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JP2006260810A - 固体高分子電解質形燃料電池 - Google Patents

固体高分子電解質形燃料電池 Download PDF

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JP2006260810A
JP2006260810A JP2005073164A JP2005073164A JP2006260810A JP 2006260810 A JP2006260810 A JP 2006260810A JP 2005073164 A JP2005073164 A JP 2005073164A JP 2005073164 A JP2005073164 A JP 2005073164A JP 2006260810 A JP2006260810 A JP 2006260810A
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Akihiro Kabasawa
明裕 樺澤
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Abstract

【課題】単セルの膜電極接合体に加わる加圧力がほぼ均一に保持され、応力集中による電解質膜の破損が回避されて、長期間安定して運転できる燃料電池を提供する。
【解決手段】保護シート4で挟んだ電解質膜1と拡散層3Aと触媒層2Aとからなる膜電極接合体の外表面が、触媒層2Aの形成領域に対向して配された第一の平面T1と、第一の平面T1より高さの低い第二の平面T2からなるものにおいて、この膜電極接合体を挟持するセパレータ6Aを、その内面に、第一の平面T1に対向して接する第三の平面S1と、第二の平面T2に対向して接する、第三の平面S1より高さの高い第四の平面S2とを備える構成とし、炭素複合材料の表面をブラストして形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質層に固体高分子膜を用いる固体高分子電解質形燃料電池に係わり、特に、セル内部の電気損失が小さく、かつ、応力集中による固体高分子電解質膜の破損が回避される構成の固体高分子電解質形燃料電池に関する。
固体高分子電解質形燃料電池は、電解質層に固体高分子膜を用いる燃料電池で、出力密度が高い、電池寿命が長いなどの優れた特徴を持つ。この方式の燃料電池は、複数個の単セルを積層して構成されており、通常、各単セルは、図5の断面模式図に示したごとく、中心部に固体高分子電解質膜を配置した膜電極接合体(以下、MEAと称す)を、ガス流路を備えた2枚のセパレータ6で挟持して構成されている。このうちMEAは、集電とガス拡散の機能を果たす拡散層3に触媒層2を形成して構成した電極を、枠状の保護シート4に支持された固体高分子電解質膜1の両面に接合して製作されたもので、固体高分子電解質膜1にはパーフルオロスルホン酸ポリマーが、また保護シート4にはPET(ポリエチレンテレフタレート)等の汎用プラスティックフィルムが用いられることが多い。
燃料極に供給される燃料ガスと空気極に供給される酸化剤ガスを分離するセパレータ6は、これらのガスを供給するガス流路および発熱を排出するための冷却水を供給する冷却水流路を備えるとともに、燃料電池発電反応で得られた電気エネルギーを外部へと伝える役割を果たす構成部材で、通常、炭素複合材料により構成されている。炭素複合材料を形成するための炭素粉末としては、燐片状黒鉛粉、人造黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラックなどが用いられ、また、樹脂としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の双方が使用可能であり、フェノール樹脂やエポキシ樹脂が使用されている。これらの炭素粉末と樹脂とを混合したコンパウンドを用い、モールド成形法や射出成形法等によってセパレータが作製されている。このようにして作製されたセパレータにおいては、表面に樹脂分が偏在するという特徴があり、材料の種類や混合比に依存して 10 〜 100μm程度の厚さの樹脂層が形成される。この樹脂層は電気伝導度が低いので、そのまま使用すると構成部材との間の接触抵抗が過大となって特性が低下してしまう。したがって、所定の特性を保持するためにはこの樹脂層を除去する必要があり、表面研磨法や、乾式サンドブラスト法、あるいはウェットブラスト法(例えば、特許文献1参照)を用いて除去されている。
一方、単セルのガスシール、すなわち、セパレータ6の燃料ガス流路7に供給された燃料ガスのシール、および酸化剤ガス流路8に供給された酸化剤ガスのシールは、セパレータ6の端部と保護シート4との間に設けられたシールパッキング5により行われる。このシールパッキング5の材料には、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム等が用いられる。
この単セルの発生電圧は1Vに満たない低い電圧であるため、実用に供する固体高分子電解質形燃料電池は、所要電圧に見合う複数個の単セルを積層し、直列に電気接続して構成される。図6は、図5の構成の単セルを積層して構成された従来の固体高分子電解質形燃料電池の側面図である。単セル61を複数個積層し、その両端に、直流電流を取出すための集電板62、積層体を構造体から電気的に絶縁するための絶縁板63、積層体を締付けるための締付け板64を順次配置するとともに、スタッド67とナット68によって支持された端板66の内面と締付け板64の外面との間にコイルばね65を配置して積層体を加圧して締付けている。このように固体高分子電解質形燃料電池では、加圧して締付けることにより、各単セル内部のセパレータとMEA間の接触抵抗や、隣り合う単セル間等の積層部材間の接触抵抗を低減させ、電気的抵抗損失を少なくしている。
ところで、MEAの構成部材の一般的な厚さは、電解質膜1が 10 〜 50μm、保護シート4が 10 〜 50μm、触媒層2Aが 10 〜 50μm、拡散層3Aが 100 〜 400μmであり、その組み合わせにより種々のMEAが構成されている。図5の単セルに組込まれたMEAにおいては触媒層2と保護シート4が同一厚さに選定されているので、拡散層3の外面、したがってMEAの外面が略一定の高さを持ち、締付けの際、拡散層3ならびに触媒層2にほぼ均一の加圧力が加わることとなるが、部材の厚さの選定如何によってはMEAの部位によって厚さに差が生じて、加圧力が不均一になる可能性がある。
図7は、固体高分子電解質形燃料電池の単セルに組込まれるMEAの他の従来例を示す断面模式図である。このMEAでは、保護シート4よりも厚さの厚い触媒層2Aを作製してMEAを形成しているので、図中に符号Aで示した触媒層2Aを含む部分はMEAが厚く(MEA凸部)、図中に符号Bで示した拡散層3Aと保護シート4が接触している部分はMEAが薄くなっている(MEA凹部)。触媒層2Aの厚さは最大 50μm、保護シート4の厚さは最小 10μmであるので、上記のMEA凸部とMEA凹部の厚さの差は、片面で 40μm以下、両面で 80μm以下と算定される。
図8は、固体高分子電解質形燃料電池の単セルに組込まれるMEAの第3の従来例を示す断面模式図である。このMEAでは、保護シート4とほぼ同等の均一な厚さで作製した触媒層2Bを、保護シート4に一部を重ねて配置して、MEAが構成されており、図中に符号Cで示した保護シート4と触媒層2Bとの重なる部分ではMEAが厚く(MEA凸部)、図中に符号Dで示した他の部分では薄くなっている(MEA凹部)。保護シート4と触媒層2Bの厚さの最大値は 50μmであるので、このMEAの上記のMEA凸部とMEA凹部の厚さの差は、片面で 50μm以下、両面で 100μm以下と算定される。
上記のように、固体高分子電解質形燃料電池の単セルに組込まれるMEAは、必ずしも面内の厚さが一定でなく、凹凸を備えたMEAが用いられる場合がある。このように厚さが均一でないMEAを用いる場合、MEAを均一な厚さを持つセパレータで挟んで加圧、挟持すると、MEAに加わる加圧力が面内で不均一となり、一部分に集中することとなる。このように加圧力が一部分に集中すると、MEAを構成する電解質膜1に加わる力が過大となって、クリープを生じ、膜厚が減少する可能性がある。膜厚が減少すると、その部分の膜の引張り強度が低下して運転中に膜が破損し、燃料ガスと酸化剤ガスが混合するクロスリークが生じて電池が運転不能となる可能性がある。一方、面内に加圧力の小さい部分が生じると、加圧力の低下に伴って構成部材間の接触電気抵抗が増大するので、セパレータとMEAの間に流れる電流が減少し、電極面内での反応が不均一になって電池特性が低下する可能性がある。
このため、凹凸を有するMEAにおける加圧力の面内での不均一に起因するこれらの難点を回避するために、加圧力を均一化させるための方策が種々検討されており、例えば特許文献2においては、MEAの厚さの薄い部分にスペーサを装着することによって厚さを均一化し、加圧力の面内での均一化を図る方策や、対向するセパレータに突起を設けて厚みを調整し、加圧力の均一化を図る方策が開示されている。
特開2003−282084号公報 特開平6−333582号公報
上記のように、固体高分子電解質形燃料電池では、単セルに組込まれるMEAの厚さが必ずしも面内で一定でないがために、このMEAをセパレータで挟んで加圧、挟持すると、MEAに加わる加圧力が面内で不均一となるという問題点がある。このように面内で加圧力に不均一が生じると、加圧力が過大となる部分では、運転中に電解質膜が破損し、クロスリークが生じて電池が運転不能となる危険性があり、加圧力が小さくなった部分では、構成部材間の接触電気抵抗が増大し、流れる電流が減少して電池特性が低下する可能性がある。このため、例えば前述の特許文献2においては、MEAの凹部にスペーサを挿入したり、対向するセパレータに突起を設けたりすることによって、加圧力を均一化するよう配慮されている。このようにスペーサや突起を配設すれば、加圧力が均一化されて過大な加圧力の発生は回避されるが、スペーサや突起から位置が外れて接触抵抗が大きくなる部分が残存することは避けられない。特に、従来のごとく炭素粉末と樹脂との炭素複合材料で作製したセパレータでは、表面に電気伝導度の低い樹脂層が形成されるので部材間の接触抵抗はより一層高くなり、通電電流が減少して電気特性が低下する可能性が強い。
本発明は、このような従来の固体高分子電解質形燃料電池の問題点を考慮してなされたもので、本発明の目的は、MEAをセパレータで挟持して形成された単セルを複数個積層し、加圧し締付けて構成される固体高分子電解質形燃料電池において、MEAの表面が凹凸を有する面より構成されているものにあっても、MEAの各部に加わる加圧力が面内でほぼ均一に保持されて、電解質膜の破損によるクロスリークを生じることなく、長期にわたり安定した運転が可能で、かつ、接触電気抵抗による電気特性の低下を生じることなく運転できる固体高分子電解質形燃料電池を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明においては、
固体高分子電解質膜の両面に触媒層と拡散層とを配して形成された膜電極接合体を、ガス流通路を備えた2枚のセパレータにより挟持して構成した単セルからなり、かつ、膜電極接合体の両表面がそれぞれ、第一の平面と、この第一の平面より高さの低い第二の平面とからなる固体高分子電解質形燃料電池において、
(1)膜電極接合体の外表面に対向するセパレータの表面に、膜電極接合体の上記の第一の平面に対向し、接して組み込まれる第三の表面と、膜電極接合体の上記の第二の平面に対向し、接して組み込まれる、第三の表面より高さの高い第四の表面とを備えることとし、例えば、上記の膜電極接合体の触媒層の形成領域に対向して、上記の第三の表面、あるいは上記の第四の表面を配することとする。
(2)さらに、上記の(1)の固体高分子電解質形燃料電池において、上記のセパレータを炭素粉末と樹脂とからなる炭素複合材料から作製し、上記の第三の表面と上記の第四の表面を、表面層を削除する表面処理、例えば、ブラスト処理を施して形成することとする。
固体高分子電解質形燃料電池においては、単セルに組込まれるMEAの厚さは必ずしも面内で一定でなく、既に図7、あるいは図8に例示したごとく、高さの異なる表面を有する場合が多い。したがって、上記(1)のごとく、高さの異なる2種類の表面(第一の表面と第二の平面)を備えたMEAに対向して、高さの異なる2種類の表面(第三の表面と第四の平面)を備えたセパレータを配置して、MEAを加圧、挟持することとすれば、それぞれの表面での締付け変位量を均一化することによって、各表面に加わる加圧力を均一化することができる。したがって、過大な加圧力によるMEAの破損や、加圧力の不足による特性の低下が効果的に回避されることとなる。
また、既に述べたように、単セルに用いられるセパレータは一般に炭素粉末と樹脂とからなる炭素複合材料から作製されているが、このようにして作製されたセパレータの表面には電気伝導度の低い樹脂層が形成され、部材間の接触抵抗を増大させるという難点があったが、上記(2)のごとく、作製されたセパレータの表面(第三の表面と第四の平面)を形成する際に、例えばブラスト処理等の表面処理を施し、表面層を削除して形成することとすれば、電気伝導度の低い表面層が削除され、セパレータの表面の電気伝導度が向上する。したがって、部材間の接触抵抗が低減され、この接触抵抗に起因する電気特性の低下が回避されて、効率のよい固体高分子電解質形燃料電池が得られる。
本発明の固体高分子電解質形燃料電池の最良の実施形態は、固体高分子電解質膜の両面に触媒層と拡散層とを配して形成された膜電極接合体をガス流通路を備えたセパレータにより挟持して構成された単セルからなる固体高分子電解質形燃料電池で、上記の膜電極接合体のそれぞれの表面が、第一の平面と、該第一の平面より高さの低い第二の平面とからなるものにおいて、上記の膜電極接合体の外表面に対向する前記セパレータの表面に、膜電極接合体の上記の第一の平面に対向し、接して組み込まれる第三の表面と、膜電極接合体の上記の第二の平面に対向し、接して組み込まれる、上記の第三の表面より高さの高い第四の表面とを備えて構成された形態にある。
まず、白金―ルテニウム合金(合金比2:1)をカーボン担体に担持した白金―ルテニウム合金担持カーボン触媒と、電解質樹脂溶液(デュポン社製、ナフィオン溶液)を混合し、アノード用の触媒分散スラリーを作製した。続いて、このスラリーを、ガス拡散層、すなわちPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により撥水処理したカーボンペーパー基材(東レ製、TGPH60、120mm×120mm、厚さ 190μm)上の105mm×105mmの領域に塗布し、アノード電極とした。このとき、触媒量が 0.7 mgPt/cm2 となるように塗布し、得られた触媒層の厚さは 45 μm、拡散層と合わせたアノード厚さは 235μmであった。次いで、白金をカーボン担体に担持した白金担持カーボン触媒と、電解質樹脂溶液(デュポン社製、ナフィオン溶液)を混合し、カソード用の触媒分散スラリーを作製した。このスラリーを、ガス拡散層、すなわちPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により撥水処理したカーボンペーパー基材(東レ製、TGPH60、120mm×120mm)上の105mm×105mmの領域に塗布し、カソード電極とした。このとき、触媒量が 0.7 mgPt/cm2 となるように塗布し、得られた触媒層の厚さは 45 μm、拡散層と合わせたカソード厚さは 235μmであった。
次に、電解質膜としてナフィオンN−112(デュポン社製、160 mm×160 mm、厚さ約 50 μm)を準備し、これを2枚の枠状の保護シートで挟み込んだ。この保護シートは、厚さ 25μmのPFA(ポリテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)シートよりなり、外形は電解質膜と同一の160 mm×160mmで、その中央部に100 mm×100 mmの孔が空けられたものである。したがって、電解質膜を保護シートで挟み込むと、100 mm×100 mmの孔の部分に電解質膜が露出することとなる。
保護シートで挟み込んだ電解質膜の両面に、前述のごとく作製したアノード電極とカソード電極を、それぞれ触媒層が電解質膜に対向するように配置して挟み込んだのち、これを熱プレス装置にセットし、温度 140 ℃、圧力 5 MPa、加圧時間 5 min の条件でホットプレスを行ってMEAを作製した。作製したMEAの厚さをマイクロメーターを用いて測定した結果によれば、中心部の触媒層を塗布した105mm×105mmの領域では約 490 μmであり、触媒層を塗布していない拡散層のみの領域では約 450 μmであった。したがって、触媒層の形成されている部分と触媒層のない部分では、両面で 40 μm、片面で 20 μmの段差が生じている。なお、触媒層や拡散層の多孔質材料がホッとプレスにより圧縮変形するので、作製されたMEAの厚さは当初の構成部材の厚さより算定された値とは大きな差がある。
上記のMEAに組み合わせて単セルを構成するセパレータには、炭素粉末と樹脂からなる材料をモールド成形してガス流路等を成形し、表面処理を施したものを用いた。すなわち、炭素粉末として燐片状黒鉛粉を、また、樹脂としてフェノール樹脂を用い、これらを混合して得たコンパウンドをモールド成形してガス流路等を備えたセパレータを成形した。引き続いて、MEAを挟持する際に気密を保持するために挿入されるシールパッキングが接する部分をマスキング材によってマスクしたのち、サンドブラストにより表面処理を施し、表面から深さ 50 μmの層を削除して第一の面を形成した。次に、MEAの厚さの厚い部分、すなわち、触媒層を塗布した105mm×105mmの領域に対向する部分を除く他の領域をマスクし、105mm×105mmの領域に対向する部分のみをさらに深さ 20 μmにわたってサンドブラストにより表面処理して第二の面を形成した。
以上のような作製方法を用いて作製したMEAとセパレータを、シールパッキングを挿入して組み立て、単セルを作製した。図1は、このようにして作製された単セルの構造を示す断面模式図である。図1に見られるように、MEAは、2枚の枠状の保護シート4で挟み込んだ電解質膜1を、それぞれ拡散層3Aに触媒層2Aを塗布して作製したアノード電極とカソード電極により挟み込み、ホッとプレスにより圧縮成型されており、既に述べたように、中心部の105mm×105mmの領域(図中にT1で示した部分)の全体の厚さは約 490 μmに、また、触媒層を塗布していないその周辺領域(図中にT2で示した部分)の全体の厚さは約 450 μmに形成されている。単セルは、このMEAを、燃料ガス流路7Aを備えた燃料極側のセパレータ6Aと、酸化剤ガス流路8Aを備えた空気極側のセパレータ6Aとによって挟み、挿入したシールパッキング5により気密に保持されている。図1に見られるように、二つのセパレータ6AのMEAに対向する面は、高さの異なる二つの面S1とS2よりなり、S1がMEAのT1の部分に、S2がMEAのT2の部分に相対して組み込まれる。
図2は、図1の単セルを構成する燃料極側のセパレータ6Aの平面図である。本図に見られるように、セパレータ6Aに備えられたガス流路は、MEAの触媒層を塗布した発電領域、すなわち、中心部の105mm×105mmの領域に対向するS1の面に配設された蛇行流路よりなり、燃料ガスは、セパレータ6Aの一端に配置された燃料ガス入口マニホールド11より供給され、蛇行する燃料ガス流路7Aを流れて発電反応に寄与したのち、他端の燃料ガス出口マニホールド12より外部に排出される。なお、図2に点線で示した二つの方形の領域のうち、内側の方形の領域がS1の面の領域であり、外側の方形と内側の方形との間に位置する領域がS2の面の領域である。また、図中に示した13および14は、相対する空気極側のセパレータ6Aに酸化剤ガスを通流させるのに用いられる酸化剤ガス入口マニホールドと酸化剤ガス出口マニホールドである。
本実施例では、上記の方法で30個の単セルを作製し、これらの単セルを積層し、図6のごとく締付けて固体高分子電解質形燃料電池を構成した。このときの締付け圧力は、セパレータとMEAが接触する面の面圧力が 0.6 MPa となるように選定した。このようにして構成した固体高分子電解質形燃料電池に、燃料ガスとして 80%H2+20%CO2 の混合ガス、酸化剤ガスとして空気を使用し、スタック温度80℃、アノード加湿温度70℃、カソード加湿温度70℃、電流密度 0.4 A/cm2、常圧の条件下において発電試験を行った。この発電試験では、まず内部抵抗の測定を行ったのち、耐久性を評価するための連続運転試験を行った。
発電時の内部抵抗の測定結果によれば、本実施例のセルの内部抵抗は 0.11 Ωcm2であった。この値は、図5のごとき従来例の構成のセルの内部抵抗 0.13 Ωcm2 に比べて明らかに低く、表面処理を行ってセパレータ6Aの表面層を削除したことによって部材間の接触電気抵抗が低減され、電池特性が向上したことがわかる。図3は、続いて行った連続運転試験(寿命試験)の際の開回路電圧の時間変化を、従来例の場合と対比して示した特性図である。図に見られるように、従来例の場合には運転時間が 2000 hr を超えると開回路電圧が急激に低下し、電解質膜の損傷によるクロスリークの発生が認められたが、本実施例の燃料電池では、運転時間が 4000 hr を超えても開回路電圧の急激な低下はなく、電解質膜の損傷がないことが知られる。本実施例の燃料電池の単セルでは、MEAのセパレータ6Aに接する二つの面T1,T2に対応して、セパレータ6Aの面S2,S1が形成されているので、積層し、締付けてスタックを形成する際に、MEAの各部に均等に加圧力が加わることとなる。したがって、従来例のごとく応力集中による電解質膜の破損が生じる恐れがなく、長時間、安定した開回路電圧を示すものと理解される。
図4は、本発明の固体高分子電解質形燃料電池の第2の実施例に用いられる単セルの構造を示す断面模式図である。本単セルも、第1の実施例の単セルを製作する際に用いられた材料と製作方法を用いて製作されている。第1の実施例との相違点は、MEAのアノード側電極とカソード側電極が、第1の実施例では、共に厚さ 45 μmの触媒層を形成して構成されていたのに対して、第2の実施例では、保護シート4と同一の厚さの 25 μm厚の触媒層2Bを形成して構成されており、このため、MEAは触媒層2Bと保護シート4を重なり合わせた部分(図中にT3で表示)のみ厚さが厚く、図中にT4で表示した中央部分と図中にT5で表示した端部はT3より厚さの薄い同一厚さに形成されている点にある。このように形成されたMEAの表面に対応して、セパレータ6BのMEA側の表面の加工が行われており、相対するMEAの面に接するように、MEAのT3,T4,T5の面に対向してS3,S4,S5が形成されている。したがって、このMEAをこのセパレータ6Bで挟んで締付けた際には、各面にほぼ均等な加圧力が加わることとなるので、応力集中を生じる恐れがなく、電解質膜1が破損することはない。また、セパレータ6Bの表面の加工の際に、サンドブラスト処理によって表面層を除去することによって電気伝導性の劣る層を除去できるので、部材間の接触電気抵抗が低減し、燃料電池の内部抵抗が減少して電気特性が向上することとなる。
以上述べたように、固体高分子電解質形燃料電池を請求項1、さらには、請求項2、あるいは請求項3のごとく構成することとすれば、MEAの表面が凹部、凸部を有するものにあっても、MEAの各部に加わる加圧力が面内でほぼ均一に保持され、電解質膜の破損が回避されて長期にわたり安定した運転が可能となり、さらに請求項4、5のごとくとすれば、接触電気抵抗が抵下して内部抵抗損失が低減するので、電気特性の低下が回避されることとなるので、本発明はいろいろな分野で使用される各種の固体高分子電解質形燃料電池に効果的に適用可能である。
本発明の固体高分子電解質形燃料電池の第一の実施例の単セルの構造を示す断面模式図 本発明の固体高分子電解質形燃料電池の第一の実施例に用いられる単セルのセパレータの燃料ガス流路を示す平面図 本発明の固体高分子電解質形燃料電池の第一の実施例の連続運転試験における開回路電圧の時間変化を示した特性図 本発明の固体高分子電解質形燃料電池の第二の実施例の単セルの構造を示す断面模式図 従来の固体高分子電解質形燃料電池の一般的な単セルの構造を示す断面模式図 従来の固体高分子電解質形燃料電池の側面図 固体高分子電解質形燃料電池の単セルに組込まれるMEAの他の従来例の断面図 固体高分子電解質形燃料電池の単セルに組込まれるMEAの第3の従来例の断面図
符号の説明
1 電解質膜
2A,2B 触媒層
3A,3B 拡散層
4 保護シート
5 シールパッキング
6A、6B セパレータ
7A,7B 燃料ガス流路
8A,8B 酸化剤ガス流路
S1,S2,S3,S4,S5 セパレータの表面
T1,T2,T3,T4,T5 MEAの表面

Claims (5)

  1. 固体高分子電解質膜の両面に触媒層と拡散層とを配して形成された膜電極接合体を、ガス流通路を備えた2枚のセパレータにより挟持して構成した単セルからなり、前記膜電極接合体の両表面がそれぞれ、第一の平面と、該第一の平面より高さの低い第二の平面とからなる固体高分子電解質形燃料電池において、
    前記膜電極接合体の外表面に対向する前記セパレータの表面に、膜電極接合体の前記第一の平面に対向して接して組み込まれる第三の表面と、膜電極接合体の前記第二の平面に対向して接して組み込まれる、前記第三の表面より高さの高い第四の表面とが備えられていることを特徴とする固体高分子電解質形燃料電池。
  2. 請求項1に記載の固体高分子電解質形燃料電池において、前記セパレータの前記第三の表面が、前記膜電極接合体の触媒層の形成領域に対向して配されていることを特徴とする固体高分子電解質形燃料電池。
  3. 請求項1に記載の固体高分子電解質形燃料電池において、前記セパレータの前記第四の表面が、前記膜電極接合体の触媒層の形成領域に対向して配されていることを特徴とする固体高分子電解質形燃料電池。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の固体高分子電解質形燃料電池において、前記セパレータが炭素粉末と樹脂とから形成された炭素複合材料からなり、前記第三の表面と前記第四の表面が、表面層を削除する表面処理を施して形成されていることを特徴とする固体高分子電解質形燃料電池。
  5. 請求項4に記載の固体高分子電解質形燃料電池において、表面層を削除する前記表面処理がブラスト処理であることを特徴とする固体高分子電解質形燃料電池。
JP2005073164A 2005-03-15 2005-03-15 固体高分子電解質形燃料電池 Pending JP2006260810A (ja)

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