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JP2006520072A - 質量分析計 - Google Patents

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JP2006520072A
JP2006520072A JP2006504631A JP2006504631A JP2006520072A JP 2006520072 A JP2006520072 A JP 2006520072A JP 2006504631 A JP2006504631 A JP 2006504631A JP 2006504631 A JP2006504631 A JP 2006504631A JP 2006520072 A JP2006520072 A JP 2006520072A
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  • Analytical Chemistry (AREA)
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Abstract

改良によって得られたFT−ICR質量分析計では、イオン源(10)にて発生したイオンを一連の多重極(20)を介しイオントラップ(30)に送り、このトラップ(30)から一連のレンズ及び多重極イオン導路からなる段(40〜90)を通りまた出口/ゲートレンズ(110)を介し計測セル(100)内へとイオンを放出する。計測セルを真空室(240)内に装填することによってアセンブリを形成し、このアセンブリを超電導磁石(400)ボア内へと摺動移動可能とする。超電導磁石(400)は磁界供給によってセル(100)内イオンをサイクロトロン運動させる。イオン源(10)とセル(100)との距離を縮めまたイオン光学系を注意深く配列してあるため、イオンを計測セル(100)の直前まで高エネルギーで移動させられる。セル(100)は磁石ボアの長手方向に沿って且つ磁石ボアと同軸に延びる。セル内空間断面積に対する磁石ボア断面積の比は3未満という小さな値である。磁石は非対称でありそのイオン注入側が比較的短い。セル(100)はその前方から支持されており電気接続はセルの後方にて行われる。

Description

本発明は、質量分析計、特にFT−ICR(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance:フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴)質量分析計に関する。
高分解能質量分析法は分子構造の検出及び同定並びに化学及び物理プロセスの研究に広く用いられており、また、トラッピング及び検出手法が異なる様々な質量スペクトラム生成技術が知られている。
その種の技術の一つにFT−ICRがある。FT−ICRは、サイクロトロンの原理を用いており、高周波電圧によって励起されたイオンがICR(Ion Cyclotron Resonance:イオンサイクロトロン共鳴)セル内で渦状運動する。セル内イオンは密に結束し同一の半径方向経路に沿う軌道を採るがその速度はイオン束毎に異なっており、その周回方向の速度即ちサイクロトロン周波数はそのイオンの質量に比例した値になる。検出用に設けられている一組の電極には、周回方向に運動するイオン束によって誘導電流が流れる。この検出信号の振幅はイオンの量を、周波数は質量を表している。瞬時値、即ち検出電極にて発生した信号をフーリエ変換することによって質量スペクトルを得ることができる。
FT−ICRの魅力は分解能が非常に高いことである(ある種の状況下では最高で1000000となり、通常の状況下でも100000を上回る)。但し、そのような高分解能を得るには各種システムパラメータを最適化しなければならないことが重要となる。例えば、周知の通りFT−ICRセルの性能は、その内圧が約2×10−9mbarより高い場合には顕著に低いものになる。これは、セルの設計やイオンをサイクロトロン運動させるための磁界を供給する磁石の選択において制約となる。また、セル内空間電荷という問題は分解能だけでなくセル設計上のパラメータにも影響する。更に、セルに対し外部イオン源からイオンを供給する場合、セル内への静電注入を行うにしても、特許文献1に記載の多重極注入装置を用いるにしても、飛行時間効果の最小化が望ましいことが知られている。
米国特許第4535235号明細書 "Experimental Evidence for Chaotic Transport in a Positron Trap" by Gaffari and Conti, Physical Review Letters 75 (1995), No.17, page 3118-3121
本発明は、FT−ICR質量分析計を含む装置を改良することを目的としている。特に、本発明は、FT−ICR質量分析計の形状、寸法乃至形態を改良することに加えて又はこれに代えて、外部イオン源からFT−ICRセル内へのイオン注入システムを改良することを目的としている。
本発明の第1実施形態に係る装置は、ICR質量分析計用計測セル磁石組合せ装置であって、磁石ボアを有する電磁石を有しこの磁石によりその磁石ボアの長軸と概ね平行な磁力線を有する磁界を発生させる磁石アセンブリと、磁石ボアの長軸と同じ方向に且つ概ね同軸に延びるようその磁石ボア内に配置された計測セルであってそのセル壁により形成されるセル内空間に外部イオン源からのイオンを受け入れるFT−ICR用の計測セルと、を備え、セル内空間断面積及び磁石ボア断面積を共に磁石ボアの長軸に直交する平面内で定義したとき、そのセル内空間断面積に対するその磁石ボア断面積の比Rが4.25未満となる装置である。
ここに、現行の計測セル磁石組合せ装置においては、計測セル断面積に対する磁石ボア断面積の比が顕著に高くなりがちであった。例えば、本願出願人がこれまでFinnigan FT/MSなる製品名で販売してきたFT−ICR製品ではR値が7近傍であった。
本件技術分野における習熟者(以下「当業者」)に知られているように、計測セル、より詳細にはその収容先真空室の内圧はできるだけ低くしなければならない。本明細書の導入部で言及したように、通常は、この内圧が2×10−9mbarを上回ると分解能を損ねてしまう。そのため、これまでは、計測セル径に対する計測セル用真空室内径の比を大きくし真空排気に対する制約を緩くする必要がある、と理解されていた。しかしながら、真空室をこのように大きくしていたため、それを収容できる大きな内径の磁石ボアが必要とされていた。
他方で、空間電荷効果を抑えるには計測セル径を大きくするのが望ましい。
本願出願人が発見したことは、驚くべきことに、真空室の直径を大きくする必要がない、ということである。即ち、イオン束は10−14g/secのオーダに過ぎないから、減圧後の真空室内の超高真空を損ねるような汚染源は基本的に真空室内に入ってこないのであり、従ってシステム(真空室)を最初に真空化するときしか排気速度が関連してこないことが、判明した。
磁石ボア断面積を小さくすることで幾つかの有益な効果が生じる。まず、磁石ボア断面積を小さくすると普通はその磁石の製造コストが低くなる。ヘリウム槽内で動作する超電導磁石を磁石として用いる好適な実施形態においては特にそうである。更に、所与の磁石ボア断面積に対し計測セル断面積を大きくすることによって空間電荷効果も抑えられる。
好適な実施形態においては、磁石ボア及び計測セルそれぞれを概ね直円筒状にする。その場合、磁石内径が100mm未満ならR値を4.25未満とすべきであり、磁石内径が100〜150mmならR値を2.85以下とするのが望ましい。最も好適な実施形態におけるR値は2.983である。
R値を小さくするのに加え真空室及び磁石の長軸方向長さを短くすることは、真空室を小容積化でき初期真空形成所要時間を短縮できるため、特に有益であるといえる。その際、イオン注入方向に沿い磁石の磁気的中心から同磁石の端部に至る長手方向距離を600mm以下とするのが最も望ましい。
また、磁石を非対称にするのが望ましい。即ち、その磁気的中心とその幾何学的中心とが一致しないようにするのが望ましい。その際、磁気的中心までの長さはその磁石のイオン注入側からの方が短くなるようにする。
また、セルは真空室内に装填するのが望ましく、このセル乃至その真空室は当該セルの前方即ち上流位置から片持ち梁その他の形態で支持するのが望ましい。なお、従前のシステムにおいてはセルを別の側(即ち注入側と逆の側)から支持していたが、これは、従来、そのようにすると端部フランジまでの距離が短くなり好ましいと考えられていたためであった。また、支持材としてはチタンその他弾性を有する非磁性素材を用いるのが最も望ましい。特に、複数本のチューブによって半径方向空間を形成し、セル及び/又はその真空室をこれら複数本のチューブを用い上流の構造物位置から片持ち梁支持するのが望ましい。
また、セル及び/又はその真空室を磁石ボア内へまた磁石ボア外へと動かせるようにすること、例えば精密軌道に沿ってスライドさせうるようにすることが望ましい。更に、セル後面に電気接続部材を実装しセル後方の固定位置にこれに対応して電気接続部材を設ければ、セル電極に対しセル遠隔側(後側)からRF電力を供給できる。このようにすることが有益であるのは、そのようにすれば使用する電気リードを短めにすることができひいては信号対雑音比を改善できるためである。また、同じ理由で、FT−ICR内の検出器から信号増幅処理段へと信号を搬送するワイヤを短くすることができそれによってイオン検出に係る信号対雑音比を改善できる。このように、本発明の好適な実施形態によれば、その第1の側即ち前側にて支持されその逆側即ち後側に電気接続部材を設けたセルが得られる。その耐真空ハウジング内への挿入時にセルを位置決めする案内部材を設けると更によい。
検出可能質量範囲を最適化するには、均等磁界印加領域を長め(例えば少なくとも80mm)にすると共にセルを長め(例えば80mm)にするのがよかろう。
本発明の他の実施形態に係るICR(イオンサイクロトロン共鳴)質量分析計は、分析すべきイオンを発生させるイオン源装置と、発生したイオンを受け取りトラッピングするイオン収蔵装置と、イオン源装置とイオン収蔵装置との間にありこのイオン源装置からこのイオン収蔵装置内へと通りゆくイオンを合焦させ及び/又はフィルタリングするイオン光学系と、上述した組合せ装置と、イオン収蔵装置と上述の組合せ装置の計測セルとの間にありこのイオン収蔵装置からのイオンをこの計測セル内での質量スペクトル分析のためその計測セル内へと導路し合焦させるイオン導路手段と、を備えるものである。
本発明の他の実施形態に係る質量分析計は、分析すべきイオンを発生させるイオン源と、発生したイオンを受け取るイオントラップと、イオン源からイオントラップ内へとイオンを導路するイオン光学系手段と、磁石ボア内で磁石前面より下流にある計測セル及びこの計測セル内に注入されたイオンを検出する検出手段を有するFT−ICR質量分析計と、イオントラップとFT−ICR質量分析計との間にありこのイオントラップから放出されるイオンをこのFT−ICR質量分析計内での質量スペクトル発生のためそのFT−ICR質量分析計内へと導路するイオン導路手段と、イオン源計測セル間でイオン加速用電界を発生させるための電源と、を備え、この電源が、イオン源又はイオントラップからのイオンを運動エネルギーEまで加速する位置エネルギーを供給し且つ計測セルのすぐ前方にあり磁石前面より下流にある位置のみにてそのイオンを減速するものである。
ここに、FT−ICR質量分析計における既知の問題として、イオン源から計測セルへと移動して行くにつれイオンが飛行時間効果により分離してしまう、という問題がある。大略、現行のシステムは2種類に分けることができる。
そのうち一種類目のFT−ICR用イオン注入システムは静電注入システムと呼ばれるシステムであり、このシステムにおいては、イオンがイオン源からFT−ICR用計測セルへと静電レンズ系によって導路される。既知の問題である磁気反射問題に対処するため、この種のシステムでは静電ポテンシャル差を大きくすることによって静電合焦力を強めている。即ち、この種のシステムではイオンは最高で数百Vにも達する高電圧によって加速され、それによって高速になったイオンはFT−ICR用磁石のフリンジ磁界により減速される。ポテンシャル(電位)は静電アインツェルレンズによりイオンビームが合焦されるよう設定されており、静電注入システムの最後部レンズから始まりフリーフライトゾーンと通称されるゾーンを通る際のイオンの運動エネルギーは数eVという低めの運動エネルギーである。このとき低運動エネルギーで移動する距離は例えば30〜40cm程度であり、これはイオン全移動距離の20〜30%程度に当たる。そのため飛行時間効果が発生し、軽量イオンが重量イオンより先にセルに到達してセル内で優先的にトラッピングされることとなる。
二種類目のシステムは本願にて多重極注入と呼ぶシステムであり、このシステムにおいてはアレイ化した複数個の多重極イオン導路を用いイオントラップからFT−ICR用計測セル内へとイオンが注入される。セル内捕捉用トラッピング方式には様々な方式、例えばゲートトラッピング、イオン対異粒子間運動エネルギー交換(コリジョナルトラッピング)、異方向移動間運動エネルギー交換等があり、これらは例えば非特許文献1に記載されている。しかしながら、これら何れのトラッピング方式でもイオンの運動エネルギー分布を狭くしなければならない。好適には、1eV未満の幅の中に上下標準偏差×2以内の部分を収める必要がある。仮にイオンの運動エネルギー分布が十分に狭くなかったら、イオンビームのうちの一部分しかトラッピングされない。
そのため、多重極注入システムにおいては、二次元又は三次元RFトラップ、磁気トラップその他の収蔵トラップから放出されるイオンを、典型的には数eV、通常は10eV以下の極低エネルギーで加速することが、常識とされている。
このシステムにおける問題点はイオン捕捉率は高いが質量範囲が狭いことである。これは、全飛行時間が長いと飛行時間効果が増すためである。
本願出願人が発見したことは、飛行距離を短く保つため様々な対策を講じ且つイオンを確実にまた注意深く導路すれば、イオン源又はイオントラップから計測セルに至る全行程に亘り高エネルギーを使用できる、ということである。例えば、電源から供給する電位は、イオン源及び/又はイオントラップからのイオンが、イオン注入システムから計測セルまでまっすぐに延びる経路上で20eV超(より好ましくは50eV超、最も好ましくは50〜60eV)の運動エネルギーまで加速されるよう設定すればよい。他面からいうと、イオン源又はイオントラップから計測セルまでの全移動距離のうち少なくとも90%については、高位置エネルギー(高電位)にてイオンを移動させるのがよい。従来の静電注入システムにおいては、通常、高位置エネルギー(高電位)が維持されるのは上述の通りイオン源からセルに至る全移動距離の65〜80%に過ぎなかった。また、通常の多重極注入システムにおいては、イオンが高運動エネルギーで移動することはなかった。
従って、本発明のこの実施形態によれば不要な飛行時間分布が劇的に抑圧され、その結果、質量範囲の下限Mlowに対して上限Mhighが10倍になる程に(即ちMhigh=10×Mlowとなる程に)質量範囲が広がることとなる。なお、これまで最新とされていた外部イオン源使用型FT−ICR質量分析計における質量範囲は、典型的にはMhigh=1.6〜3×Mlowであった。
運動エネルギー分布を広げることなく高速イオン注入を行えるようにするには、質量分析計を含む装置の幾何学的構成乃至形状寸法を最適化することが有益である。例えば、注入用の多重極としてその内半径が小さなもの(典型的には4mm未満、最も好ましくは2.9mm未満のもの)を用いることにより、運動エネルギー分布の広がりを抑えることができる。
当業者に知られているように、多重極イオン導路は、さほど正確に実装しなくてもうまく動作させることができる。これに対して、本発明の好適な実施形態においては、イオン導路手段内に設けるレンズ及び/又は多重極を精密に、最も好ましくは最適値に対するずれが0.1mm未満になるよう配列する。本願出願人の知見によれば、これによってイオンの運動エネルギー分布を狭めることができる。
外部イオン注入口からFT−ICR用セル内に至るイオン飛行経路を最適化するには一般に次の事項のうち少なくとも1個を積極的に考慮すべきである。望ましくは、次に述べる特徴的構成のうち少なくとも50%を本発明の実施形態に係るシステムに組み込むべきである。(a)イオン源からのイオンビームを良好に合焦させる多重極イオン導路乃至レンズ系を使用すること。(b)多重極イオン導路及び/又はレンズの内径を小さくし各段間の差動排気を好適に行えるようにすること。(c)直径が小さな真空ポンプを用いること。(d)耐真空ハウジングを適切に構成してデッドスペースを減らし、耐真空ハウジングに設ける排気経路は例えばほとんど又は全く支障がないようわずかに曲げた排気経路とし、ポンプ及びフランジによる占有スペースを減らすこと。(e)多重極/レンズ/多重極アセンブリを高精度で配列することによって加速時におけるイオンロスを抑え、小開口レンズを通過するイオンの量を増やすこと。(f)イオン速度を増せば飛行時間による分布が狭くなることから、適宜、イオン加速を適切に行うこと。(g)計測セルをできるだけ長くすること。その際好ましくは以下の事項を満たすようにすること。(h)均等領域長が広い磁石を用いること。(i)多重極出口レンズに隣り合う短い減速ゾーンにおいて運動エネルギーの大部分を位置エネルギーに変換し、この減速ゾーンに続く長くて平坦な計測セル内減速ゾーンにおいて最後に残った数%の運動エネルギーを奪うようにすること。(j)エネルギー分布が予測外に又は決定不能的に広がらないよう、静的乃至動的イオントラップ内を冷却し、注入電位及び注入タイミングを適切に選択し、並びに/或いはイオン導路系を精密に加工することによって、注入されたイオンの運動エネルギー分布の広がりを抑えること。(k)計測セルが装填される真空室の容積を小さくすることにより、排気対象容積を減らすこと。(l)注入経路をその注入経路上の磁界方向に対して適切に配列すること、好ましくは注入経路方向と磁界方向との差を1°未満にすること。(m)そして有益にも、計測セル内にイオンを注入するイオントラップの電位に対し、イオン捕捉中はその計測セルの電位をできるだけ近い電位に保つこと。
本発明は質量分析法に拡張することができる。本発明に係る質量分析法は、(a)分析すべきイオンをイオン源にて発生させるステップと、(b)発生したイオンをイオントラップ内に導路するステップと、(c)イオントラップからイオンを放出させるステップと、(d)イオントラップから放出されたイオンを磁石ボア内にあり磁石前面より下流にある計測セルを有するFT−ICR質量分析計内へと導路するステップと、(e)イオン源又はイオントラップからFT−ICR質量分析計の計測セルまでイオンを加速するステップと、(f)計測セルのすぐ上流にあり磁石前面より下流にある位置のみにてイオンを減速するステップと、(g)計測セル内にてイオンを検出するステップと、を有するものである。
本発明における更に好適な特徴事項は、特許請求の範囲を参照することによって、また以下に示す好適な実施形態についての仔細な説明によって、明らかとなろう。
以下、本発明の好適な実施形態に関し図面を参照しつつ説明する。但し、この説明は専ら例示目的のものである。
図1に、本発明の実施形態に係る質量分析システムの構成を大きく模式化して示す。
その内部でイオンを発生させるイオン源10は、ESI(electrospray ion source:エレクトロスプレーイオン源)、MALDI(matrix-assisted laser ion desorption/ionisation:マトリックス支援レーザ脱離イオン化法)等をイオン源とすることができる。好ましくは、イオン源は大気圧下に置く。
イオン源にて発生したイオンは、イオン光学系例えば1個又は複数個の多重極20を通り差動排気によって送り出される。差動排気装置については、大気圧下から低圧下へイオンを移送する装置として本件技術分野にて周知であるのでこれ以上は説明しない。
多重極イオン光学系20を出たイオンはイオントラップ30に入る。イオントラップは、例えば、二次元若しくは三次元RFトラップ、多重極トラップその他の好適なイオン収蔵装置で、固定電磁石乃至光学トラップを有するものである。
イオントラップ30から出たイオンは第1レンズ40を介して第1多重極イオン導路50内に入り、第2レンズ60を通り抜けて第2多重極イオン導路70内に入り、そして第3レンズ80を介して比較的長い第3多重極イオン導路90内に入る。これら多重極イオン導路及びレンズは、最適値に対するずれが0.1mm未満となるよう、互いに正確に配置するのが望ましい。
図1に示した装置においては、各多重極イオン導路50、70及び90の内径即ちその多重極内のロッドによって画定される径を、5.73mmとしている。レンズ40、60及び80の内径は好ましくは2〜3mmとする。使用する注入用多重極の内半径が小さいことは、多重極イオン導路を通り抜けるイオンの運動エネルギー分布を広げることなく高速イオン注入を好適に行えるようにするのに、役立っている。多重極内径に対するレンズ内径の比を、差動排気における拘束条件内で可能な限り1に近い値に保つのが、更に望ましい。これによって運動エネルギー分布の広がりが小さくなる。
第3多重極イオン導路90の下流側端部には、第3多重極イオン導路と計測セル100の境目である出口/ゲートレンズ110がある。計測セル100はFT−ICR質量分析計の一部であり、通常、図1に示すように一組の円筒状電極120〜140を備えている。これは、セル内のイオンに対して電界を印加できるようにし、当業者が理解しているようにこれと磁界との組合せによってサイクロトロン共鳴を引き起こさせるためである。
出口/ゲートレンズ110の内径設定値は多重極内径(好ましくは5.73mm)よりほんのわずかだけ小さいに過ぎない。これは、図1に示されていないFT−ICR用磁石からの導路磁界がこの位置では十分強いため、このレンズを介しては、導路磁界を相対的に無視しうる上流位置にあるイオンは引っ張り込まれないからである。
磁石に遮蔽を施しておけば第3レンズ80における磁界は事実上0になる。磁石に対しこのように積極的に遮蔽を施すことは、高性能ターボポンプを磁石表面近くに実装でき従ってポンピング性能向上及び飛行時間短縮を実現できるという点でも有益である。なお、従来機器にて拡散ポンプを磁石から離して実装していたのは、そのようにしないと遮蔽されていない磁石からの磁界によって回転部分を有するポンプが破壊されるため、並びに大きな金属質量を有する拡散ポンプは磁石の十分近くに実装できず仮にそうしたとしたらその拡散ポンプにより磁界が歪んでしまうためである。
理解されるべきことに、イオン源10にて発生させたイオンをそこから直ちに計測セル100内へと移動させてもよいし、その代わりにイオントラップ30から出たイオンを一旦第1多重極イオン導路50内に収蔵させそこから計測セル100内へと通すようにしてもよい。
通常動作条件下では、図1に示したシステム内の圧力は、イオン源10では大気圧、イオントラップ30では10−3mbar近傍、第1多重極イオン導路50では10−5mbar近傍、第2多重極イオン導路70では10−7mbar近傍、第3多重極イオン導路及びそこから下流(特に計測セル100内)では10−9mbar近傍である。計測セル内をこのように低圧にすることは、良好な質量分解能を確保する上で重要である。
また、多重極50、70又は90内にあるイオンの運動エネルギーは、イオンの位置エネルギー初期値即ちイオントラップ30又は第1多重極イオン導路50から出るときの位置エネルギー(電位)と、その下流側にある当該多重極イオン導路(50、70又は90)内での位置エネルギー(電位)との差によって生まれており、計測セル100内にあるイオンの運動エネルギーは、上記位置エネルギー初期値と計測セル内位置エネルギーと差によって生まれている。電界が通常は鞍状電界であるため、イオントラップ30又は第1多重極イオン導路50における位置エネルギー(電位)は、例えば図1に示した円筒状電極140により定まるセル内位置エネルギー(電位)に比べわずかに高くなければならない。
この運動エネルギー分布の広がりひいてはビームの発散は、多重極イオン導路及びレンズよりなるアセンブリ(40〜90)の機械的不正確さ、加速電圧値、並びに多重極イオン導路径が大きいと大きくなり、逆に導路電位が高いと小さくなる。従って、加速電圧を高くしたことに伴う運動エネルギー分布の広がりは、機械的配列を適正にしその直径が小さな多重極を使用し導路電位実効値を高くすることによって、補正することができる。多重極イオン導路90が形成されるよう2個の多重極を連結しレンズを並べるに当たり、その連結及び配列を高精度で行うことは、有益である。特に、公差を±0.5mm未満とし部位によっては更に小さくするのがよい。
図1中、各段の加速電位をその段の上側に記してある。これらの電位値が単なる例に過ぎないことは勿論のこととして理解されよう。約50mmの長さを有するイオントラップ30内の電位は0V、第1レンズ40の電位は−5V、やはり約50mmの長さを有する第1多重極イオン導路50内の電位は−10V、第2レンズ60の電位は−50V、約120mmの長さを有する第2多重極内の電位も同じく−50V、第3レンズ80の電位は−110V、約600mmの長さを有する第3多重極イオン導路90内の電位は−60V、出口/ゲートレンズ110の電位は−8V、計測セル100内の電位は概ね0Vである。但し、電極130は−2V、電極131は2Vとしてある。セル100内の各電極に異なる電圧を加えることによってセル内に形成される電位分布はイオン転回点を有するものとなり、セル100内にありその運動エネルギー分布がある程度広がっているイオンがイオン転回点に達すると、この電位分布によってそのイオンは一旦停止し再度後方へと加速される。これによって稼いだ時間を利用すれば、十分に、セルを閉止してセル100内でのイオン収蔵/検出へと切り替えることができる。イオン収蔵/検出の際には、印加する電位を、上述した電位から図7の右下に示す皿状電位に切り替える。計測セル100の端面111は、トラッピング電位とするため2Vに保持する。
計測セル100内電極に対する電力供給形態については特に図3を参照しつつ以下に説明する。
上述した電位分布の下では、イオン源から発せられたイオンがセル100までの全行程に亘り比較的高エネルギーで加速され動いていく。そのとき現れる電位を図7に模式的に示す。特に注記すべきことに、磁石内進入時でもまだイオンは50eVのエネルギーを保ったまま移動しており、計測セル100内の減速電位即ち長距離に亘る平坦な電位にさらされると減速する。
或いは、イオンを第3多重極イオン導路内に0Vで収蔵してもよい。
ここで、図2aを参照し、第1多重極イオン導路50から先のシステム構成部分についてより詳細に示す。
図2aには、特に、セル100及びイオン移送光学系を支持するための構造物200が示されている。
この支持構造物200はチタンやアルミニウムといった非磁性素材から形成されており、第3レンズ80を支持するレンズホルダ81と機械的に連結されている。支持構造物200それ自体は、チタンチューブ210とチタンチューブ211との間をアルミニウムスペーサ群220により連結した構成とするのが望ましい。なお、これ以外の非磁性素材を使用することもできるが、軽量素材を用いれば撓みが小さくなり好適である。
図2aには電気接続系300の一部分も示されているが、これについては以下に図3を参照して説明する。
図2aに関わる重要な注記事項は、注入側から延ばしたこの支持構造物によってセル100を支えるようにしていること、即ちレンズホルダ81の位置(或いはセル100より上流側にある適切な点)から延ばした片持ち梁その他の構造物によってセル100を支えていることである。これは、本システムにおける配列精度を高めるのに役立っている。計測セル100を超電導磁石内に入れまた超電導磁石外に出すやり方については以下に図4を参照して説明する。
図2bに、図2aに示した装置に各種の耐真空ハウジングを取り付けたものを示す。より詳細には、第2レンズ60、第2多重極イオン導路70及び第3レンズ80に加え第3多重極イオン導路90の一部を収容するため、移送ブロック真空室230が設けられており、この真空室230には、排気できるようにするためポート250、251が設けられている。ポート251の隣には、幾つかのレバーの操作に応じ計測セル100をx−y移動させる図示しない機械装置が設けられており、この機械装置を用いればシステムの配列をなし得る。
この他、図2bに示した構成的特徴のうちで注記すべき重要な点としては、セル100の内径がその装填先のセル真空室240の直径よりも大きいこと、言い換えれば計測セル100の内径とセル真空室240の内径との差が抑えられていることがある。セル100は半径方向に広がった空間をチタンチューブ211と共有しており、更にセル位置におけるセル100用の空間を広げるためチタンチューブ211は部分的に切り広げられている。
このような装置構成下においてセル真空室240内にセル100をより迅速に挿入するには、上流側即ち注入側から挿入する構成とするのがよい。そのようにすれば、セル真空室240内、特に計測セル100から見て後部側即ち非注入側にフランジを設ける必要がなくなる。
図3に、計測セル100及びセル真空室240を更にクローズアップして示す。看取できるように、円筒状電極(図1中の120〜140)に対する電圧印加は後部即ち図3中の右側から行われる。そのため、計測セル100を構成する電極との電気的接続は、主として、支持構造物200の一部をなす後面において行われている。この後面は、チタンチューブ210及び211の端部が取り付けられている面であり、終端ブロックを形成している。この終端ブロック内に組み込まれている自動配列端子320は、支持構造物200の後面290を貫通するよう実装されており、また、セル真空室240の後部壁(図3中の更に右側)内を貫通して延びているピン乃至ラグ310のうち対応するものに接続できるよう構成されている。この構成によって、システム外部から計測セル内電極への縦貫的電気接続が行えるだけでなく、支持構造物200ひいては計測セル100をセル真空室240に対して機械的に自動配列することができ、ひいてはセル真空室240を磁石(後に図6a及び図6bを参照して説明)内に正確に装填することができるため、磁力線に対する計測セル100全体の位置関係を最適にすることができる。更に、後部側(即ち計測セル100内への注入側から遠い側)に端子を設けることは、リード線が割合に短くなるという点でも有益である。特に、検出器から増幅回路に至る図示しない検出用リード線を短くすることによって、イオン検出に係る信号対雑音比が改善される。
計測セル100は長めにするのが望ましい。実施形態としては、計測セル100における収蔵領域の長さを80mmとし、同じく磁石(図3には示さず)にて発生させる磁界を少なくとも80mm長に亘って均等な磁界とする実施形態が好適である。
図4に、計測セル100及び超電導磁石400内におけるその位置を模式的に示す。この超電導磁石400は超伝導コイル410、ヘリウム槽420、断熱部430、真空保持部440及び窒素槽450を有している。これらの構成部材は何れも当業者にとり周知であるのでこれ以上は説明しない。
また、簡明化のため、図4にはセル真空室240、支持構造物200及び多重極イオン導路50、70、90を示していない。
磁石として機能するコイル410の前面と真空保持部440との間には空間480がある。このコイルの位置は、計測セル100の幾何学的中心と一致している磁石の磁気的中心からシステムの一端までの距離が短くなるよう、空間480寄りに動かすのが望ましい。好ましくは、図4には示していないが、磁石を非対称構成としその注入側の部分が短めに保たれるようにする。特に、その前面プレートから磁界の中心までの距離を600mm未満とするのが有益である。
セル100(及びセル真空室240)は、超電導磁石が座している低温保持装置のボア460内に装填されている。ボア460の直径490は、理解される通り、超伝導コイル410の内径495よりも小さい。
図5に、図4に示したコンポーネント間の相対断面寸法を示す。計測セル100の内径断面がセル半径501の領域500により示されている。図5において、磁石の内半径(即ち図4中の磁石ボア490の半径)が511で示されており、これは断面510の半径である。そして521は磁石の磁気的中心からその磁石の端面のうち近い方までの軸方向長さである。磁石は好ましくは上述の通り幾何学的に非対称に構成されており、その磁気的中心は好ましくは計測セル100の幾何学的中心に一致している。磁石ボア長軸に直交する平面において計測した磁石ボア断面積(図5中の510の面積)を、計測セル100の内法断面積(同じく500の面積)に対する比で表したものをRとすると、システムを構成する磁石の内径が100mm未満で且つセルが好適にも円柱状である場合については、Rを4.25未満とすべきであることが判明している。本願出願人が現在実施中である最も好適な実施形態においては、セル内径を55mmとし磁石ボア内径を95mmとしているためRが2.983となっている。真空系及び磁石の長さが小さい場合はRを小さめにするのが特に有益である。例えば、Rを小さめにし長さ521を600mm未満とするのが特に有益である。
磁石の内半径511が100〜150mmのシステムについては、好ましくはRを2.85未満とすべきである。なお、従来のシステムにおけるRは例えば7を上回っていた。
そして、図6a及び図6bに高精度軌道システム530を示す。この高精度軌道システム530は、超電導磁石400に対して動かすことができるよう、図1に示したシステム(イオン源、イオン導路、計測セル及び計測セル支持構造物)を支持している。即ち、支持されている構造体は、図6a及び図6bそれぞれから読み取れる通り矢印線AA’沿いに超電導磁石400の室温ボア内へと移動させることができる。
FT−ICR質量分析計用計測セルを含めた質量分析システムを模式的に示す図である(但し明瞭化のためFT−ICR質量分析計用磁石は省略してある)。 図1のシステムのうち計測セルを含む部分をクローズアップしてより詳細に示す図である(但し真空保持系を除く)。 図2aのシステムを耐真空ハウジングと共に示す図である。 図1〜図2bの計測セルを更にクローズアップしてより詳細にまたそれ用の耐真空ハウジングと共に示す図である。 超電導磁石ボア内に装填された図1〜図3の計測セルを示す図である。 計測セルと超電導磁石ボアの軸方向及び半径方向における好適寸法比を示す図である。 図1〜図4のセルを図4の磁石内へと軌道沿いに動かした状態を示す図である。 図1〜図4のセルを図4の磁石外へと軌道沿いに動かした状態を示す図である。 図1のシステムにおける好適な電位分布を示す図である。

Claims (27)

  1. 磁石ボアを有する電磁石を有し、この電磁石により前記磁石ボアの長軸と概ね平行な磁力線を有する磁界を発生させる磁石アセンブリと、
    前記磁石ボアの長軸と同じ方向に且つ概ね同軸に延びるよう当該磁石ボア内に配置された計測セルであってそのセル壁により形成されるセル内空間に外部イオン源からのイオンを受け入れるFT−ICR用の計測セルと、
    を備え、セル内空間断面積及び磁石ボア断面積を共に前記磁石ボアの長軸に直交する平面内で定義したとき、当該セル内空間断面積に対する当該磁石ボア断面積の比Rが4.25未満となるICR(イオンサイクロトロン共鳴)質量分析計用計測セル磁石組合せ装置。
  2. 請求項1に記載の組合せ装置において、
    前記磁石ボア及び前記計測セルそれぞれが概ね直円筒状であり、前記磁石ボアの直径が150mm未満である組合せ装置。
  3. 請求項2に記載の組合せ装置において、
    前記磁石ボアの直径が100mm超であり比Rが2.85未満である組合せ装置。
  4. 請求項2に記載の組合せ装置において、
    前記磁石ボアの直径が100mm未満でありセル内空間を画定するセル壁の内径が少なくとも48.6mmである組合せ装置。
  5. 請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の組合せ装置において、
    更に、前記磁石アセンブリが前記電磁石を受容するハウジングを有し、このハウジングが前記磁石ボアより小さいハウジングボアを有し、このハウジングボアが前記計測セルを受容する組合せ装置。
  6. 請求項5に記載の組合せ装置において、
    前記電磁石が超電導磁石であり、使用時においては前記ハウジングが低温保持装置として機能し当該電磁石の巻線の温度を超伝導開始温度より低く保持する組合せ装置。
  7. 請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の組合せ装置において、
    更に、使用時に前記磁石ボア内に配置され前記計測セルを受容する真空化可能な室を備える組合せ装置。
  8. 請求項1乃至7のうち何れか1項に記載の組合せ装置において、
    前記計測セルの中心軸が軸方向における前記電磁石の幾何学的中心からずらされた組合せ装置。
  9. 請求項8に記載の組合せ装置において、
    前記磁石ボアの長軸方向における磁気的中心とその方向における幾何学的中心とが一致しないよう前記電磁石の巻線が非対称に巻かれた組合せ装置。
  10. 請求項1乃至9のうち何れか1項に記載の組合せ装置において、
    前記電磁石が前記磁石ボアの長軸方向に沿って少なくとも70mmの長さに亘り実質均等な磁界を発生させるよう配置されており、前記長軸方向における前記計測セルの長さが同じく少なくとも70mmである組合せ装置。
  11. 請求項1乃至10のうち何れか1項に記載の組合せ装置において、
    前記計測セルが、上流方向からイオンを受け取るための通過開口が形成された前面を有し、且つ、前記上流方向の位置から片持ち梁その他の形態で支持された組合せ装置。
  12. 請求項1乃至11のうち何れか1項に記載の組合せ装置において、
    前記計測セルが、上流方向からイオンを受け取るための通過開口が形成された前面と、当該前面と対向し且つ少なくとも1個の外部電気接続部材を有する後面と、セル内空間と交差する電界を発生させるための複数個の電極と、検出手段と、を有し、当該外部電気接続部材が電源側接続部材及び/又は検出信号処理手段のうち対応する少なくとも1個と接続される組合せ装置。
  13. 請求項11又は12記載の組合せ装置において、
    前記計測セルが前記磁石アセンブリに対して可動である組合せ装置。
  14. 分析すべきイオンを発生させるイオン源装置と、
    発生したイオンを受け取りトラッピングするイオン収蔵装置と、
    前記イオン源装置と前記イオン収蔵装置との間にあり前記イオン源装置から前記イオン収蔵装置内へと通りゆくイオンを合焦させ及び/又はフィルタリングするイオン光学系と、
    請求項1乃至13のうち何れか1項に記載の組合せ装置と、
    前記イオン収蔵装置と前記組合せ装置の前記計測セルとの間にあり前記イオン収蔵装置からのイオンを当該計測セル内での質量スペクトル分析のため前記計測セル内へと導路し合焦させるイオン導路手段と、
    を備えるICR(イオンサイクロトロン共鳴)質量分析計。
  15. 分析すべきイオンを発生させるイオン源と、
    発生したイオンを受け取るイオントラップと、
    前記イオン源から前記イオントラップ内へとイオンを導路するイオン光学系手段と、
    磁石ボア内で磁石前面より下流にある計測セル及びこの計測セル内に注入されたイオンを検出する検出手段を有するFT−ICR質量分析計と、
    前記イオントラップと前記FT−ICR質量分析計との間にあり前記イオントラップから放出されるイオンを前記FT−ICR質量分析計内での質量スペクトル発生のため前記FT−ICR質量分析計内へと導路するイオン導路手段と、
    前記イオン源と前記計測セル間でイオン加速用電界を発生させるための電源と、
    を備え、前記電源が、前記イオン源又は前記イオントラップからのイオンを運動エネルギーEまで加速する位置エネルギーを供給し且つ前記計測セルの前部のすぐ隣にあり前記磁石前面より下流にある位置のみにて当該イオンを減速する質量分析計。
  16. 請求項15に記載の質量分析計において、
    前記電源が、前記イオントラップから前記計測セルのすぐ前方の位置に至る経路の実質全体について、20eV超の運動エネルギーまでイオンを加速する質量分析計。
  17. 請求項15に記載の質量分析計において、
    前記電源が、前記イオン源から前記計測セルのすぐ前方の位置に至る経路の実質全体について、20eV超の運動エネルギーまでイオンを加速する質量分析計。
  18. 請求項16又は17に記載の質量分析計において、
    前記電源が、50eV超の運動エネルギーまでイオンを加速する質量分析計。
  19. 請求項15、16、17又は18の何れか1項に記載の質量分析計において、
    前記電源が、前記イオントラップから前記計測セルに至る距離のうち少なくとも90%について、又は前記イオン源から前記計測セルに至る距離のうち少なくとも90%について、前記運動エネルギーまでイオンを加速する質量分析計。
  20. 請求項15乃至19の何れか1項に記載の質量分析計において、
    前記イオン導路手段が注入用の多重極イオン導路を少なくとも1個有する質量分析計。
  21. 請求項20に記載の質量分析計において、
    前記イオン導路手段が注入用の多重極イオン導路を複数個有し、それら多重極イオン導路が互いに直列に連結された質量分析計。
  22. 請求項21に記載の質量分析計において、
    注入用の各多重極イオン導路の長軸とその前段及び/又は後段のイオン導路の長軸とが約0.1mm未満のずれで配列された質量分析計。
  23. 請求項20、21又は22の何れか1項に記載の質量分析計において、
    前記計測セルへと向かうイオンが通る前記多重極イオン導路内部空間の最大半径が4mm未満、好ましくは2.9mm未満である質量分析計。
  24. 請求項20乃至23の何れか1項に記載の質量分析計において、
    前記イオン導路手段はさらにイオンを合焦させるためのレンズを少なくとも1個有する質量分析計。
  25. (a)分析すべきイオンをイオン源にて発生させるステップと、
    (b)発生したイオンをイオントラップ内に導路するステップと、
    (c)前記イオントラップからイオンを放出させるステップと、
    (d)前記イオントラップから放出されたイオンを磁石ボア内にあり磁石前面より下流にある計測セルを有するFT−ICR質量分析計内へと導路するステップと、
    (e)前記イオン源又は前記イオントラップから前記FT−ICR質量分析計の計測セルまでイオンを加速するステップと、
    (f)前記計測セルのすぐ上流にあり磁石前面より下流にある位置のみにてイオンを減速するステップと、
    (g)前記計測セル内にてイオンを検出するステップと、
    を有する質量分析法。
  26. 請求項25に記載の質量分析法において、
    ステップ(e)が、20eV超好ましくは50eV超の運動エネルギーEまでイオンを加速するステップを含む質量分析法。
  27. 請求項25又は26に記載の質量分析法において、
    ステップ(e)が、前記イオントラップから前記計測セルに至る距離のうち90%を超える部分について及び/又は前記イオン源から当該計測セルに至る距離のうち90%を超える部分について、運動エネルギーEまでイオンを加速するステップを含む質量分析法。
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