JP2006328031A - 筋繊維タイプ移行抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃用性筋萎縮時において、特に筋萎縮が生じる遅筋に見られる現象である筋繊維タイプの遅筋型TypeIから速筋型TypeIIへの移行を阻止し、廃用性筋萎縮を抑制すると同時に、萎縮萎縮した筋肉の回復時における筋肉量の回復を促進する筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を提供する。
【解決手段】遅筋型TypeIから速筋型TypeIIと筋繊維タイプの移行を抑制と、廃用性筋萎縮した筋肉の筋肉量の回復促進に有効な果実由来ポリフェノールを有効成分とする廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプの移行を抑制する筋繊維タイプ移行抑制剤または廃用性萎縮した筋肉の筋肉量回復促進剤およびそれを含む飲食品、医薬品。
【選択図】 なし
【解決手段】遅筋型TypeIから速筋型TypeIIと筋繊維タイプの移行を抑制と、廃用性筋萎縮した筋肉の筋肉量の回復促進に有効な果実由来ポリフェノールを有効成分とする廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプの移行を抑制する筋繊維タイプ移行抑制剤または廃用性萎縮した筋肉の筋肉量回復促進剤およびそれを含む飲食品、医薬品。
【選択図】 なし
Description
本発明は果実より得られる筋繊維タイプ移行抑制剤に関し、特に廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプ移行を抑制し、廃用性筋萎縮の抑制効果と廃用性筋萎縮からの筋肉量の回復を促進する効果を有する筋繊維タイプ移行抑制剤および筋肉量回復促進剤に関する。
人体には、通常は、大小含めて約600を越える筋肉が存在しており、この筋肉を大別すると骨格筋、平滑筋、心筋に分けられる。骨格筋は人間が意識して動かせる筋肉であることから随意筋ともよばれ、心筋・平滑筋は不随意筋ともよばれている。この3種類の筋肉のうち、平滑筋や心筋は人の意思により動かすことはできないが、骨格筋は意思により自由に動かすことのできる筋肉であるため、筋肉を使わない状態が長期間に及ぶと廃用性筋萎縮をおこしてしまう。
廃用性筋萎縮とは、筋肉の不使用状態が長く続いた時に、筋肉量や筋力、骨量等が低下する現象で、ギプス固定や寝たきりに伴う長期伏臥、さらには宇宙遊泳等の無重力下で筋肉に負荷が懸からない状態が長く続いた時に生じる。またこのような廃用性筋萎縮は抗重力筋としての役割を果たす遅筋で顕著に見られ、その際に筋繊維タイプが遅筋型のTypeIから速筋型のTypeIIに移行する現象が見られる。筋繊維タイプのうち、速筋型のTypeIIは瞬発力を引き出すために使われる筋肉であり、遅筋型のTypeIは持久力を引き出すときに使われる筋肉であり、この遅筋型のTypeIは人の体を支えるなどの基本的、持続的な活動を支えている。廃用性筋萎縮により、筋肉量の低下とあわせて筋繊維タイプが遅筋型のTypeIから速筋型のTypeIIに移行することにより、長期伏臥の後、立って歩けなくなるなど日常生活での支障をきたす原因ともなっている。
このような廃用性筋萎縮進行後も、再び重力が負荷される(再負荷ともいう)と、筋肉量や筋力は回復に転じることが知られている。筋肉量や筋力を増強する物質としては、アナボリックステロイド(蛋白同化ステロイド)や成長ホルモン等が存在するが、肝機能異常や心筋梗塞、行動変化・毛髪の消失・男性の女性化、女性の男性化等といった重篤な副作用が引き起こされるため、廃用性筋萎縮抑制や廃用性筋萎縮からの筋肉量の回復促進を目的とした利用には適していない。
ところで廃用性筋萎縮時には、萎縮した筋肉内での脂質過酸化反応生成物や酸化ストレスが増加することが報告されているため(非特許文献1)、抗酸化活性を有する物質の投与が筋萎縮抑制や筋萎縮した筋肉の回復促進効果を有する可能性があると考えられるので、重篤な副作用がない物質として、天然由来の抗酸化物質が望まれる。
一方、果実から得られる果実ポリフェノールには高い抗酸化活性があることが報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。また、ポリフェノールによる廃用性筋萎縮に対する効果として、果実ポリフェノールを有効成分とする筋萎縮抑制組成物および廃用性筋萎縮時の骨重量および骨塩量低下抑制組成物(特許文献4)や、プロアントシアニジンを有効成分と含有する筋肉萎縮抑制剤(特許文献5)の報告がある。
Kondo,H.et al.,Acta.Physiol.Scand.,142,527−528(1991) 特開平7−285876号公報
特開2002−47196号公報
特開平9−175982号公報
特開2001−89387号公報
特開2002−338464号公報
Kondo,H.et al.,Acta.Physiol.Scand.,142,527−528(1991)
しかしながら、特許文献1乃至3には、酸化防止効果、血圧降下効果、抗変異原生作用、アレルギー抑制効果等は記載されているが、筋萎縮抑制効果や筋萎縮した筋肉の回復促進効果については言及されていない。また、特許文献4、5には、筋萎縮時における萎縮抑制効果にしか言及されておらず、再負荷による回復時での効果の検証は為されていない。また筋萎縮時に生じる遅筋の筋繊維タイプの移行に関しても、調査検討が為されていない。そこで、廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプについての調査や回復時における効果も踏まえた検討をした上で、骨折等のギプス治療や入院による安静加療時の筋萎縮からの回復促進だけでなく、今後の高齢化社会における寝たきりの予防や解消によるQOL(Quality Of Life;生活の質)維持向上のためにもリハビリ増進効果を有する天然由来の廃用性筋萎縮抑制剤や筋萎縮からの回復促進剤の開発が求められていた。
本発明の目的は、廃用性筋萎縮時において、特に筋萎縮が生じる遅筋に見られる現象である筋繊維タイプの遅筋型TypeIから速筋型TypeIIへの移行を阻止し、廃用性筋萎縮を抑制すると同時に、萎縮した筋肉の回復時における筋肉量の回復を促進する筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題について鋭意検討した結果、果実由来ポリフェノール、特にリンゴ由来ポリフェノールが、廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプの移行を抑制し、筋萎縮時における筋肉量低下を抑制する効果と共に、萎縮からの回復時における顕著な筋肉量回復促進効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)果実由来ポリフェノールを有効成分とする廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプの移行を抑制する筋繊維タイプ移行抑制剤。
本発明の果実由来ポリフェノールは、例えば、果実を搾汁後清澄化し、スチレンジビニルベンゼン系の合成吸着樹脂等が充填されたカラムへ通液してポリフェノール成分を吸着させ、これを水洗浄し、糖類や有機酸類を完全除去するようにしてから、含水エタノールによって溶出することにより得られる。このようにして得られた果実ポリフェノールは、高い抗酸化活性があり、廃用性筋萎縮時において、特に筋萎縮が生じる遅筋に見られる現象である筋繊維タイプの遅筋型TypeIから速筋型TypeIIへの移行を阻止して廃用性筋萎縮を抑制すると同時に、萎縮した筋肉の回復時における筋肉量の回復を促進する作用を有し、廃用性筋萎縮の予防剤や筋萎縮した筋肉の回復のための治療剤として用いることができる。
(2) 前記筋繊維タイプが遅筋型のTypeIから速筋型のTypeIIに移行するのを抑制する(1)に記載の筋繊維タイプ移行抑制剤。
本発明によれば、廃用性筋萎縮の際に、抗重量筋としての役割を果たす遅筋の減少が抑制されるので、体を支えるなどの基本的、持続的な活動を支える筋力が維持されることにつながる。これが体のバランス能力の維持につながり、転倒する危険を低下させることになる。
(3) 果実由来ポリフェノールを有効成分とする廃用性筋萎縮した筋肉の筋肉量回復促進剤。
(4) 果実由来ポリフェノールを有効成分とするリハビリ増進用筋肉量回復促進剤。
本発明の果実由来ポリフェノールは、上記のように萎縮した筋肉の回復を促進する効果を有するので、ギブス固定や寝たきりなどの長期伏臥等で廃用性筋萎縮した筋肉を元に戻すためのリハビリが増進され、早期に治療されることになる。
(5) 前記ポリフェノールは、プロシアニジン類が高含有されているものである(1)から(4)いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤。
本発明によれば、ポリフェノールに含有されるプロシアニジン類の強い抗酸化作用により、筋萎縮が抑制され、また、筋萎縮した筋肉の回復が促進されることになる。プロシアニジン類が高含有されるポリフェノールを含有する果実としては、ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等のベリー類、イチゴ、クロフサスグリ、チェリー、ブドウ、ネクタリン、プラム(梅)、アプリコット、キーウィ、アボガド、マンゴー、デーツ(ナツメヤシ)、バナナ等があるが、リンゴ、ナシ、モモ等のバラ科に属する果実、特にリンゴ由来のものが好ましい。また果実としては成熟果実、未熟果実いずれであってもよいが、より多くのポリフェノール化合物を含むこと、および広範な生理作用を有する各種活性成分を多量に含むことからから、リンゴ未熟果が特に好ましい。さらには、リンゴ野生種(Crab Apple)であってもよい。ここで「未熟果」というのは、商品として店頭に陳列される以前の果実のことを意味し、このような未熟果はそれ自体としては商品価値を有さずに捨てられていたものであることから、資源の有効利用にもつながる。
また、リンゴポリフェノールの組成としては、プロシアニジン類(カテキン類のオリゴマーが中心の重合体で2〜15量体)が主体で、さらにフェノールカルボン酸(カフェー酸、クロロゲン酸、p−クマロイルキナ酸、没食子酸等)、カテキン類(フラバノール類)、その他のフラボノイド類(フラボノール類、カルコン類、フラボン類、イソフラボン類等)などにより大部分が占められることを本発明者らは確認している。
(6) 前記筋肉(筋)は骨格筋である(1)から(5)いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤。
筋肉を大別すると骨格筋、平滑筋、心筋に分けられ、骨格筋は人間が意識して動かせる筋肉であることから随意筋ともよばれ、心筋・平滑筋は不随意筋ともよばれている。この3種類の筋肉のうち、平滑筋、心筋は人の意思により動かすことはできないが、骨格筋は意思により自由に動かすことのできる筋肉であるため、筋肉を使わない状態が長期間に及ぶと廃用性筋萎縮をおこしてしまうことになる。従って、本発明の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤は、この骨格筋の筋萎縮の抑制および筋肉量回復の促進することができる。
(7) 前記果実はリンゴである(1)から(6)いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤。
(8) (1)から(7)いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を含有する飲食品。
本発明の飲食品を摂取することで、ギブス固定や長期横臥等により廃用性筋萎縮した筋肉の回復を促進できる。また、抗重量筋である遅筋の減少による筋力の低下、特に、高齢者においては体を支えるなどの基本的、持続的活動を支える筋力の低下を予防することができる。
(9) (1)から(7)いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を含有する医薬品。
本発明の医薬品を投与することで、廃用性筋萎縮した筋肉の回復が促進されるので、リハビリ効果を高め、廃用性筋萎縮した筋肉を早期に治療できる。
(10) リンゴ由来ポリフェノールを用いて、廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプの移行を抑制して廃用性筋萎縮を予防する方法。
(11) リンゴ由来ポリフェノールを用いて、廃用性筋萎縮した筋肉の筋肉量回復を促進する方法。
(12) リンゴ由来ポリフェノールを筋繊維タイプ移行抑制剤の製造のために使用する方法。
(13) リンゴ由来ポリフェノールを筋肉量回復促進剤の製造のために使用する方法。
本発明の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤は、天然物由来の果実ポリフェノールを有効成分とするものであるので、副作用が少なく生体にとって安全性が高い。また、これを摂取することで骨折等のギブス治療や入院による安静加療による廃用性筋萎縮した筋肉の回復を促進し、リハビリ増進効果を高めることはもとより、酸化ストレスの関与と考えられる筋萎縮に対して筋肉量の低下、特に遅筋型のタイプIの筋繊維の減少を抑制することが期待できる。この筋肉量の低下を抑制することは、体を支えるなどの基本的、持続的な活動を支える筋力の低下を抑制することにつながる。特に、高齢者においてはこの筋力の維持は体のバランス能力を維持することにつながり、転倒する危険を低下させたり、転倒による骨折やこれによって寝たきりの生活を強いられる危険を予防することにもつながる。
本発明の果実由来ポリフェノール(果実ポリフェノールと称する)の原料となる果実とは、バラ科に属する果実であるが、具体的には例えば、リンゴ、ナシ、モモ等が挙げられ、特にリンゴが好ましい。また、果実としては成熟果実、未熟果実ともに用いることができるが、より多くのポリフェノール化合物を含有すること、および広範な生理作用を有する各種活性成分を多量に含むことから、未熟果実が特に好ましい。
リンゴ果実からの搾汁方法としては原料を洗浄し、そのまま、または亜硫酸を添加しながら破砕、圧搾により果汁を得、遠心分離、濾過などにより清澄果汁を調製できる。清澄果汁は適宜、公知の手法により濃縮しても良い。リンゴ由来ポリフェノール(リンゴポリフェノールと称する)成分の抽出方法としては、得られた果汁を原料として用いても良いが、リンゴ果実をアルコール類と混合して破砕し、そのまま浸漬し、圧搾、または加熱還流しながら抽出し、次いでアルコールを溜去した後、遠心分離および濾過、またはヘキサン、クロロホルムなどの有機溶媒による分配および濾過を行い、清澄抽出物を得る方法を挙げることができる。
また、得られた清澄果汁や清澄抽出液の精製方法としては、ポリフェノール類を選択的に吸着且つ溶離できる吸着剤、例えばスチレンジビニルベンゼン系の合成吸着樹脂、陰イオン交換樹脂などが充填されたカラムに上記の清澄果汁または清澄抽出液を通すことによりポリフェノール成分を吸着させる。次いで、蒸留水によってカラムを洗浄した後、20〜100%、好ましくは40〜60%のアルコール溶液をカラムに通液することによりポリフェノール成分を溶出、回収できる。得られたアルコール溶液画分からアルコールを溜去すると粗リンゴポリフェノール画分となる。
また、粗リンゴポリフェノール画分からプロアントシアニジン画分を得るには、得られた粗リンゴポリフェノール画分を酢酸メチルを液相として用いた固液抽出によりプロシアニジン2〜5量体画分と6量体以上画分に分離精製することで可能である。酢酸メチルに抽出されないプロシアニジン6量体以上画分は、公知の方法により酢酸メチルを溜去する。酢酸メチルに抽出されたプロシアニジン2〜5量体画分は公知の方法により抽出溶液を濃縮した後、蒸留水に溶解させる。更に、プロシアニジン2〜5量体画分は順相クロマトグラフィーにより重合度別(分子量別)に分離精製し、重合度数の均一なプロシアニジンオリゴマーを得ることができる。
上記で得られたリンゴポリフェノールの組成としては、フェノールカルボン酸類(クロロゲン酸、カフェー酸、p−クマル酸とそのエステル体等)、カテキン酸((+)−カテキン、(−)−エピカテキン)、カテキンの寡量体であるプロアントシアニジン類(プロシアニジンB1、プロシアニジンB2、プロシアニジンC1等)、高分子型プロアントシアニジン(7量体以上)、カルコン類(フロリジン、フロレチンキシログルコシド等)などと、多成分が含有されている。これら成分の含量の一例として、プロシアニジン類が約50%、フェノールカルボン酸類が約20%、カテキンが約9%、その他のフラボノイドが約8%、その他5%が挙げられる。
従って、本発明で得られるリンゴポリフェノールは種々の生理機能を有する可能性があると考えられるが、本発明者らが鋭意検討した結果、第一に、このリンゴポリフェノールには、廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプの移行を抑制し、筋萎縮時における筋肉量低下を抑制する筋萎縮抑制剤としてきわめて有効なものであること、また第二に、萎縮した筋肉の回復を促進する筋肉量回復促進剤として極めて有効なものであることを確認している。
このようにして調製されたリンゴポリフェノールは、そのまま、あるいは従来からの筋肉量や筋力を増強する物質と混合して医薬品として用いることができる。これら医薬品は、公知の方法により錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤などの経口剤、注射剤などの非経口剤とすることができる。この際、製薬化において用いられることが知られている種々の添加剤を用いることもできる。
また、食品一般に添加して好適に用いることができる。具体例としては、アルコール飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、コーヒーや紅茶などの清涼飲料、アイスクリーム、飴、ガム、菓子、パン、麺類などに用いることができる。
医薬品は経口剤として錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤等がある。これらの製品を医薬品として人体に投与するときは、製剤の種類、加工状況、被投与者の症状、体調、身長、体重等により異なるが、1日あたり50〜2000mg、好ましくは100〜1000mgの量を1日に1ないしは数回投与し、十分にその効果を奏し得るものである。
本発明の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を含有した医薬品は、通常の方法で、不活性な、無毒性で薬学的に適当な賦形剤、または溶剤を用いて、通常の配合例、例えば錠剤、カプセル、糖衣剤、丸薬、タブレット、細粒剤、エアロゾル、シロップ、乳化液、懸濁剤および液剤にすることができる。治療に有効な上記抑制剤または促進剤は、それぞれの場合、配合剤全体に対してポリフェノール量として約5〜100重量%、好ましくは約5〜50重量%の濃度、すなわち上述した効果を達成するのに十分な量を含むよう存在することができる。この配合剤は、例えば上記抑制剤または促進剤を溶媒および/または賦形剤で、もし適当ならば乳化剤および/または懸濁剤を用いて増量して製造される。希釈剤として水を使用する場合は、もし適当ならば、補助溶剤として有機溶剤を使用することもできる。補助剤として、例えば水、非毒性有機溶剤、例えばパラフィン(例えば石油溜分)、植物油(例えば落花生油、胡麻油)およびアルコール類(例えばエタノールおよびグリセリン)、賦形剤、例えば粉末にした天然鉱物(例えばクレー、アルミナ、タルクおよびチョーク)、粉末状合成鉱物(例えば高度分散性シリカおよび硅酸塩)、糖類(例えばショ糖、ラクトースおよびデキストロース)、乳化剤(例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩)、懸濁剤(例えばリグニン亜硫酸廃棄液、メチルセルロース、澱粉およびポリビニールピロリドン)および滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸およびラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
投与は通常の方法、好ましくは経口で用いられるか、または非経口的にも投与される。また、特別な場合、経舌的にまたは静脈内に行うこともできる。注射用媒体としては、特に水を使用し、これは注射溶液で常用の安定化剤、溶解補助剤および/または緩衝液を含有する。このような添加剤は、例えば酒石酸塩緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、エタノール、ジメチルスルホキシド、錯化剤(例えばエチレンジアミンテトラ酢酸)、粘度調整のための高分子ポリマー(例えば液状ポリエチレンオキシド)、または水素化ソルビタンのポリエチレン誘導体である。経口投与の場合、特に水性懸濁剤の場合、矯味矯臭剤あるいは着色剤を先に挙げた補助剤とともに活性化合物に添加することができる。
本発明の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を含有した飲食品は、上記製剤の形態でもよいが、固形食品、半流動食品、ゲル状食品、飲料などあらゆる食品形態にすることが可能であり、例えば、常用されている任意の基材を用いてアルコール飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、コーヒーや紅茶などの清涼飲料、アイスクリーム、飴(キャンディー)、ガム、菓子、パン、麺類などとすることができる。これらの食品形態でそれぞれの食品原料に所要量を加えて、一般の製造法により加工製造することもできる。この際の好ましい配合量は特に限定されないが、各種飲食品の特性、嗜好性、摂取量、安全性、経済性等を考慮すれば、0.5〜20重量%であり、好ましくは1〜5重量%配合するのがよく、目的に応じて適当な製造工程の段階で適宜配合すればよい。
本発明の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を含有する飲食品は、廃用性筋萎縮の予防や廃用性筋萎縮した筋肉の回復治療、健康維持等に用いられ、その摂取量は、特に限定するものでないが、1日当たりの量として50〜2000mg、好ましくは100〜1000mgを含む加工品として摂取される。
これらの飲食品に筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を添加する際には、筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を粉末のまま添加してもよいが、好ましくは1〜2%の水溶液またはアルコール水溶液の溶液あるいはアルコール溶液として添加することが望ましい。
また、本発明の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を含有した飲食品は、その食品形態に応じて種々の成分を配合することができる。
ここで言う種々の成分とは、澱粉、コーンスターチ、デキストリン、シュークロース、グルコース、フラクトース、マルトース、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、カルシウム塩類、ビタミンB群、アスパルテーム、キシリトール、ソルビトール、ソルビタン脂肪酸エステル、L-アスコルビン酸、α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸、酒石酸、りんご酸、コハク酸、乳酸、アラビアガム、カラギナン、ペクチン、アミノ酸類、酵母エキス、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン、プロピレングリコール、カゼイン、ゼラチン、寒天、色素、香料、保存料等を意味する。
以下に、実施例を挙げてさらに詳しく本発明について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1](果実からの筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤の調製)
リンゴ幼果(摘果)1,000kgを洗浄後、酸化防止剤としてメタ重亜硫酸カリウムを600ppmとなるように添加しながら、破砕機(ハンマークラッシャーまたはハンマーミル)を用いて破砕した。破砕した果実を圧搾機(ベルトプレス)で搾汁した。続いて、該搾汁800Lにペクチン分解酵素(ペクチナーゼ)を48,000(単位)(1L当たり60単位)添加し、40〜50℃で一晩放置して、清澄化させた果汁を得た。こうして得た果汁を遠心分離して固形分を除き、さらに清澄度を向上させた。
リンゴ幼果(摘果)1,000kgを洗浄後、酸化防止剤としてメタ重亜硫酸カリウムを600ppmとなるように添加しながら、破砕機(ハンマークラッシャーまたはハンマーミル)を用いて破砕した。破砕した果実を圧搾機(ベルトプレス)で搾汁した。続いて、該搾汁800Lにペクチン分解酵素(ペクチナーゼ)を48,000(単位)(1L当たり60単位)添加し、40〜50℃で一晩放置して、清澄化させた果汁を得た。こうして得た果汁を遠心分離して固形分を除き、さらに清澄度を向上させた。
次いで、該果汁を、スチレンジビニルベンゼン系合成吸着樹脂カラム(商品名:Sepabeads SP−850、三菱化学社製)に通液、負荷した。果汁通液が終了後、カラムを洗浄するために脱イオン水を1〜2カラム容量通液して洗浄し、続いて50〜65容量%エタノールを1〜2カラム容量通液し、樹脂に吸着したリンゴポリフェノール類を溶出した。得られたリンゴポリフェノール溶液を、減圧濃縮機で濃縮した後、脱アルコール処理を行い、固形分含量が20(w/v)%のリンゴポリフェノール濃縮液24Lを得た。この濃縮液をスプレードライヤーで噴霧乾燥を行い、リンゴポリフェノール製剤3.4kgを得た。
[実施例2](リンゴポリフェノールによる廃用性筋萎縮抑制および筋肉量回復促進効果)
実験例1で得られたリンゴポリフェノールについて、Wistar系ラット(日本クレア社 雄7週齢)を用いて、廃用性筋萎縮した筋肉の筋肉量回復の促進効果、筋繊維タイプ移行の抑制効果および廃用性筋萎縮の抑制効果を調べた。
実験例1で得られたリンゴポリフェノールについて、Wistar系ラット(日本クレア社 雄7週齢)を用いて、廃用性筋萎縮した筋肉の筋肉量回復の促進効果、筋繊維タイプ移行の抑制効果および廃用性筋萎縮の抑制効果を調べた。
まず、Wistar系ラットを予備飼育し、予備飼育1週間後に対照群(cont群と称する)、後肢懸垂群(HS:Hindlimb suspension群と称する)、後肢懸垂+AP(リンゴポリフェノール)投与群(HS+AP群と称する)の3群に分けた。
HS群およびHS+AP群は予備飼育終了後、後肢懸垂法による筋萎縮を生じさせ、後肢懸垂10日後に再び通常の飼育方法に戻した(再負荷と称する)。基本飼料は表1に示した成分組成のAIN−93M(オリエンタルバイオサービス社製)を用い、HS+AP群には基本飼料AIN−93Mに実施例1で得られたリンゴポリフェノールを5%添加した飼料を与えた。cont群は後肢懸垂を行わないで、引き続き基本飼料AIN−93Mを与えて飼育した。尚、後肢懸垂法とは、後肢を懸垂し廃用性筋萎縮を惹起させることであって、後肢懸垂中は、ラットは前肢にて飼育ケージ内を移動可能であり、水と餌料は自由に摂取させた。
試験開始時、後肢懸垂10日時、再負荷3日時、再負荷10日時に各群を4〜5匹ずつ解剖し、採血と後肢筋肉の採材と重量測定を行った。廃用性筋萎縮時には、特に抗重力筋としての役割を持つ遅筋での筋肉量低下が顕著に見られるので、後肢筋肉部の中で遅筋に相当するヒラメ筋(右足)について重量を測定し、各群についてラットの体重あたりのヒラメ筋重量を算出して図1に示した。また、HS群およびHS+AP群についての筋萎縮率を図2に示した。筋萎縮率は、式1に示す計算式により、HS群およびHS+AP群の単位体重当たりヒラメ筋重量に対するcont群の単位体重当たりヒラメ筋重量の差から算出した。
図1および図2に示すように、対照群(cont)と比較すると、後肢懸垂10日目ではHS群のヒラメ筋重量が著しく減少し、筋萎縮率が約34%程度までに萎縮していたが、HS+AP群では、その減少が抑制され、筋萎縮率も約22%程度と小さい結果で、筋萎縮抑制効果が認められた。さらに再負荷3日後ではHS+AP群はHS群に比較すると筋肉量回復が促進されており、また、筋萎縮率も約10%と大幅に回復された。さらに、再負荷10日後では、cont群を上回る筋肉量となっており、リンゴポリフェノールによる筋肉量回復の促進効果が認められた。
[実施例3](リンゴポリフェノールによる廃用性筋萎縮時における筋繊維タイプ移行抑制効果)
上記実施例2にて、後肢懸垂10日時に採材したヒラメ筋について、ATPase染色法により筋断面積に占める遅筋部分(TypeI)と速筋部分(TypeII)との比率を算出し、後肢懸垂10日時における廃用性筋萎縮時における各群についてラットのヒラメ筋の筋断面積に占める遅筋部分(TypeI)と速筋部分(TypeII)との比率を図3に示した。尚、ATPase染色は以下のように行った。
上記実施例2にて、後肢懸垂10日時に採材したヒラメ筋について、ATPase染色法により筋断面積に占める遅筋部分(TypeI)と速筋部分(TypeII)との比率を算出し、後肢懸垂10日時における廃用性筋萎縮時における各群についてラットのヒラメ筋の筋断面積に占める遅筋部分(TypeI)と速筋部分(TypeII)との比率を図3に示した。尚、ATPase染色は以下のように行った。
まず、各個体からヒラメ筋を採材し、筋繊維に対して垂直方向にミクロトーム用のブレードで切断した後、液体窒素中で凍結させた。次に−20〜−30℃に冷却したミクロトーム内で厚さ10μmの薄切切片を裁断してスライドグラス上に貼り付け、ドライヤーを用いて冷風乾燥させて、ATPase染色用標本を作成した。次に、作成した標本を染色壷中で、15分間予備保温した後、水で洗浄してATP溶液で15分間反応させた。次に1%塩化カルシウム溶液にて3分間洗浄を3回行った後、2%塩化コバルト溶液で10分間反応させた。引き続き、0.1Mバルビタールナトリウム溶液の1/20希釈液にて洗浄操作を3回繰り返した後、水で十分洗浄を行った。次に2%(v/v)硫化アンモニウム溶液に浸し、水にて洗浄した後、アルコールで脱水し、封入してATPase染色を施した筋横断切片とした。次いで、このATPase染色を施した筋横断切片の染色映像を顕微鏡撮影にて画像取り込みを行った後、画像解析ソフトSION−IMAGE(Scion社製)を用いて、黒く染まったTypeII部分(速筋)と肌色のTypeI部分(遅筋)との面積を算出した。
その結果、図3に示すように、cont群と比較して、HS群ではTypeII部分が占める比率が25%から29%に増加したのに対し、HS+AP群では、TypeII部分の占める割合が23%であった。このようにHS+AP群ではTypeII部分の増加が抑制され、筋萎縮時に見られる遅筋の速筋化が抑制されていることが明らかとなり、筋萎縮時においても、リンゴポリフェノール投与によりヒラメ筋が抗重力筋としての機能を保持できている可能性が示唆された。
[実施例4](筋萎縮回復時における遺伝子発現調査)
筋萎縮時および回復時におけるリンゴポリフェノール投与の影響を評価するために、ヒラメ筋の遺伝子発現変動をDNAマイクロアレイ法を用いて調査した。尚、筋萎縮時については後肢懸垂10日終了時、回復時については再負荷3日時で調査した。
筋萎縮時および回復時におけるリンゴポリフェノール投与の影響を評価するために、ヒラメ筋の遺伝子発現変動をDNAマイクロアレイ法を用いて調査した。尚、筋萎縮時については後肢懸垂10日終了時、回復時については再負荷3日時で調査した。
実施例2で飼育したラットについて、後肢懸垂10日終了時および再負荷3日時に解剖を行って、ヒラメ筋を採材し、採材したヒラメ筋を液体窒素中で凍結させ、ホモジナイザー等を用いて粉砕した後、RNeasy mini kit(QIAGEN社製)を用いて、total RNAを抽出した。total RNAからLow RNA Input Fluorescent Linear Amplification Kit(Agilent社製)を用いてCyanine 3−CTP或いはCyanine 5−CTPでラベル化したcRNAを作製した。作製したcRNAをRat Oligo Microarray Kit(Agilent社製)に供試し、DNAマイクロアレイ法による網羅的な遺伝子発現調査を行った。色素交換法によってcont群に対する筋萎縮時および回復時におけるヒラメ筋の遺伝子発現変動を算出し、特に顕著な傾向を示したメタロチオネイン関連遺伝子とヒートショック蛋白質関連遺伝子に着目し、HS群とHS+AP群とを対比してメタロチオネイン関連遺伝子の発現変動を表2に、また、ヒートショック蛋白質関連遺伝子の発現変動を表3に示した。
メタロチオネインは、亜鉛や銅、カドミウム、水銀等の重金属を摂取した時に誘導される蛋白質で、生体内の亜鉛や銅濃度の恒常性を維持すると同時に、過剰な重金属や有害重金属、さらにはフリーラジカルや活性酸素を補足して生体防御機能を発揮する役割を担うことが知られている。一方のヒートショック蛋白質は、平常状態の細胞内にも広く分布する蛋白質であるが、温熱、感染、放射線等の種々のストレスによっても誘導され、蛋白の変性を抑制すると共に変性した蛋白の修復を行うことが知られている。この各種ストレスによって誘導され、生体防御機能を持つ蛋白質の発現が、後肢懸垂10日後においてcont群と比較するとメタロチオネイン関連遺伝子では約6倍程度、ヒートショック蛋白質では約10倍程度上昇する傾向が見られたが、その傾向は、HS+AP群にみられるように、リンゴポリフェノールを投与することにより、さらに増幅され、メタロチオネイン関連遺伝子では約35倍程度、ヒートショック蛋白質では約30倍程となった。これは、廃用性筋萎縮時には酸化ストレスを始めとする様々なストレスを受けているため、ストレス応答蛋白質の発現が上昇したと考えられるが、リンゴポリフェノール投与によって、その発現量がさらに上昇したことにより、ストレスに対する防御機能や修復機能が増強されたと考えられる。すなわち、リンゴポリフェノールは筋萎縮時に被るストレスを低減する効果を発揮し、筋萎縮時における筋肉量低下の抑制や回復促進効果を導いたと考えられる。
[実施例5](筋萎縮回復時における酸化ストレスマーカーの変動)
廃用性筋萎縮時および回復時における酸化ストレスマーカーの挙動として、実施例2で飼育した後肢懸垂10日および再負荷3日の各群のラットについて、血漿中のTBARS(過酸化脂質)量とNO量を測定して、筋萎縮回復時における酸化ストレスに対するリンゴポリフェノール投与による影響を調査した。尚、TBARS量は以下の方法で測定した。
廃用性筋萎縮時および回復時における酸化ストレスマーカーの挙動として、実施例2で飼育した後肢懸垂10日および再負荷3日の各群のラットについて、血漿中のTBARS(過酸化脂質)量とNO量を測定して、筋萎縮回復時における酸化ストレスに対するリンゴポリフェノール投与による影響を調査した。尚、TBARS量は以下の方法で測定した。
ねじ蓋付遠心チューブ(1.5ml容)に0.5%BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)/酢酸溶液を10μl添加した後、血漿サンプル200μlを添加し0.5%TBA(チオバルビツール酸)溶液300μlを加えた。攪拌後、5℃で60min静置した後、100℃で20分間加熱を行なった。放冷後、クロロホルム500μlを添加して激しく攪拌後、遠心分離を行い、上層部分を採取して波長532nmの吸光度を測定した。TBARS量は別途マロンジアルデヒド標品で検量線を作成し、マロンジアルデヒド(MDA;過酸化脂質の一種)量に換算して算出し、各群について筋萎縮時(懸垂10日後)および回復時(再負荷3日後)における血漿中のTBARS量をMDA量換算で図4に示した。
図4に示すように、後肢懸垂10日後にHS群ではcont群よりもTBARS量が約0.7nM程度増加したが、HS+AP群ではその上昇が約0.3nMと抑制された。さらに再負荷3日後の回復時には、その抑制傾向がより顕著となり、リンゴポリフェノール投与により、筋萎縮時や回復時おける酸化ストレス低減効果が確認された。
次に、同じく酸化ストレスマーカーとして、血漿中のNO量(一酸化窒素量)をNO2/NO3 Assay Kit−CII(同仁化学研究所製)を用いて測定し、各群について筋萎縮時(懸垂10日後)および回復時(再負荷3日後)における血漿中のNO量を(NO2+NO3)量として図5に示した。
図5に示すように、後肢懸垂10日後にHS群でcont群に比べNO量が約16μmol/L程度増加したのに対し、HS+AP群ではその上昇が約6μmol/L程度と抑制された。再負荷3日後の回復時には、HS群とHS+AP群でその差は殆んど無かったが、後肢懸垂後の筋萎縮時においてリンゴポリフェノール投与することでNO量が減少したことより、筋萎縮時における酸化ストレス低減効果が確認された。
このように、筋萎縮時および回復時におけるリンゴポリフェノールの投与は、ストレス応答蛋白質の防御機能増強や酸化ストレスの低減効果によって、筋繊維タイプの移行を抑制し、廃用性筋萎縮時における筋肉量低下防止効果や再負荷時における回復促進効果を示した。
これにより、リンゴポリフェノールは骨折時等のギプス治療や入院による安静加療時の長期伏臥に起因する筋萎縮からの回復促進のみならず、今後の高齢化社会における寝たきり予防や解消によるQOL維持の向上のために有効な天然由来で安全な筋萎縮抑制材および回復促進剤を広く提供することができる。
[実施例6] 飴
表4に示す各重量部の各成分を用い、常法に従って飴とした。
表4に示す各重量部の各成分を用い、常法に従って飴とした。
[実施例7] ジュース
表5に示す各重量部の各成分を用い、常法に従ってジュースとした。
表5に示す各重量部の各成分を用い、常法に従ってジュースとした。
[実施例8] クッキー
表6に示す各重量部の各成分を用い、常法に従ってクッキーとした。
表6に示す各重量部の各成分を用い、常法に従ってクッキーとした。
Claims (13)
- 果実由来ポリフェノールを有効成分とする廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプの移行を抑制する筋繊維タイプ移行抑制剤。
- 前記筋繊維タイプが、遅筋型のTypeIから速筋型のTypeIIに移行するのを抑制する請求項1に記載の筋繊維タイプ移行抑制剤。
- 果実由来ポリフェノールを有効成分とする廃用性筋萎縮した筋肉の筋肉量回復促進剤。
- 果実由来ポリフェノールを有効成分とするリハビリ増進用筋肉量回復促進剤。
- 前記ポリフェノールは、プロシアニジン類が高含有されているものである請求項1から4いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤。
- 前記筋肉(筋)は骨格筋である請求項1から5いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤。
- 前記果実はリンゴである請求項1から6いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤。
- 請求項1から7いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を含有する飲食品。
- 請求項1から7いずれか記載の筋繊維タイプ移行抑制剤または筋肉量回復促進剤を含有する医薬品。
- リンゴ由来ポリフェノールを用いて、廃用性筋萎縮時の筋繊維タイプの移行を抑制して廃用性筋萎縮を予防する方法。
- リンゴ由来ポリフェノールを用いて、廃用性筋萎縮した筋肉の筋肉量回復を促進する方法。
- リンゴ由来ポリフェノールを筋繊維タイプ移行抑制剤の製造のために使用する方法。
- リンゴ由来ポリフェノールを筋肉量回復促進剤の製造のために使用する方法。
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