキル基中の炭素数が4を超えると、炭素数が4以下の場合に比べて、n型フラーレン誘導体の合成が難しくなり、合成終了時の収量が極めて微量となり、コストが大幅に増加するというデメリットがある。
Xは、チオフェン、ピロール、フラン、セレニウム又はこれらの水素原子の少なくとも一部がアルキル基で置換されたアルキルチオフェンの2〜6量体を表す。Xがチオフェン等の単量体の場合、2〜6量体である場合に比べて、後述の光吸収波長が長くなりにくいというデメリットがあり、6量体を超えると、2〜6量体の場合と比較して、合成が難しくなり、コスト高となる傾向がある。またアルキル基は炭素数1〜8個が好ましい。炭素数が8を超えると、炭素数が8以下の場合に比べて、変換効率が下がることに加えて、後述のスピンコート溶液調製時に溶解しにくくなる傾向がある。なお、チオフェン、ピロール、フラン、セレニウムはいずれも共役構造をとりうる物質である。
nは1〜6の整数を表す。ここで、nは、上記式(1)中の括弧で表される基がFuに直接結合される数を表し、例えばnが3である場合、括弧で表される3個の基がFuの異なる部位にそれぞれ結合されていることを意味する。nが6を超えると、nが6以下の場合と比較して、後述の量子効率の長波長端がより長波長側まで伸びなくなる傾向がある。nは1〜4であることがより好ましい。nが4を超えると、nが1〜4の場合に比べて、変換効率が低下する傾向があることに加えて、そのようなフラーレン誘導体が極微量にしか合成されず、コストが高くなる傾向がある。なお、ヘテロ接合層3は、n=1〜3のものをそれぞれ同時に含んでいてもよい。
p型の共役高分子は、電子供与性を有するものであれば特に限定されず、p型共役高分子としては通常、分子構造中に共役二重結合を有するものが挙げられる。このようなp型共役高分子としては、例えば、チオフェン、フェニレンビニレン、チエニレンビニレン、カルバゾール、ビニルカルバゾール、ピロール、アセチレン、イソチアナフェン及びヘプタジエンなどの化合物、ならびに水酸基、アルキル基、アミノ基、メチル基、ニトロ基及びハロゲン基などを有するこれら誘導体、の重合体が挙げられる。なお、これらの共役高分子は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。より具体的には、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)などが挙げられる。なかでも、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)が、変換効率を向上させる観点からは、特に好ましい。
p型共役高分子については、数平均分子量が標準ポリスチレン換算で1,000〜200,000であることが好ましい。数平均分子量が1,000未満では、1,000以上である場合に比べてp型共役高分子の粘度が低くなり、例えば丈夫なスピンコート膜を形成することができなくなり、有機太陽電池の作製が困難となる。逆に、数平均分子量が200,000を超えると、200,000以下である場合に比べて、p型共役高分子の粘度が高くなり、n型フラーレン誘導体が凝集しやすくなり、光電変換効率の低下を招く。数平均分子量はより好ましくは10,000〜100,000である。数平均分子量がこの範囲にあると、この範囲から外れた場合と比較して、例えばスピンコート膜の形成が容易になり、n型フラーレン誘導体が分散して電荷移動錯体が形成されやすくなり、光電変換効率がより向上するという利点が得られる。
なお、p型共役高分子については結晶性でも非晶性であってもよく、立体規則性の程度については問われない。
ヘテロ接合層3を構成する材料としては、p型共役高分子がポリフェニレンビニレン又はポリ(3−ヘキシルチオフェン)であり、n型フラーレン誘導体が、上記構造式(1)において、FuがC60であり、Rはメチル基又はエチル基であり、Xはチオフェンの2量体〜4量体であり、nは主として1であるものが、光電変換効率をより向上させる点からは好ましい。
p型共役高分子とn型のフラーレン誘導体の混合割合については、共役高分子の繰り返し(モノマー)ユニットに対するフラーレン誘導体のモル比(=フラーレン誘導体の数/共役高分子の繰り返し(モノマー)ユニット数)が0.67〜1.5の範囲であることが、電荷移動錯体が十分に形成され、光電変換能がより高くなるという理由から好ましいが、上記モル比は、より好ましくは0.8〜1.2であり、最も好ましいモル比は1である。
p型共役高分子とn型のフラーレン誘導体を分散してなるヘテロ接合層3の厚さは、好ましくは50〜300nmであり、より好ましくは80〜200nmである。厚さが50nm未満の場合、上記範囲にある場合と比較して、入射光の透過する割合が高くなり、入射光を十分に捕らえることができず、十分に光電変換を行うことができないので、変換効率が下がる傾向がある。厚さが300nmを超えると、上記範囲内にある場合と比較して、光電変換により発生するキャリアの失活が大きくなり、光電変換能の低下を招く傾向がある。
基板1は、透明電極2、ヘテロ接合層3および対向電極4を有する積層体を支持し、補強するものであればよく、基板1を構成する材料としては、例えばガラス;ポリイミド、PET、PEN、PES、テフロン(登録商標)等の耐熱性の高分子フィルム;ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム板等の金属、シリコン等の半導体、セラミック等が挙げられ、なかでも、基板1は、高い透明性を有するもの、例えばガラスがより好ましい。但し、基板1を構成する材料として、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム板等の金属、シリコン等の半導体、セラミックを用いる場合には、膜厚を十分に薄くして透明にする必要がある。基板1は、これらの材料からなる層単独で構成されてもよいし、これらの材料からなる複数の層を積層して構成してもよい。なお、基板1は、表面がフラットなものでもよいし、表面に凹凸を有しているものでもよい。
透明電極2は、ヘテロ接合層3に対してオーミック接触の形成が可能であり、かつ照射光を透過させるものであればよく、例えば、ITO、SnO、ZnO、In等の透明導電材料又はフッ素ドープ酸化錫(SnO:F)、アンチモンドープ酸化錫(SnO:Sb)、In、錫ドープ酸化インジウム(In:Sn)、ZnO、Alドープ酸化亜鉛(ZnO:Al)、Gaドープ酸化亜鉛(ZnO:Ga)等の上記透明導電材料に不純物がドープされたもので構成される。透明電極2は、これら材料からなる層単独で構成してもよいし、複数の層を積層した積層体で構成してもよい。透明電極2の膜厚は、電極としての機能を果たすものであれば特に限定されるものではないが、通常は3nm〜10μmである。なお、透明電極2は、表面がフラットなものでもよいし、表面に凹凸を有しているものでもよい。
対向電極4を構成する材料は、ヘテロ接合層3の有機半導体とオーミック接触の形成が可能な仕事関数を有する導電材料であれば特に限定されない。このような導電材料は、具体的には金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、ロジウム、インジウムなどの金属、それらの合金、上記の透明電極2を構成する透明導電材料などが挙げられる。また、対向電極4の膜厚は、発生した光電荷を十分に外部回路へ伝達できる程度のシート抵抗を得ることができる範囲であれば、特に限定されない。対向電極4の膜厚は通常は、1〜50nmであり、好ましくは20〜30nmである。
また、対向電極4とヘテロ接合層3との間には、LiF、未修飾フラーレン、ジメチルジフェニルフェナントロリンからなる層を、ヘテロ接合層3と対向電極4との間のオーミック接触を損わない程度に設けてもよい。これらを対向電極4とヘテロ接合層3との間に設けると、対向電極4とヘテロ接合層3との間で完全なオーミック接合が得られ、電流が流れやすくなり、変換効率がより向上するという利点がある。かかる層の厚さは、例えば0.3nm〜150nmである。
なお、ヘテロ接合層3及び対向電極4を保護する保護層(図示せず)が、ヘテロ接合層3及び対向電極4を覆うように透明電極基板上に設けられてもよい。ここで、透明電極基板は、基板1と透明電極2とで構成される。この場合、有機太陽電池10を大気中に取り出したときに、保護層によりヘテロ接合層3及び対向電極4に対する防湿効果が得られ、光電変換能を長期間保持できるという利点がある。かかる保護層としては、例えばガラス、アルミコートのポリマーフィルムなどが挙げられる。保護層は、具体的には、熱溶着フィルム等からなるスペーサを介して透明電極基板に設けられる。
次に、上述した有機太陽電池10の製造方法について説明する。
まず基板1を用意する。基板1の表面には、透明電極2を形成する。透明電極2は、電極材料を、スパッタ法、真空蒸着法、EB蒸着法、常圧CVD法、減圧CVD法、PVD法、ソルゲル法、電析法等によって基板1の表面上に成膜して形成することができる。なお、透明電極2の表面に凹凸を形成する場合は、電極材料の材質、気相法の成膜条件、具体的には、酸素や不活性ガスなどの成膜雰囲気、成膜温度などの条件を適宜設定して、基板1上に電極材料をランダムに結晶成長させることにより形成してもよいし、フラットな電極を形成した後、酢酸、塩酸などの酸性水溶液を用いたエッチングの処理条件、主にエッチング時間を適宜設定することにより形成してもよい。
一方、p型共役高分子、上記一般式(1)で表されるn型フラーレン誘導体をそれぞれ用意し、これらを溶媒中に溶解させてスピンコート液を得る。溶媒としては、p型共役高分子及び上記一般式(1)で表されるn型フラーレン誘導体を溶解しうるもの、例えばトルエンなどが用いられる。
次に、上記のようにして得られるスピンコート液を透明電極2の表面上にコーティングし、乾燥して溶媒を除去することにより透明電極2の表面上にヘテロ接合層3を形成する。なお、スピンコーティングは、1回に限らず、複数回行ってもよい。この場合、1回ごとに乾燥を完了させた上でスピンコーティングを行えばよい。
次に、ヘテロ接合層3の表面上に対向電極4を形成する。対向電極4は、透明電極2と同様の方法で形成する。即ち、対向電極4も、電極材料を、スパッタ法、真空蒸着法、EB蒸着法、常圧CVD法、減圧CVD法、PVD法、ソルゲル法、電析法等によってヘテロ接合層3の表面上に成膜して形成することができる。
以上のようにして有機太陽電池10の製造が完了する。なお、対向電極4を形成する前に、LiF、未修飾フラーレンなどの層を予め形成しておくとよい。この場合には、対向電極4とヘテロ接合層3との完全なオーミック接合が得られるようになる。
本発明の有機太陽電池は、上記実施形態に限定されない。例えば上記実施形態では、ヘテロ接合層3の少なくとも一方の側の電極は、複数に分割されていてもよい。即ち、電極は、互いに離間して配置された複数の電極部で構成されていてもよい。
以下、本発明の有機太陽電池の具体的な実施例及び比較例について説明するが、本発明の有機太陽電池は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
Rがメチル基、Xがビチオフェン(チオフェンの2量体)であるフラーレン誘導体を以下のようにして合成した。
即ち、まずフラーレンC60(東京化成社製)100mgをトルエン100mLに溶解させた。このトルエン溶液を三ッ口フラスコに移し、N−メチルグリシン(アルドリッチ社製)24.8mgとビチオフェンアルデヒド140mgを溶解したジメチルスルオキシド10mLを加えて直ちに120℃まで昇温した。そして、120℃、アルゴン気流下にてトルエンを15時間還流させ、フラーレンC60、N−メチルグリシン及びビチオフェンアルデヒドを反応させた。冷却後、反応溶液をエバポレータにより濃縮し、続いてシリカゲルカラム(半井化学、球状シリカゲル60、展開溶媒:トルエン)に通して未反応のC60等を分別除去した。
最終的に得られた溶液からエバポレータにより溶媒を除去した後、真空乾燥して粉末を得た。この粉末についてFTIRスペクトルを測定した。結果を図2に示す。図2の結果より、C60に由来するピーク及びチオフェン環に由来するピークが見られた。具体的には、728cm−1、770cm−1、2776cm−1において、C60に由来するピークが現れ、794cm−1、838cm−1、1046cm−1、1224cm−1、1445cm−1、1660cm−1、3066cm−1において、チオフェン環に由来するピークが見られた。更に、2920〜2940cm−1付近にメチル基CHに由来する特徴的な2本のピークが見られた。このことから、上記一般式(1)において、Rがメチル基、Xがビチオフェン(2量体)であるフラーレン誘導体が得られていることが確認された。
(スピンコート液の調製)
上記のようにして得られたC60−BiTh76.4mgと、p型共役高分子としてのポリ(2−メトキシ−5−(2'−エチルヘキシロイル)−1,4−フェニレビニレン(アルドリッチ社製、数平均分子量51,000、略号MEH−PPV)13.4mgとをトルエン2mLに溶解してスピンコート液を得た。
(バルクへテロジャンクション型セルの作製)
インジウム錫酸化物(旭化成社製)をコートした透明導電性ガラス(ITOガラス)に、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)及びポリエチレンスルホネート(PSS)からなる混合物の1質量%水溶液(アルドリッチ社製)を3500rpm、30秒の回転条件でスピンコートを1回施し、厚さ80nmの第1スピンコート膜を得た。
次に、100℃のホットプレート上に、第1スピンコート膜を形成したITOガラスを置き、60分間真空脱気した。続いて、同ITOガラスに、作製したスピンコート溶液を塗布して、5000rpmで15秒の条件でスピンコーティングを1回施し、厚さ150nmの第2スピンコート膜を得た。
ヘテロ接合層を形成したITOガラスを、真空機工製の蒸着装置にセットし、まず、LiFを蒸着し(厚さ1nm)、続いて蒸着速度0.2nm/secにて厚さ80.5nmのアルミニウム(高純度化学製、純度99.999%)を蒸着した。続いて、厚さ100μmのポリエチレンフィルムをスペーサとして、厚さ1.1mmのガラスを貼り合わせた。貼り合わせにはエポキシ系接着剤を用いた。こうして有機太陽電池としてのバルクヘテロジャンクション型セルを得た。
(紫外可視吸収スペクトルの測定)
上記のようにして得られたバルクヘテロジャンクション型セルを構成するヘテロ接合層について紫外可視光吸収スペクトルを測定した。結果を図3に示す。このとき、紫外可視光吸収スペクトルの測定は、島津製作所製の分光光度計を用いて行った。なお、紫外可視光吸収スペクトルの測定は、ITOガラス上にヘテロ接合層を形成したものに対して行った。また、比較のために、ヘテロ接合層に代えて、C60−BiThのトルエン溶液、MEH−PPVのスピンコート膜についても紫外可視光吸収スペクトルを測定した。結果を図3に併記する。
なお、図3において、○印はC60−BiThのトルエン溶液、◇印はMEH−PPVのスピンコート膜、●印が、本実施例で作製したヘテロ接合層の紫外可視吸収スペクトルであり、縦軸は吸光度、横軸は吸収波長(nm)を表す。図3に示す結果より、本実施例に係るヘテロ接合層では、850nmの波長まで光を吸収しており、C60−BiThのトルエン溶液、MEH−PPVのスピンコート膜に比べて、光吸収波長範囲が大幅に広がっていることが分かった。
(光電変換性能の評価)
また上記のようにして得られたバルクヘテロジャンクション型セルについて、光電変換能を表すIPCEスペクトルを測定した。測定は、0.25mWの単色光(波長域300〜850nm)で10nm毎に実施した。結果を図4に示す。図4において、縦軸は量子効率(%)を、横軸は波長(nm)を表す。図4に示す結果より、本実施例のバルクヘテロジャンクション型セルでは、850nmまで光電変換が行われている(長波長端が850nmである)ことが分かった。
また上記のようにして得られたバルクヘテロジャンクション型セルについて、光電変換特性も測定した。光電変換特性は、分光計器の分光感度測定装置(CEP−2000型)を用いて測定し、光源は150Wのキセノンショートアークランプを用いた。このとき、ランプには光学フィルターとしてAM1.5のUVフィルターをかけ、照射強度が最大で100mW/cmの擬似太陽光となるようにした。
なお、AMの定義は、太陽光が大気圏を通過する距離を表す。大気圏外における太陽光をAM0と定義し、赤道直下での真上からくる太陽光(直達光)の地表面でのAM値を1とした時の太陽光の長さを、1/sinθ(θは仰角)で表す。本実施例で用いたAM1.5は東京の年間を通じての太陽光の値にほぼ等しい。また、分光感度測定装置により、擬似太陽光(0.1Sun、AM1.5)の照射の下、50℃で電流―電圧曲線を計測し、得られる短絡電流、開放電圧、形状因子から、光電変換効率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2007067115
(実施例2)
MEH−PPVの代わりにP3HT(アルドリッチ社製、立体規則性、数平均分子量87,000)を用い、LiFの代わりにC60(東京化成製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を作製した。
(実施例3)
N−メチルグリシンの代わりに、N−エチルグリシンを用い、Rをメチル基からエチル基に代えたこと以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を作製した。
(実施例4)
ビチオフェンアルデヒドの代わりに、ビ(3−ヘキシルチオエニルチオフェン)アルデヒドを用い、Xをチオフェンの4量体であるビ(3−ヘキシルチオエニルチオフェン)に代えたこと以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を作製した。
(実施例5)
スピンコートの際の回転数を5000rpmから2500rpmにしてヘテロ接合層の膜厚を150nmから280nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を作製した。
(実施例6)
C60−BiThの添加量を76.4mgから98.2mgに増加したこと以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を作製した。
実施例2〜7のn型フラーレン誘導体のトルエン溶液の光吸収スペクトルと、有機太陽電池の量子効率のIPCEスペクトルを実施例1と同様にして測定し、光吸収の長波長端と、量子効率の長波長端を求めた。また光電変換効率についても、実施例1と同様にして算出した。結果を表1に示す。
(比較例1)
C60−BiThの代わりにCdSeナノ粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を作製した。なお、本比較例は、非特許文献4を追試したものである。
ここで、CdSeナノ粒子は以下のように合成した。まず金属セレン(アルドリッチ社製)47mgをトリオクチルホスフィン(アルドリッチ社製、以下、「TOP」と略称する)2.034gに室温で溶解させ、Se/TOP溶液を得た。
一方、25mLフラスコに、酸化カドミウムCdO57.8mg(高純度化学製)、テトラデシルホスホニックアシッド(アルファ製、以下、「TDPA」と略称する)0.2422g、およびトリオクチルホスフィンオキシド(アルドリッチ社製、以下、「TOPO」と略称する)3.741gを入れた。365℃設定の半田槽を用い、Ar気流下、フラスコ内のCdO、TDPAおよびTOPOを1時間ほどで溶解させた。次に半田槽の温度設定を260℃に変更し、そのまま2時間放置した(実際の温度253℃)。2時間後、上記Se/TOP溶液を滴下ロートより3回に分けて(間隔30秒)フラスコ内に滴下した。反応溶液ははじめ無色透明であったが時間とともに黄色、オレンジ色、赤色、濃赤色に変化した。滴下後4時間放置して十分に反応させ、CdSeナノ粒子を生長させた。
反応を終了させるためにフラスコを半田槽より空気中に取り出し、Ar気流下のままゆっくりと冷却した。冷却すると反応液は固化した。その固形物にメタノールを加えてTOPなどを一度溶解させ、2000rpmで20分の遠心分離を行うことによりCdSeナノ粒子を沈降分離させた。このメタノールによる溶解と遠心分離を3回繰り返した。
次に、CdSeナノ粒子にトルエン0.5mLを加えて十分に攪拌して再溶解させ、これに大量のメタノールをさらに加えて、2500rpmで20分間遠心分離操作を行った。さらに沈降したCdSeナノ粒子にピリジン0.5mLを加えて10分間攪拌後、超音波分散させた。これにn−ヘキサンを加えてナノ粒子を析出させ、その後、4000rpmで30分間の遠心分離操作を3回行った。こうした一連の操作により不要なTOPなどをCdSeナノ粒子表面からできるだけ取り除き、表面にピリジン分子を吸着させた。
こうして得られたピリジン分子吸着のCdSeナノ粒子100mgを、ポリ(3−へキシルチオフェン)(アルドリッチ社製、数平均分子量51,000)10mgとともに、クロロホルム/ピリジン混合溶媒(体積比5:1)1mL、トルエン0.2mLに分散させてスピンコート溶液を調製した。
上記のようにして得られた太陽電池に用いたCdSeナノ粒子のトルエン溶液、P3HTのスピンコート膜について、実施例1と同様にしては紫外可視光吸収スペクトルを測定した。結果を図5に示す。
図5において、○印はCdSeナノ粒子のトルエン溶液の紫外可視吸収スペクトル、△印はP3HTのスピンコート膜の紫外可視吸収スペクトルを示す。図5に示すように、紫外可視吸収スペクトルの長波長端は650nmであり、P3HTのスピンコート膜の紫外可視吸収スペクトルの長波長端である550nmに比べて、可視光領域における光吸収波長領域が若干広がっているものの、その広がりは小さいものであった。
また上記のようにして得られた太陽電池について、実施例1と同様にして紫外可視吸収スペクトル及び光電変換能を表すIPCEスペクトルを測定した。結果を図6に示す。
図6に示す結果より、本比較例に係る太陽電池では、650nmの波長まで光電変換(長波長端が650nm)していることが分かった。なお、測定に際しては、太陽電池の基板1の裏側(透明電極2と反対側)に、390nm以下カットするUVカットフィルム(三菱レーヨン社製)を装着した。
また本比較例の太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を求めた。結果を表1に示す。
以上の実施例1〜7及び比較例1の結果より、本実施例に係る有機太陽電池によれば、光電変換可能な波長範囲が、ヘテロ接合層を構成する個々の材料と比べて十分に広がっており、十分な光電変換効率が得られるのに対し、比較例に係る有機太陽電池によれば、ヘテロ接合層を構成する個々の材料と比べて光電変換可能な波長範囲の広がりが小さく、十分な光電変換効率が得られないことが分かった。
よって、本発明の有機太陽電池によれば、光電変換効率を十分に向上させることができることが確認された。
本発明に係る有機太陽電池の一実施形態を示す模式断面図である。 実施例1に係るC60−BiThのFTIRスペクトルを示すグラフである。 実施例1に係る紫外可視吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例1に係る有機太陽電池の光電変換特性としてのIPCEスペクトルを示すグラフである。 比較例1に係る紫外可視吸収スペクトルを示すグラフである。 比較例1に係る有機太陽電池の光電変換特性としてのIPCEスペクトルを示すグラフである。
符号の説明
1…基板、2…透明電極、3…ヘテロ接合層、4…対向電極、10…有機太陽電池。

Claims (3)

  1. 電子供与性を有するp型共役高分子及び電子受容性を有するn型のフラーレン誘導体を含むヘテロ接合層と、
    前記へテロ接合層の一面側に設けられる第1電極と、
    前記へテロ接合層の他面側に設けられる第2電極と、
    を有し、前記フラーレン誘導体が下記一般式(1):
    Figure 2007067115

    (上記一般式(1)中、Fuはフラーレンからなる2価以上の基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基を表し、Xが、チオフェン、ピロール、フラン、セレニウム又はこれらの水素原子の少なくとも一部がアルキル基で置換されたアルキルチオフェンの2〜6量体を表し、nは1〜6の整数を表す)
    で表されることを特徴とする有機太陽電池。
  2. 前記p型共役高分子がポリフェニレンビニレン又はポリ(3−ヘキシルチオフェン)であり、前記n型フラーレン誘導体が、上記一般式(1)において、FuがC60、Rがメチル基又はエチル基、Xがチオフェンの2量体〜4量体となっているものである、請求項1に記載の有機太陽電池。
  3. 前記ヘテロ接合層の厚さが50〜300nmである、請求項1又は2に記載の有機太陽電池。
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