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JP2006130212A - 異常陰影候補検出方法、および装置、ならびにプログラム - Google Patents

異常陰影候補検出方法、および装置、ならびにプログラム Download PDF

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JP2006130212A JP2004325011A JP2004325011A JP2006130212A JP 2006130212 A JP2006130212 A JP 2006130212A JP 2004325011 A JP2004325011 A JP 2004325011A JP 2004325011 A JP2004325011 A JP 2004325011A JP 2006130212 A JP2006130212 A JP 2006130212A
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Abstract

【課題】特別な方法で撮影された画像を用いることなく、また、人手を介することなく、撮影条件の相違による異常陰影候補の検出結果のばらつきを軽減する。
【解決手段】異常陰影候補検出手段10による処理に先立って、パラメータ設定手段20Aが、処理対象の複数の胸部単純X線画像P0から無作為に選択された調整用画像のデータP0’を入力として、異常陰影候補検出手段10による処理の一部を行うことによって得られた画像中の孤立領域の円形度cir’と半径rad’に基づき、この調整用画像データP0’を入力したときにこの異常陰影候補検出処理によって検出される候補の数が、予め異常陰影が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において読影者の所望する真陽性率が得られるように検出閾値を設定した場合の平均偽陽性陰影数M1と一致するように、検出閾値を自動的に設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、医用画像中の異常陰影候補の検出方法、および装置、ならびにプログラムに関し、詳細には、入力となる医用画像の画質等の条件に応じた検出レベルに基づいて異常陰影候補を検出する方法、および装置、ならびにプログラムに関するものである。
医療分野においては、画像中の異常陰影候補を自動的に検出し、検出された異常陰影候補の強調表示等を行うコンピュータ支援画像診断システム(CAD: Computer Aided Diagnosis)が知られており、医師は、このCADシステムによって検出された異常陰影候補を含む画像を読影し、画像中の異常陰影候補が腫瘤や石灰化等の病変を表す異常陰影であるかどうかを最終的に判断する。
異常陰影候補の検出手法としては、例えば、乳房の放射線画像(マンモグラフィ)に対して、アイリスフィルタによる画像処理を行い、その出力値を閾値処理することによって、乳ガン等の一形態である腫瘤陰影(異常陰影の一形態)の候補を自動的に検出する手法や、モフォロジーフィルタを用いた画像処理を行い、その出力値を閾値処理することによって、乳ガン等の他の一形態である微小石灰化陰影(異常陰影の一形態)の候補を自動的に検出する手法が知られている(例えば、特許文献1)。また、入力された医用画像に対応する正常構造画像を人工的に生成し、入力された医用画像と正常構造画像との差異を表すサブトラクション画像を生成し、生成されたサブトラクション画像において画素値が所定値以上のものを異常陰影候補として検出する手法も知られており、例えば、胸部を撮影した医用画像に対して適用されている(例えば、特許文献2)。
ところで、医用画像の撮影条件は常に一定に保たれているわけではない。例えば、撮影装置の経時変化によって、管電圧等の撮影条件が変化してしまうこともあるし、医用画像の読影を行う医師の好みによって、この撮影条件を調整することもある。したがって、CADシステムへの入力となる医用画像の画質は、その撮影条件の違いにより異なったものとなりうる。一方、CADシステムにおける異常陰影候補の検出レベル(検出閾値)等の処理パラメータは、予め実験的に得られた初期値が設定されていることが多かった。このため、撮影条件に応じた最適なパラメータ設定の下で異常陰影候補の検出処理が行われていたわけではなかった。例えば、胸部の単純X線画像に対する異常陰影候補検出処理では、撮影時の管電圧が低下すると、肋骨部と軟部のコントラストが変化してしまい、肋骨部の目立った画像になってしまうため、同一の処理パラメータで検出処理を行っても、入力画像の撮影条件の相違により異常陰影候補の検出結果が異なってしまうことになり、診断性能の点で問題が生じていた。
そこで、本出願人は、CDMAM(Contrast-Detail MAMmography)等の基準ファントムを撮影した画像や被写体なしで撮影したベタ画像に対する異常陰影候補検出処理の結果に基づいて、CADの処理パラメータの自動的に設定を行う手法を提案している(例えば、特許文献3)。
特開平8−294479号公報 特開2004−41694号公報 特開2002−143136号公報
しかしながら、特許文献3記載の手法によってCADの処理パラメータを設定するためには、撮影の度に基準ファントムの撮影やベタ撮影等の特別な撮影を行う必要があるため、撮影に手間がかかってしまう。また、この撮影自体は人手を介して行う必要があるので、処理パラメータの設定を完全に自動化することはできない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、特別な方法で撮影された画像を用いることなく、また、人手を介することなく、撮影条件の相違による異常陰影候補の検出結果のばらつきを軽減した異常陰影候補の検出方法、および装置、ならびにプログラムを提供することを目的とする。
本発明の異常陰影候補検出方法は、被検体を表す複数の医用画像の画像データを入力として、所定の処理パラメータを用いた異常陰影候補検出処理により、医用画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出方法において、この複数の医用画像の画像データを入力とする異常陰影候補検出処理に先立って、これらの複数の医用画像から選択された調整用画像の画像データを入力としてこの異常陰影候補検出処理のうちの少なくとも一部を行うことによって得られた結果に基づき、この調整用画像の画像データを入力とするこの異常陰影候補検出処理によって検出される異常陰影候補の数が所定の基準を満たすようにこの所定の処理パラメータを設定するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の異常陰影候補検出装置は、上記の方法を実施するためのものである。すなわち、被検体を表す複数の医用画像の画像データを入力として、所定の処理パラメータを用いた異常陰影候補検出処理により、医用画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出手段を備えた装置に、これらの複数の医用画像の画像データから選択された調整用画像の画像データを入力としてこの異常陰影候補検出処理のうちの少なくとも一部を行うことによって得られた結果に基づき、この調整用画像の画像データを入力とするこの異常陰影候補検出処理によって検出される異常陰影候補の数が所定の基準を満たすようにこの所定の処理パラメータを設定するパラメータ設定手段を設け、異常陰影候補検出手段が、前記の複数の医用画像の画像データを入力として、パラメータ設定手段によって設定された所定の処理パラメータを用いてこの異常陰影候補検出処理を行うようにしたことを特徴とする。
さらに、本発明の異常陰影候補検出プログラムは、上記の方法をコンピュータに実行させるためのものである。すなわち、コンピュータに、被検体を表す複数の医用画像の画像データを入力として、所定の処理パラメータを用いた異常陰影候補検出処理を行わせ、医用画像中の異常陰影候補を検出させる前に、これらの複数の医用画像の画像データから選択された調整用画像の画像データを入力としてこの異常陰影候補検出処理のうちの少なくとも一部を行わせることによって得られた結果に基づき、この調整用画像の画像データを入力とするこの異常陰影候補検出処理によって検出される異常陰影候補の数が所定の基準を満たすようにこの所定の処理パラメータを設定させるようにしたことを特徴とする。
次に、本発明の異常陰影候補検出方法、および装置、ならびにプログラムの詳細について説明する。
本発明の異常陰影候補検出処理の具体例としては、アイリスフィルタやモフォロジーフィルタによる画像処理の出力値に対して閾値処理するものや(前述の特許文献1)、入力画像と正常構造画像の差分画像の画素値に対して閾値処理するもの(前述の特許文献2)等が考えられる。以下では、必要に応じて、この異常陰影候補検出処理が、入力画像の画像データに対して所定の画像処理を行うことによって、画像中の画素毎、または、画像から抽出された所定の領域毎に、異常陰影らしさを示す特徴量を算出する特徴量算出処理と、この特徴量が所定の検出閾値以上の領域を異常陰影候補と判定する閾値処理とからなるものを前提として説明を行う。なお、「特徴量」の具体例としては、上記のアイリスフィルタの処理や差分演算等によって出力された値や、これらの出力された値に基づいて算出される、抽出された領域毎の形状や大きさ等を表す指標値等が考えられる。
「所定の処理パラメータ」とは、異常陰影候補検出処理の検出性能を変動させるパラメータである。具体例としては、特徴量の算出のために行われる画像処理において適用される数式の係数や閾値処理における検出閾値が考えられる。
「調整用画像」は、異常陰影候補検出処理対象の複数の画像から選択されたものであるが、この「調整用画像」は複数あることが好ましい。また、複数選択された調整用画像の各々について指標値を算出し、調整用画像のうち、指標値が他の調整用画像の指標値と大きく異なる(例えば、指標値の平均値との差が所定の基準より大きい)ものを除外し、残された調整用画像を用いて処理パラメータを設定するようにしてもよい。
「異常陰影候補検出処理のうちの少なくとも一部を行うことによって得られた結果」の具体例としては、異常陰影候補検出処理の全部を行うことによって得られる、異常陰影候補と判定された各領域の位置や大きさ、特徴量等や、異常陰影候補検出処理の一部を行うことによって得られる、画像中の各画素または各領域の特徴量等が考えられる。
また、「異常陰影候補検出処理のうちの少なくとも一部」の処理は、調整用画像の全体を対象として行ってもよいし、画像中の特定構造部分、注目部分等、調整用画像の一部分のみを対象として行ってもよい。
「所定の基準」の具体例としては、「調整用画像から検出される異常陰影候補の数」が、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように所定の処理パラメータを設定した場合の平均偽陽性陰影数と一致することという基準が考えられる。異常陰影候補検出処理によって検出される異常陰影候補がすべて真に異常な部分であれば理想的であるが、実際には、検出される異常陰影候補には、真の異常陰影である真陽性(True Positive: TP)陰影と、正常な部分が誤って検出された偽陽性(False Positive: FP)陰影とが含まれる。上記の具体例はこのことを前提としており、「真陽性率」とは、画像中のすべての真の異常陰影のうち異常陰影候補検出処理によって検出された異常陰影の割合を意味し、「平均偽陽性陰影数」とは、この真陽性率になるように所定の処理パラメータを設定して異常陰影候補検出処理を行った場合に検出された偽陽性陰影の平均個数を意味する。
「所定の処理パラメータを設定する」処理の具体例を以下に挙げる。
(1) 調整用画像全体または調整用画像中の特定の注目部分から検出された異常陰影候補の数が上記の平均偽陽性陰影数と一致するように検出閾値(処理パラメータ)を設定する。
(2) 調整用画像全体または調整用画像中の特定の注目部分について算出された特徴量の平均値に対して所定の比率を乗じたものを、検出閾値(処理パラメータ)として設定する。この所定の比率とは、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように所定の処理パラメータを設定して異常陰影候補を検出した場合における、教師画像のデータを入力として算出された特徴量の平均値に対する検出閾値の比率である。これにより、調整用画像の画像データを入力とするこの異常陰影候補検出処理によって検出される異常陰影候補の数が、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように所定の処理パラメータを設定した場合の平均偽陽性陰影数と一致するように検出閾値を設定することが可能になる。
(3) 調整用画像全体または調整用画像中の特定の注目部分について算出された特徴量の平均値が、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように設定された数式の係数(処理パラメータ)の下で算出された特徴量の平均値と一致するように、係数(処理パラメータ)を設定する。これにより、異常陰影候補検出処理のうちの閾値処理に対する入力となる特徴量の分布範囲を、調整用画像と教師画像で揃えることができるので、調整用画像の画像データを入力とするこの異常陰影候補検出処理によって検出される異常陰影候補の数が、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように所定の処理パラメータを設定した場合の平均偽陽性陰影数と一致するように上記の係数(処理パラメータ)を設定したことになる。
「教師画像」は、実際の被検体を撮影して得たものであってもよいし、例えば人体模型のようなファントムを撮影して得たものであってもよい。
なお、被検体が人間の胸部の場合、調整用画像中の肋骨を認識する処理をさらに行い、少なくとも認識された肋骨の交差部分における異常陰影候補を検出する処理のうちの少なくとも一部を行うことによって得られた結果に基づき、肋骨の交差部分において検出される異常陰影候補の数が所定の基準を満たすように所定の処理パラメータを設定するようにしてもよい。肋骨の交差部分は、その形状や画素値の勾配の特性等が異常陰影部分と類似していることから、異常陰影候補として誤検出されやすい。そこで、肋骨の交差部分において検出される異常陰影候補を偽陽性陰影とみなし、この肋骨交差部分における異常陰影候補の数が、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように所定の処理パラメータを設定した場合の、平均偽陽性陰影数、または肋骨交差部分で検出された異常陰影候補の数と一致することを所定の基準としてもよい。
本発明の異常陰影候補検出方法、および装置、ならびにプログラムによれば、異常陰影候補の検出処理対象の複数の医用画像から選択された調整用画像の画像データを入力として、異常陰影候補検出処理の少なくとも一部を行った結果に基づき、この調整用画像の画像データを入力とするこの異常陰影候補検出処理によって検出される異常陰影候補の数が所定の基準を満たすように異常陰影候補検出処理の処理パラメータを自動的に設定することができ、検出処理対象の複数の医用画像の画像データに対して、設定された処理パラメータの下で異常陰影候補検出処理を行うことができる。これにより、特別な方法で撮影された画像を用いることなく、撮影条件の相違による異常陰影候補の検出結果のばらつきを軽減することが可能になり、異常陰影候補検出処理の検出性能の安定化に資する。
さらに、調整用画像が複数選択されるようにすれば、処理対象の複数の医用画像に対する調整用画像自体の特殊性が処理パラメータの設定に及ぼす影響を低減することが可能になり、より適切な処理パラメータの設定が可能になる。
また、特別な撮影等のために人手を介することなく、処理パラメータの設定を完全に自動化することが可能になるので、運用効率が向上する。
なお、胸部を表す医用画像を対象とした場合、調整用画像中の肋骨の交差部分のみに対して異常陰影候補検出処理の少なくとも一部を行うことによって得られた結果に基づいて処理パラメータを設定するようにすれば、肋骨の交差部分が偽陽性陰影として検出されることが多く、また、肋骨の交差部分に真の異常陰影が存在する可能性は、画像全体の中に真の異常陰影が存在する可能性よりも低いため、調整用画像全体を用いて処理パラメータの設定を行うよりも統制された条件下で、さらに適切な処理パラメータの設定を行うことができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施形態となる異常陰影候補検出装置は、胸部単純X線画像から結節等の異常陰影の候補を検出するものであり、X線撮影装置やCR装置等のモダリティで取得された胸部単純X線画像の画像データを入力として各種の画像処理を行う画像処理サーバと、モダリティで取得された画像や画像処理サーバによって画像処理された画像の画像データを保管する画像保管装置と、各種画像を表示するビューワとがLAN、WAN等のネットワークで接続されたCADシステムにおいて、画像処理サーバに実装される。
図1は、本発明の第1の実施形態となる異常陰影候補検出装置の構成と処理の流れを示すブロック図である。図に示すように、原画像P0の画像データ(以下、原画像データP0。他の画像についても同様)または調整用画像データP0'を入力として適応リングフィルタを用いた画像処理を行い、画素値の勾配ベクトルが集中する領域を強調処理した強調処理画像P1、P1'を作成する適応リングフィルタ処理部1と、強調処理画像データP1、P1'に対して、異なる複数の閾値による2値化処理を行い、異なる閾値に対応した複数の2値化画像P2、P2'を生成する多段階2値化処理部2と、各2値化画像P2、P2'において与えられた閾値以上の画素値を持つ画素が連なる領域(以下、孤立領域という)の円形度cir、cir'と半径rad、rad'を求める円形度・半径算出部3と、算出された円形度cirと半径radに対して、各々の所定の閾値Thによる閾値処理を行い、所定の閾値Thによる条件を満たす孤立領域を異常陰影候補Qとして検出する閾値処理部11と、原画像P0から無作為に複数の調査用画像P0'を選択する選択部21と、調整用画像P0'に基づいて算出された円形度cir'や半径rad'と、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように閾値Thを設定した場合の平均偽陽性陰影数(基準数)M1とに基づき、閾値処理部11で用いられる閾値Thを求める閾値設定部25Aとからなる。また、適応リングフィルタ処理部1、多段階2値化処理部2、円形度・半径算出部3、閾値処理部11は、異常陰影候補検出手段10を構成し、選択部21、適応リングフィルタ処理部1、多段階2値化処理部2、円形度・半径算出部3、閾値設定部25Aは、パラメータ設定手段20Aを構成している。
これらの各処理部の機能は、画像処理サーバ(コンピュータ)上で、各々の処理を行わせるサブプログラムが実行されることにより実現され、本発明の異常陰影候補検出装置の機能は、画像処理サーバ上で、これらのサブプログラムの実行順を制御するメインプログラムが実行されることにより実現される。また、適応リングフィルタ処理部1、多段階2値化処理部2、円形度・半径算出部3の各サブプログラムは、異常陰影候補検出手段10とパラメータ設定手段20Aとで共通に実行される。
次に、各処理部で行われる処理の詳細について説明する。
適応リングフィルタ処理部1は、入力された放射線画像に対して、適応リングフィルタ(Adaptive ring filter)を用いて、結節等の異常陰影の候補となりうる領域を強調する強調処理を行い、強調処理画像を出力する。結節や腫瘤等の異常陰影は、画像中では、おおむね丸味をおびた輪郭を持ち、かつ、周囲に比べて画素値が大きく(濃度値が低く)、半球状で同じ濃度の画素が同心円状に広がる形状の円形凸領域として観測される。つまり、この円形凸領域では、画素値(濃度値)の分布が周縁部から中心部に向かうにしたがって画素値が高く(濃度値が低く)なるという画素値の勾配が認められ、この勾配を示す勾配線は円形凸領域の中心方向に向かって集中している。そこで、適応リングフィルタ処理部1は、入力された放射線画像中の画素値の勾配を勾配ベクトルとして算出し、その勾配ベクトルの集中度を求め、この勾配ベクトルの集中度に応じた強調処理を行うことによって、この円形凸領域、すなわち、異常陰影の候補となりうる領域を強調した強調処理画像を出力する。
また、結節等の異常陰影では、その中心部分において、画素値が周辺に向かって単調に大きくならず、ベクトル場が乱れて集中度が小さくなるケースもあるが、この適応リングフィルタは、画素値が単調に変化するものだけでなく、中央部分における画素値が単調ではなくベクトル場が乱れて集中度が小さくなるケースにも適応できるものである。
以下、具体的な処理の詳細について説明する。
まず、勾配ベクトルは計算対象となる画像を構成するすべての画素jについて、下記式(1)に示す計算式に基づいて勾配ベクトルの向きφを求める。なお、式(1)のf11 〜f55は、図2に示すように、その画素jを中心とした縦5画素×横5画素のマスクの外周上の画素に対応した画素値である。
次に、対象となる画像を構成するすべての画素iについて、勾配ベクトルの集中度ciを式(2)にしたがって算出する。なお、Nは注目画素を中心に半径lの円内に存在する画素の数、θj は、画素iとその円内の各画素jとを結ぶ直線と、その各画素jにおける上記式(1)で算出された勾配ベクトルのなす角である(図3参照)。
ここで、上記式(2)で表される集中度ciは、各画素jの勾配ベクトルの向きが集中する画素で大きな値をとる。異常陰影の候補となりうる円形凸領域の場合、周縁部の各画素jの勾配ベクトルは、その陰影のコントラストの大小に拘らず、その領域のほぼ中心部に向くため、集中度ciが大きな値をとる画素が、円形凸領域の中心部の画素となる。
次に、算出された集中度ciに基づいて、各画素について、式(3)により適応リングフィルタの出力値Cを算出する。なお、適応リングフィルタは、図4中で斜線を付したリング状の領域をマスク領域としており、内円の半径rと外円の半径Rの間にはR=r+d(dはリングの幅を示す定数)の関係がある。また、内円の半径rは適応的に決定される。
この適応リングフィルタの出力値Cは、円形凸領域の中心付近で極大値をとる。例えば、図5(A)に示すような画像中の円形凸領域は、白い線上で図5(B)に示すような画素値を持ち、適応リングフィルタによる画像処理を行うと、図5(C)に示すようにもとの画像より高い画素値が中心部分に現れる。図6は、l=20mm、d=4mmとした適応リングフィルタを用いて結節部分を強調した例を示す。図6(A)に示したもとの画像に対して適応リングフィルタ処理を行うと、もとの画像中の結節(白い矢印)の部分は、図6(B)に示すように強調されたものとなる(詳細は、例えば、魏 軍、荻原 義裕、小畑 秀文、「がん陰影候補抽出のための勾配ベクトル集中フィルタ」、電子情報通信学会論文誌(D-II) Vol.J83-D-II No.1,pp.118-125,Jan.2000.参照)。
しかし、胸部単純X線画像に対して適応リングフィルタ処理を行った場合、心胸郭の辺縁部では、肋骨等が重なり合って撮影されるため濃度勾配の集中度が乱れ、円形凸領域がうまく強調されない。そこで、辺縁部においては、背景画像の影響を除去して強調処理を行うことが好ましい。
例えば、本出願人が特開2003−6661号公報において提案していように、心胸郭を抽出し、得られた心胸郭を基準にして、心胸郭を図7に示すような肺尖部(2、7の部分)、辺縁部(3、8の部分)、縦隔部(4、9の部分)、横隔膜下部(5、10の部分)の領域に分割して辺縁部を抽出し、得られた辺縁部(3、8の部分)に対して、もとの画像から背景画像を差し引いた差分画像を作成し、その差分画像に対して強調処理を行うことにより、背景画像の影響を除去して結節を強調することができる。具体的には、例えばもとの画像をガウスフィルタでぼかした平滑化画像を生成し、生成された平滑化画像をもとの原画像から差し引くことによって背景画像成分を除去することができる。
あるいは、米国特許6549646号公報において提案されている方法を用いて、肺尖部(2、7の部分)、辺縁部(3、8の部分)、縦隔部(4、9の部分)、横隔膜下部(5、10の部分)の領域に分割して、辺縁部を抽出するようにしてもよい。
図8は、辺縁部における背景画像の影響を除去することによる効果を示すものである。図8(A)は、もとの画像に対して適応リングフィルタ処理を行って強調処理画像を作成したときの様子を示すものであり、図8(B)は、平滑化画像をもとの画像から差し引いた差分画像における辺縁部に対して適応リングフィルタ処理を行って強調処理画像を作成したときの様子を示すものである。図8(B)の方が、背景画像の影響を受けず結節が適切に強調されていることがわかる。
多段階2値化処理部2は、入力された強調処理画像に対して、閾値を低い値から高い値に徐々に変えて2値化処理を行い、複数の2値化画像を出力する。2値化処理は、与えられた閾値以上の画素値を持つ画素を第1画素値(例えば、255(白))に置き換え、閾値以下の画素の画素値を第2画素値(例えば、0(黒))に置き換えて2値化画像を生成するものである。適応リングフィルタによる強調処理画像に対して2値化処理を行うと、画像中の構造物や結節等の高い画素値を持つ領域が第1画素値に置き換えられ、それ以外の領域が第2画素値に置き換えられて、第1画素値を持つ画素が連なった領域が島状の孤立領域として2値化画像中に現れる。与えられた閾値が低いときには、2値化画像中に現れる孤立領域には背景画像に現れる白い雲状の部分等を含んで抽出されるが、閾値が高くなるにしたがって、背景画像を含まない構造物や結節等の部分のみが孤立領域として抽出される。特に、適応リングフィルタを用いて強調された円形凸領域は、他の構造物と比較しても画素値が高く、高い閾値で2値化した2値化画像中にも孤立領域として現われる。
図9に、閾値を変えて2値化処理を行った一例を示す。図9(A)は、もとの画像に対して適応リングフィルタ処理を施して円形凸領域を強調した強調処理画像である。この強調処理画像は8ビットで量子化したもので、画素値0〜255の階調を持つ。この強調処理画像に対して画素値100を閾値として2値化処理を行うと、図9(B)に示すような2値化画像となり、白い孤立領域(第1の画素値に置き換えられた領域)が現れる。同様に、図9(C)、(D)は、閾値176、252で2値化した2値化画像の例である。なお、多段階2値化処理部2では、8ビットで量子化された入力画像に対して、画素値4刻みで閾値を変えていき39段階の2値化処理を行うものとする。
円形度・半径算出部3は、2値化画像中の孤立領域の円形度と半径を算出する。
多段階2値化処理部2で生成された2値化画像中の孤立領域は、すべてが異常陰影候補となりうるわけではなく、構造物等も含まれており、これらを区別する必要がある。ここで、結節等の異常陰影は円に近い形状で、面積が小さいという特徴があるのに対し、背景画像が含まれて抽出された孤立領域や構造物が抽出された孤立領域は、円形以外の形状で、面積が大きいものが多いことから、2値化画像中の各孤立領域の同面積の円に対する近似度を示す円形度や孤立領域の大きさを示す半径を算出することが、異常陰影候補とそれ以外の構造物等とを区別する上で有効である。
半径radと円形度cirは、例えば、抽出された孤立領域の面積Aとその周長Lから以下のようにして求める(図10参照)。
まず、半径radは、次の式(4)のように、面積Aを持つ正円の半径で近似する。

次に、抽出された孤立領域(図の実線部)の面積Aおよびその重心AOを求め、重心AOを中心とし面積Aと同等の面積を有する半径radの仮想円(図の破線部)を想定し、この仮想円の内側に含まれる孤立領域の、面積Aに対する占有率として円形度を算出する。すなわち、仮想円と孤立領域とが重なる部分の面積をA´とすると、円形度は下記式(5)で算出される。
閾値処理部11は、各孤立領域の円形度cirや半径radと、画像処理サーバのメモリに格納された、各々についての所定の閾値とを比較し、所定の閾値による条件を満たす円形度cirと半径radを有する孤立領域を異常陰影候補として抽出する。
選択部21は、異常陰影候補の検出処理対象の複数の胸部単純X線画像から、複数の画像を調整用画像として無作為に選択する。例えば、検出処理対象の画像が、その画像中に異常陰影が含まれる可能性とは無関係に並んでいる場合には、先頭から所定の数の画像を調整用画像としてもよい。また、選択部21が、乱数を発生させ、その乱数と検出処理対象の複数の画像の各々とを関連づけ、検出処理対象の画像をその乱数の値の降順に並べ替え、並べ替えられた画像の先頭から所定の数の画像を調整用画像とするようにしてもよい。なお、調整用画像の数は、予め設定された数に固定されていてもよいし、検出処理対象の画像の数に一定の割合を乗じたものであってもよい。
閾値設定部25Aは、円形度・半径算出部3で算出された、2値化画像中の各孤立領域の円形度cir'と半径rad'とに基づき、画像毎に所定の基準数M1個の異常陰影候補が検出されるように、閾値処理部11の閾値Thを設定し、メモリに格納する。
ここで、孤立領域は、1つの2値化画像から複数抽出されうるものであり、また、2値化画像は、1つの調整用画像に対して複数生成されるものである。さらに、適応リングフィルタで強調された円形凸領域は、図5に示すように、もとの画像中の同じ円形凸領域より中心部分の画素値が高くなるため、多段階2値化処理部2において生成された複数の2値化画像中の同じ位置に孤立領域として現れる場合が多い。したがって、閾値設定部25Aは、調整用画像(強調処理画像)毎に孤立領域の位置の同一性を判定することによって、この同じ位置の孤立領域を重複してカウントしないようにしている。
所定の基準数M1は、以下のようにして予め求めておいたものであり、画像処理サーバのメモリに予め記憶されているものである。
(1) 予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを数百例程度準備する。
(2) この画像データを入力として、上記の適応リングフィルタ処理部1、多段階2値化処理部2、円形度・半径算出部3、閾値処理部11による異常陰影候補検出処理を行う。このとき、複数パターンの閾値Thの下で閾値処理部11による処理を行う。
(3) 入力となる画像毎、かつ閾値Thのパターン毎に、正しく検出された異常陰影候補の数の真の異常陰影の数に対する比率(真陽性率)と、誤って検出された偽陽性陰影の数を求め、縦軸を真陽性率、横軸を偽陽性陰影数とする座標平面にプロットする。図11は、プロットされた各点の集合を近似する曲線(FROC曲線: Free-response Receiver Operating Characteristic)である。
(4) 図11の曲線に基づいて、真陽性率が例えば95%のときの平均偽陽性陰影数を求め、基準数M1とする。
また、調整用画像は複数あるので、閾値設定部25Aは、例えば、すべての調整用画像についてM1個の異常陰影候補が検出されるように閾値Thを設定するようにしてもよいし、少なくとも1つの調整用画像についてM1個の異常陰影候補が検出されるように閾値Thを設定するようにしてもよいし、各々の調整用画像から検出される異常陰影候補の数の平均値がM1個となるように閾値Thを設定するようにしてもよい。
次に、この異常陰影候補検出装置によって行われる処理の流れについて、図1を参照しつつ説明する。
まず、パラメータ設定手段20Aが、以下のようにして、検査対象の原画像P0から異常陰影候補を検出する際の閾値Thの設定を行う。
(1) 選択部21が、集団検診等において撮影された複数の胸部単純X線画像の原画像データP0を入力とし、所定の複数の調整用画像を無作為に選択し、調整用画像データP0'を出力する。
(2) 適応リングフィルタ処理部1は、選択された複数の調整用画像の画像データP0'を入力として、入力画像毎に適応リングフィルタによる画像処理を行い、強調処理画像データP1'を出力する。
(3) 多段階2値化処理部2は、生成された各強調処理画像の画像データP1'を入力として、入力画像毎に39段階の2値化処理を行い、39通りの2値化画像P2'を出力する。
(4) 円形度・半径算出部3は、各2値化画像P2'の各孤立領域について、円形度cir'、半径rad'を算出する。
(5) 閾値設定部25Aは、算出された各2値化画像P2'の各孤立領域の円形度cir'、半径rad'に基づいて、1つの調整用画像P0'からM1個の異常陰影候補が検出されるような円形度と半径の各々の閾値Thを求め、画像処理サーバのメモリに記憶させる。
次に、異常陰影候補検出手段10が、以下のようにして、原画像P0から異常陰影候補を検出する。
(6) 適応リングフィルタ処理部1は、処理対象の複数の胸部単純X線画像の原画像データP0を入力として、入力画像毎に、適応リングフィルタによる画像処理を行い、強調処理画像データP1を出力する。
(7) 多段階2値化処理部2は、生成された各強調処理画像の画像データP1を入力として、入力画像毎に39段階の2値化処理を行い、39通りの2値化画像P2を出力する。
(8) 円形度・半径算出部3は、生成された各2値化画像P2の各孤立領域について、円形度cir、半径radを算出する。
(9) 閾値処理部11は、算出された各孤立領域の円形度cirや半径radに基づき、閾値設定部25Aによって設定された閾値Thによる条件(例えば、円形度cirが0.7以上で、かつ、半径が2.26mm以上、4.94mm以下)を満たす孤立領域を、異常陰影候補Qとして検出する。
以上のように、本発明の第1の実施形態となる異常陰影候補検出装置では、異常陰影候補検出手段10による処理に先立って、パラメータ設定手段20Aが、検出処理対象の複数の胸部単純X線画像P0から無作為に選択された調整用画像の画像データP0'を入力として、異常陰影候補検出手段10による処理の一部を行うことによって得られた画像中の孤立領域の円形度cir'と半径rad'に基づき、この調整用画像の画像データP0'を入力したときにこの異常陰影候補検出処理によって検出される異常陰影候補の数が、予め求めておいた平均偽陽性陰影数M1と一致するように、異常陰影候補検出処理の検出閾値Thを自動的に設定し、異常陰影候補検出手段10が、検出処理対象の複数の胸部単純X線画像の画像データP0に対して、設定された閾値Thの下で異常陰影候補検出処理を行う。すなわち、この異常陰影候補検出装置では、異常陰影候補の検出処理対象の複数の画像から選択された調整用画像P0'を正常画像であるとみなし、調整用画像P0'に対する異常陰影候補の検出処理の結果、偽陽性陰影のみが検出されるように、異常陰影候補の検出処理における閾値Thを自動的に設定することができる。これにより、特別な方法で撮影された画像を用いることなく、撮影条件の相違による異常陰影候補の検出結果のばらつきが軽減され、異常陰影候補検出処理の検出性能の安定化に資する。
また、特別な撮影等のために人手を介することなく、閾値Thの設定を完全に自動化することが可能になるので、装置の運用効率が向上する。
本発明の第1の実施形態では、調整用画像P0'全体から抽出された孤立領域に基づいて、閾値Thを設定していた。一方、胸部単純X線画像に対する異常陰影候補検出処理では、肋骨の交差部分を表す偽陽性陰影が検出されてしまうことが多く、これは、正常画像でも同様であった。
そこで、本発明の第2の実施形態となる異常陰影候補検出装置では、調整用画像P0'全体から抽出された孤立領域のうち、肋骨の交差部分に位置するものに着目して、閾値Thの設定を行うようにした。図12は、本発明の第2の実施形態となる異常陰影候補検出装置の構成と処理の流れを示すブロック図である。図に示したように、調整用画像P0'中の肋骨部分を認識する処理を行い、肋骨の交差部分の位置情報Rxを出力する肋骨認識処理部22Bをさらに設けた点と、閾値設定部25Aを、各孤立領域の円形度cir'や半径rad'と、調整用画像P0'中の肋骨の交差部分の位置情報Rxと、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように閾値Thを設定した場合の、肋骨の交差部分で検出された異常陰影候補の数(基準数)M2とに基づき、閾値処理部11で用いられる閾値Thを求める閾値設定部25Bに置換した点と、選択部21、肋骨認識処理部22B、適応リングフィルタ処理部1、多段階2値化処理部2、円形度・半径算出部3、閾値設定部25Bによって、パラメータ設定手段20Bが構成される点とが、第1の実施形態とは相違する。以下、これらの相違点を中心に説明を行う。
肋骨認識処理部22Bは、胸部が撮影されたサンプル画像を教師データとして、異常陰影を含まない正常構造の肋骨形状の統計学的なモデルを予め作成しておき、そのモデルから、入力された胸部画像に対応する肋骨形状を人工的に生成して行う。
ここで、正常構造の肋骨形状の統計学的なモデルの作成方法は以下のとおりである。まず、多くの胸部画像から肋骨が明瞭に撮影されているサンプル画像としてN枚選択し、選択された各々の画像について、画像を表示し、マウス等のポインティングデバイスを用いて、所定の規則に従って、画像中の前肋骨および後肋骨上にn個(例えばn=400)の点を指定する。ここでは、「所定の規則」によって、肋骨のどの部分を何番目に指定するかが決められている。そして、この指定された各点によって表される肋骨の形状(ランドマーク)を教師データとして使用し、Active Appearance Model(AAM)”[T.F. Cootes, and C.J. Taylor, Active Appearance Models, Proc. European Conference on Computer Vision, Vol.2, pp.484-498, Springer, 1998]の手法によって、肋骨形状の統計学的モデルを予め作成する。具体的には、まず、N枚のサンプル画像の各々についてランドマークをn点指定した肋骨の形状X=(x1 ,y1 ,・・・,xi ,yi ,・・・,xn ,yn )と、N枚の肋骨の形状の平均から胸部肋骨の平均形状Xave=(xave1 ,yave1 ,・・・,xavei ,yavei ,・・・,xaven ,yaven )を求める(図13(a)参照。○は前肋骨を示し、△は後肋骨を示す)。次に、N枚のサンプル画像の肋骨の形状Xとその平均形状Xaveとの差分ベクトルΔXj=Xj−Xave(j=1、・・・、N)を求め、N個の差分ベクトルΔXj(j=1、・・・、N)について主成分分析を行い、第1主成分から第m主成分までの固有ベクトル(以下、主成分形状という)Ps(s=1、・・・、m)を求める。主成分分析を行うと図13(b)、(c)に示すように、第1主成分形状P1は肋骨を図13(b)の矢印の方向に拡げる成分として現れ、第2主成分形状P2は肋骨を図13(c)の矢印の方向に拡げる成分として現れる。肋骨の任意形状のモデルは平均形状Xaveと各主成分形状Ps(s=1、・・・、m)の線形和により次式(6)のように近似することができ、形状係数bsを変えることにより、平均形状からワーピングして様々な肋骨形状を生成することができる。
次に、入力された胸部画像と一致する肋骨形状を人工的に生成するために、上記形状係数bsを求める。具体的には、入力された胸部画像中の肋骨の上の点を胸部画像からいくつか取得し、その肋骨の上の点の座標値を式(6)に代入して形状係数bsの解を求める(形状係数bsの個数と同じ個数の点を式(6)に代入することにより連立方程式の解として得られる)。なお、肋骨の形状が明瞭に撮影されていない胸部画像Pであっても、求めた形状係数bsを上記の式(6)に代入することにより肋骨の全体の形状を生成することができる。また、胸部画像では後肋骨などはエッジ検出により抽出することが容易であるため、後肋骨のエッジ上の点を抽出して形状係数bsを求めることが可能である(特開2004‐41694号公報等参照)。
あるいは、別の手法として、胸部画像から肋骨のエッジを抽出し、抽出された肋骨上の点をBスプラインなどで補間して肋骨形状を抽出する手法を用いてもよい。
具体的には、図14に示すように、胸部画像から検出された肋骨のエッジの曲線上の複数の点P1、P2、P3、・・・を抽出し、これらの点を補間するBスプライン曲線P(t)を求める(図14及び図15参照)。n次のBスプライン曲線P(t)は、制御点Qi(i=1,2,・・・,n)とパラメータtで定義され下式(7)のように表される。
また、n=3の場合の3次のBスプライン曲線P(t)は、下式(8)のように表わすこともできる。
そこで、式(7)においてt=0とすると、次式(9)が導かれる。
制御点は図15に示すように与えられ、第2の制御点Qと第3の制御点Qは、肋骨のエッジを表す曲線の始点と終点の接線t、t上に存在する。そこで、この関係と肋骨のエッジの曲線上の点Pの位置と上記式(9)の関係を満足するように制御点Q(i=1,2,3,・・・)を求め(詳細は、”MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY Vol.20 No.6 November 2002,Page694-Page701”参照)、抽出したエッジ上の点をBスプライン曲線で補間して肋骨の形状を得るようにしてもよい。
次に、肋骨認識処理部22Bは、上記のAAMによる肋骨認識処理が行われた場合には、認識された肋骨形状のうち、後肋骨のランドマーク点による後肋骨形状内を値c1、その他の部分を値0とする2値化処理による2値化画像を生成するとともに、前肋骨のランドマーク点による前肋骨形状内を値c2、その他の部分を値0とする2値化処理による2値化画像を生成し、さらに、生成された2つの2値化画像の各画素の画素値を加算した画像を生成し、画素値が(c1+c2)となる領域を肋骨の交差部分と判定し、その位置情報Rxを出力する(図16参照)。また、上記のBスプライン曲線による補間処理が行われた場合には、得られた各曲線の交点を肋骨の交差部分と判定し、その位置情報Rxを出力する。
閾値設定部25Bは、2値化画像P2'中の各孤立領域が、肋骨認識処理部22Bで認識された肋骨の交差部分に位置しているかどうかを判定し、肋骨交差部分に位置する孤立領域のみを対象に、第1の実施形態の閾値設定部25Aと同様に、円形度cir'と半径rad'とに基づき、画像毎に所定の基準数M2個の異常陰影候補が検出されるように、閾値処理部11の閾値Thを設定し、メモリに格納する。
所定の基準数M2は、第1の実施形態の基準数M1と同様に、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力として異常陰影候補検出処理を行うとともに、上記の肋骨認識処理を行い、これらの結果に基づき、読影者が所望する真陽性率が得られるときの肋骨交差部分で検出された異常陰影候補の数をカウントすることによって得られたものである。また、この基準数M2は、第1の実施形態と同様に画像処理サーバのメモリに予め記憶されている。
次に、この異常陰影候補検出装置によって行われる処理の流れについて、図10を参照しつつ説明する。
まず、パラメータ設定手段20Bが、以下のようにして、検査対象の原画像P0から異常陰影候補を検出する際の閾値Thの設定を行う。
(1) 選択部21が、集団検診等において撮影された複数の胸部単純X線画像の原画像データP0を入力とし、所定の複数の調整用画像を無作為に選択し、調整用画像データP0'を出力する。
(2) 適応リングフィルタ処理部1は、選択された複数の調整用画像の画像データP0'を入力として、入力画像毎に適応リングフィルタによる画像処理を行い、強調処理画像データP1'を出力する。
(3) 多段階2値化処理部2は、生成された各強調処理画像の画像データP1'を入力として、入力画像毎に39段階の2値化処理を行い、39通りの2値化画像P2'を出力する。
(4) 円形度・半径算出部3は、各2値化画像P2'の各孤立領域について、円形度cir'、半径rad'を算出する。
(5) 一方、肋骨認識処理部22Bは、調整用画像の画像データP0'に基づいて、上記の肋骨認識処理を行い、肋骨の交差部分の位置情報Rxを出力する。
(6) 閾値設定部25Bは、出力された肋骨の交差部分の位置情報Rxに基づき、各2値化画像P2'中の各孤立領域が肋骨の交差部分に位置するかどうかを判定し、肋骨の交差部分に位置すると判定された孤立領域の円形度cir'、半径rad'に基づいて、1つの調整用画像P0'からM2個の異常陰影候補が検出されるような円形度と半径の各々の閾値Thを求め、画像処理サーバのメモリに記憶させる。
異常陰影候補検出手段10が行う処理は、第1の実施形態と同様である。
以上のように、本発明の第2の実施形態となる異常陰影候補検出装置では、パラメータ設定手段20Bが、肋骨認識処理部22Bによる調整用画像P0'中の肋骨部分の認識処理の結果を利用して、調整用画像P0'全体から抽出された孤立領域のうち、肋骨の交差部分に位置するもののみに着目して、閾値Thの設定を行うようにした。この場合、調整用画像P0'中の肋骨の交差部分に真の異常陰影がなければ、肋骨の交差部分以外に異常陰影候補が検出されていても、正常画像とみなすことが可能になり、調整用画像P0'全体から抽出された孤立領域に着目して閾値Thの設定を行う場合よりも、真の異常陰影の影響を受けにくくなり、異常陰影候補検出処理の検出性能のさらなる安定化に資する。なお、胸部全体に対する肋骨の交差部分の占める面積の割合を考慮すると、肋骨の交差部分に真の異常陰影が存在する可能性は、肋骨の交差部分以外に存在する可能性よりも低いと考えられるため、肋骨の交差部分のみに着目して閾値Thを設定することの有効性はさらに顕著なものとなる。
本発明の第3の実施形態となる異常陰影候補検出装置は、調整用画像P0'中の肋骨の交差部分のみに対して、適応リングフィルタ処理、2値化処理、および円形度cir'と半径rad'の算出を行い、その結果に基づいて閾値Thの設定を行うものである。図17は、本発明の第3の実施形態となる異常陰影候補検出装置の構成と処理の流れを示すブロック図である。図に示したように、肋骨認識処理部22Bを、調整用画像P0'中の肋骨部分を認識する処理を行い、肋骨の交差部分を表す肋骨交差部画像P3'を生成する肋骨認識処理22Cに置換した点と、閾値設定部25Bを、肋骨交差部画像P3'に基づいて算出された円形度cir'や半径rad'と、第2の実施形態と同様の基準数M2とに基づき、閾値処理部11で用いられる閾値Thを求める閾値設定部25Cとした点と、選択部21、肋骨認識処理部22C、適応リングフィルタ処理部1、多段階2値化処理部2、円形度・半径算出部3、閾値設定部25Cによって、パラメータ設定手段20Cが構成される点とが、第2の実施形態とは相違する。以下、これらの相違点を中心に説明を行う。
肋骨認識処理部22Cは、第2の実施形態の肋骨認識処理部22Bと同様にして、入力された胸部単純X線画像中の肋骨部分を認識する処理を行った後、肋骨交差部分を表す肋骨交差部画像P3'を生成する。ここで、1つの胸部単純X線画像中に肋骨の交差部分は複数あるから、肋骨交差部画像P3'は複数生成される。
閾値設定部25Cは、円形度・半径算出部3で算出された、2値化画像中の各孤立領域の円形度cirと半径radとに基づき、画像毎に所定の基準数M2個の異常陰影候補が検出されるように、閾値処理部11の閾値Thを設定し、メモリに格納する。所定の基準数M2は、第2の実施形態と同様である。
次に、この異常陰影候補検出装置によって行われる処理の流れについて、図14を参照しつつ説明する。
まず、パラメータ設定手段20Cが、以下のようにして、検査対象の原画像P0から異常陰影候補を検出する際の閾値Thの設定を行う。
(1) 選択部21が、集団検診等において撮影された複数の胸部単純X線画像の原画像データP0を入力とし、所定の複数の調整用画像を無作為に選択し、調整用画像データP0'を出力する。
(2) 肋骨認識処理部22Cが、調整用画像の画像データP0'に基づいて、肋骨認識処理を行い、肋骨交差部画像P3'の画像データを出力する。
(3) 適応リングフィルタ処理部1は、出力された肋骨交差部画像P3'の画像データを入力として、入力画像毎に適応リングフィルタによる画像処理を行い、強調処理画像データP1'を出力する。
(4) 多段階2値化処理部2は、生成された各強調処理画像の画像データP1'を入力として、入力画像毎に39段階の2値化処理を行い、39通りの2値化画像P2'を出力する。
(5) 円形度・半径算出部3は、各2値化画像P2'の各孤立領域について、円形度cir'、半径rad'を算出する。
(6) 閾値設定部25Cは、算出された各2値化画像P2'の各孤立領域の円形度cir'、半径rad'に基づいて、1つの調整用画像P0'中の肋骨の交差部分からM2個の異常陰影候補が検出されるような円形度と半径の各々の閾値Thを求め、画像処理サーバのメモリに記憶させる。
異常陰影候補検出手段10が行う処理は、第1の実施形態と同様である。
以上のように、本発明の第3の実施形態となる異常陰影候補検出装置は、肋骨認識処理部22Cによる処理結果を利用して、パラメータ設定手段20Cが、肋骨認識処理部22Cによる調整用画像P0'中の肋骨部分の認識処理の結果を利用して、調整用画像P0'中の肋骨交差部分のみを対象にして、第2の実施形態と同様に、適応リングフィルタ処理、2値化処理、および円形度cirと半径radの算出を行い、その結果に基づいて閾値Thの設定を行うので、第2の実施形態と同様の効果が得られるだけでなく、適応リングフィルタ処理、2値化処理、および円形度cirと半径radの算出を、調整用画像P0'の一部である肋骨交差部画像P3'のみに対して行うため、調整用画像P0'全体を対象にしてこれらの処理を行うよりも、処理負荷が低減される。
以上の実施形態では、閾値設定部25Aから25Cが、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする異常陰影候補検出処理等の結果に基づいて得られた平均偽陽性陰影数や肋骨交差部分で検出された異常陰影候補数を基準として、閾値Thの設定を行っていたが、それ以外の設定手法を適用しても同様の効果が得られる。
例えば、本発明の第4の実施形態となる異常陰影候補検出装置は、第3の実施形態における閾値Thを設定する処理を変更したものである。図18は、本発明の第4の実施形態となる異常陰影候補検出装置の構成と処理の流れを示すブロック図である。図に示したように、肋骨交差部画像P3'に基づいて算出された各孤立領域の円形度cir'や半径rad'の平均値cir-avg, rad-avgを算出する平均値算出部23をさらに設けるとともに、閾値設定部25Cを、算出された平均値cir-avg, rad-avgの各々に所定の係数α(例えばα=0.9)を乗じることによって、閾値Thを求める閾値設定部25Dに置換した点と、選択部21、肋骨認識処理部22D、適応リングフィルタ処理部1、多段階2値化処理部2、円形度・半径算出部3、平均値算出部23、閾値設定部25Dによって、パラメータ設定手段20Dが構成される点とが、第3の実施形態とは相違する。なお、肋骨認識処理部22Cと22Dは同じ機能を有している。
この第4の実施形態では、パラメータ設定手段20Dは、以下のようにして、検査対象の原画像P0から異常陰影候補を検出する際の閾値Thの設定を行う。
(1) 選択部21が、集団検診等において撮影された複数の胸部単純X線画像の原画像データP0を入力とし、所定の複数の調整用画像を無作為に選択し、調整用画像データP0'を出力する。
(2) 肋骨認識処理部22Cが、調整用画像の画像データP0'に基づいて、肋骨認識処理を行い、肋骨交差部画像P3'の画像データを出力する。
(3) 適応リングフィルタ処理部1は、出力された肋骨交差部画像P3'の画像データを入力として、入力画像毎に適応リングフィルタによる画像処理を行い、強調処理画像データP1'を出力する。
(4) 多段階2値化処理部2は、生成された各強調処理画像の画像データP1'を入力として、入力画像毎に39段階の2値化処理を行い、39通りの2値化画像P2'を出力する。
(5) 円形度・半径算出部3は、各2値化画像P2'の各孤立領域について、円形度cir'、半径rad'を算出する。
(6) 平均値算出部23は、算出された各孤立領域の円形度cir'、半径rad'の各々の平均値cir-avg, rad-avgを求める。
(7) 閾値設定部25Dは、算出された平均値cir-avg, rad-avgに予め設定された係数αを乗じて円形度と半径の各々の閾値Thを求め、画像処理サーバのメモリに記憶させる。
なお、係数αは、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像の肋骨交差部分から検出される異常陰影候補の数が所定の基準数M2となる場合における円形度と半径の各々の閾値の、その教師画像に対して上記(1)から(6)の処理を行って得られる円形度の平均値と半径の平均値の各々に対する割合としている。
なお、異常陰影候補検出手段10が行う処理は、第1の実施形態と同様である。
第2から第4の実施形態では、肋骨認識処理部22B、22C、22Dが自動的に肋骨を認識するようにしていたが、調整用画像P0'を画面に表示し、読影者が、マウス等の操作により手動で肋骨の交差部分をポイントするようにし、検出された異常陰影候補の位置と照らし合わせることによって、肋骨の交差部分の異常陰影候補を数えるようにしてもよい。
また、上記の実施形態に対する発展形態として、複数の読影拠点にある異常陰影候補検出装置の検出性能の遠隔監視システムを構築することも可能である。すなわち、各異常陰影候補検出装置では、異常陰影候補検出処理対象のすべての画像または調整用画像中の肋骨交差部分で検出された異常陰影候補の数の平均値を、インターネット等のネットワーク経由で監視端末に送信するようにしておき、監視端末では、ある異常陰影候補検出装置から送信されてきたこの平均値が所定の値の範囲外になった場合には、その検出装置に対して手動または自動で閾値修正コマンドを発行し、異常陰影候補検出装置では、このコマンドを受けて、上記の実施形態と同様の方法で閾値Thを更新する。さらに、このようなコマンドを監視端末から発行せずに、各検出装置側で上記の平均値が所定の値の範囲外になったことを検知して閾値Thを自動修正し、修正を行った旨のログ情報のみを監視端末に送信するようにしてもよい。このようにすることにより、監視者は、各検出装置の検出結果や修正結果のログを監視するだけで、各検出装置の検出性能の管理を行うことが可能になる。
本発明の第1の実施形態となる異常陰影候補検出装置の構成と処理の流れを示すブロック図 勾配を説明するための図 集中度の算出を説明する方法を説明するための図 適応リングフィルタの算出を算出する方法を説明するための図 適応リングフィルタで出力した画素値を説明するための図 適応リングフィルタの出力画像の一例を示す図 胸郭領域の分割結果の一例を示す図 差分画像を用いた適応リングフィルタの出力結果を説明するための図 閾値を変えたときの2値化画像の変化の様子を表す図 孤立領域の半径と円形度を説明するための図 異常陰影候補検出処理による真陽性率と偽陽性陰影数の関係を示すFROC曲線の一例を示す図 本発明の第2の実施形態となる異常陰影候補検出装置の構成と処理の流れを示すブロック図 主成分分析により肋骨認識をする手法を説明するための図 肋骨の形状を、Bスプライン曲線を用いて抽出する手法を説明するための図 Bスプライン曲線の制御点を説明するための図 肋骨の交差部分を判定する処理を表す模式図 本発明の第3の実施形態となる異常陰影候補検出装置の構成と処理の流れを示すブロック図 本発明の第4の実施形態となる異常陰影候補検出装置の構成と処理の流れを示すブロック図
符号の説明
1 適応リングフィルタ処理部
2 多段階2値化処理部
3 円形度・半径算出部
10 異常陰影候補検出手段
11 閾値処理部
20A,20B,20C,20D パラメータ設定手段
21 選択部
22B,22C,22D 肋骨認識処理部
23 平均値算出部
25A,25B,25C,25D 閾値設定部

Claims (7)

  1. 被検体を表す複数の医用画像の画像データを入力として、所定の処理パラメータを用いた異常陰影候補検出処理により、該医用画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出方法において、
    前記複数の医用画像の画像データを入力とする前記異常陰影候補検出処理に先立って、前記複数の医用画像から選択された調整用画像の画像データを入力として前記異常陰影候補検出処理のうちの少なくとも一部を行うことによって得られた結果に基づき、該調整用画像の画像データを入力とする前記異常陰影候補検出処理によって検出される前記異常陰影候補の数が所定の基準を満たすように前記所定の処理パラメータを設定することを特徴とする異常陰影候補検出方法。
  2. 被検体を表す複数の医用画像の画像データを入力として、所定の処理パラメータを用いた異常陰影候補検出処理により、該医用画像中の異常陰影候補を検出する異常陰影候補検出手段を備えた装置において、
    前記複数の医用画像の画像データから選択された調整用画像の画像データを入力として前記異常陰影候補検出処理のうちの少なくとも一部を行うことによって得られた結果に基づき、該調整用画像の画像データを入力とする前記異常陰影候補検出処理によって検出される前記異常陰影候補の数が所定の基準を満たすように前記所定の処理パラメータを設定するパラメータ設定手段を備え、
    前記異常陰影候補検出手段が、前記複数の医用画像の画像データを入力として、前記パラメータ設定手段によって設定された前記所定の処理パラメータを用いて前記異常陰影候補検出処理を行うものであることを特徴とする異常陰影候補検出装置。
  3. 前記調整用画像が複数選択されたものであることを特徴とする請求項2記載の異常陰影候補検出装置。
  4. 前記被検体が、人間の胸部であり、
    前記パラメータ設定手段が、前記調整用画像中の肋骨を認識する処理をさらに行い、少なくとも認識された肋骨の交差部分における異常陰影候補を検出する処理のうちの少なくとも一部を行うことによって得られた結果に基づき、前記肋骨の交差部分において検出される前記異常陰影候補の数が、所定の基準を満たすように前記所定の処理パラメータを設定するものであることを特徴とする請求項2または3記載の異常陰影候補検出装置。
  5. 前記調整用画像から検出される前記異常陰影候補の数が、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする前記異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように前記所定の処理パラメータを設定した場合の平均偽陽性陰影数と一致することを、前記所定の基準とすることを特徴とする第2項から第4項のいずれか1項記載の異常陰影候補検出装置。
  6. 前記調整用画像中の前記肋骨の交差部分において検出される前記異常陰影候補の数が、予め異常陰影の領域が特定された複数の教師画像のデータを入力とする前記異常陰影候補検出処理において、読影者の所望する真陽性率が得られるように前記所定の処理パラメータを設定した場合の、肋骨の交差部分で検出された異常陰影候補の数と一致することを、前記所定の基準とすることを特徴とする請求項4記載の異常陰影候補検出装置。
  7. コンピュータに、被検体を表す複数の医用画像の画像データを入力として、所定の処理パラメータを用いた異常陰影候補検出処理を行わせ、該医用画像中の異常陰影候補を検出させるプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記複数の医用画像の画像データを入力とする前記異常陰影候補検出処理に先立って、前記複数の医用画像の画像データから選択された調整用画像の画像データを入力として前記異常陰影候補検出処理のうちの少なくとも一部を行わせることによって得られた結果に基づき、該調整用画像の画像データを入力とする前記異常陰影候補検出処理によって検出される前記異常陰影候補の数が所定の基準を満たすように前記所定の処理パラメータを設定させることを特徴とする異常陰影候補検出プログラム。
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