この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態におけるバルブ付き可変マフラーを示す斜視図である。図1を参照して、可変マフラー10は、マフラー本体12と、車両前方からマフラー本体12に接続されたインレットパイプ31と、車両後方からマフラー本体12に接続されたアウトレットパイプ58および2つのバルブ付きアウトレットパイプ51とを備える。マフラー本体12は、たとえば、ステンレス鋼やチタンなどの金属から形成されている。インレットパイプ31は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関に連通している。2つのバルブ付きアウトレットパイプ51は、水平方向に互いに間隔を隔てて並列に延びている。
図2は、図1中のII−II線上に沿った可変マフラーを示す断面図である。図3は、図1中のIII−III線上に沿った可変マフラーを示す断面図である。図4は、図2中のIV−IV線上に沿った可変マフラーを示す断面図である。
図2から図4を参照して、マフラー本体12は、筐体形状を有し、その内部には、隔壁13から17が設けられている。水平方向に延在する隔壁17と、鉛直方向に延在し、互いに間隔を隔てて設けられた隔壁14および15とに囲まれた位置には、消音室21が形成されている。隔壁17に対して消音室21の反対側に位置し、隔壁17に隣接する位置には、消音室26が形成されている。消音室26は、消音室21の鉛直下方向に位置する。
隔壁13および16は、それぞれ、隔壁14および15と間隔を隔てて設けられている。隔壁13と隔壁14との間および隔壁15と隔壁16との間には、それぞれ、消音室21の両側に位置して、消音室22および24が形成されている。隔壁13に隣接し、隔壁13に対して消音室22の反対側には、消音室23が形成されている。隔壁16に隣接し、隔壁16に対して消音室24の反対側には、消音室25が形成されている。
インレットパイプ31およびバルブ付きアウトレットパイプ51は、消音室21に連通して形成されている。アウトレットパイプ58は、消音室26に連通して形成されている。なお、インレットパイプ31とバルブ付きアウトレットパイプ51とは、必ずしも同じ消音室に開口している必要はなく、互いに連通して形成された別々の消音室に開口していても良い。
マフラー本体12の内部には、さらに、マフラーインパイプ41および44と、中間パイプ61から64とが設けられている。これらのパイプは、全体がマフラー本体12の内部に収容されるように設けられている。マフラーインパイプ41は、消音室21と消音室22との間を連通させ、マフラーインパイプ44は、消音室21と消音室24との間を連通させるように設けられている。中間パイプ61は、消音室23と消音室26との間を連通させ、中間パイプ62は、消音室25と消音室26との間を連通させるように設けられている。中間パイプ63は、消音室24と消音室23との間を連通させ、中間パイプ64は、消音室22と消音室25との間を連通させるように設けられている。
図5は、図4中のV−V線上に沿ったバルブ付きアウトレットパイプの断面図である。図4および図5を参照して、バルブ付きアウトレットパイプ51は、消音室21で開口する開口部53と、マフラー本体12の外部で開口する排気口52とを有する。バルブ付きアウトレットパイプ51は、開口部53から排気口52に向けて、車両の前後方向に延びている。マフラー本体12は、開口部53と排気口52との間でバルブ付きアウトレットパイプ51に連なっている。バルブ付きアウトレットパイプ51の管路上、つまり、開口部53と排気口52との間には、可変バルブ54が設けられている。
可変バルブ54は、並列する2つのバルブ付きアウトレットパイプ51を貫通するように延びる弁軸54pと、弁軸54pに固定され、弁軸54pの回転に伴ってバルブ付きアウトレットパイプ51内を開閉するバタフライ弁54qとから構成されている。弁軸54pには、バタフライ弁54qを所定の方向に付勢するコイルばね57と、コイルばね57の弾性力に逆らってバタフライ弁54qを回転駆動させる図示しないアクチュエータとが設けられている。
バルブ付きアウトレットパイプ51には、その内壁51nから突出するバルブストッパー55が形成されている。バタフライ弁54qは、コイルばね57の弾性力により付勢されて、バルブストッパー55に密着する。このとき、可変バルブ54が閉じられた状態となり、バルブ付きアウトレットパイプ51内の排気ガス流れが遮断される。このようなバタフライ弁54qとバルブストッパー55とを密着させる構成によって、バルブ付きアウトレットパイプ51からの音漏れを効果的に低減させることができる。一方、アクチュエータにより、弁軸54pを回転させると、バタフライ弁54qとバルブストッパー55との間に、隙間が形成される。このとき、可変バルブ54が開いた状態となり、バルブ付きアウトレットパイプ51内の排気ガス流れが許容される。
バタフライ弁54qを回転駆動させる図示しないアクチュエータは、たとえば、モーターと、モーターおよび弁軸54pに両端が固定されたワイヤーとから構成される。このようなアクチュエータを用いることにより、排気圧によって駆動するバルブ機構を用いる場合と比較して、適時、バタフライ弁54qを適当な傾きに位置決めすることができる。これにより、バルブ付きアウトレットパイプ51内に流れる排気ガスの流量を、きめ細かく制御することができる。また、排気ガスの流れに平行になる位置までバタフライ弁54qを回転させることができるため、バルブ付きアウトレットパイプ51内に流れる排気ガスの最大流量を増大させることができる。
このようなアクチュエータを設ける場合、アクチュエータをバルブ付きアウトレットパイプ51に外付けする必要が生じる。このため、本実施の形態では、可変バルブ54が、マフラー本体12の外側に設けられている。言い換えれば、可変バルブ54は、マフラー本体12がバルブ付きアウトレットパイプ51に連なる位置と、排気口52との間に位置して設けられている。したがって、冷間時や冬期などには、可変バルブ54は、低温の外気に特に晒されることになる。
図6は、図2中のVI−VI線上に沿ったインレットパイプおよびマフラーインパイプを示す正面図である。図7は、図6中のVII−VII線上に沿ったインレットパイプおよびマフラーインパイプを示す断面図である。
図2、図6および図7を参照して、インレットパイプ31は、消音室21で車両後方に向けて開口する開口部32を有する。開口部32は、隔壁17から鉛直上方向に離間した位置で、開口している。開口部32は、水平方向に長径を有し、鉛直方向に短径を有する略長円形状に開口している。開口部32は、内燃機関から排出された排気ガスが、マフラー本体12の内部で最初に放出される位置である。つまり、開口部32は、マフラー本体12内の消音室に流れる排気ガス流れの最も上流側に位置する。インレットパイプ31は、開口部32から所定の長さに渡って、開口部32に近づくに従って鉛直下方向に傾斜するように延びている。
マフラーインパイプ44は、消音室21で車両前方に向けて開口する開口部45と、消音室24で、開口部45とは異なる方向、本実施の形態では90°異なる方向に開口する開口部46とを有する。開口部45は、隔壁17から鉛直上方向に離間した位置で、開口している。開口部45は、インレットパイプ31の開口部32と、車両の前後方向に向い合っている。なお、開口部45と開口部32とが向い合う方向は、車両の前後方向に限定されず、ほかの方向であっても良い。
このような構成により、内燃機関で排出され、インレットパイプ31内を流れた排気ガスは、開口部32から開口部45に向けて、図7中の矢印101に示す方向に流れ込む。排気ガスが開口部45に流れ込む方向は、たとえば、開口部45の中心位置において排気ガスの流れる方向を測定することによって特定される。
本実施の形態では、排気ガスが開口部45に流れ込む方向は、インレットパイプ31が開口部32に向けて延びる方向に一致する。また、排気ガスが開口部45に流れ込む方向は、車両の前後方向にほぼ一致する。排気ガスが開口部32から開口部45に流れ込む方向に直交する平面で切断した場合の、消音室21の断面積は、インレットパイプ31の断面積よりも大きい。
マフラーインパイプ44は、開口部45から所定の長さに渡って形成された傾斜部47を有する。傾斜部47は、開口部45に向けて鉛直下方向に傾いて形成されている。つまり、傾斜部47は、開口部45に近づくに従って、地面からの距離が小さくなるように形成されている。傾斜部47は、排気ガスが開口部45に流れ込む方向に交差する方向(図7中の矢印102に示す方向)に延びている。マフラーインパイプ44の内壁44nは、傾斜部47で、排気ガスが開口部45に流れ込む方向と異なる方向に延在している。なお、傾斜部47は、マフラーインパイプ44の一部のみならず、全体を構成していても良い。
傾斜部47は、開口部45から距離を隔てた位置で曲って形成されている。傾斜部47は、開口部45から所定の長さに渡り、車両中央部から車両側方に向かいながら車両後方に延びる部分と、その後、たんに車両中央部から車両側方に延びる部分とから構成されており、この2つの部分の間で曲って形成されている。傾斜部47は、滑らかに軌跡を描くように湾曲して延びている。
排気ガスが開口部45に流れ込む方向に沿って、開口部32および45を見た場合に、開口部45の開口の下端部48(開口部45の開口縁の中で最も鉛直下側に位置する部分)は、開口部32の開口からずれて位置する。本実施の形態では、開口部32の開口を、排気ガスが開口部45に流れ込む方向に沿って開口部45の開口面に投影した場合に、下端部48は、開口部32の開口よりも鉛直下方向にずれて位置する。
なお、マフラーインパイプ44の形状についてのみ詳細な説明を行なったが、マフラーインパイプ41もまた、開口部45および傾斜部47を有し、マフラーインパイプ44と同様の形状に形成されている。
このように構成された可変マフラー10では、市街地走行時や、高速クルージング時(たとえば、100kmの定速走行時)には、排気音を下げるため、可変バルブ54を閉じた状態に制御する。これにより、バルブ付きアウトレットパイプ51内の排気ガス流れが遮断され、排気ガスは、インレットパイプ31から、マフラーインパイプ41、消音室22、中間パイプ64、消音室25、中間パイプ62、消音室26と順に流れ、もしくは、インレットパイプ31から、マフラーインパイプ44、消音室24、中間パイプ63、消音室23、中間パイプ61、消音室26と順に流れる。そして、消音室26からアウトレットパイプ58を通って車外に排出される。
本実施の形態では、傾斜部47が、排気ガスが開口部45に流れ込む方向に交差する方向に延びて形成されている。このため、開口部32から排出され、開口部45に流れ込んだ排気ガスは、まず、傾斜部47で、マフラーインパイプ41および44の内壁44nに衝突する。また、傾斜部47は途中で曲って形成されているため、排気ガスは、内壁44nに沿って流れながら、進行方向を変化させる。このため、排気ガスは、傾斜部47を流れる間、マフラーインパイプ41および44の内壁44nと接触することで急激に冷やされる。これにより、排気ガスが飽和し、傾斜部47で凝縮水が生じる。
内燃機関で排出された排気ガスは、狭い管路を通った後、インレットパイプ31の開口部32で最初に消音室21の空間に開放される。このとき、排気ガスの熱が消音室21に一気に放出される。このため、インレットパイプ31からマフラーインパイプ41および44に向かう位置で、排気ガスは、凝縮水が生じ易い状態にある。したがって、そのような位置に、より積極的に排気ガスを冷やす構造として傾斜部47を配置することによって、排気ガス中の水蒸気を、より効率良く凝縮水として取り出すことができる。
また、傾斜部47において、マフラーインパイプ41および44の内壁44nを凹凸形状に形成しても良い。この場合、内壁44nと排気ガスとの接触面積が増大するため、より効果的に排気ガスを冷やすことができる。
傾斜部47は、開口部45に向けて鉛直下方向に傾いて延びているため、凝縮水は、内壁44nを伝って、下端部48から隔壁17上に流れ落ちる。この際、下端部48は、開口部32の開口よりも鉛直下方向にずれて位置するため、開口部32から開口部45に流れ込む排気ガスによって、凝縮水の流れが妨げられるということがない。これにより、凝縮水を、隔壁17上に効率良く回収することができる。
一方、市街地走行時や高速クルージング時以外の時には、可変バルブ54を開いた状態に制御する。このとき、排気ガスは、優先的にバルブ付きアウトレットパイプ51から車外に排出される。これにより、排気効率を向上させ、高出力を得ることができる。
図8は、図6中のVIII−VIII線上に沿ったインレットパイプおよびマフラーインパイプを示す断面図である。図6および図8を参照して、インレットパイプ31の内壁31nには、インレットパイプ31の断面の鉛直下側に位置して、溝部33が形成されている。溝部33は、インレットパイプ31が鉛直下方向に傾斜して延びる位置に形成されている。このようなインレットパイプ31の構成により、インレットパイプ31内で生じた凝縮水を、溝部33に集めながら開口部32に向けて流すことができる。これにより、凝縮水を、隔壁17上に効率良く回収することができる。
図9は、図4中のバルブ付きアウトレットパイプを拡大して示す断面図である。図10は、図9中の矢印Xから見たバルブ付きアウトレットパイプを示す断面図である。図9および図10を参照して、バルブ付きアウトレットパイプ51は、可変バルブ54から開口部53に向かうに従って、鉛直下方向に傾斜して延びている。バルブ付きアウトレットパイプ51の内壁51nには、バルブ付きアウトレットパイプ51の断面の鉛直下側に位置して、溝部56が形成されている。溝部56は、インレットパイプ31が鉛直下方向に傾斜して延びる位置に形成されている。このような構成により、バルブ付きアウトレットパイプ51内で生じた凝縮水を、溝部56に集めながら開口部53に向けて流すことができる。
なお、バルブ付きアウトレットパイプ51が、可変バルブ54から排気口52に向かうに従って、鉛直下方向に傾斜して延びており、その傾斜して延びる位置に溝が形成されていても良い。
図11は、図4中の矢印XIから見たマフラー本体の内部を示す上面図である。図4および図11を参照して、隔壁17のマフラー本体12に隣接する位置には、孔71が形成されている。孔71によって、消音室21と消音室26とが連通している。隔壁17は、インレットパイプ31の開口部32と、マフラーインパイプ41および44の開口部45とが向い合う位置の直下にある位置から、孔71に向けて、鉛直下方向に傾斜して形成されている。
このような構成により、インレットパイプ31ならびにマフラーインパイプ41および44から、隔壁17上に流れ落ちた凝縮水は、孔71に向けて流れ、孔71を通って消音室26に進行する。その後、凝縮水は、バルブが設けられていないアウトレットパイプ58から車外に排出される。
この発明の実施の形態における内燃機関の消音器としての可変マフラー10は、排気ガスの流れを制御するバルブとしての可変バルブ54が設けられた内燃機関の消音器である。可変マフラー10は、内部空間としての消音室21を形成する筐体としてのマフラー本体12と、消音室21で開口する第1の開口部としての開口部32を有し、内燃機関で排出された排気ガスを、開口部32から消音室21に向けて流入させる流入管としてのインレットパイプ31と、消音室21に配置された内蔵管としてのマフラーインパイプ41および44とを備える。
マフラーインパイプ41および44は、消音室21で開口部32に向い合って開口し、開口部32から排出された排気ガスが所定の方向(矢印101に示す方向)に流れ込む第2の開口部としての開口部45を有する。マフラーインパイプ41および44は、開口部45に向けて鉛直下方向に傾斜するとともに、所定の方向とは異なる方向に延びる傾斜部47をさらに有する。
このように構成された、この発明の実施の形態における可変マフラー10によれば、可変バルブ54を閉じた状態に制御した時に、傾斜部47で、排気ガスに含まれる水蒸気をより積極的に凝縮水に戻すことができる。このため、バルブ付きアウトレットパイプ51には、ガス成分が大部分を占める排気ガスが到達する。これにより、排気ガスの凝縮水が、バルブ付きアウトレットパイプ51内で生じることを抑制し、バルブストッパー55とバタフライ弁54qとが密着する位置に凝縮水が溜まることを防止できる。
このため、本実施の形態では、冷間時や冬季にエンジンを始動させ、すぐにエンジンを停止させるような場合があっても、凝縮水によって、バルブストッパー55とバタフライ弁54qとが凍りつくという懸念が生じない。したがって、可変バルブ54を常に正常に駆動させることができ、車両の静粛性や走行性能を適当なタイミングで十分に発揮させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 可変マフラー、12 マフラー本体、17 隔壁、21,26 消音室、31 インレットパイプ、31n,51n 内壁、32,45 開口部、33,56 溝部、41,44 マフラーインパイプ、47 傾斜部、48 下端部、51 バルブ付きアウトレットパイプ、54 可変バルブ、58 アウトレットパイプ、71 孔。