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JP2006111845A - 水性インク - Google Patents

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JP2006111845A
JP2006111845A JP2005051724A JP2005051724A JP2006111845A JP 2006111845 A JP2006111845 A JP 2006111845A JP 2005051724 A JP2005051724 A JP 2005051724A JP 2005051724 A JP2005051724 A JP 2005051724A JP 2006111845 A JP2006111845 A JP 2006111845A
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anionic
cationic
ink
colorant
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JP2005051724A
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Atsushi Ito
淳 伊東
Toshiyuki Miyabayashi
利行 宮林
Makoto Nagase
真 長瀬
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】 特にインクジェット専用メディアを用いたインクジェット記録において、優れた光沢感および写像性のある画像の印刷物を得ることができる水性インクを提供する。
【解決手段】 少なくとも、アニオン性基を表面に有する色材粒子がカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーにより被覆されたマイクロカプセル化色材と、下記式(1)に示す化合物とを含んでなることを特徴とする。
【化1】
Figure 2006111845

(式中、R1、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基を表し、m,nはそれぞれ繰り返し単位数であって、m+nが平均で0〜10である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、種々の記録媒体に対して優れた光沢感を有する画像を得ることが可能な水性インクに関する。
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出し、文字や図形を被記録体表面に記録する方法である。インクジェット記録方式としては電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換し、ノズルヘッド部分に貯えたインクを断続的に吐出して被記録体表面に文字や記号を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインクを吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張で断続的に吐出して、被記録体表面に文字や記号を記録する方法などが実用化されている。
このようなインクジェット記録に用いられるインクは被記録体である紙への印字において、にじみがないこと、乾燥性がよいこと、様々な被記録体表面に均一に印字できること、カラー印字等の多色系の印字において隣り合った色が混じり合わないことなどの特性が要求されている。
従来のインクにおいて、特に顔料を用いたインクの多くは主に浸透性を抑えることで、紙表面に対するインクのぬれを抑え、紙表面近くにインク滴をとどめることで印字品質を確保する検討がなされ、実用化されている。
しかしながら、紙に対するぬれを抑えるインクでは紙種の違いによるにじみの差が大きく、特に様々な紙の成分が混じっている再生紙では、その各成分に対するインクのぬれ特性の差に起因するにじみが発生する。また、このようなインクでは印字の乾燥に時間がかかり、カラー印字等の多色系の印字において隣り合った色が混色してしまうという課題を有し、更に、色材として顔料を用いたインクでは顔料が紙等の表面に残る為、耐擦性が悪くなるという課題もある。
このような課題を解決する為、インクの紙への浸透性を向上させることが試みられており、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加(特許文献1参照)、アセチレングリコール系の界面活性剤であるサーフィノール465(日信化学製)の添加(特許文献2参照)、あるいはジエチレングリコールモノブチルエーテルとサーフィノール465の両方を添加する(特許文献3参照)ことなどが検討されている。あるいはジエチレングリコールのエーテル類をインクに用いることなどが検討されている(特許文献4参照)。
また、顔料を用いたインクでは、顔料の分散安定性を確保しながらインクの浸透性を向上することが一般に難しく浸透剤の選択の幅が狭い為、従来グリコールエーテルと顔料との組み合わせは、顔料にトリエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた例(特許文献5参照)やエチレングリコール、ジエチレングリコールあるいはトリエチレングリコールのエーテル類を用いた例(特許文献6参照)などもある。
さらに、着色材の表面を高分子で被覆する方法としては、インクジェットプリンター用インクとして、染料インクを内包したマイクロカプセルを用いる方法(特許文献7参照)、水に不溶な溶媒に色素を溶解または分散させこれを界面活性剤で水中で乳化したマイクロカプセル化した色素を用いる方法(特許文献8参照)、水、水溶性溶媒並びにポリエステルの少なくとも1種に昇華性分散染料を溶解または分散させた内包物をマイクロカプセルを記録液に使用する方法(特許文献9参照)、着色された乳化重合粒子と水性材料からなるインキ組成物(特許文献10参照)、転相乳化法や酸析法による方法(特許文献11、12参照)が検討されている。
米国特許第5156675号明細書 米国特許第5183502号明細書 米国特許第5196056号明細書 米国特許第2083372号明細書 特開昭56−147861号公報 特開平9−111165号公報 特開昭62−95366号公報 特開平1−170672号公報 特開平5−39447号公報 特開平6−313141号公報 特開平10−140065号公報 特開2004−197037号公報
しかしながら、上記特許文献には、優れた光沢感および写像性を有する画像を得ることについて、何も言及されていなかった。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解決することであり、特にインクジェット専用メディアを用いたインクジェット記録において、優れた光沢感および写像性のある画像の印刷物を得ることができる水性インクを提供することである。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を採用することによって、上記目的が達成され、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、少なくとも、アニオン性基を表面に有する色材粒子がカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーにより被覆されたマイクロカプセル化色材と、下記式(1)に示す化合物とを含んでなることを特徴とする水性インク、である。
Figure 2006111845
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基を表し、m,nはそれぞれ繰り返し単位数であって、m+nが平均で0〜10である。)
また、本発明のマイクロカプセル化色材の色材粒子が顔料であることが好ましい。
本発明の水性インクは、上記の特定のマイクロカプセル化色材と上記の式(1)で示される特定の化合物を含むことにより、特にインクジェット専用メディアを用いたインクジェット記録において、優れた光沢感および写像性のある画像の印刷物を得ることができる。
本発明の水性インクに含まれるマイクロカプセル化色材は、アニオン性基を表面に有する色材粒子が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたことを特徴としている。
このようなマイクロカプセル化色材は、アニオン性基を表面に有する色材粒子をポリマーにより被覆するマイクロカプセル化色材の製造方法であって、前記アニオン性基を表面に有する色材粒子の水性分散液に前記カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、前記アニオン性重合性界面活性剤及び/又は前記アニオン性基を有する親水性モノマーを加え乳化後、重合開始剤を加えて乳化重合することにより、好適に製造できる。
このような乳化重合法によれば、先ず、アニオン性基を表面に有する色材粒子表面のアニオン性基とカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基とがイオン的に結合し、このカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤の疎水性基とアニオン性重合性界面活性剤の疎水性基とが向き合い、アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基が水相側に向いて配向した構造を形成する。この状態で重合反応を行うと色材粒子表面に前記の構造を維持したポリマー層が形成される。すなわち、重合反応前での色材粒子の周囲に存在するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤並びにアニオン性重合性界面活性剤の配置形態が極めて高度に制御され、最外殻では水相に向かってアニオン性基が配向した状態が形成される。そして、乳化重合反応によって、この高度に制御された形態のまま、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤並びにアニオン性重合性界面活性剤がポリマーに転化される。したがって、このマイクロカプセル化色材は極めて高精度に構造が制御されたものとなる。このことにより、本発明の水性インクに用いるマイクロカプセル化色材は、
(1)分散安定性に優れる、
(2)記録ヘッドからの吐出安定性に優れる、
(3)画像の堅牢性に優れる記録物を得ることができる、
(4)画像の印字濃度が高い記録物を得ることができる、
(5)画像の耐擦性に優れる記録物を得ることができる、
(6)記録媒体として普通紙を使用する場合においても、画像が滲みにくく、また画像の発色性が高い記録物を得ることができる、
の前記(1)〜(6)の全てを満足するインクジェット記録用インクを作製可能である。なお、転相乳化法や酸析法等を使用するなどして、色材粒子に対して予め作製されたポリマーが被覆されたマイクロカプセル化色材では、ポリマーが予め作製されていることによって色材粒子に対する被覆状態が限定されるせいか、前記(1)〜(6)の全てを満足するようなポリマーの色材粒子に対する被覆状態が達成されていないものと考えられる。
ここで、マイクロカプセル化色材のアスペクト比(長短度)が1.0〜1.3であり、かつ、Zingg指数は、1.0〜1.3(より好ましくは1.0〜1.2)であることが好ましい。これにより、前記(1)、(2)、(4)及び(6)の項目をより確実に満足できる。
ある粒子の短径をb、長径をl、厚みをt(l≧b≧t>0)とした場合、アスペクト比(長短度)はl/b(≧1)、扁平度はb/t(≧1)であり、Zingg指数=長短度/扁平度=(l・t)/b2である。すなわち、真球は、アスペクト比が1であり、かつ、Zingg指数が1となる。
Zingg指数が1.3より大きくなると、マイクロカプセル化色材がより扁平形状と
なって等方性が低くなるせいか、特に、前記(1)、(2)、(4)及び(6)の項目に関して、充分な結果が得られない傾向となる。アスペクト比ならびにZingg指数を上記範囲内とする方法としては特に限定されないが、アニオン性基を表面に有する色材粒子が前記した乳化重合法によりポリマーで被覆されたマイクロカプセル化色材は、この条件を容易に満たし得る。
なお、酸析法や転相乳化法等の乳化重合法以外の方法によって作製されたマイクロカプセル化色材では、アスペクト比ならびにZingg指数が上記範囲内になり難い。
マイクロカプセル化色材が上記のアスペクト比ならびにZingg指数の範囲にあると、真球状となるが、これによって、インクの流動特性がニュートニアンとなりやすく、吐出安定性に優れたものとなる。また、真球状であることから、紙等の記録媒体に着弾した場合にカプセル化粒子が記録媒体上に高密度で配置され、印刷濃度や発色を高効率で発現することができる。また、真球状であることから、分散性や分散安定性にも優れる。
以下、前記した好適な製造方法において色材粒子の起こり得る分散状態を挙げながら、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に挙げる色材粒子の分散状態は推定を含むものである。
図1は、親水性基としてアニオン性基14を表面に有する色材粒子1が、水を主成分とする溶媒(以下、水性溶媒ともいう)に分散するとともに、カチオン性基11と疎水性基12と重合性基13とを有するカチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2と、アニオン性基14'と疎水性基12'と重合性基13'とを有するアニオン性重合性界面活性剤3とに対して、共存している状態を示す図である。カチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2は、そのカチオン性基11が色材粒子1のアニオン性基14に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。そして、このカチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2の疎水性基12と重合性基13に対しては、疎水性相互作用によって、アニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基12'と重合性基13'が向き、他のアニオン性重合性界面活性剤3のアニオン性基14'は水性溶媒の存在する方向、すなわち色材粒子1から離れる方向に向いている。
このような水性分散液に例えば重合開始剤を添加するなどしてカチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2の重合性基13ならびにアニオン性重合性界面活性剤3の重合性基13'を重合させることによって、図2に示すように、色材粒子1がポリマー層60'で被覆されたマイクロカプセル化色材100'が作製される。ここで、ポリマー層60'の表面はアニオン性基14'を有するので、マイクロカプセル化色材100'は、水性溶媒に分散可能である。前記アニオン性重合性界面活性剤3の代わりに、親水性基としてアニオン性基を有する親水性モノマーを使用する場合も同様にしてマイクロカプセル化色材を作製することができる。重合の際、必要に応じて、水性分散液中に、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤と、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーとに対して共重合可能なコモノマーを存在させても良く、その場合は、ポリマー層が、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤と、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーと、コモノマーとから共重合されるコポリマー層となり得る。
また、前述に加えて、前記した好適な製造方法において色材粒子の起こり得る分散状態を上げる。図3は、親水性基としてアニオン性基14を表面に有する色材粒子1が、水を主成分とする溶媒(以下、水性溶媒ともいう)に分散するとともに、カチオン性基11と疎水性基12と重合性基13とを有するカチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2と、アニオン性基14'と疎水性基12'と重合性基13'とを有するアニオン性重合性界面活性剤3とに対して、共存している状態を示す図である。カチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2は、そのカチオン性基11が色材粒子1のアニオン性基14に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。そして、このカチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2の疎水性基12と重合性基13に対しては、疎水性相互作用によって、アニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基12'と重合性基13'が向き、他のアニオン性重合性界面活性剤3のアニオン性基14'は水性溶媒の存在する方向、すなわち色材粒子1から離れる方向に向いている。
また、色材粒子1の表面は、特定密度で化学結合されたアニオン性基14を有するとともに、アニオン性基14の間に疎水領域50を有しており、この疎水領域50には、例えば、カチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2の疎水性基12と重合性基13とが向いている。そしてこのカチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基11には、アニオン性基14'が向くようにアニオン性重合性界面活性剤3が配置され、イオン性の強い結合で吸着する。このアニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基12'と重合性基13'には、疎水性相互作用によって、他のアニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基12'と重合性基13'が向き、アニオン性重合性界面活性剤3のアニオン性基14'は水性溶媒の存在する方向、すなわち色材粒子1から離れる方向に向いている。
このような水性分散液に例えば重合開始剤を添加するなどしてカチオン性親水性モノマー又はカチオン性重合性界面活性剤2の重合性基13ならびにアニオン性重合性界面活性剤3の重合性基13'を重合させることによって、図4に示すように、色材粒子1がポリマー層60で被覆されたマイクロカプセル化色材100が作製される。ここで、ポリマー層60の表面はアニオン性基14'を有するので、マイクロカプセル化色材100は、水性溶媒に分散可能である。前記アニオン性重合性界面活性剤3の代わりに、親水性基としてアニオン性基を有する親水性モノマーを使用する場合も同様にしてマイクロカプセル化色材を作製することができる。重合の際、必要に応じて、水性分散液中に、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤と、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーとに対して共重合可能なコモノマーを存在させても良く、その場合は、ポリマー層が、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤と、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーと、コモノマーとから共重合されるコポリマー層となり得る。
以上、図面を用いて分散状態を挙げたが、先ず、色材粒子1が、その表面に親水性基としてアニオン性基を有することによって、水性溶媒に分散した状態となっている。水性溶媒中における色材粒子1の分散は、表面に親水性基(アニオン性基)を有さない色材粒子を分散剤によって分散させた場合と比較して高分散である。このようなアニオン性基を表面に有する色材粒子がポリマーにより被覆されたマイクロカプセル化色材によれば、図2及び図4に示すように、マイクロカプセル化色材の表面のアニオン性基が水性溶媒の存在する方向に向いて規則正しく密に配向していることから、マイクロカプセル化色材の水性溶媒に対する分散安定性を向上できる。そのため、このようなマイクロカプセル化色材を本発明の水性インクの着色剤とするとともに、インクの溶媒を水性溶媒とすれば、より多重量のマイクロカプセル化色材をインク中に含有させても粘度の増加が起こらずに低粘度を維持したまま、従来のマイクロカプセル化色材インクより優れた分散安定性を付与できる。分散安定性に優れれば、マイクロカプセル化色材がインクジェット記録ヘッドのノズルを詰まらせる虞れが少なくなることから、吐出安定性も良好となる。すなわち、分散安定性および吐出安定性に優れると同時に、従来の水性インクと比較して着色剤の含有量(重量濃度)が向上した水性インクを作製できる。
また、本発明で用いる上記のマイクロカプセル化色材は小粒径で、且つ、粒子表面の親水性基(特にアニオン性基)が水相側に向かって規則正しく密に配向していることから、普通紙のセルロース繊維上に最密充填されて良好なパッキング性を得ることができる。このため、上記のマイクロカプセル化色材の含有量(重量濃度)が高いマイクロカプセル化色材水性インクを使用してインクジェット記録を行うことによって、画像の堅牢性に優れるだけでなく、彩度の低下を全く起こさずに印字濃度が高い記録物を得ることができる。
より具体的に考察すれば、本発明の水性インクに用いられるマイクロカプセル化色材は
、上述したように、アニオン性基が水性溶媒側に向かって規則正しく密に配向しているものと考えられるので、マイクロカプセル化色材の間に、効果的な静電的な反発力が生じているものと考えられる。また、このような静電的な反発力に加えて、顔料粒子を被覆しているポリマーに起因する立体障害による効果(高分子効果)も、本発明のマイクロカプセル化色材が水性媒体中で優れた分散安定性を有する一因となっているものと考えられる。
記録媒体を普通紙とした場合に画像の滲みの発生を抑制できる理由、また、画像の印字濃度の高い理由としては、マイクロカプセル化色材の水性溶媒側に向かって規則正しく密に配向している顔料の親水性基の働きによるところが大きいものと考えられる。インクが記録ヘッドから吐出されて普通紙上に着弾すると、インク溶媒は紙中に急速に浸透するが、従来の分散剤で分散された色材粒子(色材粒子を分散剤が覆っている)を用いたインクでは色材粒子が溶媒とともに紙の横方向や深部に移動して行き、普通紙表面のセルロース繊維上に吸着しにくく(この原因は、色材粒子表面の親水性基量が本発明の実施形態の係るマイクロカプセル化色材に比べて少ないことと、親水性基が規則正しく密に配向した状態でないことによるためと考えられる。)、そのため印字濃度が低く発色性が不十分である。
これに対して、本発明で使用するマイクロカプセル化色材は、表面に存在する親水性基(特にアニオン性基)が普通紙中に通常含まれるマグネシウム,カルシウム,アルミニウム等の各種の金属イオンと相互作用することによって凝集しやすく、また、普通紙のサイズ処理においてサイズ剤と共に用いられた普通紙中のカチオン性デンプンや、カチオン性高分子と、マイクロカプセル化色材の親水性基(特にアニオン性基)とが相互作用することによって吸着あるいは凝集しやすく、また、マイクロカプセル化色材の親水性基(特にアニオン性基)とセルロース繊維との相互作用によって普通紙のセルロース繊維上に吸着しやすい。よって、上記のマイクロカプセル化色材を着色剤とするインクが記録ヘッドから吐出されて普通紙上に着弾すると、着色剤が普通紙の着弾位置近傍に溜まりやすいので、高い画像濃度が得られるとともに滲みの発生も抑制される。また、本発明で使用されるマイクロカプセル化色材は小粒径で、且つ、粒子表面の親水性基(特にアニオン性基)が水相側に向かって規則正しく密に配向していることから普通紙のセルロース繊維上に最密充填されて良好なパッキング性が得られるため、上記のマイクロカプセル化色材以外の顔料を着色剤として用いた一般の顔料インクにおいて起こりやすい彩度の低下が全く起こらない。
また、本発明に係る水性インクは、色材がポリマーで被覆されているので、従来の表面処理顔料粒子を着色剤として用いたインクと比較して、記録媒体に対する定着性に優れ、その結果、記録物の耐擦過性を優れたものにできる。
次に、本発明に係るマクロカプセル化色材の構成成分について詳細に説明する。
親水性基を表面に有する色材粒子は、色材粒子の表面を親水性基付与剤によって処理することにより、好適に作製できる。よって、親水性基を表面に有する色材粒子を構成する色材としては、親水性基付与剤に溶解しない色材であれば特に限定されない。このような観点から、特に、本発明のインクにおいて好ましい色材としては、以下の無機顔料及び有機顔料を挙げることができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック,ランブブラック,アセチレンブラック,チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.l.ピグメントブラック7)類、あるいは、酸化鉄顔料等を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、及びキレートアゾ顔料などを含む。)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、又はキノフラノン顔料
など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート又は酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、又はアニリンブラックなどを使用することができる。
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料として、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、又はMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、又はSpecial Black 4等を使用することができる。
また、ブラック用の有機顔料としては、アニリンブラック(C.l.ピグメントブラック1)等の黒色有機顔料を用いることができる。
また、イエローインク用の有機顔料としては、C.l.ピグメントイエロー1(ハンザイエロー)、2,3(ハンザイエロー10G)、4,5(ハンザイエロー5G)、6,7,10,11,12,13,14,16,17,24(フラバントロンイエロー),34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108(アントラピリミジンイエロー)、109,110,113,117(銅錯塩顔料)、120,124,128,129,133(キノフタロン)、138,139(イソインドリノン)、147,151,153(ニッケル錯体顔料)、154,167,172,180などを挙げることができる。
更に、マゼンタインク用の有機顔料としては、C.l.ピグメントレッド1(パラレッド)、2,3(トルイジンレッド)、4,5(lTR Red)、6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38(ピラゾロンレッド)、40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88(チオインジゴ)、112(ナフトールAS系)、114(ナフトールAS系)、122(ジメチルキナクリドン)、123,144,146,149,150,166,168(アントアントロンオレンジ)、170(ナフトールAS系)、171,175,176,177,178,179(ベリレンマルーン)、184,185,187,202,209(ジクロロキナクリドン)、219,224(ベリレン系)、245(ナフトールAS糸)、又は、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン)、23(ジオキサジンバイオレット)、32,33,36,38,43,50などを挙げることができる。
更にまた、シアンインク用の有機顔料としては、C.l.ピグメントブルー1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16(無金属フタロシアニン)、18(アルカリブルートナー)、22,25,60(スレンブルー)、65(ビオラントロン)、66(インジゴ)、C.l.Vatブルー4,60等を挙げることができる。
更にまた、マゼンタ,シアン又はイエローインク以外のカラーインクに用いる有機顔料
として、
C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、10(グリーンゴールド)、36,37;
C.I.ピグメントブラウン3,5,25,26;あるいは
C.I.ピグメントオレンジ1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等を用いることができる。
本発明に係るマクロカプセル化色材においては、前記の色材を1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
色材粒子の表面を処理するための親水性基付与剤としては、先ず、硫黄を含有する処理剤を好適に挙げることができる。
硫黄を含有する処理剤としては、硫酸,発煙硫酸,三酸化硫黄,クロロ硫酸,フルオロ硫酸,アミド硫酸,スルホン化ピリジン塩,スルファミン酸が挙げられ、中でも、三酸化硫黄,スルホン化ピリジン塩またはスルファミン酸等のスルホン化剤が好適である。これらを単独または2種以上を混合して用いることができる。(なお、"スルホン化剤"とは、スルホン酸(−SO3H)および/またはスルフィン酸(−RSO2H:RはC1〜C12のアルキル基、または、フェニル基およびその変性体)を付与するための処理剤である。)
また、前記三酸化硫黄を、三酸化硫黄と錯体を形成することのできる溶剤(N,N−ジメチルホルムアミドジオキサン,ピリジン,トリエチルアミン,トリメチルアミンのような塩基性溶剤、ニトロメタン、アセトニトリル等)と後述する溶剤1種以上との混合溶媒により、錯体化させることも有用である。
特に、三酸化硫黄自身では反応性が大きすぎて、色材自身を分解または変質させたり、あるいは強酸による反応制御が困難な場合には、上記のように三酸化硫黄と第三アミンとの錯体を用いて色材粒子の表面処理(この場合はスルホン化)を行うことが好ましい。
また、硫酸や発煙硫酸、クロロ硫酸、フルオロ硫酸などを単体で使用すると容易に色材粒子が溶解し、一分子ごとに反応する様な強酸に対しては、反応を抑制する必要があり、後述する溶剤の種類や使用する量に関して留意する必要がある。
反応に用いられる溶剤は、硫黄を含む処理剤とは反応せず、また、上記した色材が不溶性または難溶性となるようなものから選択され、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、キノリン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、液体二酸化硫黄、二硫化炭素、トリクロロフルオロメタンなどが挙げられる。
硫黄を含む処理剤による処理は、色材粒子を溶剤に分散させ、この分散液に硫黄を含む処理剤を添加し、60〜200℃に加熱、3〜10時間攪拌することにより行う。具体的には、予めハイスピードミキサー等で高速せん断分散し、あるいはビーズミルやジェットミル等で衝撃分散し、スラリー状(分散液)とする方法が好ましい。その後、穏やかな攪拌に移した後、硫黄を含む処理剤を添加し、親水性基を色材粒子の表面に導入させる。この際、親水性基の導入量の決定には、反応条件と硫黄を含む処理剤の種類が大きく左右する。この後に加熱処理した後、色材粒子のスラリーから、溶剤および残留する硫黄を含む処理剤は取り除かれる。除去は、水洗,限外濾過,逆浸透等の方法、遠心分離,濾過等を繰り返して行う。
さらに、前掲したスルホン酸(−SO3H)および/またはスルフィン酸(−RSO2H:RはC1〜C12のアルキル基、または、フェニル基およびその変性体)をアルカリ化合物で処理することによって、親水性基として、スルホン酸アニオン基(−SO3 -)及び/又はスルフィン酸アニオン基(−RSO2 -:RはC1〜C12のアルキル基又はフェニル基およびその変性体)を表面に有する色材粒子とすることができる。本発明においては、この状態で好ましく用いられる。
アルカリ化合物としては、カチオンがアルカリ金属イオンまたは化学式(R1234N)+(R1,R2,R3およびR4は同一でも異なってもよく、水素原子,アルキル基,ヒドロキシアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示す)で示される1価のイオンとなるアルカリ化合物が選択される。好ましくは、カチオンが、リチウムイオン(Li+),カリウムイオン(K+),ナトリウムイオン(Na+),アンモニウムイオン(NH4 +)、および、トリエタノールアミンカチオン等のアルカノールアミンカチオンとなるアルカリ化合物である。
アルカリ化合物のアニオンとしては、水酸化アニオンが好適に用いられ、その具体例としては、アンモニア,アルカノールアミン(モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,N,N−ブチルエタノールアミン,トリエタノールアミン,プロパノールアミン,アミノメチルプロパノール,2−アミノイソプロパノール等)、一価のアルカリ金属の水酸化物(LiOH,NaOH,KOH)が例示できる。
上記したアルカリ化合物の添加量としては、色材粒子のスルホン酸基および/またはスルフィン酸基の中和当量以上が好ましい。さらに、アンモニア,アルカノールアミン等の揮発性のある添加剤については、概ね、中和当量の1.5倍以上の添加が好ましい。
なお、操作は、アルカリ化合物中に上記スルホン酸基および/またはスルフィン酸基が表面に化学結合された色材粒子を入れ、ペイントシェーカー等で振とうすることにより行うことができる。
また、色材粒子の表面を処理するための親水性基付与剤としては、カルボキシル化剤も好適に挙げることができる。ここで"カルボキシル化剤"とは、カルボン酸基(−COOH)を付与するための処理剤である。
カルボキシル化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウム等の次亜ハロゲン酸塩の様な酸化剤を使い、色材粒子表面の一部結合(C=C、C−C)を切断し、酸化処理することによる。また前記の化学処理のほかにプラズマ処理等のような物理的酸化によりカルボン酸基を付与する場合もあるが、本発明では、水性媒体中での分散安定を確保可能な処理方法であれば、各種手法の選択が可能である。さらに、例示のカルボン酸導入処理においては、量的には少ないがキノン基等が導入される場合もある。こうした場合であっても、マイクロカプセル化色材の水性媒体中での分散安定性を確保可能であれば本発明の主旨に反しない。
カルボキシル化剤による処理の一例を挙げると、色材粒子を水性媒体中に予めハイスピードミキサー等で高速せん断分散し、あるいはビーズミルやジェットミル等で衝撃分散し、スラリー状(分散液)とする。次に、有効ハロゲン濃度で10〜30%の次亜塩素酸ナトリウムのような次亜ハロゲン酸塩とを適量の水中で混合させ、60〜80℃に加熱、5〜10時間程度、好ましくは10時間以上攪拌することにより行う。この作業は、かなりの発熱を伴うため、安全上の注意が必要である。この後に表面処理された色材粒子のスラリーから、溶剤および残留するカルボキシル化剤を加熱処理することで取り除く。また、必要によっては水洗,限外濾過,逆浸透等の方法、遠心分離,濾過等を繰り返して行うことで所望の水性分散体とすることが可能である。
ここでも、カルボン酸基(−COOH)を有する色材粒子をアルカリ化合物で処理することによって、親水性基として、カルボン酸アニオン基(−COO-)を表面に有する色材粒子とすることができる。本発明においては、この状態で好ましく用いられる。
アルカリ化合物の種類およびアルカリ化合物による処理方法は前述と同様である。
次に、親水性基の色材粒子表面への好ましい導入量とその導入状態を調べるための手法について述べる。
まず、親水化をスルホン化剤によって行う場合、色材粒子表面に導入された親水性基の導入量は、色材粒子1g当たり0.01mmol当量以上であることが好ましい。親水性基の導入量が0.01mmol/g未満になると、水性溶媒中での色材粒子のマイクロカプセル化工程において、色材粒子の凝集物が発生し易くなり、マイクロカプセル化色材の平均粒径が増大する傾向がある。マイクロカプセル化色材の平均粒径が増大するにつれて、分散安定性および吐出安定性が優れるとともに画像の印字濃度を高くできるインクジェット記録用インクは得にくくなる。
色材粒子に対する親水性基の導入量の上限は、特に限定されないが、0.15mmol/gより大きくなると、親水性基導入量の増加に伴う色材粒子の平均粒径に変化が認められなくなることがあるので、コストの点から、0.15mmol/g以下であることが好ましい。
次に、カルボキシル化剤による色材粒子表面への親水性基の導入量について述べる。本発明で用いる表面処理手法では、カルボン酸基(−COOH)及び/又はカルボン酸アニオン基(−COO)が色材粒子表面に導入されると考えられるが、直接的にこの導入量を求めることが出来ないため、本発明においてはその導入量を表面活性水素含有量で測定するものとする。詳細な測定方法は、後述する。
こうした方法によって得られる色材粒子への活性水素含有量は、1.0mmol/g以上であることが好ましく、1.5mmol/g以上であることがより好ましい。1.0mmol/g以下では水分散性が悪くなり、マイクロカプセル化工程中で合一(粒子が自然に集まり、大粒径化すること)が起り易くなる。
以上、親水性基を表面に有する色材粒子について詳述したが、上記方法により、親水性基を表面に有する色材粒子の平均粒径を容易に150nm以下とすることができる。特に、色材や親水性基付与剤の種類、親水性基の導入量などを選択することにより平均粒径を20nm〜80nmとするのがより好ましく、これにより、分散安定性および吐出安定性が優れるとともに、画像の印字濃度を高くできるインクジェット記録用インクをより確実に作製できるマイクロカプセル化色材を得ることができる。(本明細書において平均粒径の記述は、レーザ光散乱法の計測値によって述べている。)
親水性基を表面に有する色材粒子は、引き続き、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーによって被覆されることにより、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化色材とされる。このようなマイクロカプセル化色材は、前述したように、アニオン性基を表面に有する色材粒子の水性分散液にカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを加え乳化後、重合開始剤を加えて乳化重合することにより好適に作製できる。
カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基としては、第一アミンカチオン、第二アミンカチオン、第三アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンなる群から選択されたカチオン性基が好ましい。第一アミンカチオンとしてはモノアルキルアンモニウムカチオン(RNH3 +)等を、第二アミンカチオンとしてはジアルキルアンモニウムカチオン(R2NH2 +)等を、第三アミンカチオンとしてはトリアルキルアンモニウムカチオン(R3NH+)等を、第四級アンモニウムカチオンとしては(R4+)等を挙げることができる。ここで、Rは、疎水性基及び重合性基であり、下記に示すものを挙げることができる。
前掲のカチオン性基の対アニオンとしては、Cl-、Br-、I-等を挙げることができる。
疎水性基としては、アルキル基,アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されることが好ましい。
重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。このなかでも特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい例として例示できる。
前記カチオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公平4−65824号公報に記載されているようなカチオン性のアリル酸誘導体などを挙げることができる。
本発明において使用するカチオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式R[4-(l+m+n)]1 l2 m3 n+・X-で表される化合物を挙げることができる(Rは重合性基であり、R1、R2、R3はそれぞれアルキル基またはアリール基であり、XはCl、BrまたはIであり、l、m、nはそれぞれ1または0である。)。ここで、前記重合性基としては、ラジカル重合可能な不飽和炭化水素基を有する炭化水素基を好適に例示でき、より具体的には、アリル基、アクロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロぺニル基、ビニリデン基、ビニレン基等を挙げることができる。
カチオン性重合性界面活性剤の具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルドデシルクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルデシルクロライド等を挙げることができる。カチオン性重合性親水性モノマーの具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
前記のカチオン性重合性親水性モノマーとしては、市販品を用いることもできる。例えば、アクリエステルDMC(三菱レイヨン(株))、アクリエステルDML60(三菱レイヨン(株))、C−1615(第一工業製薬(株))などを挙げることができる。
以上に例示したカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤の添加量は、アニオン性基を表面に有する色材粒子の使用量に対するアニオン性基の総モル数(=使用した色材の重量(g)×色材粒子表面のアニオン性基(mol/g))に対して、0.5〜2倍モルの範囲が好ましく、より好ましくは、0.8〜1.2倍モルの範囲である。0.5倍モル以上の添加量とすることによって、親水性基としてアニオン性基を有する色材粒子にイオン的に強く結合し、容易にカプセル化が可能となる。2倍モル以下の添加量とすることで、色材粒子に未吸着のカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤の発生を少なくすることができ、色材粒子を芯物質として持たないポリマー粒子(ポリマーのみからなる粒子)の発生を防止することができる。
前記アニオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公昭49−46291号公報、特公平1−24142号公報、又は特開昭62−104802号公報に記載されているようなアニオン性のアリル誘導体、特開昭62−221431号公報に記載されているようなアニオン性のプロペニル誘導体、特開昭62−34947号公報又は特開昭55−11525号公報に記載されているようなアニオン性のアクリル酸誘導体、特公昭46−34898号公報又は特開昭51−30284号公報に記載されているようなアニオン性のイタコン酸誘導体などを挙げることができる。
本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(31):
Figure 2006111845
[式中、R21及びR31は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Z1は、炭素−炭素単結合又は式
−CH2−O−CH2
で表される基であり、mは2〜20の整数であり、
Xは式−SO31で表される基であり、M1はアルカリ金属、アンモニウム塩、又はアルカノールアミンである]
で表される化合物、又は式(32):
Figure 2006111845
[式中、R22及びR32は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Dは、炭素−炭素単結合又は式
−CH2−O−CH2
で表される基であり、nは2〜20の整数であり、
Yは式−SO32で表される基であり、M2はアルカリ金属、アンモニウム塩、又はアルカノールアミンである]
で表される化合物が好ましい。
前記式(31)で表される重合性界面活性剤は、特開平5−320276号公報、又は特開平10−316909号公報に記載されている。式(31)におけるR21の種類とxの値を適宜調整することによって、色材粒子表面の親水性又は疎水性の度合いに対応させることが可能である。式(31)で表される好ましい重合性界面活性剤としては、下記の式(310)で表される化合物を挙げることができ、具体的には、下記の式(31a)〜(31d)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2006111845
[式中、R31,m,M1は式(31)で表される化合物と同様]
Figure 2006111845
Figure 2006111845
Figure 2006111845
Figure 2006111845
前記のアニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンHSシリーズ(アクアロンHS−05、HS−10、HS−20、HS−1025)、あるいは、旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10N,SE−20Nなどを挙げることができる。
旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10Nは、式(310)で表される化合物において、M1がNH4、R31がC919、m=10とされた化合物である。旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−20Nは、式(310)で表される化合物において、M1がNH4、R31がC919、m=20とされた化合物である。
また、本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(33):
Figure 2006111845
[式中、pは9又は11であり、qは2〜20の整数であり、Aは−SO33で表わされる基であり、M3はアルカリ金属、アンモニウム塩又はアルカノールアミンである]
で表される化合物が好ましい。式(33)で表される好ましいアニオン性重合性界面活性剤としては、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2006111845
[式中、rは9又は11、sは5又は10]
前記のアニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンKHシリーズ(アクアロンKH−5、アクアロンKH−10)などを挙げることができる。アクアロンKH−5は、上記式で示される化合物において、rが9、sが5とされた化合物と、rが11、sが5とされた化合物との混合物である。アクアロンKH−10は、上記式で示される化合物において、rが9、sが10とされた化合物と、rが11、sが10とされた化合物との混合物である。
また、アニオン性重合性界面活性剤としては、下記の式(A)で表される化合物も好ましい。
Figure 2006111845
[上式中、R4は水素原子または炭素数1から12の炭化水素基を表し、lは2〜20の数を表し、M4はアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンを表す。]
以上に例示したアニオン性重合性界面活性剤は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
アニオン性重合性界面活性剤の添加量は、カチオン性重合性界面活性剤に対して、1倍〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは1.0倍モル〜5倍モル程度の範囲である。1倍モル以上の添加量とすることにより、カプセル化粒子の分散性及び分散安定性が優れたものとなり、吐出安定性も優れたものとなる。さらには紙繊維への吸着性が向上し、印刷濃度、発色性に優れたものとなる。10倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しないアニオン性重合性界面活性剤の発生を抑制し、そしてカプセル粒子以外に芯物質が存在しないポリマー粒子が発生することを防止できる。
前記アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基は、マイクロカプセル化後、カプセル表面に水相側に配向して存在するものと考えられる。これによって、カプセル化粒子の水相中での分散性及び分散安定性が優れたものとなる。また、上記のアニオン性基は、普通紙中に通常含まれるマグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の各種の金属イオンやカチオン性デンプンやカチオン性高分子や、セルロース繊維と相互作用しやすい。かかるマイクロカプセル化色材を着色剤とするインクジェット記録用の水性インクを普通紙に対して吐出させれば、着色剤が普通紙の着弾位置近傍に溜まりやすいので、より確実に、画像濃度が得られるとともに、滲みの発生も抑制できる。
本発明において使用できるアニオン性基を有する親水性モノマーとしては、その構造中に親水性基としてのアニオン性基と重合性基とを少なくとも有するもので、親水性基がスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシル基、カルボニル基およびこれらの塩の群から選択されたものを好適に例示できる。
重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるのが好ましい。
スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシル基、カルボニル基およびこれらの塩等のアニオン性基は、カプセル表面に水相側に配向して存在するものと考えられ、これによってカプセル化粒子の水相中での分散性及び分散安定性が優れたものとなる。また、上記のアニオン性基は、普通紙中に通常含まれるマグネシウム,カルシウム,アルミニウム等の各種の金属イオンや、カチオン性デンプンやカチオン性高分子や、セルロース繊維と相互作用しやすい。親水性基としてアニオン性基を有する重合性モノマーを使用してマイクロカプセル化色材を作製し、このようなマイクロカプセル化色材を着色剤とするインクジェット記録用の水性インクを普通紙に対して吐出させれば、着色剤が普通紙の着弾位置近傍に溜まりやすいので、より確実に、画像濃度が得られるとともに滲みの発生も抑制できる。
アニオン性基を有する親水性モノマーの好ましい具体例としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、リン酸基含有(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸ナトリウム、2−スルホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、などを挙げることができる。
アニオン性基を有する親水性基モノマーの添加量は、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤に対して、1倍モル〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0倍モル〜5倍モル程度の範囲である。1倍モル以上の添加量とすることにより、カプセル化粒子の分散性及び分散安定性が優れたものとなり、吐出安定性も優れたものとなる。10倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しない親水性モノマーの発生を抑制し、そしてカプセル粒子以外に芯物質が存在しないポリマー粒子が発生することを防止できる。
アニオン性重合性界面活性剤とアニオン性基を有する親水性基モノマーとを併用する場合においては、その添加量の総和がカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤に対して、1倍モル〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0倍モル〜5倍モル程度の範囲である。前述したように、1倍モル以上の添加量とすることにより、カプセル化粒子の分散性及び分散安定性が優れたものとなる。10倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しない親水性モノマーの発生を抑制し、そしてカプセル化粒子以外に芯物質が存在しないポリマー粒子の発生を防止することができる。
本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化色材は、より具体的には、以下の手順によって好適に製造される。
(1) アニオン性基を表面に有する色材粒子が水に分散された分散液に、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤を加える。ここでは、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、アニオン性基を表面に有する色材粒子のアニオン性基に吸着してイオン的に結合し、固定化される。
(2) カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合界面活性剤に対して共重合可能なコモノマー、より具体的には、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーと、重合開始剤とを加え、乳化重合する。
このような手順により、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化色材を好適に製造できる。
さらに、特に、記録物の定着性や耐擦過性、耐溶剤性を制御したり、インクの保存安定性を制御する目的で、他のコモノマーを添加してもよい。
他のコモノマーとしては、親水性モノマー(前記アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマー)及び/又は疎水性モノマーを挙げることができる。
特に、記録物の定着性や耐擦過性は、本発明に係るマイクロカプセル化色材の色材粒子を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移点(Tg)を制御することによって可能である。
室温において、本発明のマイクロカプセル化色材を用いたインクで普通紙やインクジェット専用メディア等の記録媒体に印字すると、本発明のマイクロカプセル化色材粒子の周囲にある水媒体(水および/または水溶性有機溶媒からなる)が、普通紙やインクジェット専用メディア等の記録媒体中に浸透して、マイクロカプセル化色材粒子の近傍から除去されることでマイクロカプセル化色材粒子同士が近接する。その際に、このマイクロカプセル化色材の色材粒子を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移点(Tg)が室温以下の場合には、マイクロカプセル化色材粒子間の間隙に生じる毛細管圧によって、マイクロカプセル化色材の色材粒子を被覆している共重合体(コポリマー)が融着して色材粒子を内部に包み込んだ(カプセル化した)状態で成膜するため、画像の定着性や耐擦性を特に良好にできる。また、本発明のマイクロカプセル化色材を用いたインクをインクジェット専用メディア、特にインクジェット用光沢メディア上に印字した場合には、本発明のマイクロカプセル化色材が小粒径で、且つ、粒子表面の親水性基(特にアニオン性基)が水相側に向かって規則正しく密に配向していることから、マイクロカプセル化色材が光沢メディア上に最密に充填されて良好なパッキング性が得られることと前記の成膜性とによって良好な光沢が得られる。
一般に、高分子固体、特に無定形高分子固体において、温度を低温から高温へ上げていくと、わずかな変形に非常に大きな力の要る状態(ガラス状態)から小さな力で大きな変形が起こる状態へと急変する現象が起こるが、この現象の起こる温度をガラス転移点(またはガラス転移温度)という。一般には、熱走査型熱量計(Differential scanning calorimeter)による昇温測定によって得られた示差熱曲線において、吸熱ピークの底部から吸熱の開始点に向かって接線を引いたときのベースラインとの交点の温度をガラス転移点とする。
また、ガラス転移点では弾性率、比熱、屈折率などの他の物性も急激に変化することが知られており、これらの物性を測定することによってもガラス転移点が決定されることが知られている。本発明においては、熱走査型熱量計(DSC)による昇温測定によって得
られたガラス転移点を用いた。
本発明のマイクロカプセル化色材を用いた水性インクで普通紙やインクジェット専用メディア等の記録媒体に印字した際に、本発明のマイクロカプセル化色材が室温でより好ましく成膜するためには、マイクロカプセル化色材の顔料粒子を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移点(Tg)は、好ましくは30℃以下、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下である。したがって、マイクロカプセル化色材の色材粒子を被覆している共重合体(コポリマー)は、ガラス転移点が30℃以下になるように設計されることが好ましく、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下に設計されるのが好ましい。ただし、ガラス転移点が−20℃より低いと耐溶剤性が低下する傾向となる。
係る共重合体(コポリマー)のガラス転移点は、使用する疎水性モノマーの種類と組成比を適宜選択することにより上記の範囲内とすることができる。マイクロカプセル化色材の色材粒子を被覆している共重合体(コポリマー)のガラス転移点(Tg)にあわせて、その温度以上で印刷物を加熱することが可能である場合は、ガラス転移点が加熱温度以下であれば成膜が可能であることから、ガラス転移温度は30℃を越えても構わないが、この場合には、加熱機構をインクジェット記録装置に付帯させる等の必要があり、装置のコストアップ等の問題が生じるので、ガラス転移点は30℃以下にすることが好ましい。
アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーとしては、親水性基として水酸基、エチレンオキサイド基、アミド基、アミノ基を有するものが挙げられる。これらの親水性基は、アニオン性基と共にカプセル表面で水相側に配向して存在すると考えられ、紙のセルロース繊維のOH基と水素結合を形成しやすいことから、これらの親水性基を持つ親水性モノマーを併用して得たマイクロカプセル化色材を着色剤とするインクジェット記録用インクを普通紙に対して吐出させた場合、着色剤が普通紙のセルロース繊維上にさらに吸着しやすくなり、着弾位置近傍で且つ紙表面近傍に留まりやすくなるので、さらに画像濃度が得られるとともに滲みの発生も抑制できる。
アニオン性基を有する親水性モノマー以外の親水性モノマーとしては、OH基を有する2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等、エチレンオキサイド基を有するエチルジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等、アミド基を有するアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等、アミノ基を含むN−メチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルアミノエステル類;N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、等のアルキルアミノ基を有する不飽和アミド類等と、ビニルピリジン等のモノビニルピリジン類、ジメチルアミノエチルビニルエーテルなどのアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類;ビニルイミダゾール等、N−ビニル−2−ピロリドン、などを挙げることができる。
記録物の定着性や耐擦過性、耐水性、耐溶剤性等の要求特性を満足するには、疎水性モノマーを好適に使用することができる。すなわち、本発明に係るマイクロカプセル化色材は、アニオン性基を表面に有する色材粒子が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位に加え、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有していても良い。
疎水性モノマーとしては、その構造中に疎水性基と重合性基とを少なくとも有するもので、疎水性基が脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基の群から選択されたものを例示できる。脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等を、脂環式炭化水素基としてはシクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、イソボルニル基等を、芳香族炭化水素基としてはベンジル基、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるのが好ましい。
疎水性モノマーの具体例としては、スチレンおよびメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、p−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネート、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アリルシクロヘキサン、多価カルボン酸アリル等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のエステル類;N−置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。
疎水性モノマーは、上記の要求特性を満足させるものが適宜、選択され、その添加量は任意に決定される。
また、色材粒子を被覆するポリマーは、さらに、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することも好ましい。
架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することにより、ポリマー中に架橋構造が形成され、耐溶剤性(水性インクに含有される溶媒が色材粒子を被覆するポリマーの内部に浸入しにくい特性)を向上させることができる。
溶剤が色材粒子を被覆するポリマーの内部に浸透すると、ポリマーが膨潤や変形等を起こし、水性媒体側に向く色材粒子のアニオン性基の配向状態が乱されるなどしてマイクロカプセル化色材の分散安定性等が低下することがある。このような場合においては、色材粒子を被覆するポリマーに架橋構造を形成することによって、マイクロカプセル化色材の耐溶剤性が向上し、水溶性有機溶媒が共存するインク組成物において、より分散安定性に優れたものとなる。
本発明において使用できる架橋性モノマーとしては、ビニル基,アリル基,アクリロイル基,メタクリロイル基,プロペニル基,ビニリデン基,ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を有するもので、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
また、色材粒子を被覆するポリマーは、さらに下記一般式(2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することが好ましい。
Figure 2006111845
[ただし、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2はt−ブチル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。mは0〜3、nは0又は1の整数を表す。]
ポリマー中に一般式(2)で表されるモノマー由来の"嵩高い"基である前記R2基によって、ポリマーの分子のたわみやすさが減り、すなわち、分子の運動性が拘束されるため、ポリマーの機械的強度や耐熱性が向上し、該ポリマーで被覆された本態様のマイクロカプセル化色材を用いたインクによる印刷物は優れた耐擦性と耐久性を具備したものとすることができる。また、"嵩高い"基である前記R2基がポリマー中に存在することによって、有機溶媒のポリマー内部への浸透を抑制できるために、本態様のマイクロカプセル化色材は耐溶剤性に優れたものとなり、水溶性有機溶媒が共存するインク組成物において、より安定した吐出性、分散性、長期保存性を得ることができる。
上記一般式(2)において、R2が示す脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンタン基、テトラヒドロフラン基、等が挙げられる。
前記したように、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーや一般式(2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーは、Tgが高く、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性に優れるという利点がある。
しかしながら、このようなポリマーで被覆されたマイクロカプセル化色材は、ポリマーの可塑性が不十分となって、記録媒体と密着しにくい状態となりやすく、その結果マイクロカプセル化色材の記録媒体への定着性・耐擦性が低下する場合がある。
一方、前述した疎水性モノマーの中で長鎖アルキル基を有するモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーは柔軟性を有することから、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位および/または一般式(2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位と長鎖アルキル基を有するモノマーから誘導された繰り返し構造単位の比率を調整することによって、可塑性が損なわれない程度で機械的強度と耐溶剤性を有するポリマーとすることができる。このようなポリマーで被覆されたマイクロカプセル化色材は、記録媒体と密着しやすく、定着性に優れたものであると共に、耐溶剤性にも優れたものとなる。したがって、このマイクロカプセル化色材を用いたインクは、水溶性有機溶媒が共存するインク組成物においても優れた吐出性安定性、分散安定性、長期保存性を得ることができる。また、このマイクロカプセル化色材を用いたインクによって得られた印刷物は、定着性が良く、耐擦性や耐久性ならびに耐溶剤性に優れたものとすることができる。
また、上記一般式(2)で表されるモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2006111845
Figure 2006111845
カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤と、アニオン性重合界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーとの共重合、これらに加えて疎水性モノマー、架橋性モノマー、または上記一般式(2)で表されるモノマーとの共重合は、重合開始剤の添加によって開始されるのが好ましく、このような重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。
そして、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化色材の製造は、親水性基としてアニオン性基を表面に有する色材粒子の水性分散液に、前記カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤を加え、必要に応じて、水もしくは水と水性溶媒を加えて混合し、超音波を所定時間照射した後、アニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマー(これらの他に、上記の疎水性モノマー、架橋性モノマー、一般式(2)で表されるモノマーを加えることもできる。)と必要に応じて水を加えて再び超音波を所定時間照射して分散し、超音波照射と攪拌を行いながら、所定の温度(重合開始剤の活性化する温度)まで昇温して、重合開始剤を加えて重合開始剤を活性化させて乳化重合することによって好適に実施することができる。
上記疎水性モノマーを使用する場合、より具体的には、前記アニオン性基を表面に有する色材粒子の水性分散液にカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、疎水性モノマーを加えて混合する工程と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又は前記アニオン性基を有する親水性モノマーを加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。
上記架橋性モノマーおよび/または前記一般式(2)で表されるモノマーとを使用する場合、より具体的には、前記アニオン性基を表面に有する色材粒子の水性分散液にカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、架橋性モノマーおよび/または前記一般式(2)で表されるモノマーを加えて混合する工程と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又は前記アニオン性基を有する親水性モノマーを加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。
さらに、上記架橋性モノマーおよび/または前記一般式(2)で表されるモノマーとを使用する場合、より具体的には、前記アニオン性基を表面に有する色材粒子の水性分散液にカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、架橋性モノマーおよび/または前記一般式(2)で表されるモノマーと長鎖アルキル基を有するモノマーを加えて混合する工程と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又は前記アニオン性基を有する親水性モノマーを加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。
本発明に係る乳化重合法によれば、まず、アニオン性基を表面に有する色材粒子表面の親水性基(特に、アニオン性基)にカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤を吸着させ、次いで疎水性モノマーを加え、さらにアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーを加え超音波を照射して処理することで、色材粒子の周囲に存在する重合性界面活性剤やモノマーの配置形態が極めて高度に制御され、最外郭では水相に向かってアニオン性基が配向した状態が形成される。そして、乳化重合によって、この高度に制御された形態のまま、モノマーがポリマーに転化されて、本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化色材が得られる。上記の方法によれば、副生成物である水溶性のオリゴマーやポリマーの生成を減少させることができる。これによって、得られたマイクロカプセル化色材の分散液の粘度を低下でき、限外濾過等の精製工程をより容易にすることができ、係るマイクロカプセル化色材を用いたインクは、分散安定性に優れ、記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、普通紙に対しても滲みにくく高発色で高濃度の印刷画像を得ることができる。
重合反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度調節器を備えた反応容器を使用するのが好ましい。
重合反応は、反応系内に添加された水溶性重合開始剤の開裂温度まで温度を上げて重合開始剤を開裂し開始剤ラジカルを発生させることで、この開始剤ラジカルが重合性界面活性剤の不飽和基やモノマーの不飽和基を攻撃することによって開始される。
重合開始剤の反応系内への添加は、水溶性重合開始剤を純水に溶解した水溶液を反応容器内に滴下することで好適に実施できる。反応系内の重合開始剤の活性化は、水性分散液を所定の重合温度まで昇温することにより好適に実施できる。
重合温度は、60℃〜90℃の範囲とするのが好ましく、重合時間は3時間〜10時間とするのが好ましい。重合終了後に、pH7.0〜9.0の範囲に調整した後に、濾過を行なうことが好ましい。濾過は限外濾過が好ましい。
なお、親水性基としてアニオン性基を表面に有する色材粒子が水性分散液の状態にない場合は、前処理として、ボールミル、ロールミル、アイガーミル、ジェットミル等の一般的な分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。
以上のようにして得られる本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化色材は、平均粒径の小さい色材粒子がポリマー層で完全に被覆される(欠陥部分がない)とともに、ポリマー層の親水性基が水性溶媒に向かって規則正しく配向するものと考えられるので(図2、図4参照)、水性溶媒に対して高い分散安定性を有することになる。
以上に本発明の実施形態に係るマイクロカプセル化色材について説明したが、これらのマイクロカプセル化色材の粒子径は、好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下、特に好ましくは20〜200nmである。
また、本発明の水性インクにおける前記マイクロカプセル化色材の含有量は、インクの全重量に対して、1重量%〜20重量%が好ましく、より好ましくは、3重量%〜15重量%である。特に良好な吐出安定性と共に高い印刷濃度と高発色性を得るには、5重量%〜15重量%が好ましい。
次に、本発明の水性インクに含まれる下記式(1)に示す化合物について説明する。
Figure 2006111845
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基を表し、m,nはそれぞれ繰り返し単位数であって、m+nが平均で0〜10である。)
上記式(1)の化合物において、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基であり、m,nはそれぞれ繰り返し単位数であって、m+nが平均で0〜10であるが、普通紙上ではにじみが少なく高発色であり、専用紙上では十分な発色に加えて定着性を有するインクを作成可能であり、インクジェット記録にあってはさらに吐出安定性が優れ、印字における十分な線幅が確保できる水性インクを得るためには、R+Rの炭
素数は好ましくは5以上15以下であり、m+nは好ましくは0〜7の範囲である。
また、本発明の水性インクにおける上記式(1)の化合物の含有量は、インクの全重量に対して、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜10重量%である。特に良好な光沢度、写像性を得るには、0.5〜10重量%が好ましい。
また、同時に添加する浸透剤として炭素数4〜10の直鎖または分岐1,2−アルキレングリコールを用いることがよく、その添加量は1.5〜5重量%であることがよい。1.5重量%以上ではにじみが少なく、印字品質が向上し、5重量%以下では粘度の上昇が少なく、好ましい吐出安定性が得られる。
そして、さらに上述の水性インクに少なくとも界面活性剤を添加してなることが好ましい。その界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上であることが好ましい。これらの界面活性剤を用いることで普通紙上のにじみがさらに低減され、インクジェット専用メディア上での線幅を適当な程度に調整することができる。
前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤および、シリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上を0.1重量%以上、5重量%以下含むことが好ましい。より好ましく添加量は、0.15〜2重量%である。この範囲内においては、にじみが少なく、粘度上昇が少なく、良好な吐出安定性が得られ、印字品質の向上が得られる。
また、前述の水性インクに少なくともグリコールエーテルを添加してなることが好ましい。これらの添加により印字の乾燥性が向上し、連続して印刷しても前の印字部分が次の媒体の裏面に転写されることがなくなるため、特にインクジェット記録にあっては高速印字が可能となる。
前述のグリコールエーテルは、繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、且つ炭素数3〜10のアルキルエーテルであることが好ましい。その中でもジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることが好ましい。また、前述の(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上からなる物質の添加量が、0.5重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1重量%以上、15重量%以下である。0.5重量%以上で良好な浸透性の効果が得られ、印字品質が向上し、30重量%以内にすることで、インクの粘度上昇が少ないことから、良好な吐出安定性が得られる。
少なくとも、前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれた1種以上とを同時に添加してなることが好ましい。アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれた1種以上とは同時に用いる方がPPC用紙等の普通紙において、にじみが低減し印字品質が向上する。
そして、前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上が0.1重量%であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれた1種以上が1重量%以上であることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上は、少量で浸透性を向上させる効果がある。ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれた1種以上は1重量%以上であることで印字品質がさらに向上する。
本発明の水性インクは2−ピロリドンをさらに添加してなることが好ましい。2−ピロリドンを添加することで、吐出安定性が向上する。その好ましい添加量は1重量%以上15重量%以下である。1重量%以上で吐出安定性の向上が得られ、15重量%以下では粘度への影響が少ないため、良好な吐出安定性が得られる。さらに好ましくは、1.5重量%以上5重量%以下である。
さらに、本発明の水性インクはノズル前面でインクが乾燥して詰まることを抑制するため保湿剤を添加してなることが好ましく、さらにその保湿剤がヒドロキシル基を2以上有する物質であることが好ましく、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、数平均分子量400以下のポリエチレングリコール、トリメチロール(炭素数6以下の)アルカン、アルドース、ケトースおよび糖アルコールから選ばれた1種以上であることが好ましい。アルドース、ケトースおよび糖アルコールの例として単糖類および多糖類があり、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。その添加量は5〜50重量%である。5重量%以上で、保湿効果が得られ、50重量%以下で粘度への影響が少なく、良好な吐出安定性が得られる。
本発明における水性インクは、その放置安定性、インク吐出ヘッドからの安定吐出等の目的で溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤および防黴剤等種々の添加剤を添加する場合がある。
以下、それらを例示する。
インクジェット等のノズル面で乾燥を抑えるために水溶性のあるグリコール類を添加することが好ましく、その例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどがある。
その他に水と相溶性を有し、インクに含まれる水との溶解性の低いグリコールエーテル類やインク成分の溶解性を向上させ、さらに被記録体例えばPPC用紙に対する浸透性を向上させることのできるものとして、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどがあり、これらを適宜選択して使用することができる。
また、本発明の水性インクにはさらに紙や特殊紙等の媒体への浸透性を制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は本実施例に示すインク系との相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤のなかでも浸透性が高く安定なものがよい。その例としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などがあげられる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル)などのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
また、pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸(水素)カリウム、炭酸(水素)ナトリウム、炭酸(水素)リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩などがある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物などがある。
さらに、粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどがある。
本発明においては高分子微粒子を添加することもできる。その添加量は、0.1重量%以上10重量%以下である。より好ましくは、1重量%以上8重量%以下、さらに好ましくは2重量%以上6重量%以下である。この範囲においては、インクの粘度への影響が少なく、耐擦性を向上することができる。
高分子微粒子は、水を分散体としたポリマーエマルションの形態で用いることが好ましい。また用いる高分子微粒子は、通常の乳化重合によって製造されるものを使用することができる。また、高分子微粒子の自己乳化性を利用して水に分散したものや、乳化剤を用いて高分子微粒子を水に分散したものを使用することもできる。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ここで、以下に示す"顔料粒子の表面における親水性基の導入量"は、以下の方法によって求めた。
「アニオン性基の導入量の定量」
(スルホン化剤によってアニオン性基を導入した場合)
スルホン化剤によって表面が処理された顔料粒子を酸素フラスコ燃焼法で処理し、0.3%過酸化水素水溶液に吸収させた後、イオンクロマトグラフ法(ダイオネクス社;2000i)で硫酸イオン(2価)を定量し、この値をスルホン酸基に換算し、顔料1g当たりのモル量(mmol/g)として示した。
(カルボキシル化剤によってアニオン性基を導入した場合)
手法としては、ツアイゼル法を用いる。ジアゾメタンを適当な溶剤に溶かし込み、これを滴下することで顔料粒子表面の活性水素を全てメチル基に交換する。こうして処理した顔料に、比重1.7のヨウ化水素酸を加え加熱して、メチル基をヨウ化メチルとして気化させる。このヨウ化メチルの気体を硝酸銀溶液でトラップしてヨウ化メチル銀として沈殿させる。このヨウ化銀の重量より元のメチル基の量、即ち活性水素の量を測定し、顔料1g当たりのモル量(mmol/g)として示した。すなわち、この顔料粒子表面の活性水素量は、カルボン酸基量に相当する。
「アニオン性基を表面に有するシアン顔料粒子“P1”の作製」
フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部をキノリン500部と混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)でビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時間分散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら120℃に加熱し、系内に含まれる水分を出来るだけ留去した後、160℃に温度制御した。次いでスルホン化ピリジン錯体20部を加えて8時間反応させ、反応終了後に過剰なキノリンで数回洗浄した後に水中に注ぎ、濾過することで、親水性基(アニオン性基)を表面に有するシアン顔料粒子“P1”を得た。
得られたシアン顔料粒子“P1”のアニオン性基の導入量は0.04mmol/gであった。
「アニオン性基を表面に有するマゼンタ顔料粒子“P2”の作製」
前記、「アニオン性基を表面に有するシアン顔料粒子“P1”の作製」において、フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部を、イソインドリノン顔料(C.I.ピグメントレッド122)20部に代えた以外は、同様な処理方法により、アニオン性基を表面に有するマゼンタ顔料粒子“P2”を得た。
得られたマゼンタ顔料粒子“P2”のアニオン性基の導入量は0.06mmol/gであった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP1"の製造」
アニオン性基を表面に有するシアン顔料粒子"P1"100gをイオン交換水500gに分散した水性分散液に、カチオン性重合性親水性モノマーとしてメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.0g添加して混合した後、超音波を15分間照射して処理した。次いで、ベンジルメタクリレート17.3gとドデシルメタクリレート7.7gとジエチレングリコールジメタクリレート0.05gを混合して加え攪拌混合し、予めイオン交換水50gに溶解しておいたアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−5を6.72gと親水性モノマーとして2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸2.07gを添加し、再び超音波を30分間照射して処理した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.6gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpHを8に調製し、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP1"分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、110nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。得られた分散液を室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いて被覆ポリマーのガラス転移点を測定したところ、7℃であった。
「マイクロカプセル化顔料"MCP2"の製造」
アニオン性基を表面に有するマゼンタ顔料粒子"P2"100gをイオン交換水500gに分散した水性分散液に、カチオン性重合性親水性モノマーとしてメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.25g添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、ベンジルメタクリレート12g、ドデシルメタクリレート8g、アニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10を3.9gと親水性モノマーとして2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を2.07gとイオン交換水50gを添加して混合し、再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.6gを溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、2mol/l水酸化カリウム水溶液でpHを8に調製し、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し粗大粒子を除去して目的のマイクロカプセル化顔料"MCP2"の分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、300nmであった。得られた分散液をイオン交換水で100倍に希釈し前処理を施して走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、粒子の短径、長径、厚みを測定することによってアスペクト比およびZingg指数を求めたところ、アスペクト比が1.0、Zingg指数が1.0であった。得られた分散液を室温で乾燥させ、これを熱走査型熱量計(示差走査熱量計:DSC)DSC200(セイコー電子(株)製)を用いて被覆ポリマーのガラス転移点を測定したところ、−7℃であった。
また、比較例として、Cabjet250C、260M顔料(商品名 表面処理顔料 Cabot製)と、下記に示す方法で作製した顔料を用いた。
「シアン顔料の製造」
反応容器にメチルエチルケトン200gを仕込み、窒素シール下に攪拌しながら、70℃まで昇温させスチレン170g、α−メチルスチレン5g、ブチルメタクリレート65g、ラウリルメタクリレート10g、アクリル酸17g、及び重合開始剤パーブチルO 20gからなる混合液を2時間かけて滴下し、更に10時間反応させ、メチルエチルケトン20gに溶解したt−ドデシルメルカプタン1gを添加して、更に5時間反応させて、ビニル系ポリマーの溶液を得た。
上記のポリマー溶液10gをステンレス製ビーカーに、C.I.ピグメントブルー15:3 40gとを混合攪拌し、更にナノマイザー(吉田機械工業製)で分散処理した。これを再びステンレス製ビーカーに移し、常温で攪拌しながらイオン交換水300gを加え、更にpHが8.5〜9.5となるまで、10%NaOH水溶液を加えホモジナイザーで攪拌した。これを、ロータリーエバポレータを用いてメチルエチルケトンを除去し、pHが8.5〜9.5となるまで10%NaOH水溶液を加えて、1時間攪拌を行った。これに、イオン交換水を加えて固形分濃度が20%となるように調製して、シアン顔料を得た。
「マゼンタ顔料の製造」
前記、シアン顔料の製造において、C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントレッド122に変更した以外は、同様な処理方法によりマゼンタ顔料を得た。
〔実施例1〜2および比較例1〜2〕
上記の顔料を用いて、下記表1に示す組成に基づいて実施例1〜2および比較例1〜2の水性インクを調製した。
Figure 2006111845
なお、上記表1中のDMH−20とは、式(1)の化合物で、日本乳化剤(株)製の下記の構造を有するものである。
Figure 2006111845
(式中、m+n=2)
下記表2に、上記実施例1〜2および比較例1〜2の水性インクによる記録物の光沢度の評価について示す。
光沢度は、各水性インクを、インクジェットプリンターEM-930C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、写真用紙<光沢>(セイコーエプソン株式会社製)に1440×720dpiでベタ印刷して、入射角45度における記録面の鏡面光沢度を自動変角光度計(GP-200型 村上色彩技術研究所製)にて測定を行った。その結果を以下の基準で評価した。
A:光沢度が16以上
B:光沢度が11〜15の範囲内
C:光沢度が5〜10の範囲内
D:光沢度が1〜4の範囲内
Figure 2006111845
表2の結果から明らかなように、実施例1〜2の水性インクでは光沢度が良好であることがわかる。
次に下記表3に、上記実施例1〜2および比較例1〜2の水性インクによる記録物の写像性の評価について示す。
写像性は、各水性インクを、インクジェットプリンターEM-930C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、写真用紙<光沢>(セイコーエプソン株式会社製)に1440×720dpiでベタ印刷して、入射角45度における記録面の写像性をタッチパネル式写像性測定器(ICM-1T スガ試験機製)にて測定を行った。その結果を以下の基準で評価した。
A:写像性が26以上
B:写像性が21〜25の範囲内
C:写像性が11〜20の範囲内
D:写像性が1〜10の範囲内
Figure 2006111845
表3の結果から明らかなように、実施例1〜2の水性インクでは写像性が良好であることがわかる。
〔実施例3〜5および比較例3〜5〕
下記表4に示す組成に基づいて実施例3〜5および比較例3〜5の水性インクを調製した。
Figure 2006111845
なお、上記表4中のBEPDとは、ブチルエチルプロパンジオールと称され、式(1)の化合物であり、協和発酵ケミカル(株)製の下記の構造を有するものである。
Figure 2006111845
下記表5に、上記実施例3〜5および比較例3〜5の水性インクによる記録物の光沢度の評価について示す。
光沢度は、実施例1〜2および比較例1〜2と同様に測定し、その結果を以下の基準で評価した。
A:光沢度が16以上
B:光沢度が11〜15の範囲内
C:光沢度が5〜10の範囲内
D:光沢度が1〜4の範囲内
Figure 2006111845
表5の結果から明らかなように、実施例3〜5の水性インクでは光沢度が良好であることがわかる。
次に下記表6に、上記実施例3〜5および比較例3〜5の水性インクによる記録物の写像性の評価について示す。
写像性は、実施例1〜2および比較例1〜2と同様に測定し、その結果を以下の基準で評価した。
A:写像性が26以上
B:写像性が21〜25の範囲内
C:写像性が11〜20の範囲内
D:写像性が1〜10の範囲内
Figure 2006111845
表6の結果から明らかなように、実施例3〜5の水性インクでは写像性が良好であることがわかる。
アニオン性基を表面に有する色材粒子が、水性溶媒に分散するとともに、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤とアニオン性重合性界面活性剤とに対して、共存している状態を示す模式図である。 図1に示す分散状態においてカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤とアニオン性重合性界面活性剤とが重合された状態を示す模式図である。 アニオン性基を表面に有する色材粒子が、水性溶媒に分散するとともに、カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤とアニオン性重合性界面活性剤とに対して、共存している状態を示す模式図である。 図3に示す分散状態においてカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤とアニオン性重合性界面活性剤とが重合された状態を示す模式図である。
符号の説明
1 色材粒子、2 カチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤、3 アニオン性重合性界面活性剤、10 親水性基、11 カチオン性基、12, 12' 疎水性基、13, 13' 重合性基、14, 14' アニオン性基、60, 60' ポリマー層(ポリマー)、100, 100' マイクロカプセル化色材

Claims (2)

  1. 少なくとも、アニオン性基を表面に有する色材粒子がカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性親水性モノマー及び/又はカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位とアニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤及び/又はアニオン性基を有する親水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位とを有するポリマーにより被覆されたマイクロカプセル化色材と、下記式(1)に示す化合物とを含んでなることを特徴とする水性インク。
    Figure 2006111845
    (式中、R1、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基を表し、m,nはそれぞれ繰り返し単位数であって、m+nが平均で0〜10である。)
  2. 前記色材が顔料である請求項1に記載の水性インク。
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