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JP2006240164A - インクジェット記録ヘッドおよび該ヘッドを用いるインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよび該ヘッドを用いるインクジェット記録装置 Download PDF

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JP2006240164A JP2005061178A JP2005061178A JP2006240164A JP 2006240164 A JP2006240164 A JP 2006240164A JP 2005061178 A JP2005061178 A JP 2005061178A JP 2005061178 A JP2005061178 A JP 2005061178A JP 2006240164 A JP2006240164 A JP 2006240164A
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Takumi Kaneko
卓巳 金子
Masaya Uetsuki
雅哉 植月
Tsutomu Abe
力 阿部
Noriyuki Matsumoto
宣幸 松本
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Abstract

【課題】 異なる特性を有する第1のインクおよび第2のインクを交換して吐出可能な吐出部を具えたインクジェット記録ヘッドにおいて、吐出口形成面を吐出精度が低下しない構成とする。
【解決手段】 第1のインクおよび第2のインクのそれぞれだけでなく、それらが混合したインクに対する適性を考慮して、吐出口形成面を非撥水面とするか、撥水面とするかを選択する。例えばフォトブラックインクおよびマットブラックインクを交換して用いる場合には、吐出口形成面を非撥水面1001とする。
【選択図】 図12

Description

本発明は、インクジェット記録ヘッドおよび該ヘッドを用いるインクジェット記録装置に関するものである。
一般にインクジェット記録装置は、記録手段である記録ヘッドを搭載可能なキャリッジと、記録媒体を搬送する搬送手段と、さらにこれらを制御するための制御手段とを備えている。そして、記録ヘッドに構成された複数の吐出口からインクを例えば滴として吐出させながら、キャリッジを主走査方向にシリアルスキャンさせるとともに、主走査方向とは直交する副走査方向に、記録媒体を所定の量で間欠搬送することにより、順次画像を記録媒体に形成していくものである。
この記録方法は、記録信号に応じてインクを吐出させ、吐出されたインクが記録媒体に着弾することにより記録がなされるものであり、ランニングコストが低くノンインパクトで静かな記録方式である。よって従来から、インクジェット記録方法を適用したプリンタ、複写機、ファクシミリ、ワードプロセッサ等の記録装置が多く実用化されている。また、この記録方法は、実施するにあたって複雑な機構をそれほど必要としないため、装置の小型化およびカラー化等が比較的容易であり、特に近年では、複数色のインクを用いたカラー記録装置に応用した製品も数多く実用化されている。このような、インクジェット記録装置においては、インクを吐出するための方式も様々なものがある。例えば代表的な例として、インクを吐出するための吐出口近傍のインク路に、電気熱変換素子などの発熱素子を設け、この発熱素子が発生する熱エネルギによってインク中に膜沸騰を生じさせ、この膜沸騰による気泡の急激な生成圧力によって、インクを吐出する方法が挙げられる。
図13は、上記シリアルスキャン方式によるインクジェット記録装置において採用される一般的なインクジェット記録ヘッドを、インクが吐出される方向から示した概念図である。ここで、記録ヘッド203には、矢印で示す主走査方向に異なる色調(色、濃度を含む)のインクが吐出可能な複数の吐出部205が並置されている。各吐出部205においては約20μmのピッチで1280個の吐出口(ノズル)207が配列され、記録密度が1200dpi(dot/inch;参考値)のカラー画像を高速に記録することが可能な構成となっている。なお、吐出口が形成された吐出部の部位を、以下ではフェイス面と称する。
ここで、使用するインクとしては一般的に、色材に顔料成分を含むインクおよび染料成分を含むインク(以下、それぞれ顔料インクおよび染料インクという)がある。染料インクは発色性はに優れるが、画像堅牢性に劣る一方、顔料インクは画像堅牢性に優れており、印刷物の屋外での長期放置などに対しても褪色しにくい色材である。最近では、インクジェット記録装置は多くの用途に使用され、特に画像堅牢性の高い顔料インクは、文書の信頼性が要求されるオフィスユースのプリンタや、野外展示用のポスターなどを作成するための大判プリンタに多く適用される。このように様々な記録装置の形態や用途に応じて、適切な性質のインクが用いられる。
記録ヘッドのフェイス面にはインクが付着することが知られている。これは、ノズルからインク吐出を行う際に、記録目的の本来のインク滴(主滴)とは別に小さなインク滴(以降「ミスト」と呼ぶ)が多量に吐出されてしまうことによる。多量に発生したミストは質量が小さいために、記録ヘッドと記録媒体との間の空間を漂い、記録ヘッドのフェイス面に再び戻って付着することがある。また、記録媒体表面上に主滴が着弾したものの、その一部が跳ね返ってフェイス面に再付着するミストも存在する。
このようなミストは、フェイス面を汚してしまい、特に吐出口周りに付着すると、この付着インクが吐出される主滴を引っ張ることで、ノズルからのインク吐出方向の低下(この現象は吐出方向がよれることから、「よれ」と呼ばれる)をもたらすことがある。また、甚だしい場合には、不吐出を生じさせしまうこともある。
このミストがフェイス面に付着することによる悪影響すなわち吐出精度の低下は、インク中の色材によって異なることが知られている。例えば染料インクにおいては、フェイス面付近に付着したインクは比較的除去しやすい。これに対して、顔料インクにおいては、フェイス面に付着したインクは比較的除去しにくいことが分かっている。
このようなインクによるフェイス面の汚れに対して、フェイス面の性質を適切に定める対策が採用されることがある。例えば特許文献1には、顔料を吐出するノズルに対しては親水性のフェイス面を形成する技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、顔料インクを吐出するノズルのフェイス面に対しては親水性を高める処理を施すことによりフェイス面が均一に濡れるようにする一方、逆に染料インクを吐出するノズルのフェイス面に対しては撥水性の強いフェイス面状態にしてフェイス面をきれいにしておくという技術が開示されている。また、例えば特許文献3には、フェイス面の撥水領域の形状と親水領域の形状とを、インクの種類の違いに応じて変える技術が開示されている。
ここで、撥水性のフェイス面をもつ記録ヘッドを得るためには、フェイス面に撥水剤をコートする処理を行うことが一般的である。また、親水性を呈するフェイス面をもつ記録ヘッドは、ノズルないし吐出部を構成する材質をそのまま適用することで非撥水性のフェイス面とするか、または積極的に親水化処理をフェイス面に施したものがある。
特開平11−334074号公報 特開2004−174753号公報 特願平8−39805号公報
最近では、インクジェット記録装置の用途の多様化に伴い、使用するインクも多様化している。例えば、顔料インクに関しても、光沢性が強い記録媒体(光沢紙)に対して光沢感の高い記録を実現することのできるインクや、光沢感のない記録媒体(マット紙)に対して、光沢感のない記録を実現するインクが存在する。また、発色性に特に優れた顔料インクや、堅牢性に特に優れた顔料インクなども存在する。このような多様なインクはそれぞれ、インク中の色材や、溶剤、活性剤といった成分が異なるだけでなく、色材のインク中での分散形態等も様々である。例えば、前述の光沢感の高い記録を実現するインクは、顔料色材を高分子の分散材で被うことによりインク中で安定した分散状態を形成し、光沢感のない記録を実現するインクは、顔料そのものが有する官能基によって安定した分散状態を形成するようにされていることが一般的である。
そして、このようなインクの多様化は、それぞれのインクに最適なインクジェット記録ヘッドや、インクジェット記録装置の必要性につながる。すなわち、例えば、前述したように記録ヘッドのフェイス面はそれぞれのインクに適した形態(撥水性をもたせるか、親水性をもたせるか等)を有するものとすることが望ましい。
また、このようなインクの多様化に伴い、一つのノズル列を用いて複数種類のインクを吐出可能とした製品が市販化されている。これは、一つのノズル列から吐出するインクを必要に応じて交換することにより、いずれかのインクを選択的に吐出可能としたものである。例えば、前述の光沢紙に対して光沢感の高い記録を実現するインク(このようなインクは写真調の画像に適しており、以下では「フォトインク」と呼ぶ)と、光沢感のないマット紙に適したインク(以下「マットインク」と呼ぶ)のインクとは、記録対象として選択した記録媒体の種類に応じていずれか一方の種類のインクを選択すればよいので、同時に2つのノズル列を具える必要がない。すなわち、1つのノズル列をこの2種のインクに兼用することができる。このようなインク交換を行う構成(以下「インク交換システム」と呼ぶ)においては、記録ヘッドのノズル列の数を減らすことができるため、記録ヘッドひいては記録装置本体のコストや大きさを低減することが可能となる。そして、このようなインク交換システムを適用するために、両者のインクのそれぞれに適した形態の記録装置やヘッドの構成をとることが望ましいと考えられる。
しかし、本発明者は鋭意検討を行った結果、このように両者のインクのそれぞれに適した構成を採用するだけでは不十分であることを見出した。次にその理由を説明する。
本発明者は、インク交換システムに用いるブラックインクとして、光沢感の強いフォトブラックインクと、マット紙に適したマットブラックインクとを適用することを試みた。この2者はいずれも撥水性の高いフェイス面に対して安定して吐出をすることが可能であるため、これらのインク用の吐出部として、撥水性の高いフェイス面を適用したものを用いた。しかし、この2者のインクを交換して使用した際に、フェイス面の撥水性能は著しく劣化し、インクの吐出性能はどちらのインクに対しても激しいよれを生じるものとなった。
このように本発明者は、インクが多様化している状況下、インク交換システムという新しいシステムに対して、単にそれぞれのインクに適したヘッドや記録装置の形態を採用するだけでは対応できない課題が存在することを見出したのである。
よって本発明は、インク交換システムに対して常に望ましいインク吐出性能を発揮できる構成を提供することを目的とする。
そのために、本発明は、異なる特性を有する第1のインクおよび第2のインクを交換して吐出可能な吐出部を具えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記吐出部のインク吐出口が設けられた部位は、前記第1のインクと、前記第2のインクと、前記第1のインクおよび前記第2のインクとが混合した混合インクとのすべてに対して、吐出特性を維持するように構成されていることを特徴とする。
ここで、前記第1のインクと、前記第2のインクと、前記第1のインクおよび前記第2のインクとが混合した混合インクとの少なくとも1つのインクに関して、
撥水面に対する親和性が比較的高い場合においては、前記部位は撥水性を示さないものとして構成すること、または、
溶剤の蒸発が生じた際の撥水面に対する親和性が比較的高い場合においては、前記部位は撥水性を示さないものとして構成すること、または、
表面張力が比較的低い場合においては、前記部位は撥水性を示すものとして構成することができる。
さらに、本発明は、上記インクジェット記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置であって、前記吐出部に対し、前記第1のインクと前記第2のインクとを切り替えて選択的に供給するための手段を具えたことを特徴とする。
本発明によれば、インクが交換されて用いられるシステムにおいて第1のインク、第2のインクおよび混合インクの条件に応じて、すなわち単体のインクそれぞれだけでなく、混合インクに対する適性をも考慮して適切なフェイス面構成を選択することで、吐出精度を維持し、高品位の画像記録を行うことが可能となる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
(1)インクジェット記録装置の機械的構成
(1−1)装置の概略
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置(以下、プリンタともいう)の外観を示す。これはいわゆるシリアルスキャン型のプリンタであり、記録媒体Pの搬送方向に対して直交する方向(主走査方向)に記録ヘッドをスキャン(主走査)して画像を形成するものである。
図1を用いてこのプリンタの構成および記録時の動作の概略を説明する。まず不図示の給紙モータによりギヤを介して駆動される給紙ローラ6によって記録媒体Pが搬送される。一方、所定の搬送位置において不図示のキャリッジモータによりキャリッジユニット2を当該搬送方向と直交する方向に延在するガイドシャフト8に沿ってスキャンさせる。そして、このスキャンの過程で、エンコーダ7によって得られる位置信号に基づいたタイミングでキャリッジユニット2に着脱自在に装着される記録ヘッド(後述)のインク吐出口(ノズル)から吐出動作を行わせ、ノズル配列範囲に対応した一定のバンド幅を記録する。その後記録媒体の搬送を行い、さらに次のバンド幅について記録を行う構成となっている。このようなプリンタでは、各スキャン間でバンド幅分の記録媒体搬送を行う場合もあるし、必要に応じて、1スキャン毎にバンド幅分の搬送を行わず、複数回スキャンを行ってから搬送を行う場合もあるし、また、1スキャン毎に所定のマスクによって間引かれたデータを記録してから1/nバンド前後の紙送りを行い、再度スキャンを行うことによって、一画像領域に対し記録に関与するノズルを異ならせた複数回のスキャンと搬送とによって画像を完成させる方法(いわゆるマルチパス記録)を行う場合もある。
記録ヘッドに対しては、吐出駆動のための信号パルスやヘッド温調用信号などを供給するためのフレキシブル配線基板19が取り付けられている。フレキシブル基板の他端は、本プリンタの制御を実行する制御回路を備えた制御回路(後述)に接続されている。このキャリッジユニット2に搭載される記録ヘッドには、図2および図5にて後述されるように、6色のインクをそれぞれ貯留するインクタンクから各色独立に、インク供給チューブ45を介してインクが供給される。また、キャリッジユニット2の移動可能な範囲の一部、例えば記録ヘッドのホームポジションには、記録ヘッドの回復処理を行うための回復系ユニット(図7)が設けられる。
なお、キャリッジモータからキャリッジユニット2への駆動力の伝達には、キャリッジベルトを用いることができる。しかしキャリッジベルトの代わりに、例えばキャリッジモータにより回転駆動され、主走査方向に延在するリードスクリュと、キャリッジユニット2に設けられ、リードスクリュの溝に係合する係合部とを具えたものなど、他の駆動方式を用いることも可能である。
送給された記録媒体Pは、給紙ローラ6と不図示のピンチローラとに挟持搬送されて、プラテン4上の記録位置(記録ヘッドの主走査領域)に導かれる。通常休止状態では記録ヘッドのフェイス面にはキャッピングが施されているため、記録に先立ってキャップを開放して記録ヘッドないしキャリッジユニット2をスキャン可能状態にする。その後、1スキャン分のデータがバッファに蓄積されたらキャッリッジモータ3によりキャリッジユニット2をスキャンさせ、上述のように記録を行う。
(1−2)記録ヘッドの構成
図2は、上記プリンタのキャリッジユニット2に搭載される記録ヘッドを、インクが吐出される方向から示した模式的斜視図である。ここで、記録ヘッド9には、主走査方向Sに異なる色調(色、濃度を含む)のインク、例えば、ブラック(Bk)、ライトシアン(Lc)、シアン(C)、ライトマゼンタ(Lm)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインクを吐出可能な複数の吐出部11〜16が並置されている。各吐出部に対しては、インク導入部23から記録ヘッド内部のインク流路を介してインクが供給される。インク導入部23には後述のインクタンクよりチューブを介してインクが導入される。
図3は各吐出部の模式的な斜視図である。
各吐出部は、インクを吐出するために利用されるエネルギとして、例えば通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを用いる方式のものであり、所定のピッチで発熱部52が形成された発熱部列を2列、並列させてなる基板51を有している。基板51の発熱部列間には、上記インク流路に連通するインク供給口56が設けられている。基板51に対しては、発熱部52に対応したノズル55と、ノズル55のそれぞれに対応してインク供給口56からインクを供給するためのインク路59とが形成された部材(オリフィスプレート)54が接合されて、吐出部が構成される。
各列では互いに、発熱部52およびノズル55を半ピッチずらして配置することで、所望の記録解像度を実現している。ここで、吐出部11〜16のそれぞれについて同じ記録密度およびノズル数とすることもできるし、異なる記録密度およびノズル数とすることもできる。本実施形態では、Bk用の吐出部11では1cmあたり約245ノズルの密度で640個のノズルが配列されており、その他のカラーインク用吐出部11〜15では各色とも1cmあたり約490ノズルの密度で1280個のノズルが配列されている。
図4は記録ヘッド9の模式的縦断面図である。記録ヘッド9は、後述の供給チューブ等を介してインクタンクに連通し、供給されるインクを貯留する液室部分91を有し、液室部分と吐出部との間にはノズル52に塵埃や気泡等が進入するのを防ぐためのフィルタ93が介挿されている。ここで、ノズル52の断面よりも小さい塵埃等に対しては、フィルタ93を通過したとしても、ノズルをも通過する可能性が高い。そのため、ノズル52に塵埃が詰まるのを防ぐためには、フィルタ93の孔の断面積はノズル断面積よりも小さく設計されるのが通常である。95は液室部分93のインク収納空間の一部を画成する例えばゴム製のダンパであり、環境変化等に起因したインク収納空間内部の急激な内圧の変化(圧力上昇等)を吸収し、ノズルからインクが漏出するのを防ぐ。
なお、本例では発熱部52が基板51に対して垂直方向にインクを吐出させる方式の吐出部を用いているが、平行な方向にインクを吐出させる形態の吐出部を用いるものでもよい。
(1−3)インク供給系
図5は上記記録ヘッドないし吐出部へのインク供給系の構成例を示す。また、図6は1色のインクの供給系の内部構成を示す説明図である。なお、図6はブラックインクに対応した供給系を示しているが、他色のインクの供給系についても同様に構成される。
ここで、記録ヘッドないし吐出部にインクを供給する方式としては主に2つのものがある。一つは、キャリッジにインクを保持するインクタンクを搭載し、直接記録ヘッドにインクを供給するものである。これは、本体装置を比較的簡易に構成できることから、家庭用や持ち運びを容易とするプリンタにおいて多く適用されている供給方式である。もう一つは、供給チューブと呼ばれるチューブを用いて、装置の固定部位に配置されたインクタンクと、キャリッジに搭載された記録ヘッドとの間を繋いでインクを供給するものである。これは、キャリッジにインクタンクを搭載することを前提としないため、比較的大容量のインクタンクを用いることが可能となり、プリントボリュームが多いオフィスやプロフェッショナルユース向けのプリンタに採用されることが多い。そして、本実施形態ではこの方式を採用している。
インクタンク39Bk、39Lc、39C、39Lm、39Mおよび39Yには、それぞれ異なるブラック(Bk)、ライトシアン(Lc)、シアン(C)、ライトマゼンタ(Lm)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインクが収納されている。各色インクタンクに接続されるインク供給チューブ45は、キャリッジユニット2ないし記録ヘッド9の移動(スキャン)に追従可能な可撓性を有するものである。46は記録ヘッドとともにキャリッジユニット2に搭載されるジョイントであり、各供給チューブ45の他端が接続される一方、記録ヘッド9のインク導入部23に結合するインク導出管45Aを有する。
各インクタンクはPP,PE等の樹脂によりインジェクション・ブロー等により成型され、超音波溶着,熱溶着,接着,嵌合などの技術を用いて組み立てられている。図4では、タンク外装がそのままインクチャンバとして機能する形式のものが例示され、その底部にジョイントゴム44が配置される一方、供給チューブ45の端部に設けた中空針43がジョイントゴム44を貫通してインクチャンバ内に突入することでインク供給を受けるようになっている。また、各インクタンクに対しては、中空針42を介して大気連通管41が接続され、消費されたインク分の空気がここを通じてインクチャンバ内に供給されることにより内圧をほぼ一定に保つ。記録ヘッドに対して作用する負圧は、ノズル52と中空針42の開口48に形成されるメニスカスとの間の水頭差により発生する。本実施形態において、負圧は−90mmAqに設定されている。また、大気連通管41にはバッファ室41Aが介挿されている。これは、環境変化等によってインクチャンバ内に圧力変化が生じたときにこれを吸収して供給チューブ45ひいては記録ヘッド9側に圧力変動の影響を及ぼさないようにする機能を果たす。例えば、インクタンク内の空気が膨張することによってタンク内から溢れ出るインクを一時的に保持するなどの機能を果たす。
図6に示した符号49は、インク供給経路の途中、例えば中空針43と供給チューブ45とをつなぐ連通管45Bに介挿された弁であり、インクタンクを交換する場合や、プリンタの二次輸送時等にクローズされる。
なお、インクタンクの構成としては、上記のものに限られず、例えば内部にインクを充填したインク袋を持つもの、また内部に多孔質体が充填されてインク含浸保持するとともに、記録ヘッドのインク吐出口に形成されるインクメニスカスを保持するための負圧を発生させるようにしたものであってもよい。また、このような負圧発生機構を有するタンクの形態としては、インクを収納する可撓性の袋を設け、袋の内部または外部に設けられたばね機構等によって袋の内容積を拡大する方向に付勢するようにしたものでもよい。
(1−4)回復系ユニット
キャリッジユニット2は、記録開始前または記録中に必要に応じてホームポジションで停止する。ホームポジション付近には、キャップおよびワイパブレードを含む回復系ユニットが配置されている。
図7は回復系ユニットの構成例を示す模式的斜視図である。キャップ27は不図示の昇降機構によって昇降可能に支持されており、上昇位置では、例えば3つの吐出部のフェイス面毎にキャッピングを施し、非記録動作時等においてその保護を行ったり、あるいは吸引回復を行うことが可能である。記録動作時には記録ヘッド9との干渉を避ける下降位置に設定され、またフェイス面との対向によって予備吐出を受けることが可能である。
ゴム等の弾性部材でなるワイパブレード21,22はワイパホルダ25に固定されている。ワイパホルダ25はガイド24に沿って、矢印Wで示す図の前後方向(吐出部における吐出口の配列方向)に移動可能である。そして、記録ヘッド9がホームポジションに到達したときに、矢印W方向にワイパホルダ25が移動することによって、ワイピングが可能である。ワイピング動作が終了すると、キャリッジをワイピング領域の外に退避させてから、ワイパがフェイス面等と干渉しない位置に戻す。なお、本例においては、3つの吐出部のフェイス面毎にワイピングを行う2つのワイパブレード21と、吐出部11〜16の吐出面を含む記録ヘッド9の面全体をワイピングするワイパブレード22とが設けられている。
吸引ポンプ29は、キャップ27をフェイス面に接合させてその内部に密閉空間を形成した状態で負圧を発生させることにより、インクタンクから記録ヘッドないし吐出部内にインクを充填させたり、吐出口もしくはその内方のインク路に存在する塵埃、固着物、気泡等を吸引除去したりすることができる。図示の例では、チューブポンプ形態の吸引ポンプ29が用いられ、これは可撓性を有するものとしたチューブ28(の少なくとも一部)を沿わせて保持する曲面が形成された部材と、これに向けて可撓性チューブを押圧可能なローラと、このローラを支持して回転可能なローラ支持部とを有するものとすることができる。すなわち、ローラ支持部を所定方向に回転させることで、ローラは曲面形成部材上で可撓性チューブを押しつぶしながら転動する。これに伴い、キャップ7が形成する密閉空間に負圧が生じてインクが吐出口より吸引され、キャップ27からチューブないし吸引ポンプに引き込まれる一方、引き込まれているインクはさらに適宜の部材(廃インク吸収体)に向けて移送される。
また、吸引ポンプ29は、そのような吸引回復だけでなく、キャップ27がフェイス面に対向した状態で行われる予備吐出動作によってキャップ27に受容されたインクを排出するためにも作動させることができる。すなわち、予備吐出されてキャップ27に保持されたインクが所定量に達したときに吸引ポンプ29を作動させることで、キャップ27内に保持されていたインクをチューブ28を介して廃インク吸収体に移送することができる。
(2)インク
次に、上記構成のプリンタに使用可能なインクについて説明する。
(2−1)イエローインク
分散液の作製
顔料[C.I.ピグメントイエロー74(製品名:Hansa Brilliant Yellow 5GX(クラリアント社製))]10部、アニオン系高分子P−1[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比(重量比)=30/40/30)、酸価202、重量平均分子量6500、固形分10%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム]30部、および純水60部を混合し、以下に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを150部充填し、水冷しつつ、12時間分散処理を行った。さらに、この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去した。そして、最終調製物として、固形分が約12.5%、重量平均粒径が120nmの顔料分散体1を得た。得られた顔料分散体を用いて、下記のようにしてインクを調製した。
インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、イエローインクを調製した。
・上記で得た顔料分散体1 40部
・グリセリン 9部
・エチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 1部
・1,2−ヘキサンジオール 3部
・ポリエチレングリコール(分子量1000) 4部
・水 37部。
(2−2)マゼンタインク
分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、さらに、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成した。
上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液 40部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物
(川研ファインケミカル製) 0.5部
・イオン交換水 39.5部。
(2−3)ライトマゼンタインク
分散液の作製
マゼンタインクで使用したポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液 8部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物
(川研ファインケミカル製) 0.5部
・イオン交換水 71.5部。
(2−4)シアンインク
分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、さらに、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成した。
上記のポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液 20部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物
(川研ファインケミカル製) 0.5部
・イオン交換水 53.5部。
(2−5)ライトシアンインク
分散液の作製
シアンインクで作成したポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液 4部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物
(川研ファインケミカル製) 0.5部
・イオン交換水 69.5部。
(2−6)マットブラックインク
分散液の作製
表面積が230m/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック10gとp−アミノ−N−安息香酸3.41gを水72gによく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下して、70℃で撹拌した。ここにさらに数分後、5gの水に1.07gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、さらに1時間撹拌した。得られたスラリーを濾紙(商品名:東洋濾紙No.2;アドバンティス社製)で濾過し、濾取した顔料粒子を十分に水洗し、90℃のオーブンで乾燥させ、さらに、この顔料に水を足して顔料濃度10重量%の顔料水溶液を作製した。
インクの作製
以下の成分を混合し、十分撹拌して溶解後、ポアサイズ3μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過してブラックインクを調製した。
・顔料分散体1 30部
・硫酸カリウム 1部
・トリメチロールプロパン 6部
・グリセリン 6部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 0.2部
(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)
・水 50.8部。
(2.7)フォトブラックインク
分散液の作製
イエローインクで使用したポリマー溶液を100g、カーボンブラックを100gおよびイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してブラック分散液とした。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が6質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記ブラック分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度5質量%、分散剤濃度3質量%の顔料インクを調製した。
・上記ブラック分散液 50部
・グリセリン 10部
・トリエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)
・イオン交換水 25.5部。
(3)制御系の構成例
図8は本実施形態において用いたプリンタの制御回路の構成例を示す。図8において、101はプログラマブル・ペリフェラル・インターフェイス(以下PPIとする)であり、ホストコンピュータ100から送られてくる指令信号(コマンド)や記録データを含む記録情報信号を受信してMPU102に転送するとともに、ホストコンピュータ100に対しては必要に応じプリンタのステータス情報を送出する。また、ユーザがプリンタに対して各種設定を行う設定入力部やユーザに対してメッセージを表示する表示部などを有したコンソール106との間で入出力を行うとともに、キャリッジユニット102ないし記録ヘッド9がホームポジションにあることを検出するホームポジションセンサや、キャッピングセンサなどを含むセンサ群107よりの信号入力を受容する。
MPU(マイクロプロセッシングユニット)102は、制御用ROM105に記憶された通常の記録処理手順や、インク交換を行う際に実行される図9について後述する処理手順に対応した制御プログラムに従って、プリンタ内の各部を制御する。103は受信した信号を格納し、あるいはMPU102のワークエリアとして使用され、また各種データを一時的に記憶するためのRAMである。104はフォント発生用ROMで、コード情報に対応して文字や記録等のパターン情報を記憶しており、入力したコード情報に対応して各種パターン情報を出力する。121はRAM103等に展開された記録データを記憶するためのプリントバッファであって、M行記録分の容量を持つ。制御用ROM105には上記制御プログラムのほか、後述する制御の過程で使用されるデータ(例えば本実施形態の主要部に係るワイピング実行の要否を定めるためのデータ)等に対応した固定データを格納しておくことができる。これらの各部は、アドレスバス117およびデータバス118を介して、MPU102により制御される。
113はキャッピングモータであり、キャップ27の昇降、ワイパホルダ25の移動およびポンプ29の動作の駆動源をなす。114、115および116は、それぞれ、キャッピングモータ113、キャリッジモータ3および給紙モータ5をMPU102の制御に応じて駆動するためのモータドライバである。また、149はインクタンクからのインク供給経路に設けられた弁49を開閉するためのドライバである。
109はシートセンサであり、記録媒体の有無、すなわち記録媒体が記録ヘッドによる記録が可能な位置に供給されたか否かを検知する。111は記録情報信号に応じて記録ヘッド9の発熱部52を駆動するためのドライバを示している。124は上記各部へ電源を供給する電源部であり、駆動電源装置としてACアダプタと電池とを有している。
上記プリンタおよびこれに対して記録情報信号を供給するホストコンピュータ100からなる記録システムにおいては、ホストコンピュータ100よりパラレルポート、赤外線ポート、あるいはネットワーク等を介して記録データ送信する際、その先頭部分に所要のコマンドが付加される。そのコマンドとしては、例えば記録の行われる記録媒体の種類(普通紙,OHPシート,光沢紙等の種類や、さらには転写フィルム,厚紙,バナー紙等の特殊な記録媒体の種別)、媒体サイズ(A0判,A1判,A2判,B0判,B1判,B2判など)、記録品位(ドラフト,高品位,中品位,特定色の強調,モノクローム/カラーの種別など)、給紙経路(プリンタが備える記録媒体の送給手段の形態や種類に応じて定められる。例えばASF,手差し,給紙カセット1,給紙カセット2など)、およびオブジェクトの自動判別の有無などがある。また、記録媒体でのインクの定着性を向上するための処理液を付与する構成が採用される場合には、その付与の有無を定める情報等がコマンドとして送信されることもある。
これらのコマンドに従って、プリンタ側では前述したROM105から記録に必要なデータを読み込み、それらのデータに基づいて記録を行う。データとしては、例えば上述したマルチパス記録を行う際の記録パス数や、記録媒体単位面積あたりのインクの打ち込み量および記録方向等を決定するためのものがある。またその他、マルチパス記録を行う際に適用されるデータ間引き用のマスク種類や、記録ヘッドの駆動条件(たとえば発熱部52に印加する駆動パルスの形状,印加時間等)、ドットのサイズ、記録媒体搬送の条件、さらにはキャリッジ速度等もある。
(4)インク交換シーケンス
本実施形態は、マットブラックインクとフォトブラックインクとの交換システムに係るものであり、具体的には、図5および図6に示したインク供給系において、ブラック用インクタンク39Bkとしてマットブラックインクを収納したものとフォトブラックインクとを収納したものとを交換して選択的に装着可能な構成とする。
図9および図10(a)〜(d)は、それぞれ、かかるインクタンクの交換を行う際のシーケンスの一例および交換態様を示す。
図9の手順は、例えば用いるインク種類ないしインクタンクをユーザが指定したとき、記録媒体種類を指定したとき、あるいは光沢感の有無など記録モードを指定したときなどに起動することができる。指定はプリンタ本体に設けたコンソール106を用いて行うものでもよく、ホストコンピュータ100で稼動するプリンタドライバの設定画面を用いて行うものでもよい。さらに、それらのような指定に適合したインクを収納するインクタンクが装着されているか否かを判定し、否定判定の場合に起動することができる。ここで、指定に応じたインクタンクが装着されているかの判断に供するために、インクタンク側から情報を提示可能とすることができる。この場合には、例えば自らが収納するインク種類の情報を格納する記憶手段をインクタンクに設けたものとすることができる。そして、当該提示された情報を受け取り、その内容をMPU102で判断するか、またはその情報をPPI101を介して通信することでホストコンピュータ100にてその内容の判断を行うものとすることができる。
図9の手順が起動されると、まず、ステップS801において、全色のインクタンク39Bk〜39Yからのインク供給経路に介挿された弁49を閉じ、インク供給経路を閉塞する。また、キャップ27を上昇させてキャッピングを施す。このとき、交換対象となるブラックインクタンクは図11(a)において符号39Bkで示すもの(マットブラックインク用またはフォトブラックインク用)であり、これに代えて装着しようとするブラックインクタンクは図10(a)において符号39Bk’で示すもの(フォトブラックインク用またはマットブラックインク用)であるとする。
続いてステップS802にて、ユーザに対し交換対象となるブラック用インクタンクBkの取り外しを要請をする。この要請は、プリンタ本体に設けたコンソール106の表示部を通じて行うものでもよいし、ホストコンピュータ100で稼動するプリンタドライバの設定画面を通じて行うものでもよい。
そして、インクタンクBkを取り外した状態(かつインクタンクBk’が未装着の状態)である図10(b)の状態で、ポンプ29を所定時間(例えば30秒間)駆動する(ステップS803)。これにより、弁49を閉じたまま吸引処理を行うことにより、全吐出部ないしインク供給経路内は減圧された状態になる。
続いて、ステップS804でブラックインクの供給経路のみ弁49を開放する。この操作によって、減圧されたブラック用の吐出部11内に供給経路に残留するブラックインクが流れ込む一方、タンクが取り外されているために当該供給経路には空気が流れ込む。そして、ステップS803の吸引動作およびステップS804の弁開放動作を所定回数(例えば7回)繰り返すことにより、吐出部11内にも空気が入り込み、インク供給系内はほぼ空気で満たされる。この状態が図10(c)である。
続いて、ステップS807で今までのインクタンク39Bkとは異なるインクタンク39Bk’の装着を要請する。そして、この状態から、ステップS808でステップS803およびステップS804と同様の処理を7回繰り返すことにより、吐出部11を含むインク供給系内には新しいインクが充填される。この状態を示したものが図10(d)である。
その後、ステップS809にてすべての弁49を開放し、ステップS810にてポンプ29を所定時間(例えば5秒間)駆動して吸引動作を実行し、ステップS811にてワイピング処理を実行し、最後にステップS812にて予備吐出を実行して、インクタンク交換シーケンスが終了する。
なお、本実施形態においては、インクタンクを交換することでインク交換システムに対応するものとしたが、予め2種のインクタンクを具備し、インク供給経路を切り替えることでインク交換システムに対応するものであってもよい。
(5)フェイス面の構成
本実施形態においては、マットブラックインクとフォトブラックインクとのインク交換システムとした。これらのインク(上記(2.6)および(2.7)で述べたもの)はいずれも、撥水性の高いフェイス面に対して安定して吐出をすることが可能であるため、まずこれらのインク用の吐出部11として、撥水性の高いフェイス面を適用したものを用いた。しかし、この2者のインクを上述のように交換して使用した際に、フェイス面の撥水性能は著しく劣化し、インクの吐出性能はどちらのインクに対しても激しいよれを生じるものとなった。以下では、この原因を明確にし、望ましいフェイス面の性能選択を提示する。
まず、前述のインクセットを用い、それぞれのインクに対して記録ヘッドのワイピング耐久試験を実施した。
図11はかかるワイピング耐久試験の態様を示す。まず、ステップS901にて記録ヘッド9をキャップ27上に移動して予備吐出を行う。これによりフェイス面にインクを付着させてフェイス面を濡らす。続いてステップ902にてワイピングを実行する。そして、これらの処理を所定回数(例えば2000回)繰り返すことにより(ステップS903)、フェイス面を実使用時に対応して加速的に濡らすことが可能となる。このワイピング耐久試験を実施することによりフェイス面が濡れてしまった場合、それが原因として吐出精度が低下する。
この耐久試験を2種のブラックインクを含めた上記7種類のインクに対して実施した。また、この際のヘッドのフェイス面としては撥水面としたものと、非撥水面としたものとの双方について耐久試験を行った。
その結果のフェイス面の濡れ、および吐出精度の低下(よれ)状態を表すのが下記の表1である。
Figure 2006240164
濡れに関する評価基準 よれに関する評価基準
◎:全く濡れない ◎:よれが全くない
○:若干濡れる ○:若干よれる
△:均一に濡れる ×:激しくよれる
×:激しく濡れる −:判定不能
この表から明らかなように、イエローインク以外は撥水面および非撥水面のいずれに対してもよれがなかった。イエローインクにおいては、本実施形態においては唯一、表面張力の低いインクを用いており、非撥水面に対してインクが溢れ出す現象が確認された。その他のインクに関しては、撥水面とした場合には撥水性が保たれ、また非撥水面に関しては、フェイス面は均一に塗れるために、フェイス面の濡れは発生するものの、よれは発生しなかった。
特に、マットブラックインクおよびフォトブラックインクを専用に用いた場合において、撥水面とした場合に若干の濡れおよびよれが確認されたが、実使用上問題の生じるレベルではなかった。
しかし本実施形態はマットブラックインクとフォトブラックインクとのインク交換システムに係るものであり、図9に示したようなシーケンスによって交換を行っても、すなわち、インクタンク39Bkの取り外し後、インクタンク39Bk’の装着前に吐出部11を含むインク供給系をほぼ空気で満たすといっても、インクタンク39Bkから供給されていたインクを吐出部11を含むインク供給系から完全には除去できず、交換後に新たにインクタンク39Bk’から供給されるインクと混合することがある。従って、そのような混合インクに対しても、吐出部11のフェイス面は吐出精度を維持できるものであるべきである。そのために本発明者らは、インク交換システムに適用されるマットブラックインクおよびフォトブラックインクに関して、混合比率を変えて3種類のインクを作成し、その3種類のインクに対し、吐出部のフェイス面を撥水面としたものと、非撥水面としたものとの双方について、上述のような耐久試験を行った。下記の表2はその結果を示すものである。
Figure 2006240164
濡れに関する評価基準 よれに関する評価基準
◎:全く濡れない ◎:よれが全くない
○:若干濡れる ○:若干よれる
△:均一に濡れる △:よれる
×:激しく不均一に濡れる ×:激しくよれる
この表から明らかなように、単独ではよれのほぼ発生しない2種のインクであっても、両者が混合することにより撥水面を濡らし、激しいよれが生じることが確認された。この混合によるフェイス面の濡れのメカニズムはまだ明確ではないが、両者のインクが混合することによりインクが不安定化し、フェイス面上で激しく凝集したためと考えられる。
このことから、インク交換シーケンスを実施するマットブラックインクおよびフォトブラックインクを用いる吐出部のフェイス面は、非撥水面を採用する。その理由は、上述のようにインク交換シーケンスを経てもインク供給系内には交換前のインクが若干残り、混合インクのフェイス面に対する濡れ性(親和性)が問題となるためである。
以上から、本実施形態の場合、インク交換を行わないライトシアン、ライトマゼンタ、マゼンタおよびシアンのインクの各吐出部に関しては撥水・非撥水いずれのフェイス面を選択してもよく、イエローインクに関しては撥水面が望ましく、マットブラックインクおよびフォトブラックインクが交換して用いられる吐出部に関しては非撥水面が好ましいとの結論を得た。
図12はこれに基づいて採用した本実施形態の記録ヘッド9の各吐出部に対するフェイス面構成を示す模式図である。ここで、ブラックインク用の吐出部11については非撥水面1001とし(吐出部を構成する材質をそのまま適用することで非撥水面とするか、または積極的に親水化処理を施したものでもよい)、それ以外の吐出部12〜16のフェイス面に関しては撥水面1002とした。特に、イエローインクに関しては、前述のように非撥水面に対してはインクの溢れが発生するために撥水面を積極的に採用した。残りの色に関してはいずれでもよいが、撥水面の方がクリーニング時にインクの混色が少ないことが分かっており、そのために撥水面を採用した。
(6)その他
本発明は、第1および第2のインクを交換して用いるシステムにおいて、第1のインクと、第2のインクと、これらが混合した混合インクとのすべてに対して、吐出特性を損なわないフェイス面構成とすることを主たる特徴とするものである。そして、上述の実施形態では、フォトブラックインクとマットブラックインクとのインク交換システムにおいて、混合インクのフェイス面に関する濡れ性(親和性)が問題となり、吐出精度が悪化する場合においては、インク交換システムを用いるフェイス面において非撥水面を用いることで吐出精度を維持するようにしたものである。
しかし、その他の条件やインク種類等に関して、吐出特性を損なわないフェイス面構成を適切に選択できることは勿論である。
例えば、その他の条件としては、第1のインクと、第2のインクと、これらが混合した混合インクとの少なくとも1つのインクに関して、溶剤の蒸発が生じた際の撥水面に対する親和性が比較的高い場合が挙げられる。例えば、フェイス面にインクが付着していると、溶剤蒸発が進むことがある。また、図7で示した回復系ユニットを用いて回復処理を行う際、特にワイピングを行う際にはワイパブレード21にもインクが付着し、溶剤蒸発が進んだインクが次のワイピングでフェイス面に再転写されることがある。従って、交換前のインクと交換後のインクとが混合する可能性がある。従って、それらのような場合に撥水面に対する親和性が比較的高くなるような条件では、撥水性を示さないようにフェイス面を構成することができる。
また、本発明は、用いるインクの色や濃度などの色調数および種類についても、上述の実施形態に限られることなく、適宜定め得ることは勿論であり、インク交換システムを適用する場合において適宜のフェイス面構成を採用できる。
例えば、第1のインクと、第2のインクと、これらが混合した混合インクとの少なくとも1つのインクに関して、表面張力が比較的低い場合においては、撥水性を示すようにフェイス面を構成することもできる。それらインクの少なくとも1つでも表面張力が低いものであると、非撥水面に対してインクが溢れ出す現象が生じるからである。
さらに、上記プリンタに適用されるインク吐出方式には種々のものがあり、上述のように通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する電気熱変換素子が設けられているものを用いてもよく、ピエゾ素子など電気機械エネルギ変換素子が設けられているものを用いてもよい。
加えて、上例では所謂シリアルタイプのプリンタに本発明を適用した場合について説明したが、本発明は記録媒体の全幅に対応した範囲にわたってノズルを配列してなる所謂フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドを用いるプリンタに対しても有効なものである。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置(プリンタ)の外観を示す模式的斜視図である。 図1のプリンタのキャリッジユニットに搭載される記録ヘッドを、インクが吐出される方向から示した模式的斜視図である。 図2の記録ヘッドに設けられる吐出部の模式的斜視図である。 図2の記録ヘッドの模式的縦断面図である。 図2の記録ヘッドへのインク供給系の構成例を示す模式的斜視図である。 1色のインクに対応したインク供給系の内部構成を説明するための説明図である。 図2の記録ヘッドに対する回復系ユニットの構成例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態において用いたプリンタの制御回路の構成例を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるインク交換シーケンスの例を示すフローチャートである。 (a)〜(d)は、インクタンクの交換態様を説明するための説明図である。 ワイピング耐久試験の態様を説明するためのフローチャートである。 実施形態の記録ヘッドの各吐出部に対するフェイス面構成を示す模式図である。 一般的な記録ヘッドの構成を示す模式図である。
符号の説明
2 キャリッジユニット
3 キャリッジモータ
5 給紙モータ
9 記録ヘッド
11〜16 吐出部
21、22 ワイパブレード
23 インク導入部
25 ワイパホルダ
27 キャップ
29 吸引ポンプ
39Bk、39Bk’、39Lc、39C、39Lm、39M、39Y インクタンク
45 供給チューブ
49 弁
52 発熱部
55 ノズル
100 ホストコンピュータ
102 MPU
103 RAM
105 ROM
121 プリントバッファ
1001 非撥水面
1002 撥水面

Claims (7)

  1. 異なる特性を有する第1のインクおよび第2のインクを交換して吐出可能な吐出部を具えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
    前記吐出部のインク吐出口が設けられた部位は、前記第1のインクと、前記第2のインクと、前記第1のインクおよび前記第2のインクとが混合した混合インクとのすべてに対して、吐出特性を維持するように構成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記第1のインクと、前記第2のインクと、前記第1のインクおよび前記第2のインクとが混合した混合インクとの少なくとも1つのインクに関して、撥水面に対する親和性が比較的高い場合においては、前記部位は撥水性を示さないものとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記第1のインクと、前記第2のインクと、前記第1のインクおよび前記第2のインクとが混合した混合インクとの少なくとも1つのインクに関して、溶剤の蒸発が生じた際の撥水面に対する親和性が比較的高い場合においては、前記部位は撥水性を示さないものとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記部位は、親水処理を施すことで前記撥水性を示さないものとして構成されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記第1のインクと、前記第2のインクと、前記第1のインクおよび前記第2のインクとが混合した混合インクとの少なくとも1つのインクに関して、表面張力が比較的低い場合においては、前記部位は撥水性を示すものとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置であって、前記吐出部に対し、前記第1のインクと前記第2のインクとを切り替えて選択的に供給するための手段を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 前記切り替えに際し、前記吐出部を含むインク供給系から交換対象となるインクを除去する手段を具えたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
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