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JP2006111851A - シリカ系膜の形成溶液 - Google Patents

シリカ系膜の形成溶液 Download PDF

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JP2006111851A
JP2006111851A JP2005103614A JP2005103614A JP2006111851A JP 2006111851 A JP2006111851 A JP 2006111851A JP 2005103614 A JP2005103614 A JP 2005103614A JP 2005103614 A JP2005103614 A JP 2005103614A JP 2006111851 A JP2006111851 A JP 2006111851A
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Kazutaka Kamiya
和孝 神谷
Teruyuki Sasaki
輝幸 佐々木
Kazuyuki Iguchi
一行 井口
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】 ゾルゲル法によって、熔融ガラス並みの硬度を有するシリカ系膜を形成することができるシリカ系膜の形成溶液を提供する。
【解決手段】 シリコンアルコキシド、強酸、水およびアルコールを含み、
前記シリコンアルコキシドの濃度が、当該シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子をSiO2に換算したときのSiO2濃度により表示して3質量%を超え9質量%未満であり、前記水のモル数が、前記シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数の4倍以上10倍以下であり、前記強酸の濃度が、前記強酸からプロトンが完全に解離したと仮定したときのプロトンの質量モル濃度により表示して、0.001〜0.2mol/kgの範囲にあることを特徴とするシリカ系膜の形成溶液である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゾルゲル法によるシリカ系膜の形成溶液に関する。
一般的なガラスは、1500℃を超える高温において原料を熔融し、これを冷却する熔融法により、製造されている。これに対して、ゾルゲル法は、低温でガラスやセラミックスを作製する比較的新しい方法である。
ゾルゲル法とは、金属の有機または無機化合物の溶液を出発原料とし、溶液中の化合物の加水分解・重縮合反応によって、溶液を金属の酸化物あるいは水酸化物の微粒子が溶解したゾルとし、さらに反応を進ませてゲル化させて固化し、このゲルを加熱して酸化物固体を得る方法である。
ゾルゲル法は、溶液からガラスを作製するために、種々の基板上に薄膜を作製することが可能であり、また、熔融法によるガラスの製造温度に比べ、低温でのガラスの製造が可能となる特徴を有する。
このゾルゲル法によりシリカ系コーティング膜を形成する方法が、数多く提案されている。ゾルゲル法では、熔融法に比べ低温ではあるが、通常500℃以上の熱処理を行っている場合が多い(例えば、特開昭55−034258号公報)。
さらに、450℃程度の加熱にてシリカ系コーティング膜を硬化させる技術も、提案されている(例えば、特開昭63−241076号公報、特開平08−027422号公報)。加えて、常温から200℃程度の低温域で、シリカ系コーティング膜を硬化させる技術も、提案されている(例えば、特開昭63−268772号公報、特開2002−088304号公報)。
さらに、特開平05−085714号公報や特開平06−052796号公報では、「低い温度(室温〜100℃)で焼成できるノングレア被膜を形成することができるシリカコート膜の処理液や形成法」が提案されている。
ここで、特開平05−085714号公報では、加水分解率なる値が定義されており、これを、300%から1500%とすることで、接着性に優れた硬質な膜が得られる、としている。ここで定義されている加水分解率とは、水の添加割合を示した値であり、テロラメトキシシラン、あるいは、テトラエトキシシランのモル数の2倍のモル数の水を添加した場合を、100%として換算した値である。加水分解率が300%から1500%であるということは、すなわち、テロラメトキシシラン、あるいは、テトラエトキシシランのモル数の6倍から30倍の量の水を添加するということを示している。
また、特開2002−088304号公報では、テトラアルコキシシランのオリゴマーの平均分子量が、85000から500000であるコーティング液を使用すると、クラックのない強固なシリカ膜が得られる、としている。
さらに、特開昭63−168470号公報では、150℃の加熱にて6H〜8Hの鉛筆硬度の膜の得られるコーティング組成物が開示されている。この組成物は、コロイド状シリカを含んでいる。
ところで、このようなゾルゲル法によるコーティング膜は、目的の基材表面に化学的保護機能や光学特性を与えることができるので、有用である。また、このコーティング膜を、撥水膜などの機能性膜を形成する下地膜として用いることができる。さらに、このコーティング膜をマトリクスとし、膜中に機能性微粒子を分散させることも行われている。加えて、コーティング膜には、機械的な耐久性も求められている。
そこで、本発明者は、特開平11−269657号公報にて、「シリカ系膜被覆物品を製造する方法」を提案した。その内容は、「焼成や前処理を必要とせずに、優れたシリカ系膜被覆物品の製造する」ことを目的とするものであって、「酸およびシリコンアルコキシドをアルコールに溶解してなり、シリコンアルコキシドおよびその加水分解物(部分加水分解物を含む)の少なくともいずれか1つがシリカ換算で 0.010〜3重量%、酸 0.0010〜1.0規定、および水 0〜10重量%を含有するコーティング液を基材に塗布してシリカ系膜を被覆した物品を製造する方法」である。
この方法により得られたシリカ系膜は、乾布摩耗試験に耐えるものであった。
特開昭55−034258号公報(US 4277525) 特開昭63−241076号公報(US 4865649) 特開平08−027422号公報 特開昭63−268772号公報 特開2002−088304号公報 特開平05−085714号公報 特開平06−052796号公報 特開昭63−168470号公報 特開平11−269657号公報(WO 99/28534,EP 0967297,US6465108)
ゾルゲル法によって緻密なシリカ系膜を得ようとすると、450℃以上の熱処理を必要としている。このため、用いる基材の材質が制限されることがあった。さらに、450℃の熱処理でも、膜中に機能性微粒子を分散させるような場合、機能性微粒子の種類によっては、微粒子が分解したり、その機能を損なうこともある。例えば、有機系の微粒子や、ITO微粒子のような場合である。
なお、特開昭63−241076号公報では、実施例において450℃の熱処理を行っているが、膜硬度に関する記述はない。また、特開平8−27422号公報では、実施例において450℃の熱処理を行っており、その膜厚は300nmであり、膜硬度は鉛筆硬度にて9Hである。
さらに、特開昭63−268772号公報では、常温にて硬化し、膜厚は不明であるが、その膜硬度は鉛筆硬度で3H〜7H程度であった。また、特開2002−88304号公報は、実施例において80℃の熱処理を行っている。膜の評価は収縮率が示されているだけであり、具体的な硬度は示されていない。なお、実施例における膜厚は約100nmであった。
加えて、特開平05−085714号公報や特開平06−052796号公報では、「低い温度(室温〜100℃)で焼成した被膜(膜厚不明)において、鉛筆硬度で9Hが得られる、としている。
また、本発明者による特開平11−269657号公報に開示した技術では、得られるシリカ系膜は、乾布摩耗試験に耐えるものであったが、さらなる膜硬度の向上も要求されていた。なお、実施例における膜厚は、最大で250nmであった。
ここで、ゾルゲル法によるコーティング膜において、1回の操作で得られる膜厚は、一般に100〜200nm程度である。
ゾルゲル法によるシリカ系膜において、その膜厚を厚くしようと思えば、複数回の塗布が必要である。さらに、膜厚を厚くすることによって、クラックが発生しやすくなるので、その防止策も必要である。そのため、例えば膜厚が250nmを超えるようなシリカ系膜を、1回の操作で得られる製造方法も求められていた。
そこで、本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、ゾルゲル法によって、熔融ガラス並みの硬度を有するシリカ系膜を形成することができるシリカ系膜の形成溶液を提供する。
まず、ゾルゲルプロセスについて説明する。一例として、ゾルゲル法によるシリカ系膜の形成について説明する。
例えば、シリコンアルコキシドを出発原料とするゾルゲル法において、シリコンアルコキシドは、溶液中において、水と触媒による加水分解反応および脱水縮合反応により、シロキサン結合を介したオリゴマーとなり、ゾル状態となる。
この溶液を基材に塗布すると、水や溶媒が揮発することにより、オリゴマーは濃縮され、分子量が大きくなり、やがて溶液は流動性を失い、半固形状のゲルとなる。ゲル化直後は、シロキサンポリマーのネットワークの隙間に、溶媒や水が満たされた状態にある。このゲルが乾燥して水や溶媒が揮発すると、シロキサンポリマーが収縮し、固化が起こる。
固化したゲルにおいて、溶媒や水が満たされていた隙間は、400℃程度までの熱処理を行っても、完全に埋まることはなく、細孔として残る。このために、ゾルゲル法において、400℃程度の熱処理では硬質な膜は得られない。硬質な膜を得ようとすると、さらに高温、例えば500℃以上での熱処理を必要としていた。
上述したゾルゲル法によるシリカ系膜の熱処理における、反応と温度の関係についてさらに詳しく述べる。
まず、約100〜150℃の温度域において、溶液に含まれていた水や溶媒などが蒸発する。
つづいて、約250〜400℃の温度域において、原料に有機材料が含まれていると、それが分解し蒸発する。
さらに、約500℃以上の温度域になると、ゲル骨格の収縮が起こり、緻密な膜となっていく。
上述したように、通常のゾルゲル反応では、ゲル化後の状態で、形成されたネットワークの隙間に、溶媒や水が満たされている。この隙間の大きさは、溶液中でのシリコンアルコキシドの重合の形態に依存することが知られている。
また、重合の形態は、溶液のpHによって大きく変化する。
すなわち、酸性の溶液中では、シリコンアルコキシドのオリゴマーは直鎖状に成長しやすい。このような溶液を基材に塗布すると、直鎖状のオリゴマーが折り重なって網目状組織を形成し、得られる膜は比較的隙間の小さい緻密な膜となる。
しかし、直鎖状のポリマーが折り重なって、固化されていることから、ミクロな構造は強固ではなく、隙間から溶媒や水が揮発する際に、クラックが入りやすい。
一方、アルカリ性の溶液中では、球状のオリゴマーが成長しやすい。このような液を基板に塗布すると、球状のオリゴマーが互いにつながった構造を形成し、比較的大きな隙間を有する膜となる。この隙間は、球状のオリゴマーが結合し成長して形成されるため、隙間から溶媒や水が揮発する際に、クラックは入りにくい。
本発明者らは溶液のpHに着目し、比較的緻密な膜ができる酸性領域で、酸の濃度と水分量を詳細に検討したところ、ある濃度域では、特に厚膜でも緻密でクラックのない膜を形成することができ、さらに、そのような膜を例えば150〜300℃程度で熱処理すると、熔融ガラス並みの硬度を有する膜にできることを発見した。
さて、シラノールの等電点は2であることが知られている。これは、溶液のpHが2であると、溶液中においてシラノールが最も安定に存在できる、ということを示している。つまり、加水分解されたシリコンアルコキシドが溶液中に多量に存在する場合においても、溶液のpHが2程度であれば、脱水縮合反応によりオリゴマーが形成される確率が非常に低くなる。この結果、加水分解されたシリコンアルコキシドが、モノマーあるいは低重合の状態で、溶液中に存在できることとなる。
ゾルゲル溶液に、例えば強酸を添加し、強酸のプロトンが完全に解離したとしたときのプロトンの質量モル濃度(以下、単にプロトン濃度と称する)で、0.001〜0.1mol/kgとなるようにすると、溶液のpHは3〜1程度となる。したがって、この溶液中においては、比較的低重合度のオリゴマーを安定に存在させることができる。
例えば、特開2002−088304号公報では、テトラアルコキシシランのオリゴマーの平均分子量が、85000から500000であることが推奨されていたが、本発明では、それよりも、ずっと小さい、500から10000程度の分子量のオリゴマーとなっている。強固なクラックのない厚膜を得るには、溶液中に比較的低重合度のオリゴマーとして存在させることが重要であることを、本発明者らは見いだしたのである。
本発明の形成溶液に用いる酸としては、強酸であることを必須とする。強酸としては、以下のものを挙げることができる。塩酸,硝酸,トリクロロ酢酸,トリフルオロ酢酸,硫酸,リン酸,メタンスルホン酸,パラトルエンスルホン酸,シュウ酸などである。強酸のうち、揮発性の酸は、加熱時に揮発して硬化後の膜中に残存することがないので、好ましく用いることができる。硬化後の膜中に酸が残ると、無機成分の結合の妨げとなって、膜硬度を低下させてしまうことがある。
本発明のコーティング液は、水とアルコールの混合溶媒を有し、必要に応じて他の溶媒を添加することが可能であるが、そのような混合溶媒の場合にも、強酸を用い、かつ強酸からプロトンが完全に解離したと仮定したときのプロトンの質量モル濃度を0.001〜0.2mol/kgとなるようにすることで、pH2前後の液とすることができる。
プロトンの質量モル濃度の計算に当たっては、使用する酸の水中での酸解離指数が、4以上のプロトンを考慮する必要はない。例えば、弱酸である酢酸の水中での酸解離指数は4.8であるから、形成溶液に酢酸を含ませた場合にも、酢酸のプロトンは前記プロトン濃度には含めない。本件明細書において、強酸とは、具体的には、水中での酸解離指数が4未満のプロトンを有する酸をいう。
なお、本発明の形成溶液において、プロトン濃度を上述したように、強酸のプロトンが完全に解離したとしたときの濃度として規定した理由は、本発明のように有機溶媒と水の混合溶液中では、酸の解離度を正確に求めることが困難だからである。
溶液のpHを3〜1とし、これを基材表面に塗布し乾燥すると、低重合度のシリコンアルコキシド由来のオリゴマーが密に充填され、クラックのない状態の膜が形成される。この結果、形成される細孔が小さく、かなり緻密な膜が得られる。
このような、低重合度のシリコンアルコキシド由来のオリゴマーが密に充填された状態とすることは、本発明の重要なポイントの1つである。しかし、これのみでは、200〜300℃で加熱しても十分に硬度の高い膜を得ることはできない。
溶液のpHを3〜1程度とすることで、比較的低重合度のオリゴマーを安定に存在させることは、既に述べた通りである。しかし、そのようなpH領域では、シリコンアルコキシドを化学量論的に全て加水分解させるために必要な水を添加しても、未反応のアルコキシドが残存した状態で安定化されてしまう。加水分解が不十分なまま、加熱を行っても重合反応によりシロキサン結合を十分に形成することができず、硬い膜とすることができないのである。
そこで本発明では、少なくとも化学量論的に加水分解に必要なモル数の水を添加しておく。つまり、シリコンアルコキシドのシリコン原子のモル数に対して、加水分解に必要なモル数、すなわち4倍以上の水を添加する。こうして、加水分解反応を促進し、結果的にそれに伴う重合による硬化を十分に行うのである。
さらに本発明では、加水分解に必要な4倍のモル数を超えて、水を添加しておくことが好ましい。この理由は、以下のようである。例えば、粘度の低い溶液中では化学量論的に必要十分な量の水がありさえすれば、十分に拡散して加水分解反応が進む。ところが、乾燥あるいは加熱時には液の流動性が低下して、拡散が十分に行われないので、加水分解反応が十分に進行できないことがある。その結果、400℃程度までの温度で熱処理するだけでは、硬度の高い膜を得られない虞がある。
つまり乾燥時には、溶媒の揮発と並行して水も蒸発する。予め溶液に水を添加していても、その量が少ないと、シリコンアルコキシドが濃縮される段階で、不完全に加水分解されたシリコンアルコキシドが、十分に加水分解されることなく、充填されてしまう。そこで、溶液に予め十分な水を添加しておくのである。具体的には、5〜10倍モルの水を添加しておくことが好ましい。
例えば、シリコンアルコキシドの一例であるテトラアルコキシシランの場合は、テトラアルコキシシラン1モルに対して、4モルの水があれば、化学量論的には、全てのアルコキシル基が加水分解されることになる。そこで、本発明では、シリコンアルコキシドのシリコン原子のモル数に対して、4倍以上のモル数の水を、好ましくは4倍を超えたモル数の水を添加するのである。このことによって、シリコンアルコキシドの加水分解反応を十分に進め、400℃程度までの温度で熱処理するだけでも、硬度の高い膜を得ることが可能となる。
また、テトラアルコキシシランの重合物(例えば、コルコート社製エチルシリケート40等)の場合には、重合物のSiのモル数をnとすると、化学量論的に加水分解に必要な水のモル数は、(2n+2)モルとなる。したがって、重合度の高いアルコキシシラン原料を使うほど、Siの1モルに対して、化学量論的に加水分解に必要な水のモル数は少なくなることになる。
本発明において、化学量論的に加水分解に必要な水のモル数以上の過剰の水を添加する理由は、乾燥あるいは加熱時の加水分解反応を促進し、結果的にそれに伴う重合による硬化を十分に行うことにある。例えば、粘度の低い溶液中では化学量論的に必要十分な量の水がありさえすれば、十分に拡散して加水分解反応が進む。ところが、乾燥あるいは加熱時には液の流動性が低下して、拡散が十分に行われないので、加水分解反応が十分に進行できない。その結果、400℃程度までの温度で熱処理するだけでは、硬度の高い膜を得ることができないのである。
そこで、予め重合したシリコンアルコキシド原料を使用する場合でも、Siの1モルに対して、過剰の水、すなわち4倍を超えるモル数の水を添加するのである。好ましくは、5〜10倍のモル数の水を添加する。
また、本発明の形成溶液を用いたシリカ系膜の製造方法においては、膜を硬化させるための熱処理を400℃以下の温度で行うとよい。こうすると、膜が緻密化した後に、含まれていた有機物が燃焼し、その部分か空隙となって、膜硬度が低下することがない。つまり、有機物を含んだ状態で、緻密で硬い構造が維持されるのである。
この熱処理温度は、要求される膜の硬度に応じて、適宜選択されるとよい。例えば、常温の乾燥では鉛筆硬度B程度の膜硬度が得られる。また、90℃の熱処理ではH程度、120℃では9H以上の膜硬度が得られる。さらに、150℃以上の熱処理を施すと、膜硬度は、鉛筆硬度試験の範疇を超えるので、JIS R 3212に準拠した摩耗試験で測定するとよい。すなわち、市販のテーバー摩耗試験機を用いて評価する。150℃程度以上の熱処理を施すと、テーバー摩耗試験機で例えば500gの荷重で1000回摩耗試験を行った後のヘイズ率が4%以下となり、これは熔融ガラス板の表面硬度並みの膜硬度が得られたことになる。
また、このシリカ系膜の形成溶液は、少量のリン酸を含んでいてもよい。このリンは、特に硬化の際の硬化触媒として働く。またリンは、400℃以下の温度では揮発することなく、膜中に残る。また、リンには数々の多形があるので、残留応力を大きくすることなく、さらに、膜硬度を低下させることもないので、好ましい。
本発明の形成溶液は、さらに機能性を有する微粒子、分子またはイオンのうち、少なくともいずれか一つを含んでいてもよい。
この機能性の微粒子が、導電性酸化物微粒子または/および有機物微粒子であることが好ましい。また機能性の分子が、有機色素であることが好ましい。
以上より、本発明は以下のように把握することができる。
すなわち、請求項1に記載の発明として、
シリコンアルコキシド、強酸、水およびアルコールを含み、
前記シリコンアルコキシドの濃度が、当該シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子をSiO2に換算したときのSiO2濃度により表示して3質量%を超え9質量%未満であり、
前記水のモル数が、前記シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数の4倍以上10倍以下であり、
前記強酸の濃度が、前記強酸からプロトンが完全に解離したと仮定したときのプロトンの質量モル濃度により表示して、0.001〜0.2mol/kgの範囲にあることを特徴とするシリカ系膜の形成溶液である。
請求項2に記載の発明として、
前記シリコンアルコキシドとして、テトラアルコキシシランおよびその重合体の少なくとも一方を含む請求項1に記載のシリカ系膜の形成溶液である。
請求項3に記載の発明として、
前記テトラアルコキシシランおよびその重合体の総量が、シリカ換算で3〜30質量%である請求項2に記載のシリカ系膜の形成溶液である。
請求項4に記載の発明として、
前記形成溶液は、さらにリン酸を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ系膜の形成溶液である。
請求項5に記載の発明として、
前記形成溶液は、さらに機能性を有する微粒子、分子またはイオンのうち、少なくともいずれか一つを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリカ系膜の形成溶液である。
請求項6に記載の発明として、
前記機能性の微粒子が、導電性酸化物微粒子または/および有機物微粒子である請求項5に記載のシリカ系膜の形成溶液である。
請求項7に記載の発明として、
前記機能性の分子が、有機色素である請求項5に記載のシリカ系膜の形成溶液である。
本明細書において、シリカ系膜とは、シリカが含有率の最も高い成分である膜をいう。
本発明によれば、ゾルゲル法により形成した、厚みが300nmを超える厚膜であるにもかかわらず、機械的強度に優れたシリカ系膜を形成できる。
本発明の形成溶液によるシリカ系膜は、比較的低温の熱処理で熔融ガラスに匹敵する膜硬度を有している。このシリカ系膜を、自動車用あるいは建築用の窓ガラスに適用しても、十分実用に耐える。
本発明の形成溶液では、溶液中におけるシリコンアルコキシドの加水分解や重合状態を、強酸を添加しpHを調整することによって制御している。また、乾燥途中において、溶液のpHが変化するように揮発性の強酸を使用し、さらに水分量を調整している。このようにすることによって、比較的低温の熱処理で硬度の高い膜が得られる。さらに、1回の操作によって、膜厚が250nmを超えて数μmであるシリカ系膜の製造に適用することができる。
さらに、得られるシリカ系膜をマトリクスとして、その中に機能性物質を導入することができる。このとき、約400℃以上の熱処理工程を経ると、その機能が損なわれてしまう機能性物質もその機能を損なわず、シリカ系膜中に導入することができる。
さらに、機能性物質として用いうる有機物の多くは、200から300℃の温度で分解が始まるものが多い。また、ITO微粒子では、例えば250℃以上の加熱で、熱遮蔽能が低下することが知られている。このような物質において、分解温度などその特性を損なう温度より低い温度、例えば200℃でも、十分にシリカ系膜を硬化させることが、本発明によれば可能である。この結果、本発明の形成溶液を用いると、幅広い実用に耐えうる硬度を有するシリカ系膜中に、熱的に不安定な機能性物質を、その機能を損なうことなく、導入できる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
エチルアルコール(片山化学製) 89.8gに、テトラエトキシシラン(信越化学製) 10.6g、純水 7.0g、濃塩酸(35質量%、関東化学製) 0.05gを添加、撹拌し、形成溶液を得た。
この溶液中のシリコンアルコキシド(テトラエトキシシラン)の含有量(シリカ換算)、プロトン濃度および水の含有量は、表1に示す通りである。なお、水の含有量には、エチルアルコール中に含まれる水分(0.35質量%)を加えて計算している。プロトン濃度は、塩酸に含まれるプロトンがすべて解離したとして算出した。水の含有量およびプロトン濃度の計算方法は、以下のすべての実施例、比較例において同一である。
(表1)
────────────────────────────────────────
シリコン プロトン 水 クラック テーバー
アルコキシド 濃度 (対Si量; 膜厚 の有無 試験後の
(質量%)* (mol/kg) モル比) (nm) 膜剥がれ
────────────────────────────────────────
実施例1 3.1 0.004 8 400 なし なし
比較例1 5.0 0.0001 7 −−− −− −−
実施例2 5.0 0.001 7 480 なし なし
実施例3 5.0 0.01 7 510 なし なし
実施例4 5.0 0.02 7 480 なし なし
実施例5 5.0 0.03 7 450 なし なし
実施例6 5.0 0.05 7 480 なし なし
実施例7 5.0 0.1 7 460 あり なし
比較例2 5.0 0.3 7 −−− あり あり
比較例3 5.0 0.01 2 −−− あり あり
実施例8 5.0 0.01 4 430 なし なし
実施例9 5.0 0.01 10 490 あり なし
比較例4 5.0 0.01 15 460 あり あり
実施例10 6.0 0.01 7 520 あり なし
実施例11 7.0 0.01 7 630 あり なし
実施例12 8.0 0.01 7 740 あり なし
比較例5 9.0 0.01 7 −−− あり あり
────────────────────────────────────────
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(100×100mm)上に、湿度30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約30分程度乾燥した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し40分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、400nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価は、JIS R 3212に準拠した摩耗試験によって行った。すなわち、市販のテーバー摩耗試験機(TABER INDUSTRIES社製 5150 ABRASER)を用い、500gの荷重で1000回摩耗を行い、摩耗試験前後のヘイズ率の測定を行った。膜厚、クラックの有無、およびテーバー試験後の膜剥離の有無を表1に示す。
テーバー摩耗試験前のヘイズ率は0.1%、同試験後のヘイズ率は3.3%であった。
なお、ブランクとして、熔融ガラス板におけるテーバー試験前後のヘイズ率を測定したところ、試験前が0.0%。試験後が1.5%であった。なお、ヘイズ率は、スガ試験機社製HGM−2DPを用いて測定した。
実施例1で作製したシリカ膜付きガラス板は、自動車用あるいは建築用の窓ガラスとしても、十分に実用性を有している。自動車用の窓ガラスでは、テーバー試験後のヘイズ率は4%以下が求められている。
(実施例2〜7)(比較例1〜2)
原料の配合比を変更した以外は、実施例1と同様にして、膜を形成した。原料の配合比を、膜厚、テーバー摩耗試験の結果と併せて表1に示す。
実施例2〜7および比較例1〜2では、プロトン濃度のみを変更した。プロトン濃度を低くした比較例1では、形成溶液がガラス板に弾かれて塗布できなかった。これは、シリコンアルコキシドの加水分解が極度に不十分であったためであると考えられる。プロトン濃度を高くした実施例7では、膜の一部にクラックが発生したが、クラックが発生しなかった領域について実施したテーバー摩耗試験の結果、膜は剥がれなかった。さらにプロトン濃度を高くした比較例2では、実施例7よりも広い領域で膜にクラックが発生したため、膜厚を測定できず、クラックが発生しなかった領域について実施したテーバー摩耗試験の結果、膜が剥がれた。
(実施例8〜9)(比較例3〜4)
原料の配合比を変更した以外は、実施例1と同様にして、膜を形成した。原料の配合比を、膜厚、テーバー摩耗試験の結果と併せて表1に示す。
実施例8〜9および比較例3〜4では、水の添加量のみを変更した。比較例3では、剥離を伴う微細なクラックが発生し、テーバー磨耗試験により膜が剥離した。実施例9および比較例4では、膜の一部にクラックが発生したが、クラックが発生しなかった領域について実施したテーバー摩耗試験の結果、実施例9では膜が剥がれず、比較例4では膜が剥がれた。
(実施例10〜12)(比較例5)
原料の配合比を変更した以外は、実施例1と同様にして、膜を形成した。原料の配合比を、膜厚、テーバー摩耗試験の結果と併せて表1に示す。
実施例10〜12および比較例5では、シリコンアルコキシドの添加量のみを変更した。すべての場合において膜の一部にクラックが発生したが、クラックが発生しなかった領域について実施したテーバー摩耗試験の結果、実施例10〜12では膜が剥がれず、比較例5では膜が剥がれた。なお、比較例5では、膜厚を測定できない程度にクラックが多数発生した。
以上に記載した実施例、比較例は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明がこれらの例に制限されるわけではない。
例えば、シリコンアルコキシドとしては、テトラメトキシシラン、メチルシリケートなどを用いてもよい。
また、シリコンアルコキシドとして、有機修飾されたアルコキシドを用いてもよい。ただし、この場合は、有機修飾されているシリコンアルコキシドが、有機修飾されていないシリコンアルコキシドのシリコン原子のモル数の10%以下の量となるようにすることが好ましい。
酸としては、硫酸、p−スルホン酸、メタンスルホン酸などを用いてもよい。
アルコールとしては、メチルアルコール、1-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコールなどを用いてもよい。
さらに、本発明によるシリカ系膜には、シリカ以外の金属酸化物を添加してもよい。
例えば、リチウム,ナトリウム,カリウム,セシウム,マグネシウム,カルシウム,コバルト,鉄,ニッケル,銅,アルミニウム,ガリウム,インジウム,スカンジウム,イットリウム,ランタン,セリウム,亜鉛などの金属の塩化物,酸化物,硝酸塩などをコーティング液に添加してもよい。
ボロンに関しては、ホウ酸、あるいはホウ素のアルコキシドをアセチルアセトンなどのβ−ジケトンでキレート化して添加することが可能である。
チタン、ジルコニウムに関しては、オキシ塩化物、オキシ硝酸化物、あるいはアルコキシドをβ−ジケトンでキレート化して添加することが可能である。
アルミニウムに関しては、アルコキシドをβ−ジケトンでキレート化して添加することが可能である。
本発明によるシリカ系膜が形成された物品は、下地膜,保護膜,低反射膜,紫外線遮蔽膜,赤外線遮蔽膜,着色膜などとして有用である。

Claims (7)

  1. シリコンアルコキシド、強酸、水およびアルコールを含み、
    前記シリコンアルコキシドの濃度が、当該シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子をSiO2に換算したときのSiO2濃度により表示して3質量%を超え9質量%未満であり、
    前記水のモル数が、前記シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数の4倍以上10倍以下であり、
    前記強酸の濃度が、前記強酸からプロトンが完全に解離したと仮定したときのプロトンの質量モル濃度により表示して、0.001〜0.2mol/kgの範囲にあることを特徴とするシリカ系膜の形成溶液。
  2. 前記シリコンアルコキシドとして、テトラアルコキシシランおよびその重合体の少なくとも一方を含む請求項1に記載のシリカ系膜の形成溶液。
  3. 前記テトラアルコキシシランおよびその重合体の総量が、シリカ換算で3〜30質量%である請求項2に記載のシリカ系膜の形成溶液。
  4. 前記形成溶液は、さらにリン酸を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ系膜の形成溶液。
  5. 前記形成溶液は、さらに機能性を有する微粒子、分子またはイオンのうち、少なくともいずれか一つを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリカ系膜の形成溶液。
  6. 前記機能性の微粒子が、導電性酸化物微粒子または/および有機物微粒子である請求項5に記載のシリカ系膜の形成溶液。
  7. 前記機能性の分子が、有機色素である請求項5に記載のシリカ系膜の形成溶液。
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